JP6417938B2 - 画像処理装置、画像処理方法、プログラム、及び記録媒体 - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法、プログラム、及び記録媒体 Download PDF

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Description

本願は、画像処理装置、画像処理方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
デジタルカメラ等の撮像装置で撮像された画像データに対しては、例えば画像の「明瞭感」や「凹凸感」等を向上させるための種々の画像処理方法が提案されている。明瞭感が欠如した画像とは、例えば実際に人間の目で見た印象と比較して、かすみやモヤがかかった印象を与える画像をいう。また、凹凸感が欠如した画像とは、例えば実際の風景における木々の盛り上がった状態や岩肌のごつごつした状態が表現されず、平面的な印象を与える画像をいう。
上述した明瞭感や凹凸感の改善に寄与する方法の1つとして、多重解像度画像を用いた画像処理方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、多重解像度画像を用いたコントラスト強調処理により、更に画像データの明るさ成分の表現可能な範囲を超えてしまう画素が発生する(オーバーレンジが発生する)といった点に対して対策を施している。例えば元画像のヒストグラムをシフトさせたり、元画像の累積ヒストグラム等のオーバーレンジを引き起こす画素数の割合を推定して、多重解像度画像の重みを多重解像度の各レベルにより調整したりするといった対策である。
しかしながら、上述した対策のうち、元画像のヒストグラムをシフトさせる方法は、元画像の明るさの平均値を変化させることにつながるため、写真画像を知覚した人物のその写真画像に対する印象を大きく変えてしまう場合がある。また、上述した対策のうち、元画像の累積ヒストグラム等のオーバーレンジを引き起こす画素数の割合を推定して、多重解像度画像の重みを多重解像度の各レベルにより調整する方法では、計算負荷が大きくなり、本来のコントラスト強調に関して意図する強調を実現することができない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、多重解像度画像データの画素値を操作する画像処理において、画質の向上を図ることを目的とする。
一態様の画像処理装置において、画像データを明るさ成分と色成分とに分解する色分解手段と、前記色分解手段により得られる明るさ成分の第1の画像データの画素値に応じて、前記明るさ成分の第2の画像データを調整するパラメータを生成する調整手段と、前記明るさ成分の第1の画像データから生成される多重解像度画像データの画素値を操作し、前記調整手段により生成されるパラメータを用いて、前記明るさ成分の第2の画像データを生成する処理手段と、前記処理手段により生成される明るさ成分の第2の画像データと、前記色分解手段により得られる色成分の画像データとを合成する合成手段とを有する。
多重解像度画像データの画素値を操作する画像処理において、画質の向上を図ることが可能になる。
画像処理装置の全体構成を示す図である。 画像処理装置のハードウェア構成を示す図である。 第1実施形態に係る画像処理装置の機能構成を示す図である。 第1実施形態に係る画像処理の概要を示す図である。 明るさ成分と調整比率との関係を示す図である。 第1実施形態に係る多重解像度画像データの画素値の操作内容を説明するための図である。 第2実施形態に係る画像処理装置の機能構成を示す図である。 第2実施形態に係る画像処理の概要を示す図である。 第4実施形態に係る多重解像度画像データの画素値の操作内容を説明するための図である。 第4実施形態に係る多重解像度画像データの画素値の操作内容を説明するための拡大図である。 第6実施形態に係る多重解像度画像データの画素値の操作内容を説明するための図である。
以下、実施の形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
<画像処理装置:構成>
図1は、画像処理装置の全体構成を示す図である。図1に示すように、画像処理装置100は、画像処理プログラム110と、調整比率データベース(以下、単に「DB」と称す)121と、画像操作DB122とを有する。
画像処理プログラム110は、例えばデジタルカメラ等の撮像装置により撮影された画像データを明るさ成分と色成分とに分解し、明るさ成分の画像データから生成した多重解像度画像データの画素値を操作する処理を行う。また、画像処理プログラム110は、画素値を操作した多重解像度画像データに基づいて、明るさ成分の画像データを再構成し、再構成した明るさ成分の画像データと色成分の画像データとを色合成する処理を行う。画像処理プログラム110は、明るさ成分の画像データを再構成するにあたり、明るさ成分の画像データの画素値に応じて変化するパラメータ(調整比率)を用いる。
調整比率DB121は、画像処理プログラム110が明るさ成分の画像データを再構成する際に用いる調整比率の値を格納する。具体的には、調整比率DB121は、明るさ成分の画像データに基づいて算出される明るさ成分の画像データの各画素値に対する調整比率を格納する。
画像操作DB122は、画像処理プログラム110が明るさ成分の画像データから生成した多重解像度画像データの各画素値を操作する際の操作量に関する情報を格納する。具体的には、画像操作DB122は、多重解像度画像データの操作前の各画素値と操作後の各画素値とを対応付けて格納する。
<画像処理装置100:ハードウェア構成>
次に、画像処理装置100のハードウェア構成について説明する。図2は、画像処理装置のハードウェア構成を示す図である。図2に示すように、画像処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、入出力部204を備える。なお、画像処理装置100において、CPU201、ROM202、RAM203、入出力部204は、バス205を介して相互に接続されている。
CPU201は、ROM202に格納された各種プログラム(例えば、画像処理プログラム110)を実行するコンピュータである。
ROM202は、不揮発性メモリである。ROM202は、CPU201により実行される各種プログラムと、各種プログラムを実行するために必要なブートプログラムや各種DB(例えば、調整比率DB121や画像操作DB122)等を格納する。
RAM203は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の主記憶装置である。RAM203は、ROM202に格納された各種プログラムが、CPU201によって実行される際に展開される作業領域として機能する。
入出力部204は、周辺モジュールとの間でデータの送受信を行う。画像処理プログラム110がCPU201により実行されることで処理される画像データは、入出力部204を介して入力される。また、処理された画像データは、入出力部204を介して出力される。
なお、画像処理装置100は、例えばデジタルカメラ等の撮像装置やスキャナ等の画像形成装置、スマートフォン等のように撮影機能や画像形成機能を有する機器に組み込まれて利用される。また、画像処理装置100は、ユーザインタフェース部を接続することで、パソコンや携帯端末等のように、画像編集機能を有する単体の機器として機能させても良い。この場合、画像処理プログラム110は、例えば、持ち運び可能な記録媒体に格納しても良い。
<画像処理装置100:機能構成>
次に、画像処理プログラム110がCPU201により実行されることで実現される機能について、図3〜図6を用いて説明する。なお、図3は、第1実施形態に係る画像処理装置の機能構成を示す図であり、図4は、第1実施形態に係る画像処理の概要を示す図である。また、図5は、明るさ成分と調整比率との関係を示す図である。図6は、第1実施形態に係る多重解像度画像データの画素値の操作内容を説明するための図である。
以下、図4〜図6を逐次参照しながら、図3に示す画像処理装置100の機能構成について説明する。
図3に示すように、画像処理装置100は、画像処理プログラム110がCPU201により実行されることにより、色分解手段310と、明るさ成分処理手段320と、調整手段330と、色合成手段340とを有する。
<色分解手段310>
色分解手段310は、入出力部204を介して入力された画像データ(例えば、汎用形式のカラー画像データ)を取得する。図4に示す画像データ400は、色分解手段310により取得された画像データの一例であり、ここでは、i×j画素のサイズを有する画像データ(RGB)として説明する。
色分解手段310が取得する画像データ400のファイル形式は、例えばTIF形式である。また、画像データ400は、例えばRGBの3つの色成分を有する。また、画像データ400は、1画素あたり各色16bitの画素値を有する。
なお、画像データ400のファイル形式は、TIF形式に限定されるものではなく、例えば、JPEG形式やPNG形式等の他のファイル形式であっても良い。また、画像データ400の色成分も、RGB色空間に限定されるものではなく、RGB以外の色空間であっても良い。更に、画像データ400の1画素あたりの画素値のデータ量も、各色16bitに限定されるものではない。
色分解手段310は、画像データ400のRGB色成分をもつ各画素を、例えばYCbCr色空間に変換する。色分解手段310は、例えばRGB色空間からYCbCr色空間への変換を下式(式1)に基づいて行う。
Figure 0006417938
なお、色分解手段310が変換する変換先の色空間は、YCbCr色空間に限定されず、例えば明るさ成分(又は明度成分)と色成分とを有する色空間であれば、La*b*色空間であっても、HSV色空間等であっても良い。
色分解手段310は、明るさ成分の第1の画像データの一例として、YCbCr色空間に変換することで得られた明るさ成分(Y)の画像データを、明るさ成分処理手段320に入力する。色分解手段310は、同様に、YCbCr色空間に変換することで得られた明るさ成分(Y)の画像データを、調整手段330に入力する。また、色分解手段310は、YCbCr色空間に変換することで得られた色成分(CrCb)の画像データを色合成手段340に入力する。
図4に示す画像データ410は、YCbCr色空間に変換することで得られた明るさ成分(Y)の画像データであり、図4に示す画像データ460は、YCbCr色空間に変換することで得られた色成分(CrCb)の画像データである。
<調整手段330>
調整手段330は、色分解手段310より入力された明るさ成分(Y)の画像データ410(処理前の明るさ成分データであるY値)を取得すると、調整比率DBを参照することで、画素ごとに調整比率αを算出する。調整比率DB121には、例えば下式(式2)が格納されている。
Figure 0006417938
図4に示す明るさ成分(Y)の画像データ470は、調整手段330により明るさ成分(Y)の画像データの画素ごとに算出された調整比率αを含む。図4の例では、明るさ成分(Y)の画像データ470は、中間の明るさ領域と高低の明るさ領域とを含む。
ここで、(式2)により示される処理前の明るさ成分(Y)と調整比率αとの関係を説明する。図5の例では、調整比率DBにおいて規定される明るさ成分と調整比率との関係を示している。処理前の明るさ成分(Y)の値は、(式1)に示すように、[0.0,1.0]の範囲を取る。そこで、図5に示すように、中間の明るさ成分(例えば、Clow<Y<Chigh)の画素に対しては、例えば調整比率α=1を算出し、低い明るさ成分(例えば、Y<=Clow)の画素に対しては、例えば調整比率α=Y/Clowを算出する。また、高い明るさ成分(例えば、Chigh<=Y)の画素に対しては、例えば調整比率α=(1.0−Y)/(1.0−Chigh)を算出する。
調整手段330は、上述のように算出した調整比率αを用いて、明るさ成分(Y)の強調量を調整する。なお、調整手段330による調整比率の導出方法は、(式2)に限定されるものではなく、(式2)以外の数式を用いて算出しても良い。また、数式によって表現する場合に限定されるものではなく、例えば、明るさ成分データであるY値の入力値に基づく2次元ルックアップテーブルに基づいて調整比率αを導出しても良い。
調整手段330により画素ごとに算出された調整比率αは、明るさ成分処理手段320の再構成手段323に入力される。なお、調整比率αは、例えば、明るさ成分(Y)の画像データ470の画素ごとに算出されるため、調整比率をα(x,y)として説明する。
<明るさ成分処理手段320>
次に、明るさ成分処理手段320について説明する。明るさ成分処理手段320は、図3に示すように、多重解像度画像生成手段321と、多重解像度画像操作手段322と、再構成手段323とを有する。
<多重解像度画像生成手段321>
多重解像度画像生成手段321は、色分解手段310より明るさ成分(Y)の画像データ410(多重解像度画像データの操作前のY成分画像(Y(x,y)))を取得し、多重解像度画像データ420を生成する機能を有する。
具体的には、多重解像度画像生成手段321は、明るさ成分(Y)の画像データ410(i×j画素のサイズ)を取得すると、例えば5×5のガウシアンフィルタにより平滑化処理を行う。また、多重解像度画像生成手段321は、平滑化処理により得られた明るさ成分(Y)の画像データに基づいて、偶数番号が割り当てられた行・列の画素データから構成される縦横1/2サイズの画像データを生成する。
なお、このようにして生成される画像データを、以下では、「スケールダウン画像データ」と称す。また、明るさ成分(Y)の画像データのうち、先頭行又は先頭列をそれぞれ、0行目及び0列目と呼ぶこととする。すなわち、多重解像度画像生成手段321は、画像データの偶数番号が割り当てられた列・行から処理を行う。
このようにして生成されたスケールダウン画像データの画像サイズは、例えば(i/2、j/2)となる。このスケールダウン画像データに対して、多重解像度画像生成手段321は、スケールダウン処理(平滑化処理後に、偶数番号の列・行の画素データから構成される縦横1/2サイズの画像を生成する処理)を繰り返して適用していく。この結果、スケールダウン処理の度に、1/2サイズの画像データが生成されることになる。
その後、多重解像度画像生成手段321は、スケールダウン画像データの画像サイズを再び縦横2倍にして、取得した画像データの画像サイズと同じ画像サイズ(i,j)の画像データを生成する。このとき、行・列がともに偶数番号の画素には、前述のスケールダウン画像データの各画素値を割り当て、行・列のどちらかが奇数番号の画素には、行・列がともに偶数番号の画素の画素値と同一の画素値を割り当てる。つまり、同一の画素値を持つ4つの画素が生成される。その後、5×5のガウシアンフィルタにより、平滑化処理を行った画像データを生成する。このようにして生成される画像データを、以下では、「スケールアップ画像データ」と称す。
多重解像度画像生成手段321は、スケールダウン処理を行う前の画像データと、スケールダウン処理を行った後にスケールアップ処理を行うことで得られた画像データとの差を、各画素について計算した画像データを生成する。このようにして生成された画像データを以下では、ラプラシアン成分画像データと呼ぶ。
多重解像度画像生成手段321は、最初の解像度レベル(解像度レベル0)のラプラシアン成分画像データの生成を行う。図4に示す画像データ420_0は、解像度レベル0のラプラシアン成分画像データであり、画像サイズ=(i,j)の画像データである。
次に、多重解像度画像生成手段321では、更なるスケールダウン画像データと、スケールダウン画像データに対してスケールダウン処理を行った後に、スケールアップ処理を行うことで得られるスケールアップ画像データとの差をとる。これにより、次の解像度レベル(解像度レベル1)におけるラプラシアン成分画像データ420_1を算出する。ラプラシアン成分画像データ420_1は、解像度レベル1のラプラシアン成分画像データであり、画像サイズ=(i/2、j/2)の画像データである。
これ以降、多重解像度画像生成手段321は、スケールダウン処理とスケールアップ処理、ラプラシアン成分画像データの算出処理を繰り返し、画像サイズ=(2,2)のラプラシアン成分画像データ420_dが算出されるまで、これを繰り返す。これにより、画像サイズ=(i,j)からなる解像度レベル0のラプラシアン成分画像データ420_0から、画像サイズ=(2,2)からなる解像度レベルdのラプラシアン成分画像データ420_dまでの一連のラプラシアン成分画像データが生成される。これらのラプラシアン成分画像データは、多重解像度画像データ420の各解像度レベルの画像データに対応するいわゆるラプラシアンピラミッドである。
なお、多重解像度画像生成手段321は、スケールダウン処理、スケールアップ処理を行うにあたり、平滑化フィルタとして5×5のガウシアンフィルタを用いるものとしたが、これ以外の平滑化フィルタを用いても良い。また、平滑化フィルタを用いるのではなく、いわゆる補間処理を使用して、スケールダウン処理、スケールアップ処理を行うようにしてもよい。また、補間処理の具体例としては、バイリニア法、バイキュービック法等を用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
なお、スケールダウン処理を繰り返す際、取得した明るさ成分(Y)の画像データ410によっては、画像サイズが奇数となってしまうことがある。このような場合、本実施形態の多重解像度画像生成手段321では、偶数番号の行・列でスケールダウン処理を行うものとしているが、画像サイズが奇数の場合のスケールダウン処理の方法はこれに限定されない。
例えば、画像サイズ(例えば、行数P)が奇数となってしまった場合には、スケールダウン後の画像サイズ(行数)を(P+1)/2として、スケールダウン処理を行うようにしてもよい。このとき、スケールダウン処理後の各画素には、スケールダウン処理前の偶数番号の行・列の各画素値が反映される。
また、スケールダウン処理前の画像サイズ(行数)が奇数となってしまった場合には、1行追加してから、1/2サイズの画像データを生成するようにスケールダウン処理を行うようにしても良い。更に、明るさ成分(Y)の画像データ410を取得した段階で、予め画像サイズを2の階乗に拡張してから、多重解像度画像データ420の生成を行うようにしても良い。
<多重解像度画像操作手段322>
次に、多重解像度画像操作手段322について説明する。多重解像度画像操作手段322は、多重解像度画像生成手段321により生成された多重解像度画像データ420に含まれる解像度レベルnのラプラシアン成分画像データ420_nの各画素値を、下式(式3)に基づいて操作する。
Figure 0006417938
ここで、(式3)を構成する各要素の意味について説明する。L'(x,y)は、解像度レベルnにおける操作後のラプラシアン成分画像データの各画素値である。nは、「0〜d(入力された画像サイズによって決まる上限)」の範囲をとる。|L(x、y)|は、解像度レベルnにおける操作前のラプラシアン成分画像データの各画素値の絶対値(大きさ)である。nは、「0〜d(入力画像サイズによって決まる上限)」の範囲をとる。signは、L(x、y)の値が、正の場合は「1」、負の場合は「−1」である。
また、rangeは、YCbCr色空間の明るさ成分(Y)の画像データを元画像としており、明るさ成分(Y)の画像データは、「0.0〜1.0」の範囲をとるため、range=0.1となる。なお、このrangeの値は、元画像のダイナミックレンジに依存する。αは、ここでは「0.6」とする。gradは、ここでは「0.6(なお、このgradの値も元画像のダイナミックレンジに依存する)」とする。
図6は、第1実施形態に係る多重解像度画像データの画素値の操作内容を説明するための図である。図6に示すグラフは、上述した(式3)に示す操作内容を表したものであり、操作前のラプラシアン成分画像データと、(式3)により算出される操作後のラプラシアン成分画像データとの関係を示している。図6に示す実太線は、(式3)の関係を表し、図6に示す点線が、比較用として傾き1の直線(操作前後でラプラシアン成分画像データの画素値が変わらない場合)を表している。
図6に示すように、絶対値が小さなデータ値(操作前のラプラシアン成分画像データの絶対値が小さい画素値)に対しては、相対的に大きく増加するような変化を与え、変換後(操作後)にはデータ値が増加するようにしている。一方で、絶対値が大きいデータ値(操作前のラプラシアン成分画像データの絶対値が大きい画素値)に対しては、相対的に小さく増加するような変化、又は、減少するような変化を与え、変換後にはデータ値が少なめの増加又は減少となるようにしている。
なお、多重解像度画像操作手段322による操作内容は、(式3)に示す操作内容に限定されるものではなく、(式3)以外の操作内容であっても良い。また、多重解像度画像操作手段322は、(式3)のような数式に基づいて操作を実行する場合に限定されず、例えば、ルックアップテーブル等に基づいて操作を実行するようにしても良い。
また、(式3)において、range=0.1としたのは、(式3)が、YCbCr空間における明るさ成分(Y)の画像データ410に対して、多重解像度画像データ420を操作することを前提としたためである。すなわち、YCbCr空間における明るさ成分(Y)の画像データ410に対する多重解像度画像データ420の場合、ダイナミックレンジ(Dr)は、0.0〜1.0となるため、range=0.1としている。
したがって、ダイナミックレンジの異なる他の色空間に基づく多重解像度画像データの場合には、rangeの値も変わってくる。例えば、La*b*色空間に基づく多重解像度画像データの場合、ダイナミックレンジは0.0〜100.0となるため、range=10とすることが可能である。
解像度レベルnにおける操作前のラプラシアン成分画像データ420_nの値は、例えば下式(式4)を満たすことが条件となる。
Figure 0006417938
したがって、少なくともダイナミックレンジ(Dr)の1/10未満の画素値Lは、増加させるように操作する。
<再構成手段323>
再構成手段323は、多重解像度画像生成手段321と逆の操作を繰り返すことにより、操作後の多重解像度画像データ430に基づいて明るさ成分(Y)の画像データ440を再構成する。具体的には、低解像度側の解像度レベルから計算を開始し、スケールアップ処理後に生成された各解像度レベルの画素値を加算する処理を、各解像度レベルで繰り返すことで、明るさ成分(Y')の画像データを再構成する。図4に示す画像データ440は、再構成された明るさ成分(Y')の画像データである。
なお、再構成手段323におけるスケールアップ処理も、多重解像度画像生成手段321におけるスケールアップ処理と同じ処理を行う。つまり、スケールダウン処理前と同じ画像サイズ(基本的には縦横2倍にした画像サイズ)の画像データを生成して、行・列がともに偶数番号の画素に低解像度の多重解像度画像データの画素値を設定する。このとき、行・列のどちらかが奇数番号の場合には、行・列がともに偶数番号の画素値を割り当てる(つまり、同一の画素値を持つ4つの画素を生成する)。その後、例えば5×5のガウシアンフィルタにより平滑化処理を行った画像データを生成することで、スケールアップ画像データを生成する。
再構成手段323は、更に再構成により得られた明るさ成分(Y')の画像データ440と、操作前の明るさ成分(Y)の画像データ410とを、調整手段330より入力された調整比率α(x,y)を用いて組み合わせる。
具体的には、調整手段330より入力された調整比率α(x,y)を用いて、下式(式5)に基づいて、明るさ成分の第2の画像データの一例として、明るさ成分(Y'')の画像データ450の各画素値(Y''(x,y))を算出する。
Figure 0006417938
(式5)により調整比率α(x,y)が反映されることで、明るさ成分(Y'')の画像データ450は、明るさ成分(Y)の画像データ470の中間の明るさ領域(例えば、元画像におけるY成分の値が0.0及び1.0から離れた値をもつ領域)に対応する各画素値が、多重解像度画像データに対する操作が反映された画素値となる。すなわち、明るさ成分(Y')の画像データ440に近い画素値となる。
また、明るさ成分(Y'')の画像データ450は、明るさ成分(Y)の画像データ470の高低の明るさ領域(例えば、元画像におけるY成分の値が0.0に近い値及びY成分の値が1.0に近い値)に対応する各画素値が、多重解像度画像に対する操作が反映されていない画素値となり、元画像に近い画像となる。すなわち、明るさ成分(Y)の画像データ410に近い画素値となる。そもそも、元画像ではオーバーレンジは発生していないため、上述した調整により、多重解像度画像データに対する操作により生じるオーバーレンジの発生を防ぐことが可能となる。
再構成手段323では、このようにして算出した明るさ成分(Y'')の画像データ450を色合成手段340に出力する。
<色合成手段340>
色合成手段340は、再構成手段323より出力された明るさ成分(Y'')の画像データ450と、色分解手段310より出力された色成分(CrCb)の画像データ460とを色合成する。また、色合成により得られた画像データについて、YCrCb色空間からRGB色空間への変換を行い、RGBの色成分をもつ画像データ480を出力する。
上述した第1実施形態の多重解像度画像データの画素値を操作する画像処理においては、明るさ成分(Y)の画像データに基づいて、中間の明るさ領域の画素と高低の明るさ領域の画素とで異なる調整比率を算出する。また、算出した調整比率を用いて、操作前の明るさ成分の画像データと、操作後の多重解像度画像データを再構成することで得られた明るさ成分の画像データとを組み合わせる。
これにより、色成分の画像データと合成される明るさ成分の画像データにおいて、中間の明るさ領域については、操作後の明るさ成分の画像データが反映され、高低の明るさ領域については、操作前の明るさ成分の画像データが反映される。したがって、多重解像度画像データに対する操作により生じるオーバーレンジの発生を防ぐことが可能となり、画質の向上を図ることが可能となる。
上述した第1実施形態によれば、例えば撮影機材や表示機材のダイナミックレンジが現実の世界のダイナミックレンジと比較してはるかに小さいことに起因して発生する問題を解決する。具体的には、作成者(撮影者)の意図とは異なる状態(明瞭感や凹凸感が欠如した状態)で画像が表現されてしまう等の不具合を解消して、作成者の意図に合致した状態で画像を表現することが可能となる。
明瞭感や凹凸感を改善した画像は、撮影対象物の臨場感や本物(リアル)感を備えた画像データを獲得することにもなる。つまり、第1実施形態に示す構成により得られた画像データを商品広告等に使用した場合には、商品訴求力が高く、顧客注目度の高い広告を得ることが可能となる。また、対象物の臨場感や本物感を備えた画像データは、商品広告以外の様々な用途に適用することが可能となる。
また、第1実施形態によれば、処理前の明るさ成分が明るさ成分の表現可能な範囲(レンジ)の上限値及び下限値に近い値を有する箇所では、多重解像度画像データに対する操作の調整を行い、この箇所でのデータ値を変化させないようにする。このように調整することで、処理前の明るさ成分において表現可能な範囲の上限値又は下限値に近い箇所では、多重解像度画像データの操作によるデータ値の変化が生じなくなる(調整によってデータ値が変化しないようにする)。
これにより、操作を行った後の多重解像度画像データを再構成した場合でも、再構成により得られる明るさ成分画像(処理後の明るさ成分画像)において、処理前の明るさ成分がそのまま保持されることになり、オーバーレンジの発生を解消することが可能となる。
また、第1実施形態では、コントラストを増加するように多重解像度画像データを操作することで、「明瞭感」及び「凹凸感」の向上を実現し、最終的に得られるカラー画像においてオーバーレンジの発生を防ぎ、画質の向上を図ることが可能となる。また、多重解像度画像データをラプラシアンピラミッドとして生成することで、基本的な画像処理の繰り返しにより構成し、計算量も軽量である等の効果を得ることが可能となる。
<第2実施形態>
第1実施形態では、入力された画像データを色分解することで得られた明るさ成分(Y)の画像データと、操作後の多重解像度画像データを再構成することにより得られた明るさ成分(Y'')の画像データとを、調整比率を用いて組み合わせる構成とした。
これに対して、第2実施形態では、多重解像度で表現される調整比率を用いて、各解像度レベルの多重解像度画像データに対する操作量を調整する。なお、第2実施形態でも、YCbCr色空間の明るさ成分(Y)に対してのみ多重解像度画像データの操作を行う。
<画像処理装置100の機能構成>
第2実施形態に係る画像処理プログラム110がCPU201により実行されることで実現される機能について、図7、図8を用いて説明する。図7は、第2実施形態に係る画像処理装置の機能構成を示す図であり、図8は、第2実施形態に係る画像処理の概要を示す図である。以下、図8を参照しながら、図7に示す画像処理プログラム110の機能構成について説明する。なお、図8に示す機能構成のうち、第1実施形態における図3を用いて説明した機能構成との相違部分は、調整手段530、多重解像度画像操作手段522、再構成手段523である。以下、相違部分について、具体的に説明する。
<調整手段530>
調整手段530は、多重解像度画像生成手段321により中間的に生成される中間データを取得する。この中間データは、第1実施形態で説明したラプラシアンピラミッドの生成過程において解像度レベルで生成される多重解像度画像データであり、いわゆるガウシアンピラミッドに相当する。より具体的には、解像度レベル0(入力された画像データと同じ解像度)におけるデータ値は、入力された画像の明るさ成分(Y)のデータそのものである。以後、解像度レベル1、解像度レベル2・・・と進むにしたがって、ガウシアンフィルタにより平滑化処理を行い、スケールダウンを繰り返し行うことで、各解像度レベルのデータが生成される。
したがって、調整手段530は、第1実施形態のラプラシアンピラミッド生成過程で算出され、そのままメモリ上に保持された中間データ(ガウシアンピラミッド)を使用することが可能である。
調整手段530は、多重解像度画像生成手段321により生成される中間データ(処理前の明るさ成分Yから生成される多重解像度画像データ(ガウシアンピラミッド))を取得すると、調整比率DBを参照することで、下式(式6)により調整比率を算出する。
Figure 0006417938
ここで、α(x,y)は、多重解像度で表現される調整比率であり、明るさ成分(Y)の解像度レベルnの多重解像度画像データの各画素の操作前後の画素値を組み合わせる際に用いられる。Y(x,y)は、処理前の明るさ成分Yから生成される中間データ(いわゆるガウシアンピラミッド)である。
調整手段530は、図8に示す解像度レベルnの多重解像度画像データ(明るさ成分(Y))630の各画素に応じた調整比率α(x,y)を多重解像度画像操作手段522に入力する。なお、解像度レベルnの多重解像度画像データ630の各画素値(x,y)と調整比率α(x,y)との関係は、第1実施形態において図5を用いて説明済みであるため、ここでは説明を省略する。
<多重解像度画像操作手段522>
多重解像度画像操作手段522は、多重解像度画像生成手段321より、図8に示す明るさ成分(Y)の画像データ410に対する多重解像度画像データ420に含まれる解像度レベルnのラプラシアン成分画像データ420_nの各画素値L(x,y)を取得する。また、多重解像度画像操作手段522は、ラプラシアン成分画像データ420_nの各画素値L(x,y)を、上述した(式3)に基づいて操作する。これにより、操作後のラプラシアン成分画像データ430_nの各画素値L'(x,y)を取得する。
多重解像度画像操作手段522は、操作後の各解像度レベルnのラプラシアン成分画像データ430_nの各画素値L'(x,y)と、操作前の各解像度レベルnのラプラシアン成分画像データ420_nの各画素値L(x,y)とを組み合わせる。なお、組み合わせに際しては、調整手段530より出力された各解像度レベルnの調整比率α(x,y)を用いる。
具体的には、下式(式7)に基づいて、組み合わせ後の解像度レベルnのラプラシアン成分画像データ610_nの各画素値L''(x,y)を算出する。
Figure 0006417938
第2実施形態では、第1実施形態と同様に(式3)に基づきラプラシアン成分を操作(変換)しているため、絶対値が小さなデータ値(操作前のラプラシアン成分画像データの絶対値が小さい画素値)に対しては、相対的に大きく増加するような変化を与え、変換後(操作後)にはデータ値が増加するようにしている。一方で、絶対値が大きいデータ値(操作前のラプラシアン成分画像データの絶対値が大きい画素値)に対しては、相対的に小さく増加するような変化、又は、減少するような変化を与え、変換後にはデータ値が少なめの増加又は減少となるようにしている。
また、このように変換されたラプラシアン成分に対して、(式7)により調整比率α(x,y)が反映される。これにより、組み合わせ後の明るさ成分(Y)の多重解像度画像データ610は、多重解像度画像データ630の中間の明るさ領域(例えば、元画像におけるY成分の値が0.0及び1.0から離れた値をもつ領域)に対応する各画素値が、多重解像度画像データに対する操作が反映された画素値となる。
また、多重解像度画像データ610は、多重解像度画像データ630の高低の明るさ領域(例えば、元画像におけるY成分の値が0.0に近い値及びY成分の値が1.0に近い値)に対応する各画素値が、多重解像度画像に対する操作が反映されていない画素値となり、元画像に近い画像となる。
したがって、上述した調整により、多重解像度画像データに対する操作により生じるオーバーレンジの発生を防ぐことが可能となる。
<再構成手段523>
再構成手段523は、多重解像度画像操作手段522より出力された明るさ成分(Y)の多重解像度画像データ610の各画素値L''(x,y)から、多重解像度画像生成手段321と逆の操作を繰り返すことにより、明るさ成分(Y'')の画像データ450を再構成する。
再構成手段523により再構成することで得られた明るさ成分(Y'')の画像データ450は、色合成手段340に入力される。
<色合成手段340>
色合成手段340は、再構成手段323より出力された明るさ成分(Y'')の画像データ450と、色分解手段310より出力された色成分(CrCb)の画像データ460とを色合成する。また、色合成により得られた画像データについて、YCrCb色空間からRGB色空間への変換を行い、RGBの色成分をもつ画像データ480を出力する。
上述した第2実施形態に係る画像処理装置では、多重解像度画像データの画素値を操作する画像処理において、明るさ成分(Y)の画像データから多重解像度画像データ(ガウシアンピラミッド)を生成し、各解像度レベルにおける中間の明るさ領域の画素と高低の明るさ領域の画素とで異なる調整比率を算出する。また、算出した各解像度レベルの調整比率を用いて、明るさ成分の画像データから生成される操作後の各解像度レベルの多重解像度画像データと、操作前の各解像度レベルの多重解像度画像データとを組み合わせる。
これにより、再構成される明るさ成分の多重解像度画像データにおいて、中間の明るさ領域については、操作後の明るさ成分の多重解像度画像データが反映され、高低の明るさ領域については、操作前の明るさ成分の多重解像度画像データが反映される。したがって、多重解像度画像データに対する操作により生じるオーバーレンジの発生を防ぐことが可能となり、画質の向上を図ることが可能となる。
上述したように、第2実施形態では、各解像度レベルの多重解像度画像データに対して、処理前の明るさ成分から生成される中間データの値に応じて、データに加える操作量を調整する。これにより、各解像度レベルの多重解像度画像データに対するデータ値の操作(明瞭感や凹凸感を向上させるための操作)と、中間データの値に応じてデータに加える操作量を調整するといった2つの操作をほぼ同時に行うことが可能となる。これにより、最終的に得られるカラー画像において、オーバーレンジの発生を防ぎ、明瞭感及び凹凸感の向上させることが可能となる。
<第3実施形態>
上述した第1〜第2実施形態では、多重解像度画像生成手段321により生成される多重解像度画像データがラプラシアンピラミッドであるのに対して、第3実施形態では、多重解像度画像生成手段321が2次元の離散ウェーブレット変換を繰り返すことにより多重解像度画像データを生成する。
なお、2次元の離散ウェーブレット変換は、公知技術であるためここでは詳細な説明は省略する。2次元の離散ウェーブレット変換を行った場合、1回の変換処理によって、明るさ成分(Y)の画像データが、低周波係数であるLLと3つの高周波係数であるLH、HL、HHとに分解される。多重解像度画像生成手段321は、低周波係数LLについて、更に2次元の離散ウェーブレット変換を繰り返し適用することで、次の解像度レベルでの低周波係数LLと高周波係数LH、HL、HHとを算出する。
多重解像度画像操作手段322は、このようにして算出した各解像度レベルでの高周波係数LH、HL、HHの各係数に(式3)による操作を適用する。また、再構成手段323において、多重解像度画像データを再構成して明るさ成分(Y'')の画像データ450を生成する。
このように、多重解像度画像データの生成に際して、2次元の離散ウェーブレット変換を用いることにより、多重解像度画像データを保持するためのメモリ領域を少なくすることが可能となる。また、離散ウェーブレット変換により生成された多重解像度データを用いることにより明瞭感や凹凸感を向上させ、上述した調整比率を適用することによりオーバーレンジの発生を防ぐことが可能となる。
<第4実施形態>
上述した第1実施形態では、例えば図6に示す操作内容により明るさ成分(Y)の多重解像度画像データを操作している。これに対して、第4実施形態では、低勾配領域(ラプラシアン成分画像データの絶対値が小さい値となっているデータ箇所)では、第1実施形態と比較して強調を抑える。
図9は、第4実施形態に係る多重解像度画像データの画素値の操作内容を説明するための図である。図10は、第4実施形態に係る多重解像度画像データの画素値の操作内容を説明するための拡大図である。なお、図9の例では、多重解像度画像操作手段322、522による第4実施形態での多重解像度画像データに対する操作内容を示している。また、図10の例では、図9に示す原点近傍(ラプラシアン成分画像データの絶対値が小さい領域)の拡大図を示している。
図10に示すように、第4実施形態での操作内容(図10に示す実太線)と、第1実施形態での操作内容(図10に示す細実線)とを比較すると、第4実施形態では、例えばラプラシアン成分画像データの各画素値の絶対値が0.04以下において、データ操作における強調量が抑えられている。
画像の信号成分(実際に撮影対象に存在していた濃淡)とは異なり、強調したくない対象であるノイズ成分は、ごく小さな勾配になるものが多い。小さな勾配をラプラシアン成分の視点で考えると、小さなラプラシアン成分に対応する。したがって、例えばラプラシアン成分画像データの絶対値が0.04以下において、操作量を抑える構成とすることでノイズ成分の強調を回避することが可能となる。
一方で、明るさ成分(Y)の画像データにおいて、強調すべき画素は、明るさ成分(Y)の多重解像度画像データに含まれるラプラシアン成分画像データのノイズ成分よりもやや大きい値を有する画素である。そこで、本実施形態では、例えばラプラシアン成分画像データにおいて画素値の絶対値が0.04よりやや大きい値を有する画素について、操作量を大きくする構成とすることで、画像の明瞭感や凹凸感等の画質の向上を図ることが可能となる。
<第5実施形態>
第4実施形態では、多重解像度画像操作手段522は、図9又は図10に示す操作内容を、全ての解像度レベルに対して適用する。これに対して、第5実施形態では、多重解像度画像操作手段522は、例えば図9又は図10に示す操作内容を、解像度レベルが高い多重解像度画像データと、解像度レベルが低い多重解像度画像データとに適用する。
これにより、解像度レベルが高い多重解像度画像データと、解像度レベルが低い多重解像度画像データに対しては、例えばラプラシアン成分画像データの画素値の絶対値が小さい画素(低勾配領域)において操作量が抑えられた操作内容が適用される。一方、解像度レベルが中程度の解像度画像データに対しては、ラプラシアン成分画像データの画素値の絶対値が小さい画素において操作量が抑えられていない操作内容が適用される。
ここで、解像度レベルの高/中/低の区分について説明する。例えば、入力される明るさ成分(Y)の画像データのサイズを、例えば4928×3280(画素)とすると、多重解像度画像生成手段321、多重解像度画像操作手段522により生成される解像度レベルは、「0〜12」となる。
この場合、例えば、解像度レベル0から解像度レベル2までは、解像度レベルが高いものとして区分する。この場合、多重解像度画像操作手段322、522では、例えば図9又は図10に示す操作内容を適用する。
また、解像度レベル3から解像度レベル7までは、解像度レベルが中程度であるものとして区分する。この場合、多重解像度画像操作手段322、522では、例えば図6に示す操作内容を適用する。更に、解像度レベル8から解像度レベル12までは、解像度レベルが低いものとして区分する。この場合、多重解像度画像操作手段322、522では、例えば図9又は図10に示す操作内容を適用する。
なお、解像度レベルに応じて操作内容を変更する構成としたのは以下の理由による。すなわち、明るさ成分(Y)の画像データに含まれるノイズ成分は、多重解像度画像データを生成した場合、解像度レベルが高いラプラシアン成分画像データに多く含まれるためである。一方で、解像度レベルが中程度のラプラシアン成分画像データの場合、ごく小さな勾配にも、実際に存在する濃淡が含まれるためである。
なお、解像度レベルが低いラプラシアン成分画像データの場合、ごく小さな勾配を強調することにより、濃度段差(疑似輪郭)が目立ちやすくなるといった特性がある。このため、ラプラシアン成分画像データの画素値の絶対値が小さい画素については、操作量が抑えられた図9又は図10に示す操作内容を適用する。
この結果、第5実施形態によれば、ノイズ成分の強調や階調段差(疑似輪郭)の発生を抑えながら、明るさ成分(Y)の画像データにおける信号成分(実際に撮影対象に存在していた濃淡)を必要以上に抑制することなしに強調することが可能となる。つまり、多重解像度画像データの画素値を操作する画像処理において、画像の明瞭感及び凹凸感等の画質の向上を図ることが可能になる。
<第6実施形態>
第6実施形態では、各解像度レベルのラプラシアン成分画像データの画素値に対する操作の態様が第1実施形態と異なる。第6実施形態は、各解像度レベルにおけるデータ操作を、例えばコントラストを減少させるような操作において適用する。
図11は、第6実施形態に係る多重解像度画像データの画素値の操作内容を説明するための図である。図11に示す実太線は、第6実施形態における操作内容を表したものであり、操作前のラプラシアン成分画像データと、操作後のラプラシアン成分画像データとの関係を示している。図11に示す点線が、比較用として傾き1の直線を表している。
図11に示すように、ラプラシアン成分画像データの画素値が正の値の場合には、傾き1の直線よりも下方に位置し、ラプラシアン成分画像データの画素値が負の値の場合には、傾き1の直線よりも上方に位置するように操作する。図11に示す操作により、多重解像度画像データ(ラプラシアンピラミッド)や、多重解像度画像データを再構成して得られる明るさ成分の画像データのコントラストを減少させる効果が得られる。
例えば、写真画像等における人物画像の肌領域等では、コントラストが大きくない方が人物画像を知覚したものが滑らかな肌(好ましい肌)として知覚するようになる。したがって、例えば人物の肌領域を含むような画像に対しては、図11に示すように、画像のコントラストを減少(抑制)させるように操作することで、好ましい人物画像を生成することが可能となる。
なお、第6実施形態では、画像のコントラストを減少させる操作であるため、上述した第1〜第5実施形態におけるオーバーレンジの発生等の問題は生じない。しかしながら、画像のコントラストを減少させるような処理を行うことで、元画像におけるホワイトポイント(元画像で最も明るい「明るさ成分値」)が暗くなってグレーとして知覚されたり、元画像でのブラックポイント(元画像で最も暗い「明るさ成分値」)がグレーとして知覚されたりする可能性がある。
上述したホワイトポイントとブラックポイントのグレー化の問題に対して、第6実施形態では、第1実施形態と同様に、調整比率α(x,y)を用いる。この調整比率αを用いることにより、中間の明るさ領域(例えば、元画像におけるY成分の値が0.0及び1.0から離れた値をもつ領域)に対応する各画素値が、多重解像度画像データに対する操作が反映された画素値となる。
また、高低の明るさ領域(例えば、元画像におけるY成分の値が0.0に近い値及びY成分の値が1.0に近い値)に対応する各画素値が、多重解像度画像に対する操作が反映されていない画素値となり、元画像に近い画像となる。
したがって、上述した調整により、多重解像度画像データに対するコントラストを抑制させる操作により生じるホワイトポイントとブラックポイントのグレー化の発生を防ぐことが可能となる。これにより、例えば人物画像の肌状態を向上させ、好ましい肌状態や好ましい肌質感を実現することが可能となる。
上述した実施形態によれば、多重解像度画像データの画素値を操作する画像処理において、画質の向上を図ることが可能となる。
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
100 画像処理装置
110 画像処理プログラム
121 調整比率DB
122 画像操作DB
310 色分解手段
320 明るさ成分処理手段(処理手段の一例)
321 多重解像度画像生成手段
322,522 多重解像度画像操作手段
323,523 再構成手段
330,530 調整手段
340 色合成手段(合成手段の一例)
特開2006−041744号公報

Claims (10)

  1. 画像データを明るさ成分と色成分とに分解する色分解手段と、
    前記色分解手段により得られる明るさ成分の第1の画像データの画素値に応じて、前記明るさ成分の第2の画像データを調整するパラメータを生成する調整手段と、
    前記明るさ成分の第1の画像データから生成される多重解像度画像データの画素値を操作し、前記調整手段により生成されるパラメータを用いて、前記明るさ成分の第2の画像データを生成する処理手段と、
    前記処理手段により生成される明るさ成分の第2の画像データと、前記色分解手段により得られる色成分の画像データとを合成する合成手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記調整手段は、
    前記処理手段により前記多重解像度画像データの画素値を操作し、操作後の前記多重解像度画像データを再構成した後の明るさ成分のデータ値を調整するパラメータを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記調整手段は、
    前記明るさ成分の第1の画像データから生成される中間データに基づいて、前記処理手段により生成される多重解像度画像データの複数の解像度画像のそれぞれに対する操作量を調整するパラメータを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  4. 前記処理手段は、
    前記多重解像度画像データの画素値に対して行う操作が、コントラストを増加させる操作であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  5. 前記処理手段は、
    前記多重解像度画像データの画素値に対して行う操作が、コントラストを減少させる操作であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  6. 前記処理手段は、
    ラプラシアンピラミッドとして生成された前記多重解像度画像データの画素値に対して操作することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  7. 前記処理手段は、
    離散ウェーブレット変換により生成された前記多重解像度画像データの画素値に対して操作することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  8. 画像データを明るさ成分と色成分とに分解する色分解手順と、
    前記色分解手順により得られる明るさ成分の第1の画像データの画素値に応じて、前記明るさ成分の第2の画像データを調整するパラメータを生成する調整手順と、
    前記明るさ成分の第1の画像データから生成される多重解像度画像データの画素値を操作し、前記調整手順により生成されるパラメータを用いて、前記明るさ成分の第2の画像データを生成する処理手順と、
    前記処理手順により生成される明るさ成分の第2の画像データと、前記色分解手順により得られる色成分の画像データとを合成する合成手順とを有することを特徴とする画像処理方法。
  9. コンピュータを、請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像処理装置が有する各手段として機能させるためのプログラム。
  10. コンピュータを、
    画像データを明るさ成分と色成分とに分解する色分解手段、
    前記色分解手段により得られる明るさ成分の第1の画像データの画素値に応じて、前記明るさ成分の第2の画像データを調整するパラメータを生成する調整手段、
    前記明るさ成分の第1の画像データから生成される多重解像度画像データの画素値を操作し、前記調整手段により生成されるパラメータを用いて、前記明るさ成分の第2の画像データを生成する処理手段、
    前記処理手段により生成される明るさ成分の第2の画像データと、前記色分解手段により得られる色成分の画像データとを合成する合成手段として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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