JP6417876B2 - 樹脂積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、耐環境性に優れる樹脂積層体及びそれを使用した成形体に関する。特に、画像表示装置の前面側(視認側)に配置して用いられる表面保護パネル、特にタッチパネル機能を有する携帯電話や液晶ペンタブレット等のフロントカバー材に関する。
従来、電子機器のディスプレイ用カバー材等の分野では、硬度、耐熱性、透明性の観点から、広くガラスが用いられてきた。
しかしながら、ガラスは衝撃により容易に割れ、またガラス自身の重量も重く、加工費用も高いことから樹脂材料での代替開発が進められている。
これらの用途には、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂に代表される透明樹脂が代替材料として開発されてきた。しかしながらアクリル系樹脂は透明性が高く、表面硬度にも優れている一方で、硬く脆い性質のため耐衝撃性に劣り、さらにスチールウールなどの硬い素材に接した時、特にマトリックス樹脂部の耐擦傷性が低いため傷付きやすいという問題がある。また、ポリカーボネート系樹脂は優れた透明性と機械的強度、耐熱性に優れる等の特徴を有する一方で、表面硬度が低く、耐候性にも劣るため直射日光等に曝される屋外用途の場合には耐衝撃性の低下や黄変という問題がある。
アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂共通の課題として耐摩耗性が挙げられ、紫外線硬化型樹脂等により構成されるハードコート層を所定の厚みで積層させる方法が一般に用いられている。この樹脂積層体によれば、積層された耐擦傷性樹脂層により、耐擦傷性、耐摩耗性などの表面硬度が向上する。
例えば特許文献1にはアクリル系樹脂に硬化性樹脂層を積層してなる積層体が開示されている。このような積層構成にすることによりアクリル系樹脂の特徴である透明性や表面硬度を維持しつつ摩耗性及び硬度を付与した積層体である。
前記課題を解決するため特許文献2及び3にはそれぞれ変性ポリカーボネート系樹脂とポリカーボネート系樹脂の積層体、アクリル系樹脂とポリカーボネート系樹脂の積層体に硬化性樹脂層が積層された構成がそれぞれ開示されている。このような積層構成にすることによりアクリル系樹脂の欠点である耐衝撃性をカバーしつつポリカーボネート樹脂の特徴である機械的強度を備える積層体を得ることができる。
特開2014−069517号公報 PCT/JP2013/053916号公報 PCT/JP2013/078395号公報
例えば上記特許文献1に開示されている樹脂積層体では、基材樹脂がアクリル系樹脂のため、高透明性、かつ、高表面硬度が得られる一方で耐衝撃性に課題が残る。特許文献2及び特許文献3には特許文献1の耐衝撃性を改良するためにPC等の耐衝撃性の高い材料との樹脂積層体が提案されているが、基材が材料の異なる2種からなる樹脂積層体となるため、熱膨張率差や製膜時の応力歪の緩和によって基材に反りや変形が起こりやすい。
このような樹脂積層体には表面硬度や耐擦傷性を改良するため硬化性樹脂層が積層されるのが一般的であるが、硬化性樹脂層の硬度が高いほど材料として脆くなり、例えば85℃のような高温環境下では応力歪みの緩和や熱膨張によって基材が変形し、その引張応力が硬化性樹脂層の破断強度以上に達すると硬化性樹脂層にクラックが発生する問題が想定される。
また、クラックの課題は樹脂積層体の端部の状態に依存する部分も大きい。樹脂積層体は打ち抜き加工や切削加工等の二次加工工程を経て所定の形状に加工されるのが一般的ではあるが、その加工の際に端部には微細な欠損が生じることが多い。特に硬化性樹脂層は硬度が高い程一般には脆く、端部に微細な欠損があると高温環境試験時にはその欠損を起点としてクラックが発生する可能性が高い。
そこで、本発明は、通常の二次加工工程で発生する微小欠損部が端部に複数存在しているような樹脂積層体において、高い表面硬度を有しつつ、高温環境試験時においてもその微小欠損部から10mm以上のクラックが発生しないことを特徴とする樹脂積層体を提供する。
本発明が提案する樹脂積層体は、端面に微小欠損部が複数あるような状態において85℃のような高温環境下においても該微小欠損部から10mm以上のクラックが発生せず、優れた耐環境性に優れていることを特徴とする。
したがって、本樹脂積層体は、屋外や過酷な温度環境下においても使用可能な液晶ディスプレイのフロントカバー材、特に、タッチパネル機能を有する携帯電話や液晶ペンタブレットのフロントカバー材として好適に用いることができる。
以下、本発明の実施形態の一例として樹脂積層体(以下「本樹脂積層体」と称する)について説明する。但し、本発明が、この本樹脂積層体に限定されるものではない。
本樹脂積層体は、樹脂基材(A)の少なくとも片面に、硬化性樹脂層(B)を備えた樹脂積層体であって、該樹脂積層体の端面の任意の2mm幅の範囲において5μm以上の長さの微小欠損部が2個以上存在し、85℃の雰囲気下で1時間曝露する高温環境試験後に、該微小欠損部から10mm以上のクラックが発生せず、かつ、硬化性樹脂層(B)を積層してなる面の表面硬度がISO14577に準拠して測定されるユニバーサル硬度で200MPa以上であることを特徴とする。以下に具体的にその発明の内容を説明する。
<微小欠損部>
本発明の樹脂積層体は端面に微小欠損部が存在している状態でも10mm以上のクラックが発生しないことを特徴とする。
ここで、微小欠損部とは樹脂積層体の端面に発生する長さ5μm以上の長さのクラックの起点となりうる部位を指す。以下、詳述する。
通常、樹脂積層体は所定の形状に加工するためには、例えばせん断法やプレス加工法に代表される打ち抜き加工、ルーター加工法に代表される切削加工、その他スリット加工、レーザー加工等が行われる。生産性や加工精度、形状の自由度等から打ち抜き加工や切削加工が行われる場合が多いが、これらの加工法を実施するとその加工面には通常5μm程度の肉眼では見えないレベルの微小欠損部が存在する。
加工時に生じる微小欠損部は実用上使用するには何ら問題ないが、例えば代表的な環境試験条件である85℃のような高温環境下に曝されると、基材の熱膨張や製膜時に生じた応力歪みによって変形を起こし、硬化性樹脂層に引張応力が生じ、その引張応力が硬化性樹脂層の破断応力以上になると樹脂積層体はその微小欠損部を起点として10mm以上のクラックが発生し、外観不良等の不具合を生じる。
切削加工の場合、表裏の両面を切削加工するような特別な加工を行うことで成形体の端面に微小欠損部のない状態を作り出すことも可能であるが、両面加工することは生産性の観点からも現実的ではない。
<クラック>
クラックは、樹脂積層体端面の微小欠損部を起点として、その周辺または樹脂積層体全面に発生する場合が多い。微小欠損部は外観上何ら問題にならないが、これがクラックとして長さが10mm以上になると透明樹脂積層体として明らかな欠陥となる。クラックに進展するかは材料の屈曲性によって決まると考えられ、屈曲性が高い材料ほどその効果は大きい。
<屈曲性>
本樹脂積層体に用いられる硬化性樹脂積層体(B)はJIS K 5600−5−1に準拠して測定される屈曲性がPET188μm基材上でφ15mm以上φ35mm以下であることを特徴とする。屈曲性は硬化性樹脂層(B)の柔軟性を表し、その値が小さいほど屈曲性が高く材料として優れていることを表す。
硬化性樹脂層(B)が上記範囲の屈曲性を有することにより、端面に微小欠損部が存在するような状態で、かつ、高温環境試験により起こる樹脂基材の歪みによる変形や熱膨張などが生じた場合においても、その微小欠損部から10mm以上のクラックが発生しない。
ただし屈曲性は一般に硬度と相反する特性となるため、屈曲性がφ15mm未満となると硬化性樹脂層として十分な硬度を付与できないおそれがある。かかる観点から、より好ましくはφ18mm以上であり、さらに好ましくはφ20mm以上である。一方、上限は、φ35mm以下であれば高温環境試験下において生じる樹脂基材の歪みによる変形や熱膨張などが生じた場合においても硬化性樹脂層が微小欠損部を起点としてクラックへ成長しない程度の屈曲性を備えることができる。かかる観点からより好ましくはφ32mm以下であり、さらに好ましくはφ30mm以下である。
<表面硬度>
本樹脂積層体の表面硬度は、ISO14577に準拠して測定されるユニバーサル硬度により評価することができる。また、JIS K 5600−5−4に準拠して測定される鉛筆硬度を用いて評価することができる。
以下にその内容を説明する。
<ユニバーサル硬度>
本樹脂積層体はISO14577に準拠して測定されるユニバーサル硬度が200MPa以上であることを特徴とする。ユニバーサル硬度は材料の硬さを表すものであり、その値が高いほど高硬度の優れた材料であることを表す。
本樹脂積層体のユニバーサル硬度は200MPa以上が好ましく、より好ましくは300MPa以上、さらに好ましくは400MPa以上である。
ユニバーサル硬度が200MPa以上の場合、硬化性樹脂層の材料としての硬度が実用上問題のない硬さとなり、樹脂積層体表面の傷付きやすさを抑制できる可能性が高いと考えられる。
<鉛筆硬度>
また、本樹脂積層体はJIS K 5600−5−4に準拠して測定される鉛筆硬度が4H以上であることが好ましく、5H以上であることがさらに好ましい。
<樹脂積層体>
本樹脂積層体は、樹脂基材(A)の少なくとも片面に、硬化性樹脂層(B)を備えたことを特徴とする。
以下に各層の詳細について説明する。
<樹脂基材(A)>
樹脂基材(A)は材料として特に限定されないが、ディスプレイ等の用途には透明樹脂材料であることが好ましい。
代表的な樹脂材料として、ポリカーボネート(PC)樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合(MS)樹脂、ポリスルホン樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン樹脂などが挙げられる。これらは1種類であっても2種類以上の複合材であっても良い。さらに単層であっても2層以上の積層体であっても良い。
<樹脂基材(A)の製造方法>
樹脂基材の製造方法としては、特に制限されるものではなく、単層の場合においても積層の場合においても公知の方法を採用することができる。
例えば、2種の溶融樹脂を共押出で積層する方法としては、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式などの公知の方法を用いることができる。この場合、フィードブロックで積層された溶融樹脂はTダイなどのシート成形ダイに導かれ、シート状に成形された後、表面を鏡面処理された成形ロール(ポリッシングロール)に流入して、バンクを形成する。
このシート状成形物は、成形ロール通過中に鏡面仕上げと冷却が行われ、積層体が形成される。
また、マルチマニホールドダイの場合は、該ダイ内で積層された溶融樹脂は同様にダイ内部でシート状に成形された後、成形ロールにて表面仕上げおよび冷却が行われ、積層体が形成される。
<樹脂基材の厚み>
樹脂基材の厚みは50μm以上であることが好ましい。樹脂基材の厚みが50μm以上であれば例えばユニバーサル硬度や鉛筆硬度試験に代表される表面特性に影響を与える可能性が少ない。
樹脂基材は単層のみでなく2層以上の多層からなる構成であっても良い。例えば2層以上の多層積層体の場合、最表層の樹脂基材の厚みは50μm以上200μmが好ましく、60μm以上100μm未満であることが特に好ましい。最表層の樹脂の厚みは50μm以上であれば実用上表面特性に影響を与える可能性が少ない。
<硬化性樹脂層(B)>
本樹脂積層体は、樹脂基材(A)の少なくとも一方の面に硬化性樹脂層(B)を有する。本樹脂積層体の硬化性樹脂層(B)は表面硬度としてユニバーサル硬度200MPa以上有する。さらに、硬化性樹脂層(B)は高い表面硬度と合わせて、その特性と相反する屈曲性も有することを特徴とする。
以下にその内容詳細を説明する。
本発明の硬化性樹脂層(B)は、本樹脂積層体に表面硬度や耐擦傷性を付与する役割を担うものである。一般的に、硬化性樹脂層としてジペンタエリスリトールトリアクリレート(DPHA)に代表される多官能アクリレートを用いる場合には、分子を三次元的に架橋させて強固な硬化性樹脂層を形成するが、前記多官能アクリレートを単に重合させても架橋密度は一定のレベル以上には上がらず、2官能、3官能といった架橋点の比較的少ないモノマーやオリゴマーをさらに混合させることで三次元的な架橋をより強固なものにする。しかしながら架橋密度を高めすぎると表面硬度は向上するものの、硬化収縮による反りやうねりが生じたり、製品段階でのクラックなどが生じたりするため、実用的ではない。一方で三次元的な架橋密度が低いと表面硬度が十分に発揮されないため、表面硬度を維持しつつ相反する特性である耐クラック性を発揮させるためには材料設計や多官能アクリレートと2官能、3官能のモノマーやオリゴマーの混合比の設計を行う必要がある。
そこで、本発明における硬化性樹脂層(B)は、前記硬化性樹脂層(B)を構成する多官能アクリレート樹脂が、3官能以上の多官能アクリレート(b1)と、分子量が200以上900未満の2官能直鎖状アクリレートオリゴマー(b2)とを含有し、前記(b1)と前記(b2)の合計量に対する前記b2の割合が5重量%以上30重量%未満であることを特徴とする。
<3官能以上の多官能アクリレート(b1)>
3官能以上の多官能アクリレート(b1)としては、例えばペンタエリスリトール(トリ)テトラアクリレート、ジペンタエリスリトール(ペンタ)ヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールポリアクリレート、ポリペンタエリスリトールポリアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジグリセリンテトラアクリレート、ポリグリセリンポリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエン末端ジアクリレート、水添ポリブタジエン末端ジアクリレート、アルコキシ化ビスフェノールAジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、などの2官能(メタ)アクリレート、 メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート、などの単官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。
これらの他に上記の化合物のアルキレンオキサイド変性体、カプロラクトン変性体等が挙げられる。さらに上記の化合物の中で水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートやジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどを、ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物と反応させて合成したウレタンアクリレートなどが挙げられる。
<2官能直鎖状アクリレートオリゴマー(b2)>
2官能直鎖状アクリレートオリゴマーは例えば、新中村化学工業社製NKシリーズ;AM−90G,AM−130G,AMP−20GY,S−1800A,A−200,A−400,A−600,A−1000,A−B1206PE,ABE−300,APG−700,A−PTMG−65,M−90G,M−230G,S,S−1800M,4G,9G,14G,23G,BPE−100,BPE−200,BPE−500,BPE−900,BPE−1300N,DOD−N,HD−N,NOD−N、などが挙げられる。
他には、大阪有機化学工業社製ビスコートシリーズ;LA,ISTA,V#230,V#260、などが挙げられる。
他には、ダイセル・サイテック社製;EBECRYL 210,EBECRYL 230,EBECRYL 270,EBECRYL 9227EA,KRM 8296,EBECRYL 8402,EBECRYL 9270,EBECRYL 860,EBECRYL 3703,EBECRYL 3708、EBECRYL 812,EBECRYL 852,EBECRYL 853,EBECRYL 884,EBECRYL 885、などが挙げられる。
2官能アクリレートオリゴマー(b2)の分子量は200以上900未満の範囲にあることが好ましく、より好ましくは300〜800未満の範囲である。2官能アクリレートオリゴマー(b2)の分子量が200未満の場合、有機成分や未架橋となり硬度が十分に発揮されない場合や、硬化収縮による反りが大きくなる虞がある。一方、2官能アクリレートオリゴマー(b2)の分子量が900以上の場合、架橋密度が低くなるため、三次元架橋による表面硬度の向上が十分に発揮できない虞がある。
前記(b1)と前記(b2)の合計量に対する前記(b2)の割合は5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、15重量%以上であることがさらに好ましい。2官能直鎖状アクリレートオリゴマー(b2)の割合が5重量%以上であれば、硬化性樹脂層(B)に微小欠損部からクラックが発生しない程度の屈曲性を付与する効果を得ることができるため好ましい。一方、上限は30重量%未満であることが好ましく、20重量%未満であることが好ましく、15重量%未満であることがさらに好ましい。2官能直鎖状アクリレートオリゴマー(b2)の割合が30重量%未満であれば、硬化性樹脂層(B)の表面硬度や耐擦傷性を損なうことなく微小欠損部からクラックの発生を抑制するのに十分な屈曲性を付与することが可能となる。
硬化性樹脂層(B)の全固形成分中に占める無機粒子(C)の含有割合は30重量%以上80重量%未満の範囲にあることが表面硬度や硬化収縮に伴う反り、白化等外観上の問題の観点から好ましく、さらに50重量%以上70重量%未満の範囲にあることが好ましい。
無機粒子(C)の含有割合が80重量%以上であると無機粒子の二次凝集が起こりやすくなり、白化等の外観不良や膜強度の低下を生じる虞がある。一方、無機粒子の含有割合が30重量%未満の場合には無機粒子による表面硬度の向上作用が十分に得られない虞がある。
無機粒子としては、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、アルミナ(酸化アルミニウム)、ジルコニア(二酸化ジルコニウム)、チタニア(二酸化チタン)、酸化亜鉛、などの金属酸化物が挙げられる。これらの中でも、工業的生産性等の観点からシリカが特に好ましい。
無機粒子(C)の平均粒子径は100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。平均粒子径が100nm以下であることで、仮に粒子が二次凝集した場合においても可視光波長以下の粒子径になるため、透明性を維持することが可能になる。また、粒子径が小さいほど基材との密着性が良好となるため、無機粒子(C)の粒子径はより小さいほうが望ましい。具体的には、10〜15nm程度の平均粒子径が最適である。
<光学特性>
本発明における樹脂積層体はJIS K7361−1に準拠して測定される全光線透過率が85%以上、かつ、JIS K7105に準拠して測定されるHAZEが0.5%未満の範囲にあることを特徴とする。
全光線透過率は85%以上が好ましく、88%以上がより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。全光線透過率が85%以上であれば、樹脂積層体として非常に優れた光学特性を有し、表面保護パネル、特にタッチパネル機能を有する携帯電話や液晶ペンタブレット等のフロントカバー材等に好適に用いることができる。同様の理由から、HAZEは2.0%未満が好ましく、1.0%未満がより好ましく、0.5%未満であることがさらに好ましい。
<硬化性樹脂層(B)の厚み>
硬化性樹脂層(B)の厚みは、5μm以上20μm未満の範囲であることが好ましい。硬化性樹脂層(B)厚みが5μm未満であると硬化性樹脂層(B)による表面硬度や耐擦傷性の向上効果が十分に得られない虞がある。一方、硬化性樹脂層(B)の厚みが20μm以上になると、硬化性樹脂層(B)の屈曲性が低下するため、得られる樹脂積層体において、微小欠損部から10mm以上のクラックが発生してしまうおそれが高くなる。
<その他の成分>
硬化性樹脂層(B)は、さらに表面調整成分としてレベリング剤を含むことが好ましい。レベリング剤としては、シリコーン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤などを挙げることができ、特に、末端に反応性の官能基を有するものが好ましく、2官能以上の反応性の官能基を有するものがより好ましい。
具体的には、両末端に2重結合を有する、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製の「BYK−UV 3500」、「BYK−UV 3530」)や、2重結合を末端に2個ずつ計4個有する、アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン株式会社製の「BYK−UV 3570」)などが挙げられる。
これらの中でも、HAZEの値が安定し、かつ耐擦傷性の向上に寄与する、アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
硬化性樹脂層(B)は紫外線吸収剤や光安定剤を含むことが好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系など各種タイプのものを挙げることができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5− クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2− ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。
また、トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノールなどを挙げることができる。
サリチル酸エステル系としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどを挙げることができる。
上記紫外線吸収剤は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する耐候安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定化剤が好適に用いられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を示す。ヒンダードアミン系以外にも光安定化剤として機能するものはあるが、着色している場合が多く本樹脂積層体には好適ではない。
ヒンダードアミン系光安定化剤としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ}]、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などを挙げることができる。
硬化性樹脂層(B)は紫外線反応型の重合開始剤を混合してなる。
重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−メチルベンゾフェノン、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタール等のベンゾイン系化合物;アセトフェノン、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系化合物、メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン系化合物、チオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、アセトフェノンジメチルケタール等のアルキルフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ビイミダゾール化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、オキシムフェニル酢酸エステル系化合物、ヒドロキシケトン系化合物及び、アミノベンゾエート系化合物などをあげることができる。これらおそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
硬化性樹脂層(B)は、上記以外にも、必要に応じて、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤などを添加してもよい。
<硬化性樹脂層(B)の形成方法>
硬化性樹脂層(B)の形成方法は、公知のコーティング方法が適用できる。例えば、カバーフィルムを使用するラミネート方式、ディップコート法、ナチュラルコート法、リバースコート法、コンマコート法、ロールコート法、スピンコート法、ダイコート法、ワイヤーバー法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スプレコート法、グラビアコート法、キスコート法、エアドクターコート法、ブレードコート法、カレンダーコート法、ナイフコート法、トランスファロールコート法等が挙げられる。その他、例えば、離型層に硬化性樹脂層が接着されてなる転写シートを用いて、当該硬化性樹脂層を他の層に積層する方法を採用してもよい。
以上のように硬化性組成物を基材フィルムに塗工した後、該硬化性組成物を硬化(架橋)させる方法としては、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化等の方法を単独又は組み合わせて用いることができる。中でも、短時間かつ比較的容易に硬化達成可能なことから、紫外線硬化による方法を用いることが好ましい。
紫外線硬化に用いる光源は具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、白熱電球、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマーレーザー及び太陽光を光源とする光等が挙げられる。
これらの中でも、硬化性の観点から、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯及びメタルハライドランプを光源とした光が好ましい。
活性エネルギー線は1種を単独で、又は2種以上を併用して使用できる。
<用途>
本樹脂積層体は、画像表示装置の前面側(視認側)に配置して用いられる表面保護パネル、特にタッチパネル機能を有する携帯電話や液晶ペンタブレット等のフロントカバー材として有用である。
<用語の説明>
一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JISK6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
図1は、本樹脂積層体の一実施形態の構成を図示したものであり、樹脂基材11の片面に硬化性樹脂層12を備えた樹脂積層体1を例示している。
図2は、本発明の微小欠損部を示す説明図であり、図2の(a)では、樹脂積層体1を上から見たときの端面13を図示しており、図2の(b)では、樹脂積層体1の一部分20を拡大したときの端面13における微小欠損部14を図示している。
図3は、本発明のクラックを示す説明図であり、図3の(a)ではクラックが発生している樹脂積層体10において、端面13からクラック15が発生している状態を例示している。また、図3の(b)では、クラックが発生している樹脂積層体10の一部分30を拡大したときの端面13における微小欠損部14を起点としてクラック15が発生している状態を例示している。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
<測定及び評価方法>
先ずは、実施例・比較例で得たサンプルの各種物性値の測定方法及び評価方法について説明する。
(屈曲性)
実施例及び比較例に用いる各硬化性樹脂をバーコーターを用いて188μm厚のPETフィルム(ダイアホイル:三菱樹脂製)上に厚みが10μmとなるように硬化性樹脂を塗布・硬化して硬化性樹脂層を有するフィルムを得た。得られたフィルムを10cm×20cmにカッターで切出し、硬化性樹脂層が外面になるようにして円筒に巻きつけクラックの有無を目視で判定した。
クラックの入らない限界口径値を硬化性樹脂層の屈曲性と定めた。
(高温環境試験)
実施例及び比較例の樹脂積層体の中央部分を裁断機を用いて10cm角に切出して、試験片を作製した。得られた試験片をサンプル台に一枚ずつ等間隔で立てて並べた状態で超低温恒温恒湿槽(ESPEC社製)に投入し、85℃の雰囲気下で1時間曝露した。
試験後のサンプルを目視及び顕微鏡にて観察を行い、クラック有無を判定した。クラックの見られなかったものを○、クラックが発生したものを×とそれぞれ結果を表記した。
(鉛筆硬度)
実施例及び比較例の樹脂積層体の中央部分を裁断機を用いて10cm角に切出して、試験片を作製した。得られた試験片をJIS K 5600−5−4に準拠して測定を行った。
(ユニバーサル硬度)
実施例及び比較例の樹脂積層体の中央部分を10mm×20mmに切出し、測定面の反対面にアロンアルファを塗り、その面を1mm厚のガラス板と貼りあわせて固定し、試験サンプルを作製した。
装置はDUH−W201(島津製作所製)、試験には稜間角115°の三角圧子を用いた。試験条件は試験荷重20mN、負荷速度0.66mN/sの条件で各サンプルn=3評価を行い、その平均値を有効数字2ケタで表し、それぞれの樹脂積層体のユニバーサル硬度として定めた。
(光学特性)
実施例及び比較例の樹脂積層体5cm角の試験サンプルに対して、試験機器としてNDH5000(日本電色産業工業社製)を用いて測定を行った。試験は全光線透過率はJIS K 7361−1に、HAZEはJIS K 7105に準拠して行い、得られた数値おそれぞれの樹脂積層体における全光線透過率及びHAZE値とした。
(アクリル系樹脂組成物の作製)
アクリル系樹脂A(Arkema社製、商品名「Altuglas HT121」)のペレットをそのままアクリル系樹脂組成物とした。
(ポリカーボネート系樹脂組成物の作製)
ポリカーボネート系樹脂(住化スタイロン社製;商品名「CALIBRE301−4」)のペレットと、ポリカーボネート系樹脂(住化スタイロン社製;商品名「SDポリカ SP3030」)のペレットと、ポリエステル系樹脂(SKケミカル社製;商品名「SKYGREEN J2003」)のペレットと55:25:20の質量割合で混合した後、260℃に加熱された二軸押出機を用いてペレット化して、ポリカーボネート系樹脂組成物を作製した。
(樹脂基材の作製)
前記アクリル系樹脂組成物、前記ポリカーボネート系樹脂組成物おそれぞれの押出機に供給し、各押出機において、240℃および260℃で溶融混練した後、250℃に加熱された2種2層用のTダイに合流させ、アクリル系樹脂層A−1/ポリカーボネート系樹脂層A−2の2層構成になるようにシート状に押出し、冷却固化して、厚み675μm(A−1:75μm、A−2:600μm)の積層体を得た。得られた積層体を用いて以下実施例及び比較例の実験検証を行った。
(硬化性樹脂層の作製)
前記積層体のアクリル系樹脂層A−1の面に硬化性樹脂組成物b1−1(MOMENTIVE社製、商品名「UVHC7800G」)をバーコーターを用いて塗布し、その後、チャック間100mmに調整した基材を101mmまで常温延伸を行い、この状態のまま90℃で1分間乾燥後、700mJ/cmの露光量で露光し硬化させた。次いで、前記積層体のポリカーボネート系樹脂層A−2の面には以下の実施例及び比較例に示した通りの配合比で各硬化性樹脂組成物を調製し、前記条件で塗布・硬化を実施して各樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体について評価した結果を表1に示す。
<実施例1>
(硬化性樹脂層の作製)
前記積層体のポリカーボネート系樹脂層A−2の面に、3官能以上の多官能アクリレート(b1−1)としてUVHC7800G(MOMENTIVE社製)を90重量%、2官能直鎖上アクリレートオリゴマー(b2−1)としてポリテトラメチレングリコール#650ジアクリレート(新中村化学社製、分子量758)を10重量%混合して得られた溶液を用いて塗布・硬化を行い、樹脂積層体を作製した。
<実施例2>
前記積層体のポリカーボネート系樹脂層A−2の面に、b1−1を80重量%、b2−1を20重量%混合して得られた溶液を用いた以外は実施例1と同様に塗布・硬化を行い、樹脂積層体を作製した。
<実施例3>
前記積層体のポリカーボネート系樹脂層A−2の面に、b1−1を90重量%、2官能直鎖上アクリレートオリゴマー(b2−2)としてポリプロピレングリコール#700ジアクリレート(新中村化学社製、分子量808)を10重量%混合して得られた溶液を用いた以外は実施例1と同様に塗布・硬化を行い、樹脂積層体を作製した。
<実施例4>
前記積層体のポリカーボネート系樹脂層A−2の面に、b1−1を50重量%、b2−1を50重量%混合して得られた溶液を用いた以外は実施例1と同様に塗布・硬化を行い、樹脂積層体を作製した。
<比較例1>
前記A−1と前記A−2の両面に硬化性樹脂組成物b−1を用いて実施例1と同様に塗布・硬化を行い、樹脂積層体を作製した。
<比較例2>
前記積層体のポリカーボネート系樹脂層A−2の面に、b1−1を30重量%、b2−2を70重量%混合して得られた溶液を用いた以外は実施例1と同様に塗布・硬化を行い、樹脂積層体を作製した。
実施例1〜4及び比較例1〜2に従い得られた樹脂積層体を用いて、高温環境試験を実施した。なお各試験片は裁断機を用いて切出しを実施したため、該樹脂積層体の端面の任意の2mm幅の範囲において5μm以上の長さの微小欠損部が2個以上みられる状態となっている。
Figure 0006417876
表1の結果から、実施例1〜4は、試験片の端部に複数の微小欠損部があり85℃の雰囲気下で1時間暴露する過酷な高温試験環境下であっても基材の加熱に伴い生じる膨張等に対して柔軟に基材に追従し、クラックが伝搬しない様子を確認できた。
一方、比較例1においては、硬度は高いものの高温環境試験においてクラックが生じ、比較例2においてはクラックが発生しないものの十分な硬度を得ることができなかった。
本発明の樹脂積層体を示す説明図である。 本発明の微小欠損部を示す説明図である。 本発明で定義するクラックを示す説明図である。
1:本樹脂積層体
10:クラックが発生している樹脂積層体
11:硬化性樹脂層
12:樹脂基材
13:端面
14:微小欠損部
15:クラック
20:本樹脂積層体の一部分
30:クラックが発生している樹脂積層体の一部分

Claims (10)

  1. 樹脂基材(A)の少なくとも片面に、硬化性樹脂層(B)を備えた樹脂積層体であって、該樹脂積層体の端面の任意の2mm幅の範囲において5μm以上の長さの微小欠損部が2個以上存在し、85℃の雰囲気下で1時間曝露する高温環境試験後に該微小欠損部から10mm以上のクラックが発生せず、かつ、硬化性樹脂層(B)を積層してなる面の表面硬度がISO14577に準拠して測定されるユニバーサル硬度で300MPa以上であり、該硬化性樹脂層(B)が少なくとも2種類以上の多官能アクリレート樹脂及び無機粒子から構成され、該多官能アクリレート樹脂が、3官能以上の多官能アクリレート(b1)と、分子量が200以上900未満の2官能直鎖状アクリレートオリゴマー(b2)とを含有し、該(b1)と該(b2)の合計量に対する該(b2)の割合が5重量%以上、30重量%未満であることを特徴とする樹脂積層体。
  2. 前記樹脂積層体の硬化性樹脂層(B)を積層してなる面の表面硬度がJIS K 5400−5−4に準拠して測定される鉛筆硬度で4H以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂積層体。
  3. 前記硬化性樹脂層(B)の屈曲性がJIS K5600−5−1に準拠して求められるマンドレル試験でφ15mm以上φ35mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂積層体。
  4. 記硬化性樹脂層(B)の全固形成分中における無機粒子が30重量%以上、80重量%未満の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂積層体。
  5. 前記樹脂積層体の全光線透過率が85%以上、かつ、HAZEが2.0%未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂積層体。
  6. 硬化性樹脂層(B)の厚みが5μm以上、20μm未満であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂積層体。
  7. 前記樹脂基材(A)が、ポリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合樹脂、ポリスルホン樹脂、ノルボルネン系樹脂及びシクロオレフィン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を構成材料とする単層又は積層体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂積層体。
  8. 前記樹脂基材(A)が、アクリル系樹脂を含む層とポリカーボネート系樹脂を含む層との積層体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂積層体。
  9. 請求項1〜の何れか一項記載の樹脂積層体を有するディスプレイのフロントカバー材。
  10. 請求項に記載のディスプレイのフロントカバー材を備える画像表示装置。
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