JP6415170B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
一般的に、電子写真感光体は、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程などからなる一連の電子写真画像形成プロセスにおいて用いられる。クリーニング工程は、転写工程後に電子写真感光体の表面に残留するトナー(以下、「転写残トナー」という。)を除去する目的で行われる。クリーニング手段としては、例えば、ウレタンゴム等の弾性体からなるクリーニングブレードがあり、クリーニングブレードを電子写真感光体に当接させて転写残トナーをかきとる方法がある。
クリーニングブレードを使用する場合、クリーニングブレードは電子写真感光体表面に所定の当接圧で押し当てられるが、この当接圧が高いほど電子写真感光体とクリーニングブレードが摺擦した時に発生する摩擦力は大きくなる。また、電子写真感光体の表面が平滑な場合、クリーニングブレードとの実質的な接触面積が広くなるため摩擦力が大きくなりやすい。摩擦力が大きくなり、電子写真感光体表面とクリーニングブレードとの摺擦状態が不安定になると、クリーニングブレードが振動するビビリという現象が発生しやすい。また、摩擦力が更に大きくなると、電子写真感光体の移動方向にクリーニングブレードの先端が反転してしまうメクレという現象が発生する場合もある。
これらの課題を解決するため、電子写真感光体の表面を粗面化することによってクリーニングブレードとの実質的な接触面積を減らし、摩擦力を低減させる技術が知られている。
特許文献1には、電子写真感光体の表面層の表面に、表面層とは異なる素材で特定の形状および個数の凸形状部を形成して、クリーニングブレードのビビリ、メクレの発生等のクリーニング不良の発生を抑制する技術が開示されている。
特許文献2には、表面層の構成材料と異なる材料で構成される多数の凸形状部と該各凸形状部を取り囲む網目状の凹部を有する表面層を有する電子写真感光体と、特定のトナーとを組み合わせて用いる電子写真装置が開示されている。特許文献2によれば、感光体表面の多数の凸形状部により平滑な感光体表面に比べて接触面積が低減され、感光体駆動時のクリーニングブレードの駆動方向への引込みをおさえることができることが記載されている。
特許文献3には、ブラスト処理により電子写真感光体の周面を粗面化する技術が開示されている。
特開2012−32563号公報 特開2012−47999号公報 特開平02−150850号公報
しかしながら、電子写真感光体とクリーニング部材との摩擦力を低減させるため電子写真感光体の表面に、形状と大きさの揃った独立した凸形状部を多数形成しようとした場合、凸形状部の密集度が高くなるにつれて凸形状部の取り得る配置は制限される。凸形状部の密集度を表現するため、電子写真感光体表面の単位面積あたりに凸形状部が占める面積の割合を、次のように考える。独立した凸形状部の一つを電子写真感光体周面に垂直な方向から投影して得られる投影図を底面とし、その面積をsとする。電子写真感光体表面の単位面積あたりに存在する独立した凸形状部の各々について前記面積sを求め、その和をとったものを底面の面積の合計Sとする。電子写真感光体表面の単位面積あたりに占めるSの割合を、ここでは面積率と呼ぶことにする。面積率が50%以上になると、凸形状部が互いに接しないように不規則に配置することが困難になり始め、面積率が高くなるほど凸形状部の配置は整列した状態に近づいていく(図1)。
一方、電子写真感光体の表面に凸形状部が整列して配置されていると、その凸形状部が作る列のパターンと、電子写真プロセスの現像工程で電子写真感光体表面に形成されるトナー像のパターンとが互いに影響しあい、モアレが発生する場合があった。
特に、現像画素1ドットの径や、細線印刷時のライン幅に近い径を凸形状部が有している場合、このモアレは発生しやすくなる。
本発明の目的は、電子写真感光体とクリーニングブレードとの摩擦力を効果的に低減することができ、かつモアレ画像の発生も抑制可能な表面形状を有する電子写真感光体を提供することにある。
本発明は、支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面が、各々独立して、凸形状部を有し、該凸形状部は、該凸形状部1個の底面の面積が異なる、および/または該凸形状部1個の底面の形状が異なる複数の凸形状部からなり、該電子写真感光体の表面の任意の位置に一辺が1mmの正方形領域を配置したとき、該一辺1mmの正方形領域に存在する該凸形状部の底面の面積の合計Sが、0.50mm以上0.77mm以下であり、前記凸形状部の底面の長軸径が50μm以上500μm以下であり、前記凸形状部の底面の短軸径が20μm以上200μm以下であることを特徴とする電子写真感光体に関する。
また、本発明は、支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面が、各々独立して、凸形状部を有し、該凸形状部は、該凸形状部1個の底面の面積が異なる、および/または該凸形状部1個の底面の形状が異なる複数の凸形状部からなり、該電子写真感光体の表面の任意の位置に一辺が1mmの正方形領域を配置したとき、該一辺1mmの正方形領域に存在する該凸形状部の底面の面積の合計Sが、0.50mm以上0.77mm以下であり、前前記凸形状部が、該凸形状部の底面の形状が円形である第1の凸形状部と、該凸形状部の底面の形状が多角形である第2の凸形状部とからなることを特徴とする電子写真感光体に関する。
また、本発明は、上記電子写真感光体、および該電子写真感光体に接触配置されたクリーニング部材を有するクリーニング手段を有し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジに関する。
また、本発明は、上記電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、および該電子写真感光体に接触配置されたクリーニング部材を有するクリーニング手段を有することを特徴とする電子写真装置に関する。
本発明によれば、電子写真感光体とクリーニングブレードとの摩擦力を効果的に低減することができ、かつモアレ画像の発生も抑制可能な表面形状を有する電子写真感光体を提供することができる。
電子写真感光体表面に形成された凸形状部の面積率が50%以上になった時、凸形状部の配置が整列配置に近くなっていくことを示す図である。 基準面、独立した凸形状部、高さ等の関係を模式的に示す図である。 電子写真感光体の表面の凸形状部の形状例、Lpc、Rpcの例を示す図である。 凸形状部の断面形状、高さについて模式的に示す図である。 本発明の凸形状部の底面の形状の組合せの一例を模式的に示す図である。 本発明の凸形状部の底面の形状の組合せの一例を模式的に示す図である。 本発明の凸形状部の底面の形状の組合せの一例を模式的に示す図である。 本発明の凸形状部の底面の形状の組合せの一例を模式的に示す図である。 本発明の凸形状部の底面の形状の組合せの一例を模式的に示す図である。 (A)はFloyd−Steinberg法のアルゴリズムを示す図、(B)はFloyd−Steinberg法で生成した不規則パターンの一例を示す図である。 電子写真感光体の表面に凸形状部を形成するための圧接形状転写加工装置の例を示す図である。 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の例を示す図である。 感光体−1の製造例で用いたモールドを模式的に示す図である。 感光体−2の製造例で用いたモールドを模式的に示す図である。 感光体−3の製造例で用いたモールドを模式的に示す図である。 感光体−4の製造例で用いたモールドを模式的に示す図である。 感光体−5の製造例で用いたモールドを模式的に示す図である。 感光体−6の製造例で用いたモールドを模式的に示す図である。 感光体−7〜9の製造例で用いたモールドを模式的に示す図である。
本発明は、電子写真感光体の表面が、各々独立して、凸形状部を有し、該凸形状部は、該凸形状部1個の底面の面積が異なる、および/または該凸形状部1個の底面の形状が異なる複数の凸形状部からなる。そして、該電子写真感光体の表面の任意の位置に一辺が1mmの正方形領域を配置したとき、該一辺1mmの正方形領域における該凸形状部の底面の面積の合計Sが、0.50mm以上0.77mm以下であることを特徴とする。
ここで、本発明において用いられる、独立した凸形状部、底面の形状や面積といった用語について説明する。
まず、電子写真感光体表面に形成された独立した凸形状部を観察する方法については、例えば、レーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡などの顕微鏡を用いて観察することができる。
レーザー顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。
(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡VK−8550、超深度形状測定顕微鏡VK−9000、超深度形状測定顕微鏡VK−9500、VK−X200、(株)菱化システム製の表面形状測定システムSurface Explorer SX−520DR型機、オリンパス(株)製の走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000、レーザーテック(株)製のリアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスC130
光学顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。
(株)キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX−500、デジタルマイクロスコープVHX−200、オムロン(株)製の3DデジタルマイクロスコープVC−7700
電子顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。
(株)キーエンス製の3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−9800、3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−8800、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の走査型電子顕微鏡コンベンショナル/Variable Pressure SEM、(株)島津製作所製の走査型電子顕微鏡SUPERSCAN SS−550
原子間力顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。
(株)キーエンス製のナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8000、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の走査型プローブ顕微鏡NanoNaviステーション、(株)島津製作所製の走査型プローブ顕微鏡SPM−9600
本発明における独立した凸形状部とは、個々の凸形状部が他の凸形状部と明確に区別されている状態を示す。具体的には、以下に述べる方法により、電子写真感光体の表面に形成された凹凸の中から、本発明における独立した凸形状部に該当する部分とそれ以外とを区別することができる。
まず、電子写真感光体の表面を、前述した顕微鏡等を用いて拡大観察する。次に、電子写真感光体が円筒状である場合のように電子写真感光体の表面(周面)が周方向に曲がった曲面となっている場合は、その曲面の断面プロファイルを抽出し、曲線(電子写真感光体が円筒状であれば円弧)を重ね合わせる。図2(A)に、曲線を重ね合わせる例を示す。図2(A)に示す例は、電子写真感光体が円筒状である場合の例である。図2(A)中、実線の2−1は電子写真感光体の表面(曲面)の断面プロファイルの例であり、破線の2−2は断面プロファイル2−1に重ね合わせた曲線である。その曲線2−2が直線になるように断面プロファイル2−1の補正を行い、得られた直線を電子写真感光体の長手方向(周方向に直交する方向)に拡張した面を基準面とする。電子写真感光体が円筒状でない場合も、円筒状である場合と同様にして基準面を得る。
図2(B)に示すように得られた基準面2−3の0.1μm上方に位置し、基準面に平行な面を第二基準面2−4とし、第二基準面よりも上に位置する部分を所定の正方形領域における独立した凸形状部2−5として判定する。
本発明においては、独立した凸形状部1個をこの第二基準面に対して垂直な方向に投影して得られる図形を凸形状部の底面とし、また、その面積を凸形状部1個の底面の面積とする。
図3(A)に示すように、独立した凸形状部の底面の形状としては、円形、楕円形、三角形・四角形・六角形などの多角形、多角形のエッジまたは辺の一部あるいは全部に曲線を複合させた形状など、種々のものを挙げることができる。
本発明では、電子写真感光体の表面を実際に観察することによって独立した凸形状部に該当する部分を決定するため、2つの凸形状部の底面の形状、底面の面積は理想的な意味で完全に一致することはない。そこで、凸形状部の底面の形状や底面の面積が同一であるか否かを以下の方法によって判定することとする。
まず、底面の形状や底面の面積を判定する手掛かりとするため、底面の短軸径Lpcと長軸径Rpcを求める。底面の短軸径Lpcは、図3(B)に示すように、第二基準面に対して平行な方向に凸形状部投影して得られる底面の直線のうち、最小となる直線(底辺)の長さと定義する。例えば、底面が楕円の場合は短径、長方形の場合は短辺を採用する。次に、底面の長軸径Rpcは、各凸形状部の底面を、凸形状部の底面にある短軸径Lpcの長さ方向に投影して得られる直線(底辺)の長さと定義する。例えば、楕円の場合は長径、長方形の場合は長辺を採用する。長方形の例を見て分かる通り、本発明における長軸径Rpcは、各底面を第二基準面に平行な方向に投影して得られる直線のうち最大となる直線の長さ(長方形の場合は対角線)とは必ずしも一致しない。
次に、底面の形状を外観で楕円形と多角形に大別する。この段階では、円形は楕円形の1種とみなす。また、多角形のエッジまたは辺の一部あるいは全部に曲線を複合させた形状は多角形に含める。
楕円形に分類された形状のうち、Rpc/Lpcが1.1以下であるものを円形とし、それ以外を楕円形として両者を区別する。
多角形については、三角形、四角形、六角形など、外観によって最も近い形状を持つ多角形に分類する。
本発明においては、以上の方法によって同じカテゴリの形状に分類された底面は、互いに形が同じであるとする。また、形が同じ底面の中から2つを選び、両者の短軸径同士、長軸径同士の長さを比較した時、長軸径の長さの差が10%以下、かつ、短軸径の長さの差も10%以下である時、この2つの底面は形も大きさも同じであるとする。なお、長さの差が10%以下であるとは、比較する2つの長さをそれぞれa、b(a≧b)とした時、100×(a−b)/a≦10であることを意味する。
本発明においては、形状も面積も同じ底面のみを同一の形状であるとみなし、それ以外は異なる形状の底面として区別することとする。異なる形状の底面を持つ凸形状部同士は、異なる形状の凸形状部として区別される。
次に、凸形状部の高さについて説明する。図4(A)に、第二基準面に平行な方向に凸形状部を投影して得られる形状の例を示す。便宜的に、この投影図のことを凸形状部の断面形状と呼ぶことにする。この断面形状の例としては、曲線により構成される形状の他、円形、楕円形、三角形・四角形などの多角形の一部からなる形状などを挙げることができる。個々に異なる形状、大きさになっていてもよい。クリーニングブレード等、ドラム表面と摺擦する部材との摩擦を低減する効果が大きいという意味では、クリーニングブレードとの接触面積がより小さくなるドーム型や錐形のような頂点を持つ断面形状が好ましい。ドーム型とは、頂点から下方に向かってアーチ状の傾斜を持つ状態の型を示す。アーチ状の傾斜は滑らかなものの方が好ましい。
本発明では、この断面形状における第二基準面から最も離れた地点と、第二基準面との距離のことを、この凸形状部の高さHとする。図4(B)に高さHの例を示す。図4(B)中、破線は第二基準面を意味する。
本発明では、2つの独立した凸形状部の形状が同一か否かの判定には、凸形状部の断面形状は用いない。前述した定義によって同一の形状とみなされる底面を有する2つの独立した凸形状部は、それぞれ異なる断面形状を有していたとしても、同一の形状を有する凸形状部とみなす。これは、独立した凸形状部と判定される凸形状部であれば、モアレの発生および抑制に影響するのが専ら凸形状部の底面の形と大きさであるためである。
凸形状部の高さHについては、0.5μm以上3.0μm以下とする(0.5(μm)≦H≦3.0(μm)を満足する)ことが好ましい。凸形状部の高さHがこの範囲であると、電子写真感光体表面に摺擦するクリーニングブレード等の部材との間に働く摩擦力を低減させる効果が高まり、さらに、転写残トナーのクリーニング性が良好である。
電子写真感光体の表面層に上記の特徴を有する独立した凸形状部を形成することでモアレが抑制される理由について、本発明者らは以下のように推測している。
まず、形状の揃った独立した凸形状部が高密度かつ整列配置で形成された電子写真感光体において、モアレが発生しやすい理由について述べる。電子写真感光体表面の凸形状部とその周囲の凹部とでは、潜像再現性や現像効率が僅かに異なるため、現像されたトナー像もその影響を受ける。凸形状部が高密度で整列配置されている場合、凹部の側に作像される部分の方が相対的にトナーの載り量は小さくなる。
トナーの載り量が場所によって異なることが画像に及ぼす影響の大きさは、一つの凸形状部の投影面積の大きさ、単位面積あたりに凸形状部が形成される個数、および配置によって異なる。独立した凸形状部1つの径が、画素1ドットの径や、細線を用いた画像パターンを出力する時のライン幅に近いサイズを有しており、なおかつこの凸形状部が高密度で整列して配置されている場合、特にモアレが発生しやすい。これには次の2つの要因が関与していると考えられる。
第一に、画素1ドットが電子写真感光体表面の凸形状部と凹部の両方に重なるようにして現像された時に、そのドットのトナーの載り量の変化が無視できなくなることが挙げられる。凸形状部の径が画素ドットの径に近い場合、凸形状部と画素ドットの重なり具合の違いによるトナーの載り量の差が大きくなる。凸形状部と画素ドットの重なりが大きくなるほど、その画素ドットのトナーの載り量は多くなる。逆に凹部と画素ドットの重なりの方が大きければ、その画素ドットのトナーの載り量は少なくなる。このトナーの載り量の違いは定着後の画素ドットの大小に反映される。個々のドットごとに凸形状部、または凹部との重なり方が異なるため、多数の定着後のドットを相対的に比較すると、その大きさにはバラツキができる。ただし、相対的に大きいドットと相対的に小さいドットが不規則に配置されている限り、目視では全体としては一様に見えるため、モアレのような画像欠陥として認識されることはない。小さいドットの集まりと大きいドットの集まりの両方ができ、それぞれの集まりの大きさが目視で認識できるサイズになった場合、画像の濃淡差として確認できるようになる。
第二に、電子写真感光体表面の凸形状部が整列して配置されているため、現像画素ドットが周期的に配置された画像や、細線が等間隔に並んだ画像を印刷する場合、前記のドットサイズの大小変化が周期的に現われることが挙げられる。電子写真感光体表面の凸形状部が作る列の周期と、等間隔に並んだ細線のラインの周期の差が僅かに異なる場合、このドットサイズの変化の周期は元々の凸形状部や細線のラインの周期よりも長い周期になる。そのため、出力画像を目視した時に、このドットサイズの大小変化が前述したような目視で認識できる周期的な濃淡差を作り、モアレ画像になると考えられる。
特に近年の電子写真装置は露光手段にレーザー光やLEDアレイを用いたデジタル電子写真装置が主流となっており、画像濃度の階調を表現する手法としてドットで形成される疑似中間調処理を利用する場合が多い。疑似中間調処理とは、グレースケールを白と黒の2色だけを用いて画素の数や画素の集まり具合を制御して表現する方法であり、カラー画像に対しても適用できる。そのため、等間隔に並んだ細線の画像パターンを出力するような場合だけでなく、ハーフトーン画像を出力する場合にも、モアレの問題に留意する必要がある。
疑似中間調処理のパターン(スクリーン)は、平行線や波線、砂目など各種存在するが、中でも小さなドットの集合で表わす方法が主流である。ドットで形成される疑似中間調処理には、規則的なドット配置で、ドットのサイズや密度を変えて濃淡を表現する方法があり、これを用いる時にはハーフトーン画像においてもモアレが発生しやすくなる。
以上に述べたように、モアレは定着後のドットのサイズに大小のバラツキがあり、かつドットサイズの大小の変化が目視で視認可能な周期的な濃淡差を作る時に発生する。従って、どちらか一方の要因を取り除くことでモアレの発生を抑制することができる。本発明では、電子写真感光体の表面に高密度で凸形状部を形成する場合に、底面の面積、または底面の形状の異なる複数種の凸形状部を組み合わせて用いる。このようにして凸形状部の配置の周期性を低減させることにより、モアレの発生が抑制されると考えられる。
底面の形状と面積が同一の凸形状部だけを使用すると、独立した凸形状部を形成する密度が高くなるほど凸形状部の配置は前述したように自ずと整列配置に近づくため、配列の周期性が高まってモアレが発生しやすくなる。電子写真感光体の表面の画像形成に使用される領域に一辺が1mmの正方形領域を配置した時、その正方形の領域中に存在する凸形状部の底面の面積の合計Sが、0.50mm以上になる場合、同一の凸形状部のみを用いるとモアレが発生しやすくなる。本発明はそのような密度で凸形状部を配置する場合に、モアレを抑制する効果がある。ただし、本発明は、電子写真感光体の画像形成領域と同時にその画像形成領域の外側に適用されていても良い。
また、本発明は、凸形状部の底面の長軸径Rpcが50μm以上500μm以下、かつ短軸径Lpcが20μm以上200μm以下である時に好適に用いることができる。長軸径、短軸径が上記範囲にあることが好ましいのは、凸形状部の底面の大きさが電子写真装置の現像ドットサイズに近く、本発明が効果的に作用するためである。
本発明における、複数種の凸形状部の好ましい組み合わせの例を以下に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の凸形状部の底面の形状としては、円形、楕円形、または多角形の中から、互いに合同ではない複数の形状が選択される。
例えば、図5に示すように、底面の面積の異なる円形の底面を有する凸形状部の組み合わせが挙げられる。これは形が同じで大きさが異なる底面の組み合わせの一例であり、形が同じで大きさの異なる多角形の底面同士の組み合わせであっても良い。底面積が大きい凸形状部を不規則に配置し、空いた部分を小さい底面積の凸形状で埋めることによって、モアレの発生を抑制しつつ、単位面積あたりに凸形状部の底面積が占める面積率を大きくすることができる。大きい方の底面の長軸径と小さい方の底面の長軸径の長さの比は、2倍以上になっていると、面積率を大きくしやすくなるので好ましい。
また、図6に示すように、円形と楕円形の組み合わせや、図7に示すように円形である第1の凸形状部と多角形である第2の凸形状部の組み合わせも挙げることができる。この場合、楕円形もしくは多角形は、長軸径と短軸径の長さが2倍以上異なる細長い形状を選択し、その位置と長軸径の向きを不規則にして配置し、空いた部分を底面が円形の凸形状部で埋める形態にしても良い。楕円形もしくは多角形よりも面積の小さい円形の底面を持つ凸形状が不規則な配置で数多く存在する形態の方が、面積率を高くしやすい。よって、単位面積あたりに存在する凸形状部の底面積の合計Sに対する第1の凸形状部である円形の底面の面積の合計S1の比(S1/S)が、1/2以上であることが好ましい。一方、底面の長軸径と短軸径の比が1に近い多角形を用いる場合は、多角形の底面の長軸径と、円形の底面の直径との長さの比が2倍以上になっていると好ましい。その理由は、上述した形が同じで大きさの異なる底面の組合せの場合と同じである。
また、本発明では楕円形と多角形を組み合わせて用いても良い。
また、図8に示すように、3種類以上の異なる形状を持つ底面を組み合わせても良い。図9は、面積が同じで形が異なる底面の組み合わせの例であるが、この場合でも本発明の効果を得ることができる。
本発明においては、個々の凸形状部は整列せず、不規則に配置しているとより好ましい。
感光体表面の凸形状部を不規則に配置する手段としては、いかなる方法を用いてもよいが、例えば疑似中間調処理の一つであるFMスクリーニングの手法を適用することができる。
FMスクリーニングは、ドット径を固定して、不規則なドット配置を行い、ドット密度を変化させることで階調を表現する疑似中間調処理であり、オフセット印刷機や電子写真方式のプリンター、インクジェット方式等々多くの画像形成装置に採用されている。このFMスクリーニングの不規則なドット配置を生成するランダム化アルゴリズムを用いて不規則な凸形状部の配置を設計することができる。ランダム化アルゴリズムは各種開発されており、本発明においてはいずれの手法を用いてもよい。
例えば、一般的なFMスクリーニングである誤差拡散のうち、Floyd−Steinberg法を本発明に適用することができる。Floyd−Steinberg法は、画像データの注目画素の信号値と、注目画素を2値化した際の信号値との差分(誤差)を近隣画素に配分する方法である。図10(A)にその一例を示す。この図では、注目画素の右隣の画素の信号値に、注目画素の誤差のうち7/16を足す。右下、下、左下の画素にも図に記載の割合で注目画素の誤差を分配していく。その他の画素は、この分配結果を反映し、順次2値化を行う。その結果、図10(B)のような非周期特性のパターンを生成することができる。このとき、図10(B)中に黒点で示される画素の形状と大きさ、分配の割合、分配する画素の数を変えることで、任意の凸形状部の形状と大きさ、凸形状部の密度、凸形状部の配置を設計することが可能である。例えば大きさの異なる円形の底面を有する凸形状部を組み合わせた凸形状部のパターンを形成する場合は、先に直径の大きい円形の底面の配置を上記のようにして決定する。次に、空いている領域に直径の小さい円形の底面を有する凸形状部を配置することによって所望のパターンを得ることができる。
<電子写真感光体の表面に凸形状部を形成する方法>
次に、電子写真感光体の表面に独立した凸形状部を形成する方法について述べる。
凸形状部は、形成するべき凸形状部に対応した凹部を有する型部材(以下、「モールド」という。)を電子写真感光体の表面に圧接し、形状転写を行うことによって、電子写真感光体の表面に形成することができる。
図11に、電子写真感光体の表面に凸形状部を形成するための圧接形状転写加工装置の例を示す。図11に示す圧接形状転写加工装置によれば、被加工物である電子写真感光体11−1を回転させながら、その表面(周面)に連続的にモールド11−2を接触させ、加圧する。この方法により、電子写真感光体11−1の表面に凸形状部や平坦部を形成することができる。
加圧部材11−3の材質としては、例えば、金属、金属酸化物、プラスチック、ガラスなどが挙げられる。これらの中でも、機械的強度、寸法精度、耐久性の観点から、ステンレス鋼(SUS)が好ましい。加圧部材11−3は、その上面にモールドが設置される。また、下面側の支持部材(不図示)および加圧システム(不図示)により、支持部材11−4に支持された電子写真感光体11−1の表面に、モールド11−2を所定の圧力で接触させることができる。また、支持部材11−4を加圧部材11−3に対して所定の圧力で押し付けてもよいし、支持部材11−4および加圧部材11−3を互いに押し付けてもよい。
図11に示す例は、加圧部材11−3を移動させることにより、電子写真感光体11−1が従動または駆動回転しながら、その表面を連続的に加工する例である。さらに、加圧部材11−3を固定し、支持部材11−4を移動させることにより、または、支持部材11−4および加圧部材11−3の両者を移動させることにより、電子写真感光体11−1の表面を連続的に加工することもできる。
なお、形状転写を効率的に行う観点から、モールド11−2や電子写真感光体11−1を加熱することが好ましい。
モールドとしては、以下のものが挙げられる。例えば、微細な表面加工された金属や樹脂フィルムや、シリコンウエハーなどの表面にレジストによりパターニングをしたものや、微粒子が分散された樹脂フィルムや、微細な表面形状を有する樹脂フィルムに金属コーティングを施したものがある。
また、電子写真感光体に押し付けられる圧力を均一にする観点から、モールドと加圧部材との間に弾性体を設置することが好ましい。
<プロセスカートリッジおよび電子写真装置の構成>
図12に、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の例を示す。
図12において、円筒状の電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、回転過程において、帯電手段3(一次帯電手段:例えば、帯電ローラーなど)により、正または負の所定電位に均一に帯電される。次いで、帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(画像露光手段)(不図示)から露光光(画像露光光)4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成されていく。露光光4は、例えば、スリット露光やレーザービーム走査露光などの像露光手段から出力される、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された光である。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容された現像剤(トナー)で現像(正規現像または反転現像)され、電子写真感光体の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段(例えば、転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材P上に転写されていく。このとき、転写材Pは、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて、電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に給送される。また、転写手段には、トナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧がバイアス電源(不図示)から印加される。
トナー像が転写された転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離され、定着手段8へ搬送されて、トナー像の定着処理を受け、画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置の外へプリントアウトされる。
トナー像が転写材Pに転写された後の電子写真感光体1の表面は、電子写真感光体に接触配置されたクリーニング部材を有するクリーニング手段7により、転写残りの現像剤(転写残トナー)などの付着物が除去され、清浄化される。
さらに、電子写真感光体1の表面には、前露光手段(不図示)からの前露光光が照射され、除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図12に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光手段は必ずしも必要ではない。また、前露光工程を、クリーニング工程の前に実施することもできる。
本発明においては、上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7などの構成要素のうち、複数の構成要素を容器に納めて一体に支持してプロセスカートリッジを形成してもよい。このプロセスカートリッジを電子写真装置本体に対して着脱自在に構成することができる。例えば、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7から選択される少なくとも1つとを一体に支持してカートリッジ化する。そして、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9とすることができる。
露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光であってもよい。または、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動もしくは液晶シャッターアレイの駆動などにより放射される光であってもよい。
<電子写真感光体の構成>
本発明の電子写真感光体は、支持体および支持体上に形成された感光層を有する円筒状の電子写真感光体である。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層でも、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層でもよい。電子写真特性の観点から、積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層は、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層が好ましい。また、電荷発生層を積層構成としてもよいし、電荷輸送層を積層構成としてもよい。
支持体としては、導電性を示すもの(導電性支持体)であることが好ましい。支持体の材質としては、例えば、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、チタン、鉛、ニッケル、スズ、アンチモン、インジウム、クロム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属(合金)が挙げられる。また、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金を用いて真空蒸着によって形成した被膜を有する金属製支持体やプラスチック製支持体を用いることもできる。
また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子をプラスチックや紙に含浸させた支持体や、導電性結着樹脂で形成された支持体を用いることもできる。
支持体の表面は、レーザー光の散乱による干渉縞の抑制を目的として、例えば、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理を施してもよい。
支持体と、後述の下引き層との間には、例えば、レーザー光の散乱による干渉縞の抑制や、支持体の傷の被覆を目的として、導電層を設けてもよい。導電層は、カーボンブラック、導電性顔料、抵抗調節顔料を結着樹脂とともに溶剤に分散処理することによって得られる導電層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、導電層用塗布液には、例えば、加熱、紫外線照射、放射線照射により硬化重合する化合物を添加してもよい。
導電層に用いられる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エチルセルロース樹脂、エチレン−アクリル酸コポリマー、エポキシ樹脂、カゼイン樹脂、シリコーン樹脂、ゼラチン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂が挙げられる。
導電性顔料および抵抗調節顔料としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀、ステンレスなどの金属(合金)の粒子や、これらをプラスチックの粒子の表面に蒸着したものが挙げられる。また、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズがドープされている酸化インジウム、アンチモンやタンタルがドープされている酸化スズなどの金属酸化物の粒子を用いることもできる。
これらは、1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、導電性顔料および抵抗調節顔料には、表面処理を施すことができる。表面処理剤としては、例えば、界面活性剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤が用いられる。
さらに、光散乱を目的として、シリコーン樹脂微粒子やアクリル樹脂微粒子などの粒子を添加してもよい。また、レベリング剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、整流性材料等の添加剤を含有させても良い。
導電層の膜厚は、0.2μm以上40μm以下であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、5μm以上30μm以下であることがより好ましい。
支持体または導電層と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、感光層の接着性改良、支持体からの電荷注入性改良を目的として、下引き層(中間層)を設けてもよい。下引き層は、結着樹脂、および溶剤を混合することによって得られる下引き層用塗布液の塗膜を形成し、この塗膜を乾燥させることによって下引き層を形成することができる。
下引き層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、共重合ナイロンおよびN−アルコキシメチル化ナイロンなど)、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。
下引き層の膜厚は、0.05μm以上40μm以下であることが好ましい。
下引き層には、金属酸化物粒子を含有させてもよい。下引き層に用いられる金属酸化物粒子は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種を含有する粒子であることが好ましい。上記の金属酸化物を含有する粒子の中でも、酸化亜鉛を含有する粒子がより好ましい。
金属酸化物粒子は、金属酸化物粒子の表面がシランカップリング剤などの表面処理剤で処理されている粒子であってもよい。
分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
下引き層には、例えば、下引き層の表面粗さの調整、または下引き層のひび割れ軽減を目的として、有機樹脂粒子や、レベリング剤をさらに含有させてもよい。有機樹脂粒子としては、シリコーン粒子等の疎水性有機樹脂粒子や、架橋型ポリメタクリレート樹脂(PMMA)粒子等の親水性有機樹脂粒子を用いることができる。
下引き層には、各種添加物を含有させることができる。添加物としては、例えば金属、導電性物質、金属キレート化合物、シランカップリング剤等の有機金属化合物が挙げられる。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤とともに分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、これを乾燥させることによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。
感光層に用いられる電荷発生物質としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、スクアリリウム色素、チアピリリウム塩、トリフェニルメタン色素、キナクリドン顔料が挙げられる。アズレニウム塩顔料、シアニン染料、アントアントロン顔料、ピラントロン顔料、キサンテン色素、キノンイミン色素、スチリル色素が挙げられる。
これら電荷発生物質は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、感度の観点から、オキシチタニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンが好ましい。さらに、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの中でも、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.3°および28.2°±0.3°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。
電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、尿素樹脂が挙げられる。これらの中でも、ブチラール樹脂が好ましい。これらは、単独、混合または共重合体として、1種または2種以上用いることができる。
分散方法としては、例えば、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、アトライターを用いた方法が挙げられる。
電荷発生層における電荷発生物質と結着樹脂との割合は、結着樹脂1質量部に対して電荷発生物質が0.3質量部以上10質量部以下であることが好ましい。電荷発生層には、必要に応じて、例えば、増感剤、レベリング剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、整流性材料を添加することもできる。電荷発生層の膜厚は、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層上には、電荷輸送層が形成される。電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解させて得られる電荷輸送層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
電荷輸送物質としては、例えば、ピレン化合物、N−アルキルカルバゾール化合物、ヒドラゾン化合物、N,N−ジアルキルアニリン化合物、ジフェニルアミン化合物、トリフェニルアミン化合物、トリフェニルメタン化合物、ピラゾリン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ブタジエン化合物が挙げられる。これら電荷輸送物質は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これら電荷輸送物質の中でも、電荷の移動度の観点から、トリフェニルアミン化合物が好ましい。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリアリレート(polyarylate)樹脂、塩化ビニリデン、アクリロニトリル共重合体、ポリビニルベンザール樹脂が挙げられる。これらは、単独、混合または共重合体として、1種または2種以上用いることができる。
電荷輸送層には、必要に応じて、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
電荷輸送層における電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、結着樹脂1質量部に対して電荷輸送物質が0.3質量部以上10質量部以下であることが好ましい。電荷輸送層が1層である場合、その電荷輸送層の膜厚は、5μm以上40μm以下であることが好ましく、8μm以上30μm以下であることがより好ましい。電荷輸送層を積層構成とした場合、支持体側の電荷輸送層の膜厚は、5μm以上30μm以下であることが好ましく、表面側の電荷輸送層の膜厚は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
電荷発生層、電荷輸送層の塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤が挙げられる。
電子写真感光体の耐摩耗性やクリーニング性の向上を目的として、電荷輸送層上に保護層を形成してもよい。保護層は、結着樹脂を溶剤に溶解させて得られる保護層用塗布液の塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
保護層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリアリレート(polyarylate)樹脂が挙げられる。
また、保護層は、重合性のモノマーあるいはオリゴマーを溶剤に溶解させて得られる保護層用塗布液の塗膜を形成し、塗膜を架橋または重合反応を用いて硬化(重合)させて保護層を形成してもよい。重合性のモノマーあるいはオリゴマーとしては、例えば、アクリロイルオキシ基やスチリル基などの連鎖重合性官能基を有する化合物や、ヒドロキシ基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、エポキシ基などの逐次重合性官能基を有する化合物が挙げられる。
硬化させる反応としては、例えば、ラジカル重合、イオン重合、熱重合、光重合、放射線重合(電子線重合)、プラズマCVD法、光CVD法などが挙げられる。
また、保護層には、導電性粒子や電荷輸送物質を添加してもよい。導電性粒子としては、上記導電層に用いられる導電性顔料を用いることができる。電荷輸送物質としては、上述の電荷輸送物質を用いることができる。
さらに、耐摩耗性と電荷輸送能力の両立の観点から、重合性官能基を有する電荷輸送物質を用いることがより好ましい。重合性官能基としてはアクリロイルオキシ基が好ましい。また、同一分子内に重合性官能基を2つ以上有する電荷輸送物質が好ましい。
また、電子写真感光体の表面層(電荷輸送層または保護層)には、有機樹脂粒子や無機粒子を含有させてもよい。有機樹脂粒子としては、フッ素原子含有樹脂粒子、アクリル樹脂粒子が挙げられる。無機粒子としては、アルミナ、シリカ、チタニアが挙げられる。さらに、導電性粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤などを添加してもよい。
保護層の膜厚は、0.1〜30μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。
上記各層の塗布液を塗布する方法としては、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法を用いることができる。
(実施例)
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。また、電子写真感光体を、以下単に「感光体」ともいう。
(感光体−1の製造例)
直径30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)として使用した。
次に、金属酸化物として酸化亜鉛粒子(比表面積:19m/g、粉体抵抗:4.7×10Ω・cm)100部をトルエン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤(化合物名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)0.8部を添加し、6時間攪拌した。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
次に、ポリオール樹脂としてブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)15部およびブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)15部をメチルエチルケトン73.5部と1−ブタノール73.5部の混合溶液に溶解させた。この溶液に前記表面処理された酸化亜鉛粒子80.8部、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン0.8部(東京化成工業(株)社製)を加え、これを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散した。分散後、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レダウコーニングシリコーン社製)0.01部、架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:TECHPOLYMER SSX−102、積水化成品工業(株)社製、平均一次粒径2.5μm)を5.6部加えて攪拌し、下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で乾燥させて、膜厚が18μmの下引き層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.2°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)20部、下記式(A)で示されるカリックスアレーン化合物0.2部、
Figure 0006415170
ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)10部、および、シクロヘキサノン600部を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、4時間分散処理した後、酢酸エチル700部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を上記下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を15分間80℃で乾燥させることによって、膜厚0.17μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(B)で示される化合物30部(電荷輸送物質)、下記式(C)で示される化合物60部(電荷輸送物質)、下記式(D)で示される化合物10部、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ビスフェノールZ型のポリカーボネート)100部、下記式(E)で示されるポリカーボネート(粘度平均分子量Mv:20000)0.02部を、混合キシレン600部およびジメトキシメタン200部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 0006415170
次に、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)20部/1−プロパノール20部の混合溶剤を、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過した。その後、下記式(F)で示される正孔輸送性化合物90部、
Figure 0006415170
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン70部、および、1−プロパノール70部を上記混合溶剤に加えた。これをポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)製)で濾過することによって、第二電荷輸送層(保護層)用塗布液を調製した。この第二電荷輸送層用塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を大気中において6分間50℃で乾燥させた。その後、窒素中において、支持体(被照射体)を200rpmで回転させながら、加速電圧70kV、吸収線量8000Gyの条件で1.6秒間、電子線を塗膜に照射した。引き続いて、窒素中において25℃から125℃まで30秒かけて昇温させ、塗膜の加熱を行った。電子線照射およびその後の加熱時の雰囲気の酸素濃度は15ppmであった。次に、大気中において30分間100℃で加熱処理を行うことによって、電子線により硬化された膜厚5μmの第二電荷輸送層(保護層)を形成した。
このようにして、円筒状支持体上に電子写真感光体の感光層が形成された、凸形状部形成前の電子写真感光体を得た。
・モールド圧接形状転写による凸形状部の形成
概ね図11に示す構成の圧接形状転写加工装置に、モールドとして概ね図13に示す、凹部の開口部が円形(第1の凹部)および長方形(第2の凹部)である形状のモールドを設置し、作製した凸形状部形成前の電子写真感光体に対して表面加工を行った。モールドの凹部の詳細を表1に示す。なお、モールド表面の1mm四方あたりに凹部の開口面が占める面積の合計をここではPとする。
モールドを圧接形状転写加工装置に設置する際には、図13中の矢印の向きが、電子写真感光体の周方向と平行になるように向きを調整して設置した。
20MPaの圧力で電子写真感光体と加圧部材を押し付けながら、電子写真感光体を周方向に回転させて、電子写真感光体の表面(周面)の全面に凸形状部を形成した。加工時には、電子写真感光体の表面温度が120℃になるように電子写真感光体およびモールドの温度を制御した。
このようにして、表面に2種類の凸形状部を有する電子写真感光体を作製した。この電子写真感光体を感光体−1とする。
・電子写真感光体の表面の観察
得られた2種類の凸形状部を有する電子写真感光体(感光体−1)の表面を、レーザー顕微鏡((株)キーエンス製、商品名:X−100)で50倍レンズにより拡大観察し、上述のようにして電子写真感光体の表面に設けられた凸形状部の判定を行った。観察時には、電子写真感光体の長手方向に傾きが無いように、また、周方向については、電子写真感光体の円弧の頂点にピントが合うように、調整を行った。一辺1mmの正方形領域は、拡大観察を行った画像を画像連結アプリケーションによって連結して得た。また、得られた結果については、付属の画像解析ソフトにより、画像処理高さデータを選択し、フィルタタイプメディアンでフィルタ処理を行った。
上記観察によって、凸形状部の短軸径Lpc、長軸径Rpc、高さH、および観察面の面積中に存在する凸形状部の底面の面積の合計Sなどを求めた。この時、同じ形状をしたモールドの凹部によって転写された凸形状部同士は、底面の形状および高さが同様になっていることを、測定した1mm四方の正方形領域の全ての凸形状部について確認した。
測定結果は以下の通りであった。
(底面が円形の第1の凸形状部)
短軸径Lpc1:29μm
長軸径Rpc1:29μm
高さH1:2μm
第1の凸形状部の底面積の合計S1:0.48mm
(底面が長方形の第2の凸形状部)
短軸径Lpc1:29μm
長軸径Rpc1:120μm
高さH1:2μm
第2の凸形状部の底面積の合計S2:0.29mm
なお、上記断面を、レーザー顕微鏡((株)キーエンス製、商品名:X−100)を用い、観察を行ったところ、上記の走査型電子顕微鏡を用いた場合と同様の結果が得られた。
(感光体−2の製造例)
感光体−1の製造例において、モールドとして概ね図14に示す、凹部の開口部が円形である形状のモールドを用いた。モールドの凹部の詳細を表1に示す。
図14に示すモールドに形成されている凹部はいずれも同じ形状をしている。また、モールドを圧接形状転写加工装置に設置する際には、図14中の矢印の向きが、電子写真感光体の周方向と平行になるように向きを調整して設置した。それ以外は、感光体−1の製造例と同様にして電子写真感光体を作製した。
得られた表面に凸形状部を有する電子写真感光体を感光体−2とする。
感光体−1の製造例と同様にして、得られた電子写真感光体の表面の観察を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006415170
Figure 0006415170
得られた表面に凸形状部を有する各電子写真感光体の評価を以下のように行なった。
(実施例1)
感光体−1を、キヤノン(株)製の電子写真装置(商品名:iR−ADV C5255)改造機のブラックステーションに装着した。ブラックの単色印刷で、A3サイズの普通紙に、解像度600dpiで1dot2spaceの横線画像を出力した。得られた画像を以下の基準に従って目視で評価した。結果を表3に示す。
(評価基準)
A:モアレの発生なし
B:軽微なモアレが発生
C:モアレが発生
(比較例1)
実施例1において、感光体−1の代わりに感光体−2を用いた以外は実施例1と同様にして画像を出力し、評価した。結果を表3に示す。
Figure 0006415170
表3に示すように、電子写真感光体の表面に同一形状の凸形状部のみが高密度に配置された感光体−2に比べ、2種類の凸形状部を有する感光体−1の方が、モアレの発生が抑制されることが分かる。
(感光体−3の製造例)
感光体−1の製造例と同様にして、支持体上に導電層、下引き層、電荷発生層を形成した。次に、感光体−1の製造例で用いた電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚25μmの電荷輸送層を形成し、凸形状部形成前の電子写真感光体を得た。
凸形状部の形成には、モールドとして、不規則に配置された直径の異なる2種類の円形の凹部を有するモールドを用いた。使用したモールドの概略図を図15に示す。また、モールドの凹部の詳細を表4に示す。モールドを圧接形状転写加工装置に設置する際には、図15中の矢印の向きが、電子写真感光体の周方向と平行になるように向きを調整して設置した。
25MPaの圧力で電子写真感光体と加圧部材を押し付けながら、電子写真感光体を周方向に回転させて、電子写真感光体の表面(周面)の全面に凸形状部を形成した。加工時には、電子写真感光体の表面温度が80℃になるように電子写真感光体およびモールドの温度を制御した。
このようにして、不規則に配置された直径の異なる2種類の円形の凸形状部が表面に形成された電子写真感光体を作製した。この電子写真感光体を感光体−3とする。
感光体−1の製造例と同様にして、得られた電子写真感光体の表面の観察を行った。結果を表5に示す。
(感光体−4の製造例)
感光体−1の製造例において、モールドとして、不規則に配置された長方形の開口面を有する凹部と、不規則に配置された円形の開口面を有する凹部が形成されているモールドを用いた。使用したモールドの概略図を図16に示す。また、モールドの凹部の詳細を表4に示す。モールドを圧接形状転写加工装置に設置する際には、図16中の矢印の向きが、電子写真感光体の周方向と平行になるように向きを調整して設置した。モールドの変更以外は、感光体−1の製造例と同様にして表面に凸形状部を有する電子写真感光体を作製した。
得られた表面に凸形状部を有する電子写真感光体を感光体−4とする。
感光体−1の製造例と同様にして、得られた電子写真感光体の表面の観察を行った。結果を表5に示す。
(感光体−5の製造例)
感光体−1の製造例において、モールドとして、不規則に配置された円形の開口面を有する凹部と、不規則に配置された長方形の開口面を有する凹部が形成されているモールドを用いた。使用したモールドの概略図を図17に示す。また、モールドの凹部の詳細を表4に示す。モールドを圧接形状転写加工装置に設置する際には、図17中の矢印の向きが、電子写真感光体の周方向と平行になるように向きを調整して設置した。モールドの変更以外は、感光体−1の製造例と同様にして表面に凸形状部を有する電子写真感光体を作製した。
得られた表面に凸形状部を有する電子写真感光体を感光体−5とする。
感光体−1の製造例と同様にして、得られた電子写真感光体の表面の観察を行った。結果を表5に示す。
(感光体−6の製造例)
感光体−1の製造例において、モールドとして、不規則に配置された長方形の開口面を有する凹部と、不規則に配置された円形の開口面を有する凹部が形成されているモールドを用いた。使用したモールドの概略図を図18に示す。また、モールドの凹部の詳細を表4に示す。モールドを圧接形状転写加工装置に設置する際には、図18中の矢印の向きが、電子写真感光体の周方向と平行になるように向きを調整して設置した。モールドの変更以外は、感光体−1の製造例と同様にして表面に凸形状部を有する電子写真感光体を作製した。
得られた表面に凸形状部を有する電子写真感光体を感光体−6とする。
感光体−1の製造例と同様にして、得られた電子写真感光体の表面の観察を行った。結果を表5に示す。
(感光体−7の製造例)
感光体−1の製造例において、モールドとして、格子状に整列して配置された円形の開口面を有する凹部が形成されているモールドを用いた。使用したモールドの概略図を図19に示す。また、モールドの凹部の詳細を表4に示す。モールドを圧接形状転写加工装置に設置する際には、図19中の矢印の向きが、電子写真感光体の周方向と平行になるように向きを調整して設置した。
モールドの変更以外は、感光体−1の製造例と同様にして表面に凸形状部を有する電子写真感光体を作製した。
得られた表面に凸形状部を有する電子写真感光体を感光体−7とする。
感光体−1の製造例と同様にして、得られた電子写真感光体の表面の観察を行った。結果を表5に示す。
(感光体−8の製造例)
感光体−3の製造例において、モールドとして、格子状に整列して配置された円形の開口面を有する凹部が形成されているモールドを用いた。使用したモールドの概略図は図19に示したものと同じである。モールドの凹部の詳細を表4に示す。モールドを圧接形状転写加工装置に設置する際には、図19中の矢印の向きが、電子写真感光体の周方向と平行になるように向きを調整して設置した。
モールドの変更以外は、感光体−3の製造例と同様にして表面に凸形状部を有する電子写真感光体を作製した。
得られた表面に凸形状部を有する電子写真感光体を感光体−8とする。
感光体−1の製造例と同様にして、得られた電子写真感光体の表面の観察を行った。結果を表5に示す。
(感光体−9の製造例)
感光体−1の製造例において、モールドとして、格子状に整列して配置された円形の開口面を有する凹部が形成されているモールドを用いた。使用したモールドの概略図は図19に示したものと同じである。モールドの凹部の詳細を表4に示す。モールドを圧接形状転写加工装置に設置する際には、図19中の矢印の向きが、電子写真感光体の周方向と平行になるように向きを調整して設置した。
モールドの変更以外は、感光体−1の製造例と同様にして表面に凸形状部を有する電子写真感光体を作製した。
得られた表面に凸形状部を有する電子写真感光体を感光体−9とする。
感光体−1の製造例と同様にして、得られた電子写真感光体の表面の観察を行った。結果を表5に示す。
Figure 0006415170
Figure 0006415170
(実施例2〜5)
実施例1において、感光体−1の代わりに感光体−3〜感光体−6をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして画像を出力し、評価した。結果を表6に示す。
(比較例2〜4)
実施例1において、感光体−1の代わりに感光体−7〜感光体−9をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして画像を出力し、評価した。結果を表6に示す。
Figure 0006415170
表6に示すように、実施例2〜5の電子写真感光体ではモアレの発生が抑制されたことが分かる。一方、比較例の電子写真感光体ではモアレが発生した。

Claims (8)

  1. 支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面が、各々独立して、凸形状部を有し、
    該凸形状部は、該凸形状部1個の底面の面積が異なる、および/または該凸形状部1個の底面の形状が異なる複数の凸形状部からなり、
    該電子写真感光体の表面の任意の位置に一辺が1mmの正方形領域を配置したとき、該一辺1mmの正方形領域に存在する該凸形状部の底面の面積の合計Sが、0.50mm以上0.77mm以下であり、
    前記凸形状部の底面の長軸径が50μm以上500μm以下であり、前記凸形状部の底面の短軸径が20μm以上200μm以下であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記凸形状部の高さHが、0.5(μm)≦H≦3.0(μm)、を満足する請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記凸形状部の底面の形状が、円形、楕円形、または多角形である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面が、各々独立して、凸形状部を有し、
    該凸形状部は、該凸形状部1個の底面の面積が異なる、および/または該凸形状部1個の底面の形状が異なる複数の凸形状部からなり、
    該電子写真感光体の表面の任意の位置に一辺が1mmの正方形領域を配置したとき、該一辺1mmの正方形領域に存在する該凸形状部の底面の面積の合計Sが、0.50mm 以上0.77mm 以下であり、
    前記凸形状部が、該凸形状部の底面の形状が円形である第1の凸形状部と、該凸形状部の底面の形状が多角形である第2の凸形状部とからなることを特徴とする電子写真感光体。
  5. 前記一辺1mmの正方形領域に存在する前記凸形状部の底面の面積の合計Sに対する前記第1の凸形状部の底面の面積の合計S1の比(S1/S)が、1/2以上である請求項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記凸形状部の高さHが、0.5(μm)≦H≦3.0(μm)、を満足する請求項4または5に記載の電子写真感光体。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体、および該電子写真感光体に接触配置されたクリーニング部材を有するクリーニング手段を有し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、および該電子写真感光体に接触配置されたクリーニング部材を有するクリーニング手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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