JP6414450B2 - ホール輸送層材料およびホール輸送層材料を用いた太陽電池 - Google Patents

ホール輸送層材料およびホール輸送層材料を用いた太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、ホール輸送層材料およびホール輸送層材料を用いた太陽電池に関する。
太陽電池には、シリコン系、化合物半導体、有機半導体などの素子を用いたものが一般的であるが、高い光捕集能に加え、薄膜化や低コスト化の可能な有機および無機のハイブリッド型太陽電池が注目されている。
非特許文献1には、透明導電膜付きガラス基板と、緻密な二酸化チタン(TiO2)膜からなる再結合防止層と、光によって励起して電子を発生する色素としてヨウ化鉛(PbI2)及びメチルアンモニウムアイオダイド(CH3NH3I)を、多孔質の二酸化チタン(TiO2)に吸着させて形成される電解層と、ホール輸送層と、電極とを備えたハイブリッド型太陽電池が示されている。
この電解層は、スピンコート法を用いてPbI2を多孔質TiO2の孔内部に浸透させた後、CH3NH3Iを含んだ溶液に浸漬させる二段階工程を用いて製造される。その結果、速やかにペロブスカイト色素(CH3NH3 PbI3)の結晶が生成されるので、光電変換効率の向上が図られている。
また、ホール輸送層に用いられるホール輸送層材料として、下記一般式(A)に示す2,2',7,7'-テトラキス(N,N'-ジ-p-メトキシフェニルアミノ)-9,9'-スピロビフルオレン(2,2',7,7'-tetrakis(N,N'-di-p-methoxyphenylamine)-9,9'-spirobifluorene(一般呼称「Spiro-OMeTAD」、以下、本呼称を使用))が使用されている。ペロブスカイト色素の結晶が光を吸収することによって電子とホールを生じる。ホールは、ホール輸送層材料により対極に輸送され、電子は光極に移動するといったサイクルを繰り返すことで発電する。
Burschka, J. et al, Sequential deposition as a route to high-performance perovskite-sensitized solar cells, Nature, 2013.07.10, volume499, p316-319, doi:10.1038/nature12340
上述したように、ハイブリッド型太陽電池は高い光捕集能を備えており、室内などの弱い光のエネルギー下でも発電性能が高いことから、様々な環境下での利用が期待されている。一方、非特許文献1のハイブリッド型太陽電池においてホール輸送層材料として使用されるSpiro-OMeTADは、分子構造が嵩高く、このため分子間の電気的な接触が得られ難いという問題点があった。そのため、ドーパントとしてコバルト錯体等を添加することによってホール輸送層として機能するものであった。したがって、このドーパントの添加量や混ざり具合(濃度分布)によって、太陽電池の性能が変化し、安定して同一の機能を発揮させることが難しかった。
また、Spiro-OMeTADをホール輸送層材料として積層した場合等において、上述した分子構造に起因して隣接する分子間に隙間が生じ、この隙間に様々な分子が取り込まれる可能性がある。そのため、Spiro-OMeTADによりホール輸送層を作製する際には、例えば、Spiro-OMeTADをドーパント等との混合し、この混合物を溶媒に溶解して塗布後、加温して溶媒を蒸発させる。しかしながら、Spiro-OMeTAD分子間の隙間に溶媒分子が取り込まれると、この分子を完全に取り除くことは困難であり、これに起因して太陽電池性能が安定しないという問題点もあった。しかも、太陽電池として構築した場合において、使用時において、環境中の水分子が前記隙間に入り込み、太陽電池性能や耐久性の低下を招くおそれがあった。
また、Spiro-OMeTADの合成は、その反応工程数が多く、また精製に際しても多くの工程数が必要であることから、結果として、Spiro-OMeTADの高価格化を招いていた。
そこで、本発明は、優れたホール輸送性を有し、かつ耐久性にも優れたホール輸送層材料を安価に提供することを目的とする。また、本発明は、当該ホール輸送層材料を用いて、電池性能の高い太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、分子内にスピロ環構造を持つホール輸送層材料が、分子の平面性が高く、これにより分子を重ねた場合にπ共役系等の分子間の電気的結合が良好に確保でき、優れたホール輸送性を有することを見出した。また、当該ホール輸送層材料をハイブリッド型太陽電池等のホール輸送層に用いた場合、当該ホール輸送層材料が優れたホール輸送性を有することから、電池性能が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に係るホール輸送層材料の特徴構成は、下記一般式(1)で示される化合物である。
(一般式(1)において、n、n、n、及びnは、独立的に1〜3の整数であり、X、X、X、及びXは、独立的に-O-、-S-、-Se-若しくは-NH-であり、Y、及びYは、独立的に-S-、-Se-、若しくは-NH-であり、A、A、A、及びA4は独立的にフェニレン、チオフェンジイル、チアゾールジイルであり、B、B、B、B、B、B、B、及びBは、独立的に-OR1、-SR、-SeR、-N-R・R、-NHR、若しくは-R(ここで、R、R、R、R、R、R、及びRは独立的に炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐炭化水素基である)である。)
好適例としては、下記一般式(2)で示される化合物である。
上記構成によれば、安定的かつ効率的にホールを捕捉し移動させることが可能な優れたホール輸送性を有するホール輸送層材料を提供することができる。本構成のホール輸送層材料はドーパントを添加せずとも良好なホール輸送性を発揮することができ、耐久性の面でも優れた特性を有する。
詳細には、本構成のホール輸送層材料は、スピロ炭素原子がスピロ環構造の中心に位置し、当該スピロ環構造がひずみを吸収するため分子の全体としての平面性が高まる。その結果、弱い相互作用による分子間の結合が形成され、分子間の電気的な結合が確保され、良好なホール輸送性を示すことができる。上述の通り、本構成のホール輸送層材料は、その分子構造の平面性が高いことから分子間に空隙が生じず、ホール輸送性能を低下させる要因と成り得る他の分子が本発明のホール輸送層材料の分子間に混入する等の不具合を防止することができる。これにより、ホール輸送性能が安定し、かつ耐久性の面でも優れた性能を発揮することができる。
さらに、本構成のホール輸送層材料は、上述のSpiro-OMeTADと比較して合成に際しての反応工程が少なく、精製も容易であることから合成に要する工程数を低減することができる。このため、安価に合成が可能であり、ひいては太陽電池自体の価格低減を図ることが可能となる。
本発明に係る太陽電池の特徴構成は、透明導電膜を有する基板、電子を前記透明導電膜に受け渡し、且つ逆電子移動を防止する再結合防止層、光によって励起して前記電子を発生する色素を多孔質半導体に吸着させて形成される電解層、前記色素から発生したホールが通過し、前記ホール輸送層材料を有するホール輸送層、の順に積層される積層体と、前記透明導電膜を介して前記電子を放出する光極、および、前記ホール輸送層の表面に設けられた対極で構成される電極と、を備えている点にある。
本構成のように、優れたホール輸送性を有するホール輸送層材料を太陽電池のホール輸送層に用いることで、光電変換効率が向上する。さらに、ホール輸送層材料の優れた耐久性によって、太陽電池の耐久性が高まる。このように、ホール輸送層材料を有するホール輸送層によって、太陽電池の電池性能の向上を図ることができる。
ハイブリッド型太陽電池の模式断面図である。 ハイブリッド型太陽電池の発電説明図である。 ホール輸送層材料の好適例を示す図である。 ホール輸送層材料の好適例を示す図である。 ホール輸送層材料の分子構造と従来の分子構造とを比較した図である。 ホール輸送層材料の分子構造と従来の分子構造とを比較した図である。 ホール輸送層材料の合成スキームを示す図である。 ハイブリッド型太陽電池の作製手順である。 ホール輸送層材料にドーパントを添加しない場合の太陽電池の性能曲線を示す比較図である。 ホール輸送層材料にドーパントを添加した場合の太陽電池の性能曲線を示す比較図である。
以下に、特定構造を有するホール輸送層材料を用いたハイブリッド型太陽電池10(太陽電池の一例。以下、太陽電池10と記載する。)の実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
(基本構成)
図1に示すように、太陽電池10は、透明基板21及び透明導電膜22を有する基板2と、基板2上に設けられ、電子を透明導電膜22に受け渡し、且つホール輸送層5と透明導電膜22とを分離して電子とホールとの再結合(逆電子移動)を防止する再結合防止層3と、再結合防止層3上に設けられ、光によって励起して電子を発生する色素44を多孔質半導体41に吸着させて形成される電解層4と、電解層4上に設けられ色素44で発生したホールが通過するホール輸送層5とで構成される積層体11を備えている。また、再結合防止層3の表面に設けられ、透明導電膜22を介して電子を放出する光極61と、ホール輸送層5の表面に設けられ、電子を受け取る対極62とで構成される電極6を備えている。なお、電極6の配置は、例えば透明導電膜22に導線接続して光極61を形成するなど、電子の受け渡しが可能なものであれば特に限定されない。また、太陽電池10の耐久性を高めるため、対極62を透明基板21などで保護しても良い。
透明基板21は、光透過性を有するもので構成される。例えば、透明ガラス基板、すりガラス状の半透明ガラス基板、透明樹脂基板等を適用することができる。また、透明導電膜22は、例えば、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化スズ(TO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)やアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)などを用いることができる。
再結合防止層3及び多孔質半導体41は、金属酸化物が適しており、例えば、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb2O5)、二酸化スズ(SnO2)や酸化アルミニウム(Al2O3)などが用いられる。特に、色素44を吸着するための表面積を多く確保できる二酸化チタン(TiO2)が好ましい。また、再結合防止層3は、一部が透明導電膜22に延出して形成され、透明導電膜22が区画される。さらに、再結合防止層3は、電子が積層方向に通過することができるが、横方向への移動がし難いように緻密な絶縁層31を形成している。つまり、再結合防止層3から侵入した電子は、透明導電膜22の積層方向に円滑に移動して光極61に供給されると共に、絶縁層31によって対極62への移動が防止されるので短絡しない。
色素44は、鉛及びハロゲン元素Xで構成される化合物(PbX2、X=ハロゲン元素)と、メチルアンモニウムハライド(CH3NH3X、代表例としてメチルアンモニウムアイオダイド(CH3NH3I:以下、MAIと記載)あるいはフォルムアミジニウムハイドライド(CH2=NHX)あるいはこれらの混合物とを反応させて生成される。具体的には、多孔質半導体41の孔内部に鉛ハロゲン化物(PbX2)を含む溶液42を浸透・乾燥させた後、MAIの混合溶液43に浸漬して、ペロブスカイト色素44(X=Iの場合、CH3NH3 PbI3)の結晶が速やかに生成される。なお、ハロゲン元素Xは、ヨウ素、臭素や塩素などを用いることができるが、形態安定性の高いヨウ素を用いることが好ましい。
ホール輸送層5は、後述するホール輸送層材料を用いる。電極6は、例えば、金、白金、銀、銅等の金属の単体や合金、あるいはフッ素ドープ酸化スズ(FTO)やスズドープ酸化インジウム(ITO)といった酸化物導電体などを用いることができる。
ここで、図2を用いて太陽電池10が発電する原理について説明する。透明基板21に太陽光や室内光等の光が入射すると、この入射光はほとんど吸収されることなく基板2や再結合防止層3を透過して、大部分が電解層4に到達する。そして、電解層4に到達した入射光が色素44に照射されると、この色素44は光エネルギーを吸収して励起する。この励起により、色素44のエネルギー準位が多孔質半導体41である金属酸化物の伝導帯電位よりも所定レベル以上高くなると、色素44から多孔質半導体41へと電子が注入される。注入された電子は、再結合防止層3を経て光極61で集電される。
一方、色素44で発生したホールは、ホール輸送層5を経由して対極62へ到達し、ここで外部負荷7を経由してきた電子と再結合する。つまり、光極61と対極62との間に電位勾配が生じるので、両極間に外部負荷7を接続することによって、電力を供給することができる。
〔ホール輸送層材料〕
本実施形態に係るホール輸送層材料の分子構造は、中心構造体として、1個の炭素原子を共有して結合したスピロ環構造と当該スピロ環構造に隣接し縮重結合したヘテロ環構造を有する。
ホール輸送層材料は、下記一般式(1)で示される。
上記一般式(1)において、n、n、n、及びnは、独立的に1〜3の整数であり、直鎖炭化水素鎖の数を示す。このように構成することにより、スピロ炭素原子を共有して連結された2個の環状構造が7〜11員環となる。n、n、n、及びnは、1〜3の整数である限り、一部が異なっていてもよいが、好ましくは同じ数で構成される。同じ数で構成される場合、n、n、n、及びnが1であるときは2個の環状構造が7員環であり、2であるときは9員環であり、3であるときは11員環であり、特に好ましくは、7員環である。
X、X、X、及びXは、独立的に-O-、-S-、-Se-若しくは-NH-である。このように構成することにより、スピロ環状構造は、酸素原子、窒素原子、セリン原子、及び窒素原子から選択されるヘテロ原子を有する。それぞれが異なるヘテロ原子、若しくは一部が異なるヘテロ原子で構成されてもよいが、好ましくは同じヘテロ原子で構成される。特に好ましくは、酸素原子を含んでスピロ環状構造が形成される。
Y、及びYは、独立的に-S-、-Se-、若しくは-NH-である。一般式(1)の化合物は、スピロ環状構造に2つの炭素原子を共有して縮重結合した2つの縮重ヘテロ環構造を有するが、上記の通り構成することにより、当該縮重ヘテロ環構造は、ヘテロ原子として硫黄を含むチオフェン環、セリン原子を含むセレノフェン環、窒素原子を含むピロール環構造をとる。2つの縮重ヘテロ環構造が異なるヘテロ原子を含んだ異なるヘテロ環構造で構成されてよいが、好ましくは同じ環状構造を有する。特に好ましくは、ヘテロ原子として硫黄を含むチオフェン環構造として構成される。
A、A、A、及びA4は、独立的にフェニレン基、チオフェンジイル基、チアゾールジイル基である。このように構成することで、置換ジフェニルアミノ基と中心構造体であるスピロ環に縮重結合したヘテロ環が、フェニレン基、チオフェンジイル基、又はチアゾールイル基を介して連結される。A、A、A、及びA4は、異なる基、若しくは一部が異なる基であってもよいが、好ましくは同じ基である。
ここで、フェニレン基は、ベンゼン環の炭素原子から2個の水素原子を除いてできる二価基である。取り除かれる2個の水素原子の位置関係により3種類のフェニレン基があり、これらの何れであってもよい。具体的には、取り除かれる2個の水素原子がオルト位である1,2-フェニレン、メタ位である1,3-フェニレン、パラ位である1,4-フェニレンがあり、好ましくは、1,4-フェニレンである。チオフェンジイル基は、チオフェン環の炭素原子から2個の水素原子を除いてできる2価基である。取り除かれる2個の水素原子の位置関係により、チオフェン-2,3-ジイル、チオフェン-2,4-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、チオフェン-3,4-ジイルがあり、これらの何れであってもよいが、好ましくは、チオフェン-2,5-ジイルである。チアゾールジイル基は、チアゾール環の炭素原子から2個の水素原子を除いてできる二価基である。チアゾールは、5員環の1位に硫黄原子、3位に窒素原子を有する。取り除かれる2個の水素原子の位置関係により、チアゾール-2,4-ジイル、チアゾール-2,5-ジイル、チアゾール4,5-ジイルがあり、これらの何れであってもよいが、好ましくは、チアゾール-2,5-ジイルである。また、チアゾールの異性体として、5員環の1位に硫黄原子、2位に窒素原子を有するイソチアゾールが存在し、かかるイソチアゾール環由来の二価基であってもよい。取り除かれる2個の水素原子の位置関係により、イソチアゾール-3,4-ジイル、イソチアゾール-3,5-ジイル、イソチアゾール4,5-ジイルがあり、これらの何れであってもよい。
B、B、B、B、B、B、B、及びBは、独立的に-OR、-SR、-SeR、-N-R・R、-NHR、若しくは-Rである。ここで、R、R、R、R、R、R及びRは、独立的に炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐炭化水素基である。ここで、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐炭化水素基は、好ましくは炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐飽和炭化水素基、例えば、炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐アルキル基である。B、B、B、B、B、B、B、及びBは、異なる基、若しくは一部が異なる基であってもよいが、好ましくは同じ基である。
アルキル基としては、これらに限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、n-ペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、s-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、s-ヘキシル基、t-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、s-ヘプチル基、t-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、s-オクチル基、t-オクチル基、ネオオクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、s-ノニル基、t-ノニル基、ネオノニル基、n-デシル基、イソデシル基、s-デシル基、t-デシル基、ネオデシル基、n-ウンデシル基、イソウンデシル基、s-デシル基、t-デシル基、ネオウンデシル基、n-ドデシル基、イソドデシル基、s-ドデシル基、t-ドデシル基、ネオドデシル基等を利用することができる。なお、“n”は、“normal”の略、“s”は、“sec”及び“secondery”の略、“t”は、“tert”及び“tertiary”の略である。
〔ホール輸送層材料の好適例〕
ホール輸送層材料の好適例は、4,4',4'',4'''-(2H,2'H,4H,4'H-3,3'-spiro-bi[thieno[3,4-b][1,4]dioxepine]-6,6',8,8'-tetrayl)tetrakis(N,N-bis(4-methoxyphenyl)anilineであり、一般式(2)として下記に示す。明細書中、本実施形態におけるホール輸送層材料を「PST1」と称する場合があるが、限定されるものではない。
さらに、ホール輸送層材料の好適例を図3〜図4に示す。
〔ホール輸送層材料の特性〕
本実施形態に係るホール輸送層材料は、上記特定の構造を有することで、安定的かつ効率的にホールを捕捉し移動させることができる優れたホール輸送性を有する。また、このホール輸送層材料は、耐久性の面でも優れた特性を有する。当該ホール輸送層材料はハイブリッド型太陽電池10のホール輸送層材料として好適に利用することができ、ホール輸送層材料として優れたホール輸送性を発揮し、太陽電池10の光電変換効率及び耐久性を高め、電池性能の向上に寄与することができる。
本実施形態に係るホール輸送層層材料の特徴的構造とそれに起因すると考えられる有利な特性について、一般式(2)に示すPST1を例にとり詳細に説明する(図5、図6参照)。
PST1は、その分子構造において、スピロ炭素原子が2個の7員環からなるスピロ環構造の中心に位置する。かかるスピロ環構造がひずみを吸収するため、当該スピロ環構造に隣接する2個のチオフェン環構造(チエノ基)は同一平面を占めるような配位をとる。これにより、分子の全体としての平面性が高まる(図5の(a),(b))。この結果、弱い相互作用による分子間の結合が形成され、分子間の電気的な結合(多重 CH/π水素結合(multiple CH/π hydrogen bond)、π/π分子間短接触(π/π intermolecular short contact))が確保される(図6の(a),(b))。これにより、良好なホール輸送性を示す。
従来のSpiro-OMeTADを、ホール輸送層材料を使用する場合には、ホール輸送効率を向上させる機能を有するドーパントの添加を要する。一方、PST1をはじめとする本実施形態のホール輸送層材料はドーパントを添加せずとも良好なホール輸送性を発揮することができる。これにより、太陽電池10の製作が簡便化され、かつホール輸送層材料の組成が安定であることから常に同一の性能が得られるようになる。
また、上述のSpiro-OMeTADをホール輸送層として積層する等、基板上に固定化した際には、その分子構造より分子間に隙間が生じ、他の分子が混入する等の不具合があった(図5の(b)、図6の(c),(d))。詳細には、Spiro-OMeTADの分子中心のスピロ環構造が5員環構造であり分子が90%程度ねじれた構造をとる。そのため、分子構造が嵩高くなり、分子間隙間に溶媒分子が侵入しホール輸送を遮ったり、またドーパントとして添加したコバルト錯体の脱落等が生じる等、ホール輸送性を安定的かつ持続的に発揮することができなかった。しかしながら、PST1は、分子間に空隙が生じず、他の分子が分子間に混入する等の不具合を防止することができると共に、分子間の電気的結合を確保することができるため、上述の通りドーパントの添加を要しない。これにより、ホール輸送性能が安定し、かつ耐久性の面でも優れた性能を発揮することができる。
更に、PST1は、上述のSpiro-OMeTADと比較して合成に際しての反応工程が少なく、精製も容易であることから合成に要する工程数を低減することができる。このためPST1は、Spiro-OMeTADと比較して、安価に合成が可能であり、ひいては太陽電池10自体の価格低減を図ることが可能となる。
〔ホール輸送層材料の合成方法〕
本実施形態に係るホール輸送層材料の合成方法は、下記の実施例1に記載の合成方法を参照して容易に合成することができる。なお、実施例1は、ホール輸送層材料の好適例であるPST1の合成方法の一例を示すものであり、これに限定するものではなく、適宜他の方法を用いて合成することができる。
反応化合物や試薬を適宜変更することにより、PST1とは、スピロ環構造のヘテロ原子やスピロ環の大きさ、スピロ環構造に縮重結合したヘテロ環の種類、ジフェニルアミン基の置換基の種、若しくは、前記ヘテロ環とジフェニルアミン基を連結する基の種類が異なるホール輸送層材料を合成することができ、かかるホール輸送層材料も本実施形態に含まれる。例えば、図7のAにおいて、出発物質である3,4-ジメトキシチオフェンのチオフェン環を、セレノフェン環、ピロール環等に変更することができ、また、ペンタエリトリトールのスピロ炭素原子に続く炭化水素鎖の長さやヒドロキシ基を変更することができる。また、図7のBにおいて、4-ブロモアニリンのフェニール環をチオフェン環やチアゾール環に変更することができ、また、4-イオドアニソールのメトキシ基をアルキルスルファニル基やアルキル基等に変更することができる。
(実施例1)
以下、実施例1として、ホール輸送層材料の合成例を示す。但し、この実施例に限定されるものではない。
本実施例で、合成を行ったホール輸送層材料は、前述の一般式(2)に示す「PST1」と称するものである。合成スキームについて、図7を用いて説明する。
A.チオフェンベースのスピロ化合物の合成経路
(工程1)TSの合成
3,4-ジメトキシチオフェン(3,4-dimethoxythiophene)(2.0g、0.014モル)、p-トルエンスルホン酸(p-toluenesulphonic acid)(0.26g、0.00138モル)、ペンタエリトリトール(pentaerythritol)(11.3g、0.083モル)を500mlの丸底フラスコ中のトルエン(250ml)に溶解した。これを乾燥窒素気流下で24時間還流し、室温まで冷却後、純水にて洗浄した。 続いて、有機層を分離し乾燥した。得られた粗生成物の混合物をシリカゲルカラムを用いて精製した後、溶媒を減圧下で揮発除去した。得られた固体は、クロロホルムを用いて再結晶を行い、TSの白い結晶(収量2.5g、収率61%)を得た。
得られたTSのNMR解析の結果は以下の通りであった。
1H NMR(400MHz、クロロホルムd)δ6.49(s、2H)、4.08(s、8H)。
13C NMR(CDCl3)δ(ppm): 50.67、71.37、105.39、149.04。
(工程2)BTSの合成
工程1で得られたTS(0.5g、0.00169モル)をクロロホルム30mlに溶解し、これにN-ブロモスクシンイミド(N-Bromosuccinimide(以下、「NBS」と称する場合がある))(1.35g、0.0076モル)のDMF(30mL)溶液を45分かけてゆっくり加えた。その後さらに室温で6時間撹拌後、減圧して溶媒を揮発させて反応溶液を濃縮した。この濃縮物に純水(200mL)を撹拌しながら加え、生じた沈殿物を濾別した。続いて、この沈殿物を、水、次いでメタノールで洗浄した。得られた粗生成物はTHF/MeOH (1/3)を用いた再結晶によって精製し、BTSの白い結晶(収量1.2g、収率76%)を得た。
得られたBTSのNMR解析の結果は以下の通りであった。
1H NMR (CDCl3)δ(ppm): 4.16(s、8H)。
13C NMR(CDCl3)δ(ppm): 146.07、91.33、71.03、50.84。
B.ドナーの合成経路
(工程3)OMT Brの合成
キシレン(30mL)に対し、4-ブロモアニリン(4-bromoaniline)(5.00g、29.2mmol)、4-イオドアニソール(4-iodoanisole)(14.4g、61.3mmol)、CuI(0.28g、1.46mmol)、KOH(12.8g、228mmol)と1,10-フェナントロリン(1,10-phenanthroline)(0.26g、1.46mmol)を加え、この反応混合物を120℃まで加熱した。36時間にわたって加熱撹拌を継続した。続いて、反応混合物を室温まで放冷し、CH2Cl2(200mL)を加えて希釈した後、純水150mLで4回洗浄した。有機層は無水MgSO4を用いて乾燥させた後、溶媒は減圧下で蒸発させた。粗生成品は、シリカゲルを充填したカラムクロマトグラフィーによって精製し、黄色の油性液体としてOMT Br(収量6.35g、収率57%)を得た。
OMT BrのNMR解析の結果は以下の通りであった。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ7.28 - 7.24(m、2H)、7.07 - 7.02(m、4H)、6.87 - 6.83(m、4H)、6.83 - 6.78(m、2H)、3.82(s、6H)。
(工程4)OMT BPINの合成
工程3で得られたOMT Br(2.0、0.0052モル)、ビス(ピナコラト)ジホウ素(Bis(pinacolato)diboron)(1.6g、0.00625モル)、酢酸カリウム(1.5g、0.0156モル)をジオキサン(40.0ml)に溶解し、乾燥窒素気流下で20分間ガス除去を行った。次いでPd2dba3(25mg)とX-Phos(50mg)を同時に加え、80℃に加熱し12時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷し、MgSO4により乾燥した。粗生成品はシリカゲル・クロマトグラフィーで精製し、黄色の固体としてOMT BPIN(収量1.5g、収率67%)を得た。
OMT BPINのNMR解析の結果は以下の通りであった。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ7.67 - 7.59(m、2H)、7.12 - 7.07(m、4H)、6.92 - 6.88(m、2H)、6.88 - 6.84(m、4H)、3.82(s、6H)、1.35(s、12H)。
C.PST1の合成経路
(工程5)PST1の合成
工程4で得られたOMT BPIN(1.1g、0.00245モル)、工程2で得られたBTS(0.25g、0.00041モル)をトルエン(30.0ml)、K2CO3水溶液(2M 10.0ml)に溶解し、乾燥窒素気流下で30分間ガス除去を行った後、Pd (0)(100mg)を加えた。 この混合物を100℃まで加熱し、24時間撹拌を続けた。反応終了後、室温まで放冷した後、水(100ml)、次いで塩水(100ml)で洗浄し、有機層を分離して乾燥させた。粗生成品は、シリカゲル・クロマトグラフィーで精製し、黄色の固体としてPST1(収量0.31g、収率50%)を得た。
PST1のNMR解析の結果は以下の通りであった。
1H NMR(400MHz、THFd8)δ7.52(d、= 8.5Hz J、8H)、7.03(d、= 8.6Hz J、16H)、6.85(m、J = 6.9Hz、24H)、4.24(s、8H)、3.76(s、24H)。
13C NMR(101MHz、THFd8)δ= 154.45、145.75、142.87、138.76、124.98、124.56、123.25、118.11、116.36、112.61、68.77、52.76、48.67。
〔太陽電池の作製手順〕
引き続き、図8を用いて、太陽電池10の作製手順を説明する。
まず、透明基板21の上に透明導電膜22を形成して基板2を作製する。透明導電膜22は、例えば、CVD(化学的気相成長法)やスパッタリングなどにより透明基板21上に積層される。次いで、レーザースクライブを施して絶縁層31が入る凹部221を形成した後、洗浄する。次いで、基板2上の全面に、ALD(原子層堆積法)やSPD(スプレー熱分解法)などにより再結合防止層3を形成する。次いで、マスキングを施した基板2及び再結合防止層3上の中央付近に、ナノ粒子焼結層である多孔質半導体41を形成する。この多孔質半導体41は、ナノ粒子ペーストを溶媒によって希釈し、4000rpm〜6000rpmの回転速度のスピンコート等で塗布・乾燥した後、マスキングを取り除いて450℃〜550℃で加熱し、焼結形成される。
次いで、例えばヨウ化鉛(PbI2)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液42を調整し、多孔質半導体41上に滴下後、5000 rpm〜8000 rpmの回転速度のスピンコート等により孔内部への浸透と余分な溶液の除去を行い、60℃〜120℃(好ましくは70℃〜90℃)で乾燥させる。
次いで、MAIのイソプロピルアルコール溶液43(2〜20mg/ml)に、基板2・再結合防止層3・ヨウ化鉛が浸透した多孔質半導体41を0℃〜80℃(好ましくは常温)で浸漬し、ペロブスカイト色素44[(CH3NH3)PbI3]を多孔質半導体41の孔内部及び電解層4上に形成した後、純イソプロピルアルコール溶液で灌ぎ、60℃〜120℃(好ましくは70℃〜100℃)で乾燥させる。
次いで、PST1のホール輸送層材料のクロロベンゼン溶液60〜90mg/ml(若干の添加物を含む。)を滴下し、スピンコートにより余分な溶液の除去を行い、乾燥させる。最後に、真空蒸着などによって、金などの薄膜を再結合防止層3及びホール輸送層5の表面に付着させる。
(実施例2)
以下に、太陽電池10における実施例2を説明する。但し、この実施例に限定されるものではない。
まず、20mm×20mm×2mmの透明基板21として透明ガラス板に、透明伝導膜としてのフッ素ドープ酸化スズ(FTO)をCVDにより形成した透明導電膜付きガラス基板(基板2)を用意し、レーザースクライブを施して凹部221を形成し洗浄した。次に、透明導電膜付きガラス基板の全面に、再結合防止層3となる二酸化チタン(TiO2)の緻密層(厚さ150nm)を、SPD(スプレー熱分解法)により形成した。
次に、市販のTiO2ナノ粒子ペーストをエタノールにより4倍に希釈した溶液を滴下し、スピンコートにより再結合防止層3の上に塗布し、80℃で乾燥後、500℃で15分間焼結することで、厚さ300nmの多孔質半導体41となるTiO2ナノ粒子層を形成した。さらに、これを四塩化チタン水溶液(400mmol/l)に70℃で30分間浸漬した後、純水ですすぎ、500℃で30分間焼結した。
次いで、ヨウ化鉛(PbI2)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液42(1.2mol/l)を調整して滴下し、スピンコートによりTiO2ナノ粒子層の内部にヨウ化鉛を浸透させた後、70℃で30分間乾燥させた。
次いで、8mg/mlのメチルアンモニウムアイオダイド(CH3NH3I)イソプロピルアルコール溶液43に、基板2・再結合防止層3・二酸化鉛が含まれる多孔質半導体41を、常温で15分間浸漬した後、純イソプロピルアルコール溶液で灌ぎ、スピンコートした後、100℃で15分間乾燥させた後、室温まで急冷した。これにより、ペロブスカイト色素44[(CH3NH3 )PbI3]の結晶を生成した。
次いで、コバルトドーパントであるFK209(Tris(2-(1H-pyrazol-1-yl)-4-tert-butylpyridine)cobalt(III)Tris(bis(trifluoromethylsulfonyl)imide)を添加した、ホール輸送層材料PST1又はSpiro-OMeTAD 0.02M、FK-209 0.5mMを溶解させたクロロベンゼン溶液60μl滴下し、スピンコートにより余分な溶液の除去を行い、乾燥させることで、電解層4上に厚さ210nmのホール輸送層5を形成した。このとき、比較例としてコバルトドーパントであるFK209を添加しないケースも試作した。最後に、これらが積層した積層体11の表面に真空蒸着法によって金膜を成膜し、光極61と対極62とからなる厚さ100nmの電極6を積層した。
次に、太陽電池10の性能評価を行う。図9は、PST1又はSpiro-OMeTADのクロロベンゼン溶液にFK209を添加した場合における平均電池性能の比較図であり、図10は、PST1又はSpiro-OMeTADのクロロベンゼン溶液にFK209を添加しない場合における平均電池性能の比較図である。
図9〜図10には、電池性能を表す開放電圧(Voc:open circuit voltage)−短絡電流(Isc:short-circuit current)特性が示される。開放電圧Vocとは太陽電池10に電流が流れていないときの電圧であり、短絡電流Iscとは電圧が0Vの時の電流である。図中のJscは、短絡電流Iscを有効受光面積で割った短絡電流密度(mA/cm2)である。
また、表1には、太陽電池10の電池性能を数値化したものを示される。
ここで、形状因子FF(フィルファクター)とは、電流と電圧の積が最大となる点における最大出力Pmaxを(Voc×Jsc)で割って得られる曲線因子であり、PCEは、(Voc×Jsc×FF÷入射光強度)で計算される。
図9〜図10、表1から分かるように、FK209を添加した場合、PST1のホール輸送層材料を用いた太陽電池は、Spiro-OMeTADのホール輸送層材料を用いた太陽電池よりも低い短絡電流密度を示したが、開放電圧や形状因子が高く、結果として変換効率が高い値を示した。また、Spiro-OMeTADのホール輸送層材料を用いた太陽電池は、FK209を添加しない場合はFK209を添加した場合に比べ、開放電圧や形状因子が大きく低下し、変換効率が大幅に低下した。
一方、PST1のホール輸送層材料を用いた太陽電池は、FK209を添加しない場合はFK209を添加した場合に比べ、開放電圧や形状因子が低下したものの、短絡電流密度が大幅に増加した結果、変換効率の低下が抑制された。特に、FK209を添加しない場合におけるPST1のホール輸送層材料を用いた太陽電池は、FK209を添加した場合におけるSpiro-OMeTADのホール輸送層材料を用いた太陽電池よりも変換効率が高かった。これらによって、ホール輸送層材料としてPST1を用いることで、太陽電池の光電変換効率が大きく向上することが立証された。
[その他の実施形態]
上述した実施形態では、PST1のホール輸送層材料を用いた太陽電池10としてハイブリッド型太陽電池を例に示したが、このホール輸送層材料をOPV(有機薄膜太陽電池)、有機EL、有機半導体を用いたデバイスなどに用いても良い。
本発明は、有機及び無機のハイブリッド化合物で生成されるペロブスカイト色素を備えたハイブリッド型太陽電池などに用いられるホール輸送層材料として利用可能である。
2 基板
3 再結合防止層
4 電解層
5 ホール輸送層
6 電極
10 太陽電池
11 積層体
41 多孔質半導体
44 色素
61 光極
62 対極

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で示される化合物であるホール輸送層材料。
    (一般式(1)において、n、n、n、及びnは、独立的に1〜3の整数であり、X、X、X、及びXは、独立的に-O-、-S-、-Se-若しくは-NH-であり、Y、及びYは、独立的に-S-、-Se-、若しくは-NH-であり、A、A、A、及びA4は独立的にフェニレン、チオフェンジイル、チアゾールジイルであり、B、B、B、B、B、B、B、及びBは、独立的に-OR1、-SR、-SeR、-N-R・R、-NHR、若しくは-R(ここで、R、R、R、R、R、R、及びRは独立的に炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐炭化水素基である)である。)
  2. 前記化合物は、下記一般式(2)で示される請求項1に記載のホール輸送層材料。
  3. 透明導電膜を有する基板、
    電子を前記透明導電膜に受け渡し、且つ逆電子移動を防止する再結合防止層、
    光によって励起して前記電子を発生する色素を多孔質半導体に吸着させて形成される電解層、
    前記色素から発生したホールが通過し、前記ホール輸送層材料を有するホール輸送層、の順に積層される積層体と、
    前記透明導電膜を介して前記電子を放出する光極、および、前記ホール輸送層の表面に設けられた対極で構成される電極と、を備えている請求項1又は2に記載のホール輸送層材料を用いた太陽電池。
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