JP6414410B2 - キサンチンオキシダーゼの製造方法 - Google Patents
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反応式:ヒポキサンチン+O2→キサンチン+H2O2
キサンチン+O2→尿素+H2O2
ロドコッカス属菌を宿主としてキサンチンオキシダーゼをコードする遺伝子を組換え発現させることを含む、キサンチンオキシダーゼの製造方法。
項2.
ロドコッカス属菌がロドコッカス・エリスロポリスL−88株である項1に記載の製造方法。
項3.
キサンチンオキシダーゼがアースロバクター・ルテウス由来である項1又は2に記載の製造方法。
項4.
キサンチンオキシダーゼをコードする遺伝子が、配列番号7〜9のいずれかに示される塩基配列を有するプロモーターの制御下にある、項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
項5.
キサンチンオキシダーゼをコードするDNAを配列番号7〜9のいずれかに示される塩基配列を有するプロモーターの制御下に組み込んだ発現ベクター。
項6.
項5に記載のベクターを含む形質転換体。
項7.
項1に記載のキサンチンオキシダーゼ活性を有するポリペプチドをヒポキサンチン及び/又はキサンチンに作用させる工程を含む、生体成分の測定方法。
項8.
項1〜4のいずれかに記載の方法によって得られたキサンチンオキシダーゼを含む、生体成分測定用試薬。
(1−1)キサンチンオキシダーゼ
キサンチンオキシダーゼは、任意であり、公知のもの及び今後開発されるものから適宜選択して利用することができる。本書において、キサンチンオキシダーゼを「XTO」と標記する場合もある。キサンチンオキシダーゼの一態様は、(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるサブユニットと、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるサブユニットとの組合せである。配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドは、成熟型キサンチンオキシダーゼのαサブユニットであり、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドは、成熟型キサンチンオキシダーゼのβサブユニットである。
(b)又は(c)のキサンチンオキシダーゼには、キサンチンオキシダーゼを保持する微生物の個体差、種や属の違いに基づく場合などの天然に生じるバリアント(例えば、一塩基多型)も含まれる。
アミノ酸配列の同一性を算出する方法としては、種々の方法が知られている。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができる。本書では、アミノ酸配列の同一性は、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の同一性アルゴリズムBLAST(Basic local alignment search tool:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)においてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いることにより、算出する。
キサンチンオキシダーゼをコードするDNAは任意であり、公知のもの及び混合見出されるものから適宜選択して使用することができる。キサンチンオキシダーゼをコードするDNAの一態様は、(A)配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするDNAと、配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードするDNAとの組合せである。本書において「タンパク質をコードするDNA」とは、それを発現させた場合に当該タンパク質が得られるDNA、即ち、当該タンパク質のアミノ酸配列に対応する塩基配列を有するDNAのことをいう。従って、タンパク質をコードするDNAには、コドンの縮重によって相違するDNAも含まれる。
塩基配列の同一性を算出する方法としては、種々の方法が知られている。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができる。本書では、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の同一性アルゴリズムAdvanced BLAST 2.1において、プログラムにblastnを用い、各種パラメータはデフォルト値に設定して検索を行うことにより、塩基配列の同一性の値(%)を算出する。
ここで「ストリンジェントな条件」とは、一般には、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。このようなストリンジェントな条件は当業者に公知であって、例えば、Molecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)に記載されている。
好適な一実施形態において、キサンチンオキシダーゼをコードするDNAは、単離された状態で存在するDNAである。ここで「単離されたDNA」とは、天然状態において共存するその他の核酸やタンパク質等の成分から分離された状態であることをいう。但し、単離されたDNAは、天然状態において隣接する核酸配列(例えばプロモーター領域の配列やターミネーター配列など)など一部の他の核酸成分を含んでいてもよい。例えば、染色体DNAの場合の「単離された」状態とは、好ましくは、天然状態において共存する他のDNA成分を実質的に含まない。一方、cDNA分子など遺伝子工学的手法によって調製されるDNAの場合の「単離された」状態では、好ましくは、細胞成分や培養液などを実質的に含まない。同様に、化学合成によって調製されるDNAの場合の「単離された」状態では、好ましくは、dNTPなどの前駆体(原材料)や合成過程で使用される化学物質等を実質的に含まない。本発明のDNAには、本明細書中で説明したDNAと相補的なDNA(cDNA)も含まれる。
(2−1)アクセサリー蛋白質アクセサリータンパク質とは、下記の(d)〜(f)のいずれかのポリペプチドからなる蛋白質である。
(d)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(e)配列番号3に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位したアミノ酸配列からなるポリペプチド
(f)配列番号3に示されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチド
アクセサリータンパク質をコードするDNAは、以下の(G)〜(L)のいずれかのDNAである。
(G)配列番号3に示されるアミノ酸配列をコードするDNA
(H)配列番号6に示される塩基配列からなるDNA
(I)配列番号6に示される塩基配列との同一性が80%以上である塩基配列からなるDNA
(J)配列番号6に示される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA
(K)配列番号6に示される塩基配列において、一若しくは数個の塩基が置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位されている塩基配列からなるDNA
(L)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位したアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA
(3−1)キサンチンオキシダーゼをコードするDNAを組み込んで得られるベクター
上記のキサンチンオキシダーゼをコードするDNAを組み込んだベクター、及びこのベクターを微生物に導入して得られる形質転換体も提供される。
ベクターには、さらに上記で説明するアクセサリータンパク質をコードするDNAが組み込まれていることが好ましい。アクセサリータンパク質を共発現させることにより補因子合成や補因子の酵素タンパク質への配位を活性化し、活性酵素としての生産量が向上する。アクセサリータンパク質の発現には、キサンチンオキシダーゼの発現に持ちられるベクター及びプロモーターを利用することができる。
形質転換体は、上述するキサンチンオキシダーゼをコードするDNAが発現可能な様式で導入されていることが好ましい。DNAの宿主への導入手段は特に制限されないが、例えば、上記で説明するベクターに組み込まれた状態で宿主に導入される。宿主細胞は、本発明のDNAを発現してキサンチンオキシダーゼを生産することが可能である限り、特に制限されない。具体的には、大腸菌、放線菌属、及び枯草菌等の原核細胞、酵母、カビ、昆虫細胞、植物培養細胞、及び哺乳動物細胞等の真核細胞等を使用することができる。好ましくは、原核生物に分類される微生物であり、より好ましくは、放線菌属菌であり、更に好ましくはロドコッカス属菌であり、より更に好ましくはロドコッカス・エリスロポリスであり、特に好ましくはロドコッカス・エリスロポリス L−88株である。
本発明によれば、上記の形質転換体を培養し、得られた培養物よりキサンチンオキシダーゼ酵素活性を持つタンパク質を採取する工程を含むキサンチンオキシダーゼの製造方法も提供される。
上記の方法により製造されるキサンチンオキシダーゼは、以下の(i)〜(iv)の性質を備えることが好ましい。
(i)作用:メディエーター及び過酸化水素の存在下でキサンチンオキシダーゼ酵素活性を示す。
(ii)分子量:SDS PAGEで測定した場合 約105kDaと約31kDaのヘテロダイマー
(iii)安定pH範囲:pH6.0〜9.0である。
(iv)熱安定性:50℃10分間の熱処理後に90%以上の残存活性を有する。
本発明において、キサンチンオキシダーゼの活性測定は以下の条件で行う。
〔活性測定法I〕
<反応試薬>
下記のTris−HCl緩衝液36.0ml、キサンチン溶液2.0ml、オキソン酸カリウム溶液2.0mlを混合して反応試薬とする。
・ 100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)
・ 10mM キサンチン溶液
・ 1mM オキソン酸カリウム溶液
<測定条件>
反応試薬3mlを37℃で5分間予備加温する。XTO溶液0.1mlを添加し、ゆるやかに混和後、水を対照にして37℃に制御された分光光度計で、293nmの吸光度変化を5分間記録する。得られた測定値について、測定時間をX軸、吸光度の値をY軸にプロットし、プロットされた点を結ぶ線が直線になったところ(即ち、時間当たりの急高度の変化が一定になるところ)から1分間あたりの吸光度変化(ΔOD TEST)を求める。盲検はXTO溶液の代わりにXTOを溶解する溶媒を反応試薬に加えて同様に1分間あたりの吸光度変化(ΔOD BLANK)を測定する。これらの値から以下の式(I)に従ってXTO活性を求める。ここでXTO活性における1単位(U)とは、この反応系において1分間に1マイクロモルの尿酸を生成する酵素量として定義される。
・反応式
2キサンチン+O2→→→→→→2尿酸+H2O2
・活性値算出式
XTOの活性(U/ml)={(ΔOD TEST−ΔOD BLANK)×3.1×希釈倍率}/{12.5×0.1×1.0}
<反応試薬>
下記のTris−HCl緩衝液33.27ml、キサンチン溶液2.0ml、オキソン酸カリウム溶液2.0ml、ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液0.5ml、4−アミノアンチピリン溶液1.26ml、ADPS溶液0.97mlを混合して反応試薬とする。
・ 100mM Tris−HCl緩衝液pH7.5
・ 10mM キサンチン溶液
・ 1mM オキソン酸カリウム溶液
・ 500U/ml ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液
・ 24.6mM 4−アミノアンチピリン溶液
・ 31.9mM ADPS溶液
<測定条件>
反応試薬3mlを37℃で5分間予備加温する。XTO溶液0.1mlを添加し、ゆるやかに混和後、水を対照にして37℃に制御された分光光度計で、546nmの吸光度変化を5分間記録する。得られた測定値について、測定時間をX軸、吸光度の値をY軸にプロットし、プロットされた点を結ぶ線が直線になったところ(即ち、時間当たりの急高度の変化が一定になるところ)から1分間あたりの吸光度変化(ΔOD TEST)を求める。盲検はXTO溶液の代わりにXTOを溶解する溶媒を反応試薬に加えて同様に1分間あたりの吸光度変化(ΔOD BLANK)を測定する。これらの値から以下の式(I)に従ってXTO活性を求める。ここでXTO活性における1単位(U)とは、この反応系において1分間に1マイクロモルの尿酸を生成する酵素量として定義される。
・反応式
2キサンチン+O2→→→→→→2尿酸+H2O2
Xanthine oxidase
H2O2+ADPS+4AA→→→→→→dye+H2O
Peroxidase
・活性値算出式
XTOの活性(U/ml)=[{(ΔOD TEST−ΔOD BLANK)×3.1×希釈倍率}/{30.2×0.1×1.0}]×2
本発明の別の一態様は、上記のキサンチンオキシダーゼをヒポキサンチン及び/又はキサンチンに作用させる工程を含む、生体成分の測定方法である。また、本発明の別の一態様は、上記の本発明のキサンチンオキシダーゼを含む、生体成分を測定するための試薬である。
キサンチンオキシダーゼの生産菌である、アースロバクター・ルテウスから目的のキサンチンオキシダーゼ遺伝子を取得するため、精製されたキサンチンオキシダーゼ(東洋紡社製XTO212)からN末端アミノ酸解析を行った。精製キサンチンオキシダーゼを1mg/mlの濃度にイオン交換水に溶解した。それをSDS−PAGEに供し、分子量によってタンパク質を分画した。その結果、図1に示す通り、約105kDa、約90kDa、約68kDa及び約31kDaの場所にバンドが検出された。約68kDaに存在するバンドは、タンパク質の保護剤として用いられている牛血清アルブミン(BSA)であることが予測された。そこで、SDS−PAGEゲルからナイロンメンブレン膜にタンパク質を転写し、約105kDa、約90kDa、及び約31kDaのバンドを切り出し、N末端アミノ酸解析に供した。N末端アミノ酸解析の結果、検出されたアミノ酸配列は以下の通りであった。
約105kDaタンパク質:SGPVPPVTIA
約90kDaタンパク質:ADHGSTLA
約31kDaタンパク質:MDLGTVTDLVPTADPV
これらの配列をもとに、キサンチンオキシダーゼ遺伝子のクローニングを試みた。
アースロバクター・ルテウスのゲノム解析を行った。まず、アースロバクター・ルテウスをLB培地で培養し、菌体を回収した後、ゲノムDNAの精製を行った。ゲノムDNAの精製には、東洋紡社製MagExtractor Plant Genomeを用い、このキットに付属の説明書に従って実施した。精製されたゲノムDNAの解析は、オペロン・バイオテクノロジー社に委託してゲノムシークエンサーGS−FLXを用いて行った。
取得されたDNA配列がキサンチンオキシダーゼをコードすることを確認するため、以下のプライマーセットを用いてキサンチンオキシダーゼ遺伝子をクローニングし、大腸菌発現ベクターpBKSNのNdeI認識サイトとEcoRI認識サイトとに挟まれた領域に導入した。
XdhA_F(NdeI) aaaacatATGGACCTGGGCACCGTCACCGA(配列番号10)
XdhB_R(EcoRI) aaaagaatTCAGCGGGTgGGGGTGGCGGCC(配列番号11)
作製されたキサンチンオキシダーゼ発現ベクターpBKSN−XTOを大腸菌JM109に形質転換し、形質転換体をTB+IM培地(TB培地+1mM IPTG,+0.01mM モリブデン酸アンモニウム)で培養し、得られた大腸菌のキサンチンオキシダーゼ活性を測定した。キサンチンオキシダーゼ活性の検出は、活性測定法Iに示す方法で行った。その結果、大腸菌に35U/Lのキサンチンオキシダーゼ活性が検出された。また、対照として発現ベクターであるpBKSNを導入した大腸菌JM109株についても同様に培養を行い、キサンチンオキシダーゼ活性を測定したが、活性は検出されなかった。
キサンチンオキシダーゼの効率的な発現には、アクセサリータンパク質である、XdhCを共発現することが効果的であると考えられ、XdhC遺伝子の共発現を試みた。XdhC、XdhA、及びXdhBの3つの遺伝子を共発現させるため、以下のプライマーセットを用いて3つの遺伝子を含む領域をクローニングし、大腸菌発現ベクターpBKSNのNdeI認識サイトとEcoRI認識サイトとの間の領域に導入した。
XdhC_F(NdeI) aaaacatATGCTCCACATCGTCGACCGGCT(配列番号12)
XdhB_R(EcoRI) aaaagaatTCAGCGGGTgGGGGTGGCGGCC(配列番号13)
作製されたキサンチンオキシダーゼ発現ベクターpBKSN−XTOを大腸菌JM109に形質転換し、形質転換体をTB+IM培地(TB培地+1mM IPTG,+0.01mM モリブデン酸アンモニウム)で培養し、培養菌体内のキサンチンオキシダーゼ活性を測定した。キサンチンオキシダーゼ活性の検出は、活性測定法Iに示す方法で行った。その結果、大腸菌体内に68U/Lのキサンチンオキシダーゼ活性が検出された。
発現したキサンチンオキシダーゼが野生株アースロバクター・ルテウスから取得されたものと同等であることを確認するため、大腸菌形質転換体からキサンチンオキシダーゼの精製を試みた。酵素の精製は、菌体の破砕、陰イオンクロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーにより行った。取得した酵素液を用いて、酵素特性を評価した。
(1)過酸化水素生成比率の比較
得られた酵素液、アースロバクター・ルテウス野生株が生産するキサンチンオキシダーゼ酵素液、及び対照として、ミルク由来キサンチンオキシダーゼ酵素液を用いて、活性測定法1及び活性測定法IIで酵素活性測定を行い、過酸化水素の生成率を測定した。結果を表1に示す。
上記3種のXTO酵素液を用いて、活性測定法1の基質をキサンチンからヒポキサンチンに代え、同様に酵素活性測定を行った。キサンチンを基質にしたときの酵素活性を100%とし、ヒポキサンチン基質としたときの各酵素の活性を求めた。結果を表2に示す
上記大腸菌発現ベクターpBKSN−XTOから、XdhA、及びXdhBをコードする領域(XTO_AB)、並びに、XdhA、XdhB、及びXdhCをコードする領域(XTO_CAB)をNdeIとEcoRIで切り出し、ロドコッカス属菌用発現ベクターpTip−QC1、pCpi−QC1、pNit−QC1にNdeIとEcoRIサイトで導入した。pTip−QC1は配列番号7に記載のプロモーター配列を保有し、pCpi−QC1は配列番号8に記載のプロモーター配列を保有し、pNit−QC1は配列番号9に記載のプロモーター配列を保有する。ここで、配列番号7はチオストレプトン誘導型プロモーターの塩基配列を示し、配列番号8はメタノール誘導型プロモーターの改変型である、構成型プロモーターの塩基配列を示し、配列番号9は配列番号7で示されるプロモーターの改変型である、構成型プロモーターの配列を示している。
実施例7にて得られた発現ベクターpTip−QC1 XTO_AB,pTip−QC1 XTO_CAB,pCpi−QC1 XTO_AB,pCpi−QC1 XTO_CAB及びpNit−QC1 XTO_CABを用いて、ロドコッカス・エリスロポリスL−88株を宿主として形質転換した。本菌株は、受託番号FERM BP−8444として、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東一丁目1番地1 中央第6)にブタベスト条約の下で国際寄託されている。形質転換方法については、特許文献2を参考に行った。形質転換体の取得には、LBプレート(17μg/ml)を用いた。30℃で3日間培養後、各形質転換体を取得した。尚、「pTip−QC1 XTO_AB」には、XdhA、及びXdhBをコードする領域が含まれており、「pTip−QC1 XTO_CAB」には、XdhA、XdhBに加えて、アクセサリータンパク質であるXdhCをコードする領域が含まれている。
実施例8にて得られたロドコッカス形質転換体(ロドコッカス pTip−QC1 XTO_AB,ロドコッカス pTip−QC1 XTO_CAB,ロドコッカス pCpi−QC1 XTO_AB,ロドコッカス pCpi−QC1 XTO_CAB及びロドコッカス pNit−QC1 XTO_CAB)を用いて、キサンチンオキシダーゼの組換え発現を実施した。手順としては、形質転換体のレプリカプレートよりLB培地(17μg/mlクロラムフェニコール添加)に植菌後、30℃、180rpmの条件で2日間培養した。坂口フラスコに50mlのLB培地を調製し、クロラムフェニコールを終濃度17μg/mlとなるよう添加した後、2日間培養した培養液を植菌後OD660が0.1となるように添加した。チオストレプトン誘導型プロモーターであるTipAプロモーターを用いた発現においては、30℃で20.5h培養後にチオストレプトンを終濃度1μg/mlで添加し、その後さらに30℃で27.5h培養した。構成型プロモーターであるCpiプロモーターあるいはNitプロモーターを用いた発現においては、30℃で48h培養した。これらについて30℃で24時間培養し、培養菌のキサンチンオキシダーゼ活性を測定した。キサンチンオキシダーゼ活性の測定は、活性測定法Iに示す方法で行った。培養菌のキサンチンオキシダーゼは、pTip−QC1 XTO_ABによる形質転換体では0.020U/ml、pTip−QC1 XTO_CABによる形質転換体では0.56U/ml,pCpi−QC1 XTO_ABによる形質転換体では0.015U/ml,pCpi−QC1 XTO_CABによる形質転換体では0.14U/ml,pNit−QC1 XTO_CABによる形質転換体では0.11U/mlのキサンチンオキシダーゼ活性が検出された。また、対照として発現ベクターであるpTip−QC1,pCpi−QC1あるいはpNit−QC1を導入したロドコッカスについても同様に培養を行い、キサンチンオキシダーゼ活性を測定したが、活性は検出されなかった。結果を図4に示す。
(1)過酸化水素生成比率の比較
ロドコッカス・エリスロポリスL−88株をpTip−QC1 XTO_CABで形質転換し、培養することで得られたキサンチンオキシダーゼ(XTO_CAB)及び大腸菌JM109をpBKSN−XTOで形質転換し、培養することで得られたキサンチンオキシダーゼ(XTO_CAB)について上述する活性測定法1及び活性測定法IIを用いて酵素活性測定を行い、過酸化水素の生成率を測定した。その結果を表3に示す。
Claims (4)
- ロドコッカス・エリスロポリスを宿主としてアースロバクター・ルテウス由来のキサンチンオキシダーゼをコードするDNAを組換え発現させることを含む、キサンチンオキシダーゼの製造方法であって、該キサンチンオキシダーゼをコードするDNAと該キサンチンオキシダーゼのアクセサリー蛋白質をコードするDNAが、配列番号7〜9のいずれかに示される塩基配列を有するプロモーターの制御下にある、方法。
- ロドコッカス・エリスロポリスがロドコッカス・エリスロポリスL−88株である請求項1に記載の製造方法。
- アースロバクター・ルテウス由来のキサンチンオキシダーゼをコードするDNAと該キサンチンオキシダーゼのアクセサリー蛋白質をコードするDNAを配列番号7〜9のいずれかに示される塩基配列を有するプロモーターの制御下に組み込んだ、ロドコッカス・エリスロポリスを宿主として使用するための発現ベクター。
- 請求項3に記載のベクターを含み、ロドコッカス・エリスロポリスを宿主とした形質転換体。
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