JP6414410B2 - キサンチンオキシダーゼの製造方法 - Google Patents

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本発明は、キサンチンオキシダーゼ製造方法に関する。また、本発明は、キサンチンオキシダーゼを効率的に発現させるために有効なプロモーター及び、キサンチンオキシダーゼを効率的に発現させるために有効なアクセサリータンパク質、並びにこれらを利用したキサンチンオキシダーゼの生産方法に関する。
キサンチンオキシダーゼはヒポキサンチン及びキサンチンを酸化し、過酸化水素を生成する反応を触媒する酵素である。キサンチンオキシダーゼの作用によって生じた過酸化水素の量を、例えば、色素の変化を利用して測定し、その測定値に基づいて試料中に存在するヒポキサンチン及び/又はキサンチンの量を測定することができる。従来、牛乳中にキサンチンオキシダーゼが存在することが知られている。しかし、牛乳由来キサンチンオキシダーゼをヒポキサンチン及びキサンチンを含有する試料に作用させ、生成する過酸化水素を色素作用させた場合、短時間に色素が分解されて、過酸化水素の量を正確に測定できない。これは、牛乳由来キサンチンオキシダーゼがキサンチンを分解した際に生じる、スーパーオキシドラジカルと過酸化水素の生産比率によると考えられる。牛乳由来キサンチンオキシダーゼは、過酸化水素とともに、約50%の高い比率でスーパーオキシドラジカルを生産すると考えられている(非特許文献3)。生産されたスーパーオキシドラジカルは有機系の色素を酸化し、色素の退色を引き起こすと考えられる。この理由から、牛乳由来キサンチンオキシダーゼは、色素を利用したヒポキサンチン及びキサンチン等の測定に不向きである。
この問題を解決するため、他の生物からのキサンチンオキシダーゼの取得が試みられている。例えば、微生物に由来するものとして、シュードモナス属、エシエリキア属、アースロバクター属、及びノカルデイア属等に属する微生物から得られる酵素(非特許文献1)並びに、エンテロバクター・クロアカエから得られる酵素(非特許文献2)が調べられている。
その中で、特許文献1に記載されている、アースロバクター属に属する微生物が生産するキサンチンオキシダーゼは熱安定性に優れていることが報告されている。当該酵素は、ヒポキサンチン及びキサンチンに基質特異性を有し、ヒポキサンチンをキサンチンして酸化し、さらにキサンチンを尿酸に酸化する反応(下記反応式参照)を触媒し、酵素を電子受容体として過酸化水素を生成する。当該酵素は、60℃で30分間の熱処理後、少なくとも70%の残存活性を有すると報告さえている。
反応式:ヒポキサンチン+O→キサンチン+H
キサンチン+O→尿素+H
さらに、特許文献1には、発色系において基質を測定したところ、牛乳由来キサンチンオキシダーゼが80%であるのに対し、アースロバクター由来キサンチンオキシダーゼは100%であることが示されている。よって、アースロバクター由来キサンチンオキシダーゼはスーパーオキシドラジカルの生産量が低く、発色系での利用に適している。一方、アースロバクター由来キサンチンオキシダーゼをコードする遺伝子の取得、及び、組換え発現に関する試みについては報告されていない。
非特許文献4、5及び6には、放線菌ストレプトマイセス属、マイコバクテリウム属、及びコリネバクテリウム属を宿主とした発現ベクターが報告されている。また、非特許文献7には、ロドコッカス属を宿主とした発現ベクターが報告されている。更に、非特許文献8には、ロドコッカス属を宿主とした発現ベクター、及び構成発現型プロモーター等が報告されている。非特許文献9には、ロドコッカス属のリゾチーム感受性株が報告されている。非特許文献10には、チオストレプトン誘導型プロモーターが報告されている。
特許2917400号 特開2012−5394
J.Bacteriology,130,1175(1977),J.Bacteriol.,135,422(1978) A.B.C.,45,425(1981) J Bacteriol. 1978 Aug;135(2):422−8. FEMS Microbiol Lett.,1993 Dec;114(2):121−8 Microbiol Immunol.2009 Oct;53(10):550−8 FEMS Microbiol Lett.,1999Jun;175(1):11−20 Biotechnol Bioeng.2004 Apr;86(2):136−48 J Biosci Bioeng.2012 May;113(5):596−603 J.Bacteriol.2005 Apr;187(8):2582−91 Appl Environ Microbiol.2004 Seq;70(9):5557−68
本発明者らは、アースロバクター属菌を用いたキサンチンオキシダーゼの生産は、必ずしも効率的ではないことを見出した。その原因を探求したところ、発明者らは、アースロバクター属菌が生産するプロテアーゼが、菌体破砕時にキサンチンオキシダーゼと接触し、これを分解することを突き止めた。そこで本発明者らは、アースロバクター属由来のキサンチンオキシダーゼをコードする遺伝子のクローニングを行い、その全配列を明らかにし、該遺伝子を用いた遺伝子組み換え発現により、プロテアーゼの生産が少ない宿主によるキサンチンオキシダーゼの生産方法を開発した。また、本発明者らは、キサンチンオキシダーゼにモリブデンを配位させるために重要と考えられるアクセサリータンパク質を共発現させることにより、キサンチンオキシダーゼを効率的に生産させられることを見出した。さらに、本発明者らは、得られたキサンチンオキシダーゼの酵素特性がアースロバクター由来野生型キサンチンオキシダーゼと同等であることを確認した。本発明者らは、これらの知見に基づいて安定な品質のキサンチンオキシダーゼを提供する手段を確立し、特許出願(特願2013−147484)を行った。
本発明者らは、さらに検討を重ねたところ、アースロバクター属由来のキサンチンオキシダーゼを大腸菌を宿主として組換え発現させた場合、発現量が低いという問題点を見出した。そこで、本発明は、より効率的にキサンチンオキシダーゼを生産する手段を提供すること等を目的とする。
本発明者らは、アースロバクター属由来のキサンチンオキシダーゼを代表例に組換え発現に用いる宿主を検討した結果、ロドコッカス属菌を宿主とした場合にキサンチンオキシダーゼを大量に生産できることを見出した。さらに本発明者らは、ロドコッカス族菌を宿主とする場合により効率的にキサンチンオキシダーゼを発現するプロモーター見出した。さらに本発明者らは、ロドコッカス宿主を用いた組換え発現においても、キサンチンオキシダーゼにモリブデンを配位させるために有用と考えられるアクセサリータンパク質を共発現させることにより、キサンチンオキシダーゼを効率的に生産させられることを見出した。これらの知見に基づき、以下に代表される発明が提供される。
項1.
ロドコッカス属菌を宿主としてキサンチンオキシダーゼをコードする遺伝子を組換え発現させることを含む、キサンチンオキシダーゼの製造方法。
項2.
ロドコッカス属菌がロドコッカス・エリスロポリスL−88株である項1に記載の製造方法。
項3.
キサンチンオキシダーゼがアースロバクター・ルテウス由来である項1又は2に記載の製造方法。
項4.
キサンチンオキシダーゼをコードする遺伝子が、配列番号7〜9のいずれかに示される塩基配列を有するプロモーターの制御下にある、項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
項5.
キサンチンオキシダーゼをコードするDNAを配列番号7〜9のいずれかに示される塩基配列を有するプロモーターの制御下に組み込んだ発現ベクター。
項6.
項5に記載のベクターを含む形質転換体。
項7.
項1に記載のキサンチンオキシダーゼ活性を有するポリペプチドをヒポキサンチン及び/又はキサンチンに作用させる工程を含む、生体成分の測定方法。
項8.
項1〜4のいずれかに記載の方法によって得られたキサンチンオキシダーゼを含む、生体成分測定用試薬。
本発明によれば、キサンチンオキシダーゼを効率的に生産することができる。本発明によって提供されるキサンチンオキシダーゼは、熱安定性に優れ、腎炎・甲状腺障害の指標となる無機リン、免疫疾患の指標となるアデノシンデアミナーゼ等の測定に適している。また、本発明に従えば、野生株からのキサンチンオキシダーゼ生産において問題となり得る、プロテアーゼ等による分解などの問題を解決することができる。
精製したキサンチンオキシダーゼをSDS−PAGEに供した結果を示す。レーン1は、分子量マーカーであり、レーン2は精製キサンチンオキシダーゼである。 アースロバクター・ルテウスのゲノムDNA解析結果を示す。 アースロバクター・ルテウス由来キサンチンオキシダーゼ遺伝子の解析結果を示す。 アースロバクター・ルテウス由来キサンチンオキシダーゼをコードするDNAを大腸菌及びロドコッカス・エリスロポリスL-88株に導入して得られた形質転換体を培養して得られた培養液のキサンチンオキシダーゼ活性を示す図である。
(1)キサンチンオキシダーゼ及びキサンチンオキシダーゼをコードするDNA
(1−1)キサンチンオキシダーゼ
キサンチンオキシダーゼは、任意であり、公知のもの及び今後開発されるものから適宜選択して利用することができる。本書において、キサンチンオキシダーゼを「XTO」と標記する場合もある。キサンチンオキシダーゼの一態様は、(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるサブユニットと、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるサブユニットとの組合せである。配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドは、成熟型キサンチンオキシダーゼのαサブユニットであり、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドは、成熟型キサンチンオキシダーゼのβサブユニットである。
キサンチンオキシダーゼの別の態様は、(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、0、1若しくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位したアミノ酸配列からなるサブユニットと、配列番号2に示されるアミノ酸配列において、0、1若しくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位したアミノ酸配列からなるサブユニットとから構成され、キサンチンオキシダーゼ活性を有する(ただし、上記(a)のキサンチンオキシダーゼを除く)。ここで、数個とは、例えば、全アミノ酸の約20%未満に相当する数であり、好ましくは約10%未満に相当する数であり、より好ましくは約5%未満に相当する数であり、更に好ましくは約1%未満に相当する数である。より具体的には、変異されるアミノ酸残基の個数は、例えば、配列番号1に示されるアミノ酸配列においては1〜57個、配列番号2に示されるアミノ酸配列においては1〜201個、好ましくは、配列番号1に示されるアミノ酸配列においては1〜28個、配列番号2に示されるアミノ酸配列においては1〜100個、より好ましくは、配列番号1に示されるアミノ酸配列においては1〜14個、配列番号2に示されるアミノ酸配列においては1〜50個、更に好ましくは、配列番号1に示されるアミノ酸配列においては1〜2個、配列番号2に示されるアミノ酸配列においては1〜10個である。
キサンチンオキシダーゼの別の態様は、(c)配列番号1に示されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるサブユニットと、配列番号2に示されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるサブユニットとから構成され、キサンチンオキシダーゼ活性を有する(ただし、上記(a)の場合を除く)。
上記(c)のキサンチンオキシダーゼにおいて、配列番号1に示されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるサブユニットは、もう1つのサブユニットを組合せた場合にキサンチンオキシダーゼ活性を保持する。好ましくは、前記同一性は、85%以上であり、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上、より更に好ましくは93%以上、一層好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。配列番号2のサブユニットについても同様である。
上記(b)又は(c)のキサンチンオキシダーゼは、(a)のキサンチンオキシダーゼを、制限酵素、エキソヌクレアーゼ、又はDNAリガーゼ等による処理、位置指定突然変異導入法、或いはランダム突然変異導入法など公知の手法を利用して得ることができる。紫外線照射など他の方法によっても得ることもできる。キサンチンオキシダーゼの活性を維持するという観点からは、キサンチンオキシダーゼの活性部位又は基質結合部位に影響を与えない部位において上記改変が存在することが好ましい。
(b)又は(c)のキサンチンオキシダーゼには、キサンチンオキシダーゼを保持する微生物の個体差、種や属の違いに基づく場合などの天然に生じるバリアント(例えば、一塩基多型)も含まれる。
<アミノ酸配列の同一性>
アミノ酸配列の同一性を算出する方法としては、種々の方法が知られている。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができる。本書では、アミノ酸配列の同一性は、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の同一性アルゴリズムBLAST(Basic local alignment search tool:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)においてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いることにより、算出する。
(1−2)キサンチンオキシダーゼをコードするDNA
キサンチンオキシダーゼをコードするDNAは任意であり、公知のもの及び混合見出されるものから適宜選択して使用することができる。キサンチンオキシダーゼをコードするDNAの一態様は、(A)配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするDNAと、配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードするDNAとの組合せである。本書において「タンパク質をコードするDNA」とは、それを発現させた場合に当該タンパク質が得られるDNA、即ち、当該タンパク質のアミノ酸配列に対応する塩基配列を有するDNAのことをいう。従って、タンパク質をコードするDNAには、コドンの縮重によって相違するDNAも含まれる。
キサンチンオキシダーゼをコードするDNAの別の態様は、(B)配列番号4に示される塩基配列からなるDNAと、配列番号5に示される塩基配列からなるDNAとの組合せである。配列番号4及び5で示される塩基配列は、それぞれ、成熟型キサンチンオキシダーゼのαサブユニット及びβサブユニットをコードする。
キサンチンオキシダーゼをコードするDNAの別の態様は、(C)配列番号4に示される塩基配列との同一性が80%以上である塩基配列からなるDNAと、配列番号5に示される塩基配列との同一性が80%以上である塩基配列からなるDNAとから構成され、キサンチンオキシダーゼ活性を有するポリペプチドの組合せをコードするDNAの組合せ(ただし、上記(B)の組合せを除く)である。
上記(C)のキサンチンオキシダーゼをコードするDNAにおいて、配列番号4に示される塩基配列との同一性が80%以上である塩基配列からなるDNAは、それがコードするアミノ酸配列を有するサブユニットが、もう1つのサブユニットと組合せたときにキサンチンオキシダーゼ活性を備える限り、配列番号4に示される塩基配列との同一性が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上、より更に好ましくは93%以上、一層好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。配列番号5に示される塩基配列との同一性が80%以上である塩基配列からなるDNAについても、同様である。
<塩基配列の同一性>
塩基配列の同一性を算出する方法としては、種々の方法が知られている。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができる。本書では、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の同一性アルゴリズムAdvanced BLAST 2.1において、プログラムにblastnを用い、各種パラメータはデフォルト値に設定して検索を行うことにより、塩基配列の同一性の値(%)を算出する。
キサンチンオキシダーゼをコードするDNAの別の態様は、(D)配列番号4に示される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAと、配列番号5に示される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとから構成され、キサンチンオキシダーゼ活性を有するポリペプチドの組合せをコードするDNAの組合せ(ただし、上記(B)の組合せを除く)である。
<ストリンジェントな条件>
ここで「ストリンジェントな条件」とは、一般には、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。このようなストリンジェントな条件は当業者に公知であって、例えば、Molecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)に記載されている。
具体的な「ストリンジェントな条件」としては、次の条件を例示することができる。ハイブリダイゼーション液として50%ホルムアミド、5×SSC(0.15M NaCl, 15mM sodium citrate, pH 7.0)、1×Denhardt溶液、1%SDS、10%デキストラン硫酸、10μg/mLの変性サケ***DNA、50mMリン酸バッファー(pH7.5))を用いる。
このような条件でハイブリダイズするDNAの中には途中にストップコドンが存在するものや、活性中心の変異により活性を失ったものも含まれ得るが、それらは、市販の活性発現ベクターに組み込み、適当な宿主で発現させて、酵素活性を公知の手法で測定することによって容易に取り除くことができる。
キサンチンオキシダーゼをコードするDNAの別の態様は、(E)配列番号4に示される塩基配列において、一若しくは数個の塩基が置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位されている塩基配列と、配列番号5に示される塩基配列において、一若しくは数個の塩基が置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位されている塩基配列とから構成され、キサンチンオキシダーゼ活性を有するポリペプチドの組合せをコードするDNAの組合せ(ただし、上記(B)の組合せを除く)である。ここで、数個とは、例えば、全塩基の約20%未満に相当する数であり、好ましくは約10%未満に相当する数であり、より好ましくは約5%未満に相当する数であり、更に好ましくは約1%未満に相当する数である。より具体的には、変異される塩基の個数は、例えば、配列番号4に示される塩基配列においては1〜174個、配列番号5に示される塩基配列においては1〜604個、好ましくは、配列番号4に示される塩基配列においては1〜87個、配列番号5に示される塩基配列においては1〜302個、より好ましくは、配列番号4に示される塩基配列においては1〜43個、配列番号5に示される塩基配列においては1〜151個、更に好ましくは、配列番号4に示される塩基配列においては1〜8個、配列番号5に示される塩基配列においては1〜30個である。
キサンチンオキシダーゼをコードするDNAの別の態様は、(F)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位したアミノ酸配列からなるサブユニットと、配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位したアミノ酸配列からなるサブユニットとから構成され、キサンチンオキシダーゼ活性を有するポリペプチドの組合せをコードするDNAの組合せである。
上記(C)ないし(F)のキサンチンオキシダーゼをコードするDNAは、(A)又は(B)のDNAを市販のキットやPCR法を利用して改変することによって得ることができる。また、キサンチンオキシダーゼをコードするDNAは、本書又は添付の配列表に示される配列情報を基に、化学的DNA合成法により製造、取得することができる、例えば、公知の標準的な遺伝子工学的手法、分子生物学的手法、生化学的手法などを用いることによって容易に調製することができる。得られた遺伝子によってコードされるタンパク質の活性は、後述の活性測定法によって確認することができる。
<本発明のDNA>
好適な一実施形態において、キサンチンオキシダーゼをコードするDNAは、単離された状態で存在するDNAである。ここで「単離されたDNA」とは、天然状態において共存するその他の核酸やタンパク質等の成分から分離された状態であることをいう。但し、単離されたDNAは、天然状態において隣接する核酸配列(例えばプロモーター領域の配列やターミネーター配列など)など一部の他の核酸成分を含んでいてもよい。例えば、染色体DNAの場合の「単離された」状態とは、好ましくは、天然状態において共存する他のDNA成分を実質的に含まない。一方、cDNA分子など遺伝子工学的手法によって調製されるDNAの場合の「単離された」状態では、好ましくは、細胞成分や培養液などを実質的に含まない。同様に、化学合成によって調製されるDNAの場合の「単離された」状態では、好ましくは、dNTPなどの前駆体(原材料)や合成過程で使用される化学物質等を実質的に含まない。本発明のDNAには、本明細書中で説明したDNAと相補的なDNA(cDNA)も含まれる。
(2)アクセサリー蛋白質及びアクセサリー蛋白質をコードするDNA
(2−1)アクセサリー蛋白質アクセサリータンパク質とは、下記の(d)〜(f)のいずれかのポリペプチドからなる蛋白質である。
(d)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(e)配列番号3に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位したアミノ酸配列からなるポリペプチド
(f)配列番号3に示されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(e)のポリペプチドに関し、数個とは、例えば、全アミノ酸の約20%未満に相当する数であり、好ましくは約10%未満に相当する数であり、より好ましくは約5%未満に相当する数であり、更に好ましくは約1%未満に相当する数である。より具体的には、変異されるアミノ酸残基の個数は、例えば、1〜84個、好ましくは、1〜42個、より好ましくは、1〜21個、更に好ましくは、1〜4個である。(f)のポリペプチドに関し、アミノ酸配列の同一性は、上記(1−1)に示した方法で算出される。好ましくは、配列番号3に示されるアミノ酸配列との同一性は、85%以上であり、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上、より更に好ましくは93%以上、一層好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。
(2−2)アクセサリー蛋白質をコードするDNA
アクセサリータンパク質をコードするDNAは、以下の(G)〜(L)のいずれかのDNAである。
(G)配列番号3に示されるアミノ酸配列をコードするDNA
(H)配列番号6に示される塩基配列からなるDNA
(I)配列番号6に示される塩基配列との同一性が80%以上である塩基配列からなるDNA
(J)配列番号6に示される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA
(K)配列番号6に示される塩基配列において、一若しくは数個の塩基が置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位されている塩基配列からなるDNA
(L)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位したアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA
(I)のDNAに関し、塩基配列の同一性は、上記(1−2)に示した方法で算出される。配列番号6に示される塩基配列との同一性は、好ましくは85%以上であり、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上、より更に好ましくは93%以上、一層好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。(J)のDNAに関し、「ストリンジェントな条件」とは、上記)1−2)に示した条件と同じである。(K)及び(L)のDNAに関し、数個とは、例えば、全塩基の約20%未満に相当する数であり、好ましくは約10%未満に相当する数であり、より好ましくは約5%未満に相当する数であり、更に好ましくは約1%未満に相当する数である。より具体的には、変異される塩基の個数は、例えば、配列番号4に示される塩基配列においては1〜174個、配列番号5に示される塩基配列においては1〜604個、好ましくは、配列番号4に示される塩基配列においては1〜87個、配列番号5に示される塩基配列においては1〜302個、より好ましくは、配列番号4に示される塩基配列においては1〜43個、配列番号5に示される塩基配列においては1〜151個、更に好ましくは、配列番号4に示される塩基配列においては1〜8個、配列番号5に示される塩基配列においては1〜30個である。配列番号3で示されるアミノ酸配列は、アクセサリータンパク質の配列である。また、配列番号6で示される塩基配列は、アクセサリータンパク質をコードする塩基配列であり、アースロバクター・ルテウス(Arthrobacter luteus)に由来するものである。
(3)ベクター
(3−1)キサンチンオキシダーゼをコードするDNAを組み込んで得られるベクター
上記のキサンチンオキシダーゼをコードするDNAを組み込んだベクター、及びこのベクターを微生物に導入して得られる形質転換体も提供される。
ここで「ベクター」とは、それに挿入された核酸分子を細胞等のターゲット内へと輸送することができる核酸性分子(キャリアー)であり、適当な宿主細胞内で組み込まれたDNAを複製可能であり、且つ、その発現が可能である限り、その種類や構造は特に限定されない。即ち、本発明のベクターは発現ベクターである。ベクターの種類は、宿主細胞の種類を考慮して適当なベクターが選択される。
ベクターの具体例としては、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、及びヘルペスウイルスベクター等)等を挙げることができる。宿主が大腸菌である場合のベクターとしては、例えば、pBlueScript、pBR322又はその改変体(例えば、pB325、pAT153、及びpUC8等)、pUC19、pGEM−T、pCR−Blunt、pTA2、pET等のプラスミドベクター、或いは、M13ファージ又はその改変体、λファージ又はその改変体等が挙げられる。好ましくは、ベクターは、栄養要求性マーカー、薬剤耐性マーカー、発現プロモーター配列、発現ターミネーター配列を含む。より好ましくは、ベクターは、pBlueScript由来のアンピシリン耐性遺伝子、ラクトースプロモーターを含む。また、セルフクローニングに適したベクターを使用することも可能である。
ロドコッカス属菌を宿主とする場合は、例えば、pTip−QC1,pCpi−QC1,pNit−QC1等のプラスミドベクターを使用することができる。酵母を宿主とする場合は、pYepSec1、pMFa、pYES2等のプラスミドベクターを使用することができる。昆虫細胞を宿主とする場合は、例えば、pAc、pVL等のプラスミドベクターが使用できる。哺乳類細胞を宿主とする場合は、例えば、pCDM8、pMT2PC等のプラスミドベクターを使用することができるが、これらに限定される訳ではない。
キサンチンオキシダーゼを発現させるためのプロモーター配列は特に制限されず、宿主の種類等に応じて適宜選択することができる。好ましいプロモーターとしては、配列番号7〜9に示される塩基配列を有するプロモーター配列を挙げることができる。配列番号7で示される塩基配列は、チオストレプトン誘導型プロモーター配列であり、配列番号8で示される塩基配列はメタノール誘導型プロモーターの改変型であり、配列番号9で示される塩基配列は、前記チオストレプトン誘導型プロモーター配列の改変型プロモーター配列である。
(3−2)アクセサリータンパク質を共発現させるためのベクター
ベクターには、さらに上記で説明するアクセサリータンパク質をコードするDNAが組み込まれていることが好ましい。アクセサリータンパク質を共発現させることにより補因子合成や補因子の酵素タンパク質への配位を活性化し、活性酵素としての生産量が向上する。アクセサリータンパク質の発現には、キサンチンオキシダーゼの発現に持ちられるベクター及びプロモーターを利用することができる。
(4)形質転換体
形質転換体は、上述するキサンチンオキシダーゼをコードするDNAが発現可能な様式で導入されていることが好ましい。DNAの宿主への導入手段は特に制限されないが、例えば、上記で説明するベクターに組み込まれた状態で宿主に導入される。宿主細胞は、本発明のDNAを発現してキサンチンオキシダーゼを生産することが可能である限り、特に制限されない。具体的には、大腸菌、放線菌属、及び枯草菌等の原核細胞、酵母、カビ、昆虫細胞、植物培養細胞、及び哺乳動物細胞等の真核細胞等を使用することができる。好ましくは、原核生物に分類される微生物であり、より好ましくは、放線菌属菌であり、更に好ましくはロドコッカス属菌であり、より更に好ましくはロドコッカス・エリスロポリスであり、特に好ましくはロドコッカス・エリスロポリス L−88株である。
発現ベクターと宿主微生物の組み合わせとしては、特に限定するものではないが、宿主由来の栄養要求性マーカー遺伝子又は薬剤耐性マーカー遺伝子と、宿主由来の発現プロモーター配列と、宿主由来のターミネーター配列とを含む発現ベクターと、栄養要求性変異宿主又は薬剤感受性宿主との組み合わせが挙げられる。より好ましくは、pTipQC−1由来のクロラムフェニコール耐性遺伝子、Tipプロモーターとロドコッカス・エリスロポリスL−88株の組み合わせが挙げられる。
宿主微生物の細胞に組換え発現ベクターを移入する方法としては、特に限定するものではなく、公知の任意の手段を適宜選択して実施できる。好ましくは、上記に示される発現ベクターを用いたトランスフェクション乃至はトランスフォーメーションである。形質転換は、一過性であっても安定的な形質転換であってもよい。トランスフェクション及びトランスフォーメーションは、エレクトロポレーションなどの方法により実施できる。
(5)キサンチンオキシダーゼの生産方法
本発明によれば、上記の形質転換体を培養し、得られた培養物よりキサンチンオキシダーゼ酵素活性を持つタンパク質を採取する工程を含むキサンチンオキシダーゼの製造方法も提供される。
形質転換体の培養形態は、宿主の栄養生理的性質を考慮して適宜選択すればよく、通常液体培養で行い、工業的には通気攪拌培養を行うのが有利である。
培養に用いる窒素源は、特定のアミノ酸成分に欠失があるなど特殊な窒素源を除いて、宿主微生物が利用可能な窒素源であれば特に制限されない。例えば、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物、大豆粕アルカリ分解物などが使用される。特に、酵母エキスや大豆蛋白質が好ましいが、これに限定されるものではなく、カゼインポリペプトン、発酵麹エキス、麦芽抽出物などを用いることによっても、形質転換体を培養することができる。
その他の栄養源としては、微生物の培養に通常用いられるものが広く使用される。炭素源としては、資化可能な炭素化合物であればよく、例えば、グルコース、シュークロース、ラクトース、マルトース、キシロース、糖蜜、ピルビン酸などが使用される。その他、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛、モリブデンなどの塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミンなどが必要に応じて使用される。
培養温度は、菌が発育してキサンチンオキシダーゼを生産する範囲で適宜変更しうるが、大腸菌の場合、通常は20〜37℃程度である。培養時間は、条件によって多少異なるが、キサンチンオキシダーゼが最高収量に達する時期を見計らって適当な時期に培養を終了すればよく、通常は24〜120時間程度である。培地pHは、菌が発育しキサンチンオキシダーゼを生産する範囲で適宜変更しうるが、通常はpH3.0〜9.0程度である。ロドコッカス属菌を培養する場合は、4〜30℃の温度で実施することが好ましい。ロドコッカス属菌を培養するための培地のpHは、通常pH3.0〜9.0である。
本発明のキサンチンオキシダーゼは、上記形質転換体を培養して得られる菌体を含む培養液をそのまま採取し利用することもできるが、一般には、常法に従って、予め、菌体破砕、遠心分離などにより、キサンチンオキシダーゼ含有溶液と菌体とを分離した後に利用される。
あるいは、このようにして得られたキサンチンオキシダーゼ含有溶液からキサンチンオキシダーゼを精製して利用してもよい。精製方法としては、例えば、減圧濃縮、膜濃縮、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウムなどの塩析処理、親水性有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトン等)による分別沈殿、加温処理、等電点処理、吸着剤又はゲル濾過剤などによるゲル濾過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、及び疎水性相互作用クロマトグラフィー等の処理を挙げることができる。これらの処理を適宜組み合わせてキサンチンオキシダーゼを精製することができる。
上記の製造方法で得られたキサンチンオキシダーゼも、また、本発明の一態様である。
(6)キサンチンオキシダーゼの理化学的特性
上記の方法により製造されるキサンチンオキシダーゼは、以下の(i)〜(iv)の性質を備えることが好ましい。
(i)作用:メディエーター及び過酸化水素の存在下でキサンチンオキシダーゼ酵素活性を示す。
(ii)分子量:SDS PAGEで測定した場合 約105kDaと約31kDaのヘテロダイマー
(iii)安定pH範囲:pH6.0〜9.0である。
(iv)熱安定性:50℃10分間の熱処理後に90%以上の残存活性を有する。
上記のような酵素化学的特徴を有するキサンチンオキシダーゼは、臨床検査などの用途に好適に使用することができる。このような特徴を有するキサンチンオキシダーゼは、野生株からのキサンチンオキシダーゼ生産において問題となる、キサンチンオキシダーゼのプロテアーゼなどによる分解などの問題を解決することができ、安定な品質のキサンチンオキシダーゼを効率的に得ることが可能となる。
上記の各種の酵素化学的性質は、酵素の諸性質を特定するための公知の手法、例えば、以下の実施例に記載の方法を用いて調べることができる。酵素の諸性質は、本発明のキサンチンオキシダーゼを生産する形質転換体の培養液や、精製工程の途中段階において、ある程度調べることもでき、より詳細には、精製酵素を用いて調べることができる。
精製酵素とは、当該酵素以外の成分、特に当該酵素以外のタンパク質(夾雑タンパク質)を実質的に含まない状態に分離された酵素を指す。具体的には、例えば、夾雑タンパク質の含有量が重量換算で全体の約20重量%未満、好ましくは約10重量%未満、更に好ましくは約重量5%未満、より一層好ましくは約重量1%未満の酵素を指す。
<キサンチンオキシダーゼの活性測定法>
本発明において、キサンチンオキシダーゼの活性測定は以下の条件で行う。
〔活性測定法I〕
<反応試薬>
下記のTris−HCl緩衝液36.0ml、キサンチン溶液2.0ml、オキソン酸カリウム溶液2.0mlを混合して反応試薬とする。
・ 100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)
・ 10mM キサンチン溶液
・ 1mM オキソン酸カリウム溶液
<測定条件>
反応試薬3mlを37℃で5分間予備加温する。XTO溶液0.1mlを添加し、ゆるやかに混和後、水を対照にして37℃に制御された分光光度計で、293nmの吸光度変化を5分間記録する。得られた測定値について、測定時間をX軸、吸光度の値をY軸にプロットし、プロットされた点を結ぶ線が直線になったところ(即ち、時間当たりの急高度の変化が一定になるところ)から1分間あたりの吸光度変化(ΔOD TEST)を求める。盲検はXTO溶液の代わりにXTOを溶解する溶媒を反応試薬に加えて同様に1分間あたりの吸光度変化(ΔOD BLANK)を測定する。これらの値から以下の式(I)に従ってXTO活性を求める。ここでXTO活性における1単位(U)とは、この反応系において1分間に1マイクロモルの尿酸を生成する酵素量として定義される。
・反応式
2キサンチン+O→→→→→→2尿酸+H
・活性値算出式
XTOの活性(U/ml)={(ΔOD TEST−ΔOD BLANK)×3.1×希釈倍率}/{12.5×0.1×1.0}
〔活性測定法II〕
<反応試薬>
下記のTris−HCl緩衝液33.27ml、キサンチン溶液2.0ml、オキソン酸カリウム溶液2.0ml、ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液0.5ml、4−アミノアンチピリン溶液1.26ml、ADPS溶液0.97mlを混合して反応試薬とする。
・ 100mM Tris−HCl緩衝液pH7.5
・ 10mM キサンチン溶液
・ 1mM オキソン酸カリウム溶液
・ 500U/ml ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液
・ 24.6mM 4−アミノアンチピリン溶液
・ 31.9mM ADPS溶液
<測定条件>
反応試薬3mlを37℃で5分間予備加温する。XTO溶液0.1mlを添加し、ゆるやかに混和後、水を対照にして37℃に制御された分光光度計で、546nmの吸光度変化を5分間記録する。得られた測定値について、測定時間をX軸、吸光度の値をY軸にプロットし、プロットされた点を結ぶ線が直線になったところ(即ち、時間当たりの急高度の変化が一定になるところ)から1分間あたりの吸光度変化(ΔOD TEST)を求める。盲検はXTO溶液の代わりにXTOを溶解する溶媒を反応試薬に加えて同様に1分間あたりの吸光度変化(ΔOD BLANK)を測定する。これらの値から以下の式(I)に従ってXTO活性を求める。ここでXTO活性における1単位(U)とは、この反応系において1分間に1マイクロモルの尿酸を生成する酵素量として定義される。
・反応式
2キサンチン+O→→→→→→2尿酸+H
Xanthine oxidase
+ADPS+4AA→→→→→→dye+H
Peroxidase
・活性値算出式
XTOの活性(U/ml)=[{(ΔOD TEST−ΔOD BLANK)×3.1×希釈倍率}/{30.2×0.1×1.0}]×2
上記活性測定法Iでは、キサンチンオキシダーゼによって生成する尿酸量を基にキサンチンオキシダーゼの活性を測定する。一方、上記活性測定法IIでは、キサンチンオキシダーゼによって生成する過酸化水素量を基にキサンチンオキシダーゼの活性を測定する。キサンチンオキシダーゼによるキサンチンの分解に伴ってスーパーオキシドラジカルが生成された場合、その量に応じて、活性測定方法IIで使用される色素が分解される。また、スーパーオキシドラジカルの生成される量に応じて、過酸化水素の生成量は低下する。そこで、(活性測定法IIの値/活性測定法Iの値)×100を計算することにより、過酸化水素の生成率を算出することができる。また、(1−活性測定法IIの値/活性測定法Iの値)×100を計算することにより、スーパーオキシドラジカルの生成率を算出することができる。
(7)生体成分測定方法、生体成分測定試薬
本発明の別の一態様は、上記のキサンチンオキシダーゼをヒポキサンチン及び/又はキサンチンに作用させる工程を含む、生体成分の測定方法である。また、本発明の別の一態様は、上記の本発明のキサンチンオキシダーゼを含む、生体成分を測定するための試薬である。
本発明が適用される生体成分測定方法は、キサンチンオキシダーゼをヒポキサンチンに作用させる工程を含む限り特に限定されないが、典型的には酵素法による生体成分測定方法であって、特に酸化酵素−ペルオキシダーゼ−発色剤系による方法、すなわち検体中の測定対象物質を酵素反応させて過酸化水素を発生させ、これをペルオキシダーゼの存在下で発色剤と反応させて比色定量する方法を利用する方法である。この原理を用いる生体成分測定方法は既に当該技術分野において確立されている。よって、その知見を本発明に適用して、各種試料中の生体成分の量又は濃度を測定することができ、その態様は特に制限されない。例えば、アデノシンデアミナーゼ、グアナーゼ、無機リン、各種核酸などの生体成分等を測定するための方法が例示できる。
アデノシンデアミナーゼを測定する場合は、アデノシンを基質とするアデノシンデアミナーゼの反応により生成したイノシンにプリンヌクレオシドホスホリラーゼを作用させてヒポキサンチンに変え、さらに、得られたヒポキサンチンにキサンチンオキシダーゼを作用させキサンチン及び過酸化水素を生じさせる、いわゆる共役反応を設計することにより、発生した過酸化水素をペルオキシダーゼ−発色剤系により定量することができる。キサンチンオキシダーゼはさらにキサンチンを尿酸に変える過程で過酸化水素を発生するので、これをペルオキシダーゼ−発色剤系により定量してもよい。一方、グアナーゼを測定する場合は、グアニンを基質とするグアナーゼの反応により生成したキサンチンにキサンチンオキシダーゼを作用させ、測定を行うことができる。また、無機リンを測定する場合は、イノシンを基質とするプリンヌクレオシドホスホリラーゼの反応に無機リンの消費をともなう点に着目して測定を行うことができる。さらにAMP、IMP、アデノシンなどの核酸についても、適当な共役反応を設計することにより、ペルオキシダーゼ−発色剤系による定量が可能になる。
上記の方法を実施するための手段としては、汎用の自動分析機(例えば、日立7170形自動分析機)に適用できるよう構成された液状試薬(又はキット)を用いる方法、凍結乾燥などの手段により製造された乾燥製剤と溶解液の組み合わせで構成された試薬(又はキット)を用いる方法、適当な担体に酵素などを担持させた形態のいわゆるドライシステム等と呼ばれるキットやセンサを用いる方法など種々の形態が例示できる。好ましくは、試薬を2つに分包した液状試薬(以下、2試薬系の液状試薬とも記載する。)を用いて自動分析機で分析する方法である。この方法では、試料にまず1種類目の試薬(以下、第一試薬又はR1とも記載する。)を添加して一定時間反応させ、次いで2種類目の試薬(以下、第一試薬又はR1とも記載する。)をさらに添加して反応させ、この間の吸光度の変化を測定することにより目的成分を定量することが出来る。
試薬又はキットには、キサンチンオキシダーゼの他に、任意の成分を含めることができある。そのような成分としては、例えば、過酸化水素と反応して発色する発色剤を挙げることができる。そのような発色剤としては、例えば、4−アミノアンチピリン、及びADPS等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1.N末端アミノ酸解析
キサンチンオキシダーゼの生産菌である、アースロバクター・ルテウスから目的のキサンチンオキシダーゼ遺伝子を取得するため、精製されたキサンチンオキシダーゼ(東洋紡社製XTO212)からN末端アミノ酸解析を行った。精製キサンチンオキシダーゼを1mg/mlの濃度にイオン交換水に溶解した。それをSDS−PAGEに供し、分子量によってタンパク質を分画した。その結果、図1に示す通り、約105kDa、約90kDa、約68kDa及び約31kDaの場所にバンドが検出された。約68kDaに存在するバンドは、タンパク質の保護剤として用いられている牛血清アルブミン(BSA)であることが予測された。そこで、SDS−PAGEゲルからナイロンメンブレン膜にタンパク質を転写し、約105kDa、約90kDa、及び約31kDaのバンドを切り出し、N末端アミノ酸解析に供した。N末端アミノ酸解析の結果、検出されたアミノ酸配列は以下の通りであった。
約105kDaタンパク質:SGPVPPVTIA
約90kDaタンパク質:ADHGSTLA
約31kDaタンパク質:MDLGTVTDLVPTADPV
これらの配列をもとに、キサンチンオキシダーゼ遺伝子のクローニングを試みた。
実施例2.キサンチンオキシダーゼ遺伝子の取得
アースロバクター・ルテウスのゲノム解析を行った。まず、アースロバクター・ルテウスをLB培地で培養し、菌体を回収した後、ゲノムDNAの精製を行った。ゲノムDNAの精製には、東洋紡社製MagExtractor Plant Genomeを用い、このキットに付属の説明書に従って実施した。精製されたゲノムDNAの解析は、オペロン・バイオテクノロジー社に委託してゲノムシークエンサーGS−FLXを用いて行った。
ゲノム解析の結果、図2に示す通り、アースロバクター・ルテウスは約4.7MbのゲノムDNAを有していることが判明した。さらに、実施例1で解析されたN末端アミノ酸解析結果から、ブラスト解析を行い、キサンチンオキシダーゼ遺伝子を探索したところ、図3に示す配列を見出した。図3に示す配列は、3つの遺伝子が重複している。第一の遺伝子の終止コドン(TGA)と第二の遺伝子の開始コドン(ATG)は、TGATGという配列(図3において太字及び下線で表示する)で結合しており、第二の遺伝子の終止コドン(TGA)と第三の遺伝子の開始コドン(ATG)はATGAという配列(図3において太字及び下線で表示する)で結合している。このうち第一の遺伝子は、キサンチンオキシダーゼのアクセサリータンパク質である、XdhCをコードしていると推測され、他の微生物に由来するXdhCと高い同一性を示した。第二及び第三の遺伝子は、それぞれのキサンチンオキシダーゼのαサブユニット(XdhA)及びβサブユニット(XdhB)をコードしていると推測され、遺伝子産物のN末端配列は解析された約31kDaタンパク質及び約105kDaタンパク質のN末端アミノ酸とそれぞれ高い同一性を示した。また、約90kDaタンパク質のN末端アミノ酸配列は、βサブユニット(XdhB)の内部に高い同一性をもつ配列が見出された。よって、約90kDaタンパク質は、105kDaのβサブユニットタンパク質が部分分解された産物であると考えられた。
実施例3.キサンチンオキシダーゼ遺伝子の発現
取得されたDNA配列がキサンチンオキシダーゼをコードすることを確認するため、以下のプライマーセットを用いてキサンチンオキシダーゼ遺伝子をクローニングし、大腸菌発現ベクターpBKSNのNdeI認識サイトとEcoRI認識サイトとに挟まれた領域に導入した。
XdhA_F(NdeI) aaaacatATGGACCTGGGCACCGTCACCGA(配列番号10)
XdhB_R(EcoRI) aaaagaatTCAGCGGGTgGGGGTGGCGGCC(配列番号11)
作製されたキサンチンオキシダーゼ発現ベクターpBKSN−XTOを大腸菌JM109に形質転換し、形質転換体をTB+IM培地(TB培地+1mM IPTG,+0.01mM モリブデン酸アンモニウム)で培養し、得られた大腸菌のキサンチンオキシダーゼ活性を測定した。キサンチンオキシダーゼ活性の検出は、活性測定法Iに示す方法で行った。その結果、大腸菌に35U/Lのキサンチンオキシダーゼ活性が検出された。また、対照として発現ベクターであるpBKSNを導入した大腸菌JM109株についても同様に培養を行い、キサンチンオキシダーゼ活性を測定したが、活性は検出されなかった。
実施例4.キサンチンオキシダーゼを修飾するアクセサリータンパク質の共発現
キサンチンオキシダーゼの効率的な発現には、アクセサリータンパク質である、XdhCを共発現することが効果的であると考えられ、XdhC遺伝子の共発現を試みた。XdhC、XdhA、及びXdhBの3つの遺伝子を共発現させるため、以下のプライマーセットを用いて3つの遺伝子を含む領域をクローニングし、大腸菌発現ベクターpBKSNのNdeI認識サイトとEcoRI認識サイトとの間の領域に導入した。
XdhC_F(NdeI) aaaacatATGCTCCACATCGTCGACCGGCT(配列番号12)
XdhB_R(EcoRI) aaaagaatTCAGCGGGTgGGGGTGGCGGCC(配列番号13)
作製されたキサンチンオキシダーゼ発現ベクターpBKSN−XTOを大腸菌JM109に形質転換し、形質転換体をTB+IM培地(TB培地+1mM IPTG,+0.01mM モリブデン酸アンモニウム)で培養し、培養菌体内のキサンチンオキシダーゼ活性を測定した。キサンチンオキシダーゼ活性の検出は、活性測定法Iに示す方法で行った。その結果、大腸菌体内に68U/Lのキサンチンオキシダーゼ活性が検出された。
実施例5.大腸菌組換えキサンチンオキシダーゼの取得
発現したキサンチンオキシダーゼが野生株アースロバクター・ルテウスから取得されたものと同等であることを確認するため、大腸菌形質転換体からキサンチンオキシダーゼの精製を試みた。酵素の精製は、菌体の破砕、陰イオンクロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーにより行った。取得した酵素液を用いて、酵素特性を評価した。
実施例6.大腸菌組換えキサンチンオキシダーゼの特性評価
(1)過酸化水素生成比率の比較
得られた酵素液、アースロバクター・ルテウス野生株が生産するキサンチンオキシダーゼ酵素液、及び対照として、ミルク由来キサンチンオキシダーゼ酵素液を用いて、活性測定法1及び活性測定法IIで酵素活性測定を行い、過酸化水素の生成率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006414410
表1に示すように、野生株由来XTOの過酸化水素生成率に対する組換えXTOの過酸化水素生成率は、89%であり、野生株由来XTOとほぼ同等の過酸化水素生成率であった。一方、野生株由来XTOの過酸化水素生成率に対する牛乳由来XTOの過酸化水素生成率は51%であった。
(2)基質特異性の比較
上記3種のXTO酵素液を用いて、活性測定法1の基質をキサンチンからヒポキサンチンに代え、同様に酵素活性測定を行った。キサンチンを基質にしたときの酵素活性を100%とし、ヒポキサンチン基質としたときの各酵素の活性を求めた。結果を表2に示す
Figure 0006414410
表2に示すように、組換えXTOのヒポキサンチンへの反応性は、キサンチンの約22%であり、野生株由来XTOとほぼ同等であった。一方、牛乳由来XTOは114%であった。以上の結果から、本実施例により得られた組換えキサンチンオキシダーゼは、野生型キサンチンオキシダーゼとほぼ同等の特性を有していることが判明した。
実施例7.アースロバクター・ルテウス由来キサンチンオキシダーゼのロドコッカス属菌用発現ベクターへの導入
上記大腸菌発現ベクターpBKSN−XTOから、XdhA、及びXdhBをコードする領域(XTO_AB)、並びに、XdhA、XdhB、及びXdhCをコードする領域(XTO_CAB)をNdeIとEcoRIで切り出し、ロドコッカス属菌用発現ベクターpTip−QC1、pCpi−QC1、pNit−QC1にNdeIとEcoRIサイトで導入した。pTip−QC1は配列番号7に記載のプロモーター配列を保有し、pCpi−QC1は配列番号8に記載のプロモーター配列を保有し、pNit−QC1は配列番号9に記載のプロモーター配列を保有する。ここで、配列番号7はチオストレプトン誘導型プロモーターの塩基配列を示し、配列番号8はメタノール誘導型プロモーターの改変型である、構成型プロモーターの塩基配列を示し、配列番号9は配列番号7で示されるプロモーターの改変型である、構成型プロモーターの配列を示している。
実施例8.アースロバクター・ルテウス由来キサンチンオキシダーゼ発現ベクターによるロドコッカス宿主の形質転換
実施例7にて得られた発現ベクターpTip−QC1 XTO_AB,pTip−QC1 XTO_CAB,pCpi−QC1 XTO_AB,pCpi−QC1 XTO_CAB及びpNit−QC1 XTO_CABを用いて、ロドコッカス・エリスロポリスL−88株を宿主として形質転換した。本菌株は、受託番号FERM BP−8444として、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東一丁目1番地1 中央第6)にブタベスト条約の下で国際寄託されている。形質転換方法については、特許文献2を参考に行った。形質転換体の取得には、LBプレート(17μg/ml)を用いた。30℃で3日間培養後、各形質転換体を取得した。尚、「pTip−QC1 XTO_AB」には、XdhA、及びXdhBをコードする領域が含まれており、「pTip−QC1 XTO_CAB」には、XdhA、XdhBに加えて、アクセサリータンパク質であるXdhCをコードする領域が含まれている。
実施例9.ロドコッカス形質転換体を用いたキサンチンオキシダーゼの組換え発現
実施例8にて得られたロドコッカス形質転換体(ロドコッカス pTip−QC1 XTO_AB,ロドコッカス pTip−QC1 XTO_CAB,ロドコッカス pCpi−QC1 XTO_AB,ロドコッカス pCpi−QC1 XTO_CAB及びロドコッカス pNit−QC1 XTO_CAB)を用いて、キサンチンオキシダーゼの組換え発現を実施した。手順としては、形質転換体のレプリカプレートよりLB培地(17μg/mlクロラムフェニコール添加)に植菌後、30℃、180rpmの条件で2日間培養した。坂口フラスコに50mlのLB培地を調製し、クロラムフェニコールを終濃度17μg/mlとなるよう添加した後、2日間培養した培養液を植菌後OD660が0.1となるように添加した。チオストレプトン誘導型プロモーターであるTipAプロモーターを用いた発現においては、30℃で20.5h培養後にチオストレプトンを終濃度1μg/mlで添加し、その後さらに30℃で27.5h培養した。構成型プロモーターであるCpiプロモーターあるいはNitプロモーターを用いた発現においては、30℃で48h培養した。これらについて30℃で24時間培養し、培養菌のキサンチンオキシダーゼ活性を測定した。キサンチンオキシダーゼ活性の測定は、活性測定法Iに示す方法で行った。培養菌のキサンチンオキシダーゼは、pTip−QC1 XTO_ABによる形質転換体では0.020U/ml、pTip−QC1 XTO_CABによる形質転換体では0.56U/ml,pCpi−QC1 XTO_ABによる形質転換体では0.015U/ml,pCpi−QC1 XTO_CABによる形質転換体では0.14U/ml,pNit−QC1 XTO_CABによる形質転換体では0.11U/mlのキサンチンオキシダーゼ活性が検出された。また、対照として発現ベクターであるpTip−QC1,pCpi−QC1あるいはpNit−QC1を導入したロドコッカスについても同様に培養を行い、キサンチンオキシダーゼ活性を測定したが、活性は検出されなかった。結果を図4に示す。
図4に示すように、ロドコッカスを宿主として、pTip−QC1 XTO_CAB発現ベクターを用いた場合の菌体内活性は0.56U/mlであり、大腸菌を宿主としてpBKSN XTO_CAB発現ベクターを用いた場合の菌体内活性0.068U/mlと比較して、約8.2倍に向上した。
図4に示すように、ロドコッカスを宿主としたXTO_CABの組換え発現において、TipAプロモーターを用いた場合に、Cpiプロモーターを用いた場合の4.0倍、Nitプロモーターを用いた場合の5.1倍の菌体内活性が確認された。この結果より、ロドコッカス宿主を用いたキサンチンオキシダーゼの組換え発現においては、前記3種のプロモーターの中ではTipAプロモーターが最適であることが判明した。
図4に示すように、ロドコッカスを宿主としたXTOの組換え発現において、キサンチンオキシダーゼのアクセサリータンパク質であるXdhCの共発現により、TipAプロモーターを用いた場合では28倍、Cpiプロモーターを用いた場合では9.5倍の菌体内活性が確認された。この結果より、アクセサリータンパク質を共発現させることにより、キサンチンオキシダーゼの発現が効率化されることが判明した。
実施例10.ロドコッカス属菌組換えキサンチンオキシダーゼの特性評価
(1)過酸化水素生成比率の比較
ロドコッカス・エリスロポリスL−88株をpTip−QC1 XTO_CABで形質転換し、培養することで得られたキサンチンオキシダーゼ(XTO_CAB)及び大腸菌JM109をpBKSN−XTOで形質転換し、培養することで得られたキサンチンオキシダーゼ(XTO_CAB)について上述する活性測定法1及び活性測定法IIを用いて酵素活性測定を行い、過酸化水素の生成率を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 0006414410
表3に示すように、野生株由来XTOの過酸化水素生成率に対するロドコッカス属菌組換えXTOの過酸化水素生成率は99%であり、大腸菌組換えXTOの89%と比較して10%向上した。この結果から、ロドコッカス属菌を宿主として組み換え発現により得られたキサンチンオキシダーゼは、キサンチンの酸化に伴うスーパーオキシドラジカルの生成が実質的にないため、生体物質の測定への利用に適していることが示された。
本発明によれば、ロドコッカスを宿主として、TipAプロモーターを用いて、アクセサリータンパク質Xdh_Cと共発現することで、アースロバクター由来のキサンチンオキシダーゼは効率的に組換え生産することができる。従って、本発明は、臨床検査などに用いられるキサンチンオキシダーゼを生産するために極めて有用である。

Claims (4)

  1. ロドコッカス・エリスロポリスを宿主としてアースロバクター・ルテウス由来のキサンチンオキシダーゼをコードするDNAを組換え発現させることを含む、キサンチンオキシダーゼの製造方法であって、該キサンチンオキシダーゼをコードするDNAと該キサンチンオキシダーゼのアクセサリー蛋白質をコードするDNAが、配列番号7〜9のいずれかに示される塩基配列を有するプロモーターの制御下にある、方法。
  2. ロドコッカス・エリスロポリスがロドコッカス・エリスロポリスL−88株である請求項1に記載の製造方法。
  3. アースロバクター・ルテウス由来のキサンチンオキシダーゼをコードするDNAと該キサンチンオキシダーゼのアクセサリー蛋白質をコードするDNAを配列番号7〜9のいずれかに示される塩基配列を有するプロモーターの制御下に組み込んだ、ロドコッカス・エリスロポリスを宿主として使用するための発現ベクター。
  4. 請求項3に記載のベクターを含み、ロドコッカス・エリスロポリスを宿主とした形質転換体。
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