JP4415247B2 - 新規なグリセロールキナーゼ、該遺伝子及び該遺伝子を用いたグリセロールキナーゼの製造法 - Google Patents

新規なグリセロールキナーゼ、該遺伝子及び該遺伝子を用いたグリセロールキナーゼの製造法 Download PDF

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本発明は、新規なグリセロールキナーゼをコードする遺伝子ならびに遺伝子組換え技術による該酵素の製造法に関する。
グリセロールキナーゼ(EC 2.7.1.30)は、グリセロールをマグネシウムとATPに依存したリン酸化反応によりグリセロール−3−リン酸に変える反応を触媒する酵素である。このグリセロールキナーゼは、1937年に、Kalckarによって、肝臓内に発見(例えば、非特許文献1参照。)されて以来、ラット肝、ハト肝、キャンディダ・ミコデルマ(Candida mycoderma )、セルロモナス フラビゲナ(Cellulomonas flavigena)、サーマス フラーバス(Thermus flavus)などからの精製が報告され(例えば、非特許文献2〜5および特許文献1参照。)生物全般に広く存在する事が知られている。また、ヒト、バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis )サッカロマイセル・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サーマス フラーバス(Thermus flavus)などから遺伝子のクローニングが報告されている(例えば、非特許文献6〜9参照。)。特に、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)において、該酵素は詳しく研究がなされており、1967年に、Hayashi らによって精製され(例えば、非特許文献10参照。)、1988年にそのクローニングの報告がなされている(例えば、非特許文献11参照。)。また、遺伝子調節の研究、アロステリック阻害剤による阻害の研究など、広い範囲においても既に研究されている。
特開昭56−121484号公報 H.Kalckar著,「Enzymologia」,1937年,第2巻,p47 C.Bublitz ら著,「J.Biol.Chem.」,1954年,第211巻,p951 E.P.Kennedy著,「Methods Enzymol.」,1962年,第5巻,p476 H.U.Bergmeyerら著,「Biochem.」,1961年,第333号,p471 H.S.Huangら著,「J.Ferment.Bioeng.」,1997年,第83号,p328 C.A.Sargentら著,「Hum.Mol.Genet.」,1994年,第3巻,p1317 C.Holmberg ら著,「J.Gen.Microbiol.」,1990年,第136巻,p2367 P.Pavlik ら著,「Curr.Genet.」,1993年,第24巻,p21 H.S.Huangら著,「Biochim.Biophys.Acta」,1998年,第1382巻,p186 S.Hayashi ら著,「J.Biol.Chem.」1967年,第242巻,p1030 D.W.Pettigrew ら著,「J.Biol.Chem.」1988年,第263巻,p135
一方グリセロールキナーゼの工業分野への応用では臨床検査薬用原料酵素として利用されている。すなわち、試料中の中性脂肪(トリグリセリド)をリパーゼで加水分解し、生じたグリセロールを該酵素によってグリセロール−3−リン酸に変換する。このグリセロールー3−リン酸はグリセロール−3−リン酸酸化酵素を用いた比色定量法やグリセロールー3−リン酸脱水素酵素を用いた紫外部吸収定量法などにより血中の中性脂質の測定に利用されている。
最近の生化学検査用臨床検査薬は溶液状態の検査薬が主流となってきた。そのため従来から酵素に求められる特性(基質に対する高反応性、厳密な基質特異性など)に加え検査薬溶液中での高い安定性も求められるようになってきた。検査薬溶液中の安定性に寄与する特性としては種々あげられるが、一般的に液状検査薬は長期の保存を可能にするため防腐剤を添加されている。この防腐剤が酵素を不安定化することがあるため、防腐剤に対する耐性が高い事も検査薬用酵素の望まれる性質の一つである。
これまで高い熱安定性をもつ酵素が液状診断薬で高い安定性を示すと考えられてきており、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)やサーマス・フラバス(Thermus flavus)など好熱菌由来のグリセロールキナーゼが汎用されていた。しかし、これらのグリセロールキナーゼは防腐剤に対する耐性が比較的低いという問題を有していた。
防腐剤に対する耐性の高い新規なグリセロールキナーゼをコードする遺伝子の単離、ならびに遺伝子組換え技術による該酵素の製造法を確立し、該酵素の中性脂質及びグリセロールの定量への利用を可能とする。
本発明者らは上記問題を解決するため鋭意検討した結果、防腐剤に対して高い耐性を有する新規なグリセロールキナーゼを単離することに成功した。具体的には、このようなグリセロールキナーゼを生産する菌として、セルロモナス・エスピーJCM2471株(Cellulomonas sp. JCM2471)を見出した。該菌体より抽出した染
色体DNAよりグリセロールキナーゼ遺伝子の単離に成功し、そのDNAの全塩基配列を決定した。さらに、グリセロールキナーゼを遺伝子組換え技術によって形質転換体に高生産させることに成功し、高純度なグリセロールキナーゼを安価に大量供給することを可能にした。なお上記菌株は、理化学研究所 生物基盤研究部微生物系統保存施設より購入可能である。
すなわち、本発明は、以下の各項のグリセロールキナーゼなどを提供する。
項1. 防腐剤に対して高い耐性を有する事を特徴とするグリセロールキナーゼ
項2. 防腐剤に対する耐性が、防腐剤100mg/Lの濃度で25℃,1週間共存させた時の活性残存率が70%以上ある事を特徴とする項1記載のグリセロールキナーゼ
項3. 防腐剤がN−メチルイソチアゾロン(N−Methylisothiazolone)および/またはその誘導体である、項1または2に記載のグリセロールキナーゼ
項4. 以下の(a)または(b)のタンパク質である 項1記載のグリセロールキナーゼ。
(a)配列表・配列番号1に記載されたアミノ酸配列からなるタンパク質(b)アミノ酸配列(a)において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、グリセロールキナーゼ活性を有するタンパク質
項5. 配列表・配列番号1に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質であるグリセロールキナーゼをコードする遺伝子。
項6. 以下の(c)または(d)のDNAからなるグリセロールキナーゼをコードする遺伝子。
(c)配列表・配列番号2に記載される塩基配列からなるDNA(d)上記(c)の塩基配列において、1もしくは複数の塩基が付加、欠失または置換されており、かつ、グリセロールキナーゼ活性を有するタンパク質をコードしているDNA
項7. 項1、2または3記載のグリセロールキナーゼをコードする遺伝子を含有する組換えベクター。
項8. 項7記載の組換えベクターで宿主細胞を形質転換した形質転換体。
項9. 項8記載の形質転換体を培養し、グリセロールキナーゼを生成させ、該グリセロールキナーゼを採取することを特徴とするグリセロールキナーゼの製造法。
本発明により、公知のグリセロールキナーゼに比べ防腐剤に対する高い耐性を有する新規なグリセロールキナーゼをコードする遺伝子が単離され、遺伝子組換え技術による該酵素の製造法が確立され、グリセロールの定量への利用が可能となった。
本発明のグリセロールキナーゼは、防腐剤に対して高い耐性を有する事を特徴とするグリセロールキナーゼである。
また、本発明は、防腐剤に対する耐性が、防腐剤100mg/Lの濃度で25℃,1週間共存させた時の活性残存率が70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上である事を特徴とするグリセロールキナーゼである。
本発明における防腐剤に対する耐性は、50mMリン酸カリウム緩衝液pH7.5中で約5U/mLのグリセロールキナーゼを25℃で1週間共存させた場合の活性残存率で評価することができる。
防腐剤は、試薬を保存している間の微生物の増殖を抑制することを目的として、試薬に添加される物質をいう。このときの防腐剤の添加濃度は特に限定されるものではないが、十分な効果が得られる濃度であることが望ましい。防腐剤の添加濃度は、防腐剤の種類や添加する試薬の組成などによって異なるのは当然であり、適当な添加濃度の決定は当業者が適宜実施できることである。
抗生物質の使用については、近年、耐性菌の発生が問題視されていること等を考慮すると、真に必要な場合以外はのぞましくないと考えられる。また、既に存在する耐性菌の影響を受け、防腐効果が得られない可能性も考えられる。一方、蛋白質直接作用することができる防腐剤は、微生物が耐性を得ることが難しいと考えられる点でより好ましく、今後汎用されていく可能性が高い。このような防腐剤には、例えば、蛋白質のSH基やアミノ基に作用すると言われているN−メチルイソチアゾロン(N−Methylisothiazolone、略称MIT)および/またはその誘導体などが挙げられる。しかし、このような蛋白質に直接作用する防腐剤は当然、共存する酵素蛋白質にも作用するため、蛋白質の構造によっては不安定化を招く可能性がある。このように、防腐剤に対する耐性は、その防腐剤の作用機構と蛋白質の構造の両面に起因すると考えられる。
本発明のグリセロールキナーゼをコードする遺伝子は、グリセロールキナーゼ生産微生物、例えばセルロモナス エスピーJCM2471株(Cellulomonas sp. JCM2471)などから抽出しても良く、または化学的に合成することもできる。
上記遺伝子としては、例えば(a)配列表・配列番号1に記載されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、または(b)アミノ酸配列(a)において、1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、グリセロールキナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAがある。DNAの欠失、置換、付加の程度については、基本的な特性を変化させることなく、あるいはその特性を改善するようにしたものを含む。これらの変異体を製造する方法は、従来から公知である方法に従う。
または、(c)配列表・配列番号2に記載される塩基配列からなるDNA、(d)上記(c)の塩基配列において、1もしくは複数の塩基が付加、欠失または置換されており、かつ、グリセロールキナーゼ活性を有するタンパク質をコードしているDNA。
本発明のグリセロールキナーゼをコードする遺伝子を得る方法としては、例えばセルロモナス エスピーJCM2471株(Cellulomonas sp. JCM2471)の染色体DNAを分離、精製した後、超音波破砕、制限酵素処理等を用いて、DNAを断片化したものと、リニアーな発現ベクターとを両DNAの平滑末端または接着末端においてDNAリガーゼなどにより結合閉鎖させて組換ベクターを構築する。こうして得られた組換えベクターは複製可能な宿主微生物に移入した後、グリセロールキナーゼ活性の発現を指標としてスクリーニングして、組換えベクターを保持する微生物を得る。 次いで該微生物を培養し、該培養菌体から該組換えベクターを分離・精製し、該組換えベクターからグリセロールキナーゼ遺伝子を採取すれば良い。
遺伝子供与体であるセルロモナス エスピーJCM2471株(Cellulomonas sp. JCM2471)に由来するDNAは、具体的には以下のように採取される。すなわち、供与微生物を例えば、1〜3日間攪拌培養して得られた培養物を遠心分離にて集菌し、次いでこれを溶菌させることによりグリセロールキナーゼ遺伝子の含有溶菌物を調製することができる。溶菌方法としては、例えばリゾチームやβ−グルカナーゼ等の溶菌酵素により処理が施され、必要に応じてプロテアーゼや他の酵素やラウリル硫酸ナトリウム(SDS)等の界面活性剤が併用され、さらに凍結融解やフレンチプレス処理のような物理的破砕方法と組み合わせても良い。
このようにして得られた溶菌物からDNAを分離・精製するには常法、例えばフェノール処理やプロテアーゼ処理による除蛋白処理や、リボヌクレアーゼ処理、アルコール沈殿処理などの方法を適宜組み合わせることにより行うことができる。
また、現在市販されている各種のDNA抽出用キットを用いる事により純度の良いDNAを効率的に取得する事も可能で有る。
微生物から分離・精製されたDNAを切断する方法は、例えば超音波処理、制限酵素処理などにより行うことができる。好ましくは特定のヌクレオチド配列に作用するII型制限酵素が適している。
ベクターとしては、宿主微生物内で自律的に増殖し得るファージまたはプラスミドから遺伝子組換え用として構築されたものが適している。ファージとしては、例えばエシェリヒア・コリー(Escherichia coli)を宿主微生物とする場合には、ラムダZAPII (ストラタジーン製)、λgt・10、λgt・11などが使用できる。 またプラスミドとしては、例えばエシェリヒア・コリー(Escherichia coli)を宿主微生物とする場合には、pBR322、pUC19、pBluescript、pUCBM20、pUCBM21、pSE280、pSE380などが使用できる。
このようなベクターを、上述したグリセロールキナーゼ遺伝子供与体である微生物DNAの切断に使用した制限酵素で切断してベクター断片を得ることができるが、必ずしも該微生物DNAの切断に使用した制限酵素と同一の制限酵素を用いる必要はない。微生物DNA断片とベクターDNA断片とを結合させる方法は、公知のDNAリガーゼを用いる方法であれば良く、例えば微生物DNA断片の接着末端とのアニーリングの後、適当なDNAリガーゼの使用により微生物DNA断片とベクターDNA断片との組換えベクターを作成する。必要なら、アニーリングの後、宿主微生物に移入して生体内のDNAリガーゼを利用し組換えベクターを作成することもできる。
宿主微生物としては、組換えベクターが安定、かつ自律増殖可能で外来性遺伝子の形質発現できるものであれば良く、一般的にはエシェリヒア・コリーK−12株(E.coli K−12)、エシェリヒア・コリーW3110株(E.coli W3110)、エシェリヒア・コリーC600株(E.coli C600)、エシェリヒア・コリーHB101株(E.coli HB101)、エシェリヒア・コリーJM109株(E.coli JM109)などを用いることができる。なおグリセロール無添加の培地では宿主に由来するグリセロールキナーゼの活性は無視できる程度に低いものの、グリセロールキナーゼが欠損した変異株を宿主に用いる事がより好ましく、エシェリヒア・コリーKM1株(E.coli KM1)も利用可能で有る。
宿主微生物に組換えベクターを移入する方法としては、例えば宿主微生物がエシェリヒア・コリー(E.coli)の場合には、カルシウム処理によるコンピテントセル法やエレクトロポレーション法などが用いることができる。また、市販されている各種エシェリヒア・コリーコンピテントセルも使用可能で有る。このようにして得られた形質転換体である微生物は、栄養培地で培養されることにより、多量のグリセロールキナーゼを安定に生産し得る。宿主微生物への目的組換えベクターの移入の有無についての選択は、目的とするDNAを保持するベクターの薬剤耐性マーカーとグリセロールキナーゼ活性を同時に発現する微生物を検索すれば良く、例えば薬剤耐性マーカーに基づく選択培地で生育し、且つグリセロールキナーゼを生成する微生物を選択すれば良い。
上記の方法により得られたグリセロールキナーゼ遺伝子の塩基配列は、サイエンス(Science,214,1205−1210,1981)に記載されたジデオキシ法やその改良法に基づく市販の試薬と自動分析機を利用する事により解読可能で有る。またグリセロールキナーゼのアミノ酸配列は、決定した塩基配列より推定した。このようにして一度選択されたグリセロールキナーゼ遺伝子を保有する組換えベクターは、形質転換微生物から取り出され、他の微生物に移入することも容易に実施することができる。また、グリセロールキナーゼ遺伝子を保有する組換えベクターから制限酵素やPCR法によりグリセロールキナーゼ遺伝子であるDNAを回収し、他のベクター断片と結合させ、宿主微生物に移入することも容易に実施できる。
形質転換体である宿主微生物の培養形態は、宿主の栄養生理学的性質を考慮して培養条件を選択すれば良く、通常、多くの場合は液体培養で行うが、工業的には通気攪拌培養を行うのが有利である。培地の炭素源としては、微生物の培養に通常用いられるものが広く使用される。宿主微生物が資化可能であれば良く、たとえばグルコース、シュークロース、ラクトース、マルトース、フラクトース、糖蜜、ピルビン酸などが使用できる。窒素源としては、宿主微生物が利用可能な窒素化合物であれば良く、例えばペプトン、肉エキス、カゼイン加水分解物、大豆粕アルカリ抽出物のような有機窒素化合物や、硫安、塩安のよおおうな無機窒素化合物が使用できる。その他、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛などの塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミンなどが必要に応じて使用できる。
培養温度は宿主微生物が生育し、グリセロールキナーゼを生産する範囲で適宜変更し得るが、エシェリヒア・コリー(E. coli)の場合、好ましくは20〜42℃程度である。培養時間は培養条件により多少変動するが、グリセロールキナーゼが最高収量に達する時期を見計らって適当な時期に終了すれば良く、通常20〜48時間程度である。培地pHは宿主微生物が生育し、グリセロールキナーゼを生産する範囲で適宜変更し得るが、通常好ましくはpH6.0〜9.0程度である。
培養液より菌体を回収する方法は、通常、用いられる方法により行えば良く、例えば遠心分離、濾過などにより回収することができる。培養液中のグリセロールキナーゼが菌体外にに分泌される場合は、この菌体分離液を用いれば良く、下記の菌体破砕後の方法に準じてグリセロールキナーゼを分離・精製できる。グリセロールキナーゼが菌体内に存在する場合は、前述したような酵素的または物理的破砕方法により破砕抽出することができる。このようにして得られた粗酵素抽出液から例えば硫安沈殿によりグリセロールキナーゼ画分を回収する。この粗酵素液を通常、用いる精製方法、例えば半透膜を用いた透析やセファデックスG−25(アマシャムバイオサイエンス社)ゲル濾過などにより脱塩を行うことができる。
この操作の後、例えばフェニルセファロースファーストフロー(アマシャムバイオサイエンス社)カラムクロマトグラフィー、DEAE−セファロースファーストフロー(アマシャムバイオサイエンス社)カラムクロマトグラフィーにより分離・精製し精製酵素標品を得ることができる。この精製酵素標品は電気泳動(SDS−PAGE)的にほぼ単一なバンドを示す程度に純化されている。
本発明の製法により得られたグリセロールキナーゼ活性を有するタンパク質は、以下に示す理化学的性質を有する。
(1)作用:グリセロール + ATP ←→ グリセロールー3―リン酸 + ADP
(2)至適pH:約10.0
(3)至適温度:約50℃(20mMHEPES緩衝液、pH7.9、5分反応)
(4)pH安定性:約6.0−10.0(25℃で20時間処理後も90%以上の残存活性を 示す範囲)
(5)熱安定性:約45℃以下(50mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.5で15分処理後も90%以上の残存活性を示す範囲)
(6)分子量:約55,000(SDS―PAGE)、約176,000(ゲル濾過)
(7)Km値:約6.9×10−6M(グリセロール)、約1.11×10−4M(ATP)
(8)比活性:約41.2U/mg
(9)50mM リン酸カリウム緩衝液、pH7.5で100mg/L MITと共存させた場合の活性残存率は4℃×1週間保存ではほぼ100%(図5)、25℃×1週間保存で約92%(図6)であった。
本発明のグリセロールキナーゼは、特にその存在形態を問わない。必要に応じ凍結乾燥、液状及びその他いずれの状態であってもよい。凍結乾燥の場合はさらに適当な賦形剤・安定化剤などを添加されていてもよい。液状では、さらに適当な緩衝液および/またはその他の成分などを添加されていてもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例中、グリセロールキナーゼの活性は、以下のようにして測定した。ATPはオリエンタル酵母社より購入した。牛血清アルブミンはシグマアルドリッチ社より購入した。グリセロールー3−リン酸酸化酵素(コード番号G3O−301)、ペルオキシダーゼ(コード番号PEO−301)は東洋紡績製を使用した。その他の試薬はナカライテスクより購入したものを使用した。
<測定法1:レートアッセイによるグリセロールキナーゼ活性を測定する方法>
通常、この方法を用いて活性測定を行った。
グリセロールを基質とし、グリセロール−3−リン酸の生成量によって酵素活性を測定した。0.5%4―アミノアンチピリン水溶液0.2ml、1.5%フェノール水溶液0.2ml、グリセロールー3―リン酸酸化酵素200U、ペルオキシダーゼ80U、ATP48.4mgに0.1M HEPES緩衝液(pH7.9)を加え、総量21mlとし、これを以下の測定のための原液とした。各反応は、この測定原液を3ml取り、0.3Mグリセロール水溶液50μl、酵素溶液100μlを添加し、混和後、37℃に制御された分光光度計で500nmの吸光度を3分間記録し、その初期直線部分から1分間当たりの吸光度変化を求めた(ΔODtest)。盲検は酵素溶液の代わりに酵素希釈液(0.2%牛血清アルブミンを含む20mMリン酸カリウム緩衝液,pH7.5)を100μl加え上記同様に操作を行って1分間当りの吸光度変化量を求めた(ΔODblank)。
得られた吸光度変化量より下記計算式に基づきグリセロールキナーゼの酵素活性を算出した。なお上記条件下で1分間に1マイクロモルのグリセロールをリン酸化する酵素量を1単位(1U)とする。
計算式
活性値(U/ml)={ΔOD/min(ΔODtest−ΔODblank)×3.15(ml)×希釈倍率}/{13.3×1/2×1.0(cm)×0.1(ml)}
3.15ml=反応混液液量
13.3=キノン色素の上記測定条件下でのミリモル吸光係数
1/2=酵素反応で生成した過酸化水素の1分子から形成するキノン色素が1/2分子であることによる係数
1.0cm=セルの光路長
0.1ml=酵素サンプル液量
<測定法2:至適温度を測定する方法>
酵素の至適温度を見るためにこの方法を用いた。
3mlの活性反応液(4mM ATP、2mM 塩化マグネシウムを含む20mM HEPES緩衝液pH7.9)を試験管に分注し、適当な濃度(測定法1の活性でおよそ1U/ml)に希釈したグリセロールキナーゼ溶液0.1mlを加え、良く混合した後、各反応温度で約3分間予備加温する。次いで0.3Mのグリセロール水溶液を0.05ml添加混合して反応を開始する。正確に10分間反応させた後、1mlの1N塩酸を添加して酵素反応を停止する。この反応停止液0.15mlを3mlの発色液(0.01% 4アミノアンチピリン、0.02% フェノール、5U/ml ペルオキシダーゼ、16U/ml グリセロールー3−リン酸オキシダーゼを含む0.2MHEPES緩衝液、pH7.9)に添加・混合し、37℃で約5分間反応させ、500nmでの吸光度を測定した。この時、1mM L−グリセロールー3−リン酸溶液の吸光度も同時に求めて、各酵素反応により生じたL−グリセロールー3−リン酸の量を求めた。なお、盲検はグリセロールキナーゼ溶液の代わりに酵素希釈液を用いて各反応温度での酵素反応によらない非特異的なL−グリセロールー3−リン酸の生成を求めた。
<測定法3:至適pHを測定する方法>
酵素の至適pHを見るためにこの方法を用いた。
3mlの活性反応液(4mM ATP、2mM 塩化マグネシウムを含む50mM濃度の各pH緩衝液)を試験管に分注し、適当な濃度(測定法1の活性でおよそ1U/ml)に希釈したグリセロールキナーゼ溶液0.1mlを加え、良く混合した後、37℃で約3分間予備加温する。次いで0.3Mのグリセロール水溶液を0.05ml添加混合して反応を開始する。正確に10分間反応させた後、1mlの1N塩酸を添加して酵素反応を停止する。この反応停止液0.15mlを3mlの発色液(0.01% 4アミノアンチピリン、0.02% フェノール、5U/ml ペルオキシダーゼ、16U/ml グリセロールー3−リン酸オキシダーゼを含む0.2MHEPES緩衝液、pH7.9)に添加・混合し、37℃で約5分間反応させ、500nmでの吸光度を測定した。この時、1mM L−グリセロールー3−リン酸溶液の吸光度も同時に求めて、各酵素反応により生じたL−グリセロールー3−リン酸の量を求めた。なお、盲検はグリセロールキナーゼ溶液の代わりに酵素希釈液を用いて各pHの緩衝液での酵素反応によらない非特異的なL−グリセロールー3−リン酸の生成を求めた。
[参考例]
セルロモナス エスピーJCM2471株(Cellulomonas sp. JCM2471)からのグリセロールキナーゼの精製
セルロモナス エスピーJCM2471株(Cellulomonas sp. JCM2471)を60mlのLB液体培地(500ml容坂口フラスコ)に1白金耳植菌し30℃で一晩振とう培養した。本培養液を6Lのグリセロールキナーゼ生産培地(10L−ジャーファーメンター、2%グリセロール、2%ポリペプトン(日本製薬製)、0.2%酵母エキス(オリエンタル酵母社製)、0.2%NaCl、0.02%硫酸マグネシウム、0.7%リン酸2カリウム、pH7.3)に全量植菌し35℃にて約20時間通気攪拌培養した。この時のグリセロールキナーゼの培地あたりの生産量は凡そ3U/mlであった。
本培養液より遠心分離により菌体を回収し、50mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.5に懸濁後、ダイノミル破砕機を用いたガラスビーズ破砕によりグリセロールキナーゼを抽出し粗酵素液とした。この粗酵素液より硫安を添加し35−55%飽和度画分を回収した。この塩析画分をセファデックスG−25(アマシャムバイオサイエンス社)ゲル濾過により脱塩した後、DEAEセファロースCL−6B(アマシャムバイオサイエンス社)カラムクロマトグラフィー、フェニルセファロースCL−6B(アマシャムバイオサイエンス社)カラムクロマトグラフィー、セファデックスG−25ゲル濾過、DEAEセファロースCL−6Bカラムクロマトグラフィーに順次供して精製酵素標品を得た。上記精製結果を表1に示した。
Figure 0004415247
上記方法により精製した蛋白質は、SDS−PAGE的にほぼ均一なバンドを示しその比活性は凡そ40.9U/mg−タンパクであった。なお、蛋白質濃度は酵素溶液の280nmでの吸光度が1Absの時1mg/mlの蛋白質濃度になるとしてし概算した。
また、SDS−PAGEより推定されるサブユニットの分子量は約55,000であった。更に、そのN末端アミノ酸配列をエドマン分解法を原理としたアミノ酸配列解析装置により解析した結果、N末端からの配列はAla−Asp−Tyr−Val−Leu−Ara−Ileと同定された。
[実施例1]
セルロモナス エスピーJCM2471株(Cellulomonas sp. JCM2471)からの染色体DNAの分離
セルロモナス エスピーJCM2471株(Cellulomonas sp. JCM2471)の染色体DNAを次の方法で分離した。該菌株をLB液体培地(5ml仕込み/30ml容試験管;1.0%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、1.0%NaCl、pH7.4)に1白金耳植菌し、30℃にて一晩振とう培養した。この菌体1ml分から遠心分離(12000rpm、10分間、4℃)により菌体を回収した。回収した菌体よりMagExtractor−genom−キット(東洋紡績製)を用いて、取扱説明書に記載された手順により染色体DNAを抽出した。1mlの菌体より約20μgの染色体DNAを取得できた。
[実施例2] PCRによるグリセロールキナーゼ遺伝子の増幅
ポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)用プライマーは、現在クローニングの報告がされているエシェリヒア・コリ(E. coli)、バチルス・ズブリルス(Bacillus subtilis)、シュードモナス アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)のグリセロールキナーゼの塩基配列を基にして作製した。配列表・配列番号3、配列表・配列番号4に記載される塩基配列はPCR用プライマーを示す。実施例1で得たDNA100ng、各プライマー200pmol、dNTP混合物10μl、反応緩衝液10μl、AmpliTaqDNAポリメラーゼ(パーキンエルマー製)2.5Uを混和し100μlとした。これを94℃、1分間の変性反応、45℃、1分間のアニーリング反応、および72℃、3分間の伸長反応を30サイクル繰り返してPCRを行った。その結果、目的の大きさである約800bpのフラグメントが増幅された。このPCR産物の塩基配列を決定し、推定されるアミノ酸配列をシュードモナス アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)のグリセロールキナーゼのアミノ配列と比較したところ、高い相同性を示したので、目的のグリセロールキナーゼ遺伝子の一部が増幅されたことが明らかとなった。
[実施例3] グリセロールキナーゼ遺伝子全長のクローニング
実施例1で取得した染色体DNA約2μgを種々の制限酵素で消化後、0.7%アガロースゲル電気泳動によって分離し、ニトロセルロースフィルターにトランスファーした。このフィルターを、実施例2で得たPCR産物をプローブとしECL direct nucleic acid labelling and detection system(アマシャムバイオサイエンス社製)を用い、試薬に添付されたプロトコールに準じてサザンハイブリダイゼーションによりグリセロールキナーゼ遺伝子の断片をスクリーニングした。その結果、グリセロールキナーゼ遺伝子全長を含むDNA断片はKpnI(東洋紡績製)とNotI(東洋紡績製)により切断された約6.5kbの断片として検出された。
次いでこのDNA断片をMagExtractor−PCR&gel clean up−キット(東洋紡績製)を用いて、取扱説明書に記載された手順によりアガロースゲルより回収した。一方0.5μgのpuCBM21(ベーリンガーマンハイム社)を同じくKpnIとNotIで切断し、バクテリアルアルカリホスファターゼ(東洋紡績製)にて脱リン酸化処理した。その後、両DNA断片をLigation Highキット(東洋紡績製)にて16℃,1時間反応させ連結した後、エシェリヒアコリーJM109のコンピテントセル(東洋紡績製)を形質転換した。形質転換体は100μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布し、37℃,終夜培養して形質転換体を取得した。なおこの組換えベクターはpCGK1と命名した。
[実施例4] グリセロールキナーゼ酵素遺伝子の塩基配列決定
pCGK1にクローニングされたグリセロールキナーゼ遺伝子の塩基配列はpUC系ベクターの汎用シークエンシング用プライマーを用い、ビッグダイターミネーターサイクルシーケンシングFSレディーリアクションキット(アプライドバイオシステムズ社製)及びABI PRISM310 Genetic Analyzer(パーキンエルマー社製)により挿入DNAの両端よりDNA配列を決定した。更にこの確認した配列を基に更にプライマーを作成しプライマーウォーキングにより挿入DNA配列の全長を決定した。
決定したグリセロールキナーゼ遺伝子のオープンリーディングフレームに該当するDNA配列及びDNA配列より推定されるアミノ酸配列を配列表配列番号2に示した。またDNA配列より推定されるアミノ酸配列の内、第2残基目のAlaを含む7残基分の配列が精製酵素のアミノ酸配列解析により得られた結果と完全に一致していた。また開始コドンのメチオニンを除いた推定アミノ酸配列より算出されるグリセロールキナーゼの分子量は55142であり、セルロモナス エスピーJCM2471株(Cellulomonas sp. JCM2471)から精製された酵素のSDS−PAGE解析より求められた分子量と良く一致した。
[実施例5] グリセロール欠損宿主の造成
GenBankデータベースに登録されているエシェリヒア・コリー(E. coli)由来グリセロールキナーゼの塩基配列より配列表・配列番号5及び配列表・配列番号6のプライマーを作成した。またエシェリヒア・コリー(E. coli)K12株の染色体DNAは実施例1と同様の方法により取得した。
この染色体DNA100ng、各プライマー200pmol、2mM dNTP混合物10μl、反応緩衝液10μl、AmpliTaqDNAポリメラーゼ(パーキンエルマー製)2.5Uを混和し100μlとした。これを94℃、3分間の変性反応、98℃、30秒間の変性反応、68℃、3分間のアニーリング+伸長反応を41サイクル繰り返し、次いで98℃、30秒間の変性反応、68℃、3分間のアニーリング+伸長反応、72℃、10分間の伸長反応を1サイクルしてPCRを行った。この結果目的遺伝子と同じ約1.5kbのPCR産物を取得した。
このPCR産物をMagExtractor−PCR&gel clean up−キットを用いて、取扱説明書に記載された手順により精製した後、約0.2μgのPCR産物と制限酵素SmaIで切断した0.5μgのpUC19とをLigation Highキットにて16℃,1時間反応させ連結した後、エシェリヒアコリーJM109(E. coli JM109)のコンピテントセルを形質転換した。形質転換体は100μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布し、37℃,終夜培養して形質転換体を取得した。なおこの組換えベクターはpUCGKと命名した。
このpUCGKを制限酵素BstEII(東洋紡績製)で切断し、Blunting Highハイキット(東洋紡績製)を用いて取扱い説明書に記載された手順で切断末端を平滑化した。一方、pUCK4(アマシャムバイオサイエンス社製)をHincIIで切断し、アガロースゲル電気泳動でカナマイシン耐性遺伝子を含むDNA断片を分離後、MagExtractor−PCR&gel clean up−キットを用いて精製回収した。この両断片をLigation Highキットにて16℃,1時間反応させ連結した後、エシェリヒアコリーJM109(E. coli JM109)のコンピテントセルを形質転換した。形質転換体は100μg/mlのアンピシリンと50μg/mlのカナマイシンをを含むLB寒天培地に塗布し、37℃,終夜培養して形質転換体を取得した。この組換えベクターはpUCGKmと命名した。更にこのpUCGKmを制限酵素EcoRI(東洋紡績製)とSalI(東洋紡績製)で切断し、アガロースゲル電気泳動でグリセロールキナーゼ遺伝子とカナマイシン耐性遺伝子を含む断片を分離後、MagExtractor−PCR&gel clean up−キットを用いて精製回収した。一方温度感受性プラスミドpCH02(pSC101プラスミドからの誘導体;S.Matsuyamaら、J. Mol. Biol.,175,331(1984))もEcoRI(東洋紡績製)とSalI(東洋紡績製)で切断しグリセロールキナーゼ遺伝子とカナマイシン耐性遺伝子を含む断片とLigation Highキットにて16℃,1時間反応させ連結した後、エシェリヒア・コリーK−12株(E. coli K−12)をジーン・パルサー(Bio−Rad社製)を用いたエレクトロポレーション法により形質転換した。なお、エレクトロポレーションの条件はジーンパルサーの使用マニュアルのエシェリヒア・コリーの条件に従った。形質転換体は100μg/mlのアンピシリンと50μg/mlのカナマイシンをを含むLB寒天培地に塗布し、30℃,終夜培養して形質転換体を取得した。
この形質転換体を50μg/mlのカナマイシンを含むLB液体培地(5ml仕込み/20ml試験管)に植菌し、37℃にて24時間振とう培養した。この培養液を更に新たなカナマイシンを含むLB液体培地に植え継ぐことを4回繰返した。この培養液を滅菌した生理食塩水で希釈した後、50μg/mlのカナマイシンを含むLB寒天培地に塗布してシングルコロニーを分離した後、アンピシリン感受性でかつカナマイシン耐性のコロニーを分離しエシェリヒア・コリーKM1株(E. coli KM1)とした。
このエシェリヒア・コリーKM1株(E. coli KM1)を50μg/mlのカナマイシンを含むトレフィックブロス(5ml仕込み/20ml試験管;1.2%ポリペプトン、2.4%酵母エキス、0.5%グリセロール、0.231%リン酸1カリウム、1.254%リン酸2カリウム)に植菌し、37℃で24時間振とう培養した後、1mlの培養液から遠心分離により菌体を回収し、1mlの50mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.5に懸濁した。この懸濁液を超音波破砕機により菌体を破砕し、遠心分離の後の上清を粗酵素としてグリセロールキナーゼの活性を測定したが有意な酵素活性は検出されなかった。
[実施例6] グリセロールキナーゼ発現ベクターpCGK12の構築
pCGK1を制限酵素NcoI(東洋紡績製)とNotIで切断し、1%アガロースゲル電気泳動によりグリセロールキナーゼ遺伝子を含む約2kbのDNA断片を分離した。次いでこのDNA断片をMagExtractor−PCR&gel clean up−キットを用いて、取扱説明書に記載された手順によりアガロースゲルより回収した。一方0.5μgのpSE380(インビトロゲン社製)を同じくNcoIとNotIで切断し、バクテリアルアルカリホスファターゼ(東洋紡績製)にて脱リン酸化処理した。その後、両DNA断片をLigation Highキットにて16℃,1時間反応させ連結した後、エシェリヒア・コリーJM109株(E. coli JM109)のコンピテントセル(東洋紡績製)を形質転換した。形質転換体は100μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布し、37℃,終夜培養して形質転換体を取得した。なおこの組換えベクターはpCGK12と命名した。
次いでpCGK12により形質転換されたエシェリヒア・コリーJM109株(E. coli JM109)を100μg/mlのアンピシリンを含むLB液体培地(5ml/30ml試験管仕込み)に植菌し、37℃で終夜振とう培養した。培養終了後、遠心分離により菌体を回収し、MagExtractor−Plasmid−キット(東洋紡績製)を用いてpCGK12を精製した。5mlの菌体より約20μgの精製plasmidを得た。
更にこのpCGK12を0.05μg/μl濃度に調整し、実施例5で取得したグリセロールキナーゼ欠損株であるエシェリヒア・コリーKM1株(E.coli KM1)を宿主とし、ジーン・パルサーを用いたエレクトロポレーション法によりpCGK12を導入した。形質転換体は100μg/mlのアンピシリンと50μg/mlのカナマイシンを含むLB寒天培地で選択し、30℃終夜培養で2種の抗生物質に対して同時に耐性を示すコロニーを形質転換体として選抜した。この時の形質転換効率はおよそ1×106cfu/μg−DNAであった。
なお、本形質転換体であるエシェリヒア・コリーKM1(pCGK12)株(E.coli KM1(pCGK12))は独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに微生物寄託番号FERM P−18992として平成14(2002)年9月3日に寄託した。
[実施例7]組換えグリセロールキナーゼの発現及び精製酵素の取得
実施例6で得られた形質転換体を100μg/mlのアンピシリンと50μg/mlのカナマイシンを含むLB培地(5ml仕込み/20ml試験管)に1白金耳植菌し30℃で一晩振とう培養を行い種培養液とした。この培養液を100μg/mlのアンピシリンと50μg/mlのカナマイシンを含む1Lのトレフィックブロス(1本当り250ml仕込み/2L容坂口フラスコ)に1%植菌し37℃にて20時間振とう培養を実施した。培養終了時のグリセロールキナーゼ活性は培養液1ml当り約6.8U/mlであった。
この培養液より遠心分離により菌体を回収後、50mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.5に菌体を懸濁し、フレンチプレスにより菌体を破砕した。次いで菌体破砕液に0.1MになるようNaClを溶解し、更に5%ポリエチレンイミン水溶液を対液0.5%添加し遠心分離により不溶物を除去して粗酵素液とした。
次いで、該粗酵素液に60%飽和度になるよう硫安塩析を行い、沈殿物を遠心分離により回収した後50mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.5にて再溶解した。更にセファデックスG−25(アマシャムバイオサイエンス社製)ゲル濾過により脱塩した後、HiTrap Q HP(アマシャムバイオサイエンス社製)カラムにアプライし、0.2M NaClで洗浄した後、0.2M〜0.6M NaClのリニアグラジェントにより溶出した。
更にこのグリセロールキナーゼ活性画分を集め、20%飽和度になるよう硫安を添加し、不溶物を遠心分離により除去した。この酵素液を20%飽和度硫安を含んだ50mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.5で緩衝化したHiTrap Phenyl FF(アマシャムバイオサイエンス社製)カラムにアプライし、同緩衝液で洗浄した後、20%〜0%飽和度硫安のリニアグラジェントにより溶出した。このグリセロールキナーゼ活性画分を回収し、セファデックスG−25ゲル濾過により脱塩して精製酵素標品とした。上記精製結果を表2に示した。
上記方法により精製した蛋白質は、SDS−PAGE的にほぼ均一なバンドを示しその比活性は凡そ41.2U/mg−タンパクであった。蛋白質濃度は参考例1と同様に概算した。SDS−PAGEより推定されるサブユニットの分子量は約55,000であり、TSK−G3000 SW(直径7.6mm、高さ30cm、東ソー(株)製)ゲル濾過によるネイティブ酵素の分子量は約176,000であった。
Figure 0004415247
上記方法により得られたグリセロールキナーゼは下記特性を有していた。
(1)作用:下記の反応を触媒した。
グリセロール + ATP ←→ グリセロールー3―リン酸 + ADP
(2)作用pH:反応pHと相対活性との関係を図1に示した。
至適pHは約10.0であった。
(3)作用温度:反応温度と相対活性との関係を図2に示した。
至適温度:約50℃(20mMHEPES緩衝液、pH7.9、5分反応)
(4)pH安定性:pH安定性を図3に示した。
約6.0〜10.0(25℃で20時間後も90%以上の残存活性を示す範囲)で安定であった。
(5)熱安定性:熱安定性を図4に示した。
約45℃以下(50mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.5で15分間処理後も90%以上の残存活性を示す範囲)で安定であった。
(6)分子量:約55,000(SDS―PAGE)、約176,000(ゲル濾過)
(7)Km値:約6.9×10−6M(グリセロール)、約1.11×10−4M(ATP)グリセロール及びATPに対するKm値はグリセロールキナーゼの活性測定法<測定法1>に記載の方法に準拠し、グリセロールまたはATPの濃度を変更して各基質濃度でのグリセロールキナーゼ活性を測定し、ラインウィーバー バークの式(Lineweaver−Burk equation)よりKm値を算出した。
(8)比活性:約41.2U/mg
(9)防腐剤存在耐性:50mM リン酸カリウム緩衝液、pH7.5で100mg/L MITと共存させた場合の活性残存率を図5及び図6に示した。活性測定は、測定法1で行った。
4℃×1週間保存ではほぼ100%、25℃×1週間保存でも約92%の活性残存率であった。その他の防腐剤と共存させた場合の活性残存率も合わせて示した。
尚、比較対象の他起源グリセロールキナーゼはサーマス・フラーバス(Thermusflavus;東洋紡績製)以外はシグマアルドリッチジャパン社より購入した。また使用した防腐剤の内N−メチルイソチアゾロン(N−Methylisothiazolone、略号MIT)とイミダゾリヂニルウレア(Imidazolidinylurea、略号IZU)はロッシュダイアグノステッィク社より購入し、プロクリン150(ProClin 150)とプロクリン300(ProClin 300)はシグマアルドリッチジャパン社より購入した。
本発明のグリセロールキナーゼは25℃、1週間保存でも90%以上の活性残存率を示した。
また比較例として図7にサーマス・フラーバス(T. flavus)との熱安定性比較を図7に示した。サーマス・フラーバス(T. flavus)由来グリセロールキナーゼが本発明に比べ明らかに高い熱安定性を有するにも関わらず、本発明のグリセロールキナーゼの方が防腐剤共存下の安定性が高い事が示されており、本発明のグリセロールキナーゼが防腐剤に対して優れた耐性能を有する事が示された。
本発明のグリセロールキナーゼは、防腐剤に対して高い耐性を有し、液状検査薬中での安定性に優れる等の特性を持つため、臨床検査分野で用いられる酵素として優れており、産業界に寄与することが大である。
至適pH:50mMの各bufferにて37℃5分間反応させてグリセロールキナーゼ活性を測定した。横軸はpH、縦軸は相対活性を示す。黒丸は50mM MES、黒四角は50mM HEPES、黒菱形はTAPS、黒三角は50mM CHES、白丸は50mM Glycine−NaOHの存在下であることを示す。 至適温度:50mM HEPES,pH7.9にて各温度で5分間反応させてグリセロールキナーゼ活性を測定した。横軸は温度、縦軸は相対活性を示す。 pH安定性:50mMの各bufferに約10U/mlになるようグリセロールキナーゼを溶解後、25℃,20時間保存後にグリセロールキナーゼ活性を測定し、残存活性を求めた。横軸はpH、縦軸は残存活性を示す。黒丸は酢酸buffer、黒四角はリン酸カリウムbuffer、黒菱形はCHES buffer、黒三角はCAPS bufferの存在下であることを示す。 熱安定性:50mMのリン酸カリウムbuffer,pH7.5に約10U/mlになるようグリセロールキナーゼを溶解後、各温度で15分間保存後にグリセロールキナーゼ活性を測定し、残存活性を求めた。横軸は温度、縦軸は残存活性を示す。 防腐剤耐性比較(4℃保存):各起源のグリセロールキナーゼを50mMリン酸カリウムbuffer、pH7.5に約5U/mlになるよう溶解後、各防腐剤上記図中の濃度で添加し、4℃,1週間保存して残存活性を測定した。横軸は活性残存率、縦軸はグリセロールキナーゼの起源を示す。各起源の酵素における活性残存率は上からそれぞれ、0.3mMのProcline 300存在下、0.8mMのProcline 150存在下、500mg/LのIZU存在下、100mg/LのMIT存在下、防腐剤無添加である。 防腐剤耐性比較(25℃保存):各起源のグリセロールキナーゼを50mMリン酸カリウムbuffer、pH7.5に約5U/mlになるよう溶解後、各防腐剤上記図中の濃度で添加し、25℃,1週間保存して残存活性を測定した。横軸は活性残存率、縦軸はグリセロールキナーゼの起源を示す。各起源の酵素における活性残存率は上からそれぞれ、0.3mMのProcline 300存在下、0.8mMのProcline 150存在下、500mg/LのIZU存在下、100mg/LのMIT存在下、防腐剤無添加である。 熱安定性比較:50mMのリン酸カリウムbuffer,pH7.5に約10U/mlになるようグリセロールキナーゼを溶解後、各温度で15分間保存後にグリセロールキナーゼ活性を測定し、残存活性を求めた。横軸は温度、縦軸は活性残存率を示す。黒丸が本発明、黒四角はThermus flavus由来グリセロールキナーゼを示す。

Claims (1)

  1. 下記の(1)〜(3)に示す工程を含む中性脂肪(トリグリセリド)の測定において、下記の(4)〜(8)のいずれかで示されるグリセロールキナーゼを用いる事を特徴とする、中性脂肪測定における下記の(a)〜(c)からなる群で示される物質のうちいずれかに対する耐性を向上する方法。
    (1)試料中の中性脂肪をリパーゼで加水分解しグリセロールを得る工程
    (2)グリセロールをグリセロールキナーゼによってグリセロール−3−リン酸に変換する工程
    (3)グリセロールー3−リン酸を、グリセロール−3−リン酸酸化酵素を用いた比色定量法やグリセロールー3−リン酸脱水素酵素を用いた紫外部吸収定量法などにより、定量する工程
    (4)配列表・配列番号1に記載されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (5)配列表・配列番号1に記載されたアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、グリセロールキナーゼ活性を有するタンパク質
    (6)配列表・配列番号2に記載される塩基配列からなるDNAによりコードされ、かつ、グリセロールキナーゼ活性を有するタンパク質
    (7)配列表・配列番号2に記載される塩基配列において、1もしくは数個の塩基が付加、欠失または置換された塩基配列からなるDNAによりコードされ、かつ、グリセロールキナーゼ活性を有するタンパク質
    (8)配列表・配列番号2に記載される塩基配列からなるDNA、
    または、該塩基配列において1もしくは数個の塩基が付加、欠失または置換された塩基配列からなるDNA、
    または、配列表・配列番号1に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質であるグリセロールキナーゼをコードするDNA、
    または、配列表・配列番号1に記載されたアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であるグリセロールキナーゼをコードするDNAを、
    宿主・ベクター系に適用し、得られた形質転換体を培養して得られたタンパク質であり、かつ、グリセロールキナーゼ活性を有するタンパク質

    (a)100mg/LのN−メチルイソチアゾロン(N−Methylisothiazolone)および/またはその誘導体
    (b)0.8ml/Lのプロクリン(ProClin)(登録商標)150(5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、および、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン)および/またはその誘導体
    (c)0.3ml/Lのプロクリン(登録商標)300(5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、および、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン)および/またはその誘導体)
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