JP6413771B2 - 重合体水溶液の製造方法 - Google Patents

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本発明は、過酸化水素を含む重合開始剤の存在下、単量体を重合して、着色が抑制された重合体の水溶液を製造する方法において、重合体水溶液中の過酸化水素の残存量を低減してキャビテーションを抑制し、製造後の重合体水溶液を容器に収容して保管した際に容器の変形を抑制することができる重合体水溶液の製造方法に関する。
単量体を、重合開始剤及び水の存在下に重合して得られた重合体水溶液は、増粘剤、接着剤、染料、塗料、紙加工剤、フィルム原料、洗剤ビルダー、顔料分散剤、水処理剤(スケールの付着防止剤)、バインダー、繊維処理剤、帯電防止剤、皮膚洗浄剤、塗料又は吸水性樹脂の原料等に広く用いられている。ここで、重合開始剤は、単量体の種類、重合方法及び得られる重合体の用途等に応じて、適宜、選択されるが、重合開始剤が過酸化水素を含む場合には、得られる重合体水溶液の着色が抑制される傾向にある。
過酸化水素を用いて重合体水溶液を製造する方法としては、下記の特許文献1〜5の技術が知られている。
特許文献1には、マレイン酸50〜100重量%と、マレイン酸以外の水溶性不飽和単量体(アクリル酸等)50〜0重量%とからなる単量体成分を、鉄イオン、バナジウム原子含有イオン及び銅イオンよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の金属イオンが単量体成分に対して0.5〜500ppm存在する条件下に、重合触媒として単量体成分1モルに対して過酸化水素8〜500g並びに次亜リン酸及び/又は次亜リン酸塩0.01〜0.3モルを用い、pH2以下で水溶液重合させることを特徴とするマレイン酸系重合体の製造方法が開示されている。
特許文献2には、(a)芳香族化合物のスルホン化物重合体と、(b)分子中にホスフィネート基又はホスホネート基を有するアクリレート重合体とからなる石炭−水スラリー用分散安定化剤が開示されている。このうち、成分(b)は、重合体を構成するアクリル酸及びその誘導体もしくはこれと共重合可能なモノマーに対して、連鎖移動剤として次亜燐酸ナトリウム1水和物を1〜75重量%、重合開始剤を0.05〜5重量%、中和剤として有機あるいは無機塩基を20〜100%等量を用いた重合により製造することができると記載され、重合開始剤として過酸化水素等が用いられる旨が示されている(段落〔0015〕参照)。
特許文献3には、重合期間中の所定期間、重合開始剤又は連鎖移動剤を連続的に添加する重合体の製造方法であって、重合開始剤又は連鎖移動剤の添加速度を少なくとも一回変化させることを特徴とする重合体の製造方法が開示されている。そして、過酸化水素の存在下、無水マレイン酸及びアクリル酸を単量体として水溶性ポリマーを製造する実施例が示されている。
特許文献4には、触媒系として過酸化水素水と次亜燐酸ナトリウムとを用い、次亜燐酸ナトリウム/マレイン酸のモル比を0.2〜1として、マレイン酸を重合するホモポリマーの製造方法が開示されている。
また、特許文献5には、a)エチレン性不飽和モノカルボン酸及び/又はその塩と、b)エチレン性不飽和ジカルボン酸及び/又はその無水物及び/又はその塩とを、c)次亜リン酸及び/又はその塩の存在下で、フリーラジカル重合することによって、ポリマーを調製するための方法であって、成分b)の少なくとも一部を含有する初期装填材料を重合ゾーンに供給するステップと、成分a)の少なくとも一部を含有するモノマー供給材料を重合ゾーンに添加するステップとを含み、モノマー供給材料の添加の間に次亜リン酸又はその塩の少なくとも一部を重合ゾーンに添加する方法が開示されている。そして、過酸化水素の存在下、無水マレイン酸及びアクリル酸を単量体として水溶性ポリマーを製造する実施例が示されている。
特開平5−295033号公報 特開平9−137179号公報 特開2002−179704号公報 特表2012−525242号公報 特表2013−534962号公報
上記の特許文献に開示された重合体水溶液の製造方法によれば、過酸化水素を含む重合開始剤を使用して、上記のように広い分野で使用される重合体水溶液が得られる。しかし、これらの製造方法により得られた重合体水溶液中には、相当量の過酸化水素が残存する場合があり、その残存量が多い場合には、ポンプを使用して製品を送液する際にキャビテーションが発生するという不具合が生じることがあった。また、製造後の重合体水溶液を容器に収容して保管している間に分解ガスの発生等により容器が変形し、その後の製造現場からの搬出作業等において取り扱いが困難となることがあった。過酸化水素の残存量を低減させる手段として、過酸化水素を分解するために重合体水溶液を加熱する方法が挙げられるが、加熱により重合体の変質や重合体水溶液の着色が生じるという問題があった。また、これらの問題を回避するために加熱温度を低くした場合には、残存過酸化水素量を低減するために長時間を要する等、効率的ではない。そこで、このような不具合を抑制する、残存過酸化水素が十分低減され、安定性にも優れた重合体水溶液の製造方法が望まれていた。
本発明は、以下に示される。
[1]単量体を、次亜リン酸及びその塩並びに亜リン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1つの還元剤と、過酸化水素を含む重合開始剤と、水とを含む反応系において重合する重合工程を備える重合体水溶液の製造方法において、
上記還元剤の使用量は、上記単量体の使用量を100質量部とした場合に、2.0〜10.0質量部であり、
上記重合開始剤の使用量は、上記単量体の使用量を100質量部とした場合に、0.5〜3.0質量部であり、
上記重合工程は、上記単量体の重合を、少なくとも、上記還元剤の一部又は全量と、上記重合開始剤の一部又は全量とを、反応系に添加しながら進め、且つ、上記還元剤の添加終了時期を、上記過酸化水素の添加終了時期よりも遅くする工程であることを特徴とする、重合体水溶液の製造方法。
[2]上記重合工程において、上記過酸化水素の添加が終了した後、上記過酸化水素を添加した時間に対して、0.03〜1.2倍の時間をかけて、上記還元剤を添加する上記[1]に記載の重合体水溶液の製造方法。
[3]上記単量体が、カルボキシル基含有化合物及びその塩並びに酸無水物から選ばれた少なくとも1種を含む上記[1]又は[2]に記載の重合体水溶液の製造方法。
本明細書において、重合体の重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう)は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう)により測定された標準ポリアクリル酸ナトリウム換算値である。また、「(メタ)アクリル」の記載は、アクリル及びメタクリルを意味する。
本発明により得られる重合体水溶液は、従来、公知の方法と比較して、過酸化水素の残存量が低減される。このため、ポンプを用いた送液等の際にキャビテーション等の発生が抑制されるとともに、この重合体水溶液を容器に収容して保管した際に容器の変形を抑制することができる。また、重合体水溶液の安定性にも優れる。そして、洗剤ビルダー、顔料分散剤、水処理剤(スケールの付着防止剤)、バインダー、繊維処理剤、帯電防止剤、皮膚洗浄剤、塗料又は吸水性樹脂の原料等において、安定な水系組成物を与えることができ、重合体水溶液又は水系組成物の製造現場から使用現場までの搬送作業等において取り扱いを容易なものとすることができる。
本発明は、単量体を、次亜リン酸及びその塩並びに亜リン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1つの還元剤と、過酸化水素を含む重合開始剤と、水とを含む反応系において重合する重合工程を備える重合体水溶液の製造方法であって、還元剤の使用量は、単量体の使用量を100質量部とした場合に、2.0〜10.0質量部であり、重合開始剤の使用量が、単量体の使用量を100質量部とした場合に、0.5〜3.0質量部であり、重合工程は、単量体の重合を、少なくとも、還元剤の一部又は全量と、重合開始剤の一部又は全量とを、反応系に添加しながら進め、且つ、還元剤の添加終了時期を、過酸化水素の添加終了時期よりも遅くする工程であることを特徴とする。
本発明の方法は、重合工程の後、更に、水溶液のpH、粘度、濃度等を調整する液性調整工程等を備えることができる。
本発明に係る重合工程では、単量体と、次亜リン酸及びその塩並びに亜リン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1つの還元剤と、過酸化水素を含む重合開始剤と、水とが用いられる。
上記単量体は水溶性単量体を含むことが好ましい。尚、目的、用途等に応じて、水溶性単量体及び水不溶性単量体を併用することができる。但し、本発明では、上記単量体としては、カルボキシル基含有化合物及びその塩並びに酸無水物から選ばれた少なくとも1種を含む。
上記水溶性単量体は、イオン性単量体(アニオン性単量体又はカチオン性単量体)及び非イオン性単量体のいずれでもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。
アニオン性単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有化合物及びこれらの塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩)、無水イタコン酸、無水マレイン酸等の酸無水物、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート硫酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、2−アクリロイルオキシアルキルホスホン酸及びこれらの塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩)等が挙げられる。これらの単量体は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン性単量体としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びこれらの塩等の三級アミノ基含有化合物;(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等の四級アンモニウム塩基含有化合物等を用いることができる。これらの単量体は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
非イオン性単量体としては、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル等が挙げられる。これらの単量体は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記水溶性単量体は、イオン性単量体を含むことが好ましく、アニオン性単量体を含むことが特に好ましい。そして、アニオン性単量体は、カルボキシル基含有化合物及びその塩又は酸無水物を含むことが好ましい。
また、水不溶性単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;モノクロロスチレン、モノブロモスチレン等のハロゲン化芳香族ビニル化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化脂肪族ビニル化合物等が挙げられる。これらの単量体は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、上記水不溶性単量体を併用する場合、その使用量の上限は、水溶性単量体100質量部に対して、好ましくは25質量部、より好ましくは15質量部である。
上記単量体が、アクリル酸若しくはマレイン酸又はそれらの塩を主とする場合、得られる重合体水溶液は、洗剤ビルダー、顔料分散剤、水処理剤(スケールの付着防止剤)、バインダー、繊維処理剤、吸水性樹脂の原料等に好適である。
還元剤は、次亜リン酸及びその塩並びに亜リン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1つである。次亜リン酸塩及び亜リン酸塩としては、ナトリウム塩(次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸水素二ナトリウム)、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等を用いることができる。これらのうち、溶解性に優れる点から、ナトリウム塩が好ましい。
本発明において、還元剤である次亜リン酸及びその塩並びに亜リン酸及びその塩は、連鎖移動剤としても作用するため、その種類及び使用量等により、得られる重合体の分子量を、所望の範囲に調整することができる。
上記還元剤の使用量は、単量体の種類、重合体の分子量、重合体水溶液の用途等に応じて、適宜、設定することができるが、得られる重合体水溶液中の過酸化水素の残存量を低減してキャビテーションを抑制し、製造後の重合体水溶液を容器に収容して保管した際に容器の変形を抑制することができることから、単量体の全量を100質量部とした場合に、2.0〜10.0質量部であり、好ましくは2.5〜9.0質量部であり、より好ましくは3.0〜8.0質量部である。
重合開始剤は過酸化水素を含み、過酸化水素の使用量は、単量体の全量を100質量部とした場合に、0.5〜3.0質量部であり、好ましくは0.8〜2.8質量部、より好ましくは1.0〜2.5質量部である。
上記重合開始剤は、必要に応じて、過硫酸塩、有機過酸化物、アゾ系化合物等の他の重合開始剤を含んでもよい。
尚、他の重合開始剤を併用する場合、その使用量の上限は、過酸化水素100質量部に対して、好ましくは4.0質量部、より好ましくは2.0質量部である。
上記過硫酸塩としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記有機過酸化物としては、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジ−tert−ヘキシルパーオキサイド、2.5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(2−tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキセン−3等のジアルキルパーオキサイド;ジイソブチリルパーオキサイド、ビス(3,5,5−トリメチル−1−オキソヘキシル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート等のパーオキシアルキルカーボネート;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;tert−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステル;1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール;過酢酸、過コハク酸等が挙げられる。
アゾ系化合物としては、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス[2−(N−フェニルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−クロロフェニル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[N−(2−ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)二水塩、4,4’−アゾビス−4−シアノバレイン酸、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る重合工程では、水を媒体として、単量体の重合が、還元剤の一部又は全量と、重合開始剤の一部又は全量とを、反応系に添加しながら進められる。反応系における水の量に対する単量体の使用量は、特に限定されない。また、重合温度は、単量体の種類、重合開始剤の種類等により、適宜、設定されるが、通常、60℃〜100℃であり、好ましくは80℃〜100℃である。
上記重合工程の好ましい態様は、以下に例示される。
(1)還元剤の一部、重合開始剤の一部、及び、水を含む反応系に、単量体と、還元剤の残部と、重合開始剤の残部とを添加しながら重合を行う
(2)還元剤の一部、及び、水を含む反応系に、単量体と、還元剤の残部と、重合開始剤の全量とを添加しながら重合を行う
(3)重合開始剤の一部、及び、水を含む反応系に、単量体と、還元剤の全量と、重合開始剤の残部とを添加しながら重合を行う
尚、上記態様(1)〜(3)において、予め、反応系に、単量体の一部を収容しておいてもよい。
単量体、還元剤及び重合開始剤を添加する際には、連続添加及び間欠的添加のいずれの方法を採用してもよい。また、添加量(添加速度)も特に限定されず、一定であっても、そうでなくてもよい。
上記重合工程では、還元剤の添加終了時期を、過酸化水素の添加終了時期よりも遅くすることにより、即ち、過酸化水素の添加が終了しても、還元剤の添加を終了せず、その後も連続添加又は間欠的添加を行うことにより、これらの添加を同時に終了させた場合と同等の化学的性質を有する重合体、又は、化学的性質は異なっても、安定な重合体、を含み、過酸化水素の残存量が低減されてキャビテーション等の発生が抑制される重合体水溶液を得ることができる。そして、この重合体水溶液を容器に収容して保管した際に容器の変形を抑制することができる。
得られる重合体水溶液に含まれる過酸化水素を低減するためには、過酸化水素の添加終了時期から、還元剤の添加終了時期まで長いほどよい。しかしながら、過酸化水素の添加終了時期から、還元剤の添加終了時期まで長すぎると、単量体の重合が、通常、加熱条件で行われ、重合開始剤が失活して、実質的に含まれない重合体水溶液を加熱条件で放置するのみとなるため、液が着色したり、安定性を劣らしめることとなる。このような観点から、本発明においては、過酸化水素の添加終了時期から還元剤の添加終了時期までの時間は、過酸化水素を添加した時間の1.2倍以下の時間であることが好ましい。尚、「過酸化水素を添加した時間」とは、反応系において、単量体及び過酸化水素が併存し始めた時期から、それ以降に添加を中断するしないに関わらず、過酸化水素の添加を終了した時期までの時間を意味する。また、「過酸化水素の添加終了時期から還元剤の添加終了時期までの時間」は、過酸化水素の添加終了時又はその直後に、還元剤を添加したか否かに関わらないものとする。
本発明において、過酸化水素の添加終了時期から還元剤の添加終了時期までの時間は、過酸化水素を添加した時間に対して、より好ましくは0.03〜1.2倍、更に好ましくは0.06〜0.6倍の時間であると、本発明の効果を確実に得ることができる。
本発明の製造方法は、上記のように、重合工程の後、必要に応じて、液性調整工程、濃度調整工程等を備えることができる。
上記液性調整工程が、中和工程である場合には、通常、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物又は炭酸塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン等のアルカリ性物質を、水に溶解させたアルカリ性水溶液が用いられる。上記アルカリ性物質は、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記液性調整工程が、粘度調整工程である場合には、増粘剤、界面活性剤等を用いることができる。
また、液性調整工程が、濃度調整工程である場合には、水、有機溶剤等を用いることができる。
本発明によれば、過酸化水素の残存量が低減されるだけでなく、着色が抑制された重合体水溶液を製造することができる。具体的には、ハーゼン色数米国公衆衛生協会の規格に準ずるハーゼン色数(APHA値)を、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、更に好ましくは50以下とすることができる。重合体水溶液の製造に際し、過酸化水素を含む重合開始剤を用いた場合にも、単量体の種類や重合条件等により、着色した重合体水溶液が得られることがあった。例えば、マレイン酸若しくはその塩又は無水マレイン酸を含む単量体を用いた場合には、着色が生じる傾向があった。しかしながら、本発明では、このような場合であっても、着色が抑制された安定な重合体水溶液を製造することができる。
また、本発明によれば、得られる重合体水溶液における過酸化水素の含有量を、重合体水溶液の全体に対して、好ましくは50質量ppm以下、より好ましくは20質量ppm以下とすることができる。従って、重合体水溶液を容器に収容して保管した際に、過酸化水素の含有に起因する容器の変形を抑制することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。但し、本発明は、この実施例に何ら限定されるものではない。尚、下記において、%及びppmは、特に断らない限り、質量基準である。
1.重合体水溶液の製造
以下の実施例及び比較例では、原料供給手段、撹拌手段、冷却手段及び温度調整手段を備えたSUS製の反応器(内容積1m)を用いた。
実施例1
反応器に、250kgの水、63kgの無水マレイン酸、及び、80kgの48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、「48%NaOH」ともいう)を仕込み、撹拌下、95℃に保持した。次いで、この混合物を、95℃に保持しながら、208kgの90%アクリル酸水溶液(以下、「90%AA」ともいう)、21kgの30%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、「30%NPS」ともいう)、11kgの35%過酸化水素水溶液(以下、「35%H」ともいう)、163kgの48%NaOH、及び、42kgの30%次亜リン酸ナトリウム水溶液(以下、「30%NHP」ともいう)の供給を開始し、重合を行った。尚、90%AA、30%NPS、35%H及び48%NaOHの供給は、4時間で完了させ、30%NHPの供給は、5時間で完了させた。その後、反応系の温度を95℃に保ったまま、1時間熟成し、反応液のpHが7.0になるように、水及び48%NaOHを供給した。これにより、アクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体の固形分濃度が40%である重合体水溶液(E1)を得た(表1参照)。次いで、ギヤポンプを用いて、重合体水溶液(E1)を、反応器からコンテナ容器(内容積1m)に充填した。
得られたアクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体を、下記に示す測定条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に供したところ、Mwは10000であった。
<GPC測定条件>
装置:東ソー社製HLC8020システム
検出:RI
カラム:東ソー社製G4000PWxl、G3000PWxl及びG2500PWxlを連結
溶離液:0.1M−NaCl+リン酸バッファー(pH7)
標準:創和科学社製ポリアクリル酸Na
また、得られた重合体水溶液(E1)に含まれる過酸化水素の濃度を、下記方法により定量したところ、20ppmであった。
<過酸化水素の定量方法>
重合体水溶液2gと硫酸チタン(IV)の30%水溶液10gとを採取し、これらに蒸留水を加えて100mLとした。これを測定溶液として、波長407nmにおける吸光度を測定する発色法により定量した。尚、ブランク値は、硫酸チタン(IV)の30%水溶液に代えて硫酸の25%水溶液を用いたもので測定した。
更に、得られた重合体水溶液(E1)50mLを比色管に入れ、APHA標準液を用いて、目視により、ハーゼン色数を決定したところ、40であった。
実施例2
反応器に、250kgの水、75kgの無水マレイン酸、及び、96kgの48%NaOHを仕込み、撹拌下、90℃に保持した。次いで、この混合物を、90℃に保持しながら、195kgの90%AA、13kgの30%NPS、14kgの35%H、152kgの48%NaOH、及び、33kgの30%NHPの供給を開始し、重合を行った。尚、90%AA、30%NPS、35%H及び48%NaOHの供給は、4.5時間で完了させ、30%NHPの供給は、5.5時間で完了させた。その後、反応系を90℃に保ったまま、1時間熟成し、反応液のpHが8.0になるように、水及び48%NaOHを供給した。これにより、アクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体の固形分濃度が40%である重合体水溶液(E2)を得た(表1参照)。次いで、ギヤポンプを用いて、重合体水溶液(E2)を、反応器からコンテナ容器(内容積1m)に充填した。
その後、実施例1と同様にして、各種分析を行ったところ、得られたアクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体のMwは13000であり、過酸化水素の濃度は20ppmであり、重合体水溶液(E2)のAPHAは40であった。
実施例3
反応器に、250kgの水、100kgの無水マレイン酸、及び、111kgの48%NaOHを仕込み、撹拌下、95℃に保持した。次いで、この混合物を、95℃に保持しながら、167kgの90%AA、13kgの30%NPS、9.0kgの35%H、113kgの48%NaOH、及び、58kgの30%NHPの供給を開始し、重合を行った。尚、90%AA、30%NPS、35%H及び48%NaOHの供給は、4時間で完了させ、30%NHPの供給は、4.5時間で完了させた。その後、反応系を95℃に保ったまま、1時間熟成し、反応液のpHが7.0になるように、水及び48%NaOHを供給した。これにより、アクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体の固形分濃度が40%である重合体水溶液(E3)を得た(表1参照)。次いで、ギヤポンプを用いて、重合体水溶液(E3)を、反応器からコンテナ容器(内容積1m)に充填した。
その後、実施例1と同様にして、各種分析を行ったところ、得られたアクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体のMwは8000であり、過酸化水素の濃度は20ppmであり、重合体水溶液(E3)のAPHAは40であった。
実施例4
反応器に、250kgの水、63kgの無水マレイン酸、及び、80kgの48%NaOHを仕込み、撹拌下、95℃に保持した。次いで、この混合物を、95℃に保持しながら、208kgの90%AA、21kgの30%NPS、6.0kgの35%H、163kgの48%NaOH、及び、42kgの30%NHPの供給を開始し、重合を行った。尚、90%AA、30%NPS、35%H及び48%NaOHの供給は、4時間で完了させ、30%NHPの供給は、5時間で完了させた。その後、反応系を95℃に保ったまま、1時間熟成し、反応液のpHが7.0になるように、水及び48%NaOHを供給した。これにより、アクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体の固形分濃度が40%である重合体水溶液(E4)を得た(表1参照)。次いで、ギヤポンプを用いて、重合体水溶液(E4)を、反応器からコンテナ容器(内容積1m)に充填した。
その後、実施例1と同様にして、各種分析を行ったところ、得られたアクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体のMwは12000であり、過酸化水素の濃度は10ppmであり、重合体水溶液(E4)のAPHAは80であった。
実施例5
反応器に、250kgの水、63kgの無水マレイン酸、及び、80kgの48%NaOHを仕込み、撹拌下、95℃に保持した。次いで、この混合物を、95℃に保持しながら、208kgの90%AA、21kgの30%NPS、20kgの35%H、163kgの48%NaOH、及び、42kgの30%NHPの供給を開始し、重合を行った。尚、90%AA、30%NPS、35%H及び48%NaOHの供給は、4時間で完了させ、30%NHPの供給は、5時間で完了させた。その後、反応系を95℃に保ったまま、1時間熟成し、反応液のpHが7.0になるように、水及び48%NaOHを供給した。これにより、アクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体の固形分濃度が40%である重合体水溶液(E5)を得た(表1参照)。次いで、ギヤポンプを用いて、重合体水溶液(E5)を、反応器からコンテナ容器(内容積1m)に充填した。
その後、実施例1と同様にして、各種分析を行ったところ、得られたアクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体のMwは9000であり、過酸化水素の濃度は50ppmであり、重合体水溶液(E5)のAPHAは40であった。
実施例6
反応器に、250kgの水、63kgの無水マレイン酸、及び、80kgの48%NaOHを仕込み、撹拌下、95℃に保持した。次いで、この混合物を、95℃に保持しながら、208kgの90%AA、21kgの30%NPS、11kgの35%H、163kgの48%NaOH、及び、21kgの30%NHPの供給を開始し、重合を行った。尚、90%AA、30%NPS、35%H及び48%NaOHの供給は、4時間で完了させ、30%NHPの供給は、5時間で完了させた。その後、反応系を95℃に保ったまま、1時間熟成し、反応液のpHが7.0になるように、水及び48%NaOHを供給した。これにより、アクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体の固形分濃度が40%である重合体水溶液(E6)を得た(表1参照)。次いで、ギヤポンプを用いて、重合体水溶液(E6)を、反応器からコンテナ容器(内容積1m)に充填した。
その後、実施例1と同様にして、各種分析を行ったところ、得られたアクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体のMwは40000であり、過酸化水素の濃度は50ppmであり、重合体水溶液(E6)のAPHAは40であった。
実施例7
反応器に、250kgの水、63kgの無水マレイン酸、及び、80kgの48%NaOHを仕込み、撹拌下、95℃に保持した。次いで、この混合物を、95℃に保持しながら、208kgの90%AA、21kgの30%NPS、11kgの35%H、163kgの48%NaOH、及び、75kgの30%NHPの供給を開始し、重合を行った。尚、90%AA、30%NPS、35%H及び48%NaOHの供給は、4時間で完了させ、30%NHPの供給は、5時間で完了させた。その後、反応系を95℃に保ったまま、1時間熟成し、反応液のpHが7.0になるように、水及び48%NaOHを供給した。これにより、アクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体の固形分濃度が40%である重合体水溶液(E7)を得た(表1参照)。次いで、ギヤポンプを用いて、重合体水溶液(E7)を、反応器からコンテナ容器(内容積1m)に充填した。
その後、実施例1と同様にして、各種分析を行ったところ、得られたアクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体のMwは4000であり、過酸化水素の濃度は10ppmであり、重合体水溶液(E7)のAPHAは70であった。
比較例1
反応器に、250kgの水、63kgの無水マレイン酸、及び、80kgの48%NaOHを仕込み、撹拌下、95℃に保持した。次いで、この混合物を、95℃に保持しながら、208kgの90%AA、21kgの30%NPS、11kgの35%H、163kgの48%NaOH、及び、42kgの30%NHPの供給を開始し、重合を行った。尚、90%AA、30%NPS、35%H、48%NaOH及び30%NHPの供給を、全て4時間で完了させた。その後、反応系を95℃に保ったまま、2時間熟成し、反応液のpHが7.0になるように、水及び48%NaOHを供給した。これにより、アクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体の固形分濃度が40%である重合体水溶液(C1)を得た(表2参照)。次いで、ギヤポンプを用いて、重合体水溶液(C1)を、反応器からコンテナ容器(内容積1m)に充填しようとしたところ、ギヤポンプからキャビテーションによる異音が発生したため、ギヤポンプの使用を中止し、重合体水溶液の自重により充填した。
その後、実施例1と同様にして、各種分析を行ったところ、得られたアクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体のMwは9000であり、過酸化水素の濃度は300ppmであり、重合体水溶液(C1)のAPHAは40であった。
比較例2
反応器に、250kgの水、63kgの無水マレイン酸、及び、80kgの48%NaOHを仕込み、撹拌下、95℃に保持した。次いで、この混合物を、95℃に保持しながら、208kgの90%AA、21kgの30%NPS、2kgの35%H、163kgの48%NaOH、及び、42kgの30%NHPの供給を開始し、重合を行った。尚、90%AA、30%NPS、35%H及び48%NaOHの供給は、4時間で完了させ、30%NHPの供給は、5時間で完了させた。その後、反応系を95℃に保ったまま、1時間熟成し、反応液のpHが7.0になるように、水及び48%NaOHを供給した。これにより、アクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体の固形分濃度が40%である重合体水溶液(C2)を得た(表2参照)。次いで、ギヤポンプを用いて、重合体水溶液(C2)を、反応器からコンテナ容器(内容積1m)に充填した。
その後、実施例1と同様にして、各種分析を行ったところ、得られたアクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体のMwは14000であり、過酸化水素の濃度は10ppm未満であり、重合体水溶液(C2)のAPHAは400であった。
比較例3
反応器に、250kgの水、63kgの無水マレイン酸、及び、80kgの48%NaOHを仕込み、撹拌下、95℃に保持した。次いで、この混合物を、95℃に保持しながら、208kgの90%AA、21kgの30%NPS、25kgの35%H、163kgの48%NaOH、及び、42kgの30%NHPの供給を開始し、重合を行った。尚、90%AA、30%NPS、35%H及び48%NaOHの供給は、4時間で完了させ、30%NHPの供給は、5時間で完了させた。その後、反応系を95℃に保ったまま、1時間熟成し、反応液のpHが7.0になるように、水及び48%NaOHを供給した。これにより、アクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体の固形分濃度が39%である重合体水溶液(C3)を得た(表2参照)。次いで、ギヤポンプを用いて、重合体水溶液(C3)を、反応器からコンテナ容器(内容積1m)に充填しようとしたところ、ギヤポンプからキャビテーションによる異音が発生したため、ギヤポンプの使用を中止し、重合体水溶液の自重により充填した。
その後、実施例1と同様にして、各種分析を行ったところ、得られたアクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体のMwは9000であり、過酸化水素の濃度は300ppmであり、重合体水溶液(C3)のAPHAは40であった。
比較例4
反応器に、250kgの水、63kgの無水マレイン酸、及び、80kgの48%NaOHを仕込み、撹拌下、95℃に保持した。次いで、この混合物を、95℃に保持しながら、208kgの90%AA、21kgの30%NPS、11kgの35%H、163kgの48%NaOH、及び、12kgの30%NHPの供給を開始し、重合を行った。尚、90%AA、30%NPS、35%H及び48%NaOHの供給は、4時間で完了させ、30%NHPの供給は、5時間で完了させた。その後、反応系を95℃に保ったまま、1時間熟成し、反応液のpHが7.0になるように、水及び48%NaOHを供給した。これにより、アクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体の固形分濃度が40%である重合体水溶液(C4)を得た(表2参照)。次いで、ギヤポンプを用いて、重合体水溶液(C4)を、反応器からコンテナ容器(内容積1m)に充填しようとしたところ、ギヤポンプからキャビテーションによる異音が発生したため、ギヤポンプの使用を中止し、重合体水溶液の自重により充填した。
その後、実施例1と同様にして、各種分析を行ったところ、得られたアクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体のMwは100000であり、過酸化水素の濃度は350ppmであり、重合体水溶液(C4)のAPHAは40であった。
比較例5
反応器に、250kgの水、63kgの無水マレイン酸、及び、80kgの48%NaOHを仕込み、撹拌下、95℃に保持した。次いで、この混合物を、95℃に保持しながら、208kgの90%AA、21kgの30%NPS、11kgの35%H、163kgの48%NaOH、及び、96kgの30%NHPの供給を開始し、重合を行った。尚、90%AA、30%NPS、35%H及び48%NaOHの供給は、4時間で完了させ、30%NHPの供給は、5時間で完了させた。その後、反応系を95℃に保ったまま、1時間熟成し、反応液のpHが7.0になるように、水及び48%NaOHを供給した。これにより、アクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体の固形分濃度が39%である重合体水溶液(C5)を得た(表2参照)。次いで、ギヤポンプを用いて、重合体水溶液(C5)を、反応器からコンテナ容器(内容積1m)に充填した。
その後、実施例1と同様にして、各種分析を行ったところ、得られたアクリル酸(塩)・マレイン酸(塩)共重合体のMwは2000であり、過酸化水素の濃度は10ppm未満であり、重合体水溶液(C5)のAPHAは300であった。
2.重合体水溶液の評価
上記の実施例1〜7及び比較例1〜5で得られた重合体水溶液を、下記の各試験に供した。その結果を表1及び表2に併記した。
(1)安定性試験
内容積1Lの金属製容器に、1kgの重合体水溶液を入れて、密封し、25℃で半年間保管した後、上記の方法でハーゼン色数を決定した。また、容器の外観を観察した。
(2)分散性試験
初めに、重合体水溶液からの固形分0.4部を、水23部に溶解させ、均一な分散剤水溶液を得た。次いで、この分散剤水溶液に、軽質炭酸カルシウムの粉末77部を添加して、プライミクス社製「TKロボミックス」(商品名)を用いて、4000rpmで10分間撹拌分散させ、分散液を得た。この分散液について、BL型粘度計を用いて、分散直後、及び、25℃で7日放置後の粘度を測定した。粘度の測定条件は、25℃、60rpmである。
Figure 0006413771
Figure 0006413771
表1及び表2から明らかなように、本発明の実施形態である実施例1〜7では、過酸化水素の残存量が50ppm以下に低減された重合体水溶液を得ることができた。このため、重合体水溶液をギヤポンプにより送液した際のキャビテーション発生がないだけでなく、重合体水溶液を容器に収容し保管した際にも、容器の変形を抑制することができた。また、得られた各重合体水溶液は着色することなく安定性にも優れるとともに、顔料等として用いられる炭酸カルシウムの良好な分散性能を示した。
これに対し、比較例1は、過酸化水素の添加終了時期と還元剤の添加終了時期とが同時であり、過酸化水素の残存量が高いために送液時のキャビテーションや保管時の容器の変形が見られた。過酸化水素の使用量が多い比較例3及び還元剤の使用量が少ない比較例4も過酸化水素の残存量が多く、比較例1と同様の不具合が観察された。
また、過酸化水素の使用量が少ない比較例2及び還元剤の使用量が多い比較例5では、過酸化水素の残存量は十分少ないものの、重合体水溶液に着色が生じる結果となった。
本発明により得られた重合体水溶液は、洗剤ビルダー、顔料分散剤、水処理剤(スケールの付着防止剤)、バインダー、繊維処理剤、帯電防止剤、皮膚洗浄剤、塗料又は吸水性樹脂の原料等として好適であり、安定な水系組成物を与えることができる。そして、重合体水溶液又は水系組成物の製造現場から使用現場までの搬送作業等において取り扱いを容易なものとすることができる。

Claims (3)

  1. 単量体を、次亜リン酸及びその塩並びに亜リン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1つの還元剤と、過酸化水素を含む重合開始剤と、水とを含む反応系において重合する重合工程を備える重合体水溶液の製造方法において、
    前記単量体は、カルボキシル基含有化合物及びその塩並びに酸無水物から選ばれた少なくとも1種を含むものであり、
    前記還元剤の使用量は、前記単量体の使用量を100質量部とした場合に、2.0〜10.0質量部であり、
    前記重合開始剤の使用量は、前記単量体の使用量を100質量部とした場合に、0.5〜3.0質量部であり、
    前記重合工程は、前記単量体の重合を、少なくとも、前記還元剤の一部又は全量と、前記重合開始剤の一部又は全量とを、反応系に添加しながら進め、且つ、前記還元剤の添加終了時期を、前記過酸化水素の添加終了時期よりも遅くする工程であることを特徴とする、重合体水溶液の製造方法。
  2. 前記重合工程において、前記過酸化水素の添加が終了した後、前記過酸化水素を添加した時間に対して、0.03〜1.2倍の時間をかけて、前記還元剤を添加する請求項1に記載の重合体水溶液の製造方法。
  3. 前記重合工程における重合温度は60〜100℃である請求項1又は2に記載の重合体水溶液の製造方法。
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