JP6412488B2 - Kr脱硫での地金リサイクル方法 - Google Patents

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Description

本発明は、KR脱硫で排滓される除滓物に含まれる地金を鉄源として有効に回収しリサイクルする地金リサイクル方法に関するものである。
KR脱硫は、溶銑中にCaOなどの脱硫剤を投入した上で、インペラなどを用いて溶銑を機械的に攪拌しつつ溶銑中のSを取り除く処理である。このKR脱硫は、溶銑中のSを除滓物として取り除くものであるが、除滓物には金属鉄が地鉄として含まれており、除滓物に含まれる地鉄をリサイクルすることが昨今は必要となっている。
このようなKR脱硫で地金をリサイクルする技術としては、次の特許文献1〜特許文献4に示すようなものが知られている。
例えば、特許文献1は、脱りんおよび脱硫で生じた地金を溶銑搬送容器内に入置きし、高炉の溶銑を受銑することで、リサイクルのために地金を鉄源として溶銑に投入する際の水蒸気爆発を防止することを目的とするものである。この特許文献1では、ヤードにおいて山積みされたスラグから、脱りんおよび脱硫地金をサイズが200mm〜1500mmかつ温度が100℃〜600℃の条件で回収し、溶銑搬送容器に入置きし高炉の溶銑を受銑することで、水蒸気爆発を防止する構成となっている。
また、特許文献2は、付着水分を有する転炉排ガスダストを、予め水分を除去することなく、溶銑搬送容器に入置きして溶銑を受銑させる際に発生する突沸トラブルを防止することを目的とするものであり、溶銑搬送容器に先ず、厚み1mm以下かつ長さ200mm以下である冷鉄源を投入し、次に湿潤状態の転炉排ガスダストを投入し、その上に厚み1mm以下かつ長さ200mm以下の冷鉄源を投入し、さらに溶銑を溶銑搬送容器に受銑させることで、受銑時または受銑後の突沸トラブルを防止する構成となっている。
さらに、特許文献3は、冷鉄源(実施例ではヤードに置かれて、水分を含んだ地金)を溶銑搬送容器に前置きし、高炉で溶銑を受銑させる際に発生する水蒸気爆発を防止するものであり、ヤードに置かれた地金を、脱珪処理または脱りん処理後の排滓時に回収した地金で、かつサイズが150mm以上、かつ付着スラグの塩基度(CaO/SiO:質量比)が2.5以下であるものに制約することで、地金に付着した水分が0.1%〜1.0%となるため、高炉での溶銑受銑時に水蒸気爆発を防止する構成となっている。
さらにまた、特許文献4は、溶銑の脱硫処理で発生するCaO系スラグに含まれる地金を、粉砕処理や磁選することなく、鉄源として溶銑に還元することを目的とするものであり、脱硫処理で発生したCaO系スラグを熱間のまま、空の転炉装入鍋に装入し、その後転炉装入鍋に溶銑を受銑させ、溶銑にCaO系スラグに含まれる地金中の鉄分を還元する構成となっている。
特開2006−070308号公報 特開2009−079256号公報 特開2006−057151号公報 特開2008−081796号公報
ところで、上述した特許文献1は、粒径が200mm〜1500mmで、かつ温度が100℃〜600℃の地金を用いることで小蒸気爆発を防止するものである。そのため、より粒径が小さく温度も低い地金、例えばKR脱硫で発生する地金のうち、粒径が200mm以下であって、常温まで冷却されている小径地金を溶銑搬送容器に入置きすると、高炉の溶銑を受銑した際に水蒸気爆発を生じる可能性がある。
また、特許文献2は、受銑時突沸トラブルを防止するために、本来リサイクルしたい転炉排ガスダストに加えて、厚みが1mm以下で、長さが200mm以下の冷鉄源を溶銑搬送容器内に投入している。そのため、投入された冷鉄源により溶銑搬送容器内の熱が必要以上に奪われる可能性があり、溶銑温度の低下による地金付着の問題や次工程での溶銑予備処理(脱りん・脱硫)の反応効率を低くしてしまうといった問題、さらには転炉工程で昇熱剤が必要となってコストアップに繋がるといった問題を生じる可能性がある。
さらに、特許文献3は、脱珪処理または脱りん処理後の排滓時に回収した地金で、かつサイズが150mm以上、かつ付着スラグの塩基度(CaO/SiO:質量比)が2.5以下であるものを用いることで、水蒸気爆発を防止する構成となっている。そのため、150mmより小さいサイズの小径地金を用いると、溶銑容器に溶銑を受銑させた際、水蒸気爆発を生じる可能性がある。
また、特許文献3は、地金のサイズが150mm以上になれば地金に付着した水分を0.1%〜1.0%にすることができて点を利用して水蒸気爆発を防止しているのであり、水分が数%〜20%程度に及ぶこともある150mmより小さな小径地金を採用した場合には、水蒸気爆発の防止はあまり期待できない。
さらにまた、特許文献4の方法は、地金を含む除滓物を熱間のまま転炉装入鍋に入置きすることで、受銑時の水蒸気爆発を防止するものとなっており、水分を含む除滓物をリサイクルのために鉄源として溶銑中に投入しようとすると、転炉装入鍋に受銑する際に水蒸気爆発を生じる可能性がある。
つまり、特許文献1〜特許文献4の技術は、水分量があまり付着していない径が大きな地金を用いるか、水分が気化して失われているような熱間の地金を用いるものとなっており、常温まで冷却された除滓物や粒径が小さな除滓物をリサイクルできるものとはなっていない。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、常温まで冷却された除滓物や粒径が小さな除滓物に含まれる地金であっても、確実に回収してリサイクルすることができるKR脱硫での地金リサイクル方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のKR脱硫での地金リサイクル方法は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明のKR脱硫での地金リサイクル方法は、インペラを回転させて機械的に溶銑を攪拌する装置を用いて溶銑のKR脱硫を連続して行うに際して、前記連続して行われるKR脱硫における一連のチャージで排滓される除滓物をリサイクル用除滓物として水冷すると共に、水冷したリサイクル用除滓物を、粒径40mm以上を大塊、粒径15mm未満を、その間を小径に粒子サイズで分けておき、前記一連のチャージに続いて行われるKR脱硫のチャージで排滓され且つ水を気化可能な温度となっている除滓物の一部又は全部を乾燥用除滓物とし、前記乾燥用除滓物と、前記サイクル用除滓物から得られた小径のリサイクル用除滓物とを混合して混合除滓物とし、得られた混合除滓物を、前記乾燥用除滓物を得たKR脱硫のチャージより後のチャージで溶銑に投入するに際しては、前記混合除滓物に対する乾燥用除滓物の重量比をa(%)、前記混合除滓物の混合開始からの経過時間を乾燥時間b(hr)とした場合に、重量比aと乾燥時間bを変数として乾燥後の混合除滓物の水分量x(%)を推定する式(1)で示される重回帰式を求めておくと共に、
前記混合除滓物を前記溶銑に投入しても水蒸気爆発を起こさない状況下となる、前記混合除滓物の投入量上限値y(kg/t)と前記混合除滓物の水分量x(%)との関係を示す式(2)を求めておき、前記混合除滓物に対する乾燥用除滓物の重量比がa(%)となるように、前記リサイクル用除滓物から得られた小径のリサイクル用除滓物と前記乾燥用除滓物とを混合して混合除滓物とし、前記混合された混合除滓物を乾燥時間b(hr)だけ静置し、前記式(1)に、前記混合除滓物に対する乾燥用除滓物の重量比a、及び混合除滓物の乾燥時間b(hr)を代入して乾燥後の混合除滓物の水分値xを求め、求められた乾燥後の混合除滓物の水分値xを式(2)に代入して投入量上限値y(kg/t)を求め、前記混合除滓物が、求めた投入量上限値y(kg/t)より少なくなるように前記混合除滓物を溶銑に投入することを特徴とする。
本発明のKR脱硫での地金リサイクル方法によれば、常温まで冷却された除滓物や粒径が小さな除滓物に含まれる地金であっても、確実に回収してリサイクルすることができる。また、本発明のKR脱硫での地金リサイクル方法では、乾燥炉などの処理設備を別途用いることがなく、粒径が小さな除滓物の地金を溶銑に安全に還元してリサイクルすることができる。
本実施形態の地金リサイクル方法の事前準備工程を示した図である。 本実施形態の地金リサイクル方法の実操業工程を示した図である。 実操業工程のKR脱硫操作を説明する図である。 実操業工程の後除滓操作を説明する図である。 実操業工程の冷却操作を説明する図である。 実操業工程の分別操作を説明する図である。 実操業工程において、除滓物から乾燥用除滓物を取り出す操作を説明する図である。 実操業工程において、乾燥用除滓物とリサイクル用除滓物とを混合する混合操作を説明する図である。 実操業工程において、混合除滓物を乾燥用除滓物を得たチャージより後のチャージで溶銑に投入する投入操作を説明する図である。 水分計算値と水分実績値との対応をプロットした図である。 水蒸気爆発を起こさずに除滓物の投入が可能となる地金付着水分と地金投入量の関係を示した図である。
以下、本発明に係るKR脱硫での地金リサイクル方法の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
本実施形態の地金リサイクル方法は、インペラ2を回転させて機械的に溶銑を攪拌する装置(KR脱硫装置1)を用いて溶銑のKR脱硫を連続して行うに際して、連続して行われるKR脱硫における一連のチャージで排滓される除滓物Sをリサイクル用除滓物Sとして水冷すると共に、水冷したリサイクル用除滓物Sを大塊SRB、小径SRS、粉SRPに粒子サイズで分けておき、一連のチャージに続いて行われるKR脱硫のチャージで排滓され且つ水を気化可能な温度となっている除滓物の一部又は全部を乾燥用除滓物Sとし、乾燥用除滓物Sと、サイクル用除滓物Sから得られた小径のリサイクル用除滓物SRSとを混合して混合除滓物Sとし、得られた混合除滓物Sを、乾燥用除滓物Sを得たKR脱硫のチャージより後のチャージで溶銑に投入するものである。
詳しく言えば、本実施形態の地金リサイクル方法は、KR脱硫処理で発生する除滓物Sを常温(少なくとも100℃未満)まで冷却し、上述した3種類の除滓物(大塊SRB、小径SRS、粉SRP)に分けておく。これら3種類の除滓物のうち、粒径が40mm以上の「大塊」の除滓物SRBや粒径が15mm未満の「粉」の除滓物SRPは従来からリサイクルが可能であったが、粒径が15mm〜40mmの「小径」の除滓物SRSは、そのまま溶銑に投入すると水蒸気爆発のおそれがあり、除滓物に含まれる地金のリサイクルが行われていなかった。そこで、本実施形態の地金リサイクル方法は、KR脱硫で排滓される除滓物Sの一部を熱間状態のまま乾燥用除滓物Sとして「小径」の除滓物SRSに混合し、乾燥用除滓物Sの高温を利用して「小径」の除滓物SRSの水分を乾燥させて取り除くことで、水蒸気爆発を確実に防止しつつ「小径」の除滓物SRSに含まれる地金をリサイクルできるようにしている。
具体的には、本実施形態の地金リサイクル方法は、図1に示す「事前準備工程」をまず行い、次に図2に示す「実操業工程」を行うものとなっている。
「事前準備工程」は、乾燥条件から乾燥後の混合除滓物S(乾燥用除滓物Sに「小径」の除滓物SRSを混合したもの)の水分量を推定する水分量推定式と、水分値に応じた混合除滓物Sの投入量上限値yを規定する投入量計算式とを、事前に準備しておく工程である。
また、「実操業工程」は、実操業において、水分量推定式に操業条件を当てはめ水分値を推定し、算出された水分推定値を投入量計算式に代入して投入量上限値yを求め、求められた除滓物の投入量が投入量上限値y以下の重量となるように「小径」の混合除滓物SをKR脱硫処理前の溶銑鍋3の溶銑に投入するものとなっている。
以降では、本実施形態の地金リサイクル方法を構成する「事前準備工程」と「実操業工程」についてそれぞれ説明する。
なお、上述した如く、本発明の技術においては、「事前準備工程」を行った後、得られた回帰式を用いて「実操業工程」を行っている。しかしながら、本明細書においては、技術の理解を容易にするため、まず、「実操業工程」の内容について詳細に説明を行い、その後、「事前準備工程」の内容について説明を行う。
以降でいう「除滓物S」は、KR脱硫工程で除滓されたスラグとそのスラグ内に含まれる地金の両者を合わせたものを言う。
まず、図2を用いて、「実操業工程」について説明する。
本実施形態の「実操業工程」は、本発明にかかるKR脱硫での地金リサイクル方法の実際の操業のことであり、次の(1)〜(6)の操作を順番に行うものとなっている。
(1)連続して行われるKR脱硫における一連のチャージで排滓される除滓物Sをリサイクル用除滓物Sとして得る操作(KR脱硫操作S1及び後除滓操作S2)。
(2)得られたリサイクル用除滓物Sを水冷する操作(冷却操作S3)。
(3)水冷したリサイクル用除滓物Sを大塊SRB、小径SRS、粉SRPに粒子サイズで分けておく操作(分別操作S4)。
(4)一連のチャージに続いて行われるKR脱硫のチャージで排滓され且つ水を気化可能な温度となっている除滓物の一部又は全部を乾燥用除滓物Sとして分ける操作(除滓物Sから乾燥用除滓物Sを取り出す操作)。
(5)乾燥用除滓物Sと、サイクル用除滓物Sから得られた小径のリサイクル用除滓物SRSとを混合して混合除滓物Sとする混合操作S5。
(6)得られた混合除滓物Sを、乾燥用除滓物Sを得たKR脱硫のチャージより後のチャージで溶銑に投入する操作(投入操作S6)。
以上の工程を順番に行うものとなっている。
以降では、本実施形態の地金リサイクル方法を構成する各操作について説明する。
図2に示すように、KR脱硫操作では、溶銑鍋3を用いた溶銑のKR脱硫が複数のチャージに亘って連続して行われる。
KR脱硫とは、機械的攪拌手段を用いて、脱硫剤が添加された溶銑鍋3内の溶銑を攪拌し、脱硫剤を溶銑中の硫黄に反応させて、溶銑中の硫黄をスラグに移行し、最後に硫黄が含まれたスラグを除滓物Sとして排滓する処理である。
具体的には、このKR脱硫操作は、図3に示すように、耐火物で構成されたインペラ2などの機械的攪拌手段を用いて、溶銑鍋3中の溶銑を攪拌しつつ行われる。図例では、この機械的攪拌手段は、溶銑鍋3に対して水平方向に移動可能に設けられたKR台車4に取り付けられており、溶銑鍋3に対して昇降自在に取り付けられている。そして、KR脱硫の際には、平面視でKR台車4の中央に溶銑鍋3が位置する処理位置にKR台車4が移動するようになっていて、KR台車4に取り付けられた機械的攪拌手段を溶銑鍋3内の溶銑に浸漬させられる構成となっている。
また、KR脱硫操作においては、機械的攪拌手段が浸漬している溶銑鍋3の溶銑に、脱硫剤として生石灰やアルミドロスなどが添加される。そして、機械的攪拌手段を50rpm〜150rpmの回転速度で回転させることで、溶銑鍋3の溶銑中に脱硫剤を巻込むように機械的な撹拌が行われる。
このような機械的な攪拌が行われているKR脱硫の溶銑中では、溶銑中の硫黄[S]が、式(3)に示すように硫化カルシウムに変化する反応が進行する。
なお、上述した反応を行う際に、高炉スラグなどが存在すると、反応効率が低下してしまう場合がある。このような場合は、高炉スラグなどを溶銑鍋3内から除去するため、KR脱硫の前に前除滓が行われる場合もある。
このようにして溶銑中の硫黄が硫化物として固定されたスラグは、図4に示すような「後除滓操作」で排滓される。
つまり、後除滓操作を行うに当たっては、まず機械的攪拌手段が溶銑中から引き上げられ、さらにKR台車4が水平方向に移動して、溶銑鍋3から離間した位置に離れる。そして、機械的攪拌手段が退いた後の溶銑鍋3では、スラグシュート5(受滓容器)側からスラグドラッガー6を差し伸ばして、スラグドラッガー6で湯面のスラグが集めるように掻き出され、スラグシュート5へのスラグの排滓が可能となる。
具体的には、上述したスラグシュート5は、KR台車4と平行な方向に向かって水平移動可能なスラグ傾転台車7に取り付けられており、溶銑鍋3から掻き出した除滓物Sを収容可能となっている。また、スラグドラッガー6は、スラグ傾転台車7の移動方向とは直交する方向に沿って長尺とされた部材であり、長手方向の先端に耐火物を被覆して形成された鍵型構造を備えたスラグの除去装置である。スラグドラッガー6は、上述した鍵型構造を溶銑鍋3側に向かって前進させたり後退させたりできるように、さらには鍵型構造を水平方向(左右方向)に旋回できるようにスラグ傾転台車7に取り付けられており、溶銑鍋3の湯面に浮かぶスラグを溶銑鍋3外に掻きだして、スラグシュート5に集めることが可能となっている。
このようにしてスラグシュート5に受滓されたスラグは、さらにスラグシュート5からスラグピット(第1スラグピット8)に移し替えられる。つまり、図4の右側に点線で示されるようにスラグ傾転台車7のスラグシュート5は横倒し状に傾転可能となっており、スラグ傾転台車7の移動方向を向く軸回りにスラグシュート5を揺動させると、スラグシュート5が垂直に起立するまで傾動し、スラグシュート5(受滓容器)に一旦受滓したスラグをスラグピット上に残さず空けることができるようになっている。
このようにしてスラグピット(第1スラグピット8)に受滓されたスラグ(以降、溶銑鍋3の外に掻き出されたスラグを除滓物Sという)は、図5に示すような運搬車両9(図例の場合はダンプ)に重機を用いて載せ替えられ、運搬車両9でヤードに運搬される。この運搬中に、上述した造滓物Sの冷却操作が行われる。
なお、以降では、ヤードに運搬されると共に冷却された除滓物Sをリサイクル用除滓物Sといい、後述する乾燥用除滓物Sと区別して用いる。
冷却操作は、ヤードに運搬されるリサイクル用除滓物Sに水をかけて、水の気化によりリサイクル用除滓物Sの温度を下げる操作である。この冷却操作は、後述する篩い分けを可能とするために行われ、サイクル用除滓物Sの温度が少なくとも100℃以下となるまで、好ましくは常温になるまで行われる。
本実施形態では、ヤードに運搬されるリサイクル用除滓物Sはスラグパン10に収容された状態で運搬車両9に載せられており、冷却操作は、図5に示すようにリサイクル用除滓物Sが収容されたスラグパン10に対してスプレーノズル11により水を散布することで行われる。なお、この冷却操作は、水をリサイクル用除滓物Sに付与して冷却を行うものであれば、散水以外の方式を採用しても良い。また、空冷など他の冷却方法を、水冷に併用して用いても良い。
図6に示すように、冷却操作で冷却されたリサイクル用除滓物Sは、ヤードに山積みして在庫管理される。そして、ヤードに山積みされたリサイクル用除滓物Sは、次の分別操作で、粒径(粒子サイズ)により3種類に分別される。
分別操作は、冷却後にヤードに保管されているリサイクル用除滓物Sを、篩い機などを用いて「大塊SRB」、「小径SRS」、「粉SRP」の3種類に分ける操作である。
ここで、「大塊」のリサイクル用除滓物SRBは、粒径が40mm以上のリサイクル用除滓物S、つまり粒径が40mm以上の地金とスラグとの混合物であって、転炉でのスクラップ鉄源や溶銑容器への入置きなどの用途に用いられる。
また、「粉」のリサイクル用除滓物SRPは、粒径が15mm未満のリサイクル用除滓物S、つまり粒径が15mm未満の地金とスラグとの混合物であって、焼結原料や脱りん剤など鉄分を含む粉体を鉄源としてリサイクルされる。
さらに、「小径」のリサイクル用除滓物SRSは、その粒径が、「大塊」のリサイクル用除滓物SRBの下限値と、「粉」のリサイクル用除滓物SRPの上限値との間になるようなリサイクル用除滓物Sであり、従来よりリサイクルが困難とされてきたものである。
上述した「大塊SRB」、「小径SRS」、「粉SRP」のリサイクル用除滓物への分別は、図6に示すような手順で行われる。
すなわち、まず100mmの目開きを備えた第1の篩い機12と、40mmの目開きを備えた第2の篩い機13とを用意する。そして、ヤードに保管されているリサイクル用造滓物Sを、まず第1の篩い機12で篩い分ける。このとき、第1の篩い機12で篩上に篩い分けられたものが「大塊」のリサイクル用除滓物SRBである。次に、第1の篩い機12で篩下に篩い分けられたリサイクル用除滓物Sを、第2の篩い機13で篩い分ける。このようにして第2の篩い機13で篩下に分けられたリサイクル用除滓物Sが「粉」のリサイクル用除滓物SRPであり、第2の篩い機13で篩上に分けられたものが「小径」のリサイクル用除滓物SRSである。
ところで、上述した後除滓操作においてスラグドラッガー6で除滓を行うと、スラグと共に湯面近くの溶銑もスラグと一緒になって掻き出されるため、除滓物S(リサイクル用除滓物S)には少なからず地金(金属鉄)が混じっている。このような地金のうち、「大塊SRB」や「粉SRP」のリサイクル用除滓物に含まれる地金は、スクラップ鉄源や焼結原料として再利用される。しかし、従来の方法では、「小径」のリサイクル用除滓物SRSに含まれる地金は、再利用が困難とされてきた。
すなわち、「小径」に分別された(篩い分けられた)リサイクル用除滓物SRSは、篩い分け前に散水が行われているため、内部に多くの水分を有している。そのため、「小径」に分別されたリサイクル用除滓物SRSをそのまま溶銑中に投入すると、水蒸気爆発を起こす可能性が高い。また、「粉」のリサイクル用除滓物SRPと同様に、空の転炉に入置きして炉熱によって水分を蒸発させることも考えられるが、「小径」のリサイクル用除滓物SRSは粒子径が小さいため熱が均一に伝わり難く、十分に水分を取り除けない可能性があり、水蒸気爆発が起こる可能性を十分に下げることは困難であった。
そこで、本実施形態の地金リサイクル方法では、後述するした(4)〜(6)の操作を行って、熱間の乾燥用除滓物Sの混合によって、「小径」のリサイクル用除滓物SRSに含まれる水分を気化させ、混合除滓物Sとして溶銑に投入した際の水蒸気爆発を確実に抑制しているのである。
具体的には、本実施形態の地金リサイクル方法では、上述したKR脱硫を連続して複数チャージに亘って行う。そして、それぞれのチャージのKR脱硫で排滓された除滓物Sを、すべてリサイクル用除滓物Sとして、冷却、分別し、「小径」のリサイクル用除滓物SRSを得る。このようにして「小径」のリサイクル用除滓物SRSの量が所定量に達したら、その次のチャージにおいては、(4)の操作、すなわち「除滓物から乾燥用除滓物Sを取り出す操作」を行う。
この(4)の操作は、「小径」のリサイクル用除滓物SRSを得るための一連のチャージに続いて行われるKR脱硫のチャージで、KR脱硫後に排滓される除滓物Sの一部または全部を乾燥用除滓物Sとするものである。この乾燥用除滓物Sは、排滓された直後の高温を維持した熱間の造滓物Sであり、水を気化可能なように最低でも100℃を超える温度、より好ましくは後除滓終了から2時間以内であって500℃以上の温度とされた除滓物Sが用いられている。
このようにして分別された「小径」のリサイクル用除滓物SRSは、ヤードに山積みして在庫管理される。このとき、屋外にあるヤードでは、天候の影響によりリサイクル用除滓物SRSに付着する水分値にばらつきが生じる。それゆえ、屋外のヤードに保管された「小径」のリサイクル用除滓物SRSをリサイクルする際には、後述する測定方法を用いて水分量を測定しておくのが好ましい。
具体的には、上述した(4)の操作は、図7に示すような手順で行われる。つまり、除滓物Sを収容するために床面に形成されたスラグピット(素堀りのスラグピット)を、第1スラグピット8と第2スラグピット14との2箇所形成しておく。そして、一連のチャージよりも後で行われるKR脱硫のチャージでスラグシュート5からの除滓物Sを、まず第1スラグピット8に排滓する。そして、第1スラグピット8に受滓された除滓物Sをリサイクル用除滓物Sとする場合は、第1スラグピット8に受滓された除滓物Sをそのままの運搬車両9でヤードに運び、第1スラグピット8に受滓された除滓物Sを乾燥用除滓物Sとする場合は、第1スラグピット8の除滓物の一部または全部を、ホイルローダなどの重機を用いて、第1スラグピット8の隣りに設けられた第2スラグピット14に移動させる。このようにすれば第1スラグピット8に受滓された除滓物Sを、必要に応じてリサイクル用除滓物Sと乾燥用除滓物Sを取り分けることが可能となる。
このようにして第2スラグピット14に取り分けられた乾燥用除滓物Sに対しては、図8に示す混合操作において、「小径」のリサイクル用除滓物SRSが混合される。つまり、上述した分別操作で第2の篩い機13で篩上に篩い分けられた「小径」のリサイクル用除滓物SRSは、ダンプなどの運搬車両9でヤードから第2スラグピット14まで戻される。そして、第2スラグピット14に戻された小径のリサイクル用除滓物SRSをホイルローダなどを用いて乾燥用除滓物Sに混合し、混合除滓物Sを作製する。
このように乾燥用除滓物Sを第2スラグピット14に仮置きすれば、「小径」のリサイクル用除滓物SRSの乾燥を促進することができる。また、第2スラグピット14を設ける場所は、雨に濡れない工場建屋内に設けるのが好ましい。
かかる混合操作においては、熱滓混合重量比a及び乾燥時間bが、実操業条件として得られる。
このようにして熱滓混合重量比a及び乾燥時間bが得られたら、得られた熱滓混合重量比a及び乾燥時間bを、後述する事前準備工程で求められた水分量推定式(1’)に代入する。さらに、実操業条件が代入された水分量推定式(1’)を、さらに、後述する事前準備工程で求められている投入量計算式(2)に代入する。そうすると、混合除滓物Sの投入量上限値yを実際に算出することができる。
つまり、実操業工程の混合操作において、算出された混合除滓物Sの投入量上限値yを超えない投入量で混合除滓物Sを溶銑中に投入することで、水蒸気爆発を防止しつつ小径(粒径が15mm〜40mm)のリサイクル用除滓物SRSに含まれる地金を再利用することが可能となる。
さて、本発明の技術では、上記した「実操業工程」に先立ち「事前準備工程」を行うこととしている。
以下、図1を用いて、「事前準備工程」の内容について詳細に説明を行う。
本実施形態の「事前準備工程」は「実操業工程」で行った(1)〜(6)の工程を行いつつ、数々の操業データを蓄積し、得られた操業データから、水分量推定式(1’)及び投入量計算式(2)を得るものである。
すなわち、事前準備工程は、KR脱硫操作、後除滓操作、冷却操作、分別操作までの操作については、実操業工程と同じである。つまり、後除滓で発生したリサイクル用除滓物Sを常温まで冷却し、冷却後のリサイクル用除滓物Sを第1の篩い機12及び第2の篩い機13を用いて「大塊SRB」、「小径SRS」、「粉SRP」に篩分けする。そして、リサイクル用除滓物Sを篩分けすることによって発生する「小径」のリサイクル用除滓物SRSと、熱間状態のまま第1スラグピット8から送られてきた乾燥用除滓物Sとを、第2スラグピット14の中で混合する。
このようにして混合された混合除滓物Sの水分量xがどのようになるかを、事前準備工程では、過去の数々の操業データを用いた解析により、「水分量推定式」として予め求めておく。また、水分量推定式を用いて求められた水分量xを利用して、溶銑に投入可能な混合除滓物の投入量上限値yがどのようになるかを、「投入量計算式」として予め求めておく。
具体的には、混合除滓物Sの混合重量比率、言い換えれば混合除滓物のS総重量に対する乾燥用除滓物Sの重量の比を、熱滓混合重量比aと定義する。この熱滓混合重量比aは、乾燥用に第2スラグピット14に仮置きされた熱間の乾燥用除滓物Sの重量を、乾燥用に仮置きした熱間の乾燥用除滓物Sの重量と、第2スラグピット14に戻された小径のリサイクル用除滓物SRSの重量との和で除したものである。なお、これらの重量は、ホイルローダに搭載されたロードセルを用いて測定可能であるが、ロードセル以外の秤量手段を用いても良い。
また、混合開始からの経過時間を乾燥時間bと定義する。この乾燥時間bも、乾燥後の造滓物の水分を推定するためのパラメータとなり得るからである。
これらの熱滓混合重量比a及び乾燥時間bが利用すれば、混合除滓物Sの水分量x、より正確には、熱滓混合重量比aで混合が行われた混合除滓物Sが、乾燥時間bだけ乾燥が行われた時点で示す水分量xを推定することができる。
すなわち、混合除滓物の水分量xは、上述した熱滓混合重量比a及び乾燥時間bの関数となると予測できるため、以下の式(1)のように熱滓混合重量比a及び乾燥時間bを説明変数とする重回帰式として示すことができる。
このような水分量推定式(1)を用いれば、混合除滓物Sの乾燥後の水分量xを正確に推定することが可能となる。
なお、上述した水分量推定式(1)は、ばらつきを考慮していないため、水分量推定式(1)で推定される水分量になるように混合除滓物Sを形成しても、実施に測定される水分量の測定値が推定を上回る可能性がある(言い換えれば、後述する水蒸気爆発が起こる可能性が残る)。そのため、実際に水分量を推定する場合には、水分計などを用いて実測した混合除滓物Sの水分量を水分量推定式で推定した水分量が上回らないように、水分量推定式(1)にばらつきを嵩上げしておくのが好ましい。
すなわち、水分量推定式(1)で推定される水分量と、実際に水分計を用いて測定される水分量との差を求め、求められた差(ばらつき)が最大となるものを「最大ばらつきc」として選ぶ。選ばれた「最大ばらつきc」を水分量推定式(1)の切片に加えた修正式を、真の水分量推定式(1’)として用いるのが好ましい。
なお、除滓物Sの水分量xを実際に測定する際には、どのような水分計を用いても良いが、好ましくは赤外線加熱式などの水分計を用いることができる。また、混合除滓物Sからのサンプルの採取位置によっては、水分量の測定結果にばらつきが生じる可能性があるため、複数箇所からサンプルを採取して水分量を測定し、測定結果の中で最も高い値を、混合除滓物Sの水分量を代表する値として用いた。
上述のようにして、混合除滓物Sの水分量を推定する水分量推定式(1’)が得られたら、水蒸気爆発を起こすことなく溶銑に投入可能な混合除滓物Sの投入量上限値yを事前に求めておく。
この「水蒸気爆発が起こるかどうか」は、混合除滓物Sを投入した際に、溶銑鍋3内で爆発に伴う閃光や溶銑の飛散が見られるかどうかを、ビデオカメラにて撮影し、予め判定しておく。
また、水蒸気爆発が発生しないからといって、混合除滓物Sの投入量上限値yを際限なく増やせることはなく、混合除滓物Sの投入量上限値yが所定量を超えると、混合除滓物Sの溶け残りが発生するようになり、好ましくない。それゆえ、このような水蒸気爆発が起こらず、混合除滓物Sの溶残が発生しない混合除滓物Sの投入量上限値yの範囲を数式で示したものが、投入量計算式(2)である。
上述した水分量推定式(1’)で求められた混合除滓物Sの水分量xを、投入量計算式(2)に代入すれば、水蒸気爆発の発生をより確実に抑制可能な混合除滓物Sの投入量上限値yを算出する算出式を得ることが可能となる。
以上のように、混合除滓物Sの水分量xを推定する水分量推定式(1’)、及び混合除滓物Sの投入量上限値yを算出する投入量計算式(2)を求める工程が、地金リサイクル方法の事前準備工程となる。
次に、実施例及び比較例を用いて、本発明の地金リサイクル方法の作用効果をさらに詳しく説明する。
実施例及び比較例は、260tonの溶銑が装入された溶銑鍋3に、石灰系脱硫剤とアルミナ系媒溶剤を添加し、10分間に亘ってKR脱硫を行ったものである。
KR処理後の後除滓において、溶銑鍋3に浮かぶスラグを行いスラグシュート5を用いて、スラグピット(第1スラグピット8)に排滓した。
なお、KR脱硫処理時のスラグ傾転台車7は、図3に矢印で示されたように移動を行っており、KR脱硫処理時には図3に示す処理位置、除滓時には図4に示す非処理位置に位置している。そして、KR脱硫処理時には処理位置でインペラ2を下降し、インペラ2を軸中心に回転させて、溶銑を撹拌している。また、KR脱硫処理が終了した時点でインペラ2を上昇させた。さらに、脱硫剤については、KR台車4上にあるホッパー(図示略)より溶銑鍋3内に投入した。
一方、後除滓時のスラグ傾転台車7は、図4に示されたように移動を行っている。つまり、スラグ傾転台車7を非処理位置まで走行させ、スラグドラッガー6を前進・後退・左右旋回させることで、除滓物S(スラグ及び地金)をスラグシュート5に掻き出す。次に、スラグシュート5を傾動することで、除滓物Sを第1スラグピット8上に排滓した。
図5に示すように、第1スラグピット8に排滓された除滓物Sを、「リサイクル用除滓物S」として運搬車両9上のスラグパン10に積込み、機関車で運搬車両9を牽引してスラグ冷却場(ヤード)まで運搬した。リサイクル用除滓物Sはスラグ冷却場に運搬し、散水することで常温まで冷却した。散水冷却後にスラグパン10をクレーンを用いて傾転することで、素掘りのピットに排滓した。
図6に示すように、素掘りのピットのリサイクル用除滓物Sを、バックホー式の第1の篩い機12を用いて、40mmで篩分けを行った。第1の篩い機12において篩上に分別されたリサイクル用除滓物Sは、「大塊のリサイクル用除滓物SRB」としてヤードに保管した。また、第1の篩い機12において篩下に分別されたリサイクル用除滓物Sは、振動スクリーン式の第2の篩い機13を用いて、15mmで篩分けを行った。第2の篩い機13において篩下に分別されたリサイクル用除滓物Sは、「粉のリサイクル用除滓物SRP」としてヤードに保管した。
「大塊のリサイクル用除滓物SRB」は転炉のスクラップ鉄源として、また「粉のリサイクル用除滓物SRP」は焼結原料に配合し、鉄源として鉄分を回収した。
そして、第2の篩い機13において篩上に分別された小径のリサイクル用除滓物SRSを、第1スラグピット8の側方に設けられた第2スラグピット14に移動した。
一方、リサイクル用除滓物Sとして排滓された一連のKR脱硫に続いて行われるチャージで排滓される除滓物Sを、乾燥用除滓物Sとして第1スラグピット8から第2スラグピット14に移動し、小径のリサイクル用除滓物SRSと乾燥用除滓物Sとをホイルローダを利用して混合した。
このとき、小径のリサイクル用除滓物SRSと乾燥用除滓物Sとの重量をホイルローダに搭載した荷重計で測定し、熱滓混合重量比aの条件として、10%, 30%, 50%の条件の混合除滓物Sの試料を作製した。
また、混合除滓物Sの水分量については、山積みした「小径のリサイクル用除滓物SRS」の山から、採取場所を変えて3つの試料を採取し、赤外線加熱式水分計を用いて加熱温度120℃、加熱保持時間15分の条件で水分を測定した。3つの試料の水分分析値のうち、最大値を代表値として採用した。
以下の表1に、熱滓混合重量比a、乾燥時間b、混合除滓物Sの水分量の結果を示した。
表1に示された熱滓混合重量比a、乾燥時間bを説明変数として、水分値xに対する重回帰式を求めると、式(4)のような関係式が得られる。
式(4)により計算される水分量xと、実際に計測された水分量との差を計算すると、両者の差は最大で3.2%であった。それゆえ、乾燥後の混合除滓物Sの水分値を推定する計算式として下記式(4’)を採用した。
つまり、図10に示した水分計算値と水分分析値を一対一に回帰した直線が図中の計算式(1)であり、誤差3.2%を切片に加算した直線が図中の計算式(1’)である。
一方、上述したように熱滓混合重量比aを10%、30%、50%、乾燥時間bを1hr、5hr、8hrで変化させた混合除滓物Sを、ホイルローダによってリサイクルシュート15に積込み、溶銑鍋3の溶銑上に投入し、KR脱硫処理を行った。
このときのリサイクルシュート15の動きは、図9に示すようなものであり、スラグ傾転台車7をリサイクル位置に走行させ、次にリサイクルシュート15を上昇後、旋回し、傾動することで、溶銑鍋3の溶銑上に積載されていた混合除滓物Sを一括投入した。
混合除滓物Sの投入時に、溶銑鍋3の内部で水蒸気爆発の発生状況、及び混合除滓物Sの溶け残りの有無を観察した。結果を、表2および図11に示した。
表2に示すように、溶銑に投入される混合除滓物Sの水分値と、混合除滓物Sの投入量とを変化させた場合に、水蒸気爆発が発生する場合を「×」、水蒸気爆発が発生しない場合を「○」、また混合除滓物Sの溶け残りがある場合を「×」、溶け残りがない場合を「○」の評価とした。なお、混合除滓物Sの投入量(kg/t)は、混合徐滓物の総投入量を投入した溶銑鍋内の溶銑の重量で割った値となっている。図11に示すように、表2のデータを、横軸を混合除滓物Sの水分値、縦軸を混合除滓物Sの投入量としたグラフにプロットした場合に、水蒸気爆発を生じず、かつ混合除滓物Sの溶け残りも生じない領域の境界線を示すものとして、混合除滓物Sの投入量上限値を示す式(5)を導いた。
なお、水蒸気爆発が起こる/起こらないの境界は、混合除滓物Sの水分量が2.5%より多い場合と、混合除滓物Sの水分量が2.5%以下となる場合とで分けて考えることができ、混合除滓物Sの水分量が2.5%より多い場合(混合除滓物の投入量が8kg/tより多い場合)には、混合除滓物Sが溶け残るようになる。
つまり、上述した表2の「混合除滓物の投入量上限値」は、図11において太線で示される式(5)に投入条件の水分量(%)を代入して求められたものとなっている。このようにして得られる混合除滓物Sの投入上限値yを超えないように混合除滓物Sを溶銑中に投入することで、水蒸気爆発を起こさず、混合除滓物Sの溶残も発生させないような、小径のリサイクル用除滓物SRSに含まれる地金のリサイクルが可能となることを出願人は確認している。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 KR脱硫装置
2 インペラ
3 溶銑鍋
4 KR台車
5 スラグシュート(受滓容器)
6 スラグドラッガー
7 スラグ傾転台車
8 第1スラグピット
9 運搬車両
10 スラグパン
11 スプレーノズル
12 第1の篩い機
13 第2の篩い機
14 第2スラグピット
15 リサイクルシュート
S 除滓物
リサイクル用除滓物
RB 大塊のリサイクル用除滓物
RS 小径のリサイクル用除滓物
RP 粉のリサイクル用除滓物
乾燥用除滓物
混合除滓物
y 混合除滓物の投入上限値
x 混合除滓物の水分量

Claims (1)

  1. インペラを回転させて機械的に溶銑を攪拌する装置を用いて溶銑のKR脱硫を連続して行うに際して、
    前記連続して行われるKR脱硫における一連のチャージで排滓される除滓物をリサイクル用除滓物として水冷すると共に、水冷したリサイクル用除滓物を、粒径40mm以上を大塊、粒径15mm未満を、その間を小径に粒子サイズで分けておき、
    前記一連のチャージに続いて行われるKR脱硫のチャージで排滓され且つ水を気化可能な温度となっている除滓物の一部又は全部を乾燥用除滓物とし、
    前記乾燥用除滓物と、前記サイクル用除滓物から得られた小径のリサイクル用除滓物とを混合して混合除滓物とし、
    得られた混合除滓物を、前記乾燥用除滓物を得たKR脱硫のチャージより後のチャージで溶銑に投入するに際しては、
    前記混合除滓物に対する乾燥用除滓物の重量比をa(%)、前記混合除滓物の混合開始からの経過時間を乾燥時間b(hr)とした場合に、重量比aと乾燥時間bを変数として乾燥後の混合除滓物の水分量x(%)を推定する式(1)で示される重回帰式を求めておくと共に、
    前記混合除滓物を前記溶銑に投入しても水蒸気爆発を起こさない状況下となる、前記混合除滓物の投入量上限値y(kg/t)と前記混合除滓物の水分量x(%)との関係を示す式(2)を求めておき、
    前記混合除滓物に対する乾燥用除滓物の重量比がa(%)となるように、前記リサイクル用除滓物から得られた小径のリサイクル用除滓物と前記乾燥用除滓物とを混合して混合除滓物とし、
    前記混合された混合除滓物を乾燥時間b(hr)だけ静置し、
    前記式(1)に、前記混合除滓物に対する乾燥用除滓物の重量比a、及び混合除滓物の乾燥時間b(hr)を代入して乾燥後の混合除滓物の水分値xを求め、
    求められた乾燥後の混合除滓物の水分値xを式(2)に代入して投入量上限値y(kg/t)を求め、
    前記混合除滓物が、求めた投入量上限値y(kg/t)より少なくなるように前記混合除滓物を溶銑に投入する
    ことを特徴とするKR脱硫での地金リサイクル方法。
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