JP6410574B2 - 多孔質シリカの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔質シリカの製造方法に適用して有効な技術である。
多孔質シリカ材料、特にメソポーラスシリカと呼ばれる材料は、大きな比表面積と細孔径の制御性から、吸着材や触媒担体などの分野での応用が期待されている材料である。
代表的なメソポーラスシリカであるMCM−41型のメソポーラスシリカの場合、アルキルトリメチルアンモニウム塩(RN(CH、X=Cl、Br)が水中で形成する棒状ミセルを鋳型とすることで、細孔径のそろった多孔質シリカを製造することが可能であると報告されている。
また、非特許文献1には、界面活性剤の疎水部にあたるアルキル鎖の鎖長が8〜18の界面活性剤を鋳型に用い、細孔径が1.5〜3.0nmの多孔質シリカが得られるとの記載がある。
しかしながら、非特許文献2に記載のように、細孔径が1.5以下のメソポーラスシリカを形成することは困難であるとされていた。
この問題を解決するために、特許文献1ではアルコキシシランを原料に用い、溶媒を用いない特殊な反応条件で炭素鎖6以下の界面活性剤を鋳型にし、0.5〜1.5nmの細孔径を有する多孔質シリカの合成に成功している。
国際公開第2011/108649号
J.S.Beck, J.C.Vartuli, G.J.Kennedy, C.T.Kresge, W.J.Roth, and S.E. Schramm, Chem. Mater. 1994, 6, 1816. T. Sawada, T. Yano, N. Isshiki, T. Isshiki, M. Iwamoto, Bull. Chem. Soc. Jpn., 2008, 81, 407.
しかしながら、アルコキシシランは、高価であり、より汎用的で安価な材料を用いた、多孔質シリカの製造方法が望まれる。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態に示される多孔質シリカの製造方法は、ケイ酸アルカリのケイ酸化により多孔質シリカを製造する方法であって、(a)ケイ酸アルカリを水に溶解させた第1水溶液を準備する工程、(b)前記第1水溶液をケイ酸化した溶液(ケイ酸水溶液)に界面活性剤を溶解させることにより第2水溶液を作製する工程、(c)前記第2水溶液の水分量を50wt%以下まで低下させることにより第3水溶液を作製する工程、(d)前記第3水溶液の重合反応により、前記第3水溶液をゲル化させる工程であって、前記界面活性剤のミセルを鋳型としたシリカを形成する工程、を有する。
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態に示される多孔質シリカの製造方法は、ケイ酸アルカリのケイ酸化により多孔質シリカを製造する方法であって、(a)ケイ酸アルカリを水に溶解させた第1水溶液を準備する工程、(b)前記第1水溶液をケイ酸化した溶液(ケイ酸水溶液)に界面活性剤を溶解させることにより第2水溶液を作製する工程、(c)前記第2水溶液の水分量を50wt%以下まで低下させることにより第3水溶液を作製する工程、(d)前記第3水溶液を塩基性溶液と接触させる工程、を有する。
本願において開示される発明のうち、以下に示す代表的な実施の形態に示される多孔質シリカの製造方法によれば、簡易な方法で、特性の良好な多孔質シリカを製造することができる。また、多孔質シリカの製造コストの削減を図ることができる。
カチオン性界面活性剤としてC10TABを用いた場合の濃縮工程における溶液のX線回折結果を示すグラフである。 カチオン性界面活性剤としてC8TABを用いた場合の濃縮工程における溶液のX線回折結果を示すグラフである。 カチオン性界面活性剤としてC6TABを用いた場合の濃縮工程における溶液のX線回折結果を示すグラフである。 カチオン性界面活性剤としてC4TACを用いた場合の濃縮工程における溶液のX線回折結果を示すグラフである。 実施例1で得られた多孔質シリカの窒素吸脱着等温線である。 実施例1で得られた多孔質シリカの細孔の解析結果を示す図(表)である。 実施例2で得られた多孔質シリカの窒素吸脱着等温線である。 C6TABを用いて合成した多孔質シリカの細孔径分布を示すグラフである。 実施例3で得られた多孔質シリカおよび有機シラン化合物を添加していない実施例1のC6の窒素吸脱着等温線である。 VTESあり、および、VTESなしの場合の多孔質シリカの細孔の解析結果を示す図(表)である。 実施例4で得られた多孔質シリカの窒素吸脱着等温線である。 実施例4で得られた多孔質シリカの細孔の細孔径分布を示すグラフである。 実施例5で得られた多孔質シリカの窒素吸脱着等温線である。 実施例5で得られた多孔質シリカの細孔の細孔径分布を示すグラフである。 実施例5で得られた多孔質シリカのTEM像である。 実施例6で得られた薄膜状の多孔質シリカの外観を示す写真である。 実施例6でC6TABを用いて得られた薄膜状の多孔質シリカのSEM像である。 実施例6でC6TABを用いて得られた薄膜状の多孔質シリカのSEM像である。 実施例6でC16TACを用いて得られた薄膜状の多孔質シリカのSEM像である。 実施例6でC16TACを用いて得られた薄膜状の多孔質シリカのSEM像である。 各種試薬の水ガラス(高濃度のケイ酸ナトリウムの水溶液)への溶解試験の結果を示す図(表)である。 比較例2で得られた多孔質シリカの窒素吸脱着等温線である。 比較例2で得られた多孔質シリカの細孔の細孔径分布を示すグラフである。 ケイ酸水溶液の濃度とミセルの形成能との関係を示す図である。 ゲル化を進行させた場合の、時間と溶液の粘度との関係を示す図(表)である。 ゲル化を進行させた場合の、時間と溶液の粘度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
界面活性剤を鋳型としたゾルゲル法により、多孔質シリカを合成する。このような合成法を分子鋳型法(テンプレート法)ということがある。
一般的には、溶液中に界面活性剤を溶解させると、界面活性剤の種類と濃度に応じて例えば筒状のミセル粒子が形成される。ここで溶液中にシリカ源となるシリコン化合物を加えると、ミセル粒子の隙間でシリケートイオンの吸着および成長反応(重合反応)が進行し、シリカゲル骨格が形成される。このシリケートイオンの吸着および成長反応により、ゾル状態からゲル状態へ変化するためゾルゲル反応と呼ばれる。この後、焼成(熱処理)すると、鋳型とした界面活性剤が分解・除去されて多孔質シリカが得られる。言い換えれば、複数の孔(細孔、微細孔)を有するシリカ骨格が得られる。
シリカ源となるシリコン化合物としては、前述したアルコキシシランの一種であるテトラエトキシシラン(TEOS;Si(OC)などを用いることができるが、TEOSは、高価である(例えば、1g単価が、11〜48円程度である)。
そこで、水ガラスなどの安価な材料を用いることができれば好ましい。水ガラスとは、アルカリケイ酸塩又はアルカリケイ酸塩とケイ酸との混合物よりなるガラス様の固化した熔融物やその水溶液である。例えば、ケイ酸ナトリウム(NaO・nSiO・mHO)を水に溶かすことで得られる。水飴状で大きな粘性を持つ。水ガラス(ケイ酸ナトリウムの濃い水溶液)としては、例えば、SiO/NaOのモル比が3.0〜3.3のケイ酸ナトリウムを水に溶解させたものを用いる。市販品としては、例えば、SiOの濃度が28〜29wt%のもの、別の示し方をすれば、水分量が61〜63wt%のものがある。
このような水ガラス(ケイ酸ナトリウムの濃い水溶液)を、SiOの濃度が20wt%、より好ましくは6wt%以下となるように、水で希釈して用いる。別の言い方をすれば、水ガラス(ケイ酸ナトリウムの濃い水溶液)を、その水分量が73wt%、より好ましくは92wt%以上となるように、水で希釈して用いる。なお、水ガラスを用いず、モル比が3.0〜3.3のケイ酸ナトリウムを直接水に溶解させ、SiOの濃度または水分量を調整してもよい(後述の比較例1参照)。
このように、水ガラスを希釈して用いる(低濃度のケイ酸ナトリウムの水溶液)を用いることで、多孔質シリカの製造工程で用いられる各種添加剤(試薬)の溶解性を向上させることができる。また、水ガラスを希釈して用いる(低濃度のケイ酸ナトリウムの水溶液)を用いることで、後述するイオン交換樹脂による処理が容易となる。また、後述する酸によるpH調整が容易となる。
その結果、ミセル粒子の隙間でのシリケートイオンの吸着および成長反応(ゾルゲル反応)を良好に進行させることができる。
しかしながら、各種添加剤(試薬)の溶解性を向上させるために、ケイ酸ナトリウムの水溶液の濃度を低下させた場合、ミセルの形成能が低下する。即ち、界面活性剤の鋳型が形成され難くなる。特に、炭素数の小さい(例えば、8未満)界面活性剤を用いた場合には、鎖長に対応した細孔を有する多孔質シリカが得られなかった(後述の比較例2参照)。
このように、ケイ酸ナトリウムの水溶液に界面活性剤を溶解させるためには、ケイ酸ナトリウムの水溶液を十分に希釈する必要があるのに対し、炭素数の小さい(例えば、8未満)界面活性剤をミセル化するためには、水等の溶媒を極力少なくする必要があるといった相反する条件を満たさねばならない。
そこで、本実施の形態においては、希釈水ガラス(低濃度のケイ酸ナトリウムの水溶液)をケイ酸化した溶液(ケイ酸水溶液)に、界面活性剤を溶解させた後、ゲル化前に、ケイ酸水溶液の水分量を50wt%以下まで低下させることで、界面活性剤の鎖長に対応した細孔を有する多孔質シリカを作製することに成功した。このように、溶媒を徐々に除去しながらミセル化を誘導することにより、炭素数の小さい(例えば、8未満)界面活性剤を用いた場合でも、界面活性剤のミセル化を効率的に進行させ、界面活性剤の鎖長に対応した細孔を有する多孔質シリカを作製することに成功した。
ここで、ケイ酸とは、≡Si−OH構造を有する化合物である。ケイ酸化とは、水ガラス(例えば、ケイ酸ナトリウム)のSi−OとNaの構造部が、Si−OとHの構造部となることを意味する。このようなケイ酸化は、水ガラスを希釈した後、例えば、イオン交換処理などの脱塩やpH調整(酸との混合、中和)により行うことができる。
ゲル化した溶液は、乾燥後、焼成することで、界面活性剤を除去し、多孔質シリカ(メソポーラスシリカ)を形成することができる。
ケイ酸ナトリウムの水溶液を、イオン交換樹脂に通してもよい。これにより、水溶液中の不要なイオン(例えば、Na、Cl)を除去することができ、多孔質シリカの成形性を高めることができる。
また、ケイ酸ナトリウムの水溶液のpHを調整してもよい。ケイ酸ナトリウムの水溶液は、アルカリ性であるため、酸を添加することにより、pHを調整することができる。ケイ酸ナトリウムの水溶液のpHの調整値としては、例えば、pH0〜pH4の範囲、より好ましくはpH2近傍(pH1.8〜pH2.2)とすることが好ましい。シリケートイオンの等電点は、pH2であり、pH0〜pH4の範囲、より好ましくはpH2近傍に水溶液のpHを調整することで、シリケートイオンの寿命が長くなり、界面活性剤の溶解とミセル形成、溶媒を蒸発させるための時間を確保することができる。
pH調整のための酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、および酢酸などの有機酸を使用できる。
界面活性剤としては、疎水基(疎水部)のアルキル鎖を有するカチオン性界面活性剤を用いることができる。カチオン性界面活性剤としては、一般式Rで示される界面活性剤であり、Rが炭素数1〜24のアルキル基、ベンジル基、フェニル基であり、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であり、XがF、Cl、Br、Iのハロゲンイオンである、4級カチオン性界面活性剤であることが好ましい。また、Rのアルキル基は直鎖でも分岐型でもよい。
本発明では、炭素鎖の短い(例えば、炭素数が8未満)カチオン性界面活性剤を使用しても、効率的なメソポーラスシリカの合成ができる。
また、本発明においては、多孔質シリカのナノ粒子化も可能である。例えば、反応系に、水溶性高分子を添加することで、多孔質シリカのナノ粒子化が可能である。
水溶性高分子には、ポリエチレングリコール(PEG)のような安価で汎用の高分子を用いることができる。ポリエチレングリコールの平均分子量には制限はないが、数百から数千が好ましい。
ポリエチレングリコールのような水溶性高分子は、シリケートイオンにも可溶であり、均一な溶液を生成する。反応の進行とともにカチオン性界面活性剤の棒状ミセル集合体を包むシリカ外壁のシラノール基と、ポリエチレングリコールの酸素原子とが、水素結合を形成する。ゲル化反応が完結することで、シリカとポリエチレングリコールが相分離し、多孔質シリカナノ粒子が生成する。この反応において、ポリエチレングリコールは、カチオン性界面活性剤のミセル形成には影響を与えないため、目的の細孔構造を有する多孔質シリカナノ粒子が生成する。
ゲル化速度は、反応温度の上昇、塩基性水溶液への滴下、系全体のpHを塩基性にする方法により加速させることができる。
この水溶性高分子を添加する方法では、10〜20nmの多孔質シリカ粒子を製造可能である。また、本発明では、生成物をナノ粒子が互いに結合した集合体として得ることができる。ナノ粒子自体は集合体を形成しているが、粒子間隙の細孔は互いに連結しているため新たなメソ細孔として機能する。なお、ナノ粒子の集合体が得られていることは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)により得られた粒子を写真撮影し、観察することで確認することができる(図15参照)。
ゲル化前の水溶液をスピンコートあるいはディプコートすることで、薄膜状の多孔質シリカが得られる。製膜後はそのまま乾燥させるか、アンモニア蒸気(塩基性ガス)中に暴露することで、ゲル化を完結することができる。ハニカム等の成型体や紙、布などへのコートにはディプコートが、基板面へのコートにはスピンコート、ディップコートの両者が適用可能である。このように、ミセル化を促進できる程度まで水分量を低下(濃縮)させた後でも、ゲル化前は溶液状体(低粘度溶液)であるため、塗布性が良好であり、容易に薄膜状とすることができる(実施の形態3も参照)。
なお、ここでは、シリカ源となるシリコン化合物として、ケイ酸ナトリウムの水溶液を用いたが、他のケイ酸アルカリの水溶液を用いてもよい。
また、水分の除去には、単純な加熱の他、温風乾燥や真空乾燥、精密ろ過、限外濾過、逆浸透膜などを条件に合わせて選択し使用することができる。また、水分の除去速度は使用するケイ酸アルカリの種類、濃度、pH、反応温度によって異なり、これらにより調整することができる。
以下、実施例によって、本発明をさらに説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されない。
得られた多孔質シリカについては以下のような装置を用いて評価した。
[窒素吸着]窒素吸着機を用いて、試料の細孔構造と比表面積、細孔容積および平均細孔径(平均細孔直径)とを調べた。試料は直前に、例えば160℃で12時間脱気したものを用いて測定した。試料のミクロ孔径分布についてGCMC法にて解析した。
[X線回折]X線回折装置を用いて、試料の微細構造の秩序性を調べ、試料中で界面活性剤のミセルの集合体が形成されているか調べた。
(実施例1)
<多孔質シリカ(ポーラスシリカ)の合成>
<<反応溶液の作製>>
SiO濃度が1mol/dm(5.7wt%)となるように純水(HO)で希釈することによりケイ酸ナトリウム(モル比(SiO/NaO)3.2)の水溶液(第1溶液)を作製した。
次いで、上記第1溶液を、陽イオン交換樹脂に通し、得られた溶液(イオン交換溶液)を10mlずつ容器に取り、それぞれについて以下のカチオン性界面活性剤を、0.002mol〜0.006mol溶解させ、第1前駆体水溶液を作製した。
カチオン性界面活性剤としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(C16TAC)、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド(C14TAC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(C12TAC)、デシルトリメチルアンモニウムブロミド(C10TAB)、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド(C8TAB)、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド(C6TAB)、ブチルトリメチルアンモニウムクロライド(C4TAC)の7種類を用いた。
次いで、第1前駆体水溶液に蓋をせず、容器上部を開放した状態で、加熱することにより水分を蒸発させ、水分量を50wt%以下まで減少させることにより、第2前駆体濃縮液を作製した(濃縮工程、水分除去工程、加熱工程)。加熱条件としては、容器を60℃に設定した恒温槽内に入れ、60分程度、加熱した。水分量については、重量測定により水分蒸発量を計算して求めた。
この濃縮工程は、上記第1前駆体水溶液が、ゲル化する前に行う。したがって、作製された第2前駆体濃縮液は、未だゲル化しておらず、ほぼ均一な溶液(低粘度溶液)が得られた。この第2前駆体濃縮液では、シリケートイオンが存在しており、その内部でカチオン性界面活性剤によるミセルが形成される。このように、カチオン性界面活性剤を溶解させるために添加した水分を蒸発させることにより、水分の少ない状態において、シリケートイオンと界面活性剤との混合物を得ることができ、ミセル成形性を向上し、界面活性剤ミセルの安定性を確保することができる。特に、炭素鎖の短い界面活性剤(例えば、炭素鎖8未満の界面活性剤)でも、ミセル化が可能となる。
<<溶液の水分量とミセル形成>>
図1〜図4は、濃縮工程における溶液のX線回折結果を示すグラフである。グラフの縦軸は、強度(Intensity[a.u.])を示し、横軸は、2θ[deg]を示す。図1は、カチオン性界面活性剤としてC10TABを用いた場合、図2は、カチオン性界面活性剤としてC8TABを用いた場合、図3は、カチオン性界面活性剤としてC6TABを用いた場合、図4は、カチオン性界面活性剤としてC4TACを用いた場合を示す。第1前駆体水溶液から第2前駆体濃縮液への中途段階における各溶液について、水分量(%)とX線回折との関係が、図1〜図4から分かる。なお、水分量については、重量測定により水分蒸発量を計算して求めた。
図1においては、溶液(C10TAB)の水分量が、81.9wt%および72.1wt%においては、ミセルの集合体の形成に起因するピークが確認されないのに対し、水分量が、28.1wt%においては、ミセルの集合体の形成に起因するピークが確認される。よって、溶液(C10TAB)では、水分量を少なくとも28.1wt%以下とすることで、ミセル化が可能であることが判明した。
図2に示す溶液(C8TAB)の場合は、水分量が、83.1wt%、73.9wt%、55.6wt%および47.7wt%においては、ミセルの集合体の形成に起因するピークが確認されないのに対し、水分量が、25.8wt%および13.5wt%においては、ミセルの集合体の形成に起因するピークが確認される。よって、溶液(C8TAB)では、水分量を47.7wt%未満、より好ましくは、25.8wt%以下とすることで、ミセル化が可能であることが判明した。
図3に示す溶液(C6TAB)の場合は、水分量が、84.3wt%、62.2wt%および39.7wt%においては、ミセルの集合体の形成に起因するピークが確認されないのに対し、水分量が、28.4wt%においては、ミセルの集合体の形成に起因するピークが確認される。よって、溶液(C6TAB)では、水分量を39.7wt%未満、より好ましくは、28.4wt%以下とすることで、ミセル化が可能であることが判明した。
図4に示す溶液(C4TAC)の場合は、水分量が、87.1wt%、80.3wt%、68.3wt%、51.5wt%および30.4wt%においては、ミセルの集合体の形成に起因するピークが確認されないのに対し、水分量が、21.2wt%および17.6wt%においては、ミセルの集合体の形成に起因するピークが確認される。よって、溶液(C4TAC)では、水分量を30.4wt%未満、より好ましくは、21.2wt%以下とすることで、ミセル化が可能であることが判明した。
このように、図1〜図4から、溶液中の水分量の減少に伴い、ミセルの集合体の形成に起因するピークが観察されることが判明した。そして、ピークが観察されたときの水分量は50wt%以下であった。また、いずれの溶液についても、水分量が30wt%以下で、比較的明確にピークを確認することができた。
<<ゲル化>>
次いで、第2前駆体濃縮液を60℃で12時間から数日間静置し自然乾燥させた。12時間から数日でゲル化が完了し、溶液全体が目視で無色透明のゲル状(高粘度溶液)となった。
<<焼成>>
このゲルを60℃で乾燥、600℃で3時間焼成し、界面活性剤を除去した。これにより、白色のモノリス状(ひとつなぎの塊状)の多孔質シリカが得られた。
このように、反応系において溶媒を蒸発させることで、高濃度なシリケートイオン溶液を作製し、それを前駆体溶液として用いることで、溶媒分子などの阻害によりミセル形成が困難な炭素数の小さい(例えば、7以下)界面活性剤を用いてもミセルを形成させることができた。これにより、微細な細孔を有する多孔質シリカを形成することができた。
得られた多孔質シリカの窒素吸脱着等温線を、図5に示す。窒素吸脱着等温線の縦軸は、吸着量(cm/g、STP)を示し、横軸は、相対圧(P/P)を示す。C16TAB(C16)およびC14TAB(C14)の場合は、等温線がIUPAC(国際純正応用化学連合)の分類のIV型を示し、メソ細孔の存在が示唆される。C12TAB(C12)、C10TAB(C10)、C8TAB(C8)、C6TAB(C6)およびC4TAC(C4)の場合は、等温線がIUPACの分類のI型を示し、ミクロ孔の存在が示唆される。メソ細孔の平均細孔径は、2〜10nm程度である。ミクロ孔の平均細孔径は、2nm未満である。
図6に、得られた多孔質シリカの細孔の解析結果を示す。比表面積、細孔容積および細孔径(平均細孔径)をまとめた。比表面積は、BET法により測定した。細孔径は、GCMC法を用いて測定した。
C16TABを用いた多孔質シリカ(C16)の、比表面積は1286m/g、細孔容積は0.66cm/gであり、細孔径は、2.8nmであった。
C14TABを用いた多孔質シリカ(C14)の、比表面積は1313m/g、細孔容積は0.59cm/gであり、細孔径は、2.3nmであった。
C12TABを用いた多孔質シリカ(C12)の、比表面積は1062m/g、細孔容積は0.48cm/gであり、細孔径は、1.7nmであった。
C10TABを用いた多孔質シリカ(C10)の、比表面積は898m/g、細孔容積は0.42cm/gであり、細孔径は、1.5nmであった。
C8TABを用いた多孔質シリカ(C8)の、比表面積は726m/g、細孔容積は0.35cm/gであり、細孔径は、0.93nmであった。
C6TABを用いた多孔質シリカ(C6)の、比表面積は546m/g、細孔容積は0.27cm/gであり、細孔径は、0.87nmであった。
C4TACを用いた多孔質シリカ(C4)の、比表面積は319m/g、細孔容積は0.16cm/gであり、細孔径は、0.56nmであった。
このように、鎖長に対応した細孔を有する多孔質シリカが得られた。即ち、炭素数が16から4まで低下するにしたがって、細孔径が小さくなることが判明した。特に、炭素数が12以下の界面活性剤を用いた多孔質シリカの平均細孔径は、2nm以下となり、ミクロ孔が確認された。また、炭素数が10以下の界面活性剤を用いた多孔質シリカの細孔径は、1.5nm以下となり、また、炭素数が8以下の界面活性剤を用いた多孔質シリカの平均細孔径は、1nm以下となり、微細な孔を有する多孔質シリカの形成が確認された。
(実施例2)
実施例1においては、ケイ酸ナトリウムの水溶液(第1溶液)をイオン交換樹脂に通したが、ケイ酸ナトリウムの水溶液(第1溶液)に対し、酸を加えpH調整してもよい。
<多孔質シリカ(ポーラスシリカ)の合成>
<<反応溶液の作製>>
SiO濃度が1mol/dm(5.7wt%)となるように純水(HO)で希釈することによりケイ酸ナトリウム(モル比(SiO/NaO)3.2)の水溶液(第1溶液)を作製した。
次いで、2mol/dmの塩酸を撹拌しながら、2mol/dmの塩酸中に上記第1溶液をpHが2となるまで滴下し、得られた溶液(pH調整溶液)を10mlずつ2つの容器に取り、カチオン性界面活性剤としてC6TABを溶解させ、第1前駆体水溶液を作製した。カチオン性界面活性剤の添加量は、上記溶液(pH調整溶液)中のSiO濃度の0.6eq分(即ち、1×0.6mol)とした。
次いで、実施例1の場合と同様に、第1前駆体水溶液に蓋をせず、容器上部を開放した状態で、加熱することにより水分を蒸発させ、水分量を50wt%以下まで減少させ、第2前駆体濃縮液を作製した(濃縮工程、水分除去工程、加熱工程)。但し、この濃縮工程は、上記第1前駆体水溶液が、ゲル化する前に行う。したがって、作製された第2前駆体濃縮液は、未だゲル化しておらず、ほぼ均一な溶液が得られた。この第2前駆体濃縮液では、シリケートイオンが存在しており、その内部でカチオン性界面活性剤によるミセルが形成される。このように、カチオン性界面活性剤を溶解させるために添加した水分を蒸発させることにより、水分の少ない状態において、シリケートイオンと界面活性剤との混合物を得ることができ、ミセル成形性を向上し、界面活性剤ミセルの安定性を確保することができる。特に、炭素鎖の短い界面活性剤(例えば、炭素鎖8未満の界面活性剤)でも、ミセル化が可能となる。
<<ゲル化>>
次いで、第2前駆体濃縮液を60℃で12時間から数日間静置し自然乾燥させた。12時間から数日でゲル化が完了し、溶液全体が目視で無色透明のゲル状となった。
<<焼成>>
このゲルを60℃で乾燥、600℃で3時間焼成し、界面活性剤を除去した。これにより、白色のモノリス状の多孔質シリカが得られた。
得られた多孔質シリカの窒素吸脱着等温線を、図7に示す。C6TAB(C6)等温線がIUPACの分類のI型を示し、ミクロ孔の存在が示唆される。
図8は、C6TABを用いて合成した多孔質シリカの細孔径分布を示すグラフである。グラフの縦軸は、dVp(Log微分細孔容積、[cm/g])を示し、横軸は、dp(細孔の直径、[nm])を示す。細孔径は、GCMC法を用いて測定した。グラフから当該多孔質シリカにおいては、1.28nm近傍のミクロ孔を有することが確認できた。
このように、実施例2においても、ミクロ孔を確認することができた。
(実施例3)
本実施の形態では、有機シラン化合物を添加することにより、細孔の微細化を図る。
<多孔質シリカ(ポーラスシリカ)の合成>
<<反応溶液の作製>>
SiO濃度が1mol/dm(5.7wt%)となるように純水(HO)で希釈することによりケイ酸ナトリウム(モル比(SiO/NaO)3.2)の水溶液(第1溶液)を作製した。
次いで、上記第1溶液を、陽イオン交換樹脂に通し、得られた溶液(イオン交換溶液)を10ml容器に取り、ビニルトリエトキシシラン(VTES)を0.1gおよびエタノール(アルコール)1.84gを加え、2mol/dmの塩酸によりpHが2となるように調整し、容器を密閉した状態で、1時間撹拌し、溶液(有機シラン化合物添加溶液)を得た。撹拌前においては、VTESは、溶解せず油滴となっていた。1時間の撹拌後には、均一な溶液となった。これは、VTESの加水分解が進行したためと考えられる。
上記溶液(有機シラン化合物添加溶液)に、カチオン性界面活性剤として、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド(C6TAB)を溶解させ、第1前駆体水溶液を作製した。カチオン性界面活性剤の添加量は、0.006molとした。
次いで、実施例1の場合と同様に、第1前駆体水溶液に蓋をせず、容器上部を開放した状態で、加熱することにより水分を蒸発させ、水分量を50wt%以下まで減少させ、第2前駆体濃縮液を作製した(濃縮工程、水分除去工程、加熱工程)。但し、この濃縮工程は、上記第1前駆体水溶液が、ゲル化する前に行う。したがって、作製された第2前駆体濃縮液は、未だゲル化しておらず、ほぼ均一な溶液が得られた。この第2前駆体濃縮液では、シリケートイオンが存在しており、その内部でカチオン性界面活性剤によるミセルが形成される。このように、カチオン性界面活性剤を溶解させるために添加した水分を蒸発させることにより、水分の少ない状態において、シリケートイオンと界面活性剤との混合物を得ることができ、ミセル成形性を向上し、界面活性剤ミセルの安定性を確保することができる。特に、炭素鎖の短い界面活性剤(例えば、炭素鎖8未満の界面活性剤)でも、ミセル化が可能となる。
<<ゲル化>>
次いで、第2前駆体濃縮液を60℃で12時間から数日間静置し自然乾燥させた。12時間から数日でゲル化が完了し、溶液全体が目視で無色透明のゲル状となった。
<<焼成>>
このゲルを60℃で乾燥、600℃で3時間焼成し、界面活性剤を除去した。これにより、白色のモノリス状の多孔質シリカが得られた。
得られた多孔質シリカ(VTESあり)および有機シラン化合物を添加していない実施例1のC6(VTESなし)の窒素吸脱着等温線を、図9に示す。VTESありの場合も、VTESなしの場合も、等温線がIUPACの分類のI型を示し、ミクロ孔の存在が示唆される。
また、VTESあり、および、VTESなしの場合の多孔質シリカの細孔の解析結果を図10に示す。
VTESありの場合の多孔質シリカの、比表面積は622m/g、細孔容積は0.31cm/gであり、細孔径は、1.06nmであった。
VTESなしの場合の多孔質シリカの、比表面積は727m/g、細孔容積は0.35cm/gであり、細孔径は、1.20nmであった。
このように、有機シラン化合物の添加により、多孔質シリカの細孔径の微調整が可能であることが分かった。
本実施の形態で用いる有機シラン化合物は、シリコンと炭素との結合(Si−C)を有し、アルコキシル基を有する化合物である。Siにアルコキシル基が結合した構成を有するため、水ガラスとともにシリカ源となる。有機官能基(即ち、上記炭素を有する基)は、ビニル基など、比較的短い炭素鎖を有する。この方法では、VTESとミセルとの相互作用により、鋳型となるミセルの径(直径)が、短縮すると考えられる。
上記有機官能基は、合成された多孔質シリカの細孔壁面や粒子外部に存在し得るが、その後の焼成(熱処理)によって容易に除去することが可能である。もちろん、揮発、熱分解し難い有機官能基を用いた場合は、この有機官能基を内在させたままでもよい。また、有機官能基自身、あるいは他の有機化合物を添加して、表面修飾材として機能させてもよい。このように、有機官能基を除去せず、内在させた方がよい場合には、焼成を行わず、界面活性剤を洗浄除去すればよい。
有機シラン化合物の添加量は、1〜50%の範囲で調整可能である。但し、上記5%程度でも細孔の収縮効果は大きい。また、有機シラン化合物の過剰投与は、ミセル形成の阻害要因となり得るため、20%以下、より好ましくは10%以下が好ましい。特に、炭素数の小さい(炭素数8未満の)界面活性剤においては、有機シラン化合物の添加量を小さくすることが好ましく、10%以下が好ましい。
(実施例4)
本実施の形態では、カチオン性界面活性剤の回収および再利用について説明する。
<第1多孔質シリカ(ポーラスシリカ)の合成>
<<反応溶液の作製>>
実施例1の場合と同様にして、カチオン性界面活性剤として、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド(C6TAB)を用いて、第2前駆体濃縮液(未ゲル化)を作製した。
<<ゲル化>>
次いで、第2前駆体濃縮液を60℃で12時間から数日間静置し自然乾燥させた。12時間から数日でゲル化が完了し、溶液全体が目視で無色透明のゲル状となった。
<<カチオン性界面活性剤の抽出>>
ゲル状の試料(溶液)に、純水(HO)またはエタノール/塩酸を添加し、洗浄する。この際、洗浄液には、カチオン性界面活性剤(C6TAB)が溶け込む。このように、界面活性剤を洗浄除去することもできる。上記洗浄液を採取し、カチオン性界面活性剤の水溶液として再利用する。必要に応じて洗浄液中の水除去し、濃縮してもよい。
<第2多孔質シリカ(ポーラスシリカ)の合成>
<<反応溶液の作製>>
SiO濃度が1mol/dm(5.7wt%)となるように純水(HO)で希釈することによりケイ酸ナトリウム(モル比(SiO/NaO)3.2)の水溶液(第1溶液)を作製した。
次いで、上記第1溶液を、陽イオン交換樹脂に通し、得られた溶液(イオン交換溶液)を10ml容器に取り、上記洗浄液(カチオン性界面活性剤の水溶液)を0.006mol添加し、第1前駆体水溶液を作製した。洗浄液中の界面活性剤の濃度は、例えば、洗浄液を蒸発乾固させ、得られた粉末状の界面活性剤を秤量することにより算出することができる。
次いで、実施例1の場合と同様に、第1前駆体水溶液に蓋をせず、容器上部を開放した状態で、加熱することにより水分を蒸発させ、水分量を50wt%以下まで減少させ、第2前駆体濃縮液を作製した(濃縮工程、水分除去工程、加熱工程)。但し、この濃縮工程は、上記第1前駆体水溶液が、ゲル化する前に行う。したがって、作製された第2前駆体濃縮液は、未だゲル化しておらず、ほぼ均一な溶液が得られた。
<<ゲル化>>
次いで、第2前駆体濃縮液を60℃で12時間から数日間静置し自然乾燥させた。12時間から数日でゲル化が完了し、溶液全体が目視で無色透明のゲル状となった。
<<焼成>>
このゲルを60℃で乾燥、600℃で3時間焼成し、界面活性剤を除去した。これにより、白色のモノリス状の多孔質シリカが得られた。
得られた多孔質シリカの窒素吸脱着等温線を、図11に示す。この場合も、等温線がIUPACの分類のI型を示し、ミクロ孔の存在が示唆される。また、得られた多孔質シリカの細孔の細孔径分布を図12に示す。図12から得られた多孔質シリカにおいては、1.20nm近傍のミクロ孔を有することが確認できた。
このように、回収したカチオン性界面活性剤を用いても、ミクロ孔を有する多孔質シリカが得られることが分かった。
以上詳細に説明した本実施の形態に係る多孔質シリカのミクロ孔は、多くの揮発性有機化合物(VOC)の分子サイズに相当させることができる。このように、吸着材として多孔質シリカを用いる場合にはこの領域で細孔径をコントロールし、捕捉したい分子のサイズに細孔径を合わせることが、効率的な有害成分の吸着除去のために重要である。また、触媒担体として用いる際には、同サイズ領域の細孔内で触媒を製造することにより、量子サイズ効果が顕著に表れるため、触媒の効率や選択性などを飛躍的に高めることが可能である。このような理由から、ミクロ孔を有する多孔質シリカの作製およびその孔径制御の方法は非常に重要である。
本実施の形態においては、希釈水ガラス(低濃度のケイ酸ナトリウムの水溶液)から調製したケイ酸水溶液に、界面活性剤を溶解させた後、ゲル化前に、ケイ酸水溶液の水分量を50wt%以下まで低下させることで、界面活性剤の鎖長に対応した細孔を有する多孔質シリカを作製することができる。特に、炭素数の小さい(例えば、8未満)界面活性剤を用いた場合でも、界面活性剤のミセル化を効率的に進行させ、界面活性剤の鎖長に対応した細孔を有する多孔質シリカを作製することができる。
このように、ミクロ孔を有する多孔質シリカの作製が可能で有り、界面活性剤の炭素数により多孔質シリカの孔径制御を容易に行うことができる。
さらに、ケイ酸アルカリのような安価な材料を用いることが可能であり、その製造過程において副反応生成物の有害性も小さく、工業的な生産に適している。
(実施の形態2)
本実施の形態2では、多孔質シリカのナノ粒子化を図る。即ち、反応系に、水溶性高分子を添加するとともに、塩基性水溶液(塩基性溶液、pHが7より大きいアルカリ液)と接触させることで、多孔質シリカのナノ粒子化が可能となる。ここでは、合成された多孔質シリカの形状をさらに詳細に解析し、検証を深めた。
水溶性高分子には、ポリエチレングリコール(PEG)のような安価で汎用の高分子を用いることができる。ポリエチレングリコールの平均分子量には制限はないが、数百から数千が好ましい。水溶性高分子としては、上記PEGの他、ポリエチレンオキシドなどを用いてもよい。
PEGのような水溶性高分子は、シリケートイオンにも可溶であり、均一な溶液を生成する。
塩基性水溶液としては、アンモニア水溶液やアミン類の水溶液などを用いることができる。これらの塩基は乾燥、焼成過程での除去が容易で、塩基性水溶液として用いて好適である。また、シリカは、pH14以上の高pH領域で、溶解が始まるため、高pH領域の塩基性水溶液を用いる場合には、反応後(ゲル化後、重合後)速やかに溶液外に取り出すことが好ましい。また、反応系中に、アルカリ金属やアルカリ土類金属のイオンが共存するとシリカの溶解速度が高まるため、水酸化ナトリウムなどの水溶液よりも上記アンモニアやアミン類を用いた塩基性水溶液を用いることがより好ましい。
本実施の形態においては、粒子径(直径)10〜20nmの多孔質シリカ粒子を製造可能である。また、本実施の形態においては、生成物をナノ粒子(粒状物)が互いに結合した集合体として得ることができる。ナノ粒子自体は集合体を形成しているが、粒子間隙の細孔は互いに連結しているため新たなメソ細孔として機能する。粒子間隙の平均細孔径は、例えば5〜50nm程度である。ナノ粒子の集合体は、例えば白色のモノリス状として得られる。
(実施例5)
<多孔質シリカ(ポーラスシリカ)の合成>
<<反応溶液の作製>>
SiO濃度が1mol/dm(5.7wt%)となるように純水(HO)で希釈することによりケイ酸ナトリウム(モル比(SiO/NaO)3.2)の水溶液(第1溶液)を作製した。
次いで、上記第1溶液を、陽イオン交換樹脂に通し、得られた溶液(イオン交換溶液)の10gを容器に取り、ポリエチレングリコール(PEG1000)を1.97g、カチオン性界面活性剤として、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド(C6TAB)を0.006mol溶解させ、第1前駆体水溶液を作製した。
次いで、実施例1の場合と同様に、第1前駆体水溶液に蓋をせず、容器上部を開放した状態で、加熱することにより水分を蒸発させ、水分量を50wt%以下まで減少させ、第2前駆体濃縮液を作製した(濃縮工程、水分除去工程、加熱工程)。但し、この濃縮工程は、上記第1前駆体水溶液が、ゲル化する前に行う。したがって、作製された第2前駆体濃縮液は、未だゲル化しておらず、ほぼ均一な溶液が得られた。この第2前駆体濃縮液では、シリケートイオンが存在しており、その内部でカチオン性界面活性剤によるミセルが形成される。このように、ケイ酸水溶液を得た後、カチオン性界面活性剤を溶解させるために添加した水分を蒸発させることにより、水分の少ない状態において、シリケートイオンと界面活性剤との混合物を得ることができ、ミセル成形性を向上し、界面活性剤ミセルの安定性を確保することができる。特に、炭素鎖の短い界面活性剤(例えば、炭素鎖8未満の界面活性剤)でも、ミセル化が可能となる。
<<ゲル化>>
次いで、上記第2前駆体濃縮液を、塩基性水溶液に滴下した。塩基性水溶液としては、28%のアンモニア水溶液を用いた。pHは約13である。滴下された略粒状の前躯体溶液は、ゲル状となり、アンモニア水溶液中に沈殿した。このようにして、略粒状のゲルを複数得た。
<<焼成>>
このゲルを60℃で乾燥、600℃で3時間焼成し、界面活性剤を除去した。これにより、白色でビーズ状の多孔質シリカが得られた。ビーズ状は、上記第2前駆体濃縮液の滴下形状に対応する。
得られた多孔質シリカの窒素吸脱着等温線を、図13に示し、また、得られた多孔質シリカの細孔の細孔径分布を図14に示す。図13および図14から明らかなように、得られた多孔質シリカにおいては、2つの細孔径が確認される。即ち、細孔径が約1nm以下の界面活性剤に由来するミクロ孔と、約5nm〜50nm程度の粒子間隙に対応するメソ孔との2つの細孔を有する多孔質シリカが確認できた。このような多孔質シリカの構造を階層的多孔質構造と言うことがある。
また、得られた多孔質シリカのTEM像を図15に示す。図15においては、ナノ粒子が集合している様子がわかる。そして、粒子間隙を確認することができる。なお、TEM像により、約1nm以下の界面活性剤に由来するミクロ孔を確認することは困難である。
また、ここでは、細孔径が約1nm以下の界面活性剤に由来するミクロ孔と、約5nm〜50nm程度の粒子間隙に対応するメソ孔を有する多孔質シリカについて説明したが、用いる界面活性剤の炭素数を調整することで、細孔径が約2nm以下の界面活性剤に由来するメソ孔と、約5nm〜50nm程度の粒子間隙に対応するメソ孔を有する多孔質シリカも同様に形成することができる。
このように、ゲル化前の前駆体濃縮液を塩基性水溶液と接触させることで、生成物をナノ粒子化させることができることが分かった。また、これにより界面活性剤に由来するミクロ孔またはメソ孔と、粒子間隙に対応するメソ孔を有する多孔質シリカを作製できることが分かった。
(実施の形態3)
本実施の形態3では、多孔質シリカの形状加工について説明する。例えば、反応容器中で上記前駆体溶液をゲル化し、静置、あるいは撹拌することで、反応容器の形状に依存したモノリス状多孔質シリカ成型体が製造可能である。反応容器の形状を選択することで、ペレット、球状、ロッド状、ディスク状など、任意の形状に成型することができる。
また、上記前駆体溶液を加熱した液体中、あるいは塩基性の水溶液中に滴下することで、球状の多孔質シリカビーズを生成することができる(実施の形態2参照)。この場合、滴下ノズル径、滴下速度、前駆体溶液のゲル化度に依存した粘性を変化させることで、任意のサイズのビーズが成型可能である。また、気泡を内包することで、中空ビーズも製造可能である。塩基性溶液としては、簡便には、アンモニア水溶液や水酸化ナトリウム水溶液などを使用することができる。
また、上記前駆体溶液をスピンコートあるいはディプコートすることで、薄膜状の多孔質シリカが得られる。特に、上記実施の形態1、2で説明した前駆体濃縮液は、濃縮工程(加熱工程)後も、ゲル化前は溶液状態(低粘度溶液)であるため、コートし易い。製膜後はそのまま乾燥させるか、アンモニア蒸気中に暴露することで、ゲル化を完結することができる。ハニカム等の成型体や紙、布などへのコートにはディプコートが、基板面へのコートにはスピンコート、ディップコートの両者が適用可能である。
また、前駆体溶液をスピナー等のノズルより吹き出させることで、繊維状多孔質シリカが製造可能である。スピナーより高温で吹き出すことにより空気中でゲル化、あるいは、スピナーよりアンモニア蒸気中に吹き出すことにより、繊維状多孔質シリカが製造可能である。
ここでは、特に、ゲル化前の前駆体溶液を基板上にコートすることにより、薄膜状の多孔質シリカを形成する実施例について以下に説明する。
(実施例6)
<多孔質シリカ(ポーラスシリカ)の合成>
<<反応溶液の作製>>
実施例1の場合と同様にして、カチオン性界面活性剤として、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド(C6TAB)およびヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(C16TAC)を用いて、第2前駆体濃縮液(未ゲル化)を作製した。
<<塗布>>
次いで、上記第2前駆体濃縮液(未ゲル化)を、スピンコーターを用いて、ガラス基板にスピンコートした。これにより、ガラス基板上に、第2前駆体濃縮液よりなる塗布膜が作製された。
<<ゲル化>>
次いで、上記塗布膜を60℃で12時間から数日間静置し自然乾燥させた。12時間から数日でゲル化が完了し、塗布膜全体が目視で無色透明のゲル状となった。
<<焼成>>
次いで、ゲル化した塗布膜を、ガラス基板ごと、600℃で3時間焼成し、界面活性剤を除去した。これにより、ほぼ無色で薄膜状の多孔質シリカが得られた。
得られた薄膜状の多孔質シリカの外観を図16に示す。図17および図18は、C6TABを用いて得られた薄膜状の多孔質シリカのSEM像である。図17および図18に示すようなSEM像により、ガラス基板上の薄膜を確認することができる。図17中の矢印部が、薄膜状の多孔質シリカである。図18は、図17に示す薄膜状の多孔質シリカの拡大図である。
また、図19および図20は、C16TACを用いて得られた薄膜状の多孔質シリカのSEM像である。この場合も、ガラス基板上の薄膜を確認することができる。図20は、図19に示す薄膜状の多孔質シリカの拡大図である。図20の矢印部に、膜厚0.7μm程度の薄膜が確認できる。
次いで、上記実施の形態1〜3を踏まえて、比較例との対比およびゲル化について説明し、本発明の効果について考察する。
<比較例との対比>
以上詳細に説明したように、上記実施の形態1〜3においては、希釈水ガラス(低濃度のケイ酸ナトリウムの水溶液)から調製したケイ酸水溶液に、界面活性剤を溶解させた後、ゲル化前に、ケイ酸水溶液の水分量を50wt%以下まで低下させることで、界面活性剤の鎖長に対応した細孔を有する多孔質シリカを作製することができる。特に、炭素数の小さい(例えば、8未満)界面活性剤を用いた場合でも、界面活性剤のミセル化を効率的に進行させ、界面活性剤の鎖長に対応した細孔を有する多孔質シリカを作製することができる。
(比較例1)
図21は、各種試薬の水ガラス(高濃度のケイ酸ナトリウムの水溶液)への溶解試験の結果を示す図である。
図21に示すように、水ガラスの、無希釈、2〜5倍希釈、6倍希釈の3種類の溶液を用い、塩酸、エタノール、C16TACおよびC6TABの溶解性を調べた。無希釈の水ガラス(高濃度のケイ酸ナトリウムの水溶液)は、SiOの濃度が28wt%、言い換えれば、水分量が63wt%のものである。2〜5倍希釈の水ガラス(中濃度のケイ酸ナトリウムの水溶液)は、SiOの濃度が7.3〜16.4wt%、言い換えれば、水分量が78〜90wt%のものである。6倍希釈の水ガラス(低濃度のケイ酸ナトリウムの水溶液)は、SiOの濃度が6.2wt%、言い換えれば、水分量が92wt%のものである。
塩酸については、無希釈の水ガラスおよび2〜5倍希釈の水ガラスに添加した場合には、ゲル化し、混和しなかったが、6倍希釈の水ガラスに添加した場合には、混和した。
エタノールについては、無希釈の水ガラス、2〜5倍希釈の水ガラスおよび6倍希釈の水ガラスのいずれの溶液に添加した場合も沈殿が生じた。よって、エタノールは、上記実施の形態1〜3で説明した多孔質シリカの製造方法に用いる試薬(添加剤)としては不向きであることが分かる。
C16TACについては、無希釈の水ガラス、2〜5倍希釈の水ガラスおよび6倍希釈の水ガラスのいずれの溶液に添加した場合も溶解しなかった。しかしながら、図21には示していないが、6倍希釈の水ガラスをイオン交換樹脂に通した溶液には、溶解した。なお、C16TACは、100倍に希釈した水ガラスにも溶解しなかった。
C6TABについては、無希釈の水ガラスに添加した場合には、溶解しなかったが、3倍希釈の水ガラスに添加した場合には、溶解した。
このように、希釈水ガラス(低濃度のケイ酸ナトリウムの水溶液)を用いることで、多孔質シリカの製造工程で用いられる各種添加剤(試薬)の溶解性を向上させることができる。
(比較例2)
上記実施例1で説明した多孔質シリカ(ポーラスシリカ)の合成において、水分量を減少させる前の第1前駆体水溶液に直接カチオン性界面活性剤を添加し、前駆体水溶液を作製することも可能である。この場合も、ゲル化が進行し、乾燥・焼成工程を経て、多孔質シリカを形成することができる。この場合、水分量の変化が無いように、容器に蓋をした状態でゲル化を進行させた。
カチオン性界面活性剤としてC6TABを用いて得られた多孔質シリカの窒素吸脱着等温線を、図22に示す。また、得られた多孔質シリカの細孔の細孔径分布を図23に示す。図22および図23から、得られた多孔質シリカの細孔は3.6nm程度であることが分かった。
このように、水分量を減少させていない前駆体水溶液を用いた場合には、多孔質シリカは形成されるものの、炭素数(界面活性剤の鎖長)に対応した細孔を有する多孔質シリカを作製することはできない(図6参照)。
(比較例3)
希釈水ガラス(低濃度のケイ酸ナトリウムの水溶液)を用いても、これをケイ酸化していない場合、具体的には、脱塩またはpH調整を行っていない場合には、多孔質シリカ(ポーラスシリカ)は合成されない。pH調整を行い、pHを4未満に調整した場合に、多孔質シリカ(ポーラスシリカ)の合成が可能であった。また、イオン交換処理を行い、電気伝導率を400μS/cm以下とした場合に、多孔質シリカ(ポーラスシリカ)の合成が可能であった。なお、イオン交換処理した溶液のpHは、4未満である。
(考察)
このように、水ガラスからケイ酸水溶液を調製し、試薬(添加剤)の溶解性を向上させるために、ケイ酸ナトリウムの水溶液の濃度を低下させた場合には、ミセルの形成能が低下すると考えられる。図24は、ケイ酸水溶液の濃度とミセルの形成能との関係を示す図である。図24(a)に示す溶液中の界面活性剤(3)が、ミセル粒子を形成し、このミセル粒子の隙間でシリケートイオン(1)の吸着および成長反応が進行し、シリカゲル骨格(PS)が形成される。
ここで、界面活性剤(3)の炭素数が大きく炭素鎖が長い場合には、図24(b)に示すように、溶液SOLの水分量が大きくても、ミセル粒子(3M)が形成される。
これに対し、界面活性剤(3)の炭素数が小さく炭素鎖が短い場合には、図24(c)に示すように、溶液SOLの水分量が大きい場合には、ミセル粒子(3M)が形成されず(左図)、溶液SOLの水分量を低下させることで(中央図)、初めてミセル粒子(3M)が形成される(左図)と考えられる。PSは、多孔質シリカを示す。
(ゲル化)
前述したように、ケイ酸水溶液の水分量の低減(濃縮)は、溶液のゲル化前に行う必要がある。この溶液のゲル化は、溶液の表面状態の目視によっても判断できるが、例えば、次のように粘度で定義することも可能である。
例えば、上記比較例2で説明した多孔質シリカ(ポーラスシリカ)の合成において、前駆体水溶液に直接カチオン性界面活性剤(C6TAB)を添加し、ゲル化を進行させた場合の、時間と溶液の粘度との関係を調べた。図25は、ゲル化を進行させた場合の、時間と溶液の粘度との関係を示す図(表)である。図26は、ゲル化を進行させた場合の、時間と溶液の粘度との関係を示すグラフである。
図25に示すように、界面活性剤の添加時(0分後)の粘度[mPa・s]は、1.69であり、105分後の粘度は、2.12、220分後の粘度は、4.07、290分後の粘度は、9.07、340分後の粘度は、86.1、350分後の粘度は、1180であった。図26のグラフからも分かるように、ゲル化は急激に進行する。なお、ここでは、比較例2のゲル化の様子を粘度で示したが、本発明者らによれば、実施例1〜5においてもゲル化の様子(ゲル化までの時間や、ゲル化の進行の度合い)は、比較例2の場合とそれほど変わらないものであることが分かっている。
よって、ゲル化前に行うべき、ケイ酸水溶液の水分量の低減(濃縮)は、例えば、溶液の粘度において、初期粘度の約50倍(86.1÷1.69)以下、より好ましくは約5倍(9.07÷1.69)以下となるまでに完了していればよい。
また、ゲル化までの時間は、長い方が、濃縮工程に余裕ができて好ましいが、濃縮工程が終わった後は、ゲル化を速やかに進めた方が合成時間が少なくなり、好ましい。
例えば、ゲル化までの時間を長くする方法としては、前述したように、溶液のpHをシリケートイオンの等電点である2近傍に調整する方法が挙げられる。この他、有機溶媒を加えたり、低温に保ったりすることにより、ゲル化までの時間を長くすることができる。
また、濃縮工程後、ゲル化を速やかに進める方法としては、前述したように、溶液の温度を上昇させる、また、塩基性水溶液への滴下や、系全体のpHを塩基性にする方法が挙げられる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態および実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である
本発明は、多孔質シリカの製造方法に適用して有効な技術である。
3 界面活性剤
3M ミセル粒子
PS 多孔質シリカ
SOL 溶液

Claims (24)

  1. ケイ酸アルカリのケイ酸化により多孔質シリカを製造する方法であって、
    (a)ケイ酸アルカリを水に溶解させた第1水溶液を準備する工程、
    (b)前記第1水溶液に界面活性剤を溶解させることにより第1前駆体水溶液を作製する工程、
    (c)前記第1前駆体水溶液の水分量を30wt%以下まで低下させることにより第2前駆体濃縮液を作製する工程、
    (d)前記第2前駆体濃縮液をゲル化させる工程であって、前記第2前駆体濃縮液中の前記界面活性剤のミセル粒子を鋳型とし、前記第2前駆体濃縮液中の前記ケイ酸アルカリのシリケートイオンの吸着および成長反応によりシリカゲル骨格を形成する工程、
    (e)前記第2前駆体濃縮液のゲル化物を焼成し、前記界面活性剤を除去することにより、前記シリカゲル骨格に対応する多孔質シリカを形成する工程、
    を有する、多孔質シリカの製造方法。
  2. 請求項1記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記第1水溶液の水分量は、73wt%以上である、多孔質シリカの製造方法。
  3. 請求項1記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記(a)工程と前記(b)工程との間に、
    (f)前記第1水溶液をイオン交換樹脂に通す工程、を有する、多孔質シリカの製造方法。
  4. 請求項1記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記(a)工程と前記(b)工程との間に、
    (g)前記第1水溶液に酸を添加する工程、を有する、多孔質シリカの製造方法。
  5. 請求項4記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記(g)工程後の前記第1水溶液のpHは、pH0〜pH4である、多孔質シリカの製造方法。
  6. 請求項1記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記ケイ酸アルカリは、ケイ酸ナトリウムである、多孔質シリカの製造方法。
  7. 請求項1記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記(d)工程は、疎水部の炭素数が8未満であるカチオン性界面活性剤のミセルを鋳型としてシリカを形成する工程である、多孔質シリカの製造方法。
  8. 請求項7記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記多孔質シリカは、前記炭素数に対応する細孔を有する多孔質シリカである、多孔質シリカの製造方法。
  9. 請求項8記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記細孔の平均細孔直径は、0.5nm以上1.5nm以下である、多孔質シリカの製造方法。
  10. 請求項1記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記(b)工程は、前記第水溶液に有機シランおよびアルコール、界面活性剤を溶解させることにより第1前駆体水溶液を作製する工程である、多孔質シリカの製造方法。
  11. 請求項1記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記(b)工程は、前記第水溶液に水溶性高分子および界面活性剤を溶解させることにより第1前駆体水溶液を作製する工程である、多孔質シリカの製造方法。
  12. ケイ酸アルカリのケイ酸化により多孔質シリカを製造する方法であって、
    (a)ケイ酸アルカリを水に溶解させた第1水溶液を準備する工程、
    (b)前記第1水溶液に界面活性剤を溶解させることにより第1前駆体水溶液を作製する工程、
    (c)前記第1前駆体水溶液の水分量を30wt%以下まで低下させることにより第2前駆体濃縮液を作製する工程、
    (d)前記第2前駆体濃縮液を塩基性溶液と接触させることにより、前記第2前駆体濃縮液をゲル化させる工程であって、前記第2前駆体濃縮液中の前記界面活性剤のミセル粒子を鋳型とし、前記第2前駆体濃縮液中の前記ケイ酸アルカリのシリケートイオンの吸着および成長反応によりシリカゲル骨格を形成する工程、
    (e)前記第2前駆体濃縮液のゲル化物を焼成し、前記界面活性剤を除去することにより、前記シリカゲル骨格に対応する多孔質シリカを形成する工程、
    を有する、多孔質シリカの製造方法。
  13. 請求項12記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記第1水溶液の水分量は、73wt%以上である、多孔質シリカの製造方法。
  14. 請求項12記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記(a)工程と前記(b)工程との間に、
    (f)前記第1水溶液をイオン交換樹脂に通す工程、を有する、多孔質シリカの製造方法。
  15. 請求項12記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記(a)工程と前記(b)工程との間に、
    (g)前記第1水溶液に酸を添加する工程、を有する、多孔質シリカの製造方法。
  16. 請求項15記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記(g)工程後の前記第1水溶液のpHは、pH0〜pH4である、多孔質シリカの製造方法。
  17. 請求項12記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記ケイ酸アルカリは、ケイ酸ナトリウムである、多孔質シリカの製造方法。
  18. 請求項12記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記(d)工程は、疎水部の炭素数が8未満であるカチオン性界面活性剤のミセルを鋳型としてシリカを形成する工程である、多孔質シリカの製造方法。
  19. 請求項18記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記多孔質シリカは、前記炭素数に対応する細孔を有する多孔質シリカである、多孔質シリカの製造方法。
  20. 請求項19記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記細孔の平均細孔直径は、0.5nm以上1.5nm以下である、多孔質シリカの製造方法。
  21. 請求項12記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記(b)工程は、前記第水溶液に有機シランおよびアルコール、界面活性剤を溶解させることにより第1前駆体水溶液を作製する工程である、多孔質シリカの製造方法。
  22. 請求項12記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記(b)工程は、前記第水溶液に水溶性高分子および界面活性剤を溶解させることにより第1前駆体水溶液を作製する工程である、多孔質シリカの製造方法。
  23. 請求項22記載の多孔質シリカの製造方法において、
    前記多孔質シリカは、多孔質シリカの粒子の集合体であって、
    前記粒子を構成する多孔質シリカの第1細孔の平均細孔直径は、0.5nm以上1.5nm以下であり、前記粒子間の第2細孔の平均細孔直径は、5nm以上50nm以下である、多孔質シリカの製造方法。
  24. ケイ酸アルカリのケイ酸化により多孔質シリカを製造する方法であって、
    (a)ケイ酸アルカリを水に溶解させた第1水溶液を準備する工程、
    (b)前記第1水溶液をケイ酸化した溶液に、界面活性剤を溶解させることにより第1前駆体水溶液を作製する工程、
    (c)前記第1前駆体水溶液の水分量を30wt%以下まで低下させることにより第2前駆体濃縮液を作製する工程、
    (d)基板上にコートし、前記基板上において、前記第2前駆体濃縮液をゲル化させる工程であって、前記第2前駆体濃縮液中の前記界面活性剤のミセル粒子を鋳型とし、前記第2前駆体濃縮液中の前記ケイ酸アルカリのシリケートイオンの吸着および成長反応によりシリカゲル骨格を形成する工程、
    (e)前記第2前駆体濃縮液のゲル化物を焼成し、前記界面活性剤を除去することにより、前記シリカゲル骨格に対応する多孔質シリカを前記基板上に形成する工程、
    を有する、多孔質シリカの製造方法。
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