JP6409736B2 - ポップアップ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両と衝突する人間を保護するための保護装置の動作を制御するポップアップ制御装置に関する。
フロントバンパ等といった車両の前端部と歩行者とが衝突(いわゆる一次衝突)した場合、歩行者が車両側に倒れこむことによって、当該歩行者の頭部や胸部が車両のボディと衝突(つまり二次衝突)する場合がある。
このような二次衝突による歩行者への被害を軽減するための装置として、ボンネットの前端部を持ち上げる装置(以降、前方ポップアップ装置)が提案されている。ボンネットの前端部を持ち上げることで、ボンネットの下に配置されているエンジンやラジエータ等といった相対的に硬い部材と、ボンネットとの間に空間が形成され、車両と衝突した人物に与える衝撃を緩和することができる。
特表2006−522713号公報
ところで、車両と一次衝突した人物(以降、衝突者)が車両側に倒れこんでくる際の挙動は、その衝突者の身長や一次衝突時の姿勢などに応じて異なってくる。その結果、前方ポップアップ装置を動作させた場合に、持ち上げられたボンネットの前端部に対して衝突者の胴体部が略垂直な姿勢で接触する場合がある。持ち上げられたボンネットの前端部に対して衝突者の胴体部が略垂直な姿勢で接触した場合にはボンネットが変形しにくいため、当該衝突者に対して予期せぬ衝撃が加わる可能性がある。
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、車両と衝突する人物をより適切に保護できるように前方ポップアップ装置の動作を制御するポップアップ制御装置を提供することにある。
その目的を達成するための本発明は、ボンネットの前端側を持ち上げる前方ポップアップ装置(41)が搭載されている車両で用いられ、前方ポップアップ装置の動作を制御する動作制御部(F5)と、車両の前方に存在する物体についての情報を取得する物体認識部(F2)と、物体認識部が取得している情報に基づいて、車両と衝突する物体が人物であるか否かを判定する衝突対象特定部(F31)と、衝突対象特定部によって車両と衝突する物体が人物であると判定された場合に、車両と衝突する人物である衝突者が、車両との衝突によってボンネット上に倒れこむ際に、腰部から肩部までの胴体部が、前方ポップアップ装置を動作させた状態におけるボンネットの前端部と接触する恐れがある人物のパターンである胴体部接触人物パターンに該当するか否かを判定する人物パターン判定部(F33)と、を備え、動作制御部は、人物パターン判定部によって衝突者が胴体部接触人物パターンに該当すると判定された場合には、ボンネットの前端部が胴体部に対して垂直な角度で接触しないように前方ポップアップ装置を動作させるか、又は、前方ポップアップ装置を動作させないことを特徴とする。
以上の構成では人物パターン判定部によって、衝突者が、前方ポップアップ装置を動作させた状態におけるボンネットの前端部と、その胴体部が接触する恐れがある人物パターンである胴体部接触人物パターンに該当するか否かが判定される。人物パターン判定部が、衝突者は胴体部接触人物パターンであると判定した場合には、動作制御部は、ボンネットの前端部が胴体部に対して垂直な姿勢で接触しないように前方ポップアップ装置を動作させるか、又は、前方ポップアップ装置を動作させない。
以上の構成によれば、持ち上げられたボンネットの前端部に対して衝突者の胴体部が垂直な姿勢で接触する恐れを低減できる。その結果、ボンネットの前端部を持ち上げることによって衝突者の胴体部に対して予期せぬ衝撃が加わってしまう可能性を低減できる。したがって、以上の構成によれば、車両と衝突する人物をより適切に保護することができる。
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
本実施形態に係る保護装置制御システム100の概略的な構成を示すブロック図である。 本実施形態に係るECU1の概略的な構成を示すブロック図である。 第1人物パターンに対応するポップアップシステム4の動作態様の一例を示す図である。 第2人物パターンに対応するポップアップシステム4の動作態様の一例を示す図である。 第3人物パターンに対応するポップアップシステム4の動作態様の一例を示す図である。 ECU1が実施する処理の概略的な流れを示すフローチャートである。 歩行者用パターン特定処理を説明するためのフローチャートである。 乗員用パターン特定処理を説明するためのフローチャートである。 変形例1における人物パターンに応じた動作態様を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る保護装置制御システム100の概略的な構成の一例を示す図である。この保護装置制御システム100は、車両に搭載されている。便宜上、この保護装置制御システム100が搭載された車両を自車両とする。
この保護装置制御システム100は、自車両と衝突した結果、自車両のボンネット(換言すればエンジンフード)上に倒れこんでくる人物を保護するためのシステムである。ここでの保護の対象とする人物としては、例えば、歩行者や、自転車の乗員などが想定される。なお、他の態様として、原動機付き自転車や自動二輪車といった、自転車以外の二輪移動体の乗員も、保護対象として想定した態様としてもよい。
<保護装置制御システム100の構成>
本実施形態における保護装置制御システム100は、図1に示すように、ECU1、カメラ2、衝突センサ3、及びポップアップシステム4を備えている。なお、ECUは、Electronic Control Unitの略である。ECU1は、カメラ2、衝突センサ3、及びポップアップシステム4のそれぞれと、車両内に構築されたローカルエリアネットワークを介して接続されている。
ECU1は、カメラ2及び衝突センサ3から提供されるデータに基づいて、ポップアップシステム4の作動を制御する。このECU1が請求項に記載のポップアップ制御装置に相当する。ECU1の詳細については、カメラ2、衝突センサ3、及びポップアップシステム4について述べた後に説明する。
カメラ2は、光学式のカメラであって、例えばCMOSカメラやCCDカメラ等を用いることができる。カメラ2は、自車両前方の所定範囲を撮影するように、ウインドシールド上端部近傍(例えばルームミラー付近)に設置されればよい。カメラ2が撮影した画像データは逐次ECU1に提供される。
もちろん、カメラ2の設置位置は、ルームミラー付近に限らず、車両前方に対するドライバの視界を遮らない位置に取り付けられればよい。また、他の態様としてカメラ2は、赤外線カメラや近赤外線カメラなどであってもよい。さらに、カメラ2はステレオカメラであってもよい。
衝突センサ3は、自車両の前端部と、自車両以外の物体との最初の衝突(いわゆる一次衝突)を検出するためのセンサであり、車両のフロントバンパに設けられている。衝突センサ3は、衝突の衝撃の大きさに応じた値をECU1に出力する。
この衝突センサ3は、例えばフロントバンパに配されたチューブ或いは圧力チャンバ内の圧力を感知するための圧力センサを用いて実現されればよい。もちろん、衝突センサ3は、圧力式のセンサに限らない。例えば、車両のボディに沿って配された光ファイバから出力される光量の変化に基づいて衝突を検知するタイプのものであってもよい。また、衝突センサ3として加速度センサを用いてもよい。
ポップアップシステム4は、ボンネットを瞬時に持ち上げることで、自車両と衝突する人物に与える衝撃を緩和するための装置である。つまり、ボンネットを持ち上げることで、ボンネットの下に配置されているエンジンやバッテリー、ラジエータ等といった相対的に硬い部材と、ボンネットとの間に空間を形成し、自車両と衝突する人物に与える衝撃を緩和する。以降では便宜上、エンジンやバッテリー、ラジエータ等といった、ボンネットの下に配置されている部材を、内蔵部材とも称する。
本実施形態では一例として、ポップアップシステム4は、ボンネット前端側を持ち上げる前方持上装置41と、ボンネット後端側を持ち上げる後方持上装置42を備えるものとする。
前方持上装置41や後方持上装置42の具体的な構成は、周知の構成を適用すればよい。例えば前方持上装置41は、ボンネットの前端部の左右に、ボンネットを持ち上げるための所定の長さの棒状部材とアクチュエータを設けることで実現すればよい。当該アクチュエータを動作させることで棒状部材を介してボンネットの前端部が持上げられる。
なお、ここでのボンネットの前端部とは、ボンネットの車両前方側の縁部(以降、前端縁)だけでなく、前端縁から後方側に一定距離(例えば0.2メートル)以内となる領域も含むものとする。前方持上装置41がボンネット前端部を持ち上げる量は固定値とする。
後方持上装置42もまた、前方持上装置41と同様に、ボンネットの後端部の左右両側にアクチュエータ等の種々の部材を配置することで実現されればよい。ただし、本実施形態では一例として、後方持上装置42は、予め用意されている2種類の持上げ量のうち、何れか一方を選択して作動するように構成されているものとする。
2種類の持上げ量のうち、相対的に小さい方の持上げ量は、前方持上装置41がボンネット前端部を持ち上げる量と同程度となるように構成されている。また、相対的に大きい方の持上げ量は、後述する自車両と衝突した人物が後述する第2人物パターンである場合の動作態様に対応する高さに構成されている。
なお、本実施形態では一例として後方持上装置42の持上げ量が2種類用意されている態様を示すがこれに限らない。他の態様として、後方持上装置42の持上げ量は1種類に固定されていてもよい。また、本実施形態では一例としてポップアップシステム4が後方持上装置42を備える態様を例示しているが、必ずしも後方持上装置42を備えている必要はない。
以上で述べたポップアップシステム4は、ECU1からの指示に基づいて動作する。前方持上装置41が請求項に記載の前方ポップアップ装置に相当し、後方持上装置42が請求項に記載の後方ポップアップ装置に相当する。
次に、ECU1の構成及び作動について述べる。ECU1は、通常のコンピュータとして構成されており、CPU11、主記憶装置(いわゆるメモリ)としてのRAM12、補助記憶装置(いわゆるストレージ)としてのROM13、I/O、及びこれらの構成を接続するバスラインなどを備えている。
ROM13には、通常のコンピュータを、本実施形態におけるECU1として機能させるためのプログラム(以降、制御プログラム)等が格納されている。なお、上述の制御プログラムは、例えばフラッシュメモリやROM等といった、非遷移的実体的記録媒体(non- transitory tangible storage medium)に格納されていればよい。CPU11が当該制御プログラムを実行することは、当該制御プログラムに対応する方法が実行されることに相当する。
ECU1は、CPU11が上記制御プログラムを実行することで実現される機能ブロックとして、図2に示すように、衝突検知部F1、画像認識部F2、衝突対象情報取得部F3、動作態様選択部F4、及び動作指示部F5を備える。また、衝突対象情報取得部F3は、より細かい機能ブロックとして、衝突対象特定部F31、相対速度取得部F32、及び人物パターン特定部F33を備える。なお、ECU1が備える種々の機能ブロックは、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に実現されてもよい。
衝突検知部F1は、衝突センサ3の出力値を取得し、その出力値に基づいて自車両以外の物体と自車両の前端部との衝突(つまり一次衝突)を検知する。具体的には、衝突センサ3の出力値が、物体と衝突したか否かを判定するための衝突判定閾値以上となっている場合に、一次衝突が発生したと判定する。そして、前端部における衝突が生じた旨を示す衝突検知信号を、衝突対象情報取得部F3に提供する。
画像認識部F2は、カメラ2から入力される画像データを解析し、検出対象として予め設定されている物体の検出、及び、その種別の特定を実施する。例えば画像認識部F2は、画像データに対してエッジ検出などの公知の画像処理を行い、画像に含まれている全ての物体の輪郭を抽出する。そして、画像処理を施した画像データに対して、パターンマッチング処理を行うことによって、検出対象となっている物体を検出するとともに、その物体の種別を特定する。
検出対象とする物体は適宜設計されれば良い。本実施形態では、歩行者と自転車の乗員が、検出対象として登録されている。自転車の乗員を検出対象とすることは、乗員が乗車している自転車(以降、乗員付き自転車)を検出対象とすることに相当する。なお、検出対象とする物体は、上述したものに限らない。原動機付き自転車や、自動二輪車、自動四輪車などといった、他の種別の移動体を検出対象として設定されていても良い。また、電柱などの構造物なども検出対象として設定されていても良い。
なお、画像認識部F2が画像データからこれらの検出対象とする物体を検出するために用いられるデータ(以降、画像認識用データ)は、ROM13に格納されていればよい。画像認識用データとは、例えば検出対象とする物体の形状パターンを表すデータなどが該当する。
また、画像認識部F2は、歩行者を検出している場合、及び、自転車の乗員を検出している場合には、その検出している人物の頭部の位置も特定する。なお、頭部の位置に代わって腰部の位置を特定してもよいし、頭部と腰部の両方の位置を特定してもよい。人物の頭部や腰部の位置の特定は、HOG特徴等の周知の技術を援用して実現すればよい。
さらに、画像認識部F2は、画像データ内における検出物の位置や大きさから、検出物と自車両との相対距離を推定する。また、一旦検出した物体については、周知の物体追跡手法を援用して追尾する。これにより、複数の連続するフレーム間における位置や大きさの変化度合いから、検出物の相対的な移動方向や移動速度を推定する。
なお、仮にカメラ2がステレオカメラである場合には、それぞれの画像データ内における同一物体の位置の差に基づいて相対位置を推定してもよい。画像認識部F2による画像認識処理の結果は、衝突対象情報取得部F3に提供される。画像認識部F2が請求項に記載の物体認識部に相当する。
衝突対象情報取得部F3は、自車両前方に存在する物体についての情報として、画像認識部F2による画像認識処理の結果を取得する。具体的には、検出物毎の相対位置や、相対速度、移動体としての種別などを取得する。
なお、相対位置は、車両前後方向をX軸、車幅方向をY軸とする平面座標系(XY座標系とする)の座標によって表されればよい。XY座標系の原点は、例えば車両前端部のうち、車幅方向において中央となる点とすればよい。また、X軸は、車両前端部から後端部に向かう方向を正方向とし、Y軸は、車両左側から右側に向かう方向を正方向とする。
そして、衝突対象情報取得部F3は、画像認識部F2による画像認識処理の結果に基づいて、自車両と衝突した物体(以降、衝突対象)を特定する。衝突対象情報取得部F3が備える衝突対象特定部F31、相対速度取得部F32、及び人物パターン特定部F33は、画像認識部F2による画像認識処理の結果に基づいて、衝突対象についての情報を取得するための機能ブロックである。
衝突対象特定部F31は、衝突検知部F1が衝突の発生を検知した場合に、逐次収集している自車両前方に存在する物体についての情報に基づき、自車両と衝突した物体を特定する。
ここでは一例として、衝突対象特定部F31は、自車両前方に存在する検出物のうち、衝突発生時点において最も自車両に近い位置に存在している検出物が衝突対象であると判定する。なお、ここでの衝突発生時点とは、衝突する直前(例えば0.5秒前等)を含むものとする。
ただし、自車両から最も近い物体が、自車両から一定距離(例えば3m)以上離れている場合には、その検出物以外の物体と接触している可能性がある。したがって、最も自車両に近い位置に存在している検出物と自車両との距離が一定距離以上となっている場合には、衝突対象は、未検出の物体であると判定する。
なお、衝突発生時点において最も自車両に近い位置に存在している検出物が、乗員付き自転車である場合には、衝突対象は当該自転車の乗員であると見なす。
また、本実施形態では、衝突検知部F1が衝突の発生を検知したことをトリガとして、衝突対象を確定する態様とするが、これに限らない。画像認識部F2によって検出されている検出物のうち、相対速度などから定まる自車両と衝突するまでの残り時間としての衝突余裕時間が、一定時間(例えば0.5秒)未満となっている物体が存在する時点で、衝突対象を確定してもよい。つまり、衝突対象は、実際に一次衝突した物体だけでなく、これから一次衝突する物体であってもよい。
相対速度取得部F32は、衝突対象特定部F31によって特定された衝突対象の、自車両に対する衝突者の相対的な接近速度(つまり相対速度)を取得する機能ブロックである。なお、相対速度の特定は、画像認識部F2が実施によって実施され、相対速度取得部F32は、画像認識部F2からその推定結果を取得する構成とすればよい。
なお、カメラ2が撮影した画像データから相対速度を推定する方法は周知の方法を援用することができる。例えば、連続するフレーム毎の衝突者の位置や大きさの変化量から相対速度を特定すればよい。
人物パターン特定部F33は、衝突対象特定部F31が衝突対象は歩行者又は自転車の乗員であると判定している場合に、その自車両と衝突した人物(以降、衝突者)の頭部の位置等に基づき、その衝突者が予め設定されている複数の人物パターンの何れに該当するかを判定する。
本実施形態では、人物パターンとして、第1人物パターンと、第2人物パターンと、第3人物パターンの3つが定義されている。第1人物パターンに該当する人物とは、一次衝突時点における頭部の位置が、自車両との衝突の衝撃によってポップアップシステム4にボンネットの前端部を持ち上げさせた状態におけるボンネットの前端部(以降、持ち上げ前端部)と接触する可能性が高い位置となっている人物である。
第2人物パターンに該当する人物とは、その人物がボンネット上に倒れこむ過程において、腰部から肩部までの胴体部が持ち上げ前端部と接触する恐れがある人物である。第3人物パターンに該当する人物とは、その人物がボンネット上に倒れこむ過程において、胴体部が持ち上げ前端部と接触しないほど十分に腰部が高い位置に存在している人物である。例えば、その人物がボンネット上に倒れこむ過程において、その人物の下半身が持ち上げ前端部と接触するほど十分に身長の高い人物が、第3人物パターンに該当する。なおここでの下半身とは腰部よりも脚部側の部分を指す。
この人物パターン特定部F33が、衝突者が第1〜第3人物パターンの何れに該当するかを判定するための具体的な判定基準については別途後述する。第1人物パターンが請求項に記載の頭部接触人物パターンに相当し、第2人物パターンが請求項に記載の胴体部接触人物パターンに相当し、第3人物パターンが請求項に記載の腰部超過人物パターンに相当する。また、人物パターン特定部F33が請求項に記載の人物パターン判定部に相当する。
以上で述べた人物パターン特定部F33による特定結果は、動作態様選択部F4に提供される。なお、衝突者の頭部の位置は、画像認識部F2から提供されれば良い。また、人物パターンを特定する処理は、歩行者や自転車の乗員が衝突対象として確定される前の段階で実施されていてもよい。例えば、画像認識部F2が歩行者や自転車乗員を検出した時点から、その検出した人物の人物パターンを特定する処理を逐次実施していてもよい。その場合には、人物パターン特定部F33は、衝突対象として確定された時点における特定結果を採用すればよい。
動作態様選択部F4は、衝突対象特定部F31によって衝突対象が歩行者又は自転車の乗員であると判定されている場合に、人物パターン特定部F33によって特定されている人パターンを取得する。そして、ポップアップシステム4の動作の態様として、その衝突者が該当すると判定されている人物パターンに対応する動作態様を選択する。なお、人物パターン毎のポップアップシステム4の動作態様は予め設定されていればよい。この人物パターン毎のポップアップシステム4の動作態様についても別途後述する。
動作指示部F5は、ポップアップシステム4を動作態様選択部F4によって選択された動作態様で動作させる。具体的には、ポップアップシステム4に対して動作態様選択部F4によって選択された動作態様で動作するように指示する制御信号を出力する。ポップアップシステム4は、動作指示部F5から入力された制御信号に応じた態様で動作する。動作指示部F5が請求項に記載の動作制御部に相当する。
<ポップアップシステム4の動作態様について>
次に、人物パターン毎のポップアップシステム4の動作態様について、図3〜図5を用いて述べる。まずは、第1人物パターンに対応する動作態様について述べる。
本実施形態では、第1人物パターンに対応する動作態様として、図3に示すように、ボンネットの前端部を持ち上げる一方、ボンネットの後端部は持ち上げない態様が設定されている。すなわち、動作指示部F5は、衝突者が第1人物パターンに該当する場合には後方持上装置42を動作させずに、前方持上装置41のみを動作させる。
また、第2人物パターンに対応する動作態様とは、図4に示すように、ボンネットの前端部を持ち上げるとともに、車両高さ方向に対するボンネット前端部の角度αが所定の角度(以降、基準角)未満となるように、ボンネット後端部を持ち上げる態様である。つまり、動作指示部F5は、衝突者が第2人物パターンに該当する場合には、車両高さ方向に対するボンネット前端部の角度αが所定の基準角未満となるように、前方持上装置41と後方持上装置42を動作させるものとする。
なお、ボンネット前端部が流線型である場合には、例えば車幅方向に垂直な断面でのボンネットの前方縁部での接線と、車両高さ方向に平行な軸との為す角度が基準角未満となるように、ボンネット後方を持ち上げればよい。もちろん、その他の位置を基準として持ち上げ状態における角度αを計測してもよい。
ここで適用する基準角は、衝突者の胴体部が車両高さ方向に平行な姿勢で、持ち上げ状態のボンネット前端部とぶつかった場合に、ボンネットの前端部が胴体部から印加される衝撃によって十分に変形しうる角度とする。基準角は、実試験やシミュレーションによって決定されれば良い。例えば基準角は、70°等とすればよい。車両高さ方向に対してボンネット前端部の角度が垂直とは見なされない角度となっていればよい。なお、垂直と見なされる角度とは、例えば75°〜90°程度を想定すればよい。
最後に、第3人物パターンに対応する動作態様としては、図5に示すように、ボンネットの前端部と後端部を同程度持ち上げる態様が設定されている。つまり、動作指示部F5は、衝突者が第3人物パターンに該当する場合には、前方持上装置41を動作させるとともに、前方持上装置41の持上げ量と等しい量だけ後端部を持ち上げるように後方持上装置42を動作させる。
<ポップアップシステム4の制御フロー>
次に、図6に示すフローチャートを用いて、ECU1が実施するポップアップシステム4の動作を制御する処理(以降、ポップアップシステム制御処理)について説明する。この図6に示すフローチャートは、例えば衝突検知部F1が一次衝突を検知した場合に開始されればよい。
まず、ステップS1では衝突対象特定部F31が衝突対象を特定する。このステップS1の特定処理の結果、衝突対象が歩行者である場合にはステップS2が肯定判定されて、ステップS3に移る。一方、衝突対象が歩行者ではない場合にはステップS2が否定判定とされてステップS4に移る。
ステップS3では人物パターン特定部F33が、歩行者用パターン特定処理を実施してステップS6に移る。この歩行者用パターン特定処理は、衝突者としての歩行者が何れの人物パターンに該当するかを特定するための処理である。この歩行者用パターン特定処理の具体的な内容については別途後述する。歩行者用パターン特定処理を実施することで、衝突者としての歩行者が、第1〜第3人物パターンの何れに該当するかが判定される。
ステップS4では衝突対象特定部F31が、衝突対象が自転車の乗員であるか否かを判定する。衝突対象が自転車の乗員である場合には、ステップS4が肯定判定されてステップS5に移る。一方、衝突対象が自転車の乗員ではない場合には、ステップS4が否定判定されて本フローを終了する。
ステップS5では人物パターン特定部F33が、乗員用パターン特定処理を実施してステップS6に移る。この乗員用パターン特定処理は、衝突者としての乗員が何れの人物パターンに該当するかを特定するための処理である。この乗員用パターン特定処理の具体的な内容については別途後述する。乗員用パターン特定処理を実施することで、衝突者としての乗員が、第1〜第3人物パターンの何れに該当するかが判定される。
ステップS6ではステップS3又はステップS5において人物パターン特定部F33によって特定された人物パターンに対応する動作態様を選択する。そして、ステップS7では動作指示部F5が、動作態様選択部F4によって選択された動作態様でポップアップシステム4を動作させて本フローを終了する。
<歩行者用パターン特定処理>
ここでは、図7に示すフローチャートを用いて、人物パターン特定部F33が実施する歩行者用パターン特定処理について説明する。この図7に示すフローチャートは、図6に示すフローチャートのステップS3に移った時に開始されればよい。なお、他の態様として、画像認識部F2が歩行者を検出している場合に、人物パターン特定部F33が画像認識部F2と協働して、その歩行者に対して逐次実施していても良い。
まず、ステップS301では画像認識部F2が特定している衝突者の頭部の高さHhdを取得してステップS302に移る。ステップS302では、頭部高さHhdが第1歩行者用閾値Ha1よりも低いか否かを判定する。頭部高さHhdが第1歩行者用閾値Ha1よりも低い場合には、ステップS302が肯定判定されてステップS303に移る。一方、頭部高さHhdが第1歩行者用閾値Ha1以上である場合にはステップS302が否定判定されてステップS304に移る。
このステップS302の判定で用いられる第1歩行者用閾値Ha1は、自車両との衝突の衝撃によって、自車両と衝突した歩行者の頭部が持ち上げ前端部と接触しうる頭部の高さの上限値に相当する値である。なお、頭部高さHhdや、第1歩行者用閾値Ha1は、路面を基準とした高さである。
第1歩行者用閾値Ha1は、ダミー人形等を用いた試験によって特定されても良いし、周知のWAD(Wrap Around Distance)の概念を適用して設計されても良い。何れにしても、第1歩行者用閾値Ha1は、前方持上装置41を動作させた状態におけるボンネットの前端縁の高さや、車両前端部付近の形状といった車両モデル毎の特性(以降、車両特性)に応じて定まる。なお、衝突時点での歩行者の姿勢としては、標準的な歩行姿勢を想定して第1歩行者用閾値Ha1を決定すれば良い。
ステップS303では、衝突者としての歩行者は、第1人物パターンに該当すると判定して、本フローを終了する。
ステップS304では、頭部高さHhdが第2歩行者用閾値Ha2よりも高いか否かを判定する。そして、頭部高さHhdが第2歩行者用閾値Ha2よりも高い場合には、ステップS304が肯定判定されてステップS305に移る。一方、頭部高さHhdが第2歩行者用閾値Ha2以下である場合にはステップS304が否定判定されてステップS306に移る。
このステップS304の判定で用いられる第2歩行者用閾値Ha2は、自車両と衝突した人物が、ボンネット上に倒れこむ過程において、胴体部が持ち上げ前端部と接触しないほど十分高い位置に頭部が位置している人物であるか否かを判定するための閾値である。
第2歩行者用閾値Ha2もまた、ダミー人形等を用いた試験によって特定されても良いし、WADの概念を適用して設計されても良い。第2歩行者用閾値Ha2もまた、車両特性に応じた値となる。
ステップS305では、衝突者としての歩行者は、第3人物パターンに該当すると判定して、本フローを終了する。また、ステップS306では、衝突者としての歩行者は、第2人物パターンに該当すると判定して、本フローを終了する。
なお、以上で述べた歩行者用パターン特定処理が終了した場合には、本処理の呼び出し元である図6に示すフローチャートのステップS6に移る。
<乗員用パターン特定処理>
次に、図8に示すフローチャートを用いて、人物パターン特定部F33が実施する乗員用パターン特定処理について説明する。この図8に示すフローチャートは、図6に示すフローチャートのステップS5に移った時に開始されればよい。なお、他の態様として、画像認識部F2が乗員付き自転車を検出している場合に、人物パターン特定部F33が画像認識部F2と協働して、その自転車の乗員に対して逐次実施していても良い。
この図8に示す乗員パターン特定処理の概略的な流れは、先に説明した図7に示す歩行者用パターン特定処理と同様である。すなわち、図8に示すステップS501〜S506のそれぞれは、図7のステップS301〜S306のそれぞれに対応する。
乗員用パターン特定処理においては、第1歩行者用閾値Ha1の代わりに、第1乗員用閾値Hb1を用いて、衝突者としての乗員が第1人物パターンに該当するか否かを判定する。また、第2歩行者用閾値Ha2の代わりに、第2乗員用閾値Hb2を用いて、衝突者としての乗員が第3人物パターンに該当するか第2人物パターンに該当するかを判定する。
第1乗員用閾値Hb1は、自車両との衝突の衝撃によって、自車両と衝突した自転車の乗員の頭部が持ち上げ前端部と接触しうる頭部の高さの上限値に相当する値である。また、第2乗員用閾値Hb2は、自車両と衝突した自転車の乗員が、ボンネット上に倒れこむ過程において、胴体部が持ち上げ前端部と接触しないほど十分に高い位置に頭部が位置している人物であるか否かを判定するための閾値である。
本実施形態では一例として、第1乗員用閾値Hb1は、第1歩行者用閾値Ha1よりも高い値に設定されており、第2乗員用閾値Hb2は、第2歩行者用閾値Ha2よりも高い値に設定されている。これは次の理由による。
衝突者が歩行者の場合、脚部が車両前端部と直接接触することから、歩行者の体は下方に引っ張られ、歩行者の腰部は衝突前よりも少し沈んだ状態で車体と接触する。これに対し、衝突者が自転車の乗員の場合には、乗員は乗車していた自転車とは独立して動くため、乗員の腰部は慣性の法則に従って衝突前の高さを保持したまま車体と接触する傾向が強い。
つまり、衝突者が歩行者か自転車の乗員であるかによって、衝突後の人体の挙動は異なってくる。そのため、衝突者が歩行者か自転車の乗員であるかによって、当該衝突者の人物パターンを特定するための閾値は、異なる値となっていることが好ましい。
具体的には、上述した相違点を鑑みて、第1乗員用閾値Hb1は、第1歩行者用閾値Ha1よりも高い値とすることが好ましい。衝突者が自転車の乗員である場合には、歩行者と違って、上半身の位置が衝突前の高さよりも下がりにくいためである。同様に、第2乗員用閾値Hb2も第2歩行者用閾値Ha2よりも高い値とすることが好ましい。そのような態様によれば、衝突者の移動体としての種別に応じて、より適切に人物パターンを特定することができる。
<本実施形態のまとめ>
以上の構成では人物パターン特定部F33が、自車両と衝突した人物が第1〜第3人物パターンの何れに該当するかを判定する。そして、動作指示部F5が、人物パターン特定部F33によって特定された人物パターンに対応する動作態様でポップアップシステム4を動作させる。
具体的には、衝突者が歩行者であって、かつ、当該歩行者の衝突時(直前を含む)での頭部の高さHhdが所定の第1歩行者用閾値Ha1未満である場合には、その衝突者は、第1人物パターンに該当すると判定する。そして、動作指示部F5は、第1人物パターンに対応するポップアップシステム4の動作態様として、図3に示すように前方持上装置41を動作させる。
ここでの第1人物パターンに該当する人物とは、前述の通り、自車両との衝突の衝撃によって頭部が持ち上げ前端部と接触する可能性が高い人物である。したがって、前方持上装置41を動作させることで、ボンネットと内蔵部材との間に空間を形成し、当該衝突者の頭部への衝撃を緩和するができる。
なお、本実施形態では一例として、第1人物パターンに対応する動作態様として、後方持上装置42は動作させない態様とするが、これに限らない。後方持上装置42も動作させてもよい。
また、衝突者が歩行者であって、かつ、当該歩行者の衝突時での頭部の高さHhdが、第1歩行者用閾値以上であって、かつ、所定の第2歩行者用閾値Ha2以下である場合には、その衝突者は、第2人物パターンに該当すると判定する。ここでの第2人物パターンに該当する人物とは、前述の通り、その人物がボンネット上に倒れこむ過程において、胴体部が持ち上げ前端部と接触する恐れがある人物である。
そして、動作指示部F5は、人物パターン特定部F33によって衝突者は第2人物パターンに該当すると判定された場合には、車両高さ方向に対するボンネット前端部の角度αが基準角未満となるように、前方持上装置41と後方持上装置42を動作させる。
このような態様によれば、持ち上げられたボンネットの前端部に対して衝突者の胴体部が略垂直な姿勢で接触する恐れを低減できる。つまり、ボンネットの前端部を持ち上げることによって衝突者の胴体部に対して予期せぬ衝撃が加わってしまう可能性を低減できる。なお、衝突者の胴体部がボンネットの前端部に対して略垂直な姿勢で接触した場合に胴体部に予期せぬ負荷がかかる恐れがある理由は、ボンネットの前端部が人体の胴体部に対して略垂直な姿勢で接触する場合にはボンネットが変形しにくいためである。
さらに、衝突者が歩行者であって、かつ、当該歩行者の衝突時での頭部の高さHhdが、第2歩行者用閾値Ha2よりも高い場合には、その衝突者は、第3人物パターンに該当すると判定する。そして、動作指示部F5は、第3人物パターンに対応するポップアップシステム4の動作態様として、図5に示すように前方持上装置41を動作させるとともに、前方持上装置41の持上げ量と等しい量だけ後端部を持ち上げるように後方持上装置42を動作させる。
ここでの第3人物パターンに該当する人物とは、衝突時にボンネット上に倒れこむ過程において胴体部が持ち上げ前端部と接触しないほど十分に腰部が高い位置に存在している人物である。
衝突者がそのような人物である場合には、ボンネットの前端部を持ち上げても、衝突者の胴体部が、持ち上げられたボンネットの前端部に対して略垂直な姿勢で接触する恐れは低い。つまり、ボンネットの前端部を持ち上げることによって衝突者の胴体部に対して予期せぬ衝撃が加わってしまう可能性は小さい。
また、本実施形態のようにボンネットの前端部を持ち上げれば、後端部のみを持ち上げる場合に比べて、よりボンネットと内臓部品との間隙を大きくすることができる。したがって、より適切に衝突者を保護することができる。
なお、本実施形態では、衝突者が第3人物パターンに該当する場合には、前方持上装置41を動作させるとともに、前方持上装置41の持上げ量と等しい量だけ後端部を持ち上げるように後方持上装置42を動作させる態様とするが、これに限らない。衝突者が第2人物パターンの時と同様に、車両高さ方向に対するボンネット前端部の角度αが基準角未満となるように、前方持上装置41と後方持上装置42を動作させてもよい。つまり、後方持上装置42がボンネット後端部を持ち上げる量は2段階用意されている必要はなく、1段階だけでもよい。その場合の持上げ量は、車両高さ方向に対するボンネット前端部の角度αが基準角未満となるほど十分に高ければよい。
また、本実施形態では衝突者が第3人物パターンに該当する場合には、前方持上装置41を動作させる態様とするが、これに限らない。衝突者が第3人物パターンに該当する場合には、前方持上装置は動作させなくとも良い。さらに、仮に自車両がカウルトップ付近に展開されるエアバッグ装置(いわゆる歩行者用エアバッグ)を備えている場合であって、かつ、衝突者が第3人物パターンに該当する場合には、後方持上装置42の代わりに当該歩行者用エアバッグを動作させてもよい。
また、以上の構成において、衝突者が自転車の乗員である場合には、衝突者が歩行者である場合に用いる種々の閾値(以降、歩行者用閾値)に代わって、乗員用の閾値を用いて、その衝突者が、第1〜第3人物パターンの何れに該当すると判定する。そして、動作指示部F5は、人物パターン特定部F33が特定した人物パターンに対応する動作態様でポップアップシステム4を動作させる。
衝突者が自転車の乗員である場合には、衝突者が歩行者である場合との衝突時の挙動の違いを考慮した、歩行者用閾値とは異なる閾値を用いることで、より適切に人物パターンを特定することができる。そして、衝突者の移動体としての種別を考慮した閾値を用いて人物パターンを特定することで、動作指示部F5は、実際の衝突時の挙動に対応する動作態様でポップアップシステム4を動作させることができるようになる。その結果、衝突者をより適切に保護できるようになる。
なお、以上では、動作指示部F5は、衝突者が第2人物パターンに該当する場合には、車両高さ方向に対するボンネット前端部の角度αが所定の基準角未満となるように、前方持上装置41と後方持上装置42を動作させるものとしたが、これに限らない。自車両に対する衝突者の相対的な接近速度(つまり相対速度)が所定の速度閾値以下である場合には、衝突者が第2人物パターンに該当する場合であっても、第3人物パターン又は第1人物パターンと同様の動作態様で動作させてもよい。
ここで用いる速度閾値は、仮に、衝突者の胴体部が、持ち上げられたボンネットの前端部に対して略垂直な姿勢で接触したとしても、胴体部に与える衝撃が所定の許容範囲内に収まるような速度とする。相対速度が十分に小さい場合には、仮に衝突者の胴体部が、持ち上げられたボンネットの前端部に対して略垂直な姿勢で接触したとしても、胴体部に付与される衝撃は小さくなることが期待できるためである。速度閾値は試験等によって適宜設計されれば良い。例えば15km/h程度の値とすればよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、以降で述べる種々の変形例も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
[変形例1]
上述した実施形態では、衝突者が第2人物パターンである場合には、車両高さ方向に対するボンネット前端部の角度αが基準角未満となるように、前方持上装置41と後方持上装置42を動作させることで、衝突者の胴体部が、持ち上げられたボンネットの前端部に対して略垂直な姿勢で接触する恐れを低減する態様を例示したが、これに限らない。
例えば図9に示すように、衝突の検出に対して、前方持上装置41を動作させるタイミングを、一定時間Tdrだけ遅延させることで、衝突者の胴体部が、持ち上げられたボンネットの前端部に対して略垂直な姿勢で接触する恐れを低減させてもよい。
なお、図9の(A)は、衝突の検出に対し、前方持上装置41の動作の開始を遅延させない場合の(つまり通常動作時の)、時間の経過に伴う前方持上装置41の動作を表しており、図中のT10が、前方持上装置41の動作が完了する時刻を表している。また、図中のTwkは、前方持上装置41が動作を開始してから完了するまでに要する時間である。時間軸の始点は、衝突を検出した時点を表している。衝突の検出時点は、衝突検知部F1が衝突を検出した時点としてもよいし、衝突余裕時間が一定時間(例えば0.5秒)未満となった人物が発生した時点でもよい。
また、図9の(B)は、前方持上装置41を動作させるタイミングを、一定時間Tdrだけ遅延させた場合の、時間の経過に伴う前方持上装置41の動作を表している。時刻T20は、前方持上装置41の動作を開始させるタイミングを、時刻T21は、前方持上装置41の動作が完了するタイミングをそれぞれ表している。
通常、車両と衝突した人物は脚部や下半身を回転の軸として車両側に倒れこむ。したがって、衝突者が第2人物パターンに該当する場合、前方持上装置41の動作の開始タイミングを一定時間Tdrだけ遅延させれば、ボンネット前端部と胴体部とが接触する時点において、衝突者の体が車体に対して十分に斜めとなっていることが期待できる。つまり、この変形例1の動作態様によっても、衝突者の胴体部が、持ち上げられたボンネットの前端部に対して略垂直な姿勢で接触する恐れを低減できる。
なお、この変形例1においては、前方持上装置41の動作タイミングを調整することで、衝突者の胴体部が、持ち上げられたボンネットの前端部に対して略垂直な姿勢で接触する恐れを低減する。つまり、実施形態のように後方持上装置42を動作させる必要はない。
もちろん、他の態様として前方持上装置41の動作には遅延をかける一方、後方持上装置42については通常通りに動作させてもよい。その時のボンネット後端部の持ち上げ量は、任意である。つまり、この変形例1の態様によれば、衝突者が第2人物パターンである場合に、後方持上装置42を動作させるか否かはどちらでもよい。
また、この変形例1のさらなる変形例として、衝突者の相対速度が所定の速度閾値以下である場合には、衝突者が第2人物パターンに該当する場合であっても、遅延をかけずに、通常通り、一次衝突を検出次第、前方持上装置41を動作させてもよい。相対速度が所定の速度閾値以下である場合には、仮に衝突者の胴体部が、持ち上げられたボンネットの前端部に対して略垂直な姿勢で接触したとしても、胴体部に付与される衝撃は小さくなることが期待できるためである。
[変形例2]
また、衝突者が第2人物パターンに該当する場合の動作態様は、ボンネットの前端部を持上げないように設定されてもよい(これを変形例2とする)。そのような態様によれば、衝突者の胴体部が、持ち上げられたボンネットの前端部に対して略垂直な姿勢で接触する恐れはなくなる。
ただし、衝突者が第2人物パターンに該当するということは、上半身や頭部がボンネット上に倒れこむ可能性が高いことを示唆している。したがって、衝突者が第2人物パターンに該当する場合には、後方持上装置42を動作させてボンネット後方を持ち上げることが好ましい。なお、車両が前述の歩行者用エアバッグを備えている場合には、後方持上装置42を動作させる代わりに、歩行者用エアバッグを動作させてもよい。
また、この変形例2のさらなる変形例として、衝突者の相対速度が所定の速度閾値以下である場合には、衝突者が第2人物パターンに該当する場合であっても、前方持上装置41を動作させてもよい。
[変形例3]
以上で述べた実施形態では、衝突者の頭部の高さから人物パターンを判定する態様を例示したがこれに限らない。衝突者の腰部の高さから人物パターンを判定してもよい。その場合には、腰部の高さから人物パターンを特定するための閾値を適宜設定すればよい。
また、頭部の高さと腰部の高さを併用して、人物パターンを特定してもよい。例えば衝突者が第1人物パターンに該当するか否かは、頭部の高さに基づいて判定する一方、衝突者が第1人物パターンに該当しない場合に、衝突者の腰部の高さによって衝突者が第2人物パターンに該当するか第3人物パターンに該当するかを判定してもよい。
[変形例4]
以上の実施形態や変形例では、人物パターン特定部F33が、衝突者が第1〜第3人物パターンの何れに該当するかを特定する態様を例示したが、これに限らない。人物パターン特定部F33は、衝突者が第1人物パターンや、第3人物パターンに該当するかは判定しなくともよい。つまり、人物パターン特定部F33は、衝突者が第2人物パターン(言い換えれば胴体部接触人物パターン)に該当するか否かを判定する機能を備えていれば良い。
また、衝突者の人物パターンは、必ずしも3つに分類されている必要はなく、上述の第2人物パターンに相当する人物パターンと、その他の人物パターンの2つに分類されていても良い。
[変形例5]
以上では、カメラ2が撮影した画像データから、衝突対象を特定する態様を示したがこれに限らない。周知のミリ波レーダや、レーザレーダといった測距センサの検出結果を、カメラ2の撮影画像に対する画像認識結果と併用してもよい。そのような態様によれば衝突対象の種類の特定精度を高めることができる。
また、上述した実施形態では、相対速度取得部F32は、カメラ2が生成する画像データから推定される相対速度を取得する態様としたが、これに限らない。ECU1が、測距センサの検出結果を取得できる場合には、相対速度取得部F32は測距センサから衝突者の相対速度を取得する態様としてもよい。
100 保護装置制御システム、1 ECU、11 CPU、12 RAM、13 ROM、2 カメラ、3 衝突センサ、4 ポップアップシステム、41 前方持上装置、42 後方持上装置、F1 衝突検知部、F2 画像認識部、F3 衝突対象情報取得部、F31 衝突対象特定部、F32 相対速度取得部、F33 人物パターン特定部(人物パターン判定部)、F4 動作態様選択部、F5 動作指示部

Claims (9)

  1. ボンネットの前端側を持ち上げる前方ポップアップ装置(41)が搭載されている車両で用いられ、
    前記前方ポップアップ装置の動作を制御する動作制御部(F5)と、
    前記車両の前方に存在する物体についての情報を取得する物体認識部(F2)と、
    前記物体認識部が取得している情報に基づいて、前記車両と衝突する物体が人物であるか否かを判定する衝突対象特定部(F31)と、
    前記衝突対象特定部によって前記車両と衝突する物体が人物であると判定された場合に、前記車両と衝突する前記人物である衝突者が、前記車両との衝突によって前記ボンネット上に倒れこむ際に、腰部から肩部までの胴体部が、前記前方ポップアップ装置を動作させた状態における前記ボンネットの前端部と接触する恐れがある人物のパターンである胴体部接触人物パターンに該当するか否かを判定する人物パターン判定部(F33)と、を備え、
    前記動作制御部は、前記人物パターン判定部によって前記衝突者が前記胴体部接触人物パターンに該当すると判定された場合には、前記ボンネットの前端部が前記胴体部に対して垂直な角度で接触しないように前記前方ポップアップ装置を動作させるか、又は、前記前方ポップアップ装置を動作させないことを特徴とするポップアップ制御装置。
  2. 請求項1において、
    前記動作制御部は、前記人物パターン判定部によって前記衝突者が前記胴体部接触人物パターンに該当すると判定された場合には、前記前方ポップアップ装置を動作させないことを特徴とするポップアップ制御装置。
  3. 請求項2において、
    前記車両に対する前記衝突者の相対速度を取得する相対速度取得部(F32)を備え、
    前記動作制御部は、前記相対速度取得部が取得している相対速度が所定の速度閾値以下である場合には、前記人物パターン判定部によって前記衝突者が前記胴体部接触人物パターンに該当すると判定された場合であっても、前記前方ポップアップ装置を動作させることを特徴とするポップアップ制御装置。
  4. 請求項1において、
    前記動作制御部は、
    前記人物パターン判定部によって前記衝突者が前記胴体部接触人物パターンに該当すると判定されていない場合には、前記衝突者との衝突を検出次第、前記前方ポップアップ装置を動作させる一方、
    前記人物パターン判定部によって前記衝突者が前記胴体部接触人物パターンに該当すると判定されている場合には、前記衝突者との衝突を検出してから所定の遅延時間経過したタイミングで前記前方ポップアップ装置を動作させることを特徴とするポップアップ制御装置。
  5. 請求項4において、
    前記車両に対する前記衝突者の相対速度を取得する相対速度取得部(F32)を備え、
    前記動作制御部は、前記相対速度取得部が取得している相対速度が所定の速度閾値以下である場合には、前記人物パターン判定部によって前記衝突者が前記胴体部接触人物パターンに該当すると判定された場合であっても、前記衝突者との衝突を検出次第、前記前方ポップアップ装置を動作させることを特徴とするポップアップ制御装置。
  6. 請求項1において、
    前記車両には、前記前方ポップアップ装置を動作させた状態における前記ボンネットの前端部よりも前記ボンネットの後端側を高く持ち上げる後方ポップアップ装置(42)が搭載されており、
    前記動作制御部は、前記人物パターン判定部によって前記衝突者が前記胴体部接触人物パターンに該当すると判定された場合には、前記前方ポップアップ装置と前記後方ポップアップ装置を動作させることを特徴とするポップアップ制御装置。
  7. 請求項1から6の何れか1項において、
    前記人物パターン判定部は、前記衝突者の頭部及び腰部の少なくとも何れか一方の高さに基づいて、前記胴体部接触人物パターンに該当するか否かを判定することを特徴とするポップアップ制御装置。
  8. 請求項7において、
    前記衝突対象特定部は、前記物体認識部が取得している情報に基づいて、前記車両と衝突する物体が人物であると判定する場合には、さらにその人物の移動体としての種別が、歩行者に該当するか又は二輪移動体の乗員に該当するかを特定するものであって、
    前記人物パターン判定部は、前記衝突者の移動体としての種別に基づいて、前記胴体部接触人物パターンに該当するか否かを判定することを特徴とするポップアップ制御装置。
  9. 請求項1から8の何れか1項において、
    前記人物パターン判定部は、前記衝突者が、前記車両との衝突の衝撃によって頭部が前記前方ポップアップ装置を動作させた状態における前記ボンネットの前端部と接触する恐れがある人物のパターンである頭部接触人物パターンに該当するか否かを判定し、
    前記動作制御部は、前記人物パターン判定部によって前記衝突者が前記頭部接触人物パターンに該当すると判定された場合には、前記前方ポップアップ装置を動作させることを特徴とするポップアップ制御装置。
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