JP6409494B2 - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents
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Description
本発明に係る液晶配向剤は、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル及びポリオルガノシロキサンよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)を含有する。
[ポリアミック酸]
本発明に係るポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができる。
ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:4,6:8−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物などを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、下記式(B−1)
などを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。
上記式(B−1)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(B−1−1)〜(B−1−6)のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
ポリアミック酸の合成に使用するジアミンとしては、例えば脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。これらジアミンの具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えばメタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを;
脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などを;
で表される化合物などの配向性基含有ジアミン:
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミンを用いることができる。
窒素含有構造を有するジアミンが有していてもよい2級アミノ基及び3級アミノ基は、例えば下記式(N−1)で表される。
4,4’−ジアミノビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、4,4’−ジアミノビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、3,3’−ジアミノビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジアミノビフェニル−2,4’−ジカルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルメタン−3,3’−ジカルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルエタン−3,3’−ジカルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸などのジカルボン酸;などを挙げることができる。
で表される部分構造を基本骨格として含有するエステル基含有構造、等が挙げられる。
ポリアミック酸は、上記のようなテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、必要に応じて分子量調整剤とともに反応させることにより得ることができる。ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、0.3〜1.2当量となる割合がより好ましい。
反応に使用する有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノール系溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などを挙げることができる。これらの有機溶媒のうち、非プロトン性極性溶媒及びフェノール系溶媒よりなる群(第一群の有機溶媒)から選択される1種以上、又は、第一群の有機溶媒から選択される1種以上と、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素及び炭化水素よりなる群(第二群の有機溶媒)から選択される1種以上との混合物を使用することが好ましい。後者の場合、第二群の有機溶媒の使用割合は、第一群の有機溶媒及び第二群の有機溶媒の合計量に対して、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、更に好ましくは30重量%以下である。
本発明に係るポリアミック酸エステルは、例えば、[I]上記合成反応により得られたポリアミック酸とエステル化剤とを反応させる方法、[II]テトラカルボン酸ジエステルとジアミンとを反応させる方法、[III]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミンとを反応させる方法、などによって得ることができる。
なお、本明細書において「テトラカルボン酸ジエステル」とは、テトラカルボン酸が有する4個のカルボキシル基のうち2個がエステル化され、残りの2個がカルボキシル基である化合物を意味する。「テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物」とは、テトラカルボン酸が有する4個のカルボキシル基のうち2個がエステル化され、残りの2個がハロゲン化された化合物を意味する。
ポリイミドは、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
本発明に係るポリオルガノシロキサンは、例えば加水分解性のシラン化合物を加水分解・縮合することにより得ることができる。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン化合物;
3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等の不飽和結合含有アルコキシシラン化合物;トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物などを挙げることができる。加水分解性シラン化合物は、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、「(メタ)アクリロキシ」は、「アクリロキシ」及び「メタクリロキシ」を含む意味である。
上記の加水分解・縮合反応の際に使用する有機溶媒としては、例えば炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、アルコールなどを挙げることができる。これらのうち、非水溶性又は難水溶性の有機溶媒を用いることが好ましい。有機溶媒の使用割合は、反応に使用するシラン化合物の合計100重量部に対して、好ましくは10〜10,000重量部であり、より好ましくは50〜1,000重量部である。
[1]重合体(A)が、ポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種である態様。
[2]重合体(A)として、ポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも一種と、ポリオルガノシロキサンとを含有する態様。
[3]重合体(A)がポリオルガノシロキサンである態様。
これらのうち、本発明の効果をより好適に得る観点において、[1]又は[2]の態様が好ましく、[1]の態様がより好ましい。上記[2]の場合、ポリアミック酸、ポリイミド及びポリアミック酸エステルの合計の含有量を、液晶配向剤に含有される重合体(A)の全体量に対して5重量%以上とすることが好ましく、10重量%以上とすることがより好ましい。
本発明に係る液晶配向剤は、上記重合体(A)以外に、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。当該液晶配向剤に配合してもよいその他の成分としては、例えば、上記重合体(A)以外のその他の重合体、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ基含有化合物」という。)、官能性シラン化合物等を挙げることができる。
上記その他の重合体は、溶液特性や電気特性の改善のために使用することができる。かかるその他の重合体の具体例としては、例えばポリエステル、ポリアミド、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを主骨格とする重合体を挙げることができる。
その他の重合体を液晶配向剤に配合する場合、その配合割合は、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100重量部に対して、30重量部以下とすることが好ましく、0.1〜20重量部とすることがより好ましく、0.3〜10重量部とすることが更に好ましい。
エポキシ基含有化合物は、液晶配向膜における基板表面との接着性や電気特性を向上させるために使用することができる。このようなエポキシ基含有化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミン等を好ましいものとして挙げることができる。その他、エポキシ基含有化合物の例としては、国際公開第2009/096598号記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを用いることができる。
これらエポキシ化合物を液晶配向剤に添加する場合、その配合割合は、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100重量部に対して、40重量部以下とすることが好ましく、0.1〜30重量部とすることがより好ましい。
上記官能性シラン化合物は、液晶配向剤の印刷性の向上を目的として使用することができる。このような官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
これら官能性シラン化合物を液晶配向剤に添加する場合、その配合割合は、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100重量部に対して、2重量部以下とすることが好ましく、0.02〜0.2重量部とすることがより好ましい。
本発明に係る液晶配向剤は、重合体(A)及び必要に応じて配合されるその他の成分が、有機溶媒中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。特に、本発明に係る液晶配向剤は、2−ブトキシ−1−プロパノールを、全溶剤量に対して0.1〜50重量%含む。基板に対する塗布性及び液晶表示素子の信頼性の改善効果を更に高める観点からすると、2−ブトキシ−1−プロパノールの含有割合を、全溶剤量に対して0.3〜40重量%とすることがより好ましく、0.5〜35重量%とすることがさらに好ましく、1〜30重量%とすることが特に好ましい。
2−ブトキシ−1−プロパノールと併用するその他の溶剤として特に好ましくは、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1−ブトキシ−2−プロパノール、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、及びγ−ブチロラクトンよりなる群から選ばれる少なくとも一種である。なお、その他の溶剤は、これらのうちの一種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
上記に説明した液晶配向剤を用いることにより液晶配向膜を製造することができる。また、本発明に係る液晶表示素子は、上記液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。本発明に係る液晶表示素子の動作モードは特に限定せず、例えばTN型、STN型、VA型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS型、FFS型、OCB型など種々の動作モードに適用することができる。
先ず、基板上に本発明の液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。
(1−1A)例えばTN型、STN型又はVA型の液晶表示素子を製造する場合、まず、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を一対として、その各透明性導電膜形成面上に、上記で調製した液晶配向剤を、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法によりそれぞれ塗布する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。パターニングされた透明導電膜を得るには、例えばパターンなし透明導電膜を形成した後、フォト・エッチングによりパターンを形成する方法;透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法;などによることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面及び透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成する面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布する前処理を施しておいてもよい。
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶表示素子を製造する場合、上記工程(1−1)で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向能付与処理としては、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで塗膜を一定方向に擦るラビング処理、塗膜に対して偏光又は非偏光の放射線を照射する光配向処理などが挙げられる。一方、VA型液晶表示素子を製造する場合には、上記工程(1−1)で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対し配向能付与処理を施してもよい。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマーレーザーなどを使用することができる。好ましい波長領域の紫外線は、光源を、例えばフィルター、回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。放射線の照射量は、好ましくは100〜50,000J/m2であり、より好ましくは300〜20,000J/m2である。また、塗膜に対する光照射は、反応性を高めるために塗膜を加温しながら行ってもよい。加温の際の温度は、通常30〜250℃であり、好ましくは40〜200℃であり、より好ましくは50〜150℃である。
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより液晶セルを製造する。第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより液晶セルを製造する。いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、添加して使用してもよい。
[ポリイミドのイミド化率]
ポリイミドの溶液を純水に投入し、得られた沈殿を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温で1H−NMRを測定した。得られた1H−NMRスペクトルから、下記数式(1)によりイミド化率[%]を求めた。
イミド化率[%]=(1−A1/A2×α)×100 …(1)
(数式(1)中、A1は化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、A2はその他のプロトン由来のピーク面積であり、αは重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
[重合体溶液の溶液粘度]
重合体溶液の溶液粘度[mPa・s]は、所定の溶媒を用い、重合体濃度10重量%に調製した溶液について、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
[合成例1:ポリイミド(PI−1)の合成]
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物100モル部、ジアミンとしてp−フェニレンジアミン60モル部、及びコレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン20モル部を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸を20重量%含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は56mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液に、NMPを追加してポリアミック酸濃度7重量%の溶液とし、ピリジン及び無水酢酸を、使用したテトラカルボン酸二無水物の全体量に対してそれぞれ2.0倍モルずつ添加して、110℃で4時間、脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなNMPで溶媒置換(本操作によって脱水閉環反応に使用したピリジン及び無水酢酸を系外に除去した。以下同じ。)することにより、イミド化率約85%のポリイミド(PI−1)を26重量%含有する溶液を得た。次いで、反応溶液を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、ポリイミド(PI−1)を得た。
使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類及び量、並びにイミド化に際して使用するピリジン及び無水酢酸の量を下記表1のとおり変更した以外は合成例1と同様にしてポリイミド(PI−2),(PI−3)をそれぞれ合成した。得られた重合体のイミド化率の測定結果を下記表1に合わせて示した。
<テトラカルボン酸二無水物>
t−1:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
t−2:2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:4,6:8−二無水物
t−3:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
t−4:上記式(B−1−1)で表される化合物
<ジアミン>
d−1:p−フェニレンジアミン
d−2:コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン
d−3:3,5−ジアミノ安息香酸
d−4:上記式(E−1−4)で表される化合物
d−5:上記式(D−2−6)で表される化合物
d−6:下記式(d−6)で表される化合物
テトラカルボン酸二無水物として上記式(B−1−1)で表される化合物100モル部、ジアミンとして上記式(D−2−6)で表される化合物20モル部、及び上記式(d−6)で表される化合物80モル部を、NMP及びγ−ブチロラクトン(γBL)(NMP:γBL=10:90(重量比))の混合溶媒に溶解し、40℃で3時間反応を行い、ポリアミック酸(PA−1)を10重量%含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取して測定した溶液粘度は180mPa・sであった。次いで、このポリアミック酸溶液を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることによりポリアミック酸(PA−1)を得た。
(1)液晶配向剤の調製
重合体として上記合成例1で得たポリイミド(PI−1)に、溶剤としてNMP、ブチルセロソルブ(BC)及び2−ブトキシ−1−プロパノール(X)を加え、溶媒組成がNMP:BC:(X)=50:20:30(重量比)、固形分濃度6.5重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより液晶配向剤(S1)を調製した。
直径6インチのシリコンウェハを0.1重量%のポリジメチルシロキサン水溶液に30分間浸漬した後、エアーブローして100℃で30分乾燥させた。得られた基板の表面に、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷機(株)製、オングストローマー形式「S40L−532」)により液晶配向剤(S1)を塗布した。このとき基板表面に発生したハジキの個数により塗布性を評価した。ここでは、ハジキの個数が0〜1個であった場合に塗布性「優良(◎)」、ハジキの個数が2〜5個であった場合に塗布性「良好(〇)」、ハジキの個数が6〜10個であった場合に塗布性「可(△)」、ハジキの個数が11個以上であった場合に塗布性「不良(×)」と評価した。この実施例では、ハジキの個数が6個であり、塗布性「可」の評価であった。
上記で調製した液晶配向剤(S1)を、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板(厚さ1mm)の透明電極面上に、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)し、さらに200℃のホットプレート上で60分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚800Åの塗膜(液晶配向膜)を形成した。この操作を繰り返し、透明導電膜上に液晶配向膜を有するガラス基板を一対(2枚)得た。次に、上記一対の基板のうちの一方の基板につき、液晶配向膜を有する面の外縁に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。次いで、液晶注入口より一対の基板間にネマチック液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することによりVA型液晶セルを製造した。
上記で製造した液晶セルを用いて液晶表示素子の信頼性を評価した。評価は以下のようにして行った。まず、上記の液晶セルに、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率(VHR1)を測定した。次いで、液晶セルを、LEDランプ照射下の80℃オーブン中で200時間静置した後、室温中に静置して室温まで自然冷却した。冷却後、液晶セルに5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率(VHR2)を測定した。なお、測定装置は(株)東陽テクニカ製「VHR−1」を使用した。このときのVHRの変化率(ΔVHR)を下記数式(2)により算出し、ΔVHRによって信頼性を評価した。
ΔVHR[%]=(VHR1−VHR2)/(VHR1)×100 …(2)
評価は、ΔVHRが1%未満であった場合を信頼性「優良(◎)」、1%以上2%未満であった場合を信頼性「良好(○)」、2%以上3%未満であった場合を信頼性「可(△)」、3%以上であった場合を信頼性「不良(×)」とした。その結果、実施例1ではΔVHR=2.5[%]であり、信頼性「可」であった。
液晶配向剤の組成を下記表2に示すとおり変更した以外は実施例1と同様にして液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、調製した液晶配向剤をそれぞれ用いて、実施例1と同様にしてハジキ評価、VA型液晶セルの製造及び信頼性の評価を行った。それらの評価結果を下記表3に示した。
<溶剤>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BC:ブチルセロソルブ
NEP:N−エチル−2−ピロリドン
DPM:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
DEDG:ジエチレングリコールジエチルエーテル
PG:1−ブトキシ−2−プロパノール
(X):2−ブトキシ−1−プロパノール
(1)液晶配向剤の調製
液晶配向剤の組成を上記表2に示すとおり変更した以外は実施例1と同様にして液晶配向剤(S3)を調製した。
(2)ハジキ評価
液晶配向剤(S1)の代わりに液晶配向剤(S3)を用いた点、及び液晶配向剤の塗布方式を印刷方式からインクジェット方式に変更した点以外は実施例1と同様にしてハジキ評価を行った。なお、装置はインクジェット塗布装置(芝浦メカトロニクス(株)製)を用い、塗布条件は、ヘッド数64、ディスペンス量0.2g/ヘッド・秒にて二往復塗布(4回塗布)とした。その結果、この実施例ではハジキの個数が0個であり、「優良」の評価であった。
(3)VA型液晶セルの製造及び信頼性の評価
液晶配向剤(S1)の代わりに液晶配向剤(S3)を用いた点、及び液晶配向剤の塗布方式を印刷方式からインクジェット方式に変更した点以外は実施例1と同様にしてVA型液晶セルを製造するとともに、得られた液晶セルを用いて信頼性の評価を行った。その結果、この実施例では、ΔVHR=0.6[%]であり、信頼性は「優良」の評価であった(表3参照)。
(1)液晶配向剤の調製
液晶配向剤の組成を上記表2に示すとおり変更した以外は実施例1と同様にして液晶配向剤(S4)を調製した。
(2)ハジキ評価
液晶配向剤(S3)の代わりに液晶配向剤(S4)を用いた以外は実施例3と同様にしてハジキ評価を行った。その結果、この実施例ではハジキの個数が3個であり、「良好」の評価であった。
(3)光配向法を用いたIPS/FFS型液晶セルの製造
上記で調製した液晶配向剤(S4)を、インクジェット塗布装置(芝浦メカトロニクス(株)製)を用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布した。なお、塗布条件は「(2)ハジキ評価」と同じとした。次いで、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した。その後、Hg−Xeランプを用いて、254nmの輝線を含む偏光の紫外線を700mJ/cm2の照射量で基板法線から照射した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、液晶配向膜を付与した平均膜厚800Åの塗膜を形成した。また、上記の操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。
次に、上記一対の基板のうちの一方の基板につき、液晶配向膜を有する面の外縁に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、偏光紫外線の偏光面を基板へ投影した方向が平行になるように、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間にネマチック液晶(メルク社製、MLC−6221)を充填した後、アクリル系光硬化型接着剤で液晶注入口を封止することにより、IPS/FFS型液晶セルを製造した。
上記で製造したIPS/FFS型液晶セルを用い、上記実施例1と同様の方法により信頼性を評価したところ、ΔVHR=0.8[%]であり、信頼性は「優良」の評価であった。
Claims (5)
- ポリアミック酸及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、
前記溶剤は、2−ブトキシ−1−プロパノールを、全溶剤量に対して0.1〜50重量%含む、液晶配向剤。 - 前記重合体(A)として、窒素含有複素環、2級アミノ基及び3級アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の窒素含有構造を有する重合体を含む、請求項1に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体(A)として、カルボキシル基を有するジアミン化合物を含むジアミン成分を用いて得られる重合体を含む、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
- 請求項4に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
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