JP6408092B2 - 糞便微生物叢を含む組成物 - Google Patents
糞便微生物叢を含む組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6408092B2 JP6408092B2 JP2017163690A JP2017163690A JP6408092B2 JP 6408092 B2 JP6408092 B2 JP 6408092B2 JP 2017163690 A JP2017163690 A JP 2017163690A JP 2017163690 A JP2017163690 A JP 2017163690A JP 6408092 B2 JP6408092 B2 JP 6408092B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fmt
- case
- gvhd
- composition
- intestinal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K35/00—Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
- A61K35/66—Microorganisms or materials therefrom
- A61K35/74—Bacteria
- A61K35/741—Probiotics
- A61K35/742—Spore-forming bacteria, e.g. Bacillus coagulans, Bacillus subtilis, clostridium or Lactobacillus sporogenes
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K35/00—Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
- A61K35/12—Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells
- A61K35/37—Digestive system
- A61K35/38—Stomach; Intestine; Goblet cells; Oral mucosa; Saliva
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K9/00—Medicinal preparations characterised by special physical form
- A61K9/48—Preparations in capsules, e.g. of gelatin, of chocolate
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K9/00—Medicinal preparations characterised by special physical form
- A61K9/48—Preparations in capsules, e.g. of gelatin, of chocolate
- A61K9/4808—Preparations in capsules, e.g. of gelatin, of chocolate characterised by the form of the capsule or the structure of the filling; Capsules containing small tablets; Capsules with outer layer for immediate drug release
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K9/00—Medicinal preparations characterised by special physical form
- A61K9/48—Preparations in capsules, e.g. of gelatin, of chocolate
- A61K9/4841—Filling excipients; Inactive ingredients
- A61K9/4875—Compounds of unknown constitution, e.g. material from plants or animals
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P37/00—Drugs for immunological or allergic disorders
Description
腸内細菌やこれらの代謝物が、腸管の炎症抑制や免疫調整に重要な役割を果たしていることは広く知られているところであるが、近年、便微生物叢移植法(fecal microbiota transplantation: FMT)の可能性が示唆されている(Blood. 2014;124(7):1174-1182.(非特許文献2))。そして、FMTに関して、特表2013-537531号公報(特許文献1)、特表2016-501852号公報(特許文献2)に記載の発明が知られている。
しかしながら、移植片対宿主病(GVHD)とFMTとの関連性は明確ではない。
(1)糞便微生物叢を含む、移植片対宿主病の予防又は治療用組成物。
(2)糞便微生物叢が、糞便又はその処理物に含まれるものである(1)に記載の組成物。
(3)微生物が、ラクトバチルス属、バクテロイデス属、ビフィドバクテリウム属、フェカリバクテリウム属、ブラウチア属及びクロストリジウム属からなる群から選ばれるいずれかの属に属する微生物、又はこれらの組み合わせである、(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)移植片対宿主病が、腸管急性移植片対宿主病である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の組成物。
(5)移植片対宿主病が、ステロイド抵抗性又はステロイド依存性の移植片対宿主病である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の組成物。
(6)カプセルの形態である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の組成物。
(7)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の組成物を含む、移植片対宿主病の予防又は治療用カプセル製剤。
(9)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の組成物、又は(7)に記載のカプセル製剤を移植片対宿主病患者に投与することを特徴とする移植片対宿主病の治療方法。
(10)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の組成物、又は(7)に記載のカプセル製剤を造血幹細胞移植の前、後又はその両時期に、当該移植対象患者に投与することを特徴とする、移植片対宿主病の予防方法。
なお、本明細書中、略号の内容は以下の通りである。
FMT, fecal microbiota transplantation; mPSL, methylprednisolone; PSL, prednisolone; FK, tacrolimus; TAZ/PIPC, tazobactam/piperacillin; CFPM, cefepime; VCM, vancomycin; ST, sulfamethoxazole/trimethoprim; LVFX, levofloxacin; CAZ, ceftazidime; TEIC, teicoplanin; MEPM, meropenem; Fr, fraction; OTU, operational taxonomic unit;
凍結又は凍結乾燥の際には、各種糖(スクロース、フルクトース、ラクトース、マンニトール等)、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、トレハロース、グリシン、グルコース、デキストラン、エリスリトールなどの凍結保護剤及び/又は凍結乾燥保護剤を添加することもできる。
本発明の組成物には、いわゆる善玉菌として、例えばラクトバチルス属、バクテロイデス属、ビフィドバクテリウム属、又はファエカリバクテリウム属に属する微生物、又はこれらの微生物の組み合わせが含まれる。
従って、本発明の組成物を移植すると、上記微生物叢が、例えば大腸菌のほか、コリネバクテリウム属やストレプトコッカス属に属する微生物に対して優位性を占める。
さらに、本発明の組成物に、pH安定剤、酸性化剤、防腐剤、ビタミン、ミネラル、栄養サプリメント、プレバイオティクス及びプロバイオティクスから選ばれる少なくとも1つを含めることができる。
本発明においては、患者が別の疾患や感染症を併発することを避けるために、ドナーとなる糞便の選択が重要である。従って、糞便を採取するドナー、及び微生物叢を移植するレシピエントの種類(例えばヒト又は動物)に応じて、ドナーから採取した糞便について、例えばレトロウイルス(例えばヒト免疫不全ウイルス)、肝炎ウイルス(A、B及びC型肝炎ウイルス)、梅毒、サイトメガロウイルス、エプスタイン-バーウイルス及び寄生虫からなる群から選ばれる少なくとも1種の有無についてスクリーニングすることが好ましい。
本発明の組成物を使用する対象となる疾患は移植片対宿主病(GVHD)であり、造血幹細胞移植によるGVHDが挙げられる。GVHDとしては、腸管急性GVHDが挙げられるが、これに限定されるものではない。
1回の移植の移植量は、液体の場合は150ml〜300mlであり、1日1回行う。レシピエントの状態に応じ、繰り返し行う場合には、4日〜2週毎に計2回〜4回行う。
このようにして、本発明の組成物を、GVHD患者に移植(投与)することで、GVHDを予防又は治療することができる。また本発明の組成物を、造血幹細胞移植の前又は後に、あるいはその両時期に、当該移植対象患者に投与することにより、GVHDを予防することができる。
ここで、「治療」とはGVHDの発症を抑制することができる限り、抑制の程度は限定されるものではない。従って、「治療」には完全緩解(CR)及び部分緩解(PR)のいずれも含まれる。完全緩解(CR)とは、すべてのGVHD症状が改善されたことを意味し、部分緩解(PR)とは、stage1以上の改善が見られたことを意味する。本発明においては、ステロイド抵抗例でPR又はCRを到達した場合に、またステロイド依存例では治療前に比べ40%以上のステロイド減量に成功したときに有効(治療した)とした。
また、「予防」とは、GVHDの発症を事前に抑制すること、既に発生しているGVHDの状態がそれよりも悪化するのを防ぐことのいずれをも意味する。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
FMTの対象者
ステロイド抵抗性(3例)、又は依存性(1例)の腸管急性GVHD症例4例に対してFMTを実施した(表1)。急性GVHDは腸管以外にも皮膚や肝臓が標的臓器となるが、腸内細菌の基礎研究の多くが腸管局所の免疫についての評価である点や、他臓器と比較して腸管急性GVHDは致死的なGVHDの多くに関与するとされている点から、今回は腸管のみを対象とした。ステロイド抵抗性とは、十分量(プレドにゾロンで患者体重あたり1mg以上)のステロイド治療にもかかわらず、治療開始5日目以降で不変の症例とし、ステロイド依存例とはステロイド治療に一旦は反応するものの、減量に伴い増悪し再増量をせざるを得ない症例(減量困難例)とした。
追加症例のうち、Case 10, 11の対象基準は上記と同じであるが、Case 5-9では、上記に加え、ステロイド治療開始後3日目の腸管急性GVHD増悪例も対象としている。Case12は、難治例であり、ステロイド増量、ステロイドパルス療法、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)のいずれにも無効であった例である。
1) ステロイド治療に反応するGVHD
2) ステロイドによる一次治療後に増悪するGVHD(この場合罹患臓器を問わない)
3) コントロール不可能な感染症を有する症例
4) 下痢がGVHD以外の原因によると考えられる場合
追加症例のうち、Cae 5-9及び12では、項目2)に関して、腸管急性GVHDの増悪は除外している。
患者の配偶者、又は2親等以内の親族からドナー候補と選択した
年齢は20-64歳までで、下記のような感染のリスクを有さないものから選択した。
1) 直近3ヶ月以内に新たに入れ墨をしたり、ピアスをあけていないこと
2) 直近3ヶ月以内に新たなパートナーとの***渉がないこと
3) 直近3ヶ月以内に輸血を受けていないこと
4) 直近3ヶ月以内に熱帯地域への渡航歴がないこと
5) 直近1ヶ月以内に抗生剤の使用歴がないこと
6) 悪性疾患や炎症性腸疾患の既往がないこと
7) 当日下痢などの消化器症状がないこと(FMT当日に確認)
FMT実施当日、ドナーから便を採取し、使用まで4℃、嫌気状態で保管した。
患者が胃十二指腸チューブを挿入するタイミングで便の調整を開始した。便の調整は、まず便の重さを測り、量に応じ滅菌生理食塩水200-300mLを加え、均一になるまでよく攪拌した。これを、一度金ふるいで濾し、大きな未消化物を除去した。その後、滅菌ガーゼで2回濾すことにより懸濁液を作成した。双方の準備が整い次第FMTを実施した。
懸濁液を50mLのシリンジに充填し、胃十二指腸チューブより便懸濁液を投与した。投与速度は50mLあたり30秒を超えない速度とした。すべての懸濁液を入れ終わったのち、生理食塩水50mLでチューブ内を洗浄し、チューブを抜去して終了した。
FMTに関連したgrade3以上の副作用が認められない場合、効果を見ながら4-14日の間に1会の追加投与を許可した。この場合、初回と同じドナーから採取することとした。便移植は、ドナーの便採取から12時間以内、可能な限り8時間以内に実施することとした。
安全性は、FMT後一週間以内に新たに発生、又はgrade1以上の悪化を認めたすべての副作用とし、副作用はNational Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTC-AE) version 4.0で評価した。
2)部分緩解(PR): stage1以上の改善
3)進行(PG): 進行性の悪化
4)変化なし(NC): 有意な改善なし
FMTは、ステロイド抵抗例でPR又はCRを到達した場合に、ステロイド依存例では治療前に比べ40%以上の減量に成功したときに有効と判断した。
ドナーの便、作成した便調整液、並びに患者の便(FMT前、各FMT後翌日、最終のFMTから1、2、4週間後)の一部を用い、腸内細菌叢の解析を実施した。
各サンプルから細菌のDNAを抽出した。これを16S rRNA遺伝子の可変領域、V1-V2をカバーするように設計したプライマーを用い、PCR(polymerase chain reaction)により増幅したのちシーケンスを実施した。得られた配列のクオリティチェックを行い、これにパスした配列データ3,000リードを解析に用いた。UCLUSTアルゴリズムを用い96%の相同性を閾値としてoperational taxonomic units (OTUs) clusteringを実施した。また、既存のデータベースと照合することにより菌種の同定を実施した。またα多様性評価に関してはShannon indexを用いた。
患者のFMT前、及び各FMT後からおよそ1週間後に末梢血を採取した。ここから単核球を分離し、flow cytometry法により免疫動態を評価した。評価に用いた抗体は以下の通りである。
Alexa Fluor 700 (AF700)-conjugated anti-CD3 (UCHT1) mAb、V500-conjugated anti-CD4 (RPA-T8) mAb (以上BD Biosciencesより購入)、eFluor780 fixable viability dye (以上Affymetrix eBioscienceより購入)、peridinin-chlorophyll-protein complex-cyanine 5.5 (PerCP-Cy5.5)-conjugated anti-CD194 (CCR4) mAb、Fluorescein isothiocyanate (FITC)-conjugated anti-CD127(IL-7Rα) (A019D5) mAb、Allophycocyanin (APC)-conjugated anti-CD152 (CTLA-4) (L3D10) mAb、Brilliant Violet (BV) 605-conjugated anti-CD197 (CCR7) mAb、BV711-conjugated anti-CD45RA (HI100) mAb、BV785-conjugated anti-CD8 (RPA-T8) mAb、BV421-conjugated anti-CD279 (PD-1) (EH12.2H7) mAb、PE-Cy7-conjugated ant-CD152 (CTLA-4) (L3D10) mAb、PE/Dazzle 594 anti-CD25 (M-A251) mAb (以上BioLegendより購入)。
細胞を染色後、洗浄しLSR Fortessa (BD Biosciences) を用いて検査を実施、FlowJo version 10.0.8 software (FlowJo, Ashland, OR)を用いて解析を行った。
対象となった4例はすべて急性骨髄性白血病(AML)の症例であった(表 1)。Case 3は晩期発症の腸管急性GVHDと診断された。初回のFMTは移植後92日目(day92)で実施されており、全例でFMT実施時にメチルプレドニゾロン換算で1mg/kg以上のステロイドが投与されていた。また、何らかの感染症を合併していた(表1)。
以上のことから、FMTは移植直後の免疫が重度に低下した症例でも比較的安全に投与できると考えられた。
同様の結果はCD4+FoxP3+T cell全体に関しても認められた(図4)。この事は、FMTが全身の免疫動向にも影響を与えている可能性を示唆するものである。実際これまでの報告には、腸内細菌と急性GVHD自体との関連性を示すものもあり、本実施例の結果は、当該報告を裏付けるものと考えられた。また、このような事実はFMTが他臓器の(皮膚・肝の)GVHDに対しても有効である事を示唆する結果であった。
[結論]
FMTは移植直後の患者においても実施可能であった。またこれはGVHDの新たな治療・予防戦略の一つとなりうると考えられた。
本実施例では、実施例1と同様にして、追加症例の経過及び最近叢解析を行った。
(1)新たに追加となった症例の経過と細菌叢解析の追加データ(図5-8)
Case5: 62歳、女性。急性骨髄性白血病(AML)に対して、臍帯血移植実施後のstage1の腸管急性GVHDに対して、FMTを2回実施した(図5)。2回目のFMT実施後2-3日で便は一旦正常化したが、同時期から***を合併。これを機に再び腸管急性GVHDが悪化した。そのため、骨髄間葉系幹細胞(MSC)による治療を追加したが、改善を認めなかった。FMT前の便はStaphylococcusがほとんどを占めていた。FMTを実施後、細菌組成は大きく変わり、便組成はドナーのそれに近づいた。BacteroidesやParabacteroides、BlautiaやClostridiumなどが増えてきたが、再燃後は再びFMT前の状態に戻っている。Unifrac解析の結果からも、この動向は確認されている(図8)。
これらUnifrac解析の結果や多様性の変化については、効果を認めたすべての症例に関して認められるわけではないが、ドナー組成に近づいたり、多様性が改善するという変化、即ち腸内細菌が改善するということが、FMT後多くの症例に認められている。このことは腸内細菌の改善が治療に寄与していることを示唆するものである。Case1では、FMT後はUnifrac解析ではドナー組成からむしろ離れているが、多様性は最終的に改善しており(Shannon index: 1.2→2.4)、炎症のトリガーとなるようなdysbiosisが改善していることを示唆している。
FMTを実施した更なる症例の経過を図10及び11に示す。治療後再燃した症例もあるが、ほとんどの症例でFMT実施後は下痢が改善するなどの効果を認めている。Case7は評価日(最終のFMTから28日目)には不変の判定であったが、その後35日目にはCRを達成している。このことから、FMTはやはり腸管急性GVHDに対して一定の効果があると考えられる。
実施例1に記載の4例、並びに上記(1)で示した症例も含めた症例のまとめを表3に示した。
本実施例では、腸管のみを対象としているが、Case10とCase12においては、肝臓についても検討した。その結果、肝臓のGVHDが疑われたが、FMTに伴い改善した。
Case10では、ドナーリンパ球輸注後の腸管GVHDに対してFMTを実施した。FMT実施前後から総ビリルビン(T.Bil)の上昇傾向を認め、2回目のFMTの直前に2.6 mg/dLまで上昇したが、その後正常値まで低下した(図12A)。
Case12は、難治性のGVHDに対して実施した症例で、ステロイドパルス療法や抗胸腺細胞グロブリン(ATG)を実施しても明らかな効果を認めず、FMTを実施した症例である。下痢はFMT後から改善したが、T.Bilはステロイドパルス療法後に一旦改善したものの、その後上昇傾向となり、最大で12.9 mg/dLまで上昇した。しかしながら、それをピークに徐々に低下傾向となり、最終的にT.Bilは7.3 mg/dLまで低下した(図13)。
本発明者は、これまで実施した経十二指腸的投与以外にも、カプセルを用いたFMTを実施している。Case10及び11がそれに該当するが、カプセルを用いた方法でも十分に効果を認めた(図12)。
カプセルの作製方法及び実施方法は、既報の方法1,2をもとに検討を行い、下記の通りとした。
1) 実施例1と同様に便懸濁液を作製し、これを50mLずつチューブに分けた。
2) 6,000g 15分間で遠沈した。遠心後は、2層のペレットが認められる。下の層は夾雑物を主に含む不溶性のペレットであるが、上層は菌叢主体のペレットであり(一部を取り、グラム染色で確認している)、生理食塩水などで容易に懸濁可能である。上層を回収し、グリセオールを含む生理食塩水で懸濁して細菌の溶液を作製した。グリセオールの最終濃度は10-20%に調整した。
3) 上記2)で作製した溶液を、450μLずつ、#1の耐酸性カプセル(DRcaps(登録商標): Capsgel)に充填して、一個ずつcryotubeに入れたのち、液体窒素内に投入し、急速冷凍した。作製したカプセルは使用するまで-80℃の超低温フリーザーで保管した。
4) 内服の際には、上記のカプセルを、#0のカプセルでさらに包み、二重カプセルとした後に、-20℃の冷凍庫にて保管した。-20℃で1時間程度経過後、内服を行った。
カプセルのFMTが同様に有効であるということは、細菌そのものがGVHD改善に寄与していることを示すものである。
1. Hirsch BE, Saraiya N, Poeth K, Schwartz RM, Epstein ME, Honig G. Effectiveness of fecal-derived microbiota transfer using orally administered capsules for recurrent Clostridium difficile infection. BMC Infect Dis. 2015;15(1):191.
2. Youngster I, Russell GH, Pindar C, Ziv-Baran T, Sauk J, Hohmann EL. Oral, capsulized, frozen fecal microbiota transplantation for relapsing Clostridium difficile infection. JAMA. 2014;312(17):1772-1778.
Claims (5)
- ラクトバチルス属に属する微生物、バクテロイデス属に属する微生物及びビフィトバクテリウム属に属する微生物の組み合わせを含む糞便微生物叢を含む、腸管急性移植片対宿主病の予防又は治療用組成物。
- ラクトバチルス属に属する微生物、バクテロイデス属に属する微生物、ビフィドバクテリウム属に属する微生物及びファエカリバクテリウム属に属する微生物の組み合わせを含む糞便微生物叢を含む、腸管急性移植片対宿主病の予防又は治療用組成物。
- 腸管急性移植片対宿主病が、ステロイド抵抗性又はステロイド依存性の腸管急性移植片対宿主病である、請求項1又は2に記載の組成物。
- 糞便若しくはその処理物、又はカプセルの形態である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物を含む、腸管急性移植片対宿主病の予防又は治療用カプセル製剤。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016166656 | 2016-08-29 | ||
JP2016166656 | 2016-08-29 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018035153A JP2018035153A (ja) | 2018-03-08 |
JP2018035153A5 JP2018035153A5 (ja) | 2018-05-17 |
JP6408092B2 true JP6408092B2 (ja) | 2018-10-17 |
Family
ID=61565352
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017163690A Active JP6408092B2 (ja) | 2016-08-29 | 2017-08-28 | 糞便微生物叢を含む組成物 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (2) | US20180185421A1 (ja) |
JP (1) | JP6408092B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR3062063B1 (fr) * | 2017-01-26 | 2019-04-19 | Centre National De La Recherche Scientifique | Microbiote fecal pour traiter des patients subissant une greffe de cellules souches hematopoietiques |
WO2019238969A1 (en) * | 2018-06-14 | 2019-12-19 | 4D Pharma Research Ltd | Compositions comprising bacterial strains |
MX2018010105A (es) * | 2018-08-21 | 2020-02-24 | Centro De Investig Y Asistencia En Tecnologia Y Diseno Del Estado De Jalisco A C | Sistema de estabilización de microbiota intestinal humana. |
CN115461064A (zh) * | 2019-11-26 | 2022-12-09 | 东京都 | 针对移植物抗宿主病的预防或治疗用组合物 |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1364586A1 (en) * | 2002-05-24 | 2003-11-26 | Nestec S.A. | Probiotics and oral tolerance |
WO2005032589A1 (ja) * | 2003-10-02 | 2005-04-14 | Japan Science And Technology Agency | Gvhdの予防及び治療 |
WO2011151941A1 (ja) * | 2010-06-04 | 2011-12-08 | 国立大学法人東京大学 | 制御性t細胞の増殖または集積を誘導する作用を有する組成物 |
EP2785828B1 (en) * | 2011-12-01 | 2020-04-08 | The University of Tokyo | Human-derived bacteria that induce proliferation or accumulation of regulatory t cells |
US20150297642A1 (en) * | 2012-11-26 | 2015-10-22 | Thomas Julius Borody | Compositions for the restoration of a fecal microbiota and methods for making and using them |
US9907755B2 (en) * | 2013-03-14 | 2018-03-06 | Therabiome, Llc | Targeted gastrointestinal tract delivery of probiotic organisms and/or therapeutic agents |
JP2016519664A (ja) * | 2013-03-15 | 2016-07-07 | セレス セラピューティクス インコーポレイテッド | ネットワークを基にした微生物組成物及び方法 |
KR20230170797A (ko) * | 2013-10-25 | 2023-12-19 | 파마싸이클릭스 엘엘씨 | 이식편 대 숙주 질환의 치료 및 예방 방법 |
RU2016119489A (ru) * | 2013-11-04 | 2017-12-11 | Изопоген Пти Лтд | Способ культивирования клеток |
MA41020A (fr) * | 2014-11-25 | 2017-10-03 | Evelo Biosciences Inc | Compositions probiotiques et prébiotiques, et leurs procédés d'utilisation pour la modulation du microbiome |
CN107249609A (zh) * | 2014-11-25 | 2017-10-13 | 纪念斯隆-凯特琳癌症中心 | 肠道微生物群和gvhd |
-
2017
- 2017-08-28 JP JP2017163690A patent/JP6408092B2/ja active Active
- 2017-08-28 US US15/688,465 patent/US20180185421A1/en not_active Abandoned
-
2019
- 2019-10-14 US US16/601,192 patent/US20200038459A1/en not_active Abandoned
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018035153A (ja) | 2018-03-08 |
US20180185421A1 (en) | 2018-07-05 |
US20200038459A1 (en) | 2020-02-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6408092B2 (ja) | 糞便微生物叢を含む組成物 | |
Jagannath et al. | Low-risk intensive therapy for multiple myeloma with combined autologous bone marrow and blood stem cell support | |
Frickhofen et al. | Immunosuppressive treatment of aplastic anemia with antithymocyte globulin and cyclosporine | |
Scandling et al. | Macrochimerism and clinical transplant tolerance | |
US11041144B2 (en) | Cell culture method | |
JP2002514193A (ja) | 同種幹細胞移植のためのコンディショニング | |
Morath et al. | Phase I trial of donor-derived modified immune cell infusion in kidney transplantation | |
KR20210033984A (ko) | 치료-유발된 염증 감소에 사용하기 위한 분변 미생물총 조성물 | |
Fujii et al. | The rapid efficacy of abatacept in a patient with rheumatoid vasculitis | |
WO2006109300A1 (en) | Pre-transplantation treatment of donor cells to control graft versus host disease (gvhd) in transplant recipients | |
ES2365463T3 (es) | Fotoféresis extracorpórea en combinación con tratamiento anti-tnf. | |
JPH01503540A (ja) | ヒトにおける器官移植片拒否反応の予防又は処置を目的とする活性剤又はそれを含有する薬剤 | |
Luo et al. | Allogeneic hematopoietic stem cell transplantation following donor CIK cell infusion: A phase I study in patients with relapsed/refractory hematologic malignancies | |
WO2021106952A1 (ja) | 移植片対宿主病に対する予防又は治療用組成物 | |
EP2758054B1 (en) | Beta-lactam compounds for treating diabetes | |
EP3608414A1 (en) | Viral vector for treating autoimmune disease and diabetes and construction method and application thereof | |
Holbro et al. | Cardiac tamponade potentially related to sirolimus following cord blood transplantation | |
CN116855418B (zh) | 一种具有预防和/或治疗炎症性肠病作用的产气柯林斯菌及其应用 | |
Antin | Approaches to graft‐vs‐host disease | |
WO2022161484A1 (en) | Methods of treating chronic active antibody-mediated rejection using btk inhibitors | |
US20230043598A1 (en) | Capsule comprising a faecal composition | |
GULATI et al. | SAT-339 Low Dose Induction Immunotherapy with Anti Human T-lymphocyte Immunoglobulin (Grafalon) in High Risk Renal transplantation–A Real-world, Single Centre Experience from India | |
KR20220035037A (ko) | 이식에서 특정 면역억제를 위한 mic 요법 | |
US20100129329A1 (en) | METHODS FOR USING ALDHbr CELLS TO SUPPLEMENT STEM CELL TRANSPLANTATION | |
Sharma et al. | Preemptive Intervention Strategy Prevents Polyoma Virus Induced End-Organ Disease in Treatment-Naïve Renal Transplant Patients.: Abstract# B1035 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180327 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180327 |
|
A871 | Explanation of circumstances concerning accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871 Effective date: 20180327 |
|
A975 | Report on accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005 Effective date: 20180419 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180508 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180702 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180724 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180831 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180911 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180919 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6408092 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |