以下、図面を参照して、実施形態に係る回転電機について詳細に説明する。なお、全図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る回転電機を示す断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る回転電機1は、ハウジング2内に設けられたシャフト3を高速で回転させるための装置である。回転電機1は、ハウジング2内に設けられたシャフト3を軸周り方向に回転させるモータ部4と、シャフト3を軸周り方向に回転自在に支持するスピンドル部5と、を備える。モータ部4とスピンドル部5とは、シャフト3の軸方向に配列されている。
シャフト3は、円形断面に形成された長尺の棒状部材であり、中心軸線周りに回転する部材である。シャフト3は、モータ部4を構成するモータ軸部31と、スピンドル部5を構成するスピンドル軸部32と、スピンドル軸部32からモータ軸部31の反対側に延びて図示しない冶具等に接続される出力軸部33と、を有する。なお、シャフト3の軸線方向において、出力軸部33側を負荷側、出力軸部33の反対側を反負荷側という。
モータ部4は、ハウジング2側に固定されるステータ41と、モータ軸部31側に固定されるロータ42と、ハウジング2に対してモータ軸部31を回転自在に支持する第一軸受43と、を備える。
第一軸受43は、モータ軸部31の反負荷側の先端部を、ハウジング2に対して回転自在に支持している。そして、モータ部4では、ステータ41に電力が供給されると、ロータ42に回転力が発生して、ハウジング2に対してモータ軸部31が軸周り方向に回転する。
モータ軸部31の反負荷側の端部近傍には、シャフト3の回転数を検出するセンサ6が取り付けられている。センサ6は、ハウジング2に取り付けられたカバー7により覆われている。
スピンドル部5は、第二軸受51と、第三軸受52と、間座53と、外輪側予圧ナット54と、内輪側予圧ナット55と、を備える。第二軸受51、第三軸受52及び間座53は、一組の軸受56を構成する。
第二軸受51は、ハウジング2に対して、スピンドル軸部32の負荷側の端部を回転自在に支持する。第二軸受51は、外輪51Aと、内輪51Bと、玉51Cと、を有する。外輪51Aは、ハウジング2の内周面側に配置されている。内輪51Bは、モータ軸部31側に配置されている。玉51Cは、外輪51Aと内輪51Bの間に挿入されている。
第三軸受52は、ハウジング2に対して、スピンドル軸部32の反負荷側の端部を回転自在に支持する。第三軸受52は、外輪52Aと、内輪52Bと、玉52Cと、を有する。外輪52Aは、ハウジング2の内周面側に配置されている。内輪52Bは、モータ軸部31側に配置されている。玉52Cは、外輪52Aと内輪52Bの間に挿入されている。
間座53は、外輪側間座53Aと、内輪側間座53Bと、を有する。外輪側間座53A及び内輪側間座53Bは、予め寸法調整されている。そして、外輪側間座53Aは、外輪51Aと外輪52Aとの間に配置されて、外輪51Aと外輪52Aとを離間した状態に保持する。内輪側間座53Bは、内輪51Bと内輪52Bとの間に配置されて、内輪51Bと内輪52Bとを離間した状態に保持する。
外輪側予圧ナット54は、軸受56に所定の予圧がかかるように軸受56を規定の位置に固定するための部材である。外輪側予圧ナット54は、ハウジング2の内周面に負荷側からねじ込まれて、既定の位置に固定される。これにより、外輪51Aの負荷側の位置が固定される。
内輪側予圧ナット55は、軸受56に所定の予圧がかかるように軸受56を規定の位置に固定するための部材である。内輪側予圧ナット55は、スピンドル軸部32の負荷側の端部に負荷側からねじ込まれて、既定の位置に固定される。これにより、内輪51Bの負荷側の位置が固定される。
ハウジング2は、主にモータ部4を構成するモータハウジング部21と、主にスピンドル部5を構成するスピンドルハウジング部22と、を有する。なお、図面では、スピンドルハウジングはスピンドル部5とモータ部4の一部とを構成している。モータハウジング部21とスピンドルハウジング部22とは、分離可能に連結されている。スピンドルハウジング部22には、外輪52Aを反負荷側から支持する外輪支持部23が形成されている。外輪支持部23は、予圧ナットとして機能する。つまり、外輪支持部23は、スピンドル部5の反負荷側の端部において、スピンドルハウジング部22の内周面からスピンドル軸部32の半径方向内側に延びている。そして、外輪支持部23が反負荷側から外輪52Aに当接されることで、外輪52Aの反負荷側の位置が固定される。なお、スピンドルハウジング部22内のスピンドル軸部32が挿入される空間の径は、出力軸部33の外径及びロータ42を取り付けた状態のモータ軸部31の外径よりも小さい。
図2は、シャフトの分解図である。図1及び図2に示すように、シャフト3は、第一シャフト部3Aと、第二シャフト部3Bと、を有する。第一シャフト部3Aと第二シャフト部3Bとは、シャフト3の軸線方向において分離可能に連結されている。つまり、第一シャフト部3Aと第二シャフト部3Bとは、独立した別部材である。そして、第一シャフト部3Aと第二シャフト部3Bとが連結されることで、一本のシャフト3が構成される。
第一シャフト部3Aは、シャフト3のうち、モータ軸部31とスピンドル軸部32とを含む。第二シャフト部3Bは、シャフト3のうち、出力軸部33を含む。つまり、シャフト3は、スピンドル軸部32と出力軸部33との間で、分離可能に連結されている。
第一シャフト部3Aの負荷側の先端部には、連結凸部35と、ボルトBがねじ込まれるボルト穴36と、が形成されている。連結凸部35は、第一シャフト部3Aの中心軸線を中心とした先細りのテーパ状に形成されている。ボルト穴36は、第一シャフト部3Aの半径方向中央部に形成されている。第二シャフト部3Bの反負荷側の先端部には、連結凸部35が挿入される連結凹部37と、ボルトBが挿入される貫通孔38と、が形成されている。連結凹部37は、第一シャフト部3Aの中心軸線を中心とした逆テーパ状に形成されている。このため、連結凸部35を連結凹部37に挿入することで、連結凸部35と連結凹部37とのテーパ嵌合により、第一シャフト部3Aと第二シャフト部3Bとが調芯される。また、ボルトBを貫通孔38に挿入してボルト穴36にねじ込むことで、第一シャフト部3Aと第二シャフト部3Bとが連結されて一体化される。
スピンドル軸部32には、第二軸受51の内輪51Bを反負荷側から支持する内輪支持部34が形成されている。内輪支持部34は、予圧ナットとして機能する。つまり、内輪支持部34は、スピンドル部5の反負荷側の端部において、スピンドル軸部32の外周面からスピンドル軸部32の半径方向外側に延びている。そして、内輪支持部34が反負荷側から内輪52Bに当接されることで、内輪52Bの反負荷側の位置が固定される。
出力軸部33は、ハウジング2から突出している。出力軸部33は、図示しない冶具等の接続を可能とするため、大径化されている。出力軸部33は、スピンドルハウジング部22内のスピンドル軸部32が挿入される空間の径よりも、大きな径を有する。つまり、出力軸部33の外径は、少なくともスピンドル部5においてスピンドルハウジング部22内を通すことができない寸法となっている。
次に、図3〜図5も参照して、回転電機1の組み付け方法について説明する。図3〜図5は、回転電機の組み付け方法を説明するための図である。
まず、図3に示すように、第一シャフト部3Aのモータ軸部31にロータ42を固定する(ロータ固定工程)。そして、このロータ固定工程において、ロータ42の取り付け位置等を調整することで、モータ軸部31のバランス調整を行う。なお、バランス調整は、バランス取りともいい、例えば、回転バランスの測定を行い、この測定結果に基づいて回転バランスが所定の範囲となるように、各部材の配置等を調整することをいう。
ロータ固定工程が終了すると、次に、図4に示すように、スピンドル部5を組み付ける(スピンドル部組み付け工程)。スピンドル部組み付け工程では、まず、スピンドルハウジング部22に、第二軸受51、第三軸受52及び間座53を取り付ける。次に、ロータ42が固定された第一シャフト部3Aを、反負荷側からスピンドルハウジング部22内に挿入する。そして、スピンドル軸部32を、内輪51B、内輪側間座53B及び内輪52Bの内側に挿入する。次に、外輪側予圧ナット54を、スピンドルハウジング部22の内周面にねじ込んで既定の位置に固定する。次に、内輪側予圧ナット55を、スピンドル軸部32の外周面にねじ込んで既定の位置に固定する。これにより、軸受56が規定の位置に固定されて、軸受56全体に所定の予圧がかかる。そして、このスピンドル部組み付け工程において、第二軸受51、第三軸受52及び間座53の取り付け位置、内輪側予圧ナット55及び外輪側予圧ナット54のねじ込み量等を調整することで、スピンドル軸部32のバランス調整を行う。以上により、スピンドル部組み付け工程が終了する。
スピンドル部組み付け工程が終了すると、次に、図5に示すように、モータ部4を組み付ける(モータ部組み付け工程)。モータ部組み付け工程では、まず、モータハウジング部21の内周面にステータ41を固定し、モータ軸部31に第一軸受43を取り付ける。なお、モータハウジング部21に対するステータ41の取り付けは、モータ部組み付け工程よりも前の工程において行っていてもよい。次に、第一シャフト部3Aを、負荷側からモータハウジング部21内に挿入する。そして、モータ軸部31をステータ41の内側に挿入する。次に、モータハウジング部21とスピンドルハウジング部22とを連結する。以上により、モータ部組み付け工程が終了する。
モータ部組み付け工程が終了すると、次に、第一シャフト部3Aと第二シャフト部3Bとを連結する(シャフト連結工程)。シャフト連結工程では、まず、連結凹部37に連結凸部35を挿入する。これにより、第一シャフト部3Aと第二シャフト部3Bとが調芯される。次に、ボルトBを、貫通孔38に通して、ボルト穴36にねじ込む。以上により、シャフト連結工程が終了する。
シャフト連結工程が終了すると、次に、図1に示すように、モータ軸部31の反負荷側の端部近傍に、センサ6を取り付ける(センサ取り付け工程)。そして、カバー7をハウジング2に取り付けて、センサ6をカバー7で覆う。以上により、センサ取り付け工程が終了する。
ここで、シャフトが一本の部材で構成されている比較例について説明する。
図18は、比較例の回転電機を示す断面図である。図18に示すように、比較例の回転電機301では、本実施形態に係る回転電機1と同様に、スピンドルハウジング部322内のスピンドル軸部332が挿入される空間の径は、出力軸部333の外径及びロータ42を取り付けた状態のモータ軸部331の外径よりも小さい。しかしながら、比較例の回転電機301は、本実施形態に係る回転電機1と異なり、シャフト303が一本の部材で構成されている。このため、比較例の回転電機301では、反負荷側からシャフト303をスピンドルハウジング部322内に挿入することができない。また、モータ軸部331にロータ42を取り付けた状態では、負荷側からシャフト303をスピンドルハウジング部322内に挿入することができない。
そこで、比較例の回転電機301を組み付ける際は、まず、図19に示すように、シャフト303を、負荷側からスピンドルハウジング部322内に挿入して、スピンドル部305を組み付ける(スピンドル組み付け工程)。次に、図20に示すように、スピンドル組み付け工程を経たのちに、シャフト303のモータ軸部331にロータ42を固定する(ロータ固定工程)。次に、図21に示すように、シャフト303を、負荷側からモータハウジング部321内に挿入して、モータ部304を組み付ける(モータ部組み付け工程)。
このように、比較例の回転電機301では、モータハウジング部321及びスピンドルハウジング部322に対するシャフト303の挿入方向が限定される。そして、スピンドル部305が組み付けられた状態で、モータ軸部331のバランス調整を行わなければならない。このため、比較例の回転電機301では、シャフト303のバランス調整を高精度に行えない可能性がある。
これに対し、本実施形態に係る回転電機1では、シャフト3が、軸線方向において第一シャフト部3A及び第二シャフト部3Bが分離可能に連結されて成る。このため、比較例の回転電機301のようにシャフト303が一本の部材で構成されている場合に比べて、ハウジング2に対するシャフト3の挿入方向の制限が少なくなる。これにより、シャフト3のバランス調整を行う際にシャフト3に組み付けられる部材を少なくすることができる。また、シャフト3を分離した状態で、シャフト3の各部位のバランス調整を行うことができる。その結果、シャフト3のバランス精度の向上を図ることができる。
具体的には、シャフト3が、第一シャフト部3Aと第二シャフト部3Bとの二部材を有するとともに、スピンドル軸部32と出力軸部33との間で分離可能に連結されている。このため、反負荷側からスピンドルハウジング部22にスピンドル軸部32を挿入することができる。このため、モータ軸部31にロータ42を固定した後に、スピンドル部5を組み付けることができる。これにより、スピンドル軸部32にスピンドル部5を組み付ける前に、モータ軸部31のバランス調整をすることができる。しかも、大径化する傾向にある出力軸部33を分離させた状態で、モータ軸部31及びスピンドル軸部32のバランス調整をすることができる。その結果、シャフト3のバランス精度の向上を更に図ることができる。
また、回転電機1では、第一シャフト部3Aと第二シャフト部3Bとがテーパ嵌合により連結されている。このため、別部材である第一シャフト部3Aと第二シャフト部3Bとの連結により、第一シャフト部3Aと第二シャフト部3Bとを調芯することができる。なお、第一シャフト部3Aと第二シャフト部3Bとを調芯するとは、第一シャフト部3Aと第二シャフト部3Bとの中心軸を合わせることをいう。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、基本的に第1の実施形態と同様であるが、シャフトの分割位置が第1の実施形態と相違する。このため、以下の説明では、第1の実施形態と相違する事項のみを説明し、第1の実施形態と同様の説明を省略する。
図6は、第2の実施形態に係る回転電機を示す断面図である。図6に示すように、本実施形態に係る回転電機101は、ハウジング102内に設けられたシャフト103を高速で回転させるための装置である。回転電機101は、ハウジング102内に設けられたシャフト103を軸周り方向に回転させるモータ部104と、シャフト103を軸周り方向に回転自在に支持するスピンドル部105と、センサ6と、カバー7と、を備える。モータ部104とスピンドル部105とは、シャフト103の軸方向に配列されている。
シャフト103は、円形断面に形成された長尺の棒状部材であり、中心軸線周りに回転する部材である。シャフト103は、モータ部104を構成するモータ軸部131と、スピンドル部105を構成するスピンドル軸部132と、スピンドル軸部132からモータ軸部131の反対側(負荷側)に延びて図示しない冶具等に接続される出力軸部133と、を有する。
モータ部104は、ステータ41と、ロータ42と、第一軸受43と、を備える。
スピンドル部105は、第二軸受51と、第三軸受52と、間座53と、外輪側予圧ナット154と、内輪側予圧ナット155と、を備える。第二軸受51、第三軸受52及び間座53は、一組の軸受56を構成する。
外輪側予圧ナット154は、軸受56に所定の予圧がかかるように軸受56を規定の位置に固定するための部材である。外輪側予圧ナット154は、ハウジング2の内周面に負荷側からねじ込まれて、既定の位置に固定される。これにより、外輪51Aの負荷側の位置が固定される。
内輪側予圧ナット155は、軸受56に所定の予圧がかかるように軸受56を規定の位置に固定するための部材である。内輪側予圧ナット155は、スピンドル軸部132の反負荷側の端部に反負荷側からねじ込こまれて、既定の位置に固定される。これにより、内輪52Bの反負荷側の位置が固定される。
ハウジング102は、モータ部104を構成するモータハウジング部121と、スピンドル部105を構成するスピンドルハウジング部122と、を有する。モータハウジング部121とスピンドルハウジング部122とは、分離可能に連結されている。スピンドルハウジング部122には、外輪52Aを反負荷側から支持する外輪支持部123が形成されている。外輪支持部123は、予圧ナットとして機能する。つまり、外輪支持部123は、スピンドル部105の反負荷側の端部において、スピンドルハウジング部122の内周面からスピンドル軸部132の半径方向内側に延びている。そして、外輪支持部123が反負荷側から外輪52Aに当接されることで、外輪52Aの反負荷側の位置が固定される。なお、スピンドルハウジング部122内のスピンドル軸部132が挿入される空間の径は、出力軸部133の外径及びロータ42を取り付けた状態のモータ軸部131の外径よりも小さい。
図7は、シャフトの分解図である。図6及び図7に示すように、シャフト103は、第一シャフト部103Aと、第二シャフト部103Bと、を有する。第一シャフト部103Aと第二シャフト部103Bとは、シャフト103の軸線方向において分離可能に連結されている。つまり、第一シャフト部103Aと第二シャフト部103Bとは、独立した別部材である。そして、第一シャフト部103Aと第二シャフト部103Bとが連結されることで、一本のシャフト103が構成される。
第一シャフト部103Aは、シャフト103のうち、モータ軸部131を含む。第二シャフト部103Bは、シャフト103のうち、スピンドル軸部132と出力軸部133とを含む。つまり、シャフト103は、モータ軸部131とスピンドル軸部132との間で、分離可能に連結されている。第一シャフト部103Aの負荷側の先端部には、第1の実施形態の連結凸部35及びボルト穴36と同様の連結凸部135及びボルト穴136が形成されている。第二シャフト部103Bの反負荷側の先端部には、第1の実施形態の連結凹部37及び貫通孔38と同様の連結凹部137及び貫通孔138が形成されている。
スピンドル軸部132には、内輪52Bを負荷側から支持する内輪支持部134が形成されている。内輪支持部134は、予圧ナットとして機能する。つまり、内輪支持部134は、スピンドル部105の負荷側の端部において、スピンドル軸部132の外周面からスピンドル軸部132の半径方向外側に延びている。そして、内輪支持部134が負荷側から内輪51Bに当接されることで、内輪51Bの負荷側の位置が固定される。
出力軸部133は、ハウジング102から突出している。出力軸部133は、図示しない冶具等の接続を可能とするため、大径化されている。出力軸部133は、スピンドルハウジング部122内のスピンドル軸部132が挿入される空間の径よりも、大きな径を有する。つまり、出力軸部133の外径は、少なくともスピンドル部105においてスピンドルハウジング部122内を通すことができない寸法となっている。
次に、図8〜図11も参照して、回転電機1の組み付け方法について説明する。図8〜図11は、回転電機の組み付け方法を説明するための図である。
まず、図8に示すように、第一シャフト部103Aのモータ軸部131にロータ42を固定する(ロータ固定工程)。そして、このロータ固定工程において、ロータ42の取り付け位置等を調整することで、モータ軸部131のバランス調整を行う。
また、ロータ固定工程とは別に、図9に示すように、スピンドル部105を組み付ける(スピンドル部組み付け工程)。なお、ロータ固定工程とスピンドル部組付け工程は、何れを先に行ってもよく、同時に行ってもよい。スピンドル部組み付け工程では、まず、スピンドルハウジング部122に、第二軸受51、第三軸受52及び間座53を取り付ける。次に、外輪側予圧ナット154をスピンドルハウジング部122の内周面にねじ込んで、既定の位置に固定する。次に、第二シャフト部103Bを、負荷側からスピンドルハウジング部122内に挿入する。そして、スピンドル軸部132を、内輪51B、内輪側間座53B及び内輪52Bの内側に挿入する。次に、内輪側予圧ナット155をスピンドル軸部132の外周面にねじ込んで、既定の位置に固定する。これにより、軸受56が規定の位置に固定されて、軸受56全体に所定の予圧がかかる。そして、このスピンドル部組み付け工程において、第二軸受51、第三軸受52及び間座53の取り付け位置、内輪側予圧ナット155及び外輪側予圧ナット154のねじ込み量等を調整することで、スピンドル軸部132のバランス調整を行う。以上により、スピンドル部組み付け工程が終了する。
スピンドル部組み付け工程が終了すると、次に、図10に示すように、第一シャフト部103Aと第二シャフト部103Bとを連結する(シャフト連結工程)。シャフト連結工程では、まず、連結凹部137に連結凸部135を挿入する。これにより、第一シャフト部103Aと第二シャフト部103Bとが調芯される。次に、ボルトBを、貫通孔138に通して、ボルト穴136にねじ込む。以上により、シャフト連結工程が終了する。
シャフト連結工程が終了すると、次に、図10及び図11に示すように、モータ部104を組み付ける(モータ部組み付け工程)。モータ部組み付け工程では、まず、モータハウジング部121の内周面にステータ41を固定し、モータ軸部131に第一軸受43を取り付ける。なお、モータハウジング部121に対するステータ41の取り付けは、モータ部組み付け工程よりも前の工程において行っていてもよい。次に、第二シャフト部103Bが連結された第一シャフト部103Aを、負荷側からモータハウジング部121内に挿入する。そして、モータ軸部131を、ステータ41の内側に挿入する。次に、モータハウジング部121とスピンドルハウジング部122とを連結する。以上により、モータ部組み付け工程が終了する。
モータ部組み付け工程が終了すると、次に、図6に示すように、モータ軸部131の反負荷側の端部近傍に、センサ6を取り付ける(センサ取り付け工程)。そして、カバー7をハウジング102に取り付けて、センサ6をカバー7で覆う。以上により、センサ取り付け工程が終了する。
このように、本実施形態に係る回転電機101では、シャフト103が、第一シャフト部103Aと第二シャフト部103Bとにより、モータ軸部131とスピンドル軸部132との間で分離可能に連結されている。このため、モータ軸部131及びスピンドル軸部132に対して、互いに独立した状態でバランス調整を行うことができる。その結果、シャフト3のバランス精度の向上を更に図ることができる。
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、基本的に第2の実施形態と同様であるが、第一シャフト部に内輪側予圧ナットの機能を持たせている点と、第一シャフト部と第二シャフト部との連結構造と、が第1の実施形態と相違する。このため、以下の説明では、第2の実施形態と相違する事項のみを説明し、第2の実施形態と同様の説明を省略する。
図12は、第3の実施形態に係る回転電機を示す断面図である。図12に示すように、本実施形態に係る回転電機201は、ハウジング102内に設けられたシャフト203を高速で回転させるための装置である。回転電機201は、ハウジング102内に設けられたシャフト203を軸周り方向に回転させるモータ部204と、シャフト203を軸周り方向に回転自在に支持するスピンドル部205と、センサ6と、カバー7と、を備える。モータ部204とスピンドル部205とは、シャフト203の軸方向に配列されている。
シャフト203は、円形断面に形成された長尺の棒状部材であり、中心軸線周りに回転する部材である。シャフト203は、モータ部204を構成するモータ軸部231と、スピンドル部205を構成するスピンドル軸部232と、スピンドル軸部232からモータ軸部231の反対側(負荷側)に延びて図示しない冶具等に接続される出力軸部233と、を有する。
モータ部204は、ステータ41と、ロータ42と、第一軸受43と、を備える。
スピンドル部205は、第二軸受51と、第三軸受52と、間座53と、外輪側予圧ナット154と、を備える。第二軸受51、第三軸受52及び間座53は、一組の軸受56を構成する。なお、スピンドル部205は、第2の実施形態の内輪側予圧ナット155を備えていない。
ハウジング102は、モータ部204を構成するモータハウジング部121と、スピンドル部205を構成するスピンドルハウジング部122と、を有する。なお、スピンドルハウジング部122内のスピンドル軸部132が挿入される空間の径は、出力軸部233の外径及びロータ42を取り付けた状態のモータ軸部231の外径よりも小さい。
図13は、シャフトの分解図である。図12及び図13に示すように、シャフト203は、第一シャフト部203Aと、第二シャフト部203Bと、を有する。第一シャフト部203Aと第二シャフト部203Bとは、シャフト203の軸線方向において分離可能に連結されている。つまり、第一シャフト部203Aと第二シャフト部203Bとは、独立した別部材である。そして、第一シャフト部203Aと第二シャフト部203Bとが連結されることで、一本のシャフト203が構成される。
第一シャフト部203Aは、シャフト203のうち、モータ軸部231を含む。第二シャフト部203Bは、シャフト203のうち、スピンドル軸部232と出力軸部233とを含む。つまり、シャフト203は、第2の実施形態と同様に、モータ軸部231とスピンドル軸部232との間で、分離可能に連結されている。
第二シャフト部203Bの反負荷側の先端部には、雄ネジ部234と、雄ネジ部234の先端側(反負荷側)に位置する凸部235と、が形成されている。雄ネジ部234は、第一シャフト部203Aと連結するための部位である。雄ネジ部234は、第二シャフト部203Bの中心軸線を中心とした円柱状に形成されており、その外周面に、雄ネジが形成されている。凸部235は、第一シャフト部203Aと第二シャフト部203Bとの調芯を行うためのガイド部である。凸部235は、雄ネジ部234よりも径が小さくなっており、第二シャフト部203Bの中心軸線を中心とした円柱状に形成されている。
第一シャフト部203Aの負荷側の先端部には、凹部236と、凹部236の先端側(負荷側)に位置する雌ネジ部237と、が形成されている。凹部236は、凸部235が嵌め込まれることで、第一シャフト部203Aと第二シャフト部203Bとの調芯を行うためのガイド部である。凹部236は、第一シャフト部203Aの中心軸線を中心とした円柱状の空間を形成している。凹部236の内径は、凸部235の外径とほぼ同じ寸法となっている。例えば、凹部236の内径は、凸部235の外径と同じ又は凸部235の外径よりも僅かに小さい寸法とすることができる。雌ネジ部237は、第二シャフト部203Bと連結するための部位である。雌ネジ部237は、第一シャフト部203Aの中心軸線を中心とした円柱状の空間を形成している。雌ネジ部237の内周面には、第二シャフト部203Bの雄ネジ部234が捩じ込まれる雌ネジが形成されている。
このため、凸部235を凹部236に嵌め込むことで、第一シャフト部3Aと第二シャフト部3Bとが調芯される。また、雄ネジ部234を雌ネジ部237にねじ込むネジ嵌合により、第一シャフト部203Aと第二シャフト部203Bとが連結されて一体化される。
雄ネジ部234、凸部235、凹部236及び雌ネジ部237は、第一シャフト部3Aと第二シャフト部3Bとを連結した際に、シャフト203の軸線方向において、第一シャフト部203Aの負荷側の先端が内輪52Bに到達する寸法となっている。そして、第一シャフト部203Aの負荷側の先端部に、内輪52Bを反負荷側から支持する予圧部238が形成されている。予圧部238は、予圧ナットとして機能する。つまり、予圧部238は、第一シャフト部203Aの負荷側の端部において、第一シャフト部203Aの半径方向外側に延びている(大径化されている)。予圧部238は、雄ネジ部234が雌ネジ部237にねじ込まれることで、既定の位置に固定される。そして、予圧部238が反負荷側から内輪52Bに当接されることで、内輪52Bの反負荷側の位置が固定される。
スピンドル軸部232には、内輪51Bを負荷側から支持する内輪支持部239が形成されている。内輪支持部239は、予圧ナットとして機能する。つまり、内輪支持部239は、スピンドル部205の負荷側の端部において、スピンドル軸部232の外周面からスピンドル軸部232の半径方向外側に延びている。そして、内輪支持部239が負荷側から内輪51Bに当接されることで、内輪51Bの負荷側の位置が固定される。
出力軸部233は、ハウジング102から突出している。出力軸部233は、図示しない冶具等の接続を可能とするため、大径化されている。出力軸部233は、ハウジング102内のスピンドル軸部232が挿入される空間の径よりも、大きな径を有する。つまり、出力軸部233の外径は、少なくともスピンドル部205においてハウジング102内を通すことができない寸法となっている。
次に、図14〜図17も参照して、回転電機201の組み付け方法について説明する。図14〜図17は、回転電機の組み付け方法を説明するための図である。
まず、図14に示すように、第一シャフト部203Aのモータ軸部231にロータ42を固定する(ロータ固定工程)。そして、このロータ固定工程において、ロータ42の取り付け位置等を調整することで、モータ軸部231のバランス調整を行う。
また、ロータ固定工程とは別に、図15に示すように、スピンドル部205を組み付ける(スピンドル部組み付け工程)。なお、ロータ固定工程とスピンドル部組付け工程は、何れを先に行ってもよく、同時に行ってもよい。スピンドル部組み付け工程では、まず、スピンドルハウジング部122に、第二軸受51、第三軸受52及び間座53を取り付ける。次に、外輪側予圧ナット154を、スピンドルハウジング部122の内周面にねじ込んで既定の位置に固定する。次に、第二シャフト部203Bを、負荷側からスピンドルハウジング部122内に挿入する。そして、スピンドル軸部232を、内輪51B、内輪側間座53B及び内輪52Bの内側に挿入する。そして、このスピンドル部組み付け工程において、第二軸受51、第三軸受52及び間座53の取り付け位置、外輪側予圧ナット154のねじ込み量等を調整することで、スピンドル軸部232のバランス調整を行う。以上により、スピンドル部組み付け工程が終了する。
スピンドル部組み付け工程が終了すると、次に、図16に示すように、第一シャフト部203Aと第二シャフト部203Bとを連結する(シャフト連結工程)。シャフト連結工程では、まず、雄ネジ部234を雌ネジ部237にねじ込み、凸部235を凹部236に嵌め込む。これにより、第一シャフト部203Aと第二シャフト部203Bとの調芯と、第一シャフト部203Aと第二シャフト部203Bとの連結と、が行われる。このとき、雄ネジ部234を雌ネジ部237にねじ込むことで、予圧部238が規定の位置に固定される。これにより、軸受56全体に所定の予圧がかかる。以上により、シャフト連結工程が終了する。
シャフト連結工程が終了すると、次に、図17に示すように、第2の実施形態と同様のモータ部組み付け工程を行う。
モータ部組み付け工程が終了すると、次に、図12に示すように、第2の実施形態と同様のセンサ取り付け工程を行う。
このように、本実施形態に係る回転電機201では、第一シャフト部203Aに内輪側予圧ナットの機能を持たせている。このため、部品点数の増加を抑制しつつ、シャフト3のバランス精度の向上を図ることができる。
また、第一シャフト部203Aと第二シャフト部203Bとがねじ嵌合により連結されている。このため、第二シャフト部203Bに対して第一シャフト部203Aを軸周り方向に回転させることで、第一シャフト部203Aを負荷側に移動させることができる。これにより、第一シャフト部203Aと第二シャフト部203Bとを連結することで、予圧ナットとして機能する予圧部238を規定の位置に固定させて、軸受56全体に所定の予圧を与えることができる。
また、第一シャフト部203Aと第二シャフト部203Bとを調芯するためのガイド部を有することで、第一シャフト部203Aと第二シャフト部203Bとを容易に調芯することができる。この場合、凸部235と凹部236とによりガイド部を構成することで、簡易的にガイド部を形成することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、シャフトを第一シャフト部と第二シャフト部とに二分割された部材として説明したが、3以上に分割されていてもよい。この場合、例えば、モータ軸部と、スピンドル軸部と、出力軸部と、に分割することができる。
また、第1〜第3の実施形態を適宜組み合わせてもよい。例えば、第1及び第2の実施形態における第一シャフト部と第二シャフト部とのテーパ嵌合と、第3の実施形態における第一シャフト部と第二シャフト部とののねじ嵌合を、互いに入れ替えてもよい。