以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面は、各実施形態について、共通する箇所には共通の符号が付されており、第2実施形態以降は、重複する説明が省略されている。また、図面は、概念図であり、細部構造の寸法まで規定するものではない。
<第1実施形態>
本実施形態の回転電機100は、複数の単位コイル1が重巻の二層巻で巻装された固定子コイル2を備える固定子3と、少なくとも一対の可動子磁極4を備える可動子5と、を具備している。本実施形態の回転電機100は、8極60スロットの回転電機であり、毎極毎相スロット数は2.5である。まず、回転電機100の概略構成について説明した後に、単位コイル1および固定子コイル2について詳細に説明する。
図1は、回転電機100を軸方向(矢印Z方向)に垂直な平面で切断した端面の一部を示す切断部端面図である。同図に示すように、固定子3は、固定子鉄心31を備えており、固定子鉄心31は、薄板状の電磁鋼板(例えば、ケイ素鋼板)が回転電機100の軸方向(矢印Z方向)に、複数枚積層されて形成されている。
固定子鉄心31は、バックヨーク部311と、バックヨーク部311と一体に形成される複数の固定子磁極312と、を有している。バックヨーク部311は、固定子鉄心31の周方向(可動子磁極の移動方向(矢印X方向)と同じ方向)に延在しており、固定子磁極312は、バックヨーク部311から回転電機100の軸心方向に突出している。また、隣接する固定子磁極312,312の間には、スロット32が形成されており、スロット32は、後述する単位コイル1のコイルサイド11が挿通可能になっている。また、固定子磁極312の先端部313は、固定子鉄心31の周方向に幅広になっており、可動子5と対向している。
可動子5は、固定子3の内方(回転電機100の軸心側)に設けられており、固定子3に対して回転(「移動」に相当。以下同じ。)可能に支持されている。可動子5は、可動子鉄心51を備えており、可動子鉄心51は、薄板状の電磁鋼板(例えば、ケイ素鋼板)が回転電機100の軸方向(矢印Z方向)に、複数枚積層されており、円柱状に形成されている。
可動子5は、極性が相異なる少なくとも一対の可動子磁極4を備えている。具体的には、可動子鉄心51には、可動子鉄心51の周方向(可動子磁極の移動方向(矢印X方向)と同じ方向)に等間隔で複数の磁石収容部が設けられている。複数の磁石収容部には、所定磁極数分の複数(本実施形態では8極であり、8組)の永久磁石が埋設されており、永久磁石と固定子3に発生する回転磁界とによって、可動子磁極4が回転可能になっている。なお、本明細書では、必要に応じて、一方の極性(例えばN極)を有する可動子磁極4を可動子磁極41で示し、他方の極性(例えばS極)を有する可動子磁極4を可動子磁極42で示している。
固定子コイル2は、コイル10の巻方向および巻ピッチが同一の複数の単位コイル1を有している。コイル10は、導体表面がエナメルなどの絶縁層で被覆されている。コイル10の断面形状は、特に限定されるものではなく、任意の断面形状とすることができる。例えば、断面円形状の丸線、断面多角形状の角線などの種々の断面形状のコイルを用いることができる。また、複数のより細いコイル素線を組み合わせた並列細線を用いることもできる。並列細線を用いる場合、単線の場合と比べてコイル10に発生する渦電流損を低減させることができ、回転電機100の効率が向上する。また、コイル成形に要する力を低減することができるので、成形性が向上してコイル製作が容易になる。
図2は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)からスロット底部側(矢印Y2方向側)に向かう方向から視た1つの単位コイル1を模式的に示す模式図である。同図は、スロット深さ方向(矢印Y方向)のうち、スロット開口部側(図1の矢印Y1方向側)からスロット底部側(図1の矢印Y2方向側)に向かう方向から視た1つの単位コイル1を示している。図2に示すように、単位コイル1は、一対のコイルサイド11,11と、一対のコイルエンド12,12と、を有している。一対のコイルサイド11,11は、固定子鉄心31に形成されたスロット32,32に挿通される。また、一対のコイルエンド12,12は、一対のコイルサイド11,11と一体に形成されており、一対のコイルサイド11,11の同一側端部をそれぞれ接続している。
コイル10の巻ピッチ(一対のコイルサイド11,11間のピッチ)は、毎極スロット数(本実施形態では7.5スロット)より短い巻ピッチ(7スロットピッチ)に設定されており、コイル10は、短節巻で巻装されている。なお、本明細書では、スロット開口部側(図1の矢印Y1方向側)に配されるコイルサイド11を実線で示し、スロット底部側(図1の矢印Y2方向側)に配されるコイルサイド11を破線で示している。一対のコイルエンド12,12についても同様であり、第2実施形態以降の実施形態においても同様である。
本実施形態では、コイル10の巻方向および巻ピッチが同一の複数の単位コイル1によって、単位コイル群13、隣接単位コイル群14、極コイル21、極対コイル22および相コイル23が構成されている。図3は、コイル引出し部221側軸方向(矢印Z1方向)視において、1つの極対コイル22がスロット32に配設された状態を模式的に示す模式図である。同図は、図2に示す単位コイル1を、軸方向(矢印Z方向)のうち、後述するコイル引出し部221側軸方向(矢印Z1方向)から視た図であり、複数の単位コイル1が重巻の二層巻で巻装されて、複数の単位コイル1がスロット32に配設された状態を示している。
同図では、説明の便宜上、スロット32は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)のスロット32と、スロット底部側(矢印Y2方向側)のスロット32とが区別されているが、実際は、スロット深さ方向(矢印Y方向)に隣接するスロット32,32は、図1に示すように、1つのスロット32として形成されている。また、図3に示す一対のコイルサイド11,11は、コイル10の巻方向で表されている。具体的には、紙面に垂直な方向であって、紙面奥側から紙面手前側に向かう方向を「丸印にドット」で表し、紙面に垂直な方向であって、紙面手前側から紙面奥側に向かう方向を「丸印にクロス」で表している。同図は、複数の単位コイル1において、巻方向が同一方向であることを示しており、コイル10の巻順に沿った巻方向を示すものではない。また、コイル10の巻始め(コイル10の一端)を巻始め部10sで示し、コイル10の巻終り(コイル10の他端)を巻終り部10eで示している。
本実施形態では、直列接続された複数の単位コイル1によって、単位コイル群13および隣接単位コイル群14が構成されている。単位コイル群13は、一対のスロット32,32に配された1つ若しくは直列接続された複数の単位コイル1をいう。本実施形態では、複数(例えば、5つ)の単位コイル1が直列接続されており、直列接続された複数(例えば、5つ)の単位コイル1によって、単位コイル群13が構成されている。複数(例えば、5つ)の単位コイル1は、当該一対のスロット32,32において、スロット深さ方向(矢印Y方向)に積み重なるように配設されている。なお、同図では、説明の便宜上、1本の細線(1つの単位コイル1のコイルエンド12)によって単位コイル群13が示されている。
また、本実施形態では、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)に隣接する複数の単位コイル群13,13が単位コイル間接続部211によって直列接続されて隣接単位コイル群14が構成されている。単位コイル間接続部211は、隣接単位コイル群14を構成する単位コイル1のコイルエンド12に沿って配されており、単位コイル間接続部211の長さは、当該単位コイル1のコイルエンド12の長さと比べて長く設定されている。
図4は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)からスロット底部側(矢印Y2方向側)に向かう方向から視た1つの極対コイル22を模式的に示す模式図である。同図は、図3に示す1つの極対コイル22を、スロット深さ方向(矢印Y方向)のうち、スロット開口部側(図1の矢印Y1方向側)からスロット底部側(図1の矢印Y2方向側)に向かう方向から視た図であり、一対の可動子磁極4が併せて示されている。
図4に示すように、隣接単位コイル群14によって極コイル21が構成されており、極コイル21は、一対の可動子磁極4のうちのいずれか一方の可動子磁極(可動子磁極41または可動子磁極42)に対向している。また、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)に隣接する2つの極コイル21,21が直列接続されており、直列接続された当該2つの極コイル21,21によって、極対コイル22が構成されている。極対コイル22は、一対の可動子磁極4に対向している。
本実施形態では、極対コイル22は、コイル10を同一方向に連続して巻進める一方向連続巻によって形成されている。同図では、コイル10の巻始め部10sから巻終り部10eまでのコイル10の巻順を数字*で示している。なお、極コイル21,21をそれぞれ個別に一方向連続巻によって形成し、2つの極コイル21,21を直列接続することによって極対コイル22を形成することもできる。つまり、本実施形態では、極コイル21および極対コイル22のうちの少なくとも極コイル21が、一方向連続巻によって形成されていれば良い。
ここで、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)のうちの一の方向であって、後述する相コイル23の相順に逆行する方向(電気角120°ピッチにおけるW相、V相、U相の順序と同じ方向)を第一方向(矢印X1方向)とする。図3および図4では、第一方向(矢印X1方向)は、コイル10の巻終り側の単位コイル1からコイル10の巻始め側の単位コイル1に向かう方向で示されている。また、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)のうちの他の方向であって、後述する相コイル23の相順に順行する方向(電気角120°ピッチにおけるU相、V相、W相の順序と同じ方向)を第二方向(矢印X2方向)とする。図3および図4では、第二方向(矢印X2方向)は、コイル10の巻始め側の単位コイル1からコイル10の巻終り側の単位コイル1に向かう方向で示されている。
図3に示すように、複数の単位コイル1の各々は、第一方向(矢印X1方向)側のコイルサイド11が一のスロット32のスロット開口部側(矢印Y1方向側)に配され、第二方向(矢印X2方向)側のコイルサイド11が他のスロット32のスロット底部側(矢印Y2方向側)に配されるように、重巻の二層巻で巻装されている。ただし、他のスロット32は、一のスロット32から可動子磁極の移動方向(矢印X方向)に、コイル10の巻ピッチ分(本実施形態では7スロットピッチ分)、離間している。このことは、図4の実線で示すコイルサイド11(スロット開口部側(矢印Y1方向側)のコイルサイド11)および破線で示すコイルサイド11(スロット底部側(矢印Y2方向側)のコイルサイド11)の配置からも言える。
極対コイル22を構成する2つの極コイル21,21のうちの一方であって、第一方向(矢印X1方向)側の極コイル21を第一極コイル21fとする。また、極対コイル22を構成する2つの極コイル21,21のうちの他方であって、第二方向(矢印X2方向)側の極コイル21を第二極コイル21sとする。図3および図4に示すように、極対コイル22は、一対のコイル引出し部221を備えている。一対のコイル引出し部221は、第一コイル引出し部221fと第二コイル引出し部221sとからなる。
第一コイル引出し部221fは、第一コイルサイド111から引出されている。第一コイルサイド111は、第一極コイル21fを構成する単位コイル1のうちの最も第一方向(矢印X1方向)側の単位コイル1の第二方向(矢印X2方向)側のコイルサイド11であって、最もスロット底部側(矢印Y2方向側)に配されたコイルサイド11をいう。また、第二コイル引出し部221sは、第二コイルサイド112から引出されている。第二コイルサイド112は、第二極コイル21sを構成する単位コイル1のうちの最も第一方向(矢印X1方向)側の単位コイル1の第二方向(矢印X2方向)側のコイルサイド11であって、最もスロット底部側(矢印Y2方向側)に配されたコイルサイド11をいう。
さらに、極対コイル22は、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)に隣接する2つの極コイル21,21を直列接続する極コイル間接続部222を備えている。極コイル間接続部222は、第三コイルサイド113と第四コイルサイド114とを接続する。第三コイルサイド113は、第一極コイル21fを構成する単位コイル1のうちの最も第二方向(矢印X2方向)側の単位コイル1の第一方向(矢印X1方向)側のコイルサイド11であって、最もスロット開口部側(矢印Y1方向側)に配されたコイルサイド11をいう。第四コイルサイド114は、第二極コイル21sを構成する単位コイル1のうちの最も第二方向(矢印X2方向)側の単位コイル1の第一方向(矢印X1方向)側のコイルサイド11であって、最もスロット開口部側(矢印Y1方向側)に配されたコイルサイド11をいう。
図4に示すように、本実施形態では、単位コイル間接続部211の可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の接続長は、単位コイル1の巻ピッチ(7スロットピッチ)より1スロットピッチ分、長い8スロットピッチになっている。また、極コイル間接続部222の可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の接続長は、単位コイル1の巻ピッチ(7スロットピッチ)と同じ7スロットピッチになっている。
また、図3に示すように、複数の単位コイル1の各々は、コイル10の巻進行方向(矢印W1方向または矢印W2方向)視において、巻方向が反時計回り方向である。具体的には、第一極コイル21fを構成する単位コイル1の各々は、巻始めがスロット底部側(矢印Y2方向側)から始まり、コイル10の巻進行方向(矢印W1方向)視において、巻方向が反時計回り方向である。また、第二極コイル21sを構成する単位コイル1の各々は、巻始めがスロット開口部側(矢印Y1方向側)から始まり、コイル10の巻進行方向(矢印W2方向)視において、巻方向が反時計回り方向である。
以上のことは、図4に示すコイル10の巻順からも言える。つまり、図4は、スロット開口部側(図1の矢印Y1方向側)からスロット底部側(図1の矢印Y2方向側)に向かう方向から視た図であるので、第一極コイル21fを構成する単位コイル1の巻進行方向(矢印W1方向)は、図4の紙面に垂直な方向であって、紙面奥側から紙面手前側に向かう方向である。図4のコイル10の巻順から分かる単位コイル1の巻方向は、紙面奥側から紙面手前側に向かう方向から視て反時計回り方向であり、図3に示す巻方向と一致している。
第二極コイル21sについても同様であり、第二極コイル21sを構成する単位コイル1の巻進行方向(矢印W2方向)は、図4の紙面に垂直な方向であって、紙面手前側から紙面奥側に向かう方向である。図4のコイル10の巻順から分かる単位コイル1の巻方向は、紙面手前側から紙面奥側に向かう方向から視て反時計回り方向であり、図3に示す巻方向と一致している。
なお、コイル10の巻始め部10sと巻終り部10eを入れ替えることもできる。この場合、第一極コイル21fを構成する単位コイル1の巻進行方向(矢印W1方向)は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)からスロット底部側(矢印Y2方向側)に向かう方向(図3の巻進行方向(矢印W1方向)を反転した方向)である。よって、第一極コイル21fを構成する単位コイル1の各々は、巻始めがスロット開口部側(矢印Y1方向側)から始まり、コイル10の巻進行方向(矢印W1方向)視において、巻方向が反時計回り方向である。第二極コイル21sを構成する単位コイル1の巻進行方向(矢印W2方向)は、スロット底部側(矢印Y2方向側)からスロット開口部側(矢印Y1方向側)に向かう方向(図3の巻進行方向(矢印W2方向)を反転した方向)である。よって、第二極コイル21sを構成する単位コイル1の各々は、巻始めがスロット底部側(矢印Y2方向側)から始まり、コイル10の巻進行方向(矢印W2方向)視において、巻方向が反時計回り方向である。
また、第一極コイル21fおよび第二極コイル21sをそれぞれ個別に一方向連続巻によって形成する場合は、第一コイルサイド111は、第一極コイル21fの巻始め部に直近のコイルサイド11であり、第三コイルサイド113は、第一極コイル21fの巻終り部に直近のコイルサイド11である。また、第二コイルサイド112は、第二極コイル21sの巻始め部に直近のコイルサイド11であり、第四コイルサイド114は、第二極コイル21sの巻終り部に直近のコイルサイド11である。
第一極コイル21fの巻始め部は、既述の巻始め部10sに相当し、第二極コイル21sの巻始め部は、既述の巻終り部10eに相当する。また、第一極コイル21fおよび第二極コイル21sがそれぞれ個別に一方向連続巻によって形成された後、第三コイルサイド113(第一極コイル21fの巻終り部)と第四コイルサイド114(第二極コイル21sの巻終り部)とが極コイル間接続部222によって接続される。
この場合においても、第一極コイル21fを構成する単位コイル1の各々は、巻始めがスロット底部側(矢印Y2方向側)から始まり、コイル10の巻進行方向(矢印W1方向)視において、巻方向が反時計回り方向である。また、第二極コイル21sを構成する単位コイル1の各々は、巻始めがスロット底部側(矢印Y2方向側)から始まり、コイル10の巻進行方向(矢印W2方向)視において、巻方向が反時計回り方向である。ただし、この場合、巻進行方向(矢印W1方向)および巻進行方向(矢印W2方向)は、いずれもスロット底部側(矢印Y2方向側)からスロット開口部側(矢印Y1方向側)に向かう方向(図3の巻進行方向(矢印W2方向)のみを反転した方向)である。
図5は、U相の相コイル23Uの接続状態を模式的に示す模式図である。同図は、三相の相コイル23のうちのU相の相コイル23Uの接続状態を示している。同図に示すように、2つの極コイル21(第一極コイル21f)および極コイル21(第二極コイル21s)が直列接続されて極対コイル22が形成されている。そして、4つの極対コイル22の第一コイル引出し部221f(コイル10の巻始め部10s)同士がそれぞれ接続され、U相端子2TUに接続されている。また、4つの極対コイル22の第二コイル引出し部221s(コイル10の巻終り部10e)同士がそれぞれ接続され、中性点2Nに接続されている。このように、本実施形態では、一対のコイル引出し部221を介して、複数(4つ)の極対コイル22が並列接続されており、並列接続された複数(4つ)の極対コイル22によって、U相の相コイル23Uが構成されている。このことは、V相およびW相についても同様である。
図6は、回転電機100の相構成を模式的に示す模式図である。同図は、三相の相コイル23がY結線された状態を示しており、三相の相コイル23は、相順に、U相の相コイル23U、V相の相コイル23V、W相の相コイル23Wで表されている。V相の相コイル23VおよびW相の相コイル23Wは、図5に示すU相の相コイル23Uと同様の構成を有している。なお、図6では、V相の相端子は、V相端子2TVで示され、W相の相端子は、W相端子2TWで示されている。また、三相の相コイル23は、Δ結線で接続することもできる。
相コイル23は、直列接続された複数(4つ)の極対コイル22によって構成することもできる。この場合、一対のコイル引出し部221を介して、複数(4つ)の極対コイル22が直列接続される。また、相コイル23は、直列接続および並列接続された複数(4つ)の極対コイル22によって構成することもできる。
図7は、直列接続および並列接続された4つの極対コイル22によって構成されたU相の相コイル23Uの接続状態を模式的に示す模式図である。同図に示すように、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)に隣接する2つの極対コイル22,22が直列接続され、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)に隣接する残りの2つの極対コイル22,22が直列接続されている。そして、直列接続された極対コイル22,22が並列接続されて、U相の相コイル23Uが構成されている。
このように、本実施形態では、相コイル23は、直列接続および並列接続のうちの少なくとも一方により接続された複数(4つ)の極対コイル22によって構成することができる。接続される極対コイル22の数は、回転電機100の極対数に対応している。例えば、本実施形態では、回転電機100は、8極であり、極対数は4である。そのため、相コイル23は、4つの極対コイル22によって構成される。なお、2極の回転電機の場合は、相コイル23は、1つの極対コイル22によって構成される。
図8は、スロット32の相配置を模式的に示す模式図である。同図は、コイル引出し部221側軸方向(矢印Z1方向)視におけるスロット32の相配置を示しており、図3に示す各単位コイル1(コイルサイド11)の相配置を示している。同図では、相*で示すコイルサイド11は、相で示すコイルサイド11の通電方向に対して、コイルサイド11の通電方向が逆方向であることを示している。また、U相の同相のコイルサイド11が実線で囲まれており、図3および図4に示すU相の極対コイル22の接続状態が併せて図示されている。
図8に示すように、U1相の単位コイル1(コイルサイド11)、U2相の単位コイル1(コイルサイド11)およびU3相の単位コイル1(コイルサイド11)は、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)に1スロットピッチずつ位相がずれており、同相(U相)ではあるが、正確には位相が異なる。このように、U1〜U3は、同相の電磁気的に位相の異なる単位コイル1(コイルサイド11)を示している。以上のことは、V相およびW相についても同様である。
スロット32のスロット開口部側(矢印Y1方向側)において、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)に、U相(通電方向関係:逆方向U1)、U相(通電方向関係:逆方向U2)、U相(通電方向関係:逆方向U3)、W相(通電方向関係:順方向W1)、W相(通電方向関係:順方向W2)、V相(通電方向関係:逆方向V1)、V相(通電方向関係:逆方向V2)、V相(通電方向関係:逆方向V3)の順に、相配置が為されている。
また、スロット32のスロット底部側(矢印Y2方向側)において、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)に、U相(通電方向関係:逆方向U1)、U相(通電方向関係:逆方向U2)、W相(通電方向関係:順方向W1)、W相(通電方向関係:順方向W2)、W相(通電方向関係:順方向W3)、V相(通電方向関係:逆方向V1)、V相(通電方向関係:逆方向V2)の順に、相配置が為されている。本実施形態の回転電機100は、毎極毎相スロット数が2.5であるので、このように、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)に隣接する同相のコイルサイド11の数は、2と3とが交互に繰り返されている。
図9は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)からスロット底部側(矢印Y2方向側)に向かう方向から視た各相コイル23の結線を示す結線図である。同図は、スロット深さ方向(矢印Y方向)のうち、スロット開口部側(図1の矢印Y1方向側)からスロット底部側(図1の矢印Y2方向側)に向かう方向から視た4磁極分(2磁極対分)の極対コイル22,22を示しており、相コイル23の結線の一部が相毎に示されている。
図10は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)からスロット底部側(矢印Y2方向側)に向かう方向から視た三相分の相コイル23の結線を示す結線図である。同図は、図9に示す各相コイル23をスロット深さ方向(矢印Y方向)に積み重ねたものであり、三相分の結線が示されている。図11は、コイル引出し部221側軸方向(矢印Z1方向)視における三相分の相コイル23の結線を示す結線図である。同図は、図10に示す三相分の相コイル23を、コイル引出し部221側軸方向(矢印Z1方向)から視た結線を示している。
図9〜図11に示すように、例えば、U相の各極対コイル22の第一コイル引出し部221f(コイル10の巻始め部10s)は、U相端子2TUに接続され、U相の各極対コイル22の第二コイル引出し部221s(コイル10の巻終り部10e)は、中性点2Nに接続されている。これにより、U相の2つの極対コイル22は並列接続され、U相の相コイル23Uの一部が形成されている。なお、図9および図10において、U相の極コイル21は、<U1>〜<U4>で示されており、矢印および矢印近傍の数字は、各極対コイル22における単位コイル群13のつながり順を示している。以上のことは、残りのU相の2つの極対コイル22についても同様であり、V相およびW相についても同様である。
相端部接続における配策(極対コイル22間の接続、並びに、相端子(2TU,2TV,2TW)および中性点2Nの接続など)は、コイル引出し部221側の軸方向(矢印Z方向)において三層化することもでき、スロット深さ方向(矢印Y方向)において三層化することもできる。いずれの場合も、相端部接続における配策は、同心円環状であり、バックヨーク部311側のスペースを活用することができる。なお、一対のコイル引出し部221の配策は、コイル引出し部221側軸方向(矢印Z1方向)視において、スロット底部側(矢印Y2方向側)からバックヨーク部311側に向かって放射状に延伸しており、他相のコイル引出し部221に対して交差や干渉が生じない。
また、相内接続のうち単位コイル間接続部211の配策は、隣接単位コイル群14を構成する単位コイル1のコイルエンド12に沿って配されており、単位コイル1のコイルエンド12や他の配策に対して交差や干渉が生じにくい。また、相内接続のうち極コイル間接続部222の配策は、同心円環状であり、スロット開口部側(矢印Y1方向側)のコイルエンド12近傍のスペースを活用することができる。スロット開口部側(矢印Y1方向側)のコイルエンド12近傍のスペースとして、例えば、コイルエンド12の上部やコイルエンド12の内方側のスペースが挙げられる。
次に、極対コイル22の形成方法について説明し、極対コイル22のスロット32への装着方法について説明する。図12は、巻枠2F1にコイル10が巻装された状態を模式的に示す模式図である。同図は、コイルエンド12側視における1つ分の極対コイル22の巻装状態を示している。巻枠2F1には、ピンや溝等が設けられており、ピンや溝をガイドにしてコイル10を巻装することができる。
巻枠2F1には、所定数(単位コイル群13を構成する単位コイル1の数に相当し、本実施形態では、5つ)分の単位コイル1毎に、仕切り部2F2が設けられている。コイル10は、仕切り部2F2によって複数(極対コイル22を構成する単位コイル群13の数に相当し、本実施形態では、5つ)の単位コイル群13に区分される。同図では、コイル10は、コイル10の巻始め部10s側から順に、単位コイル群131、132、133、135、134で示されている。単位コイル群131〜135は、極対コイル22がスロット32へ装着されたときの単位コイル群13の可動子磁極の移動方向(矢印X方向)における並び順を示している。つまり、5つの単位コイル群131〜135は、単位コイル群131、132、133、134、135の順に、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)に配設される。
隣接する単位コイル群13,13間のずらし量は、単位コイル間接続部211によって隣接する単位コイル群13,13間を接続可能に設定されている。具体的には、当該ずらし量は、1スロットピッチと配策増加分α1とを加算した量に設定されている。図4に示すように、単位コイル間接続部211の可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の接続長は、8スロットピッチであり、単位コイル1の巻ピッチ(7スロットピッチ)と比べて、1スロットピッチ分、長い。また、図3に示すように、単位コイル間接続部211は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)のコイルサイド11と、スロット底部側(矢印Y2方向側)のコイルサイド11とを接続するので、単位コイル間接続部211の実際の長さは、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の8スロットピッチよりも長くなければならない。同図では、この増加分を配策増加分α1で示している。
また、単位コイル群133,135間のずらし量は、極コイル間接続部222によって極コイル21,21を接続可能に設定されている。具体的には、当該ずらし量は、配策増加分α2に設定されている。図4に示すように、極コイル間接続部222の可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の接続長は、7スロットピッチであり、単位コイル1の巻ピッチ(7スロットピッチ)と同じである。また、既述のとおり、極コイル間接続部222は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)のコイルエンド12近傍のスペースを活用して配策される。このため、極コイル間接続部222の実際の長さは、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の7スロットピッチよりも長くなければならない。同図では、この増加分を配策増加分α2で示している。
図13は、図12において、極対コイル22を構成する2つの極コイル21,21のうちの1つの極コイル21(第二極コイル21s)を180°回転させた状態を模式的に示す模式図である。同図は、図12に示す極対コイル22を2つの極コイル21,21に分離して、1つの極コイル21(例えば、第二極コイル21s)を180°回転させた状態を示している。
第一極コイル21fは、単位コイル群131の5つの単位コイル1のうち、コイル10の巻始め部10s側の単位コイル1から順にスロット32に挿入される。その結果、巻始め部10sに直近の単位コイル1のコイルサイド11(巻始め部側コイルサイド11a1)は、スロット32の底部に配される。巻始め部側コイルサイド11a1は、既述の第一コイルサイド111に相当する。単位コイル群131の5つの単位コイル1が順にスロット32に挿入され積み重なるので、最後にスロット32に挿入される単位コイル1のスロット底部側(矢印Y2方向側)に配されるコイルサイド11(巻終り部側コイルサイド11a2)は、スロット32の中央部付近に配される。単位コイル群132,133についても同様であり、同図では、スロット32の底部に配されるコイルサイド11は、巻始め部側コイルサイド11b1,11c1で示され、スロット32の中央部付近に配されるコイルサイド11は、巻終り部側コイルサイド11b2,11c2で示されている。
一方、第二極コイル21sは、単位コイル群134の5つの単位コイル1のうち、コイル10の巻終り部10e側の単位コイル1から順にスロット32に挿入される。その結果、巻終り部10eに直近の単位コイル1のコイルサイド11(巻終り部側コイルサイド11e2)は、スロット32の底部に配される。巻終り部側コイルサイド11e2は、既述の第二コイルサイド112に相当する。単位コイル群134の5つの単位コイル1が順にスロット32に挿入され積み重なるので、最後にスロット32に挿入される単位コイル1のスロット底部側(矢印Y2方向側)に配されるコイルサイド11(巻始め部側コイルサイド11e1)は、スロット32の中央部付近に配される。単位コイル群135についても同様であり、同図では、スロット32の底部に配されるコイルサイド11は、巻終り部側コイルサイド11d2で示され、スロット32の中央部付近に配されるコイルサイド11は、巻始め部側コイルサイド11d1で示されている。
なお、極コイル間接続部222の両端部と接続されるコイルサイド11,11は、既述の第三コイルサイド113および第四コイルサイド114に相当する。また、図12および図13に示す単位コイル1の白色丸印は、単位コイル1の一対のコイルサイド11,11のうち、スロット底部側(矢印Y2方向側)に配されるコイルサイド11を示し、図12および図13に示す単位コイル1の黒色丸印は、単位コイル1の一対のコイルサイド11,11のうち、スロット開口部側(矢印Y1方向側)に配されるコイルサイド11を示している。単位コイル1の白色丸印および黒色丸印の表示方法は、以下、同様である。
また、図12に示すように、複数の単位コイル1の各々は、コイル10の巻進行方向(矢印W方向)視において、巻方向が反時計回り方向であり、一方向連続巻の極対コイル22が形成されている。さらに、図13に示すように、第二極コイル21sを第一極コイル21fに対して180°回転させることによって、第一極コイル21fを構成する単位コイル1の巻進行方向(矢印W1方向)および第二極コイル21sを構成する単位コイル1の巻進行方向(矢印W2方向)が対向する。
上述のことは、2つの単位コイル群13,13が隣接するスロット32,32にそれぞれ挿入される過程を通じて、示すこともできる。図14は、2つの単位コイル群13,13を隣接するスロット32,32にそれぞれ挿入する手順を模式的に示す模式図である。同図は、一例として、単位コイル群134をスロット32に挿入し、単位コイル群135を隣接するスロット32に挿入する手順を示しているが、単位コイル群131〜133についても同様にして、スロット32に挿入することができる。
同図に示すように、単位コイル群134の5つの単位コイル1を回転させながら、スロット底部側(矢印Y2方向側)に配されるコイルサイド11(白色丸印で示される片側のコイルサイド11)を順にスロット32に挿入する。挿入する単位コイル1が既に挿入された単位コイル1と干渉するときは、挿入する単位コイル1をスロット開口部側(矢印Y1方向側)にさらに回転させて、干渉を回避すると良い。
単位コイル群135の単位コイル1についても同様であり、白色丸印で示される片側のコイルサイド11を順に隣接するスロット32に挿入する。同図に示すように、片側のコイルサイド11をスロット32に挿入する際は、案内部2Gに沿ってコイルサイド11をスライドさせながら、片側のコイルサイド11を順にスロット32内に挿入することもできる。なお、予め、隣接する単位コイル群134,135の各単位コイル1を最下図のように90°回転させておき、各単位コイル1の片側のコイルサイド11を一度にスロット32,32内に挿入することもできる。
図15は、極対コイル22をスロット32に装着する手順を模式的に示す模式図である。同図は、複数の極対コイル22をスロット32に装着する手順の一例を示している。図14に示すように、U相の各単位コイル1の片側のコイルサイド11がスロット32に挿入される。同様にして、V相の各単位コイル1の片側のコイルサイド11がスロット32に挿入される。このとき、U相の各単位コイル1の片側のコイルサイド11がスロット32に挿入されているので、U相の極コイル間接続部222を潜るようにして、V相の各単位コイル1の片側のコイルサイド11がスロット32に挿入される。同様にして、W相の各単位コイル1の片側のコイルサイド11がスロット32に挿入される。なお、図14の最下図に示す破線で囲まれた単位コイル群13は、図15では、1つの白色丸印および1つの黒色丸印並びに1本の直線で示されている。
各単位コイル1の片側のコイルサイド11がスロット32に挿入された後、すべての単位コイル1を徐々に第一方向(矢印X1方向)側に傾斜させる。その結果、各単位コイル1のスロット32に挿入されていない側のコイルサイド11は、当初位置から第一方向(矢印X1方向)側に移動する。当該移動量は、各単位コイル1の一対のコイルサイド11,11の巻ピッチ(白色丸印と黒色丸印との間のスロットピッチ)が7スロットピッチになるように設定する。図15の最下図は、各相1つずつの極対コイル22,22,22がスロット32に装着された状態を示している。
以上のように、極対コイル22は、コイル10の引回しによって形成することができ、極対コイル22のスロット32への組み込み時に特別な取り扱いが不要である。具体的には、単位コイル間接続部211は、隣接単位コイル群14を構成する単位コイル1のコイルエンド12に沿って配されているので、コイル10(特に、単位コイル間接続部211)のねじれ、巻込み、交差等がない。そのため、コイル10(特に、単位コイル間接続部211)を絶縁する絶縁紙の設置も容易である。
このようにして、極対コイル22がスロット32に装着された後、極対コイル22間の接続が行われ、相コイル23が形成される。この際、相端子(2TU,2TV,2TW)および中性点2Nの接続なども行われる。また、第一極コイル21fおよび第二極コイル21sをそれぞれ個別に一方向連続巻によって形成する場合は、極対コイル22を構成する第一極コイル21fと第二極コイル21sとを、極コイル間接続部222によって接続する。さらに、コイルエンド12、単位コイル間接続部211、極コイル間接続部222および一対のコイル引出し部221(第一コイル引出し部221fおよび第二極コイル21s)のレーシング結束が行われた後、ワニスの含浸、樹脂モールド等によって固定子コイル2が固定子鉄心31に固定される。
なお、固定子コイル2の装着は、公知のコイル挿入機(インサータ治具)を用いることもできる。コイル挿入機は、複数の単位コイル群13が中空円筒状に配された状態において、すべての単位コイル群13を一度にスロット32に装着することができる。図16は、複数の単位コイル群13が中空円筒状に配された状態を模式的に示す模式図である。同図は、回転電機100の軸方向(矢印Z方向)視における単位コイル群13の配置を示しており、複数の単位コイル群13は、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)に配される順に、並べられている。また、同図では、スロット開口部側(図1の矢印Y1方向側)に配されるコイルサイド11およびコイルエンド12が実線で示され、スロット底部側(図1の矢印Y2方向側)に配されるコイルサイド11およびコイルエンド12が破線で示されている。
図17は、図16に示す単位コイル群13の軸方向(矢印Z方向)の位置関係を模式的に示す模式図である。同図は、図16の側面視で、複数の単位コイル群13の各々は、隣接する単位コイル群13と一部が重なっている。即ち、単位コイル群13を構成する各単位コイル1の一対のコイルサイド11,11の一方が、回転電機100の軸方向(矢印Z方向)の一方側(例えば、図16に示す実線部分が図17で下方側)に配され、単位コイル群13を構成する各単位コイル1の一対のコイルサイド11,11の他方が、回転電機100の軸方向(矢印Z方向)の他方側(例えば、図16に示す破線部分が図17で上方側)に配されるように、複数の単位コイル群13が並べられている。
図18は、コイル挿入機3Iによって固定子コイル2がスロット32に装着される様子を模式的に示す模式図である。コイル挿入機3Iは、公知のコイル挿入機(インサータ治具)であり、固定子コイル2を把持するインサータブレード3Bを有している。インサータブレード3Bは、スロット32のスロットピッチが反映されたクシ歯状の複数の支持部3B1を有している。支持部3B1の外径は、図16に示す中空円筒状に配された複数の単位コイル群13の内径3B2と比べて、若干大きく設定されている。図18に示すように、支持部3B1が単位コイル群13内に貫挿されて、固定子コイル2を構成する複数の単位コイル群13が一度に把持される。インサータブレード3Bが固定子鉄心31の内方に挿入されて、複数の単位コイル群13は、一度に各スロット32内に挿入される。
次に、比較形態の極対コイル22について説明する。図19は、巻枠2F1にコイル10が巻装された状態を模式的に示す模式図である。図20は、図19において、極対コイル22を構成する2つの極コイル21,21のうちの1つの極コイル21(第二極コイル21s)を180°回転させた状態を模式的に示す模式図である。図19は、図12に対応し、図20は、図13に対応している。図19および図20は、既述の図面と同様に図示されており、重複する説明を省略する。
図19および図20に示す極対コイル22は、コイル10の巻始め部10sの位置および巻終り部10eの位置、並びに、各単位コイル1の巻方向が、第1実施形態の極対コイル22と異なる。具体的には、コイル10は、紙面下方の巻始め部10sから巻始められ、紙面上方の巻終り部10eまで巻装されている。また、複数の単位コイル1の各々は、コイル10の巻進行方向(矢印W方向)視において、巻方向が時計回り方向になっている。
比較形態では、第一極コイル21fは、単位コイル群131の5つの単位コイル1のうち、コイル10の巻終り部10e側の単位コイル1から順にスロット32に挿入される。その結果、巻終り部10e側の単位コイル1のコイルサイド11(巻終り部側コイルサイド11c2)は、スロット32の底部に配される。単位コイル群131の5つの単位コイル1が順にスロット32に挿入され積み重なるので、最後にスロット32に挿入される単位コイル1のスロット底部側(矢印Y2方向側)に配されるコイルサイド11(巻始め部側コイルサイド11c1)は、スロット32の中央部付近に配される。
単位コイル群132,133についても同様であり、同図では、スロット32の底部に配されるコイルサイド11は、巻終り部側コイルサイド11b2,11a2で示され、スロット32の中央部付近に配されるコイルサイド11は、巻始め部側コイルサイド11b1,11a1で示されている。同図に示すように、コイル10の巻始め部10sは、スロット32の中央部付近に配される巻始め部側コイルサイド11a1から引出されている。
一方、第二極コイル21sは、単位コイル群134の5つの単位コイル1のうち、コイル10の巻始め部10s側の単位コイル1から順にスロット32に挿入される。その結果、巻始め部10s側のコイルサイド11(巻始め部側コイルサイド11d1)は、スロット32の底部に配される。単位コイル群134の5つの単位コイル1が順にスロット32に挿入され積み重なるので、最後にスロット32に挿入される単位コイル1のスロット底部側(矢印Y2方向側)に配されるコイルサイド11(巻終り部側コイルサイド11d2)は、スロット32の中央部付近に配される。
単位コイル群135についても同様であり、同図では、スロット32の底部に配されるコイルサイド11は、巻始め部側コイルサイド11e1で示され、スロット32の中央部付近に配されるコイルサイド11は、巻終り部側コイルサイド11e2で示されている。同図に示すように、コイル10の巻終り部10eは、スロット32の中央部付近に配される巻終り部側コイルサイド11e2から引出されている。
図21は、コイル引出し部221側軸方向(矢印Z1方向)視において、1つの極対コイル22がスロット32に配設された状態を模式的に示す模式図である。図22は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)からスロット底部側(矢印Y2方向側)に向かう方向から視た1つの極対コイル22を模式的に示す模式図である。図23は、スロット32の相配置を模式的に示す模式図である。図21は、図3に対応し、図22は、図4に対応し、図23は、図8に対応している。図21〜図23は、既述の図面と同様に図示されており、重複する説明を省略する。
図21および図22に示すように、比較形態では、スロット32の中央部付近に配されるコイルサイド11(図20の巻始め部側コイルサイド11a1に相当)から第一コイル引出し部221fが引出されており、スロット32の中央部付近に配されるコイルサイド11(図20の巻終り部側コイルサイド11e2に相当)から第二コイル引出し部221sが引出されている。図21に示すように、スロット32の中央部付近は、単位コイル群13を構成する各単位コイル1のコイルエンド12が配策され、隣接する単位コイル群13,13を接続する単位コイル間接続部211が配策されている。
さらに、スロット32の中央部付近から一対のコイル引出し部221(第一コイル引出し部221fおよび第二コイル引出し部221s)が引出され、極コイル間接続部222の配策が為されると、極対コイル22のすべての配策がスロット32の中央部付近に集中することになる。そのため、比較形態では、本実施形態と比べて、コイル10の引回しや結線作業のために余分にスペースを確保する必要がある。また、比較形態では、すべての配策がスロット32の中央部付近に集中するので、バックヨーク部311側のスペースやスロット開口部側(矢印Y1方向側)のコイルエンド12近傍のスペースなどを活用することができない。
なお、図21に示すように、一対のコイル引出し部221(第一コイル引出し部221fおよび第二コイル引出し部221s)をバックヨーク部311側まで引出し、極コイル間接続部222をスロット開口部側(矢印Y1方向側)まで引出すことも考えられる。しかしながら、この場合、本実施形態と比べて、一対のコイル引出し部221(第一コイル引出し部221fおよび第二コイル引出し部221s)および極コイル間接続部222の配策長が増加し、固定子コイル2が大型化する。また、一対のコイル引出し部221(第一コイル引出し部221fおよび第二コイル引出し部221s)および極コイル間接続部222を引出すための引出しスペースが余分に必要となり、固定子コイル2が大型化する。
図21および図23に示すように、比較形態では、単位コイル間接続部211の長さは、隣接単位コイル群14を構成する単位コイル1のコイルエンド12の長さと比べて短い。そのため、単位コイル間接続部211は、本実施形態と比べて、スロット開口部側(矢印Y1方向側)のコイルサイド11と、スロット底部側(矢印Y2方向側)のコイルサイド11とを接続することが困難であり、単位コイル間接続部211は、スロット32の中央部側のコイルサイド11,11同士を接続することになる。その結果、すべての配策がスロット32の中央部付近に集中することになる。
一方、本実施形態では、単位コイル間接続部211の長さは、隣接単位コイル群14を構成する単位コイル1のコイルエンド12の長さと比べて長く設定されている。そのため、単位コイル間接続部211は、比較形態と比べて、スロット開口部側(矢印Y1方向側)のコイルサイド11と、スロット底部側(矢印Y2方向側)のコイルサイド11とを接続することが容易である。その結果、一対のコイル引出し部221(第一コイル引出し部221fおよび第二コイル引出し部221s)は、スロット底部側(矢印Y2方向側)のコイルサイド11,11(第一コイルサイド111および第二コイルサイド112)から引出すことができ、極コイル間接続部222は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)のコイルサイド11,11(第三コイルサイド113および第四コイルサイド114)を接続することができる。
本実施形態の回転電機100によれば、極対コイル22は、コイル10を同一方向に連続して巻進める一方向連続巻によって形成されている。よって、本実施形態の回転電機100は、固定子コイル2の相コイル23全体を一方向連続巻によって形成する場合と比べて、固定子コイル2の固定子3への組み込み作業を容易にすることができる。また、本実施形態の回転電機100は、単位コイル1間および極コイル21間の接合が不要となるので、作業工数を低減することができ、接合に要するコイル引回しが不要となり、固定子コイル2の小型化を図ることができる。なお、極コイル21,21をそれぞれ個別に一方向連続巻によって形成する場合は、単位コイル1間の接合が不要となり、同様の効果を得ることができる。ただし、この場合は、極コイル21,21の形成後に、極コイル間接続部222によって、2つの極コイル21,21を直列接続する必要がある。
また、本実施形態の回転電機100によれば、単位コイル間接続部211は、隣接単位コイル群14を構成する単位コイル1のコイルエンド12に沿って配され、単位コイル間接続部211の長さは、当該単位コイル1のコイルエンド12の長さと比べて長く設定されている。よって、本実施形態の回転電機100は、一方向連続巻によって形成された極対コイル22の巻始め部10sおよび巻終り部10eを、スロット底部側(矢印Y2方向側)に配することができる。その結果、本実施形態の回転電機100は、一方向連続巻によって形成された極対コイル22の巻始め部10sおよび巻終り部10eがスロット中央部付近に配される場合と比べて、バックヨーク部311側のスペースやスロット開口部側(矢印Y1方向側)のコイルエンド12近傍のスペースなどを活用することができる。したがって、コイル10の引回しや結線作業のために余分なスペースを確保する必要がなく、本実施形態の回転電機100は、固定子コイル2の小型化および低コスト化を図ることができる。
さらに、本実施形態の回転電機100によれば、一対のコイル引出し部221は、最もスロット底部側(矢印Y2方向側)に配された所定のコイルサイド11,11(第一コイルサイド111,第二コイルサイド112)から引出されており、一対のコイル引出し部221を介して相コイル23が構成されている。よって、相コイル23の配策は、バックヨーク部311側のスペースを活用することができる。その結果、一対のコイル引出し部221近傍のコイル引回しのためのスペースを低減することができ、作業工数の低減および作業性の向上を図ることができる。
また、本実施形態の回転電機100によれば、極コイル間接続部222は、最もスロット開口部側(矢印Y1方向側)に配された所定のコイルサイド11,11(第三コイルサイド113,第四コイルサイド114)同士を接続する。よって、隣接する2つの極コイル21,21間の配策は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)のコイルエンド12近傍のスペースを活用することができる。その結果、極コイル間接続部222近傍のコイル引回しのためのスペースを低減することができ、作業工数の低減および作業性の向上を図ることができる。このように、本実施形態の回転電機100によれば、一対のコイル引出し部221および極コイル間接続部222は、スロット深さ方向(矢印Y方向)において分散して配されているので、作業スペースを確保し易く、作業工数の低減および作業性の向上を図ることができる。
<第2実施形態>
本実施形態は、第1実施形態と比べて、第一極コイル21fを構成する単位コイル群13の数および第二極コイル21sを構成する単位コイル群13の数が異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図24は、コイル引出し部221側軸方向(矢印Z1方向)視において、1つの極対コイル22がスロット32に配設された状態を模式的に示す模式図である。図25は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)からスロット底部側(矢印Y2方向側)に向かう方向から視た1つの極対コイル22を模式的に示す模式図である。図26は、スロット32の相配置を模式的に示す模式図である。図24は、図3に対応し、図25は、図4に対応し、図26は、図8に対応している。図24〜図26は、既述の図面と同様に図示されており、重複する説明を省略する。
ここで、第一極コイル21fを構成する単位コイル群13の数を第一単位コイル群数とし、第二極コイル21sを構成する単位コイル群13の数を第二単位コイル群数とする。本実施形態では、第一単位コイル群数は2であり、第二単位コイル群数は3である。つまり、第一単位コイル群数は、第二単位コイル群数と比べて少ない。このとき、図25および図26に示すように、極コイル間接続部222の可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の接続長は、8スロットピッチになっている。
一方、第1実施形態では、第一単位コイル群数は3であり、第二単位コイル群数は2である。つまり、第一単位コイル群数は、第二単位コイル群数と比べて多い。このとき、図4および図8に示すように、極コイル間接続部222の可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の接続長は、7スロットピッチになっている。なお、第1実施形態および第2実施形態のいずれの形態においても、固定子コイル2は、毎極毎相スロット数が整数でない分数スロット巻で形成されている。第1実施形態の回転電機100によれば、固定子コイル2は、毎極毎相スロット数が整数でない分数スロット巻で形成されており、第一単位コイル群数は、第二単位コイル群数と比べて多い。そのため、極コイル間接続部222の可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の接続長は、第2実施形態と比べて短くすることができ(この場合、1スロットピッチ分)、固定子コイル2をさらに小型化することができる。
なお、図25に示すように、本実施形態においても、極対コイル22は、一方向連続巻によって形成されている。また、図24および図26に示すように、本実施形態においても、単位コイル間接続部211は、隣接単位コイル群14を構成する単位コイル1のコイルエンド12に沿って配され、単位コイル間接続部211の長さは、当該単位コイル1のコイルエンド12の長さと比べて長く設定されている。よって、本実施形態の回転電機100は、第1実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
また、図24および図25に示すように、第一コイル引出し部221fは、第一コイルサイド111から引出されており、第二コイル引出し部221sは、第二コイルサイド112から引出されている。さらに、極コイル間接続部222は、第三コイルサイド113と第四コイルサイド114とを接続している。よって、本実施形態の回転電機100は、第1実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
<第3実施形態>
本実施形態は、第1実施形態と比べて、一対のコイル引出し部221が引出されるコイルサイド11,11が異なり、極コイル間接続部222が接続するコイルサイド11,11が異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図27は、コイル引出し部221側軸方向(矢印Z1方向)視において、1つの極対コイル22がスロット32に配設された状態を模式的に示す模式図である。図28は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)からスロット底部側(矢印Y2方向側)に向かう方向から視た1つの極対コイル22を模式的に示す模式図である。図29は、スロット32の相配置を模式的に示す模式図である。図27は、図3に対応し、図28は、図4に対応し、図29は、図8に対応している。図27〜図29は、既述の図面と同様に図示されており、重複する説明を省略する。
本実施形態では、第一コイル引出し部221fは、第五コイルサイド115から引出されており、第二コイル引出し部221sは、第六コイルサイド116から引出されている。第五コイルサイド115は、第一極コイル21fを構成する単位コイル1のうちの最も第二方向(矢印X2方向)側の単位コイル1の第一方向(矢印X1方向)側のコイルサイド11であって、最もスロット開口部側(矢印Y1方向側)に配されたコイルサイド11をいう。第六コイルサイド116は、第二極コイル21sを構成する単位コイル1のうちの最も第二方向(矢印X2方向)側の単位コイル1の第一方向(矢印X1方向)側のコイルサイド11であって、最もスロット開口部側(矢印Y1方向側)に配されたコイルサイド11をいう。
また、極コイル間接続部222は、第七コイルサイド117と第八コイルサイド118とを接続している。第七コイルサイド117は、第一極コイル21fを構成する単位コイル1のうちの最も第一方向(矢印X1方向)側の単位コイル1の第二方向(矢印X2方向)側のコイルサイド11であって、最もスロット底部側(矢印Y2方向側)に配されたコイルサイド11をいう。第八コイルサイド118は、第二極コイル21sを構成する単位コイル1のうちの最も第一方向(矢印X1方向)側の単位コイル1の第二方向(矢印X2方向)側のコイルサイド11であって、最もスロット底部側(矢印Y2方向側)に配されたコイルサイド11をいう。
図27および図28に示すように、本実施形態では、一対のコイル引出し部221は、最もスロット開口部側(矢印Y1方向側)に配された所定のコイルサイド11,11(第五コイルサイド115および第六コイルサイド116)からスロット底部側(矢印Y2方向側)に向かって引出されており、一対のコイル引出し部221を介して相コイル23が構成されている。一対のコイル引出し部221は、コイルエンド12を跨いでバックヨーク部311側へ引出されているので、本実施形態の回転電機100は、一対のコイル引出し部221がコイルエンド12を跨ぐ分、コイル引出し部221側の軸方向(矢印Z方向)へ固定子コイル2が大型化する。
一方、図3および図4に示すように、第1実施形態では、一対のコイル引出し部221は、最もスロット底部側(矢印Y2方向側)に配された所定のコイルサイド11,11(第一コイルサイド111,第二コイルサイド112)から引出されている。よって、一対のコイル引出し部221は、コイルエンド12を跨ぐことなくバックヨーク部311側へ引出されている。したがって、第1実施形態の回転電機100は、第3実施形態と比べて、コイル引出し部221側の軸方向(矢印Z方向)への固定子コイル2の大型化を抑制することができる。
なお、図28に示すように、本実施形態においても、極対コイル22は、一方向連続巻によって形成されている。また、図27および図29に示すように、単位コイル間接続部211は、隣接単位コイル群14を構成する単位コイル1のコイルエンド12に沿って配され、単位コイル間接続部211の長さは、当該単位コイル1のコイルエンド12の長さと比べて長く設定されている。よって、本実施形態の回転電機100は、一方向連続巻によって形成された極対コイル22の巻始め部10sおよび巻終り部10eを、スロット開口部側(矢印Y1方向側)に配することができる。その結果、本実施形態の回転電機100は、一方向連続巻によって形成された極対コイル22の巻始め部10sおよび巻終り部10eがスロット中央部付近に配される場合と比べて、バックヨーク部311側のスペースやスロット開口部側(矢印Y1方向側)のコイルエンド12近傍のスペースなどを活用することができる。したがって、コイル10の引回しや結線作業のために余分なスペースを確保する必要がなく、本実施形態の回転電機100は、固定子コイル2の小型化および低コスト化を図ることができる。
また、図3に示すように、第1実施形態では、第一極コイル21fを構成する単位コイル1の巻進行方向(矢印W1方向)は、スロット底部側(矢印Y2方向側)からスロット開口部側(矢印Y1方向側)に向かう方向である。一方、図27に示すように、本実施形態では、第一極コイル21fを構成する単位コイル1の巻進行方向(矢印W1方向)は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)からスロット底部側(矢印Y2方向側)に向かう方向である。このように、本実施形態では、第1実施形態と比べて、第一極コイル21fを構成する単位コイル1の巻進行方向(矢印W1方向)が、逆方向になっている。このことは、第二極コイル21sを構成する単位コイル1の巻進行方向(矢印W2方向)についても同様である。
さらに、図8および図29に示すように、第1実施形態において通電方向が順方向のコイルサイド11(*が示されていない相)は、本実施形態では、通電方向が逆方向のコイルサイド11(*が示されている相)になっている。同様に、第1実施形態において通電方向が逆方向のコイルサイド11(*が示されている相)は、本実施形態では、通電方向が順方向のコイルサイド11(*が示されていない相)になっている。このように、本実施形態では、第1実施形態と比べて、コイルサイド11の通電方向関係が逆転している。
なお、第一極コイル21fおよび第二極コイル21sをそれぞれ個別に一方向連続巻によって形成する場合は、第五コイルサイド115は、第一極コイル21fの巻始め部に直近のコイルサイド11であり、第七コイルサイド117は、第一極コイル21fの巻終り部に直近のコイルサイド11である。また、第六コイルサイド116は、第二極コイル21sの巻始め部に直近のコイルサイド11であり、第八コイルサイド118は、第二極コイル21sの巻終り部に直近のコイルサイド11である。
第一極コイル21fの巻始め部は、既述の巻始め部10sに相当し、第二極コイル21sの巻始め部は、既述の巻終り部10eに相当する。また、第一極コイル21fおよび第二極コイル21sがそれぞれ個別に一方向連続巻によって形成された後、第七コイルサイド117(第一極コイル21fの巻終り部)と第八コイルサイド118(第二極コイル21sの巻終り部)とが極コイル間接続部222によって接続される。
この場合においても、第一極コイル21fを構成する単位コイル1の各々は、巻始めがスロット開口部側(矢印Y1方向側)から始まり、コイル10の巻進行方向(矢印W1方向)視において、巻方向が反時計回り方向である。また、第二極コイル21sを構成する単位コイル1の各々は、巻始めがスロット開口部側(矢印Y1方向側)から始まり、コイル10の巻進行方向(矢印W2方向)視において、巻方向が反時計回り方向である。ただし、この場合、巻進行方向(矢印W1方向)および巻進行方向(矢印W2方向)は、いずれもスロット開口部側(矢印Y1方向側)からスロット底部側(矢印Y2方向側)に向かう方向(図27の巻進行方向(矢印W2方向)のみを反転した方向)である。
<第4実施形態>
本実施形態は、第1実施形態と比べて、第一極コイル21fを構成する単位コイル群13の数および第二極コイル21sを構成する単位コイル群13の数が異なる。また、本実施形態は、第1実施形態と比べて、一対のコイル引出し部221が引出されるコイルサイド11,11が異なり、極コイル間接続部222が接続するコイルサイド11,11が異なる。つまり、本実施形態の回転電機100は、第2実施形態および第3実施形態で既述の特徴構成を併せ持っている。以下、第2実施形態および第3実施形態の説明を参照しつつ、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図30は、コイル引出し部221側軸方向(矢印Z1方向)視において、1つの極対コイル22がスロット32に配設された状態を模式的に示す模式図である。図31は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)からスロット底部側(矢印Y2方向側)に向かう方向から視た1つの極対コイル22を模式的に示す模式図である。図32は、スロット32の相配置を模式的に示す模式図である。図30は、図3、図24および図27に対応し、図31は、図4、図25および図28に対応し、図32は、図8、図26および図29に対応している。図30〜図32は、既述の図面と同様に図示されており、重複する説明を省略する。
本実施形態では、第一コイル引出し部221fは、第五コイルサイド115から引出されており、第二コイル引出し部221sは、第六コイルサイド116から引出されている。また、極コイル間接続部222は、第七コイルサイド117と第八コイルサイド118とを接続している。第五コイルサイド115〜第八コイルサイド118は、第3実施形態で既述のコイルサイド11と同様である。
図30および図31に示すように、本実施形態では、一対のコイル引出し部221は、最もスロット開口部側(矢印Y1方向側)に配された所定のコイルサイド11,11(第五コイルサイド115および第六コイルサイド116)からスロット底部側(矢印Y2方向側)に向かって引出されており、一対のコイル引出し部221を介して相コイル23が構成されている。
さらに、本実施形態では、第2実施形態と同様に、第一単位コイル群数は2であり、第二単位コイル群数は3である。つまり、第一単位コイル群数は、第二単位コイル群数と比べて少ない。このとき、図31および図32に示すように、極コイル間接続部222の可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の接続長は、7スロットピッチになっている。一方、第3実施形態では、第一単位コイル群数は3であり、第二単位コイル群数は2である。つまり、第一単位コイル群数は、第二単位コイル群数と比べて多い。このとき、図28および図29に示すように、極コイル間接続部222の可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の接続長は、8スロットピッチになっている。よって、本実施形態では、第3実施形態と比べて、極コイル間接続部222の可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の接続長が短くなり(この場合、1スロットピッチ分)、固定子コイル2をさらに小型化することができる。このように、第一単位コイル群数および第二単位コイル群数の大小と、極コイル間接続部222の可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の接続長との関係は、第1実施形態および第2実施形態の関係と異なっている。
なお、図31に示すように、本実施形態においても、極対コイル22は、一方向連続巻によって形成されている。また、図30および図32に示すように、本実施形態においても、単位コイル間接続部211は、隣接単位コイル群14を構成する単位コイル1のコイルエンド12に沿って配され、単位コイル間接続部211の長さは、当該単位コイル1のコイルエンド12の長さと比べて長く設定されている。よって、本実施形態の回転電機100は、第1実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
また、図29および図32に示すように、第3実施形態のスロット開口部側(矢印Y1方向側)の相配置は、本実施形態のスロット底部側(矢印Y2方向側)の相配置と一致し、第3実施形態のスロット底部側(矢印Y2方向側)の相配置は、本実施形態のスロット開口部側(矢印Y1方向側)の相配置と一致している。さらに、図27および図30に示すように、巻進行方向(矢印W1方向)および巻進行方向(矢印W2方向)は、第3実施形態で示す方向と同じ方向になっている。具体的には、第一極コイル21fを構成する単位コイル1の各々は、巻始めがスロット開口部側(矢印Y1方向側)から始まり、コイル10の巻進行方向(矢印W1方向)視において、巻方向が反時計回り方向である。また、第二極コイル21sを構成する単位コイル1の各々は、巻始めがスロット底部側(矢印Y2方向側)から始まり、コイル10の巻進行方向(矢印W2方向)視において、巻方向が反時計回り方向である。
<第5実施形態>
本実施形態は、第1実施形態と比べて、単位コイル1の巻方向が異なり、本実施形態の極対コイル22および第1実施形態の極対コイル22は、スロット中央面32cを境界面にして、鏡面対称関係になっている。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図33は、コイル引出し部221側軸方向(矢印Z1方向)視において、1つの極対コイル22がスロット32に配設された状態を模式的に示す模式図である。図34は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)からスロット底部側(矢印Y2方向側)に向かう方向から視た1つの極対コイル22を模式的に示す模式図である。図35は、スロット32の相配置を模式的に示す模式図である。図33は、図3に対応し、図34は、図4に対応し、図35は、図8に対応している。図33〜図35は、既述の図面と同様に図示されており、重複する説明を省略する。
本実施形態の極対コイル22および第1実施形態の極対コイル22は、スロット中央面32cを境界面にして、鏡面対称関係になっている。スロット中央面32cは、スロット32をスロット深さ方向(矢印Y方向)に、かつ、回転電機100の軸方向(矢印Z方向)に二等分する仮想の面であり、図1では、スロット中央面32cは、スロット32の中心線として示されている。
図33に示す極対コイル22は、スロット中央面32cを境界面にして、図3に示す極対コイル22を折り返した状態(鏡像)を示している。その結果、第一極コイル21fは、紙面右側に配され、第二極コイル21sは、紙面左側に配される。図35に示すように、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)のうちの一の方向であって、相コイル23の相順に逆行する方向は、紙面左側から紙面右側に向かう方向であり、第一方向(矢印X1方向)は、第1実施形態で既述の方向と反対方向になる。同様に、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)のうちの他の方向であって、相コイル23の相順に順行する方向は、紙面右側から紙面左側に向かう方向であり、第二方向(矢印X2方向)は、第1実施形態で既述の方向と反対方向になる。
図33に示すように、本実施形態においても、複数の単位コイル1の各々は、第一方向(矢印X1方向)側のコイルサイド11が一のスロット32のスロット開口部側(矢印Y1方向側)に配され、第二方向(矢印X2方向)側のコイルサイド11が他のスロット32のスロット底部側(矢印Y2方向側)に配されるように、重巻の二層巻で巻装されている。
また、図34に示すように、極対コイル22は、一方向連続巻によって形成されている。さらに、図33および図35に示すように、単位コイル間接続部211は、隣接単位コイル群14を構成する単位コイル1のコイルエンド12に沿って配され、単位コイル間接続部211の長さは、当該単位コイル1のコイルエンド12の長さと比べて長く設定されている。よって、本実施形態の回転電機100は、第1実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
また、図33および図34に示すように、第一コイル引出し部221fは、第一コイルサイド111から引出されており、第二コイル引出し部221sは、第二コイルサイド112から引出されている。さらに、極コイル間接続部222は、第三コイルサイド113と第四コイルサイド114とを接続している。よって、本実施形態の回転電機100は、第1実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
なお、図33に示すように、本実施形態では、複数の単位コイル1の各々は、コイル10の巻進行方向(矢印W1方向または矢印W2方向)視において、巻方向が時計回り方向になっている。具体的には、第一極コイル21fを構成する単位コイル1の各々は、巻始めがスロット底部側(矢印Y2方向側)から始まり、コイル10の巻進行方向(矢印W1方向)視において、巻方向が時計回り方向である。また、第二極コイル21sを構成する単位コイル1の各々は、巻始めがスロット開口部側(矢印Y1方向側)から始まり、コイル10の巻進行方向(矢印W2方向)視において、巻方向が時計回り方向である。
なお、本実施形態では、複数の単位コイル1の各々は、コイル10の巻進行方向(矢印W1方向または矢印W2方向)視において、巻方向が時計回り方向であるので、各単位コイル1に流れる電流の位相が第1実施形態と同じであると、磁極配置(磁極の極性)が反転し、磁極配置の鏡面関係が維持できなくなる。そこで、本実施形態では、各単位コイル1に流す電流は、第1実施形態と比べて、電気角で180°位相をずらす必要がある。
このように、本実施形態では、単位コイル1の巻方向の選択(時計回り方向または反時計回り方向)により、スロット中央面32cを境界面にして、鏡面対称関係にある固定子コイル2を形成することができる。以上のことは、第2実施形態〜第4実施形態においても同様であり、単位コイル1の巻方向の選択(時計回り方向または反時計回り方向)により、各実施形態の固定子コイル2と鏡面対称関係にある固定子コイル2をそれぞれ形成することができる。
<第6実施形態>
本実施形態は、第1実施形態と比べて、毎極毎相スロット数が異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図36は、コイル引出し部221側軸方向(矢印Z1方向)視において、1つの極対コイル22がスロット32に配設された状態を模式的に示す模式図である。図37は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)からスロット底部側(矢印Y2方向側)に向かう方向から視た1つの極対コイル22を模式的に示す模式図である。図38は、スロット32の相配置を模式的に示す模式図である。図36は、図3に対応し、図37は、図4に対応し、図38は、図8に対応している。図36〜図38は、既述の図面と同様に図示されており、重複する説明を省略する。
本実施形態の回転電機100は、8極36スロットの回転電機であり、毎極毎相スロット数が1.5である。そのため、図36〜図38に示すように、第一極コイル21fは、隣接単位コイル群14を有しているが、第二極コイル21sは、隣接単位コイル群14を有しない。
本実施形態では、隣接単位コイル群14を有する第一極コイル21fにおいて、単位コイル間接続部211は、隣接単位コイル群14を構成する単位コイル1のコイルエンド12に沿って配され、単位コイル間接続部211の長さは、当該単位コイル1のコイルエンド12の長さと比べて長く設定されている。また、隣接単位コイル群14を有しない第二極コイル21sにおいても、単位コイル群13を構成する単位コイル1の各コイルエンド12は交差しないので、図37に示すように、極対コイル22は、一方向連続巻によって形成することができる。よって、本実施形態の回転電機100は、第1実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
以上のことは、第二極コイル21sに隣接単位コイル群14を有し、第一極コイル21fに隣接単位コイル群14を有しない実施形態についても同様である。このように、極対コイル22は、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)に隣接する2つの極コイル21,21のうちの少なくとも一方の極コイル21に隣接単位コイル群14を含んでいれば良い。
本実施形態では、回転電機100は、毎極毎相スロット数が1.5であるので、単位コイル1の巻ピッチ(一対のコイルサイド11,11間のピッチ)は、毎極スロット数4.5より短い巻ピッチ(4スロットピッチ)に設定されている。また、図37および図38に示すように、単位コイル間接続部211の可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の接続長は、5スロットピッチであり、単位コイル1の巻ピッチ(4スロットピッチ)と比べて、1スロットピッチ分、長い。さらに、極コイル間接続部222の可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の接続長は、4スロットピッチであり、単位コイル1の巻ピッチと同じ長さになっている。
なお、毎極毎相スロット数は、2.5や1.5に限定されるものではなく、3.5以上であっても良い。つまり、固定子コイル2は、毎極毎相スロット数が整数でない分数スロット巻で巻装することができる。以上のことは、第2実施形態〜第5実施形態についても同様である。
<第7実施形態>
本実施形態は、第1実施形態と比べて、毎極毎相スロット数が異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図39は、コイル引出し部221側軸方向(矢印Z1方向)視において、1つの極対コイル22がスロット32に配設された状態を模式的に示す模式図である。図40は、スロット開口部側(矢印Y1方向側)からスロット底部側(矢印Y2方向側)に向かう方向から視た1つの極対コイル22を模式的に示す模式図である。図41は、スロット32の相配置を模式的に示す模式図である。図39は、図3に対応し、図40は、図4に対応し、図41は、図8に対応している。図39〜図41は、既述の図面と同様に図示されており、重複する説明を省略する。
本実施形態の回転電機100は、8極48スロットの回転電機であり、毎極毎相スロット数は2である。そのため、図39および図40に示すように、第一単位コイル群数および第二単位コイル群数は、同数(本実施形態では、それぞれ2つ)になっている。図40に示すように、本実施形態においても、極対コイル22は、一方向連続巻によって形成されている。また、図39および図41に示すように、本実施形態においても、単位コイル間接続部211は、隣接単位コイル群14を構成する単位コイル1のコイルエンド12に沿って配され、単位コイル間接続部211の長さは、当該単位コイル1のコイルエンド12の長さと比べて長く設定されている。よって、本実施形態の回転電機100は、第1実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
本実施形態では、単位コイル1の巻ピッチ(一対のコイルサイド11,11間のピッチ)は、毎極スロット数6と同じ巻ピッチ(6スロットピッチ)に設定されている。また、図40および図41に示すように、単位コイル間接続部211の可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の接続長は、7スロットピッチであり、単位コイル1の巻ピッチ(6スロットピッチ)と比べて、1スロットピッチ分、長い。さらに、極コイル間接続部222の可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の接続長は、6スロットピッチであり、単位コイル1の巻ピッチと同じ長さになっている。
なお、本実施形態では、第一単位コイル群数および第二単位コイル群数は、同数であるので、スロット中央面32cを境界面にして、本実施形態の固定子コイル2と鏡面対称関係にある極対コイル22の極コイル間接続部222の可動子磁極の移動方向(矢印X方向)の接続長は、6スロットピッチである。また、固定子コイル2は、第3実施形態と同様の方法で巻装することもできる。さらに、毎極毎相スロット数は、2に限定されるものではなく、3以上であっても良い。つまり、固定子コイル2は、毎極毎相スロット数が整数である整数スロット巻で巻装することができる。
<第8実施形態>
本実施形態は、第1実施形態と比べて、可動子5が固定子3の外方に設けられている点で異なり、各単位コイル1のコイル10の巻進行方向(矢印W1方向または矢印W2方向)視における巻方向が時計回り方向になっている点で異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図42は、コイル引出し部221側軸方向(矢印Z1方向)視において、1つの極対コイル22がスロット32に配設された状態を模式的に示す模式図である。図43は、スロット底部側(矢印Y2方向側)からスロット開口部側(矢印Y1方向側)に向かう方向から視た1つの極対コイル22を模式的に示す模式図である。図44は、スロット32の相配置を模式的に示す模式図である。図42は、図3に対応し、図43は、図4に対応し、図44は、図8に対応している。図42〜図44は、既述の図面と同様に図示されており、重複する説明を省略する。
ここで、図1に示す固定子3と可動子5との間の空隙に形成される仮想の面であって、可動子磁極の移動方向(矢印X方向)に延在する面を空隙面6gとする。図42に示す極対コイル22は、空隙面6gを境界面にして、図3に示す極対コイル22を折り返した状態(鏡像)を示している。スロット開口部側(矢印Y1方向側)は、紙面上側であり、スロット底部側(矢印Y2方向側)は、紙面下側である。なお、第一方向(矢印X1方向)および第二方向(矢印X2方向)は、第1実施形態で既述の方向と同じ方向である。
本実施形態では、複数の単位コイル1の各々は、コイル10の巻進行方向(矢印W1方向または矢印W2方向)視において、巻方向が時計回り方向になっている。具体的には、第一極コイル21fを構成する単位コイル1の各々は、巻始めがスロット底部側(矢印Y2方向側)から始まり、コイル10の巻進行方向(矢印W1方向)視において、巻方向が時計回り方向である。また、第二極コイル21sを構成する単位コイル1の各々は、巻始めがスロット開口部側(矢印Y1方向側)から始まり、コイル10の巻進行方向(矢印W2方向)視において、巻方向が時計回り方向である。
なお、本実施形態では、複数の単位コイル1の各々は、コイル10の巻進行方向(矢印W1方向または矢印W2方向)視において、巻方向が時計回り方向であるので、各単位コイル1に流れる電流の位相が第1実施形態と同じであると、空隙面6gに発生する磁極配置(磁極の極性)が反転し、空隙面6gに発生する磁極配置の鏡面関係が維持できなくなる。そこで、本実施形態では、各単位コイル1に流す電流は、第1実施形態と比べて、電気角で180°位相をずらす必要がある。このように、本実施形態では、単位コイル1の巻方向の選択(時計回り方向または反時計回り方向)により、固定子3と可動子5との間の空隙面6gを境界面にして、鏡面対称関係にある固定子コイル2を形成することができる。
図42に示すように、本実施形態においても、複数の単位コイル1の各々は、第一方向(矢印X1方向)側のコイルサイド11が一のスロット32のスロット開口部側(矢印Y1方向側)に配され、第二方向(矢印X2方向)側のコイルサイド11が他のスロット32のスロット底部側(矢印Y2方向側)に配されるように、重巻の二層巻で巻装されている。
また、図43に示すように、極対コイル22は、一方向連続巻によって形成されている。さらに、図42および図44に示すように、単位コイル間接続部211は、隣接単位コイル群14を構成する単位コイル1のコイルエンド12に沿って配され、単位コイル間接続部211の長さは、当該単位コイル1のコイルエンド12の長さと比べて長く設定されている。よって、本実施形態の回転電機100は、第1実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
また、図42および図43に示すように、第一コイル引出し部221fは、第一コイルサイド111から引出されており、第二コイル引出し部221sは、第二コイルサイド112から引出されている。さらに、極コイル間接続部222は、第三コイルサイド113と第四コイルサイド114とを接続している。よって、本実施形態の回転電機100は、第1実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
このように、各単位コイル1のコイル10の巻進行方向(矢印W1方向または矢印W2方向)視における巻方向が時計回り方向になっている点と、各単位コイル1に流す電流が、第1実施形態と比べて、電気角で180°位相がずれている点とを除いて、本実施形態の固定子コイル2は、第1実施形態の固定子コイル2と同様である。よって、固定子3の外方に可動子5が設けられている回転電機100の固定子コイル2においても、第2実施形態〜第7実施形態で既述の特徴構成と同様の特徴構成を備えることができ、第2実施形態〜第7実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
<その他>
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。例えば、上記実施形態では、8極の回転電機を例に説明したが、極数およびスロット数は、実施形態で示す極数およびスロット数に限定されるものではない。また、回転電機は、固定子3および可動子5が同軸に配されるラジアル空隙型の円筒状回転電機に限定されるものではなく、固定子3および可動子5が直線上に配され、可動子5が固定子3に対して直線上に移動するリニア型回転電機に適用することもできる。さらに、本発明の固定子コイル2は、重巻の二層巻で巻装された種々の回転電機に用いることができ、例えば、車両の駆動用電動機、発電機、産業用の電動機、発電機などに用いることができる。