JP6405348B2 - 紫外線殺菌方法 - Google Patents

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Description

本発明は、紫外線を用いた殺菌方法に関する。
紫外線殺菌は、薬剤による殺菌とは異なり、残留する物がなく、安全性が高く、被照射物にはほとんど変化を与えない。そのため、安心と安全性を求められる食品や医療品などに対する殺菌方法として適している。そして、紫外線殺菌を様々な場面での殺菌に用いることが提案されている。
例えば、特許文献1には、「殺菌作用を有する200〜350nmの波長の深紫外線に対する透過性を有する材料で周囲が構成された、流体からなる被殺菌体が流通するための流路と、該流路の外部に配置され、殺菌作用を有する前記深紫外線を出射する光源と、を有し、前記流路内を流通する被殺菌体に該光源から出射する前記深紫外線を照射することにより殺菌を行う紫外線殺菌装置であって、前記光源は、円筒状若しくは多角柱状の基体の側面上に複数の“深紫外線を発光する紫外線発光素子”を、各紫外線発光素子の光軸が前記円筒状若しくは多角柱状の基体の中心軸を通るように配置して、前記深紫外線が前記中心軸に対して放射状に出射されるようにした紫外線発光素子配置基体と、深紫外線透過性材料から形成されるカバーと、を有し、当該カバーは、前記紫外線発光素子配置基体を覆うと共に内部に不活性ガス又は乾燥空気を封入するようにして前記紫外線発光素子配置基体に気密に装着されており、前記円筒状若しくは多角柱状の基体の内部に冷却用媒体用流路を形成して当該冷却用媒体用流路に冷却用媒体を流通させるようにした深紫外線発光モジュールからなり、前記紫外線殺菌装置は、長楕円反射ミラー又は方物面反射ミラーの焦点軸上に前記光源を配置して、前記光源から放射状に出射される前記深紫外線を集光して出射する集光深紫外線出射ユニットを有し、該集光深紫外線出射ユニットから出射される集光された前記深紫外線を前記被殺菌体に照射するようにしたことを特徴とする紫外線殺菌装置」が記載されている。
特許文献2には、「目標物体内の微生物を滅菌するための方法であって、広スペクトル大強度短持続時間多色光パルスを生成するステップと、前記目標物体に生成された光のパルスを配光することにより前記目標物体において微生物を不活化するステップと、前記目標物体に照射する前記光パルスの量の尺度として前記光パルスの一部を受光するステップと、前記光パルスの前記一部の受光に応答して出力信号を生成するステップと、前記出力信号の生成に応答して前記目標物体における微生物の所定レベルの不活化を行なうのに前記光パルスが充分であるかを判定するステップと、を含むことを特徴とする方法」が記載されている。ここで、広スペクトルの多色光とは、例えば、遠紫外域(200〜300ナノメートル)から近紫外域(300〜380ナノメートル)、可視光(380〜780ナノメートル)、赤外域(780〜1100ナノメートル)にわたる波長を有する光であり、そのエネルギー分布は、夫々およそ25%が紫外線、45%が可視光、30%が赤外線である。また、上記目標物体とは、例えば、非経口溶液や注腸溶液やコンタクトレンズが、塩化ビニルやポリオレフィンなどの紫外線透過性の樹脂で製造された可撓性ポーチに充填、封止された、所謂“非経口又は注腸パッケージ”や“コンタクトレンズ・パッケージ”である。そして、該方法では、たとえば上記各種パッケージの肉厚部分(具体的には添加ポートおよび/または投与ポート周辺等)や、処理が必要な被殺菌体が多く存在しているパッケージの中央部付近のようなところに、リフレクタ等を用いて多くの量の上記広スペクトル大強度短持続時間多色光パルスを配光することによって、上記パッケージの内部に含まれる製品に懸濁した微生物の滅菌又は不活化を行っている。
特許文献3には、「液体を紫外線照射器の前に通し、当該液体に紫外線を照射して殺菌する液体殺菌方法において、前記紫外線が照射される箇所での液体の厚みを、前記液体の表面での紫外線照度と当該表面からの最遠点での紫外線照度との比である照度比を20%以上とする厚みに制限しつつ、殺菌する微生物の生残率を所定値以下とする紫外線照射量が前記紫外線の照射箇所において得られる照射線強度、或いは照射時間で紫外線を照射することを特徴とする液体殺菌方法」が記載されている。
上記液体殺菌方法では、飲料水の流路を挟んで対向配置された、波長254nmの光を照射する直管型ランプを備えた一対の紫外線照射器と、この流路内に設けられ飲料水を一対の紫外線照射器の間に噴射するスリットノズルと、を有する殺菌装置が用いられている。そして、前記紫外線が照射される箇所での液体の厚みの制御は、スリットノズルのインレットから導入された飲料水がスリットのスリット幅に応じた膜厚で、スリット長に相当する長さの液膜として噴射することにより行われている。
また、特許文献4には、光源と、この光源を側面に配置した導光板とを有し、この導光板の表面または裏面の少なくとも一方が光源からの光を放射する発光面であって、導光板の発光面及び光源が配置された側面以外の面が遮光面として形成され、ピーク波長が388nm以下の光を放射することを特徴とする面発光デバイスが記載されている。
特開2014−87544号公報 特表2000−511497号公報 特開2015−62902号公報 特開2006−237563号公報
紫外線の透過率は、物質の種類に応じて変動することが知られている。たとえば、純水の紫外線透過率は比較的高いものの、紫外線を吸収する溶質が溶解した水溶液や紫外線を吸収又は散乱する懸濁物質を含む懸濁液では、紫外線透過率は低下し、その低下率は溶質や懸濁物質の種類や含有量によって著しく変化する。具体的には、蒸留水において253.7nmの紫外線に対する透過率が10%となるときの厚さ(光路長:光が試料内を透過する長さ)は300mmであるのに対し、牛乳およびジュースの同厚さは夫々0.07mmおよび0.5〜1mmであることが知られている。
そのため、溶液や懸濁液に対して、特許文献1に記載された従来の技術で紫外線殺菌を試みた場合には、殺菌が不十分となることが懸念される。また、特許文献1に記載された方法で十分な殺菌が行えたとしても紫外線殺菌後の工程(例えば容器への充填工程など)で再汚染の危険がある。
特許文献2では、広スペクトル大強度短時間多色発光パルスを照射することにより、また、特許文献3では、スリットノズルからスリット幅に応じた膜厚の液膜として被殺菌体を噴射することによって膜厚制御することにより、紫外線透過率の低い被殺菌体についても殺菌を行うことは可能である。また、特許文献2では被殺菌体を容器に充填、封止した後に紫外線殺菌を行うので上記再汚染の問題を防ぐことができる。
しかしながら、特許文献2に開示される方法は、配光を行うためには特殊な制御システムが必要であるばかりでなく、このようなシステムを用いたとしても、容器や被殺菌体の厚みムラ、照射光のスペクトルの複雑さ、パルス化による強度の変化などの系の複雑さに起因して、特に大量の被殺菌体を含む大容量のパッケージについて均一な紫外線照射を行うことは非常に困難である。事実、特許文献2の実施例における被殺菌体の容量は10ml以下が多く、最大でも120mlである。
また、特許文献3に記載された方法では、スリットノズルからスリット幅に応じた膜厚の液膜として被殺菌液体を噴射することにより膜厚制御を行うため、紫外線照射領域全体にわたって膜厚を一定に制御することが困難であるばかりでなく、噴霧するためには相当の速度で液体をノズルから噴射する必要があるため、被殺菌液体の流速を制御することが困難で、処理量にも限界がある。加えて、前記再汚染の問題もある。
さらに、特許文献2及び3に開示されている方法では、紫外線光源として発光スペクトルの広い紫外線ランプを使用しているため、短波長の紫外線照射が避けられず、被殺菌体の種類によっては、その変質が懸念されることが明らかとなった。
紫外線照射を長期間照射すると、紫外線が有するエネルギーによって物質を構成する分子の結合が切断されることに起因して、合成樹脂などが劣化することはよく知られた事実であるが、短時間の紫外線照射しか行わない紫外線殺菌において、その影響は殆ど問題視されていなかった。また、紫外線を用いて水を殺菌する方法においては、光触媒を使用する従来技術(例えば、特開2000−42382号公報、特開2012−223670号公報、特開2006−237563号公報など)が多く存在することからも明らかなように、紫外線照射により発生するヒドロキシルラジカル(OHラジカル)やオゾンなどの活性種は、有効なものと考えられてきた。
仮に、上記活性種による弊害があったとしても、光触媒を用いないようにすれば、容易に弊害を回避できると考えられる。極短波長の紫外線を照射した場合には、光触媒の非存在下であっても紫外線が水や酸素に直接作用して微量の活性種が発生するが、このような活性種の寿命は非常に短いことが知られており、通常の紫外線殺菌ではこれら微量の活性種が悪影響を及ぼすことは通常考え難い。
ところが、このような微量で短寿命の活性種であっても、その活性(酸化力)は大変強いため、被殺菌体中に有機物質が存在する場合には、健康上又は衛生上は全く問題ないレベルの僅かな量の変化を起こし、味や香りに微妙な変化をもたらすことがある。人間の味覚や嗅覚に対する感度は非常に高く、その有効成分の僅な変質も感知することができるため、特に微妙な風味を特徴とする飲料や調味料においては、紫外線殺菌によって、その品質を低下させてしまうことが十分に想定される。
このような問題が起こり得ることは、J. of Photochemistry and Photobiology A:Chemistry, Vol.137, pp177-184, 2000やChem.Eng.Technol. Vol. 21, pp187-191, 1998
に、水(HO)やFe(OH)2+が紫外線照射によってOHラジカルを発生させること、及びこれらOHラジカル生成反応において、短波長の紫外線を用いると量子効率が高くなることが示されていること、特許第4332107号公報に、表面に水を粒状に保持可能な保水面を水滴で濡れた状態にして至近距離から短波長の紫外線を照射してOHラジカルを発生させると共に、該保水面に対してエチレンガスを含む気体を通風させてエチレンをエタンと水に改質する方法が記載されているからも理解できる。
そして、このような問題が発生する確率は、紫外線強度を強くしたり、流路幅を狭くしたりすることによって、極短波長の紫外線が被殺菌体に、より多く照射されるようになることにより、確実に高まる。
そこで本発明は、味覚、香り又は風味が重要な飲料や液体調味料などの有機物を含む溶液や懸濁液の紫外線殺菌に特有の上記課題を解決し、その品質を低下させることのない紫外線殺菌方法及び装置を提供すること、更にこのような特徴を持つことに加えて、再汚染の心配がなく、しかも被殺菌体に対して均一且つ確実に紫外線照射を行うことのできる紫外線殺菌方法を提供することを課題とする。
本発明は、再汚染をできるだけ防ぐために被殺菌体を容器内に充填した状態で紫外線照射を行うという特許文献2に示されるコンセプト、及び被殺菌体の厚さを薄くして紫外線照射を確実に行うという特許文献3に示されるコンセプトを組み合わせるとともに、これらをより発展させて、前記活性種を発生させる能力の高い250nm以下、更には220nm以下といった非常に短波長の(エネルギーが大きい)紫外線をできるだけ照射しないというコンセプト、及び大量の被殺菌体を工業的規模で効率的に処理できるようにするというコンセプトに基づきなされたものである。
すなわち、本発明の殺菌方法は、
容器に充填された、有機物を含有する流体からなる被殺菌体を殺菌する方法であって、
前記被殺菌体を前記容器に充填する充填工程、
該充填工程によって前記被殺菌体が充填された前記容器の外部から、前記被殺菌体に対して、横軸を波長、縦軸を相対発光強度で表したスペクトルにおいて260nm以上280nm以下の波長領域の紫外線の相対強度の総和が全波長領域の相対強度の総和の70%以上である紫外線を照射する紫外線照射工程及び
前記被殺菌体が充填された前記容器を気密に封止する封止工程を含んでなり、
前記容器は、253nm以上280nm以下の波長領域の紫外線を透過する材料で構成された、均一の厚さを有する、紫外線透過部を有しており、
前記紫外線照射工程では、前記紫外線透過部を透過した前記紫外線を前記被殺菌体に照射し、
前記封止工程は、前記充填工程が終了してから前記紫外線照射工程が終了するまでの間に行われるか、又は前記紫外線照射工程終了後に該紫外線照射工程と同一の無菌環境下で行われる、ことを特徴とする。
ここで、253nm以上280nm以下、好ましくは260nm以上280nm以下の波長領域の紫外線を選択的に照射するとは、照射される紫外線について横軸を波長、縦軸を相対発光強度で表したスペクトルにおいて、253nm以上280nm以下、好ましくは260nm以上280nm以下の波長領域の紫外線の相対強度の総和が全波長領域の相対強度の総和の70%以上、好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上であることを意味する。この時、250nm以下の波長領域の相対強度の総和は10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下であることが好適であり、220nm以下の波長領域の相対強度の総和は7%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下であることが好適である。
上記本発明の殺菌方法では、前記封止工程を簡便に行うことができ、再汚染の危険性も低いという観点から、前記容器がヒートシール性樹脂からなる均一な厚さを有する紫外線透過性フィルムを製袋してなる可撓性袋又はヒートシール性樹脂層を含む均一な厚さを有する紫外線透過性積層樹脂フィルムを製袋してなる可撓性袋であり、前記封止工程が前記可撓性袋の開口部をヒートシールすることにより行われることが好ましく、工業的な価値が高いという理由から、前記被殺菌体が液状、ペースト状、ゼリー状又はムース状であることが好ましい。
また、前記活性種の発生をより抑制するという理由から、前記紫外線照射工程における被殺菌体の温度を、0℃を越え10℃以下とすることが好ましい。
さらに、光源として、紫外線ランプと比べて出力強度の弱い紫外線発光ダイオードを用いた場合であっても確実に紫外線殺菌できるという観点から、前記紫外線照射工程において、紫外線が照射される領域に前記紫外線を1方向又は互いに対向する2方向から照射し、更に前記領域の少なくとも一部における照射される紫外線の光軸方向の幅を、照射される紫外線が前記被殺菌体の層を透過したときの透過紫外線の放射照度が0.01mW/cmとなる前記被殺菌体の層の厚さを有効光路長と定義したときの、前記1方向又は2方向から照射される紫外線の有効光路長の総和以下とすることが好ましい。
この場合、前記光軸方向の幅を確実に制御できるという観点から、前記紫外線照射工程において、前記有効光路長の総和以下である幅の間隙を設けて互いに対向するように配置された一対の隔壁の間の空間に、被殺菌体が充填された前記容器の表面が前記隔壁と近接又は当接するようにして配置し、前記一対の隔壁の向かい合う2面の一方または両方に設けられた1又は2の紫外線発光面又は紫外線透過性窓から前記紫外線を照射することが好ましい。
また、被殺菌体の保存安定性の観点から、前記封止工程によって封止された前記容器の外表面に紫外線遮蔽処理を施す紫外線遮蔽工程を更に含んでなることが好ましい。
これら本発明の殺菌方法においては、起動時の待機時間がない、水銀を使用していない、メンテナンスが容易で寿命が長いなどの理由により、紫外線光源としては紫外線発光ダイオード(以下、UV−LEDともいう。)を有するものを使用することが好ましく、253nm〜280nmの波長領域に発光波長の主ピークを有するUV−LEDを使用することが特に好ましい。
また、他の本発明は、紫外線殺菌された食品、化粧品、医薬部外品又は医薬品が容器内に封入された容器包装詰物品を製造する方法であって、流動性を有する食品、化粧品、医薬部外品又は医薬品からなる被殺菌体を、前記本発明の殺菌方法により被殺菌体の容器への充填、紫外線照射及び容器の封止を行う工程を含んでなることを特徴とする容器包装詰物品の製造方法である。
本発明の紫外線殺菌方法では、被殺菌体を容器に充填し、容器の外部から紫外線を照射して殺菌を行うので、再汚染を防止することができる。さらに、紫外線照射装置や紫外線殺菌装置の窓材に被殺菌体が接触することがなく、窓材が汚れることがない。したがって、分解洗浄を行う必要はなく、埃の付着などの軽微な汚れの拭取り作業のような簡単な作業で常に清浄な状態(紫外線透過性が高い状態)を保つことができる。
また、253nm以上280nm以下の波長領域の紫外線を選択的に照射するため、味覚、香り又は風味が重要な飲料や液体調味料などの有機物を含む溶液や懸濁液に対して、その味覚、香り又は風味を損なうことなく紫外線殺菌を行うことができる。
さらに、前記容器の“均一の厚さを有する紫外線透過部”を通して紫外線照射を行うことによって、複雑な制御システムを用いることなく、均一な紫外線照射を行うことができる。また、紫外線透過部を薄い可撓性を有するフィルム又はシートで構成した場合には、紫外線照射領域における被殺菌体の厚み(幅)の制御も容易で、その厚みを薄くして紫外線照射を行うことができる。そのため、UV−LEDを用いた場合であっても確実に紫外線照射することができる。
さらにまた、本発明の方法において、前記封止工程によって封止された前記容器の外表面に紫外線遮蔽処理を施す紫外線遮蔽工程を付加した場合には、容器に封入された殺菌済みの被殺菌体を長期間保存する場合において、自然界からの紫外線による内容物(殺菌された被殺菌体)の変質や容器の劣化を防止することができる。
所謂レトルト食品においては、レトルトパウチに食品を封入してから加圧加熱殺菌することが必要であるのに対し、本発明の殺菌方法では加圧や加熱は必要でないため、生乳や発酵乳等の生鮮食品、生醤油、生酒など加熱や加圧ができない被殺菌体の殺菌も可能である。
また、本発明の容器包装詰物品(容器包装詰された物品)の製造方法によれば、前記したような本発明の殺菌方法による効果を得ながら、流動性を有する食品、化粧品、医薬部外品又は医薬品の容器への充填、紫外線殺菌及び容器の封止を行うことができる。しかも、加熱加圧殺菌を行う場合と比べて、装置が簡便で、エネルギーコストも小さく、製造に要する時間を短縮できるというメリットを有する。
本図は、本発明の殺菌方法の紫外線照射工程で好適に使用できる紫外線殺菌装置の横断面図である。 本図は、図1に示す紫外線殺菌装置で好適に使用できる紫外線発光モジュールの横断面図及び縦断面図である。 本図は、本発明の殺菌方法の紫外線照射工程の好適な態様を説明するための模式図である。 本図は、図3に示す態様で好適に使用される紫外線照射ユニットの概略図である。 本図は、図3に示す態様で好適に使用される別の紫外線照射ユニットの概略図である。 本図は、図3に示す態様で好適に使用される更に別の紫外線照射ユニットの概略図である。 本図は、図4に示す紫外線照射ユニットにおける光源(集光モジュール化光源)の横断面図である。 本図は、図4に示す紫外線照射ユニットにおける光源(集光モジュール化光源)の側面図である。
本発明の殺菌方法は、容器に充填された、有機物を含有する流体からなる被殺菌体を殺菌する方法であって、前記被殺菌体を前記容器に充填する充填工程、該充填工程によって前記被殺菌体が充填された前記容器の外部から、前記被殺菌体に対して、横軸を波長、縦軸を相対発光強度で表したスペクトルにおいて260nm以上280nm以下の波長領域の紫外線の相対強度の総和が全波長領域の相対強度の総和の70%以上である紫外線を照射する紫外線照射工程及び前記被殺菌体が充填された前記容器を気密に封止する封止工程を含んでなり、前記容器は、253nm以上280nm以下の波長領域の紫外線を透過する材料で構成された、均一の厚さを有する、紫外線透過部を有しており、前記紫外線照射工程では、前記紫外線透過部を透過した前記紫外線を被殺菌体に照射し、前記封止工程は、前記充填工程が終了してから前記紫外線照射工程が終了するまでの間に行われるか、又は前記紫外線照射工程終了後に該紫外線照射工程と同一の無菌環境下で行われる、ことを特徴とする。
本発明における被殺菌体は、有機物を含有する流体からなるものであって、容器に充填可能なものであれば特に限定されるものではないが、本発明の殺菌方法による効果が顕著であるという理由から、味、香り及び又は風味が重要な、各種糖類や芳香成分となるエステル化合物などの有機物を含有する水溶液、水性懸濁液を含む、液状、ペースト状、ゼリー状又はムース状の被殺菌体であって、且つ253.7nmの紫外線に対する透過率が10%となるときの厚さ(光路長:光が試料内を透過する長さ)が100mm以下0.001mm以上である、被殺菌体であることが好ましい。特に、上記厚さが10mm以下、0.001mm以上である、であることが特に好ましい。
このような被殺菌体としては、流動性を有する食品(飲料を含む)、化粧品、医薬部外品又は医薬品を挙げることができる。具体的には、食品としては、流動食、液体調味料、食用油、酒類、飲料、ヨーグルト、アイスクリーム、ゼリーなどを挙げることができる。化粧品としては、化粧液、化粧水、クリーム、乳液、洗顔料などの各種皮膚用化粧品、ファンデーション、化粧下地などの仕上げ用化粧品、香水、オーデコロンなどを挙げることができる。また、医薬部外品としては、栄養ドリンク、歯磨き、ヘアケア用品などを挙げることができ、医薬品としては、目薬、各種点滴薬、各種注射薬、各種軟膏薬などを挙げることができる。これらの中でも、加圧加熱殺菌に適さないもの、たとえば生乳、フレッシュジュース、生酒、生ビール、生醤油など加圧加熱により分解や変質してしまう有効成分を含むもの等、更には、OHラジカル生成促進効果を有する硝酸性窒素化合物を含有するトマトジュースや野菜ジュース等については、本発明の殺菌方法を適用することが特に好ましい。
本発明で使用する容器は、253nm以上280nm以下の波長領域の紫外線を透過する材料で構成された、均一の厚さを有する、紫外線透過部を有している容器であれば特に限定されない。また、前記容器は、前記紫外線照射工程おいて紫外線照射される被殺菌体と接触する部分が上記紫外線透過部となっていればよく、必ずしもその全体が紫外線透過性材料で構成される必要はない。紫外線透過性材料としては、容器製造の容易さの観点から紫外線透過性樹脂を使用することが好ましい。
紫外線透過性樹脂は、253nm以上280nm以下の波長の紫外線に対して透過性を有する樹脂であればよく、そのような樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルテルペンなどのポリオレフィン樹脂又はポリオレフィン系共重合体樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ素樹脂、メタアクリル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、脂環式ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール樹脂など(いずれも紫外線照射工程で照射する紫外線を吸収するような紫外線吸収剤や可塑剤等の添加剤を含まないものであることが好ましい)等を例示できる。これら樹脂の中でもヒートシール性の高い、ポリオレフィン樹脂又はポリオレフィン系共重合体樹脂を使用することが好ましい。これら紫外線透過樹脂は単独で使用してもよく、積層体などのように複合化して使用してもよい。なお、樹脂フィルムの紫外線透過率に関しては、“松井悦造、清水義弘、「プラスチック・フィルムの紫外線透過率II」、東洋食品工業短大・東洋食品研究所研究報告書、102−111(1967年)”、“ダイキン工業株式会社技術資料GX−27e「ネオフレンTMフィルム」”、および
http://jp.mitsuichem.com/service/functional_polymeric/polymers/tpx/spec.htmなどにデータが記載されている。
容器の形状は特に限定されず袋状容器、箱状容器、ボトル状容器のいずれであってもよく、それ以外の形状であってもよい。ただし、前記紫外線透過部は均一の厚さを有している必要がある。厚さの均一性は平均厚み対する変動率で±10%以下、特に±5%以下であることが好ましい。該紫外線透過部の平均厚さは、内容物を保持できる強度を有する限りにおいて薄い方が好ましい。容器材の好ましい厚さは、5μm以上1mm以下であり、より好ましい厚さは10μm以上500μm以下であり、特に好ましい厚さは20μm以上300μm以下である。また、前記紫外線透過部の、照射される紫外線に対する透過率は50%以上であることが好ましく、70%以上であることが更に好ましく、75%以上であることが最も好ましい。
これら容器の中でも、封止工程において、ヒートシールが可能であるという観点からは、ヒートシール性樹脂からなる紫外線透過性フィルムを製袋してなる可撓性袋又はヒートシール性樹脂層を含む紫外線透過性積層樹脂フィルムを製袋してなる可撓性袋であることが好ましい。なお、ヒートシール性樹脂層を含むからなる紫外線透過性積層樹脂フィルムとしては、例えば特開2013−534874号公報に開示されているようなものを挙げることができる。
上記可撓性袋としては、被殺菌体を充填するための開口を有するものであればその形態は限定されず、二方袋、三方袋、ガゼット袋、底ガゼット袋、スタンド袋、サイドシール袋、底シール袋など公知の形態が採用できる。これら袋は、スパウトやジッパーあるいはチャックを有していてもよい。
前記充填工程は、容器として前記紫外線透過部を有する容器を用いる他は、従来の充填工程と特に変わる点はなく、たとえば自動パウチ充填機や自動ボトル充填機を用いて行うことができる。
本発明の殺菌方法では、前記紫外線照射工程において、OHラジカルやオゾンなどの前記活性種の発生を抑制し、更に不可避的に発生する前記活性の反応性を低減するという観点から、前記紫外線照射工程における被殺菌体の温度を、0℃を越え10℃以下とすることが好ましく、また、前記紫外線照射工程の前工程として、前記被殺菌体に含まれる溶存酸素を低減又は除去する工程を更に含むことが好ましい。
これら工程では、たとえば、熱交換器等を通して被殺菌体の温度を上記範囲に制御し、さらに、たとえば、窒素ガスや水素ガスをバブリングする方法や減圧処理等により溶存酸素を低減又は除去する。
前記紫外線照射工程では、前記充填工程によって被殺菌体が充填された前記容器の外部から前記被殺菌体に対して253nm以上280nm以下、好ましくは260nm以上280nm以下の波長領域の紫外線を選択的に照射する。253nm以上280nm以下、好ましくは260nm以上280nm以下の波長領域の紫外線を選択的に照射することにより、細菌類のDNAを損傷させる殺菌効果を最大限に得つつ、高エネルギーの紫外線が被殺菌液体に含まれる水や溶存酸素に作用して、OHラジカルやオゾンなどの活性種が生成することを極力抑えることができ、被殺菌体の品質を保つことが可能になる。
ここで、253nm以上280nm以下、好ましくは260nm以上280nm以下の波長領域の紫外線を選択的に照射するとは、照射される紫外線について横軸を波長、縦軸を相対発光強度で表したスペクトルにおいて、253nm以上280nm以下、好ましくは260nm以上280nm以下の波長領域の紫外線の相対強度の総和が全波長領域の相対強度の総和の70%以上、好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上であることを意味する。この時、250nm以下の波長領域の相対強度の総和は、全波長領域の相対強度の総和の10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下であることが好適であり、220nm以下の波長領域の相対強度の総和は、全波長領域の相対強度の総和の7%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下であることが好適である。さらに、所謂光回復又は再活性化を防止する観点から、300nm以上の波長領域の紫外線強度の総和は、全波長領域の相対強度の総和の7%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下であることが好適である。なお、紫外線は可視光を含んでいてもよいが、可視光を含まない方が好ましい。
すなわち、照射される紫外線のスペクトルは、下記(1)から(6)に向かって、より好ましくなる。
(1)253nm以上280nm以下の波長領域の紫外線の相対強度の総和が全波長領域の相対強度の総和の70%以上であり、250nm以下の波長領域の相対強度の総和は、全波長領域の相対強度の総和の10%以下であり、300nm以上の波長領域の紫外線強度の総和は、全波長領域の相対強度の総和の7%以下であるスペクトル;(2)260nm以上280nm以下の波長領域の紫外線の相対強度の総和が全波長領域の相対強度の総和の70%以上であり、250nm以下の波長領域の相対強度の総和は、全波長領域の相対強度の総和の10%以下であり、300nm以上の波長領域の紫外線強度の総和は、全波長領域の相対強度の総和の7%以下であるスペクトル;(3)253nm以上280nm以下の波長領域の紫外線の相対強度の総和が全波長領域の相対強度の総和の80%以上であり、250nm以下の波長領域の相対強度の総和は、全波長領域の相対強度の総和の5%以下であり、300nm以上の波長領域の紫外線強度の総和は、全波長領域の相対強度の総和の3%以下であるスペクトル;(4)260nm以上280nm以下の波長領域の紫外線の相対強度の総和が全波長領域の相対強度の総和の80%以上であり、250nm以下の波長領域の相対強度の総和は、全波長領域の相対強度の総和の5%以下であり、300nm以上の波長領域の紫外線強度の総和は、全波長領域の相対強度の総和の3%以下であるスペクトル;(5)253nm以上280nm以下の波長領域の紫外線の相対強度の総和が全波長領域の相対強度の総和の90%以上であり、250nm以下の波長領域の相対強度の総和は、全波長領域の相対強度の総和の3%以下であり、300nm以上の波長領域の紫外線強度の総和は、全波長領域の相対強度の総和の1%以下であるスペクトル;(6)260nm以上280nm以下の波長領域の紫外線の相対強度の総和が全波長領域の相対強度の総和の90%以上であり、250nm以下の波長領域の相対強度の総和は、全波長領域の相対強度の総和の3%以下であり、300nm以上の波長領域の紫外線強度の総和は、全波長領域の相対強度の総和の1%以下であるスペクトル。
このような波長領域の紫外線を選択的に照射するためには、照射したい波長領域以外の波長領域の紫外線を吸収又は反射する光学フィルターを用いる方法、モノクロメータにより特定波長の紫外線を取り出して照射する方法、特定の波長領域の紫外線を発光するように設計された紫外線発光ダイオード(UV−LED、上記波長領域の紫外線は深紫外線でもあるので、深紫外線発光ダイオード:DUV−LEDともいう。)を用いる方法等が採用できる。これら方法の中でも、UV−LED(DUV−LED)の優れた特徴、たとえば瞬時起動が可能、低電力駆動が可能、長寿命、水銀を使用しない等の特徴、によるメリットを得ることができるという理由から、253nm以上280nm以下、好ましくは260nm以上280nm以下の波長領域に主ピークを有し、且つ前記した様な発光スペクトルを有するUV−LED(DUV−LED)を光源として使用するのが好適である。
前記封止工程は、前記容器を気密に封止することにより行われる。封止方法としては、容器が袋状のものである場合にはヒートシールや接着剤を用いた接着が、容器がボトル形状のものである場合にはキャッピングが好適に採用できる。封止に際してはガス置換処理や脱気処理を行うこともできる。これら処理は、所謂真空包装やガス充填包装で一般に使用されている専用の機器を用いて容易に行うことができる。
本発明の殺菌方法では、前記封止工程は、前記した充填工程が終了してから紫外線照射工程(詳細は後述する。)が終了するまでの間に行われるか、又は前記紫外線照射工程終了後に該紫外線照射工程と同一の無菌環境下で行われる。ここで、同一の無菌環境下で行うとは、たとえば十分に殺菌処理された空気が陽圧供給される室内空間のような、無菌状態が保たれた空間の中で、被殺菌体が充填された容器を該空間の外部に出すことなく、紫外線照射工程と封止工程を行うことを意味する。このとき、封止工程は紫外線照射後に行うこともできる。
前記紫外線照射工程では、前記紫外線透過部を透過した前記紫外線を被殺菌体に照射する。紫外線透過率の低い被殺菌体を用いる場合には、照射された紫外線強度は被殺菌体の厚さ方向の長さが長くなる(深さが深くなる)に従って急速に減衰し、内部の被殺菌体に届かなくなる。そのため、内部まで紫外線を到達させるためには、容器の前記紫外線透過部における幅(照射される紫外線の光軸が容器を横切る最大長。例えば図3におけるW)を小さく(薄く)するか、照射する紫外線強度を強くする必要がある。
本発明の方法においては、容器の幅又は紫外線強度を制御して、容器内に充填された被殺菌体の任意の位置における紫外線の放射照度が0.01mW/cm以上、特に好ましくは0.03mW/cm以上、最も好ましくは0.05mW/cm以上となるようにすることが好ましい。放射照度は高ければ高いほどよく、その上限を設定することに特別意味はないが、一般的には1W/cm以下である。
なお、上記放射照度の値:0.01mW/cm、0.03mW/cm又は0.05mW/cmは、その数値自体に臨界的意義があるわけではなく、工業的に実用的な処理時間(紫外線照射時間)において、有効な殺菌効果を得ることができるという観点から決定した指標である。例えば、99.9%不活性化に必要な紫外線照射量(積算照射量)が約10mJ/cm(=mW・sec/cm)である大腸菌の殺菌を考えた場合、0.01mW/cm、0.03mW/cm又及び0.05mW/cmの放射照度では、夫々1,000秒(16分40秒)、333秒(5分33秒)及び200秒(3分20秒)の照射で99.9%の不活性化が可能となる。因みにレトルト食品では中心温度120℃4分以上相当で加圧加熱殺菌が行われている。
本発明の殺菌方法では、好ましい光源として強度の弱い紫外線発光ダイオードを用いた場合であっても確実に紫外線照射するという観点から、前記紫外線照射工程において、紫外線が照射される領域に前記紫外線を1方向又は互いに対向する2方向から照射し、更に前記領域の少なくとも一部における照射される紫外線の光軸方向の幅を、照射される紫外線(出射時において特定の強度を有する)が前記被殺菌体の層を透過したときの透過紫外線の放射照度が0.01mW/cmとなる前記被殺菌体の層の厚さを、当該(出射時において特定の強度を有する)紫外線の有効光路長と定義したときの、前記1方向又は2方向から照射される紫外線の有効光路長の総和以下とすることが好ましい。
なお、光源又はその紫外線発光面から特定強度の紫外線を出射して紫外線照射を行う場合、上記有効光路長は、光源又はその紫外線発光面の有効光路長ともいう。
このような条件を満たすようにするためには、(i)紫外線光源の紫外線発光面を前記容器の一方側の紫外線透過部に対向するように配置して、紫外線を一方の方向から照射する場合及び(ii)2つの紫外線光源の各紫外線発光面を前記容器の表裏2つ側の紫外線透過部に夫々対向するように配置して、紫外線を同一光軸上で互いに対向する2つの方向から照射する場合の夫々について、次のようにすることが好ましい。即ち、(i)紫外線を一方の方向から照射する場合には、被殺菌体が充填された容器の紫外線照射側の紫外線透過部及び被殺菌体層透過したときの透過紫外線の放射照度が、0.01mW/cm以上、好ましくは0.03mW/cm以上、最も好ましくは0.05mW/cm以上となるようにすればよい。また、(ii)同強度の紫外線を同一光軸上で互いに対向する2つの方向から同時に照射する場合には、容器内の中心部における紫外線の放射照度が0.01mW/cm以上となるようにすることが好ましく、0.03mW/cm以上となるようにすることがより好ましく、0.05mW/cm以上となるようにすることが最も好ましい。
実際に用いる被殺菌体について、例えば次の工程(a)〜(d)に示すような手順により、予め光路長と透過紫外線の放射強度との関係を調べておくことにより、上記(i)及び(ii)の場合において、各位置における放射照度を容易に推定することができる。
(a)所定の光路長を有する紫外線透過性光学測定用セル(以下において単に「セル」ということがある。)の内部に、被殺菌体を充填する工程S101
(b)紫外線照射装置の紫外線発光面を、容器の紫外線透過部と同じ材質及び厚さのフィルム又はシートを介在させて、セルに密着させて、紫外線発光面から、殺菌処理時と同一の発光条件で発光させた紫外線を、セル内に向けて照射する工程S102
(c)セルを通過した透過紫外線の放射照度(単位:mW/cm)を測定する工程S103
(d)上記工程(a)乃至(c)(S101〜S103)を、異なる光路長を有する複数のセルについて行うことにより、透過紫外線の放射照度と光路長との関係を求める工程S104
上記工程(a)〜(d)(S101〜S104)において、透過紫外線の放射照度と光路長との関係は、Lambert−Beerの法則に従う。すなわち、透過紫外線の放射照度Iは、光路長Lに対して、次の式(1)の関係にある。
log(I/I)=−αL …(1)
式(1)中、Iは媒質に入射する前の波長λの紫外線の放射照度であり、αは被殺菌体と波長λpeakに対応して定まる比例定数(吸光係数)である。一般に、発光ダイオードの発光スペクトルのピーク幅は極めて狭いので、透過紫外線の放射照度の光路長依存性を議論するにあたっては、深紫外線発光ダイオードの発光ピーク波長λpeakにおける吸光係数α(λpeak)のみを考えれば十分である。式(1)は次の式(2)のように変形できる。
logI=−αL+logI …(2)
したがって主ピーク波長λpeakにおける透過紫外線の放射照度Iの対数と、セルの光路長Lとの組を複数得ることにより、主ピーク波長λpeakにおける透過紫外線の放射照度Iと光路長Lとを関係付ける回帰直線を求めることができる(上記(d)工程S104)。回帰直線の算出には例えば最小二乗法等の公知の方法を用いることができる。
なお、工程(b)で容器の紫外線透過部と同じ材質及び厚さのフィルム又はシートを介在させるのは、実際の紫外線照射工程では、紫外線は容器材(容器の外側と内側を仕切る隔壁、シートまたはフィルム)を通過することによって、減衰されて被殺菌体に照射されるからである。
このようにして、実際に使用する光源(光源aとする)について、その紫外線出射面(出射面aとする)から出射させる紫外線の強度毎に透過紫外線の放射照度Iと光路長Lとを関係を調べ、その関係から、前記紫外線照射工程において実際に照射する強度で紫外線を出射したときの放射照度Iが0.01mW/cmとなるときの光路長Lが、その条件における有効光路長Lということになる。
上記(i)の場合には、紫外線が照射される領域の少なくとも一部における照射される紫外線の光軸方向の幅を、1つの紫外線発光面aを用いた時の有効光路長L以下とすればよく、(ii)の場合には、紫外線が照射される領域の少なくとも一部における照射される紫外線の光軸方向の幅を、2つの紫外線発光面a及びbを用いたときの有効光路長L及びLの和(L+L)以下とすればよい。
このような方法により、かなり精度の高い推定が可能となると思われるが、最終的には実機における実際の使用条件下での確認を行うことが好ましい。条件が安定していれば、結果が変わることはないので、このような確認は毎回行う必要はなく、通常は装置起動時、条件変更時に行えばよく、更に長期間連続運転する場合には一定の期間をおいて定期的に行えばよい。
薄型の容器を使用することができず、また容器が変形しないため前記厚さ(幅)の制御ができない場合には、照射する紫外線強度を強めて有効光路長を長くすることが好ましい。
紫外線発光ダイオード(UV−LED)、特に深紫外線を出射する深紫外線発光ダイオード(DUV−LED)は、紫外線ランプと比べて発光出力が弱いばかりでなく出射される紫外線の指向性が高いため、紫外線の照射領域が狭くなってしまう。したがって、特に容器の幅を制御することが困難で、更に光源としてUV−LEDやDUV−LEDを使用する場合には、容器の紫外線を照射すべき面の全面に亘って強い強度の紫外線を照射する必要がある。
容器の紫外線を照射すべき面の全面に亘って強い強度の紫外線を照射する方法としては、集光を利用して放射照度を高める方法または昇圧DC−DCコンバータやチャージポンプを用い高い順方向電流を流して発光出力高くする(このとき、必要に応じてパルス発光させてもよい)方法を採用するのが好適である。
たとえば、容器がボトルのような軸対象中空体で、変形(力を作用させることによる一時的な変形で力を除いたり復元力を作用させたりすることにより元の形状に戻る変形)が困難な場合には、次のような法方法が好適に採用できる。
即ち、第一に、特許文献1の図4又は図5に示されるような「殺菌作用を有する紫外線に対する透過性を有する材料で周囲が構成された、流体からなる被殺菌体が流通するための流路と、該流路の外部に配置され、殺菌作用を有する紫外線を出射する光源と、を有し、前記流路内を流通する被殺菌体に該光源から出射する前記紫外線を照射することにより殺菌を行なう紫外線殺菌装置であって、前記光源が、複数の“殺菌作用を有する紫外線を発光する紫外線発光素子”からなり、各紫外線発光素子から出射される前記紫外線を集光する集光装置を更に有し、該集光装置によって集光された前記紫外線を前記被殺菌体に照射するようにしたことを特徴とする紫外線殺菌装置」の前記流路の代わりに(流路が配置されていた位置に)被殺菌体が充填された容器を配置して紫外線照射を行う方法(方法1ともいう。)が好適に採用できる。
第二に、容器を収容できるような円筒形の基材の、容器に対向する内面の全面に亘って多数のDUV−LEDを整列配置し、昇圧DC−DCコンバータやチャージポンプを用い高い順方向電流を流して高出力で紫外線を照射する方法(方法2ともいう。)が好適に採用できる。
また、容器の形状を自由に設定できる場合には厚さの薄い(たとえば平板状の)容器とし、必要に応じて紫外線の高強度化を図ればよい。たとえば、容器が可撓性袋で有る場合には、袋形状を厚さの薄い楕円柱状(高さ方向に厚みが漸減するものを含む)や四角柱状(或いは平板状)とすることが好ましく、更に次のような方法(方法3ともいう。)で紫外線照射を行うことが好ましい。即ち、方法3では、所定の幅の間隙を設けて互いに対向するように配置された一対の隔壁の間の空間に、被殺菌体が充填された前記容器の表面が前記隔壁と近接又は当接するようにして配置し、前記一対の隔壁の向かい合う2面の一方または両方に設けられた1又は2の紫外線発光面から紫外線を照射する。このとき、一方の隔壁の表面のみを紫外線発光面とした場合には、もう一方の隔壁の表面(紫外線発光面と対向する面)は紫外線反射ミラーとすることが好ましい。
さらに、上記方法3においては、被殺菌体が充填された前記容器の表面の50%以上の面積が前記隔壁と近接又は当接するようにして配置し、前記一対の隔壁の向かい合う2面の両方に設けられた2つの紫外線発光面から夫々紫外線を照射する方法(方法3−1ともいう。)が好ましく、前記紫外線発光面を、被殺菌体が充填された前記容器の表面の形状に対応する形状とし、前記容器の表面の80%以上の面積が前記隔壁と近接又は当接するようにして紫外線照射を行う方法(方法3−2ともいう)を採用することが特に好ましい。
また、前記被殺菌体が液状、ペースト状、ゼリー状又はムース状であり、前記容器がヒートシール性樹脂からなる紫外線透過性フィルムを製袋してなる可撓性袋又はヒートシール性樹脂層を含むからなる紫外線透過性積層樹脂フィルムを製袋してなる可撓性袋である場合には、前記被殺菌体が充填された前記可撓性袋を、その正面側及び/又は裏面側から前記紫外線発光面により挟圧して当該可撓性袋の厚さが薄くなるように変形させて紫外線照射を行う方法(方法3−3ともいう)を採用することが好ましい。
以下、図面を用いて前記方法1及び前記方法3−3について詳しく説明する。
図1は、方法1で使用する紫外線殺菌装置100の横断面図である。該装置は基本的には特許文献1の図4に示される装置と同じものであり、該図4に示される装置における流路を構成する石英管又はサファイア管が配置される位置に、被殺菌体200が充填されたボトル状の容器300が配置されている。図1に示す紫外線殺菌装置100は、「円筒状の基体の側面上に、複数の深紫外線発光素子を、各深紫外線発光素子の光軸が前記基体の中心軸を通るように配置して、前記深紫外線が前記中心軸に対して放射状に出射されるようにした紫外線発光モジュール110からなる光源と、長楕円反射ミラー120を含んでなる集光装置と、からなり、該長楕円反射ミラー120の焦点軸上に前記紫外線発光モジュール110を配置して、前記紫外線発光モジュール110から放射状に出射される前記紫外線を集光して出射する“集光紫外線出射ユニット”130」を有する。紫外線殺菌装置100では、4つの集光紫外線出射ユニット130が、各集光軸が一致するように配置され、その集光軸がボトル状の容器300の対称軸(中心軸)と一致するように容器300が配置されている。
そして、紫外線発光モジュール110は、図2に示されるように、円筒状基体111の表面上に複数のDUV−LED112が整列配置されており、該円筒状基体の内部には冷却媒体用流路113が形成されている。また、DUV−LED112が搭載された円筒状基体111は、石英やサファイアなどの紫外線透過性材料から形成されるカバー116で覆われている。該カバー116は封止剤やパッキン、o−リング等のシール部材117を用いて気密又は水密に円筒状基体に装着され、その内部には窒素などの不活性ガス、乾燥空気などのガスが封入されている。
DUV−LEDは、素子がサブマウントに搭載された状態またはパッケージに収容された状態で配置され、更に一定方向に向かって紫外線が出射されるようにされている。なお、図示しないが、サブマウント又はパッケージには、外部から前記深紫外線発光素子に電力を供給するための配線やDUV−LEDを正常に作動させるための回路等が形成されており、該配線や回路への電力の供給は円筒状基体111の表面上又は内部に形成された配線を介して行なわれるようになっている。
円筒状基体111の側面には、該基体の周方向に沿って、複数のDUV−LED112が、各DUV−LED112の光軸115が該基体111の中心軸114を通るように配置されている。その結果、DUV−LEDから出射される深紫外線は、該中心軸114に対して放射状に出射されることになる。
前記したように、容器300の対称軸(中心軸)が4つの集光紫外線出射ユニット130の集光軸と一致するように配置されているので、各紫外線発光モジュール110から放射状に出射される深紫外線は全て容器300の対称軸(中心軸)に収斂するように集光される。このように、紫外線殺菌装置100では、原理的には、紫外線発光モジュール110から放射状に出射される深紫外線の全てを容器300に照射することができ、容器300の方向に向かわない方向(たとえば反対方向や横方法)に出射された紫外線をも有効利用することができる。そして、その結果高強度の紫外線を照射することが可能となる。
図3は、方法3−3を説明するための模式図であり、下段(A)が底面図、上段(B)が正面図となっている。方法3−3では、被殺菌体210として液状、ペースト状、ゼリー状又はムース状のものを使用し、容器310としてヒートシール性樹脂からなる紫外線透過性フィルムを製袋してなる可撓性袋又はヒートシール性樹脂層を含むからなる紫外線透過性積層樹脂フィルムを製袋してなる可撓性の“楕円底面を有するスタンド袋”を使用する。そして、先ず、図示しない充填工程及び封止工程において、容器310に被殺菌体210を充填し、更に封止を行う。その後、図3に示すように、容器310が、所定の幅の間隙を設けて互いに対向するように配置された一対の隔壁となる紫外線照射ユニット400a及び400bの間の空間の中心部に配置すると、紫外線照射ユニット400a及び400bが夫々容器310の方向に自動的に移動し、各紫外線照射ユニットの紫外線発光面410a及び410bにより容器310を挟圧するようになっている。そして、その厚さが薄くなるように変形させて紫外線照射が行われる。
紫外線照射ユニット400a及び400bは互いに鏡像関係となっているほかは基本的には同一構造を有しており、その発光面410a及び410bは、挟圧された容器310の形状に対応する形状となっている。図3で用いた紫外線照射ユニットの発光面410a及び410bは、楕円底面を有するスタンド袋(容器310)の形状に対応して傾斜した凹曲面となっている。発光面の形状は容器の形状に応じて適宜変更すればよく、たとえば容器が平袋(板状の容器)である場合には平面とされる。
図3に示す方法で好適に使用される紫外線照射ユニット401、402、及び403を図4〜6に示した。これら紫外線照射ユニットは、何れも開口部を有する筐体420と、内側面431および該内側面と反対側の外側面432を有し、筐体の開口部を塞ぐように内側面を筐体の内部に向けて配置された、紫外線を透過する紫外線透過窓430と、紫外線光源440とを有し、紫外線透過窓の外側面432に対向して配置された(容器の内部に充填された)被殺菌体に紫外線を照射して殺菌を行うようになっている。したがって、紫外線透過窓430の外側面432が図3における発光面410a(410b)となる。
筐体420を構成する材料は、紫外線を通さない限りにおいて特に限定されず、例えば金属や樹脂等を採用できる。ただし、筐体420の内面、より具体的には紫外線透過窓430の外側から見て目視できる部分の表面は、紫外線反射材で構成されることが好ましいこのましい。本発明で好適に使用できる紫外線反射材料を例示すれば、クロム(紫外線反射率:約50%)、白金(紫外線反射率:約50%)、ロジウム(紫外線反射率:約65%)、硫酸バリウム(紫外線反射率:約95%)、炭酸マグネシウム(紫外線反射率:約75%)、炭酸カルシウム(紫外線反射率:約75%)、酸化マグネシウム(紫外線反射率:約90%)、アルミニウム(紫外線反射率:約90%)などを挙げることができる。これらの中でも、メッキ法や蒸着法などの表面処理により高い反射率の表面とすることができるという理由から、紫外線反射材料としては、ロジウム、白金又はアルミニウムを用いることが特に好ましい。なお、紫外線反射材料として金属材料を採用する場合には、表面が酸化されたり傷付いたりすることによって反射率が低下することを防止する観点から、石英、サファイア、ポリテトラフルオロエチレン膜などの紫外線透過性材料で紫外線反射材料の表面を被覆することが好ましい。
紫外線透過窓430は、内側面431および該内側面と反対側の外側面432とを有し、内側面を筐体420内部に向けるように筐体420の開口部を塞ぐように設けられ、光源440から出射された紫外線を、紫外線透過窓430及び容器310の隔壁(又はシート或いはフィルム)を透過して被殺菌体210に照射する。紫外線透過窓430を構成する材料としては、例えばサファイア、石英等を好ましく採用できる。このほかまた、紫外線透過窓12は紫外線透過性樹脂からなる成形体又は可撓性のシート(またはフィルム)によって好適に構成できる。そのような紫外線透過性樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタアクリル樹脂、エポキシ樹脂、脂環式ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール樹脂などの(照射する紫外線を吸収するような紫外線吸収剤や可塑剤等の添加剤を含まないもの)等を好ましく例示できる。
なお、前記窓紫外線透過窓を紫外線透過性樹脂で構成した場合には、紫外線照射により樹脂が劣化することがあるので、紫外線透過窓を交換しやすくする観点から、紫外線透過窓は筐体にいような着脱可能な構造で取り付けられることが好ましい。
図4〜6に示す紫外線照射ユニット401、402、及び403では、前記したように、紫外線透過窓430は、スタンド袋(容器310)の形状に対応して傾斜した凹曲面となっている。
光源440は、紫外線照射ユニット401、402、及び403でそれぞれ異なり、図4に示す紫外線照射ユニット401では、光源として複数の紫外線ランプ441を使用している。各紫外線ランプ441は、紫外線透過窓430の内側面431に沿って所定の間隔で並べられると共に、その後方には紫外線反射ミラー(図示せず)が設置され、紫外線ランプ441から後方に向かって出射された紫外線は該ミラーで反射され、ランプ間の隙間から紫外線ランプ441に向かって進むようにされている。
図5に示す紫外線照射ユニット402では、光源として、複数のDUV−LED442を使用している。複数のDUV−LED442は、主として銅、アルミニウムなどの熱導電性の高い金属やセラミックスなどで構成される基板(図示せず)上に搭載された形で、紫外線透過窓430の内側面431に対向するように整列配置されている。DUV−LED442は、通常、パッケージ化またはモジュール化され、平行光のような指向性の強められた光を出射するが、光強度の分布がより均一となるように、或る有る程度の出射角をもって放射状に光が出射されるようにすることが好ましい。DUV−LED442の数は、出射する紫外線が紫外線透過窓430の内側面431の全面を照射するのに十分な数であればよい。なお、DUV−LED442の数が多ければ多いほど紫外線強度は強くなる。また、前記方法2と同様に、昇圧DC−DCコンバータやチャージポンプを用い高い順方向電流を流して高出力化を図ることもできる。
図6に示す紫外線照射ユニット403では、光源として、図2に示した紫外線発光モジュール110を組み込み、該紫外線発光モジュール110の前記中心軸114に対して放射状に出射される紫外線を集光して帯状の光束として出射する光源(以下、「集光モジュール化光源」ともいう。)443を使用している。紫外線発光モジュール110の長さは紫外線透過窓430の幅(短辺の長さ)と一致するような長さとれているので、集光モジュール化光源443を筺体420内に配置して、紫外線透過窓430に沿ってスライド移動させることにより、該帯状の光束を走査して紫外線透過窓430の内側面431の全面に亘って紫外線を照射することができる。
前記集光モジュール化光源443は、紫外線発光装置として特許第5591305号公報に記載されており、その内容はここに参照をもって組み入れられる。
図7及び図8には、棒状光源110を有する集光モジュール化光源443の横断面図及び側面図を示した。集光モジュール化光源443は、内面が長楕円反射ミラーからなる出射側反射ミラー120となっている出射側筐体125と、内面が長楕円反射ミラーからなる集光側反射ミラー123となっていると共に深紫外光出射用開口部130が形成されている集光側筐体126と、深紫外光出射用開口部130に配置されたコリメート光学系140からなる本体150を有し、該本体150の内部に棒状光源110が配置されている。本体150において出射側筐体125と集光側筐体筐体126とは互いに着脱可能に又はヒンジ等を用いて開閉可能とされていることが好ましい。また、本体150の図4及び図5における上下両端開口部には、紫外線が外部に漏れ出ることを防止するためのカバー(不図示)が設けられている。
図7及び図8に示す態様では、出射側反射ミラー120と集光側反射ミラー123とは実質的に同形状の長楕円反射ミラーであるので、本体150において、出射側筐体125と集光側筐体126とが結合されて形成される内部空間の形状は、出射側反射ミラーの焦点軸121及び出射側反射ミラーの集光軸122の2軸をそれぞれ焦点軸とする楕円形の断面(ただし、開口部130に相当する部分が欠損している。)を有する柱状体となる。出射側反射ミラー120および集光側反射ミラー123の表面は、深紫外光に対する反射率が大きい材質、たとえばRu、Rh、Pd、Os、Ir、Pt等の白金族金属、Al、Ag、Ti、これらの金属の少なくとも一種を含む合金、又は酸化マグネシウムで構成されることが好ましく、反射率が特に高いという理由から、Al、白金族金属又は白金族金属を含む合金、又は酸化マグネシウムで形成されていることが特に好ましい。
集光側反射ミラー123及び集光側筐体126には、スリット状に深紫外光出射用開口部130が設けられ、該開口部130には、集光された紫外線を平行若しくは略平行な光束に変換するコリメート光学系140が配置されている。コリメート光学系140は合成又は天然石英、サファイア、紫外線透過性樹脂等の紫外線透過性の高い材質で構成されることが好ましい。該コリメート光学系140は深紫外線出射用開口部130に脱着可能に取り付けられていることが好ましい。
集光モジュール化光源443において、棒状光源110は、その中心軸114が出射側反射ミラーの焦点軸121と一致するように配置される。このような位置に棒状光源110が配置されるので、該棒状光源110から放射状に出射される深紫外光は出射側反射ミラー120および集光側反射ミラー123で反射されて集光側反射ミラーの焦点軸124(すなわち出射側反射ミラーの集光軸122)上に収斂するように集光され、集光された深紫外光は紫外線透過窓430の内側面431に向けて出射される。
このように、集光モジュール化光源443では、原理的には、棒状光源110から放射状に出射される深紫外光の全てを集光側反射ミラー123の焦点軸124上に集光でき、深紫外光出射用開口部130方向に向かわない方向(たとえば反対方向や横方法)に出射された紫外線をも有効に利用することができる。すなわち、棒状光源110において、光軸115が深紫外光出射用開口部130方向に向かうように深紫外LED112、112、…の全てを同一平面上に配置する必要はなく、横方向や反対方向に向けて配置することも可能となる。したがって、棒状光源110では、単位空間当たりに配置する紫外線発光素子の数を大幅に増やすことができ、集光モジュール化光源443では、より強い強度の紫外線を出射することができる。また、集光モジュール化光源443では大口径のフィールドレンズを使用する必要もない。更に集光モジュール化光源443では、紫外線は帯状の光束として出射され、照射領域は狭いスポット状ではなく長辺が長い長方形領域に均一な強度の紫外線を照射することができる。
紫外線照射ユニット403において、集光モジュール化光源443は、帯状の光束を紫外線透過窓430の内側面431に向けて出射するように筐体420内に配置されている。また、筐体420内には、電動モーター450と、一組のガイドレール460とが配置され、集光モジュール化光源443はガイドレール460に保持され、電動モーター450に駆動されてガイドレール上を図6の下図における矢印の方向に往復移動(スライド移動)する。電動モーター450の回転駆動力をガイドレール460に沿った直線運動の駆動力に変換する機構(図示せず)としては、ラック・アンド・ピニオン機構、クランク機構、カム機構、ベルト機構等の公知の回転運動−直線運動変換機構を特に制限なく採用することができる。集光モジュール化光源443が、このような往復移動(スライド)をすることにより紫外線が走査され、外線透過窓430の内側面431の全面に紫外線を照射することができる。
以上、容器が、楕円底面を有するスタンド袋で有る場合を例に、紫外線照射ユニットについて説明したが、集光紫外線出射ユニットはこれに限定されるものではない。たとえば、前記したように、発光面の形状は容器の形状に応じて適宜変更すればよく、たとえば容器が平袋(板状の容器)である場合には平面とされる。また、特許文献5に開示されているような面発光デバイスを紫外線照射ユニットとすることもできる。
本発明の紫外線殺菌方法において得られる、紫外線殺菌された被殺菌体が容器内に封入されたものは、容器包装詰物品(たとえば、容器包装詰食品、容器包装詰化粧品、容器包装詰医薬部外品又は容器包装詰医薬品など)として、そのまま商品として流通させることもできるが、保存時や流通過程において自然界からの紫外線による被殺菌体の変質や容器の劣化を防止するために、前記封止工程によって封止された前記容器の外表面に紫外線遮蔽処理を施す紫外線遮蔽工程を更に含んでなることが好ましい。
容器の外表面に紫外線遮蔽処理を施す方法としては、紫外線不透過性材料で容器の紫外線透過性部分を被覆すればよい。被覆方法としては、紫外線不透過性インクを用いて印刷を行う方法、紫外線不透過性コーティング剤で表面コートする方法、紫外線不透過性フィルムを貼付(ラミネート)する方法などを例示することができる。
本発明の紫外線殺菌方法は、紫外線殺菌された、流動性を有する食品、化粧品、医薬部外品又は医薬品が容器内に封入された容器包装詰物品を製造する方法に好適に適用することができる。
100・・・紫外線殺菌装置
110・・・紫外線発光モジュール
111・・・円筒状基体
112、442・・・深紫外線発光素子(DUV−LED)
113・・・冷却媒体用流路
114・・・円筒状基体の中心軸
115・・・深紫外線発光素子の光軸
116・・・カバー
117・・・シール部材
118・・・冷却媒体
120・・・長楕円反射ミラーからなる出射側反射ミラー
121・・・出射側反射ミラーの焦点軸
122・・・出射側反射ミラーの集光軸
123・・・長楕円反射ミラーらなる集光側反射ミラー
124・・・集光側反射ミラーの焦点軸
125・・・出射側筐体
126・・・集光側筐体
130・・・集光紫外線出射ユニット(110及び120の組み合わせ)
140・・・コリメート光学系
150・・・本体
200、210・・・被殺菌体
300、310・・・容器
400a、400b、401、402、403・・・紫外線照射ユニット
420・・・筐体
430・・・紫外線透過窓
431・・・内側面
432・・・外側面
440・・・光源
441・・・紫外線ランプ
443・・・集光モジュール化光源
450・・・電動モーター
460・・・ガイドレール

Claims (8)

  1. 容器に充填された、有機物を含有する流体からなる被殺菌体を殺菌する方法であって、
    前記被殺菌体を容器に充填する充填工程、
    該充填工程によって前記被殺菌体が充填された前記容器の外部から、前記被殺菌体に対して、横軸を波長、縦軸を相対発光強度で表したスペクトルにおいて260nm以上280nm以下の波長領域の紫外線の相対強度の総和が全波長領域の相対強度の総和の70%以上である紫外線を照射する紫外線照射工程及び
    前記被殺菌体が充填された前記容器を気密に封止する封止工程を含んでなり、
    前記容器は、253nm以上280nm以下の波長領域の紫外線を透過する材料で構成された、均一の厚さを有する、紫外線透過部を有しており、
    前記紫外線照射工程では、前記紫外線透過部を透過した前記紫外線を前記被殺菌体に照射し、
    前記封止工程は、前記充填工程が終了してから前記紫外線照射工程が終了するまでの間に行われるか、又は前記紫外線照射工程終了後に該紫外線照射工程と同一の無菌環境下で行われる、ことを特徴とする殺菌方法。
  2. 前記容器がヒートシール性樹脂からなる均一な厚さを有する紫外線透過性フィルムを製袋してなる可撓性袋又はヒートシール性樹脂層を含む均一な厚さを有する紫外線透過性積層樹脂フィルムを製袋してなる可撓性袋であり、前記封止工程が前記可撓性袋の開口部をヒートシールすることにより行われる請求項1に記載の殺菌方法。
  3. 前記紫外線照射工程における被殺菌体の温度を、0℃を越え10℃以下とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の殺菌方法。
  4. 前記紫外線照射工程において、紫外線が照射される領域に前記紫外線を1方向又は互いに対向する2方向から照射し、更に前記領域の少なくとも一部における、照射される紫外線の光軸方向の幅を、照射される紫外線が前記被殺菌体の層を透過したときの透過紫外線の放射照度が0.01mW/cmとなる前記被殺菌体の層の厚さを有効光路長として定義したときの、前記1方向又は2方向から照射される紫外線の有効光路長の総和以下とすることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の殺菌方法。
  5. 前記紫外線照射工程において、前記有効光路長の総和以下である幅の間隙を設けて互いに対向するように配置された一対の隔壁の間の空間に、被殺菌体が充填された前記容器の表面が前記隔壁と近接又は当接するようにして配置し、前記一対の隔壁の向かい合う2面の一方または両方に設けられた1又は2の紫外線発光面又は紫外線透過性窓から前記紫外線を照射する、請求項4に記載の殺菌方法。
  6. 前記被殺菌体が液状、ペースト状、ゼリー状又はムース状であり、前記容器がヒートシール性樹脂からなる紫外線透過性フィルムを製袋してなる可撓性袋又はヒートシール性樹脂層を含むからなる紫外線透過性積層樹脂フィルムを製袋してなる可撓性袋である請求項5に記載の殺菌方法。
  7. 前記封止工程によって封止された前記容器の外表面に紫外線遮蔽処理を施す紫外線遮蔽工程を更に含んでなることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の殺菌方法。
  8. 紫外線殺菌された食品、化粧品、医薬部外品又は医薬品が容器内に封入された容器包装詰物品を製造する方法であって、流動性を有する食品、化粧品、医薬部外品又は医薬品からなる被殺菌体を、請求項1乃至7の何れかの方法により被殺菌体の容器への充填、紫外線照射及び容器の封止を行う工程を含んでなることを特徴とする容器包装詰物品の製造方法。
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