JP6403057B2 - β−Ga2O3結晶の製造方法および製造装置 - Google Patents

β−Ga2O3結晶の製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、ポストシリコン結晶材料の一つと位置づけられているパワ−デバイス用ワイドギャップ半導体β-Ga2O3結晶の製造方法及び製造方法並びにこれに用いるるつぼ容器に関する。
β-Ga2O3単結晶は、2000年にY.Tomm らによって、FZ法、CZ法による単結晶成長の報告(非特許文献3、4)がなされて以来、当初はLED用GaN薄膜作製用基板として結晶成長の研究開発がされてきた。
最近になって、M.Higashiwakiらによる、β-Ga2O3単結晶を用いたパワ−デバイス用FET実現の報告がなされ(非特許文献11)、パワ−デバイス用ワイドギャップ半導体基板実現のための高品質、大形、低価格単結晶製造に強い関心が寄せられている。
デバイス応用を考慮したβ-Ga2O3単結晶は、図11に示すように、浮遊帯(Floating Zone:FZ)法、CZ法、EFG法、VB法、HB法等の方法で成長が可能であると考えられる。
これらの結晶成長方法のうち、FZ法は、その結晶成長原理からして、原料融液を保持するための容器が不要であるため、原料を融解する高温度(融点)までの加熱する手段は比較的容易に実現が可能であり、これまでにも多くの研究がされている(非特許文献1〜3、5、7、8)。しかし、FZ法は、その成長原理・温度環境から考察しても、転位等構造欠陥を抑制した高品質結晶の大形化には技術的な限界があり、過去10数年間に多くの検討がされてはいるものの(非特許文献1〜3、5、7、8、特許文献6)、デバイス応用に十分応えられている状況にはないと言える。
一方、従来から工業的に応用可能な大形で高品質な単結晶を製造方法として、CZ法及びEFG法が多くの単結晶成長に利用されている。β-Ga2O3単結晶成長に関しても、2000年以降、CZ法(非特許文献4、10)及びEFG法(非特許文献9、特許文献1〜5)の研究開発が盛んに行われている状況が推測される。しかし、未だ今後のパワ−デバイス応用に応えられる大形、高品質、低価格なβ-Ga2O3単結晶体の提供には至っていない。
特開2013−237591号公報 特開2011−190134号公報 特開2011−190127号公報 特開2011−153054号公報 特開2006−312571号公報 特開2004−262684号公報
N. Ueda, H. Hosono, R. Waseda, H. Kawazoe, Appl. Phys. Lett. 70 (1997) 3561. V.I. Vasyltsiv, Ya.I. Rym, Ya.M. Zakharo, Phys. Stat. Sol. B 195 (1996) 653. Y. Tomm, J.M. Ko, A. Yoshikawa, T. Fukuda, Solar Energy mater. Solar Cells 66 (2000) 369. Y. Tomm et.al; Czochralski grown Ga2O3 crystals, Journal of Crystal Growth, 220 (2000) 510-514 E.G. Villora et.al; Large-sizeβ-Ga2O3 single crystals and wafers, Journal of Crystal Growth 270 (2004) 420-426. M. Zinkevich et.al; Thermodynamic Assessment of the Gallium-Oxygen System,J. Am. Ceram. Soc., 87 [4] 683-91 (2004). J. Zhanga et.al; Growth and spectral characterization of β-Ga2O3 single crystals, Journal of Physics and Chemistry of Solids 67 (2006) 2448-2451. J. Zhanga et.al; Growth and characterization of new transparent conductive oxides single crystalsβ-Ga2O3: Sn, Journal of Physics and Chemistry of Solids 67 (2006) 1656-1659 H. AIDA et.al; Growth of β-Ga2O3 Single Crystals by the Edge-Defined, Film Fed Growth Method, Japanese Journal of Applied Physics Vol. 47, No. 11, 2008, pp. 8506-8509 Z. Galazka et.al; Czochralski growth and characterization of β-Ga2O3 single Rystals, Cryst. Res. Technol. 45, No.12,(2010)1229-1236 M. Higashiwaki et.al;Gallium oxide (Ga2O3) metal-semiconductor field-effect transistors on single-crystal β-Ga2O3 (010) substrates, Appl. Phys. Lett. 100, (2012) 013504
CZ法及びEFG法で結晶育成を行う場合、原料融液を保持するためのるつぼが必須となる。β-Ga2O3の融点は約1800℃と高温であることから、融点の視点から適用が考えられるるつぼ材としては、Ir、Mo、W等の高融点金属が挙げられる。
しかしながら、Mo及びWは、1800℃を超える高温下で、るつぼ中にβ-Ga2O3を融解した場合、るつぼ材であるMoまたはWの酸化力が大きく、β-Ga2O3を分解して酸素を奪って酸化してしまうことから、るつぼには全く適用できないことが分かっている。その結果、CZ法るつぼ及びEFG法るつぼ及びダイ材料に適用できる高融点金属はIrのみであると認識される。実際に参考論文文献におけるCZ法(非特許文献4、10)、EFG法(非特許文献9)に適用されているるつぼ材は全てIrであることからもこの認識は理解される。
しかし、発明者らは現用されているCZ法るつぼ材及びEFG法るつぼ材(ダイ材を含む)であるIrにも実は大きな問題があることを、種々の実験及び理論的考察によって明らかにするに至った。
すなわち、Irは1800℃を越える高温炉内で数%を越える酸素分圧下では、Irの酸化反応が進み、安定なるつぼ材料としては適用が困難になることが判明した。一方、β-Ga2O3は、1800℃を越える高温中では10wt%以下の酸素分圧下では酸素を失う分解反応が進行し、安定なβ-Ga2O3融液としては存在が困難な状況になることも判明した。
上述のように、原料融液であるβ-Ga2O3に要求される高温炉内での酸素分圧条件と、これを保持するIrるつぼに要求される酸素分圧条件との相互に矛盾していることは明らかである。すなわち、Irもβ-Ga2O3原料融液を収納する適切なるつぼ材ではあり得ないことが認識される。
さらに附言すれは、従来、Irるつぼを適用したCZ法及びEFG法によるβ-Ga2O3結晶育成は、炉内が数%の狭い範囲の酸素分圧下では可能になってはいても、成長したβ-Ga2O3結晶中には、酸素不足下で成長した酸化物結晶に多発する高密度の酸素欠陥の発生やIrの酸化による蒸発・減量、劣化の問題等が実験的にも明らかになっている。さらに、酸素欠陥はn形不純物的に作用し、高濃度のドナ−を生成することから、p形β-Ga2O3の実現を大変困難にしている等々半導体デバイス実現上にも多くの課題を抱えている。
本発明は、上述した課題を解決すべくなされたものであり、ポストシリコン材料として、将来のパワ−デバイス製造に必須のワイドギャップ半導体材料としてのβ-Ga2O3結晶の大形化、高品質化を可能とする、β-Ga2O3結晶の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
本発明に係るβ-Ga2O3結晶の製造方法は、るつぼ容器として、Rh含有量10〜20wt%のPt-Rh系合金るつぼを使用し、大気中において、VB法またはHB法を適用してβ-Ga2O3の結晶を育成することを特徴とする。
前記結晶を育成する際、前記るつぼに入れたβ-Ga 2 O 3 原料をβ-Ga 2 O 3 の融点以上で1850℃未満の温度まで加熱して融解した後、前記るつぼ内温度を徐々に降下させるようにするとよい。
また本発明に係るβ-Ga 2 O 3 結晶の製造装置は、VB法またはHB法を適用して、大気中でβ-Ga 2 O 3 結晶を製造する製造装置であって、るつぼが内部に配置されるアダプタと、該アダプタを支持する支持具と、上部が閉止された円筒状をなし、前記アダプタおよび該アダプタ内に配置された前記るつぼを覆う発熱体と、該発熱体を覆う保温材と、前記発熱体を加熱する加熱部とを具備し、
前記るつぼは、Rh含有量10〜20wt%のPt-Rh系合金るつぼであり、前記支持具に貫通孔が設けられ、該貫通孔内に熱電対が配置され、該熱電対の先端が前記るつぼの底面に接触し、前記熱電対の他端が温度検知器に接続されていることを特徴とする。
図1に、β-Ga2O3の融点以上の高温でるつぼ材料として使用可能なPt族元素の大気中における高温揮発損失量を示す。図1に示すデータは公知のデータに基づくものである。
本発明者は、これらの既存のデータと、発明者による、β-Ga2O3についての精密な融解実験、結晶育成実験結果に基づき、β-Ga2O3結晶の製造に用いるるつぼ材料としては、白金(Pt)とロジウム(Rh)の合金が最も適切であることを見出した。
Pt−Rh合金は、Ptに含有されるRhの含有量によって融点が異なる。図2に、既存の文献データと発明者による実験データを基に作製したPt/Rh合金の組成(wt%)と融点との関係を示す。
なお、Pt/Rh合金の融点についての測定実験は、空気中(約20%の酸素分圧)で行ったものであるが、酸素分圧10〜50%のアルゴン(Ar)ガス雰囲気及び酸素分圧10〜20%の窒素(N2)ガス雰囲気下においても、図2に示す結果に大きな相違がないことが確認されている。
本発明者によるβ-Ga2O3の融解実験から、β-Ga2O3は約1795℃で完全融解する。したがって、融点が1768℃のPtは、β-Ga2O3を融解・保持するるつぼの材料には適用できないことは明らかである。しかしながら、約2wt%以上のRhを含むPt/Rh合金の融点は、β-Ga2O3の融点を超えるから、理論的にはβ-Ga2O3の融液を保持するるつぼとして使用し得る。
実際のβ-Ga2O3の結晶育成において、融点が1795℃のβ-Ga2O3融液を安定的に保持して結晶育成を行うために求められるPt/Rh合金るつぼの融点については、CZ法、EFG法さらにVB法、HB法等の、結晶成長原理や育成する結晶の大きさ、さらには結晶育成条件等によって異なる。
発明者は、結晶成長方法としてはCZ法、EFG法、VB法について種々の結晶育成条件を適用しての実験、検討を重ねた結果、以下のような条件の適用により、β-Ga2O3結晶育成のための種々の課題を解決出来ることが明らかになった。
VB法によるβ-Ga2O3結晶育成の場合、適用できるPt/Rh合金るつぼ中のRh含有量の下限は10wt%以上が必要であり、当該るつぼの融点は1850℃以上であることが判明した。一方、その上限は直径100mmの結晶育成を想定しても、Rhの含有量は20wt%程度で、当該るつぼの融点は1900℃程度で十分であることが分かった
CZ法によるβ-Ga2O3結晶育成の場合、適用できるPt/Rh合金るつぼ中のRh含有量の下限は15wt%以上が必要であり、当該るつぼの融点は1880℃以上であることが判明した。一方、その上限は直径100mmの結晶育成を想定してもRhの含有量は30wt%程度で、当該るつぼの融点は1930℃程度で十分であることが分かった。
EFG法によるβ-Ga2O3結晶育成の場合、適用できるPt/Rh合金るつぼ及びダイ中のRh含有量の下限は15wt%以上が必要であり、当該るつぼの融点は1880℃以上であることが判明した。一方、その上限は直径100mmの結晶育成を想定してもRhの含有量は30wt%程度であり、当該るつぼの融点は1930℃程度で十分であることも分かった。
図2に、上述した実験的・経験的に得られたVB法、CZ法及びEFG法に適用するるつぼのPt/Rh合金の組成範囲を示した。
結晶育成方法によって、るつぼの局所的な変質・融解あるいは全融解などのトラブルを防止して、安定な結晶成長工程を実現するために必要なるつぼの融点に相違があるのは、各々の結晶育成方法を特徴づけるものであり、特にVB法に適用するるつぼのPt/Rh合金のRh組成が、CZ法、EFG法のるつぼのRh組成と比較して小さいのは、VB法は結晶が直径制御をする必要のない結晶成長方法であることに関係し、妥当な結果であると言える。
また、本発明に係るβ-Ga2O3結晶を製造する製造装置は、VB法またはHB法、CZ法、EFG法を適用してβ-Ga2O3結晶を製造する製造装置であって、るつぼに入れたβ-Ga2O3原料を、酸化雰囲気下においてβ-Ga2O3の融点以上に加熱する加熱部を備え、るつぼが、Rh含有量10〜30wt%のPt-Rh系合金からなるるつぼ容器であることを特徴とする。このβ-Ga2O3結晶の製造装置を用いることにより、育成炉内の酸素分圧が10wt%から50%(約10wt%の空気中を含む)広い範囲でβ-Ga2O3結晶の成長が可能になる。
また、本発明に係るβ-Ga2O3結晶の製造に用いるるつぼは、酸素雰囲気下において、VB法またはHB法、CZ法、EFG法を適用してβ-Ga2O3の結晶を育成するβ-Ga2O3結晶の製造に用いるるつぼ容器であって、Rh含有量が10〜30wt%のPt-Rh系合金からなることを特徴とする。このるつぼ容器を使用することにより、VB法あるいはHB法、CZ法、EFG法により、高品質で大形のβ-Ga2O3結晶を確実に製造することができる。
本発明に係るβ-Ga2O3結晶の製造方法及び製造装置によれば、結晶育成条件や成長結晶の特性の視点から要求されるに必要・十分な酸素分圧(酸素分圧が10wt%から50%)が適用できることから、従来のIrるつぼを使用した結晶育成方法において大きな課題であった結晶中の酸素欠陥の発生を大幅に低減することができ、高品質な単結晶を得ることが可能になる。
本発明に係るβ-Ga2O3結晶の製造方法及び製造装置によれば、Rh含有量10〜20wt%の単一組成のPt-Rh系合金るつぼを適用することにより、大気中において、β-Ga 2 O 3 を分解蒸発させることなく、かつるつぼを酸化消失させることなく、β-Ga2O3結晶を好適に育成することができ、大形で高品質の欠陥の少ないβ-Ga2O3結晶を製造することができる。
高温域におけるPt族元素の大気中における高温揮発損失量を示すグラフである。 既存の文献データと発明者による実験データを基に作製したPt/Rh合金の組成(wt%)と融点との関係を示すグラフである。 β-Ga2O3結晶の育成炉の構成を示す断面図である。 育成炉でるつぼを支持する部位近傍の構成を示す断面図である。 るつぼにβ-Ga2O3を入れ、るつぼの温度を上昇させたときの、るつぼの温度プロフィールの実測データである。 るつぼ中のβ-Ga2O3を融解させた後、徐々にるつぼの温度を降下させたときの温度プロフィールの実測データである。 るつぼに入れたβ-Ga2O3材料の加熱前(a)と融解・固化させた後(b)の状態を示す写真である。 Pt/Rh:70/30wt%からなるPt/Rh合金るつぼを使用したβ-Ga2O3の融解実験を示す写真である。 Pt/Rh:90/10wt%からなるPt/Rh合金るつぼを使用したβ-Ga2O3の融解実験を示す写真である。 Pt/Rh:90/10wt%からなるPt/Rh合金るつぼを使用し、アルゴンガス雰囲気中で行ったβ-Ga2O3の融解実験示す写真である。 結晶育成方法(FZ法、CZ法、EFG法、VB法、HB法)を示す説明図である。
(育成炉の構成例)
本発明に係るβ-Ga2O3結晶の製造方法においては、β-Ga2O3結晶の育成に使用するるつぼ材料として、Irとは異なるるつぼ材料、具体的には、白金(Pt)とロジウム(Rh)の合金材料を使用する。
図3は、β-Ga2O3結晶を育成する育成炉の構成例を示す。この育成炉は酸素雰囲気中(大気中)においてβ-Ga2O3結晶を育成するものである。
Pt/Rh合金るつぼを使用してβ-Ga2O3結晶を育成する方法としては、VB法(垂直ブリッジマン法)またはHB法(水平ブリッジマン法)、CZ法(チョクラルスキー法)、EFG法(縁端限定成長法)が適用できる。結晶育成方法の相違により、結晶育成操作と温度制御等について違いはあるが、結晶材料を加熱する加熱部の構成は同様である。図3は育成炉の加熱部の構成例を示す。
図3に示す育成炉は、育成炉の内部に、アダプタ12とアダプタ12を支持する支持具14とを配置し、アダプタ12にるつぼ10を支持する構成としている。支持具14は、内部に熱電対を挿通する挿通孔が設けられたパイプ状の部材である。図示例の装置では、複数個の支持具14を複数段に組み合わせて連結した構成としている。
るつぼ10とアダプタ12の外側には加熱用の発熱体20が配置される。発熱体20は白金とロジウムの合金(Pt/Rh:70/30wt%)からなる。発熱体20はるつぼ10とアダプタ12の外周囲を覆う大きさで、上部が閉止された円筒状に形成されている。
発熱体10の外側には、発熱体10の外周囲(上面、側面、底面)を覆うように第1の保温材22が設けられる。第1の保温材22の外側にはさらに第2の保温材24が配置され、第2の保温材214の外側にさらに第3の保温材26が配置される。
第1、第2、第3の保温材22、24、26は、効率的な加熱がなされるように設けている。これらの保温材には、ジルコニア、アルミナといった耐熱材が用いられる。
第3の保温材26の外側には、高周波コイル28が配置される。高周波コイル28は発熱体20に高周波を印加して発熱体20を高温に加熱する作用を有する。高周波コイル28から放射するエネルギーを制御することにより、発熱体20によるるつぼ10の加熱温度が制御される。
図4は、アダプタ12によりるつぼ10を支持する部位を拡大して示す。るつぼ10はアルミニウム製のアダプタ12の上部の凹部状に形成されたセット部12aにセットする。セット部12aの中心には、アダプタ12を貫通する、上部側が大径、下部側が小径となる貫通孔が開口する。
貫通孔の中途の段差部に熱電対のヘッド16がセットされる。熱電対の先端は、アダプタ12にるつぼ10をセットした状態で、るつぼ10の底面に接触するように配置される。熱電対の線材の他端は支持具14の内部を通過して温度検知器まで引き出される。
(β-Ga2O3の融解・固化実験:I)
図3に示す育成炉(加熱炉)を使用し、図4に示すように、るつぼ10にβ-Ga2O3原料を入れてβ-Ga2O3の融解実験を行った。るつぼには、Pt/Rh合金(Pt/Rh:90/10wt%)容器を使用した。
図5は、るつぼにβ-Ga2O3原料を入れ、育成炉(加熱炉)を用いて、育成炉内を室温から徐々に上昇させたときの、るつぼ10の温度プロフィールの実測データを示す。図5では、温度を上昇させたときの経過時間を合わせて示す。
図5に示した温度プロフィールは、室温から一定の温度上昇率を示しているグラフが、1789.2℃において、温度上昇率がいったん鈍化して温度上昇が停滞し、その後、1793.5℃から、再び元の温度上昇率に復帰していることを示す。すなわち、温度上昇率が停滞しはじめた1789.2℃がβ-Ga2O3の材料が融解開始した温度であり、元の温度上昇率に復帰した1793.5℃が、るつぼ中でβ-Ga2O3の材料が完全に融解した温度である。
図6は、るつぼを1800℃以上(1802℃)まで加熱した後、徐々にるつぼの温度を降下させたときの温度プロフィールの実測データを示す。温度プロフィールを見ると、1772.2℃に降下したところで、温度が1772.2℃から1778.1℃に急激に上昇している。この温度変化は、融解していたβ-Ga2O3が固化反応によって発熱したことによるものである。すなわち、1772.2℃において融解していたβ-Ga2O3が固化したこと、いいかえれば、るつぼに収容したβ-Ga2O3全体が融解した後、固化したことを示している。
図7は、るつぼに入れたβ-Ga2O3原料の加熱前(図7(a))と融解・固化させた後(図7(b))の写真である。図7(a)は塊状のβ-Ga2O3原料をるつぼに収容した状態である。図7(b)は、β-Ga2O3原料がるつぼ内で全融解してるつぼ全体を満たした後、固化したことを示す。
図5、4に示すβ-Ga2O3の融解・固化実験は精密な温度測定によるものであり、β-Ga2O3の融解温度を正確に特定したこと、るつぼ中でβ-Ga2O3が全融解して固化したことを示している点で重要である。
β-Ga2O3の融点については、従来、1650℃〜1800℃の範囲で種々の値が報告されている。上記融解実験に基づくβ-Ga2O3の融解温度1789.2℃は、β-Ga2O3の融解温度を初めて正確に特定したものである。また、上記融解実験は、1793.5℃(約1795℃)において、るつぼ中でβ-Ga2O3が完全に融解することを示している。したがって、このβ-Ga2O3の融解温度に基づいて、るつぼ材料を選択すること、結晶育成のための温度制御等を行うことにより、確実にβ-Ga2O3の結晶を育成することが可能である。
また、上記融解実験においては、るつぼとして、Pt/Rh合金(Pt/Rh:90/10wt%)容器を使用した。上記実験結果は、Pt/Rh合金(Pt/Rh:90/10wt%)容器を用いて、β-Ga2O3の結晶を製造できることを示している。
(β-Ga2O3の融解実験:II)
図8はβ-Ga2O3の他の融解実験例を示す。この融解実験はPt/Rh:70/30wt%からなるPt/Rh合金をるつぼ容器に使用してβ-Ga2O3を融解した実験である。
図8(a)は実験に使用したβ-Ga2O3の原料を示す。原料には、β-Ga2O3の円柱状の焼結体を使用した。
図8(b)はるつぼに、β-Ga2O3の原料を投入した状態(β-Ga2O3原料を立てて収容している)である。
図8(c)は、るつぼ温度を1800〜1860℃程度まで加熱し、室温まで降温させた後のるつぼの状態である。β-Ga2O3の原料が完全に融解され、固化している。
本実験結果は、Pt/Rh:70/30wt%からなるPt/Rh合金るつぼ容器が、β-Ga2O3の結晶育成に十分に使用できることを示す。
また、前述した融解実験Iとこの融解実験IIは、ともに、大気中(酸化雰囲気中)において実験したものである。これらの実験結果は、Pt/Rh合金からなるるつぼ容器を用いることにより、β-Ga2O3の結晶育成を大気中において行うことができることを示している。
(β-Ga2O3の融解実験:III)
前述した育成炉を使用して、β-Ga2O3の融解実験を行った。るつぼには、Pt/Rh:90/10wt%からなるPt/Rh合金容器を使用した。この融解実験はるつぼを加熱する温度をβ-Ga2O3の融解温度よりもかなり高温域まで上げたときの状態を調べたものである。
図9(a)は、るつぼにβ-Ga2O3の塊状の焼結体を収容した、加熱前の状態を示す。図9(b)は、るつぼをβ-Ga2O3の融解温度以上に加熱した後、室温まで降温させた状態を示す。
この実験では、るつぼが1800〜1860℃程度まで昇温したと推定され、β-Ga2O3の原料が完全に融解する一方、るつぼも部分的に融解する結果となった。
るつぼが部分的に融解した理由は、るつぼの温度が、Pt/Rh合金(Pt/Rh:90/10wt%)の融点である1850℃を超えたためと考えられる。
すなわち、Pt/Rh合金(Pt/Rh:90/10wt%)をるつぼ容器材料としてβ-Ga2O3を結晶育成する場合は、当然ながら、るつぼ容器が融解する温度以下で結晶育成するように温度制御する必要がある。
(β-Ga2O3の融解実験:IV)
上述したβ-Ga2O3の融解実験は、いずれも、図3に示す育成路を用いて、大気中(酸化雰囲気中)においてβ-Ga2O3の原料を融解した実験である。比較例として、アルゴンガス雰囲気の育成炉を用いてβ-Ga2O3の原料を融解する実験を行った。
アルゴンガス雰囲気の結晶育成炉としては、るつぼの外側にカーボン発熱体を配置し、るつぼとるつぼを支持する支持具の一部とを、カーボン発熱体と保温材とにより気密に遮蔽し、るつぼが収容されている領域にアルゴンガスを流しながらるつぼを加熱する炉を使用した。
融解実験に使用したるつぼは、Pt/Rh合金(Pt/Rh:90/10wt%)るつぼである。
図10(a)に、β-Ga2O3原料をるつぼに入れた状態を示す。図10(b)は、アルゴンガス雰囲気中において、るつぼを1700℃まで加熱した後、室温まで降温した状態を示す。
図10(b)に示すように、β-Ga2O3原料が消失し、るつぼ容器が融解している。これは、アルゴンガス雰囲気中でるつぼを1700℃に加熱したことにより、Ga2O3が還元分解され、Ga金属がるつぼのPt/Rh合金と合金化して融点が低下し、1700℃で融解してしまったことを示す。
この実験結果は、β-Ga2O3原料をるつぼに入れて融解する場合は、β-Ga2O3が融解する高温域ではGa2O3の還元分解反応が進むため、β-Ga2O3が安定した融液として存在することが困難であり、β-Ga2O3の結晶育成には酸化雰囲気中において結晶育成する必要があることを示す。
10 るつぼ
12 アダプタ
12a セット部
14 支持具
16 ヘッド
20 発熱体
22、24、26 保温材
28 高周波コイル

Claims (2)

  1. るつぼ容器として、Rh含有量10〜20wt%のPt-Rh系合金るつぼを使用し、大気中において、VB法またはHB法を適用してβ-Ga2O3の結晶を育成することを特徴とするβ-Ga2O3結晶の製造方法。
  2. VB法またはHB法を適用して、大気中でβ-Ga 2 O 3 結晶を製造する製造装置であって、
    るつぼが内部に配置されるアダプタと、
    該アダプタを支持する支持具と、
    上部が閉止された円筒状をなし、前記アダプタおよび該アダプタ内に配置された前記るつぼを覆う発熱体と、
    該発熱体を覆う保温材と、
    前記発熱体を加熱する加熱部とを具備し、
    前記るつぼは、Rh含有量10〜20wt%のPt-Rh系合金るつぼであり、
    前記支持具に貫通孔が設けられ、該貫通孔内に熱電対が配置され、該熱電対の先端が前記るつぼの底面に接触し、前記熱電対の他端が温度検知器に接続されていることを特徴とするβ-Ga2O3結晶の製造装置。
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