JP6402984B2 - 透明フィブロインナノファイバー不織布、細胞培養用基材、細胞シート及び透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法 - Google Patents

透明フィブロインナノファイバー不織布、細胞培養用基材、細胞シート及び透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法 Download PDF

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本発明は、透明フィブロインナノファイバー不織布、細胞培養用基材、細胞シート及び透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法に関する。
カイコの吐出する繭糸は、フィブロインと呼ばれるタンパク質からなる一対の繊維と、それらを束ねる糊成分であるセリシンと呼ばれるタンパク質から構成されている。
シルクフィブロインは、キャストフィルム、ハイドロゲル、スポンジそしてファイバー不織布など様々な形状に加工されている。フィブロイン繊維は、臭化リチウム溶液に溶解した後、透析して脱塩することでフィブロイン水溶液とすることができる。
例えば、シルクフィブロイン水溶液を平板上で乾燥することによって得られるフィブロインキャストフィルムは極めて高い透明度を有している。また、フィブロイン水溶液からナノファイバー不織布作製する技術が報告されている(非特許文献1)。
シルクフィブロインはその優れた生体適合性ゆえ、組織再生材料として幅広く検討されている。再生フィブロイン材料は、手術用縫合糸として用いられる絹糸と同様に、ヒトの体内において免疫反応を惹起することのない生体適応性を有しており、高い引張強度などの優れた力学的性質と、体内で分解吸収される生分解性を兼ね備えた材料であることが知られている。
Hyoung-Joon Jin, Sergey V. Fridrikh, Gregory C. Rutledge, and David L. Kaplan. Electrospinning Bombyx mori Silk with Poly(ethylene oxide), Biomacromolecules, 3, 1233-1239, 2002
フィブロインキャストフィルムは極めて高い透明度を有しているが、細胞の接着性や物質透過性が悪い等の欠点があり、適用条件によっては問題となる。例えば、角膜実質再生材料としてフィブロインキャストフィルムを用いようとすると、血管系が存在しない角膜では、物質透過性の不良は好ましくない。
フィブロイン水溶液から作製されたフィブロインナノファイバー不織布は、物質透過性は良好であるが、適用条件によっては著しく透明度が低いことが問題となる。例えば角膜実質再生材料としてフィブロインナノファイバー不織布を用いようとすると、光受容器官である眼にとって透明度の低さの改善は重要な課題となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた物質透過性、細胞の接着性及び透明性を併せ持つ、透明フィブロインナノファイバー不織布、それを備えた細胞培養用基材、細胞シート及び透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法の提供を課題とする。
本発明は、下記の特徴を有する透明フィブロインナノファイバー不織布、細胞培養用基材、細胞シート及び透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法を提供するものである。
[1]下記試験により求められた見かけの透明度が60%以上であることを特徴とする透明フィブロインナノファイバー不織布。
(試験方法)
水中に透明フィブロインナノファイバー不織布を浸漬した状態で撮像し、得られた写真において、(I)前記透明フィブロインナノファイバー不織布を介さず観察される背景色の明度と、(II)前記透明フィブロインナノファイバー不織布を介して観察される前記背景色の明度と、の比から下記式(1)により透明度を求める。
透明度(%)=(I)/(II)×100 …(1)
[2]前記透明フィブロインナノファイバー不織布全体における平均の密度が0.05g/cm〜0.4g/cmであり、前記透明フィブロインナノファイバー不織布を構成するフィブロインナノファイバーの平均径が1nm〜1500nmである前記[1]に記載の透明フィブロインナノファイバー不織布。
[3]グルコース透過性を有する前記[1]又は[2]に記載の透明フィブロインナノファイバー不織布。
[4]アルブミン透過性を有する前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の透明フィブロインナノファイバー不織布。
[5]前記アルブミン透過性が、1気圧下において0.001mg/mm・分以上である前記[4]に記載の透明フィブロインナノファイバー不織布。
[6]前記[1]〜[5]のいずれか一つに記載の透明フィブロインナノファイバー不織布を備えたことを特徴とする細胞培養用基材。
[7]前記[1]〜[5]のいずれか一つに記載の透明フィブロインナノファイバー不織布上に細胞が付着してなることを特徴とする細胞シート。
[8]前記細胞が角膜組織の細胞である前記[7]に記載の細胞シート。
[9]フィブロインナノファイバーを不溶化させた不溶化フィブロインナノファイバー不織布を、第2族元素を含有する溶液に接触させる透明化処理工程と、前記透明化処理工程を経た不溶化フィブロインナノファイバー不織布を乾燥させる乾燥処理工程と、を有することを特徴とする透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法。
[10]前記第2族元素が、カルシウム又はマグネシウムである前記[9]に記載の透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法。
[11]前記透明化処理工程に先立って、フィブロインナノファイバー不織布を、95体積%以上のアルコール水溶液に接触させた後に60体積%以上95体積%未満のアルコール水溶液に接触させて、前記不溶化フィブロインナノファイバー不織布を得る不溶化処理工程を有する前記[9]又は[10]に記載の透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法。
[12]電界紡糸法を用いてフィブロインナノファイバーを紡糸する工程と、回転コレクターを用いて前記フィブロインナノファイバーを巻取り、前記フィブロインナノファイバーを前記回転コレクターの回転方向に配向させた前記フィブロインナノファイバー不織布を得る工程と、を有する前記[11]に記載の透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法。
本発明によれば、優れた物質透過性、細胞の接着性及び透明性を併せ持つ、透明フィブロインナノファイバー不織布、それを備えた細胞培養用基材、細胞シート及び透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法を提供できる。
実施例における、不溶化処理、透明化処理、乾燥処理、洗浄の各工程の流れを説明する模式図である。 配向性フィブロインナノファイバー不織布とランダムフィブロインナノファイバー不織布の肉眼写真及び走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 実施例において、100体積%エタノールに24時間浸漬した後、95体積%エタノールに24時間浸漬する不溶化処理を行った後、塩化マグネシウム水溶液により透明化処理を行った後の、フィブロイン不織布の外観、位相差顕微鏡および走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 実施例において、100体積%エタノールに24時間浸漬した後、95体積%エタノールに24時間浸漬する不溶化処理を行った後、塩化カルシウム水溶液により透明化処理を行った後の、フィブロイン不織布の外観、位相差顕微鏡および走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 実施例において、100体積%エタノールに144時間浸漬した後、70体積%エタノールに144時間浸漬する処理を行った後、塩化カルシウム水溶液により透明化処理を行った後の、フィブロイン不織布の外観、位相差顕微鏡および走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 実施例において、100体積%エタノールに144時間浸漬した後、70体積%エタノールに144時間浸漬する処理を行った後、塩化カルシウム水溶液により透明化処理を行った後の、フィブロイン不織布に対して行った透明度の解析結果を示す図である。 実施例において、100体積%エタノールに24時間浸漬した後、95体積%エタノールに24時間浸漬する不溶化処理を行った後、透明化処理を行った後の、フィブロイン不織布上に生着したヒト角膜上皮細胞の様子を示す写真である。 実施例における透過性試験の手順を説明する模式図である。 実施例における透過性試験の経過を写した写真である。 実施例における透過性試験の結果を示すグラフである。 実施例における透過性試験の結果を示すグラフである。
≪透明フィブロインナノファイバー不織布≫
本実施形態の透明フィブロインナノファイバー不織布は、下記試験により求められた見かけの透明度が60%以上である。
(試験方法)
水中に透明フィブロインナノファイバー不織布を浸漬した状態で撮像し、得られた写真において、(I)前記透明フィブロインナノファイバー不織布を介さず観察される背景色の明度と、(II)前記透明フィブロインナノファイバー不織布を介して観察される前記背景色の明度と、の比から下記式(1)により透明度を求める。
透明度(%)=(I)/(II)×100 …(1)
フィブロインナノファイバー不織布とは、フィブロインナノファイバーが繊維形状を有しつつ集合してなるシート状の成形体である。ここで、「シート状」とは、成形体の厚みが、厚み方向に直交する二次元方向の広がりと比べて小さくなっている形状のことを指し、厚みが極薄のフィルム状のものから、肉厚の板状のものまでを含む。本実施形態の透明フィブロインナノファイバー不織布は、フィブロインナノファイバー間の間隙として、空孔を有している。一方、フィブロインキャストフィルムはフィブロインナノファイバー間の間隙としての空孔を有しておらず、この点においても、本実施形態の透明フィブロインナノファイバー不織布は、フィブロインキャストフィルムと異なっている。
透明フィブロインナノファイバー不織布の空孔率は特に制限されるものではないが、透明フィブロインナノファイバー不織布全体の平均の空孔率は30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、55%以上であることがさらに好ましく、75%以上であることが特に好ましい。
不織布を構成するフィブロインナノファイバーは、カイコのフィブロインを主成分とする。フィブロインは、蚕の繭糸からセリシンを除去して得られる繊維状のものを好適に用いることができる。フィブロインは、例えば、細片に切断した繭を塩基性水溶液で煮沸した後、残存する塩基性水溶液とセリシンとを水洗して除去することで得られる。ここで用いる塩基性水溶液としては、フィブロインを過度に溶解させないように低濃度ものを用いる。また、繭からセリシンを除去することが可能であれば、他の方法を採用することもできる。
透明フィブロインナノファイバー不織布の透明度の試験方法において、前記背景色の色は、黒であることが望ましい。明度の測定は、市販の画像解析ソフトにより求めることができ、例えば、画像解析ソフトImageJのヒストグラム解析により測定することができる。
上記式により算出されたフィブロインナノファイバー不織布の見かけの透明度は、60%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、94%以上が特に好ましい。
フィブロインナノファイバーは、フィブロインの集合により形成された繊維状の構造物である。フィブロインナノファイバー不織布を構成するフィブロインナノファイバーの平均径は、1〜1500nmであることが好ましく、10〜1000nmであることがより好ましく、50〜500nmであることがさらに好ましい。
透明フィブロインナノファイバー不織布の厚みは、0.1〜1000μmが好ましく、0.2〜200μmがより好ましく、0.5〜30μmがさらに好ましい。上記範囲の厚みを有する透明フィブロインナノファイバーは、取扱いに優れる点においても好ましい。また、後述のように透明フィブロインナノファイバー不織布を細胞培養基材又は細胞シートに用いた場合には、取扱いに優れることに加え、生体適合性の観点からも好ましい材料とすることができる。
本実施形態の透明フィブロインナノファイバー不織布は、不織布全体における不織布の平均の密度が、0.05g/cm〜0.4g/cmであることが好ましく、0.1g/cm〜0.3g/cmであることがより好ましく、0.1g/cm〜0.25g/cmであることがさらに好ましい。不織布を構成するフィブロインナノファイバー自体が多孔質である場合などでは、上記密度の値は、見かけ密度として求めた値として採用可能である。
本実施形態の透明フィブロインナノファイバー不織布において、フィブロインナノファイバーの集合の程度は、不織布が空孔を有する程度とする。前記空孔は、フィブロインナノファイバーとフィブロインナノファイバーとの重なり(配向具合)の若干の不規則性により、フィブロインナノファイバー間に形成されたものであることが好ましい。透明フィブロインナノファイバー不織布を構成するフィブロインナノファイバーは繊維形状を有するものであるが、フィブロインナノファイバーの集合によって生じたフィブロインナノファイバー同士の接触部分において、フィブロインナノファイバー同士が癒合していてもよい。
本実施形態の透明フィブロインナノファイバー不織布は、不織布全体における平均の密度が0.05g/cm〜0.4g/cmであることが好ましく、0.1g/cm〜0.3g/cmであることがより好ましく、0.1g/cm〜0.25g/cmであることがさらに好ましく、且つ透明フィブロインナノファイバー不織布を構成するフィブロインナノファイバーの平均径1〜1500nmであることが好ましく、10〜1000nmであることがより好ましく、50〜500nmであることがさらに好ましい。
透明フィブロインナノファイバー不織布の平均の密度の値、及び透明フィブロインナノファイバー不織布を構成するフィブロインナノファイバーの平均径の値が上記範囲にある場合、フィブロインナノファイバー不織布を生体材料として用いる観点から、透明フィブロインナノファイバー不織布の有する空孔のサイズを、物質透過性の観点から好ましい値とすることができる。透過される物質とは、生体を構成する生体物質および各種栄養成分に代表される生体内に存在する物質等が好ましい。
本実施形態の透明フィブロインナノファイバー不織布は、上述のとおり、空孔を有するものであるので、優れた物質透過性を有する。物質透過性の程度は、特に制限されるものではないが、透明フィブロインナノファイバー不織布を生体材料として用いる観点からは、生体を構成する生体物質および各種栄養素に代表される生体内に存在する物質を透過する程度の透過性を有することが好ましい。これは、透明フィブロインナノファイバー不織布を生体材料として用いたとき、周囲の細胞が必要とする各種栄養素や成長因子等のシグナル分子を透過する材料であることが好ましいためである。
透明フィブロインナノファイバー不織布は分子量が150以上の分子を透過することが好ましく、分子量が60000以上の分子を透過することがより好ましく、分子量が150000以上の分子を透過することがさらに好ましい。より具体的には、グルコース透過性を有することが好ましく、グルコース透過性及びアルブミン透過性を有することがより好ましく、グルコース透過性、アルブミン透過性及びグロブリンIgG透過性を有することがさらに好ましい。グルコースの分子量は約180.16であり、アルブミンの分子量は約66000であり、グロブリンIgGの分子量は約150000である。アルブミンは生体内の物質としては比較的分子量の高い分子であるため、アルブミン透過性を有するフィブロインナノファイバー不織布であれば、細胞が必要とする各種栄養素や成長因子等のシグナル分子を容易に透過すると考えられ、生体材料として非常に好ましい。
透明フィブロインナノファイバー不織布を生体材料として用いることを想定するとき、上記物質の透過性は、1気圧条件下で計測されたものであることが好ましい。
透明フィブロインナノファイバー不織布の物質透過性は、測定対象の透明フィブロインナノファイバー不織布表面に透過させる物質を含む溶液を配置し、不織布を通過した前記溶液に含まれる前記物質の量から求められたものとする。
物質透過率(%) = (不織布透過前の溶液中に含まれる物質の量/不織布透過後の溶液中に含まれる物質の量)×100
透明フィブロインナノファイバー不織布のグルコース透過性およびアルブミン透過性については、特に制限されないが、上記式に当てはめたときのグルコース透過率が、90%以上であることが好ましく、95%以上であることが好ましく、98%以上であることが好ましい。同様に、アルブミン透過率は、90%以上であることが好ましく、95%以上であることが好ましく、98%以上であることが好ましい。物質の透過量の測定及び算出手段は、透過前後の物質の量を比較できるものであれば特に制限されず、吸光度等による間接的な量の測定であってもよい。
上記グルコース透過性およびアルブミン透過性の速度については、特に制限されないが、グルコース透過性が、1気圧下において0.009mg/mm・分以上であることが好ましく、0.01mg/mm・分であることがより好ましく、0.05mg/mm・分以上であることがさらに好ましい。アルブミン透過性については、1気圧下において0.001mg/mm・分以上であることが好ましく、0.075mg/mm・分であることがより好ましい。
フィブロインナノファイバーは、電界紡糸法により得ることが挙げられる。電界紡糸法(エレクトロスピニング)は、ポリマーに高電圧を印加することで繊維を紡糸する方法である。一般的には、ポリマー溶液を充填したシリンジと紡糸された糸をつなぐコレクター間に電圧をかけることで、シリンジのニードルからコレクターに向かって繊維が放出され、紡糸される。
フィブロインナノファイバーは、フィブロインが水に溶解したフィブロイン水溶液を用いて電界紡糸法により紡糸することが可能である。フィブロイン水溶液は、例えば、フィブロインを上記セリシンの除去に用いたものよりも高いpHの塩基性水溶液に溶解した後、得られる溶解液を透析して脱塩することで得られる。
電界紡糸法では、コレクターへと集められたフィブロインナノファイバーは、コレクター上で自然と不規則性を有した状態で展開し積層する。そのため、単にコレクターにフィブロインナノファイバーを集めることのみでも、フィブロインナノファイバー不繊布(ランダムフィブロインナノファイバー不織布)が得られ得る。
フィブロインナノファイバーを紡糸することが可能であれば、上記電界紡糸法以外の方法でフィブロインナノファイバーを紡糸してもよく、例えば、スプレイドライ、湿式紡糸等によりフィブロインナノファイバーを紡糸することが挙げられる。
透明フィブロインナノファイバー不織布は、フィブロインナノファイバーが配向性を持って配向した不織布(配向性フィブロインナノファイバー不織布)であってもよい。電界紡糸法を用いて不織布を製造する場合、配向性フィブロインナノファイバー不織布は、コレクターとして回転コレクターを用いて、フィブロインナノファイバーを集めることにより得ることができる。回転コレクターを用いることで、回転コレクターの回転方向へと配向した配向性フィブロインナノファイバーを得ることができる。回転コレクターを用いた場合であっても、フィブロインナノファイバーはコレクター上で若干の不規則性を有した状態で展開し得るが、この際、紡糸中の回転コレクターに対するシリンジの位置を適宜調節することによって、フィブロインナノファイバーとフィブロインナノファイバーとの重なりの状態を調節してもよい。回転コレクターとしては、公知の回転ドラム型コレクターを用いることが挙げられ、回転コレクターの回転の程度は、直径10cmのドラムを用いた場合の目安として、1500〜3000rpm程度である。
透明フィブロインナノファイバー不織布を構成するフィブロインナノファイバーの配向性の程度が高められていることで、フィブロインナノファイバー不織布の透明度をより高いものとすることができる。
透明フィブロインナノファイバー不織布の厚みは、透明フィブロインナノファイバーを構成するフィブロインナノファイバーの径、体積、本数や、フィブロイン水溶液濃度などの要素を調節して、フィブロインナノファイバーを紡糸及び積層させることで、任意の厚みの透明フィブロインナノファイバー不織布を得ることが可能である。
透明フィブロインナノファイバー不織布は、フィブロインナノファイバーのみから構成されていてよいし、前記の見かけの透明度が60%以上であることが達成されるのであれば、フィブロインナノファイバーの他に、任意の物質を含んでいてもよい。任意の物質は、フィブロインナノファイバーに含まれていてもよく、フィブロインナノファイバーとは独立に透明フィブロインナノファイバー不織布に含まれていてもよい。透明フィブロインナノファイバー不織布に含まれ得る任意の物質としては、コラーゲン、ゼラチン、ポリ乳酸等の生分解性ポリエステル及びその誘導体、セリシン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)多糖類等が挙げられ、フィブロインと同様にファイバーを形成し得る材料が好ましい。
≪細胞培養用基材・細胞シート≫
本実施形態の細胞培養用基材は、前記透明フィブロインナノファイバー不織布を備えたものであり、前記透明フィブロインナノファイバー不織布からなるものであってもよい。フィブロインは優れた生体適合性を有しており、また、前記透明フィブロインナノファイバー不織布は優れた物質透過性、細胞の接着性及び透明性を有しているため、細胞培養用基材として好適である。
細胞培養用基材は、移植された先で細胞の足場となり得る。また、透明フィブロインナノファイバー不織布上に細胞が付着してなる細胞シートの形態として、移植用材料として使用可能である。
透明フィブロインナノファイバー不織布が有する優れた透明性により、細胞培養用基材は移植対象箇所の視認性を妨げることがない。例えば、透明フィブロインナノファイバー不織布は優れた透明性を有するので、細胞培養用基材を移植して該基材に覆われた組織であっても容易にその状態を観察することができ、移植経過の状態把握が可能であるという点においても、非常に優れている。
透明フィブロインナノファイバー不織布に付着する、又は透明フィブロインナノファイバー不織布上で培養される細胞種は、特に制限されないが、線維組織を構成する細胞は細胞培養シャーレなどの平板上足場よりも繊維状足場の上でより活発に増殖や機能の発現を行うという知見(例えば、Phu D, Lindsay S, Wray S, Warren RV, Haskell RC, Orwin EJ (2011), Effect of substrate composition and alignment on corneal cell phenotype, Tissue Eng, 17, 799-807. Lee CH, Shin HJ, Cho, IH, Kang YM, Kim I, Park KD, Shin, JW (2005). Nanofiber alignment and direction of mechanical strain affect the ECM production of human ACL fibroblast. Biomaterials, 26, 1261-1270.)があることから、線維組織を構成する細胞であることが好ましい。線維組織の細胞としては、靭帯、軟骨、骨、脂肪組織、角膜組織、皮膚組織の細胞、又は、それらの組織に分化し得る前駆細胞若しくは幹細胞が挙げられる。角膜組織の細胞とは、角膜内皮細胞、角膜実質細胞、角膜上皮細胞、角膜上皮輪部幹細胞、及びそれらに分化できる前駆細胞若しくは幹細胞が挙げられる。
細胞培養用基材を移植用材料として用いる場合、移植先は特に制限されるものではないが、眼への移植が好ましく、角膜への移植がより好ましい。角膜としては、角膜内皮、角膜上皮又は角膜実質が挙げられ、角膜上皮又は角膜実質がより好ましい。角膜への細胞培養用基材移植とは、角膜を補填するために行うこと、角膜の細胞を再生するための足場を提供するために行うこと、細胞培養基材上で培養された細胞を移植するために行うこと等を含む。
眼は、光受容器官であるため、優れた透明性を有する細胞培養基材は、眼への移植用材料としての有用性は著しく高い。更には、角膜実質組織は無血管組織であるため、物質透過性に優れた材料は非常に有用である。また、無血管組織であるがゆえに再生能力が低いため、他組織に比べて再生速度が遅いことが知られている。そこで、角膜実質の再生材料としては、ある程度の長期間にわたり生体内に存在する材料の方が好ましい。フィブロインは生体内での分解を受けにくいため、角膜実質再生の観点からみれば、生体適合性に加え非常に有用な特徴を持つ材料であるといえる。
角膜移植希望患者数に対する圧倒的なドナー不足は日本のみならず世界的な問題となっており、人工角膜の開発が待ち望まれている。これまでにも、様々な材料を用いて、人工角膜の開発の試みが数多くなされてきた。技術の発展に伴い、角膜上皮細胞層や角膜内皮細胞層に関しては、実際に臨床応用されている技術も創生されている。角膜実質層に関してもいくつかの優れた技術は開発されているが、臨床的に満足のゆくものはいまだに開発されていない。
本実施形態の細胞培養基材は、優れた透明性、細胞の接着性、物質透過性、分解速度等の上記に挙げた性質により、本実施形態の細胞培養用基材は、角膜実質再生材料としても好適に用いることができる。
≪透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法≫
本実施形態において、フィブロインナノファイバー不織布とは、フィブロインナノファイバーが繊維形状を有しつつ集合してなるシート状の成形体である。ここで、「シート状」とは、成形体の厚みが、厚み方向に直交する二次元方向の広がりと比べて小さくなっている形状のことを指し、厚みが極薄のフィルム状のものから、肉厚の板状のものまでを含む。透明フィブロインナノファイバー不織布を構成するフィブロインナノファイバーは繊維形状を有するものであるが、フィブロインナノファイバーの集合によって生じたフィブロインナノファイバー同士の接触部分において、フィブロインナノファイバー同士が癒合していてもよい。透明フィブロインナノファイバー不織布は、フィブロインナノファイバー間の間隙として、空孔を有している。以下、フィブロインナノファイバーの配向性やフィブロインナノファイバー不織布の透明度によらず、フィブロインナノファイバー不織布に共通の事柄について説明するとき、単にフィブロインナノファイバー不織布又は不織布として説明することがある。
本実施形態の透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法は、フィブロインナノファイバーが配向性を持って配向してなる配向性フィブロインナノファイバー不織布を、96体積%以上のアルコール水溶液に接触させた後に60体積%以上96体積%未満のアルコール水溶液に接触させて不溶化フィブロインナノファイバー不織布を得る不溶化処理工程と、前記不溶化処理工程により得られた不溶化フィブロインナノファイバー不織布を、第2族元素を含有する溶液に接触させる透明化処理工程と、前記透明化処理工程を経た不溶化フィブロインナノファイバー不織布を乾燥させる乾燥処理工程と、を有する。
本実施形態において示されるように、透明化処理工程に供される不溶化フィブロインナノファイバー不織布は、フィブロインナノファイバーが配向性を持って配向してなる配向性フィブロインナノファイバー不織布であることが好ましい。
電界紡糸法を用いて不織布を製造する場合、配向性フィブロインナノファイバー不織布は、コレクターとして回転コレクターを用いて、フィブロインナノファイバーを集めることにより得ることができる。回転コレクターを用いることで、回転コレクターの回転方向へと配向した配向性フィブロインナノファイバーを得ることができる。
フィブロインナノファイバー不織布を構成するフィブロインナノファイバーの配向性の程度を上昇させることで、より容易に透明度の高い透明フィブロインナノファイバー不織布を得ることができる。配向性フィブロインナノファイバー不織布の使用は、透明化処理工程との相性が非常に良い。このことはおそらく、予めフィブロインナノファイバーに配向性を持たせた透明度の高い材料を使用することで、フィブロインナノファイバーの繊維表面の溶解を行う程度の弱い透明化処理により、フィブロインナノファイバーの透明度を著しく上昇させることができるためである。弱い透明化処理であれば、フィブロインナノファイバーの繊維形状の崩壊を生じさせないよう透明化処理を制御することが容易である。
本実施形態において示されるように、透明化処理工程に供される不溶化フィブロインナノファイバー不織布は、前記配向性フィブロインナノファイバー不織布を、96体積%以上のアルコール水溶液に接触させた後に60体積%以上96体積%未満のアルコール水溶液に接触させる不溶化処理工程経て製造された不溶化フィブロインナノファイバー不織布であることが好ましい。
フィブロインナノファイバー不織布を、アルコール水溶液に接触させることでフィブロインナノファイバー不織布が内包する水と、アルコール水溶液との濃度差により生じる浸透圧により、フィブロインナノファイバー不織布内部の水がしみ出し、不織布内ではフィブロイン同士が接触しやすくなる。フィブロイン同士が接触した部分では、分子間力や水素結合によりフィブロインの結晶化が進行し、その結果、フィブロインが不溶化すると考えられている。
不溶化処理として、一般的には、メタノールやエタノールなどのアルコールを用いて70体積%〜80体積%程度のアルコール水溶液を調製し、このアルコール水溶液に15分〜60分ほど浸漬する処理が行われる。フィブロインは、不溶化処理の際にいかなる濃度のアルコール水溶液を用いたとしても、βシート構造からなるII型結晶を形成し、結晶化度はある平衡的な値まで上昇するといわれている。
しかし、発明者が詳細に検討したところ、一般に用いられている濃度よりも非常に高濃度の95体積%以上のアルコール水溶液に先ずフィブロインナノファイバー不織布を接触させることで、フィブロインナノファイバーの繊維形状が保たれやすくなることで、操作性が向上し、その後の透明化処理を経ても容易に透明フィブロインナノファイバー不織布を得られることが判明した。95体積%以上のアルコール水溶液の濃度としては、96体積%以上であることが好ましく、98体積%以上であることがより好ましく、99体積%以上であることがさらに好ましい。
その後、60体積%以上95体積%未満のアルコール水溶液に接触させることで、フィブロインナノファイバーの結晶化度を上昇させる。60体積%以上95体積%未満のアルコール水溶液の濃度としては、60体積%以上90体積%未満であることが好ましく、60体積%以上80体積%未満であることがより好ましく、65体積%以上75体積%未満であることがさらに好ましい。上記濃度のアルコール水溶液にフィブロインナノファイバー不織布を接触させることで、その後の透明化処理を経てもフィブロインナノファイバーの繊維形状が保たれやすくなり、容易に透明フィブロインナノファイバー不織布を得ることができる。
上記アルコールとしては、メタノールやエタノールを好適に用いることができる。また、透明フィブロインナノファイバー不織布を、細胞培養用を細胞培養基材や生体材料として用いた場合に、悪影響を与えない程度であれば、プロパノール、ブタノール、PEG(ポリエチレングリコール)などのアルコールが少量含まれていてもよい。
アルコールをフィブロインナノファイバー不織布に接触させる方法としては、不溶化処理が可能であれば種々の方法を選択することができる。例えば、フィブロインナノファイバー不織布の小片をアルコール水溶液に浸漬してもよく、小片に対し十分量のアルコール水溶液を散布または塗布することとしてもよい。
上記各アルコールによる不織布の不溶化処理の時間は、10秒以上720時間以下が好ましく、16時間以上480時間以下がより好ましく、72時間以上240時間以下が特に好ましい。
アルコールによる成形体の不溶化処理の温度は、−97.8℃(100%メタノールの凝固点)以上78.4℃(100%エタノールの沸点)以下が好ましく、−38℃(エタノール50体積%溶液の凝固点)以上65℃(100%メタノールの沸点)以下がより好ましい。
本実施形態の透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法は、前記不溶化処理工程において得られた不溶化フィブロインナノファイバー不織布を第2族元素を含有する溶液に接触させる透明化処理工程を有する。
第2族元素を含有する溶液は、溶液中に複数種類の第2族元素を含有していてもよい。第2族元素を含有する溶液は、第2族元素イオンを含有する溶液であることが好ましい。第2族元素イオンとは、周期表の第2族に属する元素のイオンであり、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、ラジウムイオンが挙げられ、生体適合性の観点から、マグネシウムイオン又は、カルシウムイオンが好ましく、カルシウムイオンがより好ましい。
第2族元素イオンを含有する溶液は、例えば、極性溶媒に第2族元素を添加することで得ることができる。極性溶媒とは、例えば、水、エタノール、ギ酸、酢酸及びそれらを混合して得られた組成物が挙げられる。第2族元素を添加するとは、第2族元素のハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;酢酸塩等の有機酸塩等の化合物を添加することが挙げられ、例えば、BeSO、BeCl、Mg(NO、MgCO、CaCl、SrCl、BaSO、RaCl等の化合物を添加することが挙げられる。
不溶化フィブロインナノファイバー不織布を、第2族元素を含有する溶液に接触させる方法は、特に制限されず、不溶化フィブロインナノファイバー不織布に第2族元素を含有する溶液を含浸させる、噴霧する、塗布する等の方法が挙げられる。
不溶化フィブロインナノファイバー不織布を、第2族元素を含有する溶液に接触させることで、おそらく、フィブロインナノファイバー表面をわずかに溶解させることとなり、不溶化フィブロインナノファイバー不織布を構成するフィブロインナノファイバーの高次構造や配列を変化させ、不溶化フィブロインナノファイバーの透明度を向上させることができる。
第2族元素がカルシウムである場合、溶液中のカルシウム濃度は、10mM〜500mMが好ましく、60mM〜350mMがより好ましく、70mM〜250mMがさらに好ましく、80mM〜200mMが特に好ましい。上記Mは、mol/mを表す。
このとき、カルシウムを含有する溶液に、不溶化フィブロインナノファイバー不織布を接触させる時間は、0.05時間〜12時間が好ましく、0.1時間〜3時間がより好ましく、0.2時間〜1時間がさらに好ましい。
上記のカルシウムを含有する溶液の濃度と、該溶液に不溶化フィブロインナノファイバー不織布を接触させる時間とは、任意に組み合わせ可能である。
相対的に高濃度のカルシウムを含有する溶液を用いる場合には、該溶液と不溶化フィブロインナノファイバー不織布との接触時間を短く、相対的に低濃度のカルシウムを含有する溶液を用いる場合には、該溶液と不溶化フィブロインナノファイバー不織布との接触時間を長く設定するとよい。
定性的には、カルシウムを含有する溶液のカルシウム濃度を高濃度にするほど、又は、当該溶液と不溶化フィブロインナノファイバー不織布を接触させる時間を長くするほど、フィブロインナノファイバー不織布の透明度は向上する傾向にあると考えられる。ただし、高濃度すぎる溶液での処理又は長時間すぎる処理では、透明度が低下するおそれがあるため、その場合は、溶液のカルシウム濃度を低くする、又は、当該溶液と不溶化フィブロインナノファイバー不織布を接触させる時間を短くする方向に調整すればよい。
これらを考慮し、透明フィブロインナノファイバー不織布の製造を行う際には、予め予備実験を行い、所望の透明度が得られる濃度と時間の組み合わせを設定するとよい。
本実施形態の透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法では、透明化処理工程を経た不溶化フィブロインナノファイバー不織布に、乾燥処理を施す。乾燥処理によって、前記第2族元素を含有する溶液の溶媒が不織布から除かれていく。乾燥処理によって、おそらく透明化処理で変化が生じたフィブロインナノファイバーの高次構造や配列状態を維持したり固定化させたりすることとなると考えられる。不織布の乾燥が進むにしたがって、不織布の透明度が徐々に向上されていく。不織布を乾燥させる程度としては、不織布の溶媒を完全に取り除く必要はなく、上記≪透明フィブロインナノファイバー不織布≫において説明したように、透明フィブロインナノファイバー不織布の透明度を60%以上となる程度に乾燥させることが挙げられる。乾燥処理は、透明化処理工程の直後におこなうことが好ましい。
乾燥の方法としては、透明フィブロインナノファイバー不織布の劣化を伴わなければ、通常知られた方法を採用することができる。例えば、空気中に放置する風乾、加熱乾燥、減圧乾燥などを挙げることができる。これらの乾燥方法のなかでは風乾が好ましい。また、適宜送風して乾燥を促進させることをしてもよい。
透明化処理工程を経た透明フィブロインナノファイバー不織布には、透明化処理工程で接触させた第2族元素を不織布から取り除くため、適宜、洗浄工程を行ってもよい。
洗浄工程は、例えば、透明化処理工程を経た透明フィブロインナノファイバー不織布を水に浸漬させる方法、透明化処理工程を経た透明フィブロインナノファイバー不織布を、第2族元素をキレートするキレート剤を含む液に浸漬させた後、水に含浸させる方法等が挙げられる。
以下、本発明を、実施例を挙げて、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.透明な配向フィブロイン不織布の作製
実験
[フィブロイン水溶液の作製]
細片に切断した繭を0.02M炭酸ナトリウム中で30分間煮沸(95〜98℃)した後、熱水で洗浄してセリシンを除いた。得られたフィブロイン繊維を9 M臭化リチウムへ室温で溶解し、約60 g/L濃度の溶液を作製した。透析チューブ(MWCO:5000−8000)を用いて水に対して3日間透析した後、遠心処理(20000rpm x 30min)により不純物の除去を行った。
[配向性フィブロイン不織布の作製]
超純水を用いて8.0mg/mlの濃度となるようにフィブロイン水溶液を調製した。また、ポリエチレンオキサイド(PEO、Mw = 9×10 g/mol、シグマアルドリッチ)を超純水に溶解して濃度50 mg/mlの水溶液を作製した。フィブロイン水溶系とPEO水溶液を体積比4対1で混合したものを紡糸溶液とした(参考文献Biomacromolecules 3, 6, 1233−1239.)。調製した紡糸溶液を25Gのステンレス製ニードルを備えたシリンジに充填し、自動紡糸装置(NANON, MECC社製)を用いて紡糸を行った。印加電圧を+10 kV、吐出速度を0.3 ml/h、紡糸距離を18cmとした。紡糸装置内に乾燥窒素を灌流することによって、紡糸雰囲気の相対湿度を15%以下に維持した。Φ10cmの回転ドラム型コレクター(3,000 rpm)にアルミホイルを巻き付けて紡糸を行い、紡糸後、繊維をアルミホイルから取り外し、ミヌシート(Φ1.3cm、家田貿易化学)に繊維を回収した。作製した配向性フィブロイン不織布の密度は0.155g/cmであり、空孔率は85.5%であり、フィブロインナノファイバーの平均径は200〜300nmであり、厚みは約10μmであった。図2に、配向性フィブロイン不織布とランダムフィブロインナノファイバー不織布の肉眼写真及びSEM画像を比較した写真を示す。
[不溶化処理]
繊維を水に十分親和させた回収した繊維の不溶化は、以下の2つの条件に分けて検討した。
<不溶化条件1>配向性フィブロイン不織布を100体積%エタノールに24時間浸漬した後、95体積%エタノールに24時間浸漬する。
<不溶化条件2>配向性フィブロイン不織布を100体積%エタノールに144時間浸漬した後、70体積%エタノールに144時間浸漬する。
不溶化処理後は繊維を水に十分親和させ透明化処理を行った。
[透明化処理・乾燥処理]
超純水を用いて80mM、100mM、160mM、200mM又は500mMの塩化カルシウム水溶液、並びに200mM塩化マグネシウム水溶液を調整した。<不溶化条件1>の条件で不溶化処理を行ったサンプルに対しては、80mM又は200mMの塩化カルシウム水溶液に30分浸漬後、取り出し、余剰の水分を拭き取った後、湿箱内で24時間乾燥させ、その後、湿箱から取り出し、室内雰囲気下で48時間以上乾燥させた。<不溶化条件2>の条件で不溶化処理を行ったサンプルに対しては、80mM、100mM、160mM、200mM又は500mMの塩化カルシウム水溶液に30分浸漬し、湿箱内で24時間乾燥させ、室温雰囲気下で48時間以上乾燥させた。乾燥処理後のサンプルは、上記<不溶化条件1>で行ったものはそのまま超純水に浸漬し、上記<不溶化条件2>を施したサンプルは浸漬した塩化カルシウム水溶液とのモル比が5:3になるようなリン酸二水素ナトリウム水溶液に浸漬した後、10%EDTA−2Naに24時間浸漬した後に超純水に浸漬するものに分けて検討した。図1に、不溶化処理、透明化処理、乾燥処理、洗浄の一連の処理の手順を示す。
[透明度の定量解析]
透明化処理を施した後、水中にサンプルを浸漬した状態で写真を撮影した。撮影した写真を、画像解析ソフトImage Jのヒストグラム解析を用いて、材料内外の黒色部の平均グレー値(明度)を比較することにより透明度を以下の式で算出した。
透明度=材料外部に存在する黒色部の明度/材料内部に存在する黒色部の明度×100
なお、「材料外部に存在する黒色部の明度」は、上述の見かけの透明度の試験方法における「(I)前記透明フィブロインナノファイバー不織布を介さず観察される背景色の明度」に相当し、「材料内部に存在する黒色部の明度」は、上述の見かけの透明度の試験方法における「(II)前記透明フィブロインナノファイバー不織布を介して観察される前記背景色の明度」に相当している。
結果
100体積%エタノールと95体積%エタノールを用いて不溶化処理を行った後、200mM塩化マグネシウム水溶液に浸漬し乾燥したサンプルでは、コントロールとして作製した超純水に浸漬した後に風乾したサンプルより、透明度が改善していた。図3に、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡での各サンプルの観察像を示す。光学顕微鏡での観察ではどちらのサンプルも繊維状の構造が残存していることが確認された。走査型電子顕微鏡の観察では、肉眼的に透明度が改善された塩化マグネシウムによる処理を施したサンプルの繊維構造がコントロールに比べて変化していることが分かる。塩化マグネシウムによる処理を施したサンプルでは、繊維径の極端な増大と、繊維間隙の減少が認められた。この現象は塩化マグネシウムによる浸漬時に、フィブロインナノファイバーが一部溶解し、乾燥時に隣接するナノファイバーどうしが融着することでこのような繊維構造を取ったと考えられる。その結果として繊維間隙が減少することにより光の散乱が抑えられ、肉眼的な透明性が向上したと考えられる。
100体積%エタノールと95体積%エタノールを用いて不溶化処理を行った後、200mM又は80mM塩化カルシウム水溶液に浸漬し乾燥したサンプルでは、カルシウム溶液の濃度によらず、透明な構造物が得られた。しかしながら、得られたサンプル内には繊維状構造物が確認できず、凹凸のある平板のような構造が確認された。処理後の外観、位相差顕微鏡および走査型電子顕微鏡(SEM)像を図4に示す。このような構造は、配向フィブロイン不織布の繊維がカルシウムによって溶解され、繊維構造が崩壊し、乾燥することによってキャストフィルム様の平板上構造になったと考えられる。
一方の100体積%エタノールと70体積%エタノールを用いて不溶化処理を行った後、80mM、100mM、160mM又は200mMの塩化カルシウム水溶液に浸漬、乾燥したサンプルでは、極めて透明な構造体を得ることができた。図5に処理後の外観、位相差顕微鏡およびSEM像を示す。また、画像処理よる解析を図6に示す。画像解析による見かけの透明度は80mMで処理したサンプルが94.2%、100mMで処理したサンプルでは93.4%、160mMで98.7%、200mMの塩化カルシウム水溶液で処理したサンプルでは97.4%であり、肉眼的な所見と同様に高値を示した。これらのサンプルではSEM像による観察で、透明度が向上したサンプル内に、繊維や空孔が存在していることが確認された。透明度が向上したサンプル内に認められた繊維構造は、それぞれの繊維同士が一部融着しているように見られた。一方、500mMの塩化カルシウム水溶液で処理したサンプルでは、透明度は、塩化カルシウムに浸漬せずに乾燥したコントロールと肉眼的な差異が認められなかった。画像解析による見かけの透明度も、500mMで処理したサンプルが66.6%、コントロールが47.8%と肉眼的な所見を反映し、低値となった。これらのサンプルでは、透明度が向上したサンプルに比べ、繊維の融着が軽度であった。
こちらの不溶化条件(<不溶化条件2>)では、不溶化によってもたらされるフィブロインの結晶化形成に十分な時間をかけていることと、70体積%という以前よりも低濃度のエタノールによる処理によって95体積%エタノールによる処理よりも結晶化度が上昇していると考えられる。その結果、塩化カルシウムによる溶解処理後も繊維形状が維持され、且つ、光の散乱の原因と成り得る繊維構造の間隙が繊維から溶出したフィブロインにより埋められることによって透明化がなされたと考えられる。
これらの結果を総合して比較すると、不溶化工程では、100体積%エタノールと70体積%エタノールを用いた場合の方が、100体積%エタノールと95体積%エタノールを用いた場合に比べて、フィブロインの繊維化状態をより容易に制御でき、より容易に高品質な透明フィブロインナノファイバー不織布を製造することができた。100体積%エタノールと95体積%エタノールを用いた場合では、上記のとおりフィブロインナノファイバー繊維構造が崩壊してしまったが、エタノールの浸漬時間等の検討を重ねることで、フィブロインナノファイバーの繊維構造を維持することができる可能性がある。
また、透明化処理工程では、塩化カルシウム水溶液を用いた場合の方が、塩化マグネシウム水溶液を用いた場合に比べて、フィブロインの繊維化状態をより容易に制御でき、より容易に透明なフィブロインナノファイバー不織布を製造することができた。
塩化カルシウム水溶液の濃度は、80mM〜200mM塩化カルシウム水溶液を用いた方が、500mM塩化カルシウム水溶液を用いた場合と比べて、フィブロインの繊維化状態をより容易に制御でき、より容易に透明なフィブロインナノファイバー不織布を製造することができた。500mM塩化カルシウム水溶液を用いた場合でも、浸漬時間等の検討を重ねることで、フィブロインナノファイバーの透明度を改善できる可能性がある。
2. 透明化処理後のフィブロインフィルムの細胞毒性試験
実験
100体積%エタノールと95体積%エタノールによる不溶化処理の後、80mM塩化カルシウムに浸漬、乾燥した後、超純水に24時間浸漬したサンプルを超純水に浸漬したまま105℃、30分間オートクレーブ滅菌した。滅菌済みサンプルにヒト角膜上皮細胞(HCE−T)を播種し、播種後1週間培養した。培養終了後、サンプルを4%パラホルムアルデヒドにて固定し、パラフィン包埋切片を作製し、ヘマトキシリンエオジン(HE)染色を行い、細胞の状態を観察した。
結果
図7に、HE染色の写真を示す。カルシウム接触によるフィブロイン溶解、乾燥工程を経た材料上でもHCE−Tは1週間の間材料上に生着することができた。これにより、カルシウム接触による透明化処理によって細胞に毒性を示すような変性を生じていないことが明らかとなった。
3.透明配向フィブロイン不織布の物質透過性試験
実験
[物質透過性試験サンプルの調製]
上記1(透明な配向フィブロイン不織布の作製)で示した方法と同様の手技で配向性フィブロイン不織布を作製後、100体積%および70体積%エタノールにそれぞれ144時間浸漬し、水和したものを(1)不織布として、(1)の不織布に80mM塩化カルシウムを用いて透明化したものを(2)透明配向フィブロイン不織布として用いた。また、透過性試験の対象としてフィブロイン水溶液を平板上に流入し、乾燥させた(3)キャストフィルムをそれぞれ3枚、供試材料として用意した。作製した各材料は上述したミヌシートに挟み込んだ。
[栄養成分透過性試験]
栄養成分の透過性試験として2.5mg/mlのグルコース溶液(分子量180.16)および2.0mg/mlのウシ血清アルブミン溶液(分子量約66000)を作製し、図8に示すような透過性試験を行った。疎水性フィルム状にガラスの円柱容器を置き、その上に支持体に挟んだ材料をのせた。各溶液300μlを50.24mmの上記(1)〜(3)の各材料上に滴下し、滴下した溶液が各材料を透過する時間および透過した液滴のグルコースおよびアルブミン濃度を測定することで各材料の透過性を比較した。透過性試験の経過を写した写真を図9に示す。水溶液を滴下後、不織布((1)不織布)と透明化ファイバー((2)透明配向フィブロイン不織布)は1分以内に透過したがキャストフィルム((3)キャストフィルム)では依然として水滴のまま、材料上に残存していた。
尚、グルコースおよびアルブミンの濃度測定には和光純薬のグルコーステストCIIおよびプロテインアッセイキットを用い、溶質の濃度測定にはマイクロプレートリーダー(iMark バイオラッド)を用いた。
結果
透過試験の結果を図10及び図11に示す。各材料へのグルコースおよびアルブミンの滴下試験の結果、溶質の差による透過速度の変化はほとんど見られず(1)不織布ではグルコースの透過速度が29.74±3.22秒でありアルブミンが23.09±4.00秒であった。(2)透明配向フィブロイン不織布ではグルコースの透過速度が49.91±8.62秒で、アルブミンが49.19±5.14秒であった。一方(3)キャストフィルムでは滴下後30分経過しても溶液の透過は生じなかった。液滴透過後の溶液に含まれる溶質の濃度は(1)および(2)では滴下前の溶液濃度と変化はなかった(透過率95%以上)。
(1)不織布のアルブミン透過性は、1気圧下において、0.08mg/mm・分であり、(2)透明配向フィブロイン不織布のアルブミン透過性は、1気圧下において、0.04mg/mm・分であった。(1)不織布のグルコース透過性は、1気圧下において、0.10mg/mm・分であり、(2)透明配向フィブロイン不織布のグルコース透過性は、1気圧下において、0.06mg/mm・分であった。
キャストフィルムでは滴下溶液が得られなかったため濃度の測定ができなかった。透明配向フィブロイン不織布は確かに不織布よりも透過速度は減少するが、キャストフィルムに比べると極めて迅速であることが分かった。加えて、アルブミン程度の分子量をもつタンパク質も迅速に透過する物性を持つということは生体内に埋植後も角膜組織内での栄養性分や生化学因子の透過性にも問題が生じる可能性が低いことを示している。以上の結果から透明配向フィブロイン不織布は物質透過性の損失が少なく透明性が得られる不織布材料であることが示された。
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
生体適合性の高いフィブロインを用いて繊維状構造を持つ透明材料は角膜実質組織のみならず様々な繊維状組織の再生材料となりえることから、再生医療等の産業分野においても有効に利用可能である。

Claims (12)

  1. フィブロインナノファイバーを不溶化させた不溶化フィブロインナノファイバー不織布を、第2族元素を含有する溶液に接触させる透明化処理工程と、前記透明化処理工程を経た不溶化フィブロインナノファイバー不織布を乾燥させる乾燥処理工程と、を有することを特徴とする透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法。
  2. 前記第2族元素が、カルシウム又はマグネシウムである請求項に記載の透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法。
  3. 前記透明化処理工程に先立って、
    フィブロインナノファイバー不織布を、95体積%以上のアルコール水溶液に接触させた後に60体積%以上95体積%未満のアルコール水溶液に接触させて、前記不溶化フィブロインナノファイバー不織布を得る不溶化処理工程を有する請求項又はに記載の透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法。
  4. 電界紡糸法を用いてフィブロインナノファイバーを紡糸する工程と、
    回転コレクターを用いて前記フィブロインナノファイバーを巻取り、前記フィブロインナノファイバーを前記回転コレクターの回転方向に配向させた前記フィブロインナノファイバー不織布を得る工程と、を有する請求項に記載の透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法。
  5. 請求項1〜4に記載の透明フィブロインナノファイバー不織布の製造方法により製造され、
    下記試験により求められた見かけの透明度が60%以上であることを特徴とする透明フィブロインナノファイバー不織布。
    (試験方法)
    水中に透明フィブロインナノファイバー不織布を浸漬した状態で撮像し、得られた写真において、(I)前記透明フィブロインナノファイバー不織布を介さず観察される背景色の明度と、(II)前記透明フィブロインナノファイバー不織布を介して観察される前記背景色の明度と、の比から下記式(1)により透明度を求める。
    透明度(%)=(I)/(II)×100 …(1)
  6. 前記透明フィブロインナノファイバー不織布全体における平均の密度が0.05g/cm〜0.4g/cmであり、前記透明フィブロインナノファイバー不織布を構成するフィブロインナノファイバーの平均径が1nm〜1500nmである請求項に記載の透明フィブロインナノファイバー不織布。
  7. グルコース透過性を有する請求項又はに記載の透明フィブロインナノファイバー不織布。
  8. アルブミン透過性を有する請求項のいずれか一項に記載の透明フィブロインナノファイバー不織布。
  9. 前記アルブミン透過性が、1気圧下において0.001mg/mm・分以上である請求項に記載の透明フィブロインナノファイバー不織布。
  10. 請求項のいずれか一項に記載の透明フィブロインナノファイバー不織布を備えたことを特徴とする細胞培養用基材。
  11. 請求項のいずれか一項に記載の透明フィブロインナノファイバー不織布上に細胞が付着してなることを特徴とする細胞シート。
  12. 前記細胞が角膜組織の細胞である請求項11に記載の細胞シート。
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