JP6402519B2 - 光導波路素子 - Google Patents

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Description

この発明は、入力される光信号の偏波を、TE(Transverse Electric)偏波及びTM(Transverse Magnetic)偏波のいずれか一方に揃えて出力する光導波路素子に関する。
情報伝達量の増大に伴い、光配線技術が注目されている。光配線技術では、光ファイバや光導波路を伝送媒体とした光デバイスを用いて、情報処理機器内の装置間、ボード間又はチップ間等の情報伝達を光信号で行う。その結果、高速信号処理を要する情報処理機器においてボトルネックとなっている、電気配線の帯域制限を改善することができる。
光デバイスは、光送信器や光受信器等の光学素子を備えて構成される。これらの光学素子は、各光学素子の中心位置(受光位置あるいは発光位置)を設計位置に合せるための複雑な光軸合わせを行った上で、例えばレンズを用いて互いに空間結合することができる。
ここで、各光学素子を結合するための手段として、レンズの代わりに光導波路素子を利用する技術がある(例えば、特許文献1参照)。光導波路素子を利用する場合には、光が光導波路内に閉じ込められて伝搬するため、レンズを利用する場合と異なり、複雑な光軸合わせを必要としない。従って、光デバイスは、その組立工程が簡易となるため、量産に適している。
特に、電子機能回路の基板と同様の材料であるシリコン(Si)を導波路材料とした光導波路素子では、電子機能回路及び光機能回路とを一括形成する光電融合(シリコンフォトニクス)の実現が期待されている(例えば、非特許文献1又は非特許文献2参照)。シリコンフォトニクスでは、製造に際して、技術成熟した半導体製造技術を流用することができる。
光導波路素子の構造として、リブ型導波路やSi細線導波路がある。Si細線導波路では、実質的に光の伝送路となる光導波路コアを、Siを材料として形成する。そして、Siよりも屈折率の低い例えば酸化シリコン(例えばSiO)等を材料としたクラッドで、光導波路コアの周囲を覆う。このような構成により、光導波路コアとクラッドとの屈折率差が極めて大きくなるため、光導波路コア内に光を強く閉じ込めることができる。その結果、曲げ半径を例えば数μm程度まで小さくした、小型の曲線導波路を実現することができる。そのため、電子回路と同程度の大きさの光回路を作成することが可能であり、光デバイス全体の小型化に有利である。
ところで、受動型光加入者ネットワーク(PON:Passive Optical Network)等の波長多重技術を利用する通信システムにおいて光デバイスを用いる場合には、波長毎に光信号の経路を切り換える素子が必要となる。これを実現するために、波長フィルタとしての機能が付与された光導波路素子を使用した構造がある(例えば、特許文献1参照)。
ここで、Si細線導波路は、偏波によって特性が異なる。そのため、Si細線導波路を用いる波長フィルタには、偏波依存性が生じるという欠点がある。偏波依存性を解消する方法としては、光導波路コアの断面形状を正方形とすることが考えられる。しかしながら、Si細線導波路では、シングルモード条件を満たすために、光導波路コアの断面寸法を、厚さ及び幅方向で数百nmと微細に設定する必要がある。そのため、高精度の加工技術が要求され、形成が困難である。
そこで、偏波依存性を解消する他の方法として、波長フィルタとして機能する領域の前段に、偏波分離素子及び偏波回転素子を設ける構造がある(例えば、特許文献2参照)。
この構造では、まず、偏波分離素子によって、入力された光信号を、互いに直交するTE偏波とTM偏波とに分離する。次に、偏波回転素子によって、一方の偏波を90°回転させる。その結果、波長フィルタに入力される光信号の偏波状態が、TE偏波又はTM偏波のいずれかに統一される。従って、波長フィルタの設計を、TE偏波又はTM偏波のいずれかに対してのみ行えばよく、偏波依存性が解消される。
偏波分離素子は、例えば、並んで配置された2つのSi細線導波路を有する方向性結合器を利用して構成することができる(例えば、特許文献2参照)。方向性結合器を利用した偏波分離素子では、扁平な断面形状でSi細線導波路のコアを形成する。これによって、TE偏波とTM偏波とに対する、方向性結合器の結合作用長に差を生じさせる。その結果、TE偏波とTM偏波とを異なる経路で出力することができる。
また、偏波回転素子としては、屈折率の異なる2つの光導波路コアを重ねる、所謂偏芯二重コア構造がある(例えば、特許文献3参照)。この構造では、下部光導波路コアが、下部光導波路コアよりも屈折率の小さい上部光導波路コアで被覆される。さらに、上部光導波路コアは、上部光導波路コアよりも屈折率の小さいクラッドで被覆される。その結果、下部光導波路コアに対する光の伝播中心と上部光導波路コアに対する光の伝播中心とが一致しない光導波路素子が構成される。このような偏芯二重コア構造の偏波回転素子では、一定距離伝播する光に対して、任意の回転量を与えることができる。
特開2011−77133号公報 特開2009−244326号公報 特開2006−330109号公報
IEEE Journal of selected topics quantum electronics, vol.11, 2005 p.232-240 IEEE Journal of selected topics quantum electronics, vol.12, No.6, November/December 2006 p.1371-1379
しかしながら、方向性結合器を利用した偏波分離素子では、製造誤差の影響を受けやすい(すなわち、製造トレランスが小さい)という欠点がある。例えば、方向性結合器を構成する2つのSi細線導波路の幅に誤差が生じた場合、各Si細線導波路間における結合効率が劣化する。その結果、TE偏波とTM偏波とを分離しきれず、一方の偏波を出力すべき経路に、他方の偏波が混入する恐れがある。
また、偏芯二重コア構造の偏波回転素子では、2つの光導波路コアを形成する必要がある。従って、製造に際して、少なくとも2回の光導波路コア形成プロセスを行う必要がある。さらに、設計した回転量を光に与えるために、下部光導波路コアと上部光導波路コアとの偏芯量を高精度に加工調整する必要がある。
この発明の目的は、偏波依存性を解消する光導波路素子として、偏波分離機能及び偏波回転機能を有し、かつ1回の光導波路コア形成プロセスを行うのみで、容易に製造可能な光導波路素子を提供することにある。
上述した課題を解決するために、この発明による光導波路素子は、以下の特徴を備えている。
この発明による光導波路素子は、第1光導波路コアと第2光導波路コアとを備えて構成される。第1光導波路コアは、k次モード(kは0以上の整数)の、TE偏波及びTM偏波のいずれか一方の偏波、h次モード(hはkとは異なる0以上の整数)の他方の偏波、並びにp次モード(pは0以上の整数)の他方の偏波を伝播させる多モード導波路部と、多モード導波路部と接続されたブラッグ反射部とを有している。また、第2光導波路コアは結合部を有している。
ブラッグ反射部には、入力されるk次モードの一方の偏波をh次モードの他方の偏波に変換してブラッグ反射し、かつ入力されるp次モードの他方の偏波を透過させるグレーティングが形成されている。そして、少なくともブラッグ反射部のグレーティングが形成された領域では、第1光導波路コアを伝播する光に対する屈折率が、第1光導波路コアの中心に対して上下で異なる。
多モード導波路部と結合部とが、互いに離間しかつ並んで配置された双方向結合領域が設定されている。双方向結合領域では、多モード導波路部を伝播するh次モードの他方の偏波と、結合部を伝播するm次モード(mはhとは異なる0以上の整数)の他方の偏波とが結合される。
この発明の光導波路素子では、上側又は下側に電磁界分布が偏芯した状態で、光が第1光導波路コアを伝播する。これによって、第1光導波路コアのブラッグ反射部に形成されたグレーティングにおいて、入力される一方の偏波を他方の偏波に変換してブラッグ反射し、かつ入力される他方の偏波を透過させることができる。従って、出力される光をTE偏波又はTM偏波のいずれかに揃えることができる。そのため、従来の偏波分離素子及び偏波回転素子に代えて使用することが可能である。
また、実質的に偏波分離機能及び偏波回転機能を有するグレーティングを含む、光導波路素子の各構成要素は、簡易な導波路作成プロセスで作成可能である。
(A)及び(B)は、第1の実施の形態による光導波路素子を説明するための模式図である。 グレーティングを説明するための模式図である。 グレーティングを説明するための模式図である。 ブラッグ反射帯域の拡大について説明するための図である。 グレーティングを説明するための模式図である。 双方向結合領域を説明するための模式図である。 グレーティングの特性を評価するための図である。 第2の実施の形態による光導波路素子を説明するための模式図である。
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
〈第1の実施の形態〉
(構成)
図1(A)及び(B)を参照して、この発明の第1の実施の形態による光導波路素子について説明する。図1(A)は、光導波路素子を示す概略的平面図である。なお、図1(A)では、後述する上部クラッド層を省略して示してある。図1(B)は、図1(A)に示す光導波路素子をI−I線で切り取った概略的端面図である。
光導波路素子100は、支持基板10と、下部クラッド層20と、第1光導波路コア30と、第2光導波路コア50と、上部クラッド層70とを備えて構成されている。第1光導波路コア30は、第1ポート35、第1テーパ部39a、多モード導波路部31、第2テーパ部39b、ブラッグ反射部33、第3テーパ部39c及び第2ポート37を有している。また、ブラッグ反射部33には、特定の波長の光を反射するグレーティング40が形成されている。第2光導波路コア50は、結合部51、第4テーパ部39d及び第3ポート57を有している。また、多モード導波路部31と、結合部51とが互いに離間しかつ並んで配置された双方向結合領域60が設定されている。
なお、以下の説明において、支持基板10の上面10aに直交する方向を厚さ方向とする。また、第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50について、これらを伝播する光の伝播方向に沿った方向を長さ方向とする。また、長さ方向及び厚さ方向に直交する方向を幅方向とする。
支持基板10は、例えば単結晶Siを材料とした平板状体として構成されている。
下部クラッド層20は、支持基板10上に、支持基板10の上面10aを被覆して形成されている。下部クラッド層20は、例えばSiOを材料として形成することができる。下部クラッド層20上には、第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50が形成されている。
上部クラッド層70は、下部クラッド層20の上面20a及び第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50を被覆して形成されている。上部クラッド層70は、下部クラッド層20とは異なる屈折率を有する材料で形成されている。下部クラッド層20が例えばSiOである場合には、上部クラッド層70は、例えばSiO以外の酸化シリコン(SiO(xは2以外の正の実数))、窒化シリコン(SiN)、又は酸窒化シリコン(SiON)を材料として形成することができる。あるいは、上部クラッド層70を空気とする、すなわち上部クラッド層70を設けない構成とすることもできる。
第1光導波路コア30は、下部クラッド層20及び上部クラッド層70よりも高い屈折率を有する例えばSiを材料として形成されている。その結果、第1光導波路コア30は、光の伝送路として機能し、第1光導波路コア30に入射された光が第1光導波路コア30の平面形状に応じた伝播方向に伝播する。また、第2光導波路コア50は、第1光導波路コア30と同様に、下部クラッド層20及び上部クラッド層70よりも高い屈折率を有する例えばSiを材料として形成されている。その結果、第2光導波路コア50は、光の伝送路として機能し、第2光導波路コア50に入射された光が第2光導波路コア50の平面形状に応じた伝播方向に伝播する。
第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50は、下側から下面を下部クラッド層20によって、及び上側から上面及び側面を上部クラッド層70によって被覆されている。下部クラッド層20及び上部クラッド層70の屈折率が異なるため、第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50を伝播する光に対する屈折率が、第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50の中心に対して上下で異なる。その結果、第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50では、伝播する光の厚さ方向の電磁界分布が、第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50の中心に対して対称でなくなる。すなわち、光の電磁界分布は、第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50の中心から下部クラッド層20側(下側)又は上部クラッド層70側(上側)に偏芯する。このような状態で、第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50を光が伝播する。
なお、この実施の形態では、光導波路素子100全体において、光の電磁界分布を上側又は下側に偏芯させる構成を示している。しかし、光の電磁界分布を偏芯させる構成は、少なくともブラッグ反射部33のグレーティング40が形成される領域に形成されていればよい。従って、グレーティング40が形成される領域のみを、下側から下部クラッド層20によって及び上側から上部クラッド層70によって、第1光導波路コア30が被覆される構成とすることもできる。
光導波路素子100は、例えば、入力される光信号を、TE偏波又はTM偏波の一方に揃えて出力する素子として使用される。ここでは、一例として、第1ポート35からTE偏波及びTM偏波を含む基本モード(0次モード)の光信号を入力し、基本モードのTM偏波については偏波を変換せずに第2ポート37から出力し、かつ基本モードのTE偏波を基本モードのTM偏波に変換して第3ポート57から出力する構成例について説明する。
この例では、基本モードのTE偏波又はTM偏波を含む光信号S1は、第1光導波路コア30の第1ポート35に入力され、多モード導波路部31を経てブラック反射部33に送られる。光信号S1に含まれる基本モードのTE偏波S2は、ブラッグ反射部33に形成されたグレーティング40において、1次モードのTM偏波S3に変換されてブラッグ反射され、再び多モード導波路部31に送られる。また、多モード導波路部31から送られる、光信号に含まれる基本モードのTM偏波S4は、モード変換及び偏波変換されずに、グレーティング40を透過して第2ポート37から出力される。グレーティング40で反射され、多モード導波路部31を伝播する1次モードのTM偏波S3は、双方向結合領域60において、基本モードのTM偏波S5に変換されて、第2光導波路コア50の結合部51へ送られる。結合部51へ送られた基本モードのTM偏波S5は、第3ポート57から出力される。
第1ポート35は、シングルモード条件を達成する厚さ及び幅に設定されている。従って、基本モードの光を伝播させる。第1ポート35は、第1テーパ部39aを介して多モード導波路部31と接続されている。第1テーパ部39aの幅は、光の伝播方向に沿って、第1ポート35の一端35aの幅から多モード導波路部31の一端31aの幅へ、連続的に変化するように設定されている。第1テーパ部39aを設けることによって、第1ポート35及び多モード導波路部31間を伝播する光の反射を緩和することができる。
多モード導波路部31は、基本モードのTE偏波及びTM偏波、並びに1次モードのTM偏波を伝播させる。なお、多モード導波路部31の幾何学的な設計については後述する。多モード導波路部31は、第2テーパ部39bを介してブラッグ反射部33と接続されている。第2テーパ部39bの幅は、光の伝播方向に沿って、多モード導波路部31の他端31bの幅からブラッグ反射部33の一端33aの幅へ、連続的に変化するように設定されている。第2テーパ部39bを設けることによって、多モード導波路部31及びブラッグ反射部33間を伝播する光の反射を緩和することができる。
ブラッグ反射部33には、グレーティング40が形成されている。図2を参照して、グレーティング40について説明する。図2は、ブラッグ反射部に形成されたグレーティングを説明するための概略的平面図である。なお、図2では、支持基板、下部クラッド層及び上部クラッド層を省略して示してある。
この実施の形態では、グレーティング40は、入力された特定の波長のTE偏波について、基本モードと1次モードとを変換し、かつTM偏波に変換してブラッグ反射する。また、入力された基本モードのTM偏波を透過させる。
グレーティングにおけるブラッグ反射条件は、下式(1)で表される。なお、N及びNは、グレーティングにおいて結合される、入射光及び反射光の等価屈折率を示す。N及びNにおけるa及びbは、0以上の整数であり、それぞれ入射光及び反射光のモード次数を示す。また、Λはグレーティングの周期を示す。そして、グレーティングでは、下式(1)が成立する波長λ、すなわちブラッグ波長の光がブラッグ反射される。
(N+N)Λ=λ ・・・(1)
等価屈折率N及びNには波長依存性があるため、特定の波長λに対してのみ上式(1)が成立する。また、等価屈折率N及びNには偏波依存性があるため、等価屈折率N及びNは、TE偏波とTM偏波とで異なる値となる。
上式(1)に基づき、設計波長λのTE偏波について、基本モードと1次モードとを変換し、かつTM偏波に変換してブラッグ反射する条件は、下式(2)で表される。なお、NTE0はTE偏波の基本モードの等価屈折率を、NTM1はTM偏波の1次モードの等価屈折率を、それぞれ示す。
(NTE0+NTM1)Λ=λ ・・・(2)
波長λで、基本モードのTM偏波が、基本モード及び他の次数モードのTM偏波、並びに基本モード及び他の次数モードのTE偏波と結合されない条件において、基本モードのTM偏波はグレーティングを透過する。従って、基本モードのTM偏波がグレーティングを透過する条件は、下式(3)及び(4)で表される。なお、NTM0はTM偏波の基本モードの等価屈折率を、NTMiはTM偏波のi次モード(iは0以上の整数)の等価屈折率を、NTEjはTE偏波のj次モード(jは0以上の整数)の等価屈折率を、それぞれ示す。
(NTM0+NTMi)Λ≠λ ・・・(3)
(NTM0+NTEj)Λ≠λ ・・・(4)
グレーティング40は、基部41と突出部43a及び43bとを一体的に含んで構成されている。基部41は、一定の幅W1で、光の伝播方向に沿って延在して形成されている。突出部43aは、基部41の一方の側面に、周期的に複数形成されている。突出部43bは、基部41の他方の側面に、突出部43aと同じ周期で複数形成されている。これら突出部43a及び43bは、基部41を挟んで対称となる位置に形成されている。基部41の幅W1、突出部43a及び43bの突出幅D、及び突出部43a及び43bの周期Λは、上式(2)〜(4)が全て成立するように設計される。
ここで、上述したように、グレーティング40を含む第1光導波路コア30では、電磁界分布が上側又は下側に偏芯した状態で光は伝播する。このような光導波路コアにおいて、上式(2)〜(4)が全て成立することによって、入力される波長λの基本モードのTE偏波は、グレーティング40において、1次モードのTM偏波に変換されて反射される。下部クラッド層20と上部クラッド層70との屈折率差が大きいほど、電磁界分布の偏芯量が大きくなるため、グレーティング40における偏波変換の効率が向上すると考えられる。ブラッグ反射された1次モードのTM偏波は、再び多モード導波路部31へ送られる。一方、基本モードのTM偏波は、モード変換、偏波変換及びブラッグ反射されずに、グレーティング40を透過する。グレーティング40を透過した基本モードのTM偏波は、第3テーパ部39cを経て第2ポート37へ送られる。
ここで、グレーティング40の変形例として、周期Λを一定に設定し、突出部43a及び43bの突出幅Dが周期毎に変化する構成とすることができる。図3を参照して、グレーティング40の変形例について説明する。図3は、グレーティングの変形例を説明するための概略的平面図である。なお、図3では、支持基板、下部クラッド層及び上部クラッド層を省略して示してある。
図3に示す構成例では、第1周期目の突出部43a及び43bの突出幅D=Dに対して、周期毎に突出幅Dが一定の変化量でΔDずつ増加する。従って、第n周期では、突出部43a及び43bの突出幅DがD+ΔD(n−1)となる。
突出部43a及び43bの突出幅Dが変化することによって、上式(2)〜(4)を満足するブラッグ波長λが変化し、それに伴い等価屈折率が変化する。従って、突出幅Dを変化させることによって、グレーティング40においてブラッグ反射される波長帯域(ブラッグ反射帯域)を拡大することができる。
図4を参照して、ブラッグ反射帯域の拡大について説明する。図4では、横軸に波長を、また、縦軸に反射強度をそれぞれ取って示している。なお、グレーティング40の第n−1周期におけるブラッグ波長をλn−1、第n周期におけるブラッグ波長をλ、及び第n+1周期におけるブラッグ波長をλn+1とする。
図4に示すように、周期毎に突出幅DがΔD増加すると、隣り合う周期のブラッグ波長の中心波長が長波長側にΔλシフトする。
周期毎のブラッグ波長のシフト量Δλは、突出幅Dの変化量ΔDを用いて、近似的に下式(5)で表すことができる。なお、Nは基本モードの等価屈折率を、Nは1次モードの等価屈折率を、それぞれ示す。この実施の形態では、グレーティング40が、基本モードのTE偏波を1次モードのTM偏波に変換してブラッグ反射する構成例であるため、NはTE偏波の基本モードの等価屈折率に、NはTM偏波の1次モードの等価屈折率に、それぞれ対応する。
Figure 0006402519
従って、ΔDを調整し、各周期のブラッグ波長がオーバーラップするようにΔλを設定することによって、ブラッグ反射帯域を拡大することができる。例えばn周期のグレーティング40を形成する場合には、突出幅Dが一定である場合と比して、ブラッグ反射帯域をΔλ×n程度拡大することができる。その結果、ブラッグ反射の波長依存性を緩和することができる。
また、グレーティング40におけるブラッグ反射帯域を拡大する、他の変形例として、突出部43a及び43bの突出幅D及びデューティ比を一定として、周期Λが周期毎に変化する(すなわち光の伝播方向に沿って隣り合う突出部間43a同士及び43b同士の離間距離が、光の伝播方向に沿って一定の変化量で変化する)構成とすることもできる。この変形例を図5に示す。図5は、グレーティングの変形例を説明するための概略的平面図である。なお、図5では、支持基板、下部クラッド層及び上部クラッド層を省略して示してある。
図5に示す構成例では、第1周期目の周期Λ=Λに対して、周期毎に周期Λが一定の変化量でΔΛずつ増加する。従って、第n周期では、周期ΛがΛ+ΔΛ(n−1)となる。
周期Λが変化することによって、上式(2)〜(4)を満足するブラッグ波長λが変化し、それに伴い等価屈折率が変化する。従って、周期Λを変化させることでも、グレーティング40においてブラッグ反射帯域を拡大することができる。周期毎のブラッグ波長のシフト量Δλは、周期Λの変化量ΔΛを用いて、近似的に下式(6)で表すことができる。
Figure 0006402519
従って、ΔΛを調整し、各周期のブラッグ波長がオーバーラップするようにΔλを設定することによって、ブラッグ反射帯域を拡大することができる。突出幅Dを変化させる場合と同様に、例えばn周期のグレーティング40を形成する場合には、周期Λが一定である場合と比して、ブラッグ反射帯域をΔλ×n程度拡大することができる。その結果、ブラッグ反射の波長依存性を緩和することができる。
なお、図2、図3及び図5の各構成例では、基部41を挟んで対称となる位置に、突出部43a及び43bが形成されるグレーティング40を示した。これらは、グレーティング40が、入力される基本モードのTE偏波を1次モードのTM偏波に変換してブラッグ反射し、かつ入力される基本モードのTM偏波を透過する場合に対応する構成例である。グレーティング40において、偶数次モード(基本モードを含む)と奇数次モードとのモード変換をしつつ偏波変換を行う場合には、図2、図3及び図5の各構成例に示すように、基部41を挟んで対称となる位置に、突出部43a及び43bを形成する。一方、グレーティング40において、偶数次モードと偶数次モードと又は奇数次モードと奇数次モードとのモード変換をしつつ偏波変換を行う場合には、基部41の一方の側面に形成された突出部43aと、他方の側面に形成された突出部43bとを、半周期(すなわちΛ/2)ずらして配置する構成とすることができる。
第2ポート37は、シングルモード条件を達成する厚さ及び幅に設定されている。従って、基本モードの光を伝播させる。第2ポート37は、第3テーパ部39cを介してブラッグ反射部33と接続されている。第3テーパ部39cは、ブラッグ反射部33の他端33bの幅から第2ポート37の一端37aの幅へ、連続的に変化するように設定されている。第3テーパ部39cを設けることによって、ブラッグ反射部33及び第2ポート37間を伝播する光の反射を緩和することができる。
結合部51は、第1光導波路コア30の多モード導波路部31と、互いに離間し、かつ並んで配置されている。結合部51は、シングルモード条件を達成する厚さ及び幅に設定されている。従って、結合部51は、基本モードの光を伝播させる。結合部51は、第4テーパ部39dを介して第3ポート57と接続されている。第4テーパ部39dは、結合部51の一端51aの幅から第3ポート57の一端57aの幅へ、連続的に変化するように設定されている。第4テーパ部39dを設けることによって、結合部51及び第3ポート57間を伝播する光の反射を緩和することができる。
また、光導波路素子100では、第1光導波路コア30の多モード導波路部31と、第2光導波路コア50の結合部51とが、互いに離間しかつ並んで配置された双方向結合領域60が設定されている。図6を参照して、双方向結合領域60について説明する。図6は、双方向結合領域60を説明するための概略的平面図である。なお、図6では、支持基板、下部クラッド層及び上部クラッド層を省略して示してある。
双方向結合領域60では、多モード導波路部31を伝播する1次モードのTM偏波と、結合部51を伝播する基本モードのTM偏波とが結合される。
多モード導波路部31及び結合部51は、それぞれの中心軸が平行とされている。さらに、この実施の形態では、多モード導波路部31及び結合部51は、多モード導波路部31の一端31aと結合部51の一端51aとが揃って配置されている。
多モード導波路部31の幅W2は、基本モード及び1次モードのTM偏波、並びに基本モードのTE偏波を伝播可能な伝播定数に対応して設定されている。
また、結合部51は、他端51bから一端51aへ、幅が連続的に拡大するテーパ形状とされている。結合部51の一端51aの幅W3及び他端51bの幅W4は、それぞれ基本モードのTM偏波を伝播可能な伝播定数に対応して設定されている。
そして、下式(7)及び(8)に示す等価屈折率の関係を満たすように、多モード導波路部31の幅W2、並びに結合部51の一端51aの幅W3及び他端51bの幅W4が設定される。
W4TM0<NW2TM1<NW3TM0<NW2TM0 ・・・(7)
W4TE0<NW2TE1<NW3TE0<NW2TE0 ・・・(8)
なお、NW2TM0は多モード導波路部31における基本モードのTM偏波の等価屈折率を、NW2TM1は多モード導波路部31における1次モードのTM偏波の等価屈折率を、NW3TM0は結合部51の一端51aにおける基本モードのTM偏波の等価屈折率を、及びNW4TM0は結合部51の他端51bにおける基本モードのTM偏波の等価屈折率を、それぞれ示す。また、NW2TE0は多モード導波路部31における基本モードのTE偏波の等価屈折率を、NW2TE1は多モード導波路部31における1次モードのTE偏波の等価屈折率を、NW3TE0は結合部51の一端51aにおける基本モードのTE偏波の等価屈折率を、及びNW4TE0は結合部51の他端51bにおける基本モードのTE偏波の等価屈折率を、それぞれ示す。
このように設計した双方向結合領域60では、多モード導波路部31の1次モードのTM偏波の伝播定数と、結合部51の基本モードのTM偏波の伝播定数とが一致する点が存在する。その結果、多モード導波路部31を伝播する1次モードのTM偏波と、結合部51を伝播する基本モードのTM偏波とを結合することができる。従って、ブラッグ反射部33から送られ、他端31b側から多モード導波路部31に入力される1次モードのTM偏波は、基本モードに変換されて結合部51に移行する。なお、多モード導波路部31における基本モードのTE偏波及びTM偏波の伝播定数は、結合部51の一端51aにおける基本モードのTE偏波及びTM偏波の伝播定数よりも大きく設定されている。そのため、一端31a側から多モード導波路部31に入力される基本モードのTE偏波及びTM偏波が、結合部51に移行する恐れはないと考えられる。
以上説明したように、この実施の形態による光導波路素子100では、ブラッグ反射部33のグレーティング40によって、入力されるTE偏波をTM偏波に変換して反射し、かつ入力されるTM偏波を透過させることができる。従って、第2ポート37及び第3ポート57から出力される光を、ともにTM偏波に揃えることができる。従って、従来の偏波分離素子及び偏波回転素子に代えて使用することが可能である。
また、実質的に偏波分離機能及び偏波回転機能を有するグレーティング40を含む、光導波路素子100の各構成要素は、簡易な導波路作成プロセスで作成可能である。さらに、各構成要素間を、テーパ部を介して接続することによって、製造トレランスを大きくとることができる。
なお、ここでは、グレーティング40が、基本モードのTE偏波を1次モードのTM偏波に変換してブラッグ反射する構成について説明した。しかしながら、この発明による光導波路素子100は、この構成に限定されない。
下式(9)〜(11)が全て成立するように設計することによって、入力される波長λのk次モード(kは0以上の整数)のTE偏波をh次モード(hはkとは異なる0以上の整数)のTM偏波に変換してブラッグ反射し、かつ入力されるTM偏波を透過させるグレーティング40を形成することができる。なお、NTEkはTE偏波のk次モードの等価屈折率を、NTMhはTM偏波のh次モードの等価屈折率を、NTMpはTM偏波のp次モード(pは0以上の整数)の等価屈折率を、NTMiはTM偏波のi次モード(iは0以上の整数)の等価屈折率を、NTEjはTE偏波のj次モード(jは0以上の整数)の等価屈折率を、それぞれ示す。
(NTEk+NTMh)Λ=λ ・・・(9)
(NTMp+NTMi)Λ≠λ ・・・(10)
(NTMp+NTEj)Λ≠λ ・・・(11)
あるいは、下式(12)〜(14)が全て成立するように設計することによって、入力される波長λのk次モードのTM偏波をh次モードのTE偏波に変換してブラッグ反射し、かつ入力されるTE偏波を透過させるグレーティング40を形成することもできる。なお、NTEpはTE偏波のp次モードの等価屈折率を、NTEhはTE偏波のh次モードの等価屈折率、それぞれ示す。
(NTMk+NTEh)Λ=λ ・・・(12)
(NTEp+NTMi)Λ≠λ ・・・(13)
(NTEp+NTEj)Λ≠λ ・・・(14)
また、双方向結合領域60についても、基本モードのTM偏波と1次モードのTM偏波とを結合する構成に限定されない。多モード導波路部31の幅W2、並びに結合部51の一端51aの幅W3及び他端51bの幅W4を適宜設定することによって、多モード導波路部31を伝播するh次モードの一方の偏波と、結合部51を伝播するm次モード(mはhとは異なる0以上の整数)の一方の偏波とを結合することができる。
(製造方法)
この実施の形態による光導波路素子100は、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板を利用することによって、簡易に製造することができる。
すなわち、まず、支持基板層、SiO層、及びSi層が順次積層されて構成されたSOI基板を用意する。
次に、例えばエッチング技術を用い、Si層をパターニングすることによって、第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50を形成する。その結果、支持基板10としての支持基板層上に下部クラッド層20としてのSiO層が積層され、さらに下部クラッド層20上に第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50が形成された構造体を得ることができる。
次に、例えばCVD法を用いて、下部クラッド層20上に、下部クラッド層20とは異なる屈折率を有する上部クラッド層70を、第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50を被覆して形成する。その結果、下側から下部クラッド層20によって及び上側から上部クラッド層70によって、第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50が被覆される。なお、上部クラッド層70を空気とする場合には、上部クラッド層70の形成工程を省略することができる。
(利用形態)
発明者は、光導波路素子100の利用形態として、好適な設計例を決定するためにいくつかのシミュレーションを行った。なお、以下の各シミュレーションでは、光導波路素子100に入力される光信号の波長が1.55μmである場合を想定している。そして、グレーティング40は、基本モードのTE偏波を1次モードのTM偏波に変換してブラッグ反射する構成例を想定している。また、双方向結合領域60は、1次モードのTM偏波と基本モードのTM偏波とを結合する構成例を想定している。また、第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50を厚さ0.3μmのSi製とし、下部クラッド層20をSiO製とし、及び上部クラッド層70を空気とした。
まず、上式(2)〜(4)を用いてグレーティング40の設計を決定した。ここでは、図2に示すように突出部43a及び43bの突出幅Dおよび周期Λが一定の構成例を想定した。グレーティング40の基部41の幅W1を0.42μmとし、突出部43a及び43bの突出幅Dを0.2μmとした。この条件において、FEM(Finite Element Method)を用いて、設計波長λ=1.55μmにおけるTE偏波の基本モードの等価屈折率NTE0、TE偏波の1次モードの等価屈折率NTE1、TM偏波の基本モードの等価屈折率NTM0、及びTM偏波の1次モードの等価屈折率NTM1を確認した。そして、これらの等価屈折率を用いて、上式(2)からグレーティング40の周期Λ=0.368μmを算出した。また、Λ=0.368μmのとき、上式(3)及び(4)において、右辺と左辺とが一致しないことを確認した。
このように設計したグレーティング40について、3次元FDTD(Finite Difference Time Domain)法を用いて特性を評価した。このシミュレーションでは、基本モードのTE偏波及びTM偏波を含む光をグレーティング40に入力した。そして、モード変換及び偏波変換されずにグレーティング40を透過する基本モードのTE偏波及びTM偏波の各強度を観測した。また、グレーティング40において、基本モードのTE偏波からモード変換及び偏波変換されて反射される、1次モードのTM偏波の各強度を観測した。
シミュレーションの結果を図7に示す。図7は、グレーティング40におけるモード変換及び偏波変換の特性評価の結果を示す図である。図7では、縦軸に光の強度をdB目盛で、また、横軸に波長をμm単位で取って示してある。なお、曲線701は、モード変換及び偏波変換されずにグレーティング40を透過する基本モードのTE偏波の強度を示す。また、曲線703は、グレーティング40において、基本モードのTE偏波からモード変換及び偏波変換されて反射される、1次モードのTM偏波の強度を示す。また、曲線705は、モード変換及び偏波変換されずにグレーティング40を透過する基本モードのTM偏波の強度を示す。
図7に示すように、曲線701と曲線703とを比較すると、波長1.55μm付近の帯域において、入力される基本モードのTE偏波が1次モードのTM偏波に変換されて反射されることがわかる。また、曲線705から、入力される基本モードのTM偏波は、モード変換及び偏波変換されずにグレーティング40を透過することがわかる。この結果から、グレーティング40が、偏波分離機能及び偏波回転機能を有することが確認された。
次に、発明者は、双方向結合領域60の好適な設計例について検討した。
既に説明したように、双方向結合領域60に含まれる多モード導波路部31については、幅W2を、基本モード及び1次モードのTM偏波、並びに基本モードのTE偏波を伝播可能な伝播定数に対応して設定する。一方、双方向結合領域60に含まれる結合部51については、結合部51の一端51aの幅W3及び他端51bの幅W4を、それぞれ基本モードのTM偏波を伝播可能な伝播定数に対応して設定する。そして、上式(7)及び(8)に示す等価屈折率の関係を満たすように、多モード導波路部31の幅W2、並びに結合部51の一端51aの幅W3及び他端51bの幅W4の幅を設定する。発明者は、これらの条件を満たす多モード導波路部31及び結合部51を、FEMを用いて決定した。
まず、基本モード及び1次モードのTM偏波、並びに基本モードのTE偏波が伝播可能な多モード導波路部31として、幅W2を0.6μmに決定した。
このような設計の多モード導波路部31に対し、上式(7)及び(8)を満たす結合部51として、一端51aの幅W3を0.32μm及び他端51bの幅W4を0.1μmに決定した。また、結合部51の長さ(すなわち多モード導波路部31と結合部51との結合長)L1を120μmとした。
以上に説明した設計の双方向結合領域60について、発明者は、BPM(Beam Propagation Method)を用いて特性を評価した。その結果、多モード導波路部31を伝播する1次モードのTM偏波と結合部51を伝播する基本モードのTM偏波との結合効率は、−0.3dB程度であった。また、多モード導波路部31を伝播する基本モードのTE偏波及びTM偏波が、結合部51にほぼ移行しないことが確認された。この結果から、双方向結合領域60が、一方の偏波の特定のモードに対する変換及び分離機能を有することが確認された。
〈第2の実施の形態〉
図8を参照して、この発明の第2の実施の形態による光導波路素子について説明する。図8(A)は、第2の実施の形態による光導波路素子の第1の構成例を、光の伝播方向に直交する面で切り取った切り口を示す端面図である。図8(B)は、第2の実施の形態による光導波路素子の第2の構成例を、光の伝播方向に直交する面で切り取った切り口を示す端面図である。なお、これら図8(A)及び(B)は、上述した第1の実施の形態における図1(B)に対応する端面を示している。
第2の実施の形態と上述した第1の実施の形態とは、第1光導波路コアの、光の伝播方向に直交する断面形状が相違する。その他の構成については、第1の実施の形態と同様であるため、共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
まず、図8(A)を参照して、第1の構成例について説明する。
第1の構成例では、第1光導波路コア30の下面30aの幅と上面30bの幅とが異なる寸法に設定される。図8(A)では、下面30aの幅が上面30bの幅よりも大きく設定された第1光導波路コア30を示している。そして、第1の構成例では、第1光導波路コア30の、光の伝播方向に直交する断面形状を、下面30aを下底とし及び上面30bを上底とした台形状としている。
その結果、第1光導波路コア30の上部と下部とで屈折率が異なる。そのため、第1光導波路コア30では、伝播する光の厚さ方向の電磁界分布が、第1光導波路コア30の中心に対して対称でなくなる。すなわち、光の電磁界分布は、第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50の中心から下側又は上側に偏芯する。このような状態で、第1光導波路コア30を光が伝播する。
次に、図8(B)を参照して、第2の構成例について説明する。
第2の構成例では、第1光導波路コア30が、互いに幅の異なる、下部第1光導波路コア130と、下部第1光導波路コア130上に形成された上部第1光導波路コア230とを含む。図8(B)では、下部第1光導波路コア130の幅が上部第1光導波路コア230の幅よりも大きく設定された第1光導波路コア30を示している。従って、第1光導波路コア30の下面30aの幅と上面30bの幅とが異なる寸法に設定される。
その結果、第1光導波路コア30の上部と下部とで屈折率が異なる。そのため、第1光導波路コア30では、伝播する光の厚さ方向の電磁界分布が、第1光導波路コア30の中心に対して対称でなくなる。すなわち、光の電磁界分布は、第1光導波路コア30及び第2光導波路コア50の中心から下側又は上側に偏芯する。このような状態で、第1光導波路コア30を光が伝播する。
図8(A)又は(B)に示すような第1光導波路コア30では、上式(9)〜(11)が全て成立する、又は上式(12)〜(14)が全て成立するグレーティング40において、入力されるk次モードの一方の偏波をh次モードの他方の偏波に変換してブラッグ反射し、かつ入力される他方の偏波を透過させることができる。
なお、この実施の形態では、第1光導波路コア30全体において、下面30aの幅と上面30bの幅とを異なる寸法に設定する構成を示している。しかし、光の電磁界分布を偏芯させる構成は、少なくともブラッグ反射部33のグレーティング40が形成される領域に形成されていればよい。従って、グレーティング40が形成される領域のみで、図8(A)又は(B)に示すように、第1光導波路コア30の下面30aの幅と上面30bの幅とを異なる寸法に設定する構成とすることもできる。
また、第2の実施の形態では、第1光導波路コア30の断面形状によって光を偏芯させるため、下部クラッド層20及び上部クラッド層70を同じ材料で構成することができる。さらに、第2の実施の形態及び第1の実施の形態を組み合わせ、第1光導波路コア30の下面30aの幅と上面30bの幅とを異なる寸法に設定し、かつ下部クラッド層20と上部クラッド層70とを異なる屈折率を有する材料で形成することもできる。
10:支持基板
20:下部クラッド層
30:第1光導波路コア
31:多モード導波路部
33:ブラッグ反射部
35:第1ポート
37:第2ポート
40:グレーティング
50:第2光導波路コア
51:結合部
57:第3ポート
60:双方向結合領域
70:上部クラッド層
100:光導波路素子

Claims (6)

  1. 第1光導波路コアと第2光導波路コアとを備え、
    前記第1光導波路コアは、k次モード(kは0以上の整数)の、TE偏波及びTM偏波のいずれか一方の偏波、h次モード(hはkとは異なる0以上の整数)の他方の偏波、並びにp次モード(pは0以上の整数)の他方の偏波を伝播させる多モード導波路部と、該多モード導波路部と接続されたブラッグ反射部とを有し、
    前記第2光導波路コアは結合部を有し、
    前記ブラッグ反射部には、入力されるk次モードの一方の偏波をh次モードの他方の偏波に変換してブラッグ反射し、かつ入力されるp次モードの他方の偏波を透過させるグレーティングが形成されており、
    少なくとも前記ブラッグ反射部の前記グレーティングが形成された領域では、前記第1光導波路コアを伝播する光に対する屈折率が、前記第1光導波路コアの中心に対して上下で異なり、
    前記多モード導波路部と前記結合部とが互いに離間しかつ並んで配置された、双方向結合領域が設定されており、
    前記双方向結合領域では、前記多モード導波路部を伝播するh次モードの他方の偏波と、前記結合部を伝播するm次モード(mはhとは異なる0以上の整数)の他方の偏波とが結合される
    ことを特徴とする光導波路素子。
  2. 前記グレーティングは、
    ブラッグ波長λ、グレーティング周期Λ、TE偏波のk次モードの等価屈折率NTEk、TM偏波のh次モードの等価屈折率NTMh、TM偏波のp次モードの等価屈折率NTMp、TM偏波のi次モード(iは0以上の整数)の等価屈折率NTMi、及びTE偏波のj次モード(jは0以上の整数)の等価屈折率NTEjについて、(NTEk+NTMh)Λ=λ、(NTMp+NTMi)Λ≠λ、及び(NTMp+NTEj)Λ≠λを全て満足する設計、又は
    ブラッグ波長λ、グレーティング周期Λ、TM偏波のk次モードの等価屈折率NTMk、TE偏波のh次モードの等価屈折率NTEh、TE偏波のp次モードの等価屈折率NTEp、TM偏波のi次モードの等価屈折率NTMi、及びTE偏波のj次モードの等価屈折率NTEjについて、(NTMk+NTEh)Λ=λ、(NTEp+NTMi)Λ≠λ、及び(NTEp+NTEj)Λ≠λを全て満足する設計で形成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路素子。
  3. 少なくとも前記ブラッグ反射部の前記グレーティングが形成された領域において、前記第1光導波路コアは、下面を下部クラッド層によって、及び上面及び側面を上部クラッド層によって被覆されており、
    前記下部クラッド層と前記上部クラッド層とは異なる屈折率を有する材料で形成されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光導波路素子。
  4. 少なくとも前記ブラッグ反射部の前記グレーティングが形成された領域において、前記第1光導波路コアは、下面と上面とが異なる寸法に設定されて形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光導波路素子。
  5. 前記グレーティングは、一定の幅で、光の伝播方向に沿って延在して形成される基部と、該基部の両側面にそれぞれ周期的に複数形成されている突出部とを含んで構成され、
    前記突出部は、周期毎に突出幅が一定の変化量で変化する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光導波路素子。
  6. 前記グレーティングは、一定の幅で、光の伝播方向に沿って延在して形成される基部と、該基部の両側面にそれぞれ複数形成されている突出部とを含んで構成され、
    光の伝播方向に沿って隣り合う前記突出部間の離間距離は、光の伝播方向に沿って一定の変化量で変化する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光導波路素子。
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