JP6399934B2 - ベルト式無段変速機における回転軸の支持構造 - Google Patents
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Description
そこで、ケースの質量増加を避けつつ、プーリ軸を支持する支持部の剛性強度を高めることが求められている。
動力伝達時に回転する回転軸を、ケースの壁部から突出形成された円筒状の支持部の内周で支持させたベルト式無段変速機における回転軸の支持構造において、
前記回転軸の軸方向から見た前記支持部の径方向の厚みであって、動力伝達時に前記回転軸から作用する荷重が最大となる部位を基準とした所定の角度範囲の厚みを、前記所定の角度範囲外の厚みよりも厚くしており、
前記支持部における前記動力伝達時に前記回転軸から作用する荷重が最大となる部位の外周から、前記支持部の突出方向と同方向に前記壁部から突出するリブを、前記径方向に延出して形成し、
前記壁部における前記リブの延長線上の所定範囲を、前記支持部の突出方向と同方向に窪ませて、前記リブの延長線上に前記支持部の突出方向と同方向に膨出する膨出部を形成し、
前記リブの先端を、前記膨出部に接続した構成のベルト式無段変速機における回転軸の支持構造とした。
プーリ軸210内には、当該プーリ軸210の他端210bに開口する油路211が設けられており、プーリ軸210の他端210bは、円筒状の支持部51の内側で、サイドカバー6の壁部60から突出する円筒状の軸部63に外挿されて、回転可能に支持されている。
プーリ軸310内には、当該プーリ軸310の一端310aに開口する油路311が設けられており、プーリ軸310の一端310aは、円筒状の支持部52の内側で、サイドカバー6の壁部60から突出する円筒状の軸部64に外挿されて、回転可能に支持されている。
図3は、サイドカバー6を説明する図であり、(a)は、サイドカバー6を変速機ケース5側から見た平面図であり、(b)は、(a)におけるA−A断面図であり、(c)は、(a)におけるB−B断面図である。
図4は、サイドカバー6を説明する図であって、図3の(c)におけるC−C断面図である。
なお、図2および図3の(a)では、図面での各部位の形状の理解を容易にするために、サイドカバー6の外周を囲む周壁部601の変速機ケース5との接合面6aと、支持部61、62や軸部63、64の変速機ケース5側の端面などに、ハッチングを付して示している。
さらに、図2の(b)では、サイドカバー6の壁部60の紙面手前側の面の形状のうち、実施の形態にかかる支持構造に関係する部分のみを示していると共に、支持部62内に挿入されたベアリング73を仮想線で示している。
これら支持部61、62は、壁部60における変速機ケース5側の面60a(図3の(c)参照)から、周壁部601と同方向に突出して設けられており、回転軸X1、X2の軸方向から見てリング状を成す支持部61、62は、周壁部601との間にも間隙を持って配置されている(図3の(a)参照)。
図5は、ベアリング73のボールBaが9個である場合を例に挙げて、各ボールBa(Ba1〜Ba9)に作用する荷重(Ball Load)の大きさと、支持部62における厚肉部622が設けられた角度範囲θとの関係を説明する図である。
図5の(a)では、回転軸X2周りに40°間隔で配置された各ボールBa(Ba1〜Ba9)に作用する荷重の大きさを、矢印の長さで示しており、(b)では、各ボールBa(Ba1〜Ba9)に作用する荷重の大きさを、Ball Road(N)を縦軸とした棒グラフで示している。
本願発明者は、ベアリング73の各ボールBaに作用する荷重であって、プライマリプーリ2とセカンダリプーリ3との間でのトルクの伝達時に作用する荷重の大きさをシミュレーションなどにより算出したところ、荷重が最大となるボールBaは、プライマリプーリ2の回転軸X1とセカンダリプーリ3の回転軸X2とを結ぶ線分Ln上のボールBaでないことを見いだした。
これは、プライマリプーリ2のプーリ軸210と、セカンダリプーリ3のプーリ軸310には、自動変速機の他のギヤが噛合しているので、プーリ軸210とプーリ軸310とには、プーリ軸210とプーリ軸310に巻き掛けたベルト4からの応力(プーリ軸210とプーリ軸310の軸間距離を狭める方向の応力)だけではく、ギヤのかみ合い部分に作用する応力も作用するためである。
そのため、実施の形態では、支持部62において、荷重が最大となるボールBa1と、このボールBa1に隣接するボールBa2、Ba9が少なくとも含まれる角度範囲の部分が厚肉部622となるように、荷重が最大となるボールBa1の回転軸X2周りの角度位置を基準(中心)とした120°の範囲(θ=120°)を厚肉部622としている。
このリブ65は、支持部62における作用する荷重が最大となる部位(ボールBa1を支持する部位)の外周から、回転軸X2の径方向に直線状に延出して設けられている。
この膨出部66は、壁部60の変速機ケース5側の面60a(図3の(c)参照)から、支持部62の突出方向と同方向に膨出しており、リブ65は、支持部62の外周から膨出部66に及ぶ長さL1で形成されて、支持部62と膨出部66とを接続している。
周壁部662の外周662aには、支持部62から延びるリブ65が接続されており、このリブ65の上端辺65aは、壁部60側に窪んだ弧状を成している。
リブ65の先端と周壁部662との接続点Pの壁部60からの高さhaは、頂部661の壁部60(面60a)からの高さhよりも若干低くなっており、プライマリプーリ2とセカンダリプーリ3との間でのトルクの伝達時に、支持部62からリブ65に作用した応力が、周壁部662側から膨出部66に入力されるようになっている。
周壁部663は、支持部61に近づくにつれて壁部60の面60aに近づく方向に緩やかに傾斜しており、周壁部664は、壁部60の面60aに略直交する角度で設けられている(図3の(b)参照)。
さらに、これら周壁部662、663、664は、前記した頂部661の外周に沿って設けられているので、支持部62を介してリブ65に作用する応力は、頂部661にも分散して伝達されるようになっている。
そのため、プライマリプーリ2とセカンダリプーリ3との間でのトルクの伝達時に、リブ65に支持部62側から作用する応力が膨出部66の部分で吸収されるので、リブ65による支持部62の支持強度が確保されて、支持部62の変形を好適に抑制できるようになっている。
そのため、支持部61の剛性強度が、膨出部66と、この膨出部66と支持部61とを接続するリブ65により高められる結果、プーリ軸310を回転軸X2に対して傾けることなく支持するのに必要な剛性強度を、支持部61において確保できる。
(1)動力伝達時に回転するプーリ軸310(回転軸)を、サイドカバー6(ケース)の壁部60から突出形成された円筒状の支持部62の内周62aで、ベアリング73を介して回転可能に支持させたサイドカバー6におけるプーリ軸310の支持構造において、
プーリ軸310の回転軸X2方向から見た支持部62の径方向の厚みであって、動力伝達時にプーリ軸310からベアリング73を介して作用する荷重が最大となる部位を基準(中心)とした所定の角度範囲θの厚みを、所定の角度範囲外の部位621の厚みよりも厚くして、支持部62の一部に厚肉部622を設けた構成とした。
壁部60におけるリブ65の延長線Lm上の所定範囲を、支持部62の突出方向と同方向に窪ませて、リブ65の延長線Lm上に、支持部62の突出方向と同方向に膨出する膨出部66を形成し、
リブ65を支持部62の厚肉部622の外周から膨出部66まで及ぶ長さL1で設けて、リブ65の先端を膨出部66に接続した構成とした。
さらに、膨出部66が、壁部60におけるリブ65の延長線Lm上の所定範囲を、支持部62の突出方向と同方向に窪ませて形成されており、膨出部66の裏側に空間Sが形成されて、膨出部66が中実に形成されていないので、支持部62の支持強度を向上させつつ、サイドカバー6の重量増加を防ぐことができる。これにより、ベルト式無段変速機1を搭載した車両の燃費の向上が期待される。
また、リブ65に作用する応力が、中空の箱状を成す膨出部66の部分で吸収されるので、膨出部66でのリブ65の支持強度が向上するので、このリブ65により支持されている支持部62のリブによる支持強度が向上する結果、支持部62の剛性強度を高めることができる。
これにより、リブ65による支持部62の支持強度をより向上する結果、支持部62の剛性強度を一層高めることができる。
リブ65は、支持部62の外周から当該支持部62で支持されたプーリ軸310の径方向に延出して設けられていると共に、リブ65の延出方向は、支持部61で支持されたプーリ軸210の回転軸X1(回転中心)と支持部62で支持されたプーリ軸310の回転軸(回転中心)とを結ぶ線分Lnに対して、所定角度傾斜した方向である構成とした。
特に、支持部62の径方向の厚みを全周に亘って厚くする必要がないので、ケースの質量増加を避けつつ、プーリ軸を支持する支持部の剛性強度を高めることができる。
2 プライマリプーリ
3 セカンダリプーリ
4 ベルト
5 変速機ケース
6 サイドカバー
21、31 固定円錐板
22、32 可動円錐板
60 壁部
60a 面
61 支持部
62 支持部
62a 内周
63 軸部
64 軸部
65 リブ
66 膨出部
67 ボス部
67a 油路
68 ボス部
68a 油路
71〜74 ベアリング
210 プーリ軸
310 プーリ軸
601 周壁部
622 厚肉部
661 頂部
662、663、664 周壁部
Ba(Ba1〜Ba9) ボール
Ln 線分
Lm 延長線
P 接続点
S 空間
X1、X2 回転軸
Claims (5)
- 動力伝達時に回転する回転軸を、ケースの壁部から突出形成された円筒状の支持部の内周で支持させたベルト式無段変速機における回転軸の支持構造において、
前記回転軸の軸方向から見た前記支持部の径方向の厚みであって、動力伝達時に前記回転軸から作用する荷重が最大となる部位を基準とした所定の角度範囲の厚みを、前記所定の角度範囲外の厚みよりも厚くしており、
前記支持部における前記動力伝達時に前記回転軸から作用する荷重が最大となる部位の外周から、前記支持部の突出方向と同方向に前記壁部から突出するリブを、前記径方向に延出して形成し、
前記壁部における前記リブの延長線上の所定範囲を、前記支持部の突出方向と同方向に窪ませて、前記リブの延長線上に前記支持部の突出方向と同方向に膨出する膨出部を形成し、
前記リブの先端を、前記膨出部に接続したことを特徴とするベルト式無段変速機における回転軸の支持構造。 - 前記膨出部は、
前記リブの延長線上に位置する頂部と、
当該頂部の周縁を囲む周壁部と、を有しており、
前記リブの先端を、前記周壁部における前記支持部側の面に接続したことを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機における回転軸の支持構造。 - 前記周壁部は、前記リブの延長線を挟んで一方側と他方側に位置する第1周壁部および第2周壁部と、前記第1周壁部と前記第2周壁部の前記支持部側を接続すると共に前記リブが接続された第3周壁部と、を有していることを特徴とする請求項2に記載のベルト式無段変速機における回転軸の支持構造。
- 前記第1周壁部と前記第2周壁部の前記支持部とは反対側は、油孔を囲む壁部に接続されていることを特徴とする請求項3に記載のベルト式無段変速機における回転軸の支持構造。
- 前記ケースは、
プライマリプーリのプーリ軸を支持する第1の支持部と、
セカンダリプーリのプーリ軸を支持する第2の支持部と、を有しており、
前記リブは、前記第2の支持部の外周から当該第2の支持部で支持されたプーリ軸の径方向に延出して設けられていると共に、
前記リブの延出方向は、
前記第1の支持部で支持されたプーリ軸の回転中心と前記第2の支持部で支持されたプーリ軸の回転中心とを結ぶ線分に対して、所定角度傾斜した方向であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のベルト式無段変速機における回転軸の支持構造。
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