以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図18は、本実施の形態による紙葉類処理機およびこの紙葉類処理機に設けられた紙葉類収納繰出装置(具体的には、一時保留部)を示す図である。
まず、本実施の形態による紙葉類処理機10の全体構成について図1を用いて説明する。図1に示すように、本実施の形態による紙葉類処理機10は、略直方体形状の筐体12を備えており、この筐体12の前面(すなわち、図1における左側部)には、当該筐体12の外部から内部に紙幣や小切手、手形等の紙葉類を投入したり筐体12の内部から外部に紙葉類を投出したりするための入出金部14が設けられている。入出金部14には、当該入出金部14に積層状態で投入された複数の紙葉類を1枚ずつ筐体12の内部に繰り出すための第1繰出機構16が設けられている。また、入出金部14には紙葉類を1枚ずつ搬送する搬送部20が接続されており、第1繰出機構16により入出金部14から繰り出された紙葉類は搬送部20により1枚ずつ搬送されるようになっている。また、入出金部14には第1繰出機構16とは別に第2繰出機構18が設けられており、搬送部20から入出金部14に戻された紙葉類を当該第2繰出機構18により再び搬送部20に繰り出すことができるようになっている。ここで、入出金部14には、第1繰出機構16に向かう方向および第1繰出機構16から遠ざかる方向(すなわち、第2繰出機構18に向かう方向)にそれぞれ移動可能となっている仕切部材14aが設けられており、当該仕切部材14aにより入出金部14は2つの領域(具体的には、第1繰出機構16側の投入口および第2繰出機構18側の投出口)に区切られるようになっている。また、搬送部20の途中箇所には当該搬送部20により搬送される紙葉類の識別を行う識別部22が設けられている。具体的には、識別部22にはイメージセンサが設けられており、当該イメージセンサにより取得された紙葉類の表面の画像に基づいて当該紙葉類の金額(紙幣の場合は金種)、真偽、正損等の情報が取得されるようになっている。このような識別部22の構成の詳細については後述する。
また、図1に示すように、搬送部20には一時保留部40が接続されている。一時保留部40は、搬送部20から送られた紙葉類を1枚ずつ収納するとともに収納された紙葉類を1枚ずつ搬送部20に繰り出すようになっている。入出金部14から第1繰出機構16により搬送部20に繰り出され、識別部22により識別された紙葉類は当該搬送部20により一時保留部40に送られ、この一時保留部40で一時的に保留されるようになっている。このような一時保留部40の構成の詳細については後述する。
また、搬送部20には、当該搬送部20により搬送される紙葉類を搬送路の幅方向における中央位置等の所定位置に寄せるための幅方向位置合わせ部24が設けられており、一時保留部40から搬送部20に繰り出された紙葉類は当該幅方向位置合わせ部24により搬送路の幅方向における位置が中央位置等の所定位置に寄せられるようになっている。
また、搬送部20には、識別部22により偽券であると識別された紙幣や真偽が不確定であると識別された紙幣が収納される偽券収納部26が接続されている。
また、本実施の形態では、識別部22により正常な紙葉類ではないと識別されたリジェクト紙葉類を搬送部20により入出金部14(厳密には、仕切部材14aよりも第2繰出機構18側の投出口)に戻すことができるようになっている。このように、入出金部14は仕切部材14aにより投入口および投出口に区切られているため、搬送部20から入出金部14に戻された紙葉類は、第1繰出機構16により搬送部20に繰り出されるべき紙葉類が集積される箇所とは別の箇所に集積されるようになっている。
また、搬送部20には複数の紙葉類収納繰出部30が接続されており、各紙葉類収納繰出部30は搬送部20から送られた紙葉類を積層状態で収納することができるようになっている。また、各紙葉類収納繰出部30には繰出機構31が設けられており、各紙葉類収納繰出部30に収納された紙葉類は当該繰出機構31により搬送部20に繰り出すことができるようになっている。これらの紙葉類収納繰出部30は、概ねリサイクル用のものとして用いられるようになっている。すなわち、紙葉類のリサイクル処理として、紙葉類の出金処理時に各紙葉類収納繰出部30に収納された紙葉類を繰出機構31により搬送部20に繰り出して入出金部14(厳密には、仕切部材14aよりも第2繰出機構18側の投出口)に送るようになっている。
また、搬送部20には複数の紙葉類収納繰出部32が接続されており、各紙葉類収納繰出部32は搬送部20から送られた紙葉類を積層状態で収納することができるようになっている。また、各紙葉類収納繰出部32には繰出機構33が設けられており、各紙葉類収納繰出部32に収納された紙葉類は当該繰出機構33により搬送部20に繰り出すことができるようになっている。これらの紙葉類収納繰出部32は、概ね入金専用のものとして用いられるようになっている。
次に、このような紙葉類処理機10における一時保留部40の構成の詳細について図2乃至図15を用いて説明する。本実施の形態では、一時保留部40は、並列に設けられた3本の帯状のテープ90、92、94をドラム42に巻き取ることによって複数の紙葉類を1枚ずつドラム42に収納するとともに、ドラム42から各テープ90、92、94を巻き戻すことによって紙葉類を1枚ずつドラム42から巻き出す方式のテープ式紙葉類収納繰出装置からなる。
図2乃至図4は、それぞれ、図1に示す紙葉類処理機10に設けられた一時保留部40の構成の詳細を示す側面図である。なお、図2は、一時保留部40のドラム42に紙葉類が1枚も巻き取られていないときの状態を示す図であり、図3は、図2に示す状態から一時保留部40のドラム42にある程度の量の紙葉類が巻き取られたときの状態を示す図であり、図4は、図3に示す状態から一時保留部40のドラム42に紙葉類が更に巻き取られたときの状態を示す図である。また、図5は、図2等に示す一時保留部40の構成を示す斜視図であり、図6は、図5に示す一時保留部40を上方から見たときの構成を示す上面図であり、図7は、図5に示す一時保留部40を前方から見たときの構成を示す正面図である。また、図8は、図2等に示す一時保留部40における駆動系の構成を示す斜視図である。また、図9(a)は、図5に示す一時保留部40における3本のテープ90、92、94のうち中央のテープ92の搬送経路を示す側面図であり、図9(b)は、図5に示す一時保留部40における3本のテープ90、92、94のうち両側の各テープ90、94の搬送経路を示す側面図である。
図2乃至図8に示すように、一時保留部40は、回転自在となっているドラム42と、その一端がそれぞれドラム42の外周面に接続された3本の帯状のテープ90、92、94と、回転自在となっており各テープ90、92、94の他端がその外周面に接続されたテープリール58とを有している。ここで、図5乃至図8に示すように、各テープ90、92、94は、ドラム42の軸42aの延びる方向に沿って並ぶよう配置されている。
ドラム42は軸42aを中心として図2乃至図4における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方に回転することができるようになっている。具体的には、搬送部20から一時保留部40に送られた紙葉類をドラム42に収納する際には、当該ドラム42は図2乃至図4における反時計回りの方向に回転し、ドラム42の近傍に送られた紙葉類が各テープ90、92、94とともにドラム42に巻き取られるようになる。一方、ドラム42に収納された紙葉類を搬送部20に繰り出す際には、当該ドラム42は図2乃至図4における時計回りの方向に回転し、ドラム42から各テープ90、92、94を巻き戻すことによってこれらの各テープ90、92、94から紙葉類が解放されて搬送部20に送られるようになる。なお、本実施の形態では、一時保留部40において紙葉類は当該紙葉類の短手方向に沿って搬送されてドラム42に巻き取られるようになっている。
また、図2乃至図4に示すように、一時保留部40には、ドラム42を回転駆動させる駆動モータ64が設けられている。より詳細には、図8に示すように、駆動モータ64には回転軸を介してプーリ64aが接続されており、このプーリ64aには駆動ベルト69が掛け渡されている。また、ドラム42の軸42aにもプーリ42bが接続されており、このプーリ42bに上記の駆動ベルト69が掛け渡されている。このことにより、駆動モータ64がプーリ64aを回転駆動させると、駆動ベルト69を介して駆動モータ64による回転駆動力が軸42aに伝達され、ドラム42が回転駆動されるようになる。
図2乃至図4に示すように、一時保留部40には、各テープ90、92、94を案内するための案内ローラ52、54が設けられており、これらの案内ローラ52、54により、ドラム42とテープリール58との間で各テープ90、92、94が案内されるようになっている。また、一時保留部40には、上記の案内ローラ52、54に加えて、3本のテープ90、92、94のうち両側の各テープ90、94を案内するための案内ローラ50、56が設けられており、これらの案内ローラ50、56により各テープ90、94が案内されるようになっている。また、図2乃至図4、図8および図9に示すように、案内ローラ50および案内ローラ56の軸を支持する略三角形形状の支持板57が設けられている。
より詳細には、図9(a)に示すように、3本のテープ90、92、94のうち中央のテープ92は案内ローラ52、54によりドラム42とテープリール58との間で搬送されるようになっており、ドラム42が図2乃至図4において反時計回りの方向に回転するとテープリール58から巻き出されたテープ92が案内ローラ54および案内ローラ52を順に経てドラム42に巻き取られるようになる。また、テープリール58が図2乃至図4において時計回りの方向に回転するとドラム42から巻き出されたテープ92が案内ローラ52および案内ローラ54を順に経てテープリール58に巻き取られるようになる。また、図9(b)に示すように、3本のテープ90、92、94のうち両側のテープ90、94はそれぞれ案内ローラ52、54によりドラム42とテープリール58との間で搬送されるとともに、案内ローラ50、56によりドラム42の周囲で搬送されるようになっている。ここで、ドラム42が図2乃至図4において反時計回りの方向に回転するとテープリール58から巻き出された各テープ90、94が案内ローラ54および案内ローラ52を順に経てドラム42の約半周分だけ当該ドラム42に巻かれ、各テープ90、94は更に案内ローラ56および案内ローラ50を順に経てドラム42に巻き取られるようになる。このことにより、搬送部20から一時保留部40に送られた紙葉類が案内ローラ50、52の間を通過すると、この紙葉類は一対のテープ90の間および一対のテープ94の間にそれぞれ挟まれるようになり、各テープ90、94に挟まれた状態で当該紙葉類は各テープ90、94ごとドラム42に巻き取られるようになる。また、テープリール58が図2乃至図4において時計回りの方向に回転するとドラム42から巻き出された各テープ90、94が案内ローラ50および案内ローラ56を順に経てドラム42の約半周分だけ当該ドラム42に巻かれ、各テープ90、94は更に案内ローラ54および案内ローラ52を順に経てテープリール58に巻き取られるようになる。
また、図2乃至図4に示すように、テープリール58には、当該テープリール58と同期して回転する検知板60が取り付けられている。なお、図8に示すように、検知板60は各テープ90、92、94に対応して複数(具体的には、例えば3つ)設けられている。また、検知板60の近傍には、当該検知板60の回転量を検知する検知板回転量検知器としてフォトインタラプタ62が設けられている。より詳細には、検知板60には複数の貫通穴60aが設けられており、また、フォトインタラプタ62は検知板60の外周縁を挟んで配置された発光素子および受光素子を有している。そして、検知板60が回転すると、この検知板60に設けられた各貫通穴60aにより、フォトインタラプタ62における発光素子と受光素子との間の光軸が断続的に透光されるようになっている。このように、検知板60が回転するとフォトインタラプタ62は透光状態および遮光状態を繰り返すようになるが、この透光状態および遮光状態の切り替わりの回数(パルス数)に基づいてフォトインタラプタ62は検知板60の回転量を検知するようになる。
また、図8に示すように、各検知板60の側面には、各々の検知板60に対応してトルクリミッタ58bが設けられている。なお、図8では1つのトルクリミッタ58bしか図示されていないが、実際には3つの検知板60の各々に対応するよう3つのトルクリミッタ58bが設けられている。また、トルクリミッタ58bの内側部分は図示しないピン等により軸58aに固定されており、当該トルクリミッタ58bの内側部分は軸58aと一体的に回転するようになっている。一方、トルクリミッタ58bの外側部分は検知板60の側面に固定されており、当該トルクリミッタ58bの外側部分は検知板60やテープリール58と一体的に回転するようになっている。また、検知板60やテープリール58は軸58aに対して回転自在となっている。そして、トルクリミッタ58bにおいて、当該トルクリミッタ58bの内側部分や外側部分に加えられる外力(回転駆動力)がこれらの内側部分および外側部分の間の回転抵抗よりも小さい場合はトルクリミッタ58bの内側部分および外側部分は一体的に回転するが、上記の外力がトルクリミッタ58bの内側部分および外側部分の間の回転抵抗よりも大きい場合はこれらの内側部分および外側部分は互いに対して一定荷重の回転抵抗でスリップしながら回転するようになる。また、軸58aには上記の駆動ベルト69が掛け渡されるプーリ58cが接続されており、このプーリ58cにはワンウェイクラッチ(図示せず)が内蔵されている。
ドラム42が各テープ90、92、94を巻き取る方向に駆動モータ64がプーリ64aを回転駆動させて駆動ベルト69を循環移動させた場合には、プーリ58cに内蔵されたワンウェイクラッチにより駆動ベルト69による駆動力は軸58aに伝達されず、当該軸58aは回転しないようになる。この場合には、ドラム42が図2乃至図4における反時計回りの方向に回転することによって当該ドラム42に各テープ90、92、94が巻き取られ、これらのテープ90、92、94の巻き取り動作によりテープリール58も図2乃至図4における反時計回りの方向に回転するようになるが、この際に、トルクリミッタ58bにおいて外側部分に加えられる外力(回転駆動力)が当該トルクリミッタ58bの内側部分および外側部分の間の回転抵抗よりも大きくなることによりトルクリミッタ58bの外側部分は内側部分に対して一定荷重の回転抵抗でスリップしながら回転するようになる。一方、テープリール58が各テープ90、92、94を巻き取る方向に駆動モータ64がプーリ64aを回転駆動させて駆動ベルト69を循環移動させた場合には、駆動ベルト69による駆動力が軸58aに伝達され、トルクリミッタ58bを介して回転駆動力がテープリール58に伝達されることにより当該テープリール58が回転駆動されるようになる。この場合には、テープリール58が図2乃至図4における時計回りの方向に回転することによってドラム42から各テープ90、92、94が巻き出され、このような各テープ90、92、94の巻き出し動作によりドラム42も図2乃至図4における時計回りの方向に回転するようになるが、テープリール58による各テープ90、92、94の巻き取り速度がドラム42からの各テープ90、92、94の巻き出し速度よりも常に大きくなるようプーリ42b、58cのギヤ比が設定されていることにより、各テープ90、92、94の張力が維持されるようになっている。また、この際に、トルクリミッタ58bにおいて内側部分に加えられる外力(回転駆動力)が当該トルクリミッタ58bの内側部分および外側部分の間の回転抵抗よりも大きくなることによりトルクリミッタ58bの内側部分は外側部分に対して一定荷重の回転抵抗でスリップしながら回転するようになる。
また、図2乃至図4に示すように、一時保留部40には、搬送部20から当該一時保留部40に送られた紙葉類をドラム42に案内したりドラム42から繰り出された紙葉類を搬送部20に案内したりするための案内ローラ65、66、67、68が設けられている。より詳細には、一対の案内ローラ65、66は、その外周面が互いに接触するよう対向して配置されており、また、一対の案内ローラ67、68は、その外周面が互いに接触するよう対向して配置されている。そして、搬送部20から一時保留部40に送られた紙葉類はまず一対の案内ローラ65、66の間を通過し、次に一対の案内ローラ67、68の間を通過した後、各テープ90、92、94によりドラム42に巻き取られるようになる。また、図2乃至図4においてドラム42が時計回りの方向に回転すると、このドラム42から各テープ90、92、94が巻き戻されることによりこれらのテープ90、92、94から紙葉類が放出され、放出された紙葉類はまず一対の案内ローラ67、68の間を通過し、次に一対の案内ローラ65、66の間を通過した後、搬送部20に送られるようになる。
また、図2乃至図4に示すように、一時保留部40において、ドラム42に巻かれた各テープ90、92、94を囲むよう当該ドラム42の周縁部には可動ガイド82が設けられている。この可動ガイド82は、案内ローラ52の軸と同軸で設けられた軸83を中心として回転するようになっている。また、軸83を中心として可動ガイド82を図2乃至図4における反時計回りの方向に付勢するバネ89等(図7参照)の付勢手段が設けられている。また、可動ガイド82には、ドラム42に巻かれた紙葉類を当該ドラム42の軸42a側に向かって押圧するベアリング84が設けられている。バネ89等の付勢手段により可動ガイド82が軸83を中心として図2乃至図4における反時計回りの方向に付勢されることにより、ベアリング84が図2乃至図4における上方向に押圧され、このことによりドラム42に巻かれた紙葉類が当該ベアリング84によりこのドラム42の軸42a側に向かって押圧されるようになる。また、バネ89等の付勢手段により可動ガイド82が軸83を中心として図2乃至図4における反時計回りの方向に付勢されるようになっているため、ドラム42に巻き取られた紙葉類が当該ドラム42から巻き戻されることにより各テープ90、92、94の外部径が小さくなってもベアリング84は常に紙葉類に接触して当該紙葉類を押圧するようになる。
本実施の形態では、ドラム42が図2乃至図4における時計回りの方向に回転して当該ドラム42から紙葉類が繰り出される際に紙葉類が折られた場合でもこの折られた紙葉類が各テープ90、92、94を両面から挟み込んでしまうことを防止するための案内部80、85が設けられている。ここで、上述したように、本実施の形態ではドラム42の軸方向に沿って並ぶよう複数のテープ90、92、94が設けられており、案内部80、85は各テープ90、92、94に対応して設けられている。図2乃至図4においてこのような案内部80、85を斜線で示している。
案内部80は、ドラム42から紙葉類が繰り出される際に紙葉類が折られた場合でもこの折られた紙葉類が中央のテープ92を両面から挟み込んでしまうことを防止するようになっている。このような案内部80はドラム42の上方に設置されるとともに、ドラム42の軸42aと平行に延びる軸81を中心として回転自在となっている。そして、案内部80の自重によりこの案内部80の先端部分はドラム42に巻かれたテープ92に接触するようになっている。なお、案内部80は、自重によりその先端部分がドラム42に巻かれたテープ92に接触する代わりに、図示しないバネ等の付勢手段により案内部80の先端部分がドラム42側に向かって付勢されるようになっていてもよい。また、図5および図6に示すように、案内部80は、ドラム42の軸方向における位置(すなわち、図6の左右方向における位置)がテープ92に対向する位置となっている。
また、案内部80は、ドラム42から各テープ90、92、94が巻き戻されることにより当該ドラム42から紙葉類が繰り出される際に紙葉類の折られた部分がドラム42の軸方向においてテープ92から遠ざかる方向に移動するような形状となっている。具体的には、案内部80は、図6に示すように、一時保留部40を上方から見たときに、ドラム42から紙葉類が繰り出される方向において(すなわち、図6における下向きの方向において)ドラム42の軸方向における幅(すなわち、図6の左右方向における幅)が徐々に大きくなるような三角形形状となっている。すなわち、案内部80は、ドラム42から紙葉類が繰り出される方向に進むに従ってテープ92の幅方向外側に徐々に広がっていくような形状となっている。このような構成の案内部80がテープ92に対向して当該テープ92の表面に接触するよう設けられているため、ドラム42から各テープ90、92、94が巻き戻されることによりドラム42から紙葉類が繰り出される際に紙葉類の折られた部分がテープ92の表面に乗ろうとしてもこの紙葉類の折られた部分が案内部80の側面に接触することにより当該折られた部分がテープ92の表面に乗ることが抑制され、このことにより、折られた紙葉類がテープ92を両面から挟み込んでしまうことが防止されるようになる。
言い換えると、このような案内部80がもし仮に一時保留部40に設けられていない場合には、ドラム42から各テープ90、92、94が巻き戻されることにより当該ドラム42から紙葉類が繰り出される際に、図18(a)に示すように紙葉類の繰出方向(図18(a)において矢印で表示)において当該紙葉類の前端縁に切れ部分があり、この切れ部分により紙葉類の一部が折れてしまった場合には、この折られた部分(図18(a)において参照符号S´で表示)がテープ92の反対側の面に接触することにより、折られた紙葉類がテープ92を両面から挟み込んでしまう場合がある。なお、紙葉類の前端縁に形成された切れ部分により紙葉類の一部が折れてしまった場合において、この折られた部分がテープ92の反対側の面に接触しなくても、折られた紙葉類がテープ92を両面から挟み込んでしまうこともある。このように、折られた紙葉類がテープ92を両面から挟み込んでしまった場合には、各案内ローラ50、52の近傍において各テープ90、92、94から紙葉類が放出される際に、紙葉類におけるテープ92の反対側の面に折り込まれた部分が当該テープ92と案内ローラ52との間に挟まれることにより、紙葉類がその切れた部分から破れてしまったり向きが大きく変わってしまったりするおそれがある。
図5等に示すように、可動ガイド82には、各テープ90、92に対向して一対の案内部85が設けられている。また、可動ガイド82において、各案内部85の両側部には、ドラム42に各テープ90、92、94が巻き取られることにより当該ドラム42に紙葉類が収納される際に当該紙葉類の案内を行う追加案内部86が設けられている。このような各案内部85および追加案内部86が設けられた可動ガイド82の斜視図を図10および図11に示す。各案内部85は、それぞれ、ドラム42から紙葉類が繰り出される際に紙葉類が折られた場合でもこの折られた紙葉類がテープ90、94を両面から挟み込んでしまうことを防止するようになっている。ここで、図5および図6に示すように、各案内部85は、ドラム42の軸方向における位置(すなわち、図6の左右方向における位置)がテープ90、94にそれぞれ対向する位置となっている。
また、図5および図6に示すように、各案内部85は、ドラム42から紙葉類が繰り出される方向において(すなわち、図6における下向きの方向において)ドラム42の軸方向における幅(すなわち、図6の左右方向における幅)の大きさが一定となるようその両端縁がドラム42の周方向に沿って延びる形状となっている。また、図10および図11に示すように、各案内部85は、追加案内部86における紙葉類を案内する案内面86aからドラム42側に向かって突出するよう配設されており、各案内部85の案内面85aは、ドラム42に巻かれた各テープ90、94の表面とわずかな隙間を隔ててこれらのテープ90、94に対向するようになる。とりわけ、案内部85が取り付けられた可動ガイド82は、ドラム42に収納される紙葉類の量に応じて軸83を中心として揺動自在となっており、この可動ガイド82に設けられたベアリング84がドラム42に巻かれた紙葉類に当接するようバネ89等の付勢手段によって当該可動ガイド82は軸83を中心として図2乃至図4における反時計回りの方向に押圧されるため、ドラム42に収納される紙葉類の量が多い場合でも少ない場合でも、各案内部85の案内面85aとドラム42に巻かれた各テープ90、94の表面との間にわずかな隙間が形成されるようになる。このような構成の各案内部85がテープ90、94にそれぞれ対向してこれらのテープ90、94との間にわずかな隙間を形成するよう設けられているため、ドラム42から各テープ90、92、94が巻き戻されることによりドラム42から紙葉類が繰り出される際に紙葉類の折られた部分が各テープ90、94の表面に乗ろうとしてもこの紙葉類の折られた部分が案内部85の側面85bや側縁部85c(図10および図11参照)に接触することにより当該折られた部分が各テープ90、94の表面に乗ることが抑制され、このことにより、折られた紙葉類が各テープ90、94を両面から挟み込んでしまうことが防止されるようになる。
言い換えると、このような各案内部85がもし仮に一時保留部40に設けられていない場合には、ドラム42から各テープ90、92、94が巻き戻されることにより当該ドラム42から紙葉類が繰り出される際に、図18(b)に示すように紙葉類の繰出方向(図18(b)において矢印で表示)において当該紙葉類の前端縁に切れ部分があり、この切れ部分により紙葉類の一部が折れてしまった場合には、この折られた部分(図18(b)において参照符号S´で表示)が各テープ90、94(図18(b)に示す例ではテープ94)の反対側の面に接触することにより、折られた紙葉類がテープ90を両面から挟み込んでしまう場合がある。このような場合には、各案内ローラ50、52の近傍において各テープ90、92、94から紙葉類が放出される際に、紙葉類におけるテープ94の反対側の面に折り込まれた部分が当該テープ94と案内ローラ50や案内ローラ52との間に挟まれることにより、紙葉類がその切れた部分から破れてしまったり向きが大きく変わってしまったりするおそれがある。
また、本実施の形態の一時保留部40では、図2乃至図4に示すように、案内ローラ50の近傍にスクレーパ部材96が設けられている。より詳細には、2つのスクレーパ部材96が各テープ90、94に対応して設けられており、各スクレーパ部材96には、ドラム42と案内ローラ50との間にある各テープ90、94がそれぞれ接触するようになっている。このようなスクレーパ部材96の構成について図12および図13を用いて説明する。図12は、スクレーパ部材96の構成を示す斜視図であり、図13は、図12に示すスクレーパ部材96を前方から見たときの構成を示す正面図である。
図12および図13に示すように、スクレーパ部材96の先端部分96b、96cに、ドラム42と案内ローラ50との間にある各テープ90、94が接触するようになっている。ここで、スクレーパ部材96の先端部分は単なる直線形状ではなく互いに向きの異なるような複数の先端部分96b、96cから構成されており、これらの複数の先端部分96b、96cを組み合わせるといわゆる凹形状の先端部分が形成されるため、ドラム42と案内ローラ50との間にある各テープ90、94がスクレーパ部材96の先端部分96b、96cに接触したときに各テープ90、94の断面形状は直線状から湾曲形状に変形するようになっている(図13参照)。なお、図13では、各テープ90、94の形状を見やすくするために、各テープ90、94と先端部分96b、96cとを離間させて図示しているが、実際には各テープ90、94と先端部分96b、96cとは接触している。このように、スクレーパ部材96の先端部分96b、96cのうち両側の先端部分96cは、当該スクレーパ部材96に接触する各テープ90、94の両側縁を覆うような形状となっている。
また、スクレーパ部材96は、案内ローラ50の軸と同軸で設けられた軸96aを中心として回転自在となっている。また、スクレーパ部材96の軸96aには、ねじりバネ等の付勢手段が設けられており、この付勢手段によりスクレーパ部材96には軸96aを中心として図2乃至図4における時計回りの方向に回転するような力が付勢されるようになっている。このことにより、図2乃至図4に示すように、スクレーパ部材96の先端部分96b、96cは、ドラム42に収納される紙葉類の量が多い場合でも少ない場合でも、ドラム42と案内ローラ50との間にある各テープ90、94に常に接触するようになる。
また、図13に示すように、ドラム42と案内ローラ50との間にある各テープ90、94がスクレーパ部材96の先端部分96b、96cに接触したときに各テープ90、94の断面形状が直線状から湾曲形状に変形するようになっている。このため、ドラム42から各テープ90、92、94が巻き戻される際に、テープ90、92、94から放出される紙葉類や、この紙葉類よりも1つ内側にあり最外側のテープ90、92、94に巻かれた状態でスクレーパ部材96の近傍を通過する紙葉類の繰出方向において当該紙葉類の前端縁に切れ部分があり、この切れ部分により上記の紙葉類の一部が、ドラム42に巻かれた各テープ90、92、94から外れてしまった場合でも(この紙葉類の外れた部分を図3において二点鎖線の参照符号Pで表示)、この紙葉類の外れた部分が案内ローラ50と各テープ90、94との間に入り込んでしまうことを防止することができる。より詳細には、ドラム42に巻かれた各テープ90、92、94から外れた紙葉類の一部分がスクレーパ部材96と各テープ90、94との間に入り込んでしまうことを抑制することができるとともに、もし仮に紙葉類の外れた部分がスクレーパ部材96と各テープ90、94との間に入り込んでしまってもこの紙葉類の一部分が案内ローラ50と各テープ90、94との間に送り込まれることを抑制することができる。
比較例として、従来技術のスクレーパ部材の構成を図19に示す。図19は、従来技術のスクレーパ部材97の構成を示す正面図である。従来技術のスクレーパ部材97は、案内ローラ50の軸と同軸で設けられた軸97aを中心として回転自在となっている。また、スクレーパ部材97の軸97aには、ねじりバネ等の付勢手段が設けられており、この付勢手段によりスクレーパ部材97には軸97aを中心として各テープ90、94側に回転するような力が付勢されるようになっている。また、図19に示すように、スクレーパ部材97の先端部分97bに、ドラム42と案内ローラ50との間にある各テープ90、94が接触するようになっている。ここで、従来技術のスクレーパ部材97の先端部分97bは単なる直線形状となっているため、ドラム42と案内ローラ50との間にある各テープ90、94がスクレーパ部材97の先端部分97bに接触したときに各テープ90、94の断面形状は直線状のままとなる。このような場合には、ドラム42から各テープ90、92、94が巻き戻される際に、テープ90、92、94から放出される紙葉類や、この紙葉類よりも1つ内側にあり最外側のテープ90、92、94に巻かれた状態でスクレーパ部材96の近傍を通過する紙葉類の繰出方向において当該紙葉類の前端縁に切れ部分があり、この切れ部分により上記の紙葉類の一部が、ドラム42に巻かれた各テープ90、92、94から外れてしまった場合には、この紙葉類の外れた部分がスクレーパ部材97の先端部分97bと各テープ90、94との間に入り込んでしまうおそれがある。このときには、スクレーパ部材97の先端部分97bと各テープ90、94との間を通過した紙葉類の一部分は、案内ローラ50と各テープ90、94との間に入り込んでしまい、ドラム42から巻き出されるべき紙葉類は、この案内ローラ50と各テープ90、94との間に入り込んだ部分から破れてしまうおそれがある。
なお、本実施の形態によるスクレーパ部材96は、図12および図13に示すような構成のものに限定されることはない。図12および図13に示すスクレーパ部材96では、両側の先端部分96cが当該スクレーパ部材96に接触する各テープ90、94の両側縁を覆うような形状となっているが、変形例に係るスクレーパ部材として、両側の先端部分ではなく一方の先端部分のみが図12や図13における先端部分96cと同様の構成となっており、当該スクレーパ部材に接触する各テープ90、94の一方の側縁のみがスクレーパ部材の先端部分により覆われるようになっていてもよい。この場合には、ドラム42と案内ローラ50との間にある各テープ90、94がスクレーパ部材に接触したときに各テープ90、94の断面は水平状態から傾くようになり、このことによりドラム42に巻かれた各テープ90、92、94から外れてしまった紙葉類の一部分がスクレーパ部材96と各テープ90、94との間に入り込んでしまうことを抑制することができるようになる。
また、本実施の形態による更に別の構成のスクレーパ部材を図14および図15に示す。図14および図15に示すスクレーパ部材98は、案内ローラ50の軸と同軸で設けられた軸98aを中心として回転自在となっている。また、スクレーパ部材98の軸98aには、ねじりバネ等の付勢手段が設けられており、この付勢手段によりスクレーパ部材98には軸98aを中心として各テープ90、94側に回転するような力が付勢されるようになっている。また、スクレーパ部材98は、その先端部分98b、98cに、ドラム42と案内ローラ50との間にある各テープ90、94が接触するようになっている。ここで、スクレーパ部材98の先端部分は単なる直線形状ではなく互いに向きの異なるような複数の先端部分98b、98cから構成されており、両側の先端部分98cには、下方に向かって延びるブラシ部材99が取り付けられている。そして、図15に示すように、ドラム42と案内ローラ50との間にある各テープ90、94がスクレーパ部材98の先端部分98b、98cに接触したときに、各テープ90、94は両側のブラシ部材99の間に位置するようになる。このようなブラシ部材99が設けられていることにより、ドラム42から各テープ90、92、94が巻き戻されることにより当該ドラム42から紙葉類が繰り出される際に、紙葉類の繰出方向において当該紙葉類の前端縁に切れ部分があり、この切れ部分により紙葉類の一部が、ドラム42に巻かれた各テープ90、92、94から外れてしまった場合でも、この紙葉類の外れた一部分がスクレーパ部材98と各テープ90、94との間に入り込んでしまうことを防止することができる。
次に、図1に示すような構成からなる紙葉類処理機10の制御系の構成について図16を用いて説明する。本実施の形態の紙葉類処理機10には制御部35が設けられており、この制御部35には、入出金部14に設けられた第1繰出機構16および第2繰出機構18、搬送部20、識別部22、幅方向位置合わせ部24、一時保留部40、各紙葉類収納繰出部30に設けられた繰出機構31および各紙葉類収納繰出部32に設けられた繰出機構33がそれぞれ通信可能に接続されている。ここで、識別部22による紙葉類の識別結果は制御部35に送られるようになっている。また、制御部35は、第1繰出機構16、第2繰出機構18、搬送部20、幅方向位置合わせ部24、一時保留部40、各繰出機構31および各繰出機構33等に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の制御を行うようになっている。
また、図16に示すように、制御部35には操作表示部36、記憶部37、通信インターフェース部38がそれぞれ通信可能に接続されている。操作表示部36は例えば筐体12の前面または上面に配設されたタッチパネル等からなり、操作者は操作表示部36により制御部35に対して様々な指令を入力することができるとともに当該操作表示部36には紙葉類処理機10における紙葉類の処理内容や当該紙葉類処理機10の機体内に収納された紙葉類(具体的には、紙幣や小切手)の在高等が表示されるようになっている。また、記憶部37は、紙葉類処理機10における紙葉類の処理内容の履歴や当該紙葉類処理機10の機体内に収納された紙葉類(具体的には、紙幣や小切手)の在高等の情報を記憶するようになっている。また、紙葉類処理機10の制御部35は通信インターフェース部38を介して上位端末等の外部装置と通信可能に接続されており、この通信インターフェース部38により当該外部装置に対して信号の送受信が行われるようになっている。
次に、紙葉類処理機10に設けられた搬送部20の構成の詳細について図32を用いて以下に述べる。図32に示すように、搬送部20は循環ベルト20aや当該循環ベルト20aに対向して設けられた複数のピンチローラ20dを有しており、循環ベルト20aが循環移動することにより、この循環ベルト20aと各ピンチローラ20dとの間で紙葉類が1枚ずつ搬送されるようになっている。具体的には、循環ベルト20aは複数のプーリ20b(図32に示す例では2つのプーリ20b)により張架されており、複数のプーリ20bのうちある一つのプーリ20bがモータ20c(例えば、DCブラシレスモータ)により正逆両方向に駆動されるようになっている。そして、図32に示す例においてモータ20cがプーリ20bを例えば反時計回りの方向に回転させると、循環ベルト20aが図32における矢印の方向に循環移動し、この循環ベルト20aと各ピンチローラ20dとの間で紙葉類が右方向に搬送されるようになる。
本実施の形態では、制御部35は搬送部20のモータ20cを以下に示すような方法により制御するようになっている。このような制御部35による搬送部20のモータ20cの制御方法について図33に示すグラフを用いて説明する。なお、図33に示すグラフにおいて、横軸は時刻を示し、縦軸はモータ20cの回転速度(具体的には、制御部35により搬送部20のモータ20cに与えられる回転速度の指令値)を示している。
搬送部20の起動時に、制御部35はまずモータ20cを第1の回転速度a(例えば、約1600rpm)で回転させる。具体的には、制御部35により搬送部20のモータ20cに与えられる回転速度の指令値を第1の回転速度aとする。この第1の回転速度aは、通常の運転時において搬送部20の循環ベルト20aにより紙葉類が通常の搬送速度で搬送されるときの速度である。しかしながら、低温時には循環ベルト20aは硬化してしまうため、このような低温時に循環ベルト20aを駆動させた場合に、制御部35により搬送部20のモータ20cに与えられる回転速度の指令値が第1の回転速度aであるときでもモータ20cの実際の回転速度が第1の回転速度aに達しないことがある。このため、制御部35により搬送部20のモータ20cに与えられる回転速度の指令値を第1の回転速度aとした後、所定の時間(例えば、2秒)経過してもモータ20cの実際の回転速度が第1の回転速度aに達しなかった場合には(図33における時刻t1参照)、紙葉類処理機10の筐体12内に各構成ユニットが正しくセットされているときには、制御部35はモータ20cを一旦停止させる(図33における時刻t2参照)。そして、モータ20cが停止した後、所定の時間(例えば、1秒)が経過すると(図33における時刻t3参照)、制御部35は再びモータ20cを第1の回転速度aで回転させる(すなわち、制御部35により搬送部20のモータ20cに与えられる回転速度の指令値を再び第1の回転速度aとする)。一方、モータ20cの実際の回転速度が第1の回転速度aに達しなかった場合に、紙葉類処理機10の筐体12内に各構成ユニットが正しくセットされていないときには、制御部35は動作不良エラーとして紙葉類処理機10の各構成部材の動作を停止させ、操作表示部36に動作不良エラーが発生した旨の情報を表示させる。
制御部35により搬送部20のモータ20cに与えられる回転速度の指令値を再び第1の回転速度aとした後、所定の時間(例えば、0.8秒)が経過してもモータ20cの実際の回転速度が第1の回転速度aに達しなかった場合には(図33における時刻t4参照)、制御部35により搬送部20のモータ20cに与えられる回転速度の指令値を第1の回転速度aから第2の回転速度b(例えば、約1300rpm)に減少させる。そして、制御部35により搬送部20のモータ20cに与えられる回転速度の指令値を第2の回転速度bに減少させた後、所定の時間(例えば、1.6秒)が経過してもモータ20cの実際の回転速度が第2の回転速度bとならなかった場合には(図33における時刻t5参照)、制御部35は動作不良エラーとして紙葉類処理機10の各構成部材の動作を停止させ、操作表示部36に動作不良エラーが発生した旨の情報を表示させる。詳述すると、第2の回転速度bは、循環ベルト20aが最大限硬化しても達成可能な回転速度に設定してあるので、第2の回転速度bに達しないのは、ベルトの硬化が原因ではなく、異物が挟まったりして過負荷が掛かっているとみなし、動作不良エラーとして紙葉類処理機10の動作を停止させるようにしている。一方、制御部35により搬送部20のモータ20cに与えられる回転速度の指令値を第2の回転速度bに減少させた後、所定の時間(例えば、1.6秒)が経過したときにモータ20cの実際の回転速度が第2の回転速度bとなった場合には(図33における時刻t5参照)、制御部35はモータ20cを第2の回転速度bで更に所定の時間(例えば、1.4秒)だけ回転させた後(図33における時刻t6参照)、当該制御部35により搬送部20のモータ20cに与えられる回転速度の指令値を第2の回転速度bから第1の回転速度aに増加させる。
そして、制御部35により搬送部20のモータ20cに与えられる回転速度の指令値を再び第1の回転速度aとした後、所定の時間(例えば、0.8秒)が経過したときに(図33における時刻t7参照)、モータ20cの実際の回転速度が第1の回転速度aに達した場合には、制御部35はモータ20cを第1の回転速度aで定常運転させる。一方、制御部35により搬送部20のモータ20cに与えられる回転速度の指令値を再び第1の回転速度aとした後、所定の時間(例えば、0.8秒)が経過してもモータ20cの実際の回転速度が第1の回転速度aに達しなかった場合には(図33における時刻t7参照)、制御部35により搬送部20のモータ20cに与えられる回転速度の指令値を第1の回転速度aから第2の回転速度b(例えば、1300rpm)に再び減少させる。このような、搬送部20のモータ20cに与えられる回転速度の指令値を第1の回転速度aから第2の回転速度bに減少させるようなリトライ動作は、最大で、予め設定された所定の回数(例えば、10回)だけ行われる。そして、上記のリトライ動作が予め設定された所定の回数だけ行われてもモータ20cの実際の回転速度が第1の回転速度aに達しなかった場合には、制御部35は動作不良エラーとして紙葉類処理機10の各構成部材の動作を停止させ、操作表示部36に動作不良エラーが発生した旨の情報を表示させる。
以上のように、本実施の形態では、搬送部20のモータ20cに与えられる回転速度の指令値を第1の回転速度aから第2の回転速度bに減少させるようなリトライ動作を行うことにより、循環ベルト20aを低速で循環移動させることができるようになるため、低温時に循環ベルト20aが硬化していた場合でもモータ20cに過負荷をかけることなく当該循環ベルト20aを柔らかくして搬送部20の定常運転を行うことができるようになる。すなわち、従来の搬送部20のモータ20cの制御方法では、搬送部20の起動時に制御部35により搬送部20のモータ20cに与えられる回転速度の指令値を第1の回転速度aとしても当該モータ20cの実際の回転速度が第1の回転速度aに達しないときには、搬送部20のモータ20cに与えられる回転速度の指令値を第1の回転速度aから減少させることなく、代わりに動作不良エラーとして紙葉類処理機10の各構成部材の動作を停止させていた。このように、従来技術では循環ベルト20aを低速で循環移動させることにより当該循環ベルト20aを柔らかくするという動作が行われていなかったため、低温時に循環ベルト20aが硬化していた場合に備えてモータ20cを大型のものとしなければならず、搬送部20のコストが上昇したりモータ20cの設置スペースを大きくしなければならなかったりするという問題があった。これに対し、本実施の形態では、従来技術と比較してモータ20cの小型化を図ることができるため、搬送部20のコストを低減するとともにモータ20cの設置スペースを小さくすることができるようになる。また循環ベルト20aの硬化の程度に応じたリトライ動作回数となるので、循環ベルト20aが正常動作になるまでの時間を最短化できる。
また、本実施の形態では、図16に示すように、識別部22には、搬送部20により搬送される紙葉類の切れ部分を検知する第1検知部22a、搬送部20により搬送される紙葉類の幅方向における所定箇所の位置(例えば、紙葉類の幅方向における中央部分の位置)を検知する第2検知部22bおよび搬送部20により搬送される紙葉類が紙幣である場合に当該紙幣の表裏を検知する第3検知部22cが設けられている。具体的には、識別部22にはイメージセンサが設けられており、当該イメージセンサにより紙葉類の表面の画像が取得されるようになっている。そして、第1検知部22aは、イメージセンサにより取得された紙葉類の表面の画像において紙葉類に切れ部分が生じている場合にはこのことを検知するようになっている。具体的には、第1検知部22aは、搬送部20による紙葉類の搬送方向において当該紙葉類の前端縁および後端縁のうちどちらに切れ部分が生じているかを検知するとともに、搬送部20により搬送される紙葉類の幅方向における切れ部分の位置を検知するようになっている。また、第2検知部22bは、イメージセンサにより取得された紙葉類の表面の画像に基づいて当該紙葉類の幅方向における所定箇所の位置を検知するようになっている。また、第3検知部22cは、イメージセンサにより取得された紙幣の表面の画像と、予め記憶部37に記憶されている紙幣のおもて面の画像や裏面の画像とを比較することにより、識別部22により識別された紙幣の表裏を検知するようになっている。なお、識別部22にイメージセンサを設ける代わりに超音波センサや磁気センサを設けてもよい。識別部22に超音波センサを設けた場合でも、紙葉類に切れ部分が生じている場合に当該切れ部分の有無や位置を検知することができる。また、識別部22に磁気センサを設けた場合には、当該磁気センサによって紙幣のスレッドの位置を検知することにより当該紙幣の表裏を検知することができるようになる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の紙葉類処理機10の動作について述べる。なお、以下に示すような紙葉類処理機10の動作は制御部35が当該紙葉類処理機10の各構成部材を制御することにより行われるようになっている。
操作者が入出金部14に1または複数の紙葉類を積層状態で投入し、操作表示部36により入金処理開始の指令を制御部35に入力すると、入出金部14に投入された紙葉類は第1繰出機構16により1枚ずつ搬送部20に繰り出され、当該搬送部20により紙葉類が1枚ずつ搬送される。搬送部20により搬送される紙葉類は識別部22により識別が行われる。具体的には、識別部22に設けられたイメージセンサにより紙葉類の表面の画像が取得される。そして、第1検知部22aは、イメージセンサにより取得された紙葉類の表面の画像において紙葉類に切れ部分が生じている場合にはこのことを検知する。より詳細には、第1検知部22aは、搬送部20による紙葉類の搬送方向において当該紙葉類の前端縁および後端縁のうちどちらに切れ部分が生じているかを検知するとともに、搬送部20により搬送される紙葉類の幅方向における切れ部分の位置を検知する。
識別部22により識別された紙葉類が正常なものであり、かつ搬送部20による紙葉類の搬送方向において当該紙葉類の後端縁に切れ部分が存在しないことが第1検知部22aにより検知された場合には、当該紙葉類は搬送部20により一時保留部40に搬送される。このことについて図17(a)に示す紙葉類S1を用いて説明する。図17において、搬送部20による紙葉類の搬送方向は右方向となっている。図17(a)に示す紙葉類S1は、搬送部20の搬送方向における前端縁に切れ部分T1が形成されているが、搬送部20の搬送方向における後端縁には切れ部分が形成されていない。
このような、搬送部20の搬送方向における後端縁に切れ部分が形成されていない紙葉類が一時保留部40において各テープ90、92、94と共にドラム42に巻き取られても、当該ドラム42から紙葉類が繰り出される際に紙葉類の繰出方向における前端縁には切れ部分が存在しないため、図18(a)や図18(b)に示すように紙葉類の前端縁に形成された切れ部分により折られた紙葉類が各テープ90、92、94を両面から挟み込んでしまうことがない。このため、各案内ローラ50、52の近傍において各テープ90、92、94から紙葉類が放出される際に、各テープ90、92、94から紙葉類が放出される箇所の近傍で紙葉類が破れてしまったり向きが大きく変わってしまったりすることがない。
また、搬送部20による紙葉類の搬送方向において当該紙葉類の後端縁に切れ部分が存在することが第1検知部22aにより検知された場合でも、紙葉類の幅方向における切れ部分の位置が一時保留部40のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重なる場合には、当該紙葉類は搬送部20により一時保留部40に搬送される。このことについて図17(b)に示す紙葉類S2を用いて説明する。図17(b)に示す紙葉類S2は、搬送部20の搬送方向における後端縁に切れ部分T2が形成されているが、紙葉類S2の幅方向における切れ部分T2の位置が一時保留部40のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置(具体的には、テープ92の位置)と重なっている。
このような、幅方向における切れ部分の位置が一時保留部40のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重なる紙葉類が一時保留部40において各テープ90、92、94と共にドラム42に巻き取られると、当該ドラム42から紙葉類が繰り出される際に紙葉類の繰出方向における前端縁に切れ部分が存在するようになるが、紙葉類の幅方向における切れ部分の位置が一時保留部40のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重なるため、紙葉類がドラム42から繰り出される際に当該紙葉類の切れ部分は各テープ90、92、94により押さえられるようになり、この切れ部分から紙葉類が折られてしまうことが抑制される。このことにより、紙葉類がドラム42から繰り出される際に、切れ部分により折られた紙葉類が各テープ90、92、94を両面から挟み込んでしまうことが抑制されるため、各案内ローラ50、52の近傍において各テープ90、92、94から紙葉類が放出される際に、各テープ90、92、94から紙葉類が放出される箇所の近傍で紙葉類が破れてしまったり向きが大きく変わってしまったりすることがない。
一方、搬送部20による紙葉類の搬送方向において当該紙葉類の後端縁に切れ部分が存在し、しかも紙葉類の幅方向における切れ部分の位置が一時保留部40のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重ならないことが第1検知部22aにより検知された場合には、当該紙葉類は搬送部20により一時保留部40以外の箇所に搬送される。具体的には、このような紙葉類は搬送部20により入出金部14に搬送される。このことについて図17(c)に示す紙葉類S3を用いて説明する。図17(c)に示す紙葉類S3は、搬送部20の搬送方向における後端縁に切れ部分T3が形成されており、しかも紙葉類S3の幅方向における切れ部分T3の位置が一時保留部40のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重なっていない。
このような、搬送部20の搬送方向における後端縁に切れ部分が形成されておりしかも幅方向における切れ部分の位置が一時保留部40のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重ならない紙葉類が一時保留部40において各テープ90、92、94と共にドラム42に巻き取られると、当該ドラム42から紙葉類が繰り出される際に紙葉類の繰出方向における前端縁に切れ部分が存在するようになり、図18(a)や図18(b)に示すように紙葉類の前端縁に形成された切れ部分により折られた紙葉類が各テープ90、92、94を両面から挟み込んでしまうおそれがある。この場合には、各案内ローラ50、52の近傍において各テープ90、92、94から紙葉類が放出される際に、各テープ90、92、94から紙葉類が放出される箇所の近傍で紙葉類が破れてしまったり向きが大きく変わってしまったりするおそれがある。このため、このような紙葉類は搬送部20により一時保留部40以外の箇所(具体的には、入出金部14)に搬送することにより上記のトラブルが発生することを未然に防止することができるようになる。
入出金部14は、第1検知部22aにより検知が行われた紙葉類の方向を変換するための方向変換部として機能するようになっている。具体的には、搬送部20から入出金部14に送られた紙葉類が第2繰出機構18により搬送部20に戻されることにより当該紙葉類の方向が変換されるようになる。搬送部20の搬送方向における後端縁に切れ部分が形成されておりしかも幅方向における切れ部分の位置が一時保留部40のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重ならない紙葉類がこのような入出金部14に送られた後、当該入出金部14から第2繰出機構18により搬送部20に戻されると、搬送部20に戻された紙葉類の方向(具体的には、搬送部20による搬送方向における紙葉類の向き)が変換されるようになる。具体的には、搬送部20による紙葉類の搬送方向において当該紙葉類の前端縁および後端縁が入れ替わるようになる。そして、入出金部14から搬送部20に戻された紙葉類は再び識別部22に送られ、当該識別部22により識別が行われる。この際に、搬送部20による紙葉類の搬送方向において紙葉類の後端縁に切れ部分が存在しない場合(図17(a)における紙葉類S1参照)や、搬送部20による紙葉類の搬送方向において紙葉類の後端縁に切れ部分が存在するが紙葉類の幅方向におけるこの切れ部分の位置が一時保留部40のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重なる場合(図17(b)における紙葉類S2参照)には、これらの紙葉類は一時保留部40に搬送されるようになる。なお、入出金部14から搬送部20に戻された紙葉類が再び識別部22に送られ、当該識別部22により識別が行われたときに、依然として、搬送部20による紙葉類の搬送方向において紙葉類の後端縁に切れ部分が存在するとともに紙葉類の幅方向におけるこの切れ部分の位置が一時保留部40のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重ならない場合には、当該紙葉類はリジェクト紙葉類として入出金部14に再び送られ、操作者により取り出されるようになる。
なお、搬送部20の搬送方向における後端縁に切れ部分が形成されておりしかも幅方向における切れ部分の位置が一時保留部40のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重ならない紙葉類が入出金部14に送られたときに、このような紙葉類は第2繰出機構18により搬送部20に戻される代わりに、操作者により入出金部14から紙葉類が取り出され、この取り出された紙葉類の方向が変えられた後に再び操作者によって入出金部14に投入され、当該入出金部14の第1繰出機構16により搬送部20に繰り出されるようになっていてもよい。このときに、操作表示部36に、紙葉類を再投入する旨の案内メッセージを表示してもよい。具体的には、再投入された紙葉類の切れ部分が搬送方向における前端縁に位置するように、入出金部14に返却された紙葉類の下端が、再投入時にも下端となるように紙葉類を再投入する旨の案内メッセージが操作表示部36に表示されてもよい。このように、入出金部14に紙葉類が再投入され、当該入出金部14の第1繰出機構16により搬送部20に繰り出されると、この紙葉類は再び識別部22に送られ、当該識別部22により識別が行われるようになる。
操作者により入出金部14に投入された紙葉類が全て当該入出金部14から搬送部20に繰り出され、一時保留部40に一時的に保留された後、操作者が操作表示部36により承認指令を制御部35に与えると、ドラム42から紙葉類が各テープ90、92、94とともに巻き戻されることによって一時保留部40から紙葉類が1枚ずつ搬送部20に繰り出され、搬送部20に繰り出された紙葉類は当該搬送部20により各紙葉類収納繰出部30または各紙葉類収納繰出部32に搬送される。そして、一時保留部40に一時的に保留された紙葉類が全て各紙葉類収納繰出部30または各紙葉類収納繰出部32に収納されると、紙葉類処理機10における紙葉類の収納動作が完了する。
なお、本実施の形態では、制御部35が第1検知部22aにより検知された紙葉類の切れ部分の位置に基づいて紙葉類の搬送先を一時保留部40とそれ以外の箇所との間で切り替えるよう搬送部20の制御を行うにあたり、上記の制御方法以外の制御方法が行われるようになっていてもよい。制御部35による制御方法の別の態様として、例えば、識別部22により識別された紙葉類が正常なものであり、かつ搬送部20による紙葉類の搬送方向において当該紙葉類の後端縁に切れ部分が存在することが第1検知部22aにより検知された場合には、紙葉類の幅方向における切れ部分の位置がどの位置にあっても(すなわち、紙葉類の幅方向における切れ部分の位置が一時保留部40のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重なる場合でも)、当該紙葉類は搬送部20により一時保留部40以外の箇所(具体的には、入出金部14)に搬送されるようになっていてもよい。
以上のような構成からなる本実施の形態の紙葉類収納繰出装置(具体的には、一時保留部40)によれば、ドラム42から各テープ90、92、94が巻き戻されることにより当該ドラム42から紙葉類が繰り出される際に当該紙葉類が各テープ90、92、94を両面から挟み込むことを防止するよう紙葉類を案内する案内部80、85が設けられている。このような案内部80、85が設けられていることにより、ドラム42から紙葉類が繰り出される際に紙葉類が折られた場合でも、この折られた紙葉類が各テープ90、92、94を両面から挟み込んでしまうことが各案内部80、85によって防止されるため、各テープ90、92、94から紙葉類が放出される箇所の近傍(具体的には、案内ローラ50、52)で紙葉類が破れてしまったり向きが大きく変わってしまったりすることを抑制することができる。
また、本実施の形態の紙葉類収納繰出装置においては、上述したように、各案内部80、85は、ドラム42の軸方向における位置が各テープ90、92、94に対向する位置となっている。ここで、中央のテープ92に対向する案内部80は、ドラム42から各テープ90、92、94が巻き戻されることにより当該ドラム42から紙葉類が繰り出される際に当該紙葉類の折られた部分がドラム42の軸方向においてテープ92から遠ざかる方向に移動するような形状となっている。より詳細には、案内部80は、ドラム42から紙葉類が繰り出される方向においてドラム42の軸方向における幅が徐々に大きくなるような形状となっている。また、両側のテープ90、94に対向する各案内部85は、ドラム42から紙葉類が繰り出される方向においてドラム42の軸方向における幅の大きさが一定となるようその両端縁がドラム42の周方向に沿って延びる形状となっている。
また、本実施の形態の紙葉類収納繰出装置においては、上述したように、テープ90、92、94はドラム42の軸方向に沿って並ぶよう複数設けられており、各テープ90、92、94に対応して複数の案内部(具体的には、案内部80および各案内部85)が設けられている。
また、本実施の形態の紙葉類収納繰出装置においては、上述したように、ドラム42に各テープ90、92、94が巻き取られることによりドラム42に紙葉類が収納される際に当該紙葉類の案内を行う追加案内部86が設けられており、このような追加案内部86は、ドラム42に収納される紙葉類の量に応じて軸83を中心として揺動自在となっている。具体的には、追加案内部86が設けられた可動ガイド82は、ドラム42に収納される紙葉類の量に応じて軸83を中心として揺動自在となっている。そして、上記の案内部85はこのような追加案内部86に取り付けられている。この場合には、ドラム42に収納される紙葉類の量が多い場合でも少ない場合でも、各案内部85の案内面85aとドラム42に巻かれた各テープ90、94の表面との間の隙間を小さくすることができるようになる。また、この場合には、案内部85は、追加案内部86における紙葉類を案内する案内面86aからドラム42側に向かって突出するよう配設されている。
また、本実施の形態の紙葉類収納繰出装置においては、上述したように、中央のテープ92に対向する案内部80は、ドラム42に収納される紙葉類の量に応じて軸81を中心として揺動自在となっており、当該案内部80は、ドラム42に巻かれたテープ92に接触可能となっている。
また、本実施の形態の紙葉類収納繰出装置においては、上述したように、ドラム42から巻き戻された各テープ90、94を案内する案内ローラ50の近傍に、ドラム42と案内ローラ50との間にある各テープ90、94が接触するスクレーパ部材96が巻取部材案内部として設けられており、このスクレーパ部材96は、ドラム42から巻き戻された紙葉類が案内ローラ50と各テープ90、94との間に入り込むことを抑制するような形状となっている。より詳細には、スクレーパ部材96は、ドラム42から巻き戻された紙葉類が当該スクレーパ部材96と各テープ90、94との間に入り込むことを抑制するような形状となっている。このようなスクレーパ部材96が設けられていることにより、ドラム42から各テープ90、92、94が巻き戻されることにより当該ドラム42から紙葉類が繰り出される際に、紙葉類の繰出方向において当該紙葉類の前端縁に切れ部分があり、この切れ部分により紙葉類の一部が、ドラム42に巻かれた各テープ90、92、94から外れてしまった場合でも、この紙葉類の外れた部分がスクレーパ部材96と各テープ90、94との間に入り込んでしまうことを抑制することができるとともに、もし仮に紙葉類の外れた部分がスクレーパ部材96と各テープ90、94との間に入り込んでしまってもこの外れた部分が案内ローラ50と各テープ90、94との間に送り込まれることを抑制することができる。
ここで、スクレーパ部材96は、当該スクレーパ部材96に接触する各テープ90、94の少なくとも一方の側縁を覆うような形状となっている。より好ましくは、スクレーパ部材96は、当該スクレーパ部材96に接触する各テープ90、94の両側縁を覆うような形状となっている。また、スクレーパ部材96は、当該スクレーパ部材96に接触する各テープ90、94の断面形状を直線状から変形させるような形状となっている。
また、以上のような構成からなる本実施の形態による紙葉類処理機10によれば、制御部35は、第1検知部22aにより検知された紙葉類の切れ部分の位置に基づいて、当該第1検知部22aにより検知が行われた紙葉類の搬送先を紙葉類収納繰出装置(具体的には、一時保留部40)とそれ以外の箇所との間で切り替えるよう搬送部20の制御を行うようになっている。このように、紙葉類収納繰出装置に紙葉類が搬送される前に当該紙葉類の切れ部分の位置を第1検知部22aによって検知することにより、所定の位置に切れ部分があり紙葉類収納繰出装置から繰り出したときに出口部において破れてしまったり向きが大きく変わってしまったりするおそれがある紙葉類については当該紙葉類収納繰出装置に搬送しないようにすることによりこの紙葉類収納繰出装置の出口部分で紙葉類が滞留してしまうことを防止することができる。
とりわけ、紙葉類収納繰出装置が、複数の紙葉類を1枚ずつ巻き取るための帯状の各テープ90、92、94の一端がその外周面に接続されたドラム42を有するようなテープ式の紙葉類収納繰出装置である場合には、第1検知部22aにより検知された紙葉類のうち、ドラム42から紙葉類が繰り出される際に各テープ90、92、94を両面から挟み込んでしまうような折れの原因となる切れ部分が形成された紙葉類がテープ式の紙葉類収納繰出装置に送られることを防止することができるようになる。
なお、本実施の形態による紙葉類処理機10において、制御部35が上記の制御を行うにあたり、紙葉類の搬送先としての紙葉類収納繰出装置は、複数の紙葉類を1枚ずつ巻き取るための帯状の各テープ90、92、94の一端がその外周面に接続されたドラム42を有するようなテープ式の紙葉類収納繰出装置に限定されることはない。他の態様の紙葉類処理機10において、制御部35は、第1検知部22aにより検知された紙葉類の切れ部分の位置に基づいて、当該第1検知部22aにより検知が行われた紙葉類の搬送先をテープ式の紙葉類収納繰出装置以外の構成の紙葉類収納繰出装置(例えば、紙葉類収納繰出部30、32等の、紙葉類を積層状態で集積するスタッカ式の紙葉類収納繰出装置)とそれ以外の箇所との間で切り替えるよう搬送部20の制御を行うようになっていてもよい。
また、本実施の形態の紙葉類処理機10においては、上述したように、制御部35は、搬送部20による紙葉類の搬送方向において当該紙葉類の後端縁に切れ部分が存在しない場合には、第1検知部22aにより検知が行われた紙葉類を紙葉類収納繰出装置に搬送するよう搬送部20を制御するようになっていてもよい。一方、制御部35は、搬送部20による紙葉類の搬送方向において当該紙葉類の後端縁に切れ部分が存在する場合には、第1検知部22aにより検知が行われた紙葉類を紙葉類収納繰出装置以外の箇所に搬送するよう搬送部20を制御するようになっていてもよい。この場合、制御部35は、搬送部20による紙葉類の搬送方向において当該紙葉類の後端縁に切れ部分が存在する場合には、第1検知部22aにより検知が行われた紙葉類を、当該紙葉類の方向を変換するための方向変換部(具体的には、入出金部14)に搬送するよう搬送部20を制御するようになっている。ここで、方向変換部としての入出金部14には、当該入出金部14に送られた紙葉類を搬送部20に繰り出す第2繰出機構18が設けられており、搬送部20から入出金部14に送られた紙葉類が第2繰出機構18により搬送部20に戻されることにより当該紙葉類の方向が変換されるようになっている。
また、上述したように、制御部35は、方向変換部としての入出金部14から第2繰出機構18により搬送部20に繰り出された紙葉類を第1検知部22aに搬送し、当該第1検知部22aにより紙葉類の切れ部分を再び検知させ、搬送部20による紙葉類の搬送方向において当該紙葉類の後端縁に切れ部分が存在しない場合には、第1検知部22aにより検知が行われた紙葉類を紙葉類収納繰出装置に搬送するよう搬送部20を制御するようになっている。
また、制御部35は、搬送部20による紙葉類の搬送方向において当該紙葉類の後端縁に切れ部分が存在する場合には、第1検知部22aにより検知が行われた紙葉類を、紙葉類処理機10の機体外に当該紙葉類を投出するための投出口が設けられた入出金部14に搬送するよう搬送部20を制御し、入出金部14に送られた紙葉類は操作者により手動で方向が変換されるようになっていてもよい。
また、本実施の形態の紙葉類処理機10においては、上述したように、制御部35は、搬送部20による紙葉類の搬送方向において当該紙葉類の後端縁に切れ部分が存在する場合でも、当該紙葉類の幅方向における切れ部分の位置が紙葉類収納繰出装置(具体的には、一時保留部40)のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重なる場合には第1検知部22aにより検知が行われた紙葉類を紙葉類収納繰出装置に搬送するよう搬送部20を制御するようになっていてもよい。一方、制御部35は、搬送部20による紙葉類の搬送方向において当該紙葉類の後端縁に切れ部分が存在する場合において、当該紙葉類の幅方向における切れ部分の位置が紙葉類収納繰出装置のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重ならない場合には第1検知部22aにより検知が行われた紙葉類を紙葉類収納繰出装置以外の箇所に搬送するよう搬送部20を制御するようになっていてもよい。
なお、本実施の形態による紙葉類処理機10やこのような紙葉類処理機10に設けられた紙葉類収納繰出装置(具体的には、一時保留部40)は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、識別部22において、搬送部20により搬送される紙葉類の切れ部分を検知する第1検知部22aが設けられておらず、代わりに、上記の第2検知部22bにより、搬送部20により搬送される紙葉類の幅方向における所定箇所の位置(例えば、紙葉類の幅方向における中央部分の位置)が検知されるようになっていてもよい。このような場合は、制御部35は、第2検知部22bにより検知された紙葉類の幅方向における所定箇所の位置に基づいて、当該第2検知部22bにより検知が行われた紙葉類の搬送先を紙葉類収納繰出装置(具体的には、一時保留部40)とそれ以外の箇所との間で切り替えるよう搬送部20の制御を行うようになる。より詳細には、制御部35は、紙葉類の幅方向における所定箇所の位置(例えば、紙葉類の幅方向における中央部分の位置)が、紙葉類収納繰出装置としての一時保留部40のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重なる場合には、第2検知部22bにより検知が行われた紙葉類を一時保留部40に搬送するよう搬送部20を制御する。一方、制御部35は、紙葉類の幅方向における所定箇所の位置(例えば、紙葉類の幅方向における中央部分の位置)が、一時保留部40のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重ならない場合には、第2検知部22bにより検知が行われた紙葉類を一時保留部40以外の箇所(例えば、入出金部14)に搬送するよう搬送部20を制御する。
ここで、本実施の形態の紙葉類処理機10において操作者により入出金部14に投入される紙葉類について、市場に出回る期間が長い場合には当該紙葉類が何度もその幅方向における中央部分の位置で折られることにより、この位置で切れ部分が生じている可能性がある。これに対し、紙葉類処理機10の筐体12内に投入された紙葉類について、識別部22が紙葉類に形成された切れ部分自体を検出することができない場合でも、識別部22に設けられた第2検知部22bにより当該紙葉類の幅方向における中央部分の位置を検知することにより、紙葉類に形成された切れ部分の位置を推測することができるようになる。すなわち、第2検知部22bにより、搬送部20により搬送される紙葉類の幅方向における中央部分の位置を検知することにより、この位置に切れ部分が形成されているとみなすことにより当該紙葉類の搬送先を一時保留部40および一時保留部40以外の箇所に振り分けることができるようになる。言い換えると、識別部22が紙葉類に形成された切れ部分自体を検出することができない場合でも、紙葉類の幅方向における中央部分の位置に切れ部分が形成されているとみなすことにより、このような幅方向における中央部分の位置に切れ部分が形成されている紙葉類のうち当該切れ部分が一時保留部40のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重ならないような紙葉類が一時保留部40に送られることを防止することができる。このことにより、各案内ローラ50、52の近傍において各テープ90、92、94から紙葉類が放出される際に、各テープ90、92、94から紙葉類が放出される箇所の近傍で紙葉類が破れてしまったり向きが大きく変わってしまったりするという問題が生じることを未然に防止することができるようになる。
また、第2検知部22bにより検知が行われた紙葉類が一時保留部40ではなく入出金部14に搬送されたときに、当該入出金部14から第2繰出機構18により搬送部20に紙葉類を戻すようにしてもよい。ここで、入出金部14から紙葉類を第2繰出機構18により搬送部20に繰り出す際に、当該紙葉類の幅方向における位置が変わる場合もあるので、搬送部20に戻された紙葉類を第2検知部22bにより再び検知したときに、紙葉類の幅方向における中央部分の位置が一時保留部40のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重なるようになる場合もある。このような場合には、第2検知部22bにより検知が行われた紙葉類を一時保留部40に搬送するようにする。また、第2検知部22bにより検知が行われた紙葉類が入出金部14に搬送されたときに、操作者がこの入出金部14から紙葉類を取り出し、当該紙葉類の幅方向における位置をずらしながら再び入出金部14にこの紙葉類を投入することにより、第1繰出機構16により当該紙葉類を搬送部20に繰り出すようにしてもよい。このような動作を行ったときも、第1繰出機構16により搬送部20に繰り出された紙葉類について、その幅方向における位置が変わることにより、搬送部20に戻された紙葉類を第2検知部22bにより再び検知したときに、紙葉類の幅方向における中央部分の位置が一時保留部40のドラム42の軸方向における各テープ90、92、94の位置と重なるようになる場合もある。
また、本実施の形態による紙葉類処理機10において紙幣の入金処理が行われる際に、識別部22により識別された紙幣が一時保留部40に送られることなく各紙葉類収納繰出部30に直接収納されるようになっていてもよい。この場合、入出金部14から第1繰出機構16により搬送部20に繰り出された紙幣が識別部22により識別される際に、当該識別部22に設けられた第3検知部22cにより紙幣の表裏が検知され、制御部35は、この第3検知部22cにより検知された紙幣の表裏情報に基づいて、第3検知部22cにより検知が行われた紙幣の搬送先を各紙葉類収納繰出部30とそれ以外の箇所(例えば、入出金部14)との間で切り替えるよう搬送部20の制御を行うようになっていてもよい。より詳細には、紙葉類処理機10により処理される紙幣に、米国で発行される100ドル紙幣や大韓民国で発行される5万ウォン紙幣が含まれている場合に、第3検知部22cを用いた上記の処理が行われるようになっている。100ドル紙幣の表面には偽造防止のために帯状の3Dセキュリティリボンが形成されており、また、5万ウォン紙幣の表面にも偽造防止のために立体型の部分露出銀線が形成されている(例えば、特許第5508990号の図6(a)参照)。このような、その表面に3D構造の偽造防止部材が形成された紙幣が各紙葉類収納繰出部30に積層状態で集積される際に、既に各紙葉類収納繰出部30に集積されている紙幣のうち最上層の紙幣においてこの偽造防止部材が形成された面が上向きとなっている場合には、次の紙幣が当該紙葉類収納繰出部30に集積されるときに、既に集積されている最上層の紙幣の偽造防止部材に引っ掛かってしまい当該紙幣を紙葉類収納繰出部30に集積することができず詰まり等のトラブルが発生してしまうおそれがある。このため、搬送部20から各紙葉類収納繰出部30に送られるべき紙幣が識別部22により識別されたときに、当該紙幣に形成された偽造防止部材が上向きとなっていることが第3検知部22cにより検知された場合には、当該紙幣は各紙葉類収納繰出部30に集積させず、例えば入出金部14に送るようにする。また、この際に、入出金部14に送られる紙幣における偽造防止部材が設けられた面は同じ向きであるため、入出金部14で紙幣の集積不良が発生することはない。
また、第3検知部22cにより検知された紙幣が入出金部14に送られた後、当該入出金部14から第2繰出機構18により搬送部20に紙幣が戻されると、この紙幣の表裏が反転するようになる。このように、搬送部20および入出金部14により、第3検知部22cにより検知が行われた紙幣の表裏を変換する表裏変換部が構成されている。制御部35は、第3検知部22cにより検知された紙幣の表裏の向きが所定の向きではない場合には、当該第3検知部22cにより検知が行われた紙幣の表裏を表裏変換部(具体的には、搬送部20および入出金部14)により変換させるようこれらの搬送部20および入出金部14の制御を行う。そして、制御部35は、表裏変換部により表裏が変換された紙幣を第3検知部22cに搬送し、この第3検知部22cにより紙幣の表裏を再び検知させ、第3検知部22cにより検知された紙幣の表裏の向きが所定の向きとなった場合には、第3検知部22cにより検知が行われた紙幣を各紙葉類収納繰出部30に搬送するよう搬送部20を制御する。このように、第3検知部22cにより検知された紙幣の表裏の向きが所定の向きではない場合には(具体的には、各紙葉類収納繰出部30に集積されたときに偽造防止部材が上向きとなってしまう場合には)、表裏変換部により紙幣の表裏を変換することによって、各紙葉類収納繰出部30に集積されたときの紙幣の偽造防止部材を下向きとすることができるようになり、各紙葉類収納繰出部30において紙幣の詰まり等のトラブルが発生することを防止することができるようになる。
また、本実施の形態による紙葉類処理機10に設けられた紙葉類収納繰出装置(具体的には、一時保留部)は、図2乃至図15に示すような構成のものに限定されることはない。紙幣等の紙葉類を1枚ずつドラム等の回転体に収納するとともに当該回転体から紙葉類を1枚ずつ繰り出すようなテープ式の紙葉類収納繰出装置として、図20および図21に示すような構成の一時保留部40aを用いてもよい。図20および図21に示す一時保留部40aは、案内部80pの構成が図2乃至図15に示す一時保留部40の案内部80と異なるのみであり、他の構成部材については図2乃至図15に示す一時保留部40と略同一の構成となっている。このため、図20および図21に示す一時保留部40aを説明するにあたり、図2乃至図15に示す一時保留部40と同一の構成部材については同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図20および図21に示す一時保留部40aでは、その先端部分が3つのテープ90、92、94の全てを覆うような案内部80pがドラム42の上方に設けられている。なお、図20では、案内部80pおよび各テープ90、92、94の位置関係を見やすくするため、ドラム42の図示を省略している。ここで、案内部80pは、ドラム42の軸42aと平行に延びる軸81pを中心として回転自在となっている。そして、案内部80pの自重によりこの案内部80pの先端部分はドラム42に巻かれた各テープ90、92、94に接触するようになっている。なお、案内部80pは、自重によりその先端部分がドラム42に巻かれた各テープ90、92、94に接触する代わりに、図示しないバネ等の付勢手段により案内部80pの先端部分がドラム42側に向かって付勢されるようになっていてもよい。このような構成の案内部80pが各テープ90、92、94に対向してこれらのテープ90、92、94の表面に接触するよう設けられているため、ドラム42から各テープ90、92、94が巻き戻されることによりドラム42から紙葉類が繰り出される際に紙葉類の折られた部分が各テープ90、92、94の表面に乗ろうとしてもこの紙葉類の折られた部分が案内部80pに接触することにより当該部分が各テープ90、92、94の表面に乗ることが抑制され、このことにより、折られた紙葉類が各テープ90、92、94を両面から挟み込んでしまうことが防止されるようになる。
また、図20に示すように、案内部80pの先端部分は、ドラム42と案内ローラ56との間で移動する各テープ90、94の下方に配置されており、この案内部80pの先端部分は、ドラム42と案内ローラ56との間で移動する各テープ90、94に対してわずかな隙間を隔てて対向するようになっている。このように、図20および図21に示す一時保留部40aでは、ドラム42が図21における時計回りの方向に回転して当該ドラム42から紙葉類が繰り出される際に、案内ローラ56からドラム42に送られる各テープ90、94について、その両側にそれぞれ案内部80pおよび案内部85が配設されるようになる。この場合には、ドラム42から紙葉類が繰り出される際に紙葉類が折られた場合でも、この折られた紙葉類が各テープ90、94を両面から挟み込んでしまうことが各案内部80p、85によってより一層確実に防止されるため、各テープ90、94から紙葉類が放出される箇所の近傍(具体的には、案内ローラ50、52)で紙葉類が破れてしまったり向きが大きく変わってしまったりすることをより一層確実に抑制することができる。
また、紙幣等の紙葉類を1枚ずつドラム等の回転体に収納するとともに当該回転体から紙葉類を1枚ずつ繰り出すようなテープ式の紙葉類収納繰出装置の更に別の構成として、図22に示すような構成の一時保留部40bを用いてもよい。図22に示す一時保留部40bは、各テープ90、92、94に対応して複数(具体的には、3つ)の案内部80qが設けられている点が図2乃至図15に示す一時保留部40の案内部80と異なるのみであり、他の構成部材については図2乃至図15に示す一時保留部40と略同一の構成となっている。このため、図22に示す一時保留部40bを説明するにあたり、図2乃至図15に示す一時保留部40と同一の構成部材については同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図22に示す一時保留部40bでは、3つのテープ90、92、94に対応して3つの案内部80qがドラム42の上方に設けられている。なお、図22では、各案内部80qおよび各テープ90、92、94の位置関係を見やすくするため、ドラム42の図示を省略している。ここで、各案内部80qは、ドラム42の軸42aと平行に延びる軸81qを中心として回転自在となっている。そして、各案内部80qの自重によりこれらの案内部80qの先端部分はそれぞれドラム42に巻かれた各テープ90、92、94に接触するようになっている。なお、各案内部80qは、自重によりその先端部分がそれぞれドラム42に巻かれた各テープ90、92、94に接触する代わりに、図示しないバネ等の付勢手段により各案内部80qの先端部分がそれぞれドラム42側に向かって付勢されるようになっていてもよい。このような構成の各案内部80qが各テープ90、92、94に対向してこれらのテープ90、92、94の表面に接触するよう設けられているため、ドラム42から各テープ90、92、94が巻き戻されることによりドラム42から紙葉類が繰り出される際に紙葉類の折られた部分が各テープ90、92、94の表面に乗ろうとしてもこの紙葉類の折られた部分が各案内部80qに接触することにより当該部分が各テープ90、92、94の表面に乗ることが抑制され、このことにより、折られた紙葉類が各テープ90、92、94を両面から挟み込んでしまうことが防止されるようになる。
また、図22に示すように、各テープ90、94に対応する各案内部80qの先端部分は、ドラム42と案内ローラ56との間で移動する各テープ90、94の下方に配置されており、これらの案内部80qの先端部分は、ドラム42と案内ローラ56との間で移動する各テープ90、94に対してわずかな隙間を隔てて対向するようになっている。このように、図22に示す一時保留部40bでは、図20および図21に示す一時保留部40aと同様に、ドラム42から紙葉類が繰り出される際に、案内ローラ56からドラム42に送られる各テープ90、94について、その両側にそれぞれ案内部80qおよび案内部85が配設されるようになる。この場合には、ドラム42から紙葉類が繰り出される際に紙葉類が折られた場合でも、この折られた紙葉類が各テープ90、94を両面から挟み込んでしまうことが各案内部80q、85によってより一層確実に防止されるため、各テープ90、94から紙葉類が放出される箇所の近傍(具体的には、案内ローラ50、52)で紙葉類が破れてしまったり向きが大きく変わってしまったりすることをより一層確実に抑制することができる。
また、紙幣等の紙葉類を1枚ずつドラム等の回転体に収納するとともに当該回転体から紙葉類を1枚ずつ繰り出すようなテープ式の紙葉類収納繰出装置の更に別の構成として、図23に示すような構成の一時保留部40cを用いてもよい。図23に示す一時保留部40cは、各テープ90、94に対応して複数の案内部80rが追加的に設けられている点が図2乃至図15に示す一時保留部40と異なるのみであり、他の構成部材については図2乃至図15に示す一時保留部40と略同一の構成となっている。このため、図23に示す一時保留部40cを説明するにあたり、図2乃至図15に示す一時保留部40と同一の構成部材については同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図23に示す一時保留部40cでは、図2乃至図15に示す一時保留部40と同様に、中央のテープ92に対応して案内部80がドラム42の上方に設置されており、この案内部80は、ドラム42の軸42aと平行に延びる軸81を中心として回転自在となっている。そして、案内部80の自重によりこの案内部80の先端部分はドラム42に巻かれたテープ92に接触するようになっている。また、案内部80は、ドラム42の軸方向における位置(すなわち、図23の紙面に直交する方向における位置)がテープ92に対向する位置となっている。また、図23に示す一時保留部40cでは、両側の各テープ90、94に対応して2つの案内部80rがドラム42の上方に設けられている(なお、図23では1つの案内部80rのみが図示されているが、実際には図23の紙面に直交する方向に沿って並ぶよう2つの案内部80rが設けられている)。これらの案内部80rは、軸81よりも図23における左側に設けられた軸81rを中心として回転自在となっている。そして、各案内部80rの自重によりこれらの案内部80rの先端部分はそれぞれドラム42に巻かれた各テープ90、94に接触するようになっている。なお、各案内部80rは、自重によりその先端部分がそれぞれドラム42に巻かれた各テープ90、94に接触する代わりに、図示しないバネ等の付勢手段により各案内部80rの先端部分がそれぞれドラム42側に向かって付勢されるようになっていてもよい。このような構成の各案内部80rが各テープ90、94に対向してこれらのテープ90、94の表面に接触するよう設けられているため、ドラム42から各テープ90、94が巻き戻されることによりドラム42から紙葉類が繰り出される際に紙葉類の折られた部分が各テープ90、94の表面に乗ろうとしてもこの紙葉類の折られた部分が各案内部80rに接触することにより当該折られた部分が各テープ90、94の表面に乗ることが抑制され、このことにより、折られた紙葉類が各テープ90、94を両面から挟み込んでしまうことが防止されるようになる。
また、紙幣等の紙葉類を1枚ずつドラム等の回転体に収納するとともに当該回転体から紙葉類を1枚ずつ繰り出すようなテープ式の紙葉類収納繰出装置の更に別の構成として、図24に示すような構成のものを用いてもよい。なお、図24は、本発明に係る紙葉類収納繰出装置140の構成を示す側面図であり、図25は、比較例としての、従来技術の紙葉類収納繰出装置140aの構成を示す側面図である。
図24に示すように、本発明に係る紙葉類収納繰出装置140は、一対の帯状のテープ150、152の間に紙葉類を挟み込んだ状態でこれらの一対のテープ150、152をドラム142に巻き取ることによって複数の紙葉類を1枚ずつドラム142に収納するとともに、ドラム142から一対のテープ150、152を巻き戻すことによって紙葉類を1枚ずつドラム142から巻き出す方式のテープ式のものからなる。具体的には、紙葉類収納繰出装置140は、回転自在となっているドラム142と、その一端がそれぞれドラム142の外周面に接続された一対の帯状のテープ150、152と、回転自在となっており一対の帯状のテープ150、152のうち一方のテープ150の他端がその外周面に接続された第1のテープリール144と、回転自在となっており一対の帯状のテープ150、152のうち他方のテープ152の他端がその外周面に接続された第2のテープリール146とを有している。
ドラム142は軸142aを中心として図24における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方に回転することができるようになっている。具体的には、紙葉類収納繰出装置140の外部から出入り口158を介して当該紙葉類収納繰出装置140の内部に送られた紙葉類をドラム142に収納する際には、当該ドラム142は図24における反時計回りの方向に回転し、出入り口158から一対の帯状のテープ150、152の間に送られた紙葉類がこれらのテープ150、152により挟み込まれた状態で一対のテープ150、152ごと紙葉類がドラム142に巻き取られるようになる。一方、ドラム142に収納された紙葉類を、出入り口158を介して紙葉類収納繰出装置140の外部に繰り出す際には、当該ドラム142は図24における時計回りの方向に回転し、ドラム142から一対のテープ150、152を巻き戻すことによってこれらの一対のテープ150、152の間に挟まれた状態にある紙葉類が解放されて出入り口158に送られるようになる。
また、図24に示すように、ドラム142を回転駆動させる駆動モータ148が設けられている。より詳細には、駆動モータ148には回転軸を介してプーリ(図示せず)が接続されており、このプーリには駆動ベルト(図示せず)が掛け渡されている。また、ドラム142の軸142aにもプーリ(図示せず)が接続されており、このプーリに上記の駆動ベルトが掛け渡されている。このことにより、駆動モータ148が駆動ベルトを回転駆動させると、当該駆動ベルトを介して駆動モータ148による回転駆動力が軸142aに伝達され、ドラム142が回転駆動されるようになる。
第1のテープリール144の外周面には、一対の帯状のテープ150、152のうち一方のテープ150の他端が接続されており、当該第1のテープリール144にテープ150が巻かれるようになっている。また、第1のテープリール144は軸144aを中心として図24における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方に回転することができるようになっている。ここで、第1のテープリール144が図24における反時計回りの方向に回転することにより、テープ150が第1のテープリール144に巻回されるようになり、一方、第1のテープリール144が図24における時計回りの方向に回転することにより、第1のテープリール144に巻き取られたテープ150が巻き戻されるようになる。
第2のテープリール146の外周面には、一対の帯状のテープ150、152のうち他方のテープ152の他端が接続されており、当該第2のテープリール146にテープ152が巻かれるようになっている。また、第2のテープリール146は軸146aを中心として図24における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方に回転することができるようになっている。ここで、第2のテープリール146が図24における時計回りの方向に回転することにより、テープ152が第2のテープリール146に巻回されるようになり、一方、第2のテープリール146が図24における反時計回りの方向に回転することにより、第2のテープリール146に巻き取られたテープ152が巻き戻されるようになる。
また、紙葉類収納繰出装置140の出入り口158の近傍において、テープ150を案内する案内ローラ154およびテープ152を案内する案内ローラ156がわずかな隙間を隔てて互いに対向するよう配置されている。紙葉類収納繰出装置140の外部から出入り口158を介して当該紙葉類収納繰出装置140の内部に送られた紙葉類は、これらの案内ローラ154、156の間を通過した後、一対のテープ150、152に挟まれてドラム142に巻き取られるようになっている。
また、図24に示すように、ドラム142の下方には可動ガイド170が設けられている。この可動ガイド170は、案内ローラ156の軸と同軸で設けられた軸171を中心として回転するようになっており、また、当該軸171を中心として可動ガイド170を図24における反時計回りの方向に付勢するバネ等の付勢手段が設けられている。このような付勢手段により可動ガイド170が軸171を中心として図24における反時計回りの方向に付勢されるようになる。このような可動ガイド170が設けられていることによって、紙葉類収納繰出装置140の外部から出入り口158を介して当該紙葉類収納繰出装置140の内部に送られた紙葉類が案内ローラ154、156の間を通過した後、可動ガイド170により案内されることにより一対のテープ150、152とともにドラム142に適切に巻かれるようになる。
また、図24に示すように、可動ガイド170には、一対のテープ150、152に対向して案内部180が設けられている。このような案内部180により、ドラム142から紙葉類が繰り出される際に紙葉類が折られた場合でもこの折られた紙葉類が各テープ150、152を両面から挟み込んでしまうことを防止するようになっている。ここで、案内部180は、ドラム142の軸方向における位置(すなわち、図24の紙面に直交する位置)が一対のテープ150、152(より厳密には、テープ152)に対向する位置となっている。図24においてこのような案内部180を斜線で示している。
案内部180は、ドラム142から紙葉類が繰り出される方向において当該ドラム142の軸方向における幅の大きさが一定となるようその両端縁がドラム142の周方向に沿って延びる形状となっている。なお、案内部180の形状の他の態様として、ドラム142から紙葉類が繰り出される方向に進むに従ってテープ150、152の幅方向外側に広がるような形状となっていてもよい。また、案内部180は、可動ガイド170における紙葉類を案内する案内面からドラム142側に向かって突出するよう配設されており、案内部180の案内面は、ドラム142に巻かれた一対のテープ150、152のうちテープ152の表面と接触するよう各テープ150、152に対向するようになる。とりわけ、案内部180が取り付けられた可動ガイド170は、ドラム142に収納される紙葉類の量に応じて軸171を中心として揺動自在となっており、バネ等の付勢手段によって可動ガイド170は軸171を中心として図24における反時計回りの方向に押圧されるため、ドラム142に収納される紙葉類の量が多い場合でも少ない場合でも、案内部180は、ドラム142に巻かれた一対のテープ150、152のうちテープ152の表面に接触するようになる。このような構成の案内部180が一対のテープ150、152に対向して設けられているため、ドラム142から一対のテープ150、152が巻き戻されることによりドラム142から紙葉類が繰り出される際に紙葉類の折られた部分が各テープ150、152の表面に乗ろうとしてもこの紙葉類の折られた部分が案内部180の側面に接触することにより当該部分が各テープ150、152の表面に乗ることが抑制され、このことにより、折られた紙葉類が各テープ150、152を両面から挟み込んでしまうことが防止されるようになる。
一方、図25に示すように、比較例としての従来技術の紙葉類収納繰出装置140aには、このような案内部180が設けられていない。このように、案内部180が設けられていないような従来技術の紙葉類収納繰出装置140aでは、ドラム142から一対のテープ150、152が巻き戻されることにより当該ドラム142から紙葉類が繰り出される際に、紙葉類の繰出方向において当該紙葉類の前端縁に切れ部分があり、この切れ部分により紙葉類の一部が折れてしまった場合には、この折られた部分がテープ150やテープ152の裏面に接触することにより、折られた紙葉類がテープ150やテープ152を両面から挟み込んでしまう場合がある。このような場合には、各案内ローラ154、156の近傍において一対のテープ150、152から紙葉類が放出される際に、紙葉類におけるテープ150やテープ152に折り込まれた部分がこれらのテープ150、152と案内ローラ154や案内ローラ156との間に挟まれることにより、紙葉類がその切れた部分から破れてしまったり向きが大きく変わってしまったりするおそれがある。
このように、図24に示すような紙葉類収納繰出装置140によれば、図2乃至図15に示す一時保留部40と同様に、ドラム142から一対のテープ150、152が巻き戻されることにより当該ドラム142から紙葉類が繰り出される際に当該紙葉類がテープ150やテープ152を両面から挟み込むことを防止するよう紙葉類を案内する案内部180が設けられている。このような案内部180が設けられていることにより、ドラム142から紙葉類が繰り出される際に紙葉類が折られた場合でも、この折られた紙葉類がテープ150やテープ152を両面から挟み込んでしまうことが案内部180によって防止されるため、一対のテープ150、152から紙葉類が放出される箇所の近傍(具体的には、案内ローラ154、156)で紙葉類が破れてしまったり向きが大きく変わってしまったりすることを抑制することができる。
また、紙幣等の紙葉類を1枚ずつドラム等の回転体に収納するとともに当該回転体から紙葉類を1枚ずつ繰り出すようなテープ式の紙葉類収納繰出装置の更に別の構成として、図26乃至図28に示すような構成のものを用いてもよい。ここで、図26および図27は、更に別の変形例に係る紙葉類収納繰出装置240の構成を示す側面図であり、図28は、図26や図27に示す紙葉類収納繰出装置240の構成を示す斜視図である。なお、図26では、ドラム242にテープ250が巻かれていないときの状態が示されており、図27では、テープリール244から巻き出されたテープ250が全てドラム242に巻き取られたときの状態が示されている。また、図29および図30は、比較例としての従来技術の紙葉類収納繰出装置240aの構成を示す側面図であり、図31は、図29や図30に示す紙葉類収納繰出装置240aの構成を示す斜視図である。なお、図29では、ドラム242にテープ250が巻かれていないときの状態が示されており、図30では、テープリール244から巻き出されたテープ250が全てドラム242に巻き取られたときの状態が示されている。
図26乃至図28に示すように、紙葉類収納繰出装置240は、回転自在となっているドラム242と、その一端がそれぞれドラム242の外周面に接続された2本の帯状のテープ250と、回転自在となっており各テープ250の他端がその外周面に接続されたテープリール244とを有している。ここで、図28に示すように、2本のテープ250は、ドラム242の軸242aの延びる方向に沿って並ぶよう配置されている。
ドラム242は軸242aを中心として図26および図27における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方に回転することができるようになっている。具体的には、紙葉類収納繰出装置240の外部から出入り口258を介して当該紙葉類収納繰出装置240の内部に送られた紙葉類をドラム242に収納する際には、当該ドラム242は図26および図27における反時計回りの方向に回転し、ドラム242の近傍に送られた紙葉類が各テープ250とともにドラム242に巻き取られるようになる。一方、ドラム242に収納された紙葉類を紙葉類収納繰出装置240の外部に繰り出す際には、ドラム242は図26および図27における時計回りの方向に回転し、ドラム242から各テープ250を巻き戻すことによってこれらの各テープ250から紙葉類が解放されて出入り口258から紙葉類収納繰出装置240の外部に送られるようになる。
図26および図27に示すように、紙葉類収納繰出装置240には、各テープ250を案内するための案内ローラ252、254、256が設けられており、これらの案内ローラ252、254、256により、ドラム242とテープリール244との間で各テープ250が案内されるようになっている。ここで、案内ローラ254および案内ローラ256は互いに対向して配置されており、これらの案内ローラ254および案内ローラ256の間を各テープ250が通るようになっている。また、紙葉類収納繰出装置240には、出入り口258を介して当該紙葉類収納繰出装置240の外部から内部に送られた紙葉類をドラム242の近傍まで搬送するための循環ベルト260が設けられており、当該循環ベルト260は各プーリ262、264、266に掛け渡されるようになっている。
また、図26および図27に示すように、紙葉類収納繰出装置240において、ドラム242の周縁部には(具体的には、図26および図27におけるドラム242の左方には)第1可動ガイド270が設けられている。この第1可動ガイド270は、循環ベルト260が掛け渡されたプーリ266の軸と同軸で設けられた軸271を中心として回転するようになっており、また、軸271を中心として第1可動ガイド270を図26および図27における反時計回りの方向に付勢するバネ等の付勢手段が設けられている。また、第1可動ガイド270には、ドラム242に巻かれた紙葉類を当該ドラム242の軸242a側に向かって押圧する複数のベアリング274が設けられている(図26乃至図28参照)。バネ等の付勢手段により第1可動ガイド270が軸271を中心として図26および図27における反時計回りの方向に付勢されることにより、各ベアリング274が図26および図27における右方向に押圧され、このことによりドラム242に巻かれた紙葉類が各ベアリング274によりこのドラム242の軸242a側に向かって押圧されるようになる。また、バネ等の付勢手段により第1可動ガイド270が軸271を中心として図26および図27における反時計回りの方向に付勢されるようになっているため、ドラム242に巻き取られた紙葉類が当該ドラム242から巻き戻されることにより各テープ250の外部径が小さくなっても各ベアリング274は常に紙葉類に接触して当該紙葉類を押圧するようになる。
また、図26および図27に示すように、紙葉類収納繰出装置240において、ドラム242の上方には第2可動ガイド272が第1可動ガイド270とわずかな隙間を隔てて対向するよう配置されており、この第2可動ガイド272の先端部分に案内ローラ254が設けられている。この第2可動ガイド272は第1可動ガイド270に固定されており、軸271を中心として第1可動ガイド270と同期して回転するようになっている。ここで、紙葉類収納繰出装置240の外部から出入り口258を介して当該紙葉類収納繰出装置240の内部に送られた紙葉類は、循環ベルト260と第2可動ガイド272との間の隙間を通るよう案内され、その後、第1可動ガイド270と第2可動ガイド272との間の隙間を通るよう案内される。そして、第1可動ガイド270と第2可動ガイド272との間の隙間を通るよう紙葉類が案内された後、当該紙葉類は各テープ250によりドラム242に巻き取られるようになる。また、第1可動ガイド270に設けられた案内ローラ256および第2可動ガイド272に設けられた案内ローラ254は互いに相手の案内ローラに向かって押圧されるようになっており、第1可動ガイド270と第2可動ガイド272との間の隙間を通ってドラム242に送られるべき紙葉類や当該ドラム242から巻き戻された紙葉類は各案内ローラ254、256の間に形成されたニップ部を通過するようになっている。
図26乃至図28に示す紙葉類収納繰出装置240では、ドラム242が図26および図27における時計回りの方向に回転して当該ドラム242から紙葉類が繰り出される際に紙葉類が折られた場合でもこの折られた紙葉類が各テープ250を両面から挟み込んでしまうことを防止するための案内部280が設けられている。ここで、図28に示すように、ドラム242の軸方向に沿って並ぶよう2本のテープ250が設けられており、案内部280は各テープ250に対応して2つ設けられている。より詳細には、図28に示すように、各案内部280は、ドラム242の軸方向における位置(すなわち、図28の左右方向における位置)が各テープ250にそれぞれ対向する位置となっている。図26および図27においてこのような案内部280を斜線で示している。
図28に示すように、各案内部280は、ドラム242から紙葉類が繰り出される方向においてドラム242の軸方向における幅(すなわち、図28の左右方向における幅)の大きさが一定となるようその両端縁がドラム242の周方向に沿って延びる形状となっている。また、各案内部280は、第1可動ガイド270における紙葉類を案内する案内面270aからドラム242側に向かって突出するよう配設されており、各案内部280の案内面280aは、ドラム242に巻かれた各テープ250の表面とわずかな隙間を隔ててこれらのテープ250に対向するようになる。とりわけ、各案内部280が取り付けられた第1可動ガイド270は、ドラム242に収納される紙葉類の量に応じて軸271を中心として揺動自在となっており、この第1可動ガイド270に設けられた各ベアリング274がドラム242に巻かれた紙葉類に当接するようバネ等の付勢手段によって当該第1可動ガイド270は軸271を中心として図26および図27における反時計回りの方向に押圧されるため、ドラム242に収納される紙葉類の量が多い場合でも少ない場合でも、各案内部280の案内面280aとドラム242に巻かれた各テープ250の表面との間にわずかな隙間が形成されるようになる。このような構成の各案内部280が各テープ250にそれぞれ対向してこれらのテープ250との間にわずかな隙間を形成するよう設けられているため、ドラム242から各テープ250が巻き戻されることによりドラム242から紙葉類が繰り出される際に紙葉類の折られた部分が各テープ250の表面に乗ろうとしてもこの紙葉類の折られた部分が案内部280の側面に接触することにより当該部分が各テープ250の表面に乗ることが抑制され、このことにより、折られた紙葉類が各テープ250を両面から挟み込んでしまうことが防止されるようになる。
一方、図29乃至図31に示すように、比較例としての従来技術の紙葉類収納繰出装置240aには、このような案内部280が設けられていない。このように、案内部280が設けられていないような従来技術の紙葉類収納繰出装置240aでは、ドラム242から各テープ250が巻き戻されることにより当該ドラム242から紙葉類が繰り出される際に、紙葉類の繰出方向において当該紙葉類の前端縁に切れ部分があり、この切れ部分により紙葉類の一部が折れてしまった場合には、この折られた部分が各テープ250の裏面に接触することにより、折られた紙葉類が各テープ250を両面から挟み込んでしまう場合がある。このような場合には、案内ローラ252の近傍において各テープ250から紙葉類が放出される際に、紙葉類におけるテープ250に折り込まれた部分がこのテープ250と案内ローラ252との間に挟まれることにより、紙葉類がその切れた部分から破れてしまったり向きが大きく変わってしまったりするおそれがある。
このように、図26乃至図28に示すような紙葉類収納繰出装置240によれば、図2乃至図15に示す一時保留部40と同様に、ドラム242から各テープ250が巻き戻されることにより当該ドラム242から紙葉類が繰り出される際に当該紙葉類が各テープ250を両面から挟み込むことを防止するよう紙葉類を案内する案内部280が設けられている。このような案内部280が設けられていることにより、ドラム242から紙葉類が繰り出される際に紙葉類が折られた場合でも、この折られた紙葉類が各テープ250を両面から挟み込んでしまうことが案内部280によって防止されるため、各テープ250から紙葉類が放出される箇所の近傍(具体的には、案内ローラ252)で紙葉類が破れてしまったり向きが大きく変わってしまったりすることを抑制することができる。