JP6399653B2 - コラーゲンファイバーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、再フィブリル化したコラーゲンフィブリルによって構成されたコラーゲンファイバーに関する。
コラーゲンは、生体内のタンパク質の30%を占め、骨格支持及び細胞接着などの機能を有する重要なタンパク質であり、例えば、骨・軟骨、靭帯・腱、角膜実質、皮膚、肝臓、筋肉などのさまざまな組織に存在する。このコラーゲンを原料として加工し形成された成形体は、細胞培養基材、再生医療用の足場材料(例えば、軟骨・骨・脊椎・髄核・靭帯・角膜実質・皮膚・血管・神経・肝臓組織の再生材料)、移植用材料(創傷被覆材料、骨補填剤、止血材料、癒着防止材など)、薬物送達担体、止血材等として様々な技術開発が行われてきた。
生体内のコラーゲンの大部分は、コラーゲンフィブリル(コラーゲン線維、コラーゲン細線維とも称される)が集まって様々な組織を形成している。組織中でのコラーゲンフィブリルの方向性は、皮膚のように無秩序性の高いものから、靭帯・腱のように配向性の高いものまで存在する。ここで、コラーゲンフィブリルとは、コラーゲン分子が規則正しく並んで会合したものである。その特徴は、D周期性の横縞を有するものである。D周期性の横縞の間隔は、一般的には67nmとされている。ここで、コラーゲン分子とは、3本のポリペプチド鎖によって3重らせん構造が形成されたものである。さらに、生体内のコラーゲンの特徴として、コラーゲン分子同士が架橋して安定性を高めていることが挙げられる。
生物組織からコラーゲンを可溶化して可溶化コラーゲン溶液を得る方法については、酵素で可溶化処理する方法、希酸で抽出処理する方法、アルカリで可溶化処理する方法などが広く知られている。以下では特に断らない限り、「可溶化コラーゲン溶液」というときは、任意の処理方法によって可溶化されたコラーゲン溶液のことを指すものとする。
可溶化コラーゲン溶液に、適当な緩衝液を添加し、可溶化コラーゲン溶液を適度なイオン強度及びpHとすると、再フィブリル化(線維化とも称される)したコラーゲンフィブリルを取得できることが知られている(例えば、特許文献1)。その際、再フィブリル化したコラーゲンに方向性はなく、無秩序なものになる。
一方、可溶化コラーゲン溶液を線維化浴中に紡出してコラーゲン繊維を製造する方法が知られている(例えば、特許文献2、特許文献3、非特許文献1)。これら文献では、線維化浴のことを「凝固液」「凝固浴」「紡糸浴」などの名称が用いられているが、本発明では「線維化浴」を用いる。
線維化浴として、特許文献2では、飽和硫酸ナトリウムが実施例で用いられており、特許文献3では、濃厚塩類水溶液が用いられている。また、非特許文献1では、20%硫酸アンモニウムが用いられている。
また、再フィブリル化したコラーゲンフィブリルの溶液を強磁場によって配向させる技術も知られている。例えば、非特許文献2には、0.5%コラーゲン溶液1000μlに1.5mol/lのNaCl溶液100μlを添加した後、永久磁石磁気回路の中心部(2.96T)で24時間の磁気曝露を行うことによって、コラーゲンフィブリルを配向させる技術が開示されている。
再公表特許第WO2012/070679号公報 特公平7−83759号公報 特開平8−35193号公報
夏目 徹 他、人工臓器 19巻3号 (1990) p.1235-1238 「コラーゲン止血材―形状の改良と止血効果」 齋藤 智之 他、Journal of Life Support Engineering(ライフサポート) Vol.19(2007) No. Supplement p.111 「磁場配向したコラーゲンゲルを用いた骨再生の検討」 宮田 暉夫 他、繊維と工業 39巻11号 (1983) p.427-435 「バイオテクノロジーへの繊維材料の応用」
前記のように、可溶化コラーゲン溶液に適当な緩衝液を添加し、可溶化コラーゲン溶液を適度なイオン強度及びpHとすることによって得られる再フィブリル化したコラーゲンフィブリルは、コラーゲンフィブリルが一方向に配向することなく、ランダムに配向するものである。そして、本発明者らが、当該コラーゲンフィブリル含有液を空気中又は水溶液中に射出したところ、得られた繊維状のコラーゲン中のコラーゲンフィブリルは配向に規則性の無いものであった。
また、非特許文献3には、可溶化コラーゲン溶液を5%又はそれ以上の濃度のNaClにさらすと、規則配列のないアモルファス集合体となって沈殿する旨が記載されていることより、特許文献2、特許文献3及び非特許文献1に記載の方法によって得られるコラーゲン繊維中にはコラーゲン分子がアモルファスな形で存在しており、コラーゲンフィブリルはほとんど存在しないと推定される。
尚、非特許文献3の図5には、希酸のコラーゲン又はアテロコラーゲン溶液を各種溶液にさらすと、それぞれ分子の集合様式の異なる集合体(沈殿物)が生じる旨が記載されている。例えば、0.9% NaClにさらした場合は、670オングストローム(67nm)の周期構造をもつコラーゲン繊維が形成される旨が記載されているが、ここでの「コラーゲン繊維」は本発明でいうところのコラーゲンフィブリルに該当するものであることを付言しておく。
また、再フィブリル化したコラーゲンフィブリルを強磁場によって配向させる方法は、強磁場発生装置を必要とするものであり、汎用的な技術とは言い難かった。さらに、当該方法では、コラーゲンフィブリルを配向させることはできても、コラーゲンフィブリルが寄り集まった繊維状のコラーゲンを作製することはできない。
本発明者らは、上述のような現状に鑑み、生体内に存在する配向性の高いコラーゲンと同様に、再フィブリル化したコラーゲンフィブリルが高い配向性を有して寄り集まったコラーゲンファイバーを開発すべく鋭意検討を重ねた結果、可溶化コラーゲン溶液を特定の線維化浴中に射出又は紡出することによって上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は下記の通りである。
[1]再フィブリル化したコラーゲンフィブリルによって構成されたコラーゲンファイバーであって、該コラーゲンフィブリルが略規則性をもって配向することを特徴とするコラーゲンファイバー。
[2]前記コラーゲンファイバーの形状が棒状、管状又は繊維状であり、前記コラーゲンフィブリルの配向方向が当該コラーゲンファイバーの長手方向に対して略平行である上記[1]記載のコラーゲンファイバー。
[3]前記コラーゲンファイバーが、物理的架橋法又は化学的架橋法による架橋処理が施されたものである上記[1]又は[2]記載のコラーゲンファイバー。
[4]可溶化コラーゲン溶液を、生理的な等張液又は緩衝液からなる線維化浴中に射出又は紡出する工程、を含む、上記[1]又は[2]記載のコラーゲンファイバーの製造方法。
[5]可溶化コラーゲン溶液を、生理的な等張液又は緩衝液からなる線維化浴中に射出又は紡出する工程、次に、前記工程により得られたコラーゲンファイバーを、物理的架橋法又は化学的架橋法によって架橋処理する工程、を含む、上記[3]記載のコラーゲンファイバーの製造方法。
[6]可溶化コラーゲン溶液を、生理的な等張液又は緩衝液からなる線維化浴中に射出又は紡出する工程、次に、前記工程により得られたコラーゲンファイバーを、そのまま線維化浴中に保持した状態で、γ線照射、電子線照射、プラズマ照射又はUV照射によって架橋処理する工程、を含む、上記[3]記載のコラーゲンファイバーの製造方法。
[7]生理的な等張液又は緩衝液が、無機塩の水溶液である上記[4]〜[6]のいずれか1項記載のコラーゲンファイバーの製造方法。
[8]上記[1]〜[3]のいずれか1項記載のコラーゲンファイバーを用いた医用材料。
[9]上記[1]〜[3]のいずれか1項記載のコラーゲンファイバーを用いた衣用材料。
実施例1の凍結乾燥品の走査電子顕微鏡像(左図が100倍、右図が10000倍) 実施例2の凍結乾燥品の走査電子顕微鏡像(左図が100倍、右図が10000倍) 実施例3の凍結乾燥品の走査電子顕微鏡像(左図が100倍、右図が10000倍) 比較例1の凍結乾燥品の走査電子顕微鏡像(左図が100倍、右図が10000倍) 比較例2の凍結乾燥品の走査電子顕微鏡像(左図が100倍、右図が10000倍) 比較例3の凍結乾燥品の走査電子顕微鏡像(左図が100倍、右図が10000倍) 比較例4の膜の走査電子顕微鏡像(10000倍)
以下、本発明のコラーゲンファイバーについて詳細に説明する。
本発明のコラーゲンファイバーは、再フィブリル化したコラーゲンフィブリルによって構成されたコラーゲンファイバー、即ち、再フィブリル化したコラーゲンフィブリルが寄り集まって束となったコラーゲンであって、該コラーゲンフィブリルが略規則性をもって配向することを特徴とするものである。
ここで、「略規則性をもって配向する」とは、コラーゲンファイバーを全体として観察した場合に、大部分のコラーゲンフィブリルがある一定秩序をもって配列している状態を意味する。即ち、一部のコラーゲンフィブリルが不規則に存在することが許容されるのは云うまでもないので、「“略”規則性をもって配向する」と表現したものである。「略規則性をもって配向する」ことの具体例としては、コラーゲンファイバーが棒状である場合に、棒の長軸に略平行して大部分のコラーゲンフィブリルが並んでいること、また、コラーゲンファイバーが円錐状である場合に、円錐の頂点と円弧上の任意の点とを結んだ線と略平行に大部分のコラーゲンフィブリルがそれぞれ並んでいること等が挙げられる。ここで、「略平行」とは、全く平行はもとより、実質的に平行と認められるものを含む意図である。
本発明のコラーゲンファイバーの形状については、特に限定はなく、例えば、棒状、管状、繊維状、紡錘状、円錐状、球状等が例示できる。棒状、管状又は繊維状の形状におけるコラーゲンフィブリルの好適な配向方向は、当該形状の長手方向に対して略平行である。尚、上記いずれかの形状のコラーゲンファイバーを切断したもの、さらには切断により切片化、薄片化したものも上記形状の範囲内に含まれるものとする。
また、本発明のコラーゲンファイバーは、物理的架橋法又は化学的架橋法による架橋処理が施されたものであってもよい。架橋処理により、高強度のコラーゲンファイバーを得ることができる。架橋処理の具体的な方法については後述する。
本発明のコラーゲンファイバーの製造方法の好適な一形態は、可溶化コラーゲン溶液を、生理的な等張液又は緩衝液からなる線維化浴中に射出又は紡出する工程を含むものである。
可溶化コラーゲン溶液としては、3重らせん構造を有する水溶性のコラーゲンが溶解したものであることが好ましく、当該コラーゲンとして、コラーゲンの抗原決定基であるテロペプタイドが除去されたアテロコラーゲンが特に好ましい。また、コラーゲンのタイプについては特に制限はないが、生体内での存在量が多いI型が好ましい。尚、可溶化コラーゲン溶液中にペプチド、アミノ酸、ゼラチン等が含まれていても構わないが、それらは極力排除されていることが好ましい。
可溶化コラーゲン溶液は、哺乳類、魚介類、鳥類、爬虫類等の生物原料のコラーゲン含有組織から公知の方法によって取得することができるものである。特に、ヒトとの共通のウイルスを有さない魚類から調製した可溶化コラーゲン溶液が好適であり、各種用途への適用性の観点から変性温度が比較的高いものが好ましい。好例として、オレオクロミス属が挙げられ、オレオクロミス属の中でも中国から東南アジアにかけて食用として主力に養殖されており、入手が容易であるテラピアが特に好ましい。
ここで、魚鱗を原料とし、酵素を用いてコラーゲンを可溶化処理する方法について、特開2006−257014号公報及び特開2010−193808号公報に記載の方法を簡単に紹介する。その方法は、酸によって脱灰した鱗をペプシン等のプロテアーゼを用いて処理することによりコラーゲンをアテロ化し、必要に応じて精製処理を行うものである。精製処理には、例えば、塩析の他に、特許第5522857号公報に記載のpHが7以下の活性炭を用いる方法を適用することができる。
線維化浴としては、生理的な等張液又は緩衝液を用いる。生理的な等張液は、生化学辞典 第4版で定義されているように、「血液、組織液など細胞外液や、細胞内液と等しい浸透圧の液」を意味し、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬(例えば、D−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化ナトリウムなどの水溶性塩)を含む等張液などが挙げられる。緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、HEPES緩衝液、酢酸緩衝液、炭酸緩衝液、又はクエン酸緩衝液等が挙げられ、また、それらの生理食塩水であるPBS、D−PBS、トリス緩衝生理食塩水、HEPES緩衝生理食塩水等が挙げられる。とりわけ、再フィブリル化を円滑に進めるために、生理的な等張液又は緩衝液として、無機塩の水溶液を用いることが好ましい。
可溶化コラーゲン溶液を、線維化浴中に射出又は紡出する方法については特に限定はなく、ノズル、注射針等の射出口又は紡出口(以下「吐出口」と総称する)から線維化浴中に可溶化コラーゲン溶液を吐出すればよい。吐出口の形状及び大きさについては、線維化浴の種類とその濃度、吐出速度等の諸条件を勘案して適宜設定すればよい。吐出口の形状の具体例としては、丸、三角、四角、星、扇、弧、波、十字、田の字等が挙げられる。また、特殊な形状のコラーゲンファイバーを得るために、例えば、吐出口の直近に適当な遮蔽体を設置してもよい。
本発明のコラーゲンファイバーは、必要に応じて、架橋処理として常法による物理的架橋法又は化学的架橋法を適用してもよい。物理的架橋法としては、γ線照射、電子線照射、プラズマ照射、UV照射等による照射架橋法、熱架橋法等を例示することができる。化学的架橋法としては、グルタルアルデヒド、ポリエポキシ化合物(エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、カルボジイミド系化合物(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩等)、還元糖(リボース等)等の架橋剤を用いた架橋法を例示することができる。
好適な架橋処理の一態様は、射出又は紡出によって得られたコラーゲンファイバーをそのまま線維化浴中に保持した状態で、照射架橋法によって架橋処理するものである。ここで、「そのまま線維化浴中に保持した状態」とは、コラーゲンファイバーを線維化浴から取り出さない状態を意味するものである。本態様では、射出又は紡出した状態の形状を変形させることなく、架橋処理することも可能である。また、本態様においては、透過力が高く、均一に架橋させることができるγ線照射を用いることが特に好ましい。γ線照射では、線量率が固定の線源を用い、照射時間等の条件を適宜設定すれば、所定の照射線量を簡便に得ることができる。例えば、コバルト60線源を用いた場合、吸収線量5〜75kGyで架橋処理を行うことができるが、5〜50kGyが好ましく、10〜50kGyがより好ましく、15〜30kGyがさらに好ましい。
本発明のコラーゲンファイバーの用途として、例えば、医用材料、衣用材料等を挙げることができる。医用材料の具体例として、細胞培養基材、再生医療用足場材料、神経再生チューブ、人工血管、透析チューブ、筋繊維再生足場、DDS用担体、縫合糸、不織布、癒着防止用材料等を挙げることができる。また、衣用材料の具体例として、糸、組紐、織布、不織布等を挙げることができる。
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。尚、実施例において%は、特に断らない限り全て質量%を示す。
〔実施例1〕
可溶化コラーゲン溶液として、テラピアの鱗から製造された多木化学(株)製「セルキャンパス FD-08G」(凍結乾燥品)をpH3のHCl溶液に溶解し、コラーゲン濃度を10%に調製した無色透明溶液を用いた。また、線維化浴として、0.9%生理食塩水を用いた。
上記可溶化コラーゲン溶液を18Gノンベベル針を装着したシリンジに充填した後、線維化浴中に射出し、繊維状のコラーゲンファイバーを得た。
〔実施例2〕
線維化浴としてPBSを用いた以外は、実施例1と同様にして繊維状のコラーゲンファイバーを得た。
〔実施例3〕
可溶化コラーゲン溶液としてコラーゲン濃度を1%に調製した無色透明溶液を、線維化浴としてPBSを用いた以外は、実施例1と同様にして繊維状のコラーゲンファイバーを得た。
〔実施例4〕
実施例1と同様にして得られた、線維化浴に浸漬した状態のコラーゲンファイバーに対し、そのまま線維化浴に浸漬した状態で25kGy(平均管理)のγ線照射を行うことにより、架橋処理を施したコラーゲンファイバー(以下、「架橋コラーゲンファイバー」という)を得た。架橋コラーゲンファイバーは、射出後の形状(原形)を維持していた。
架橋コラーゲンファイバーの性状を調べるために、架橋コラーゲンファイバーを37℃生理食塩水中に7日間浸漬し、溶出物を測定した結果、溶出物は殆ど確認されず、また、形状も原形が維持されていた。このことより、架橋コラーゲンファイバーは、耐溶解性にも優れていることが分かった。
〔比較例1〕
線維化浴の代わりに99.5%エタノールを用いた以外は、実施例1と同様にして繊維状のコラーゲンファイバーを得た。
〔比較例2〕
線維化浴の代わりに20%硫酸アンモニウムを用いた以外は、実施例1と同様にして繊維状のコラーゲンファイバーを得た。
〔比較例3〕
可溶化コラーゲン溶液としてコラーゲン濃度を1%に調製した無色透明溶液を、線維化浴の代わりに99.5%エタノールを用いた以外は、実施例1と同様にして繊維状のコラーゲンファイバーを得た。
〔比較例4〕
可溶化コラーゲン溶液としてコラーゲン濃度を1.1%に調製した無色透明溶液を調製し、当該コラーゲン溶液の9容量部と10倍濃い濃度に作製したD−PBSの1容量部とを混合した。次に、この混合液0.79mlをシリコン製の成形器(直径20mm、高さ2.5mm)に注入し、水分の蒸発を防ぐためにスライドグラスで上面を覆い、25℃・12時間保持して線維化コラーゲンゲルを得た。当該線維化コラーゲンゲルを、エタノール/水の容量比が50/50の混合液(以下、50/50のように表記する)、70/30、90/10、100/0に順次浸漬して、脱塩した後、膜の上下面をポリスチレン板で覆い、側面のみから脱媒させることにより乾燥させてコラーゲンフィブリルからなる膜を得た。
[評価]
上記実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたコラーゲンファイバーは、形状観察のため、線維化浴をエタノールに置換した後、t-ブタノールに置換して凍結乾燥した。また、比較例4で得られた膜は、以下の評価にそのまま供した。
(走査電子顕微鏡観察)
凍結乾燥品及び膜は、走査電子顕微鏡(日本電子(株)製「JSM-6010LA」)で観察した。
その結果、実施例1〜3では、コラーゲンフィブリルが、コラーゲンファイバーの長軸方向と略平行に、高い規則性をもって配向していることが分かった(実施例1:図1、実施例2:図2、実施例3:図3)。一方、比較例1〜3では、コラーゲンフィブリルを観察することができなかった(比較例1:図4、比較例2:図5、比較例3:図6)。また、比較例4では、コラーゲンフィブリルがランダムに配向していることがわかった(図7)。
(配向度解析)
実施例1〜3の凍結乾燥品及び比較例4の膜中のコラーゲンフィブリルの配列の規則性(配向度)を解析した。
配向度の解析には、旭化成エンジニアリング製の画像解析ソフト「A像くん」のモーメント法を用いた。
モーメント法では、以下の数式で配向度を算出する。配向度の最大値は1であり、値が大きいほど一定方向を向いていることを示す。
数式:配向度=Σ(fθn(cos2(θmax-θn)-sin2(θmax-θn)))
(θmax:最大方向の方向角度、N:分割数、fθn:θnの分布数、Σはn=0〜N-1の範囲)
配向度の解析結果を表1に示した。表1より、比較例4の膜に比べて、実施例1〜3の凍結乾燥品は配向度が高いことが分かった。
Figure 0006399653

Claims (2)

  1. 可溶化コラーゲン溶液を、生理的な等張液又は緩衝液からなる線維化浴中に射出又は紡出する工程、
    次に、前記工程により得られたコラーゲンファイバーを、そのまま線維化浴中に保持した状態で、γ線照射によって架橋処理する工程、
    を含む、コラーゲンファイバーの製造方法。
    ただし、上記製造方法によって得られるコラーゲンファイバーは、
    再フィブリル化したコラーゲンフィブリルによって構成されたコラーゲンファイバーであって、
    該コラーゲンフィブリルが略規則性をもって配向したものである。
  2. 生理的な等張液又は緩衝液が、無機塩の水溶液である請求項1記載のコラーゲンファイバーの製造方法。
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