以下、本発明に係る点灯装置及び照明器具の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態の点灯装置8は、図1に示すように、複数(図示例では2つ)の電源ユニット4と、1つの制御ユニット6とを備える。ただし、電源ユニット4の個数は2つに限定されず、3つ以上であっても構わない。
各電源ユニット4は、外部電源(例えば、商用の交流電源AC)から供給される交流電圧・交流電流を直流電圧・直流電流に変換して光源ユニット1に供給するように構成される。光源ユニット1は、電源ユニット4から供給される直流電圧・直流電流により発光(点灯)するように構成される。また、各電源ユニット4は、光源ユニット1に供給する直流電圧・直流電流を調整することにより、光源ユニット1の光出力を増減(調光)するように構成される。ただし、各電源ユニット4の詳細な回路構成については後述する。なお、1つの電源ユニット4に対して、複数の光源ユニット1が電気的に並列接続されても構わない。
制御ユニット6は、制御部60、調光信号入力部61、制御信号出力部62、電源部63を備えることが好ましい。電源部63は、2つの電源ユニット4のうちの1つの電源ユニット(以下、必要に応じて第1電源ユニット4Aと呼ぶ。)から供給される制御電源(後述する第1制御電源電圧Vcc)を降圧するように構成されることが好ましい。電源部63から出力される制御電源電圧(第1制御電源電圧Vccよりも低い直流電圧)は、制御部60、調光信号入力部61、調光信号出力部62の各部に供給される。
調光信号入力部61は、外部のコントローラ5から調光信号線を介して入力される調光信号を信号変換して制御部60に渡すように構成されることが好ましい。コントローラ5は、調光レベルをオンデューティ比に対応させたパルス幅変調(PWM)信号を生成し、当該PWM信号を調光信号として制御ユニット6に出力することが好ましい。なお、コントローラ5は、人の操作、タイムスケジュールあるいは種々のセンサ出力などに応じて、調光信号を生成して出力することが好ましい。調光信号入力部61は、入力される調光信号を、オンデューティ比に比例した直流電圧信号に変換し、当該直流電圧信号を制御部60に渡すように構成されることが好ましい。
制御部60は、例えば、マイクロコントローラで構成されることが好ましい。制御部60は、光源ユニット1の点灯時に調光レベルを徐々に高くする機能(フェードイン機能)や、初期照度補正機能などを実現するように構成されることが好ましい。初期照度補正機能とは、光源ユニット1の使用開始から寿命末期までの間、光源ユニット1の光出力をほぼ一定(例えば、定格の85%)に保つように、光源ユニット1の累積点灯時間に対応して光出力を調整する機能である。すなわち、制御部60は、マイクロコントローラに内蔵されているタイマで光源ユニット1の累積点灯時間を計時して内蔵のメモリに記憶し、且つ当該メモリに予め記憶されている初期照度補正特性を参照して、累積点灯時間に対応した調光レベルを決定する。ここで、初期照度補正特性は、累積点灯時間が増加するにしたがって、調光レベル(定格の光出力を100%としたときの割合)を徐々に増加させるような特性である。
さらに、制御部60は、調光レベル(出力レベル)に対応するデューティ比のPWM信号を生成し、制御信号出力部62から当該PWM信号(制御信号)を2つの電源ユニット4に出力させる。制御信号出力部62は、制御部60から出力されるPWM信号を増幅するように構成されることが好ましい。
ここで、調光レベル、すなわち、各電源ユニット4が光源ユニット1に供給する直流電力の出力レベルと、PWM信号のデューティ比との関係を図2に示す。図2に示すように、デューティ比が0〜5[%]のときに調光レベル(出力レベル)を100[%]とし、且つデューティ比が98[%]以上(ただし、100[%]を除く。)のときに調光レベル(出力レベル)を5[%](下限値)とする。そして、デューティ比が5〜98[%]のとき、調光レベル(出力レベル)は、デューティ比の増加に対して一定の割合で減少する。したがって、電源ユニット4の信号変換回路49から出力される電圧信号の信号レベルは、調光レベル(出力レベル)の下限値(5[%])で最大となり、且つ調光レベル(出力レベル)の定格値で最小となる。ただし、図2に示した関係は一例であって、調光レベル(出力レベル)とデューティ比との関係は、図2に示した関係に限定されない。
次に、電源ユニット4の回路構成について、図3及び図4を参照して詳細に説明する。ただし、2つの電源ユニット4の回路構成は共通である。
本実施形態の電源ユニット4は、図3に示すように、バックコンバータ40、制御回路41、第1制御電源回路42、第2制御電源回路43を備えることが好ましい。さらに、本実施形態の電源ユニット4は、PFC回路44、フィルタ回路45、全波整流器46、スピードアップ回路47、PFC駆動部48、信号変換回路49などを備えることが好ましい。
フィルタ回路45は、交流電源ACから供給される交流電圧・交流電流に重畳する高調波ノイズ、及びPFC回路44で発生する高調波ノイズ、を除去するように構成される。全波整流器46はダイオードブリッジからなり、交流電源ACから供給される交流電圧・交流電流を全波整流する。PFC(Power Factor Correction:力率改善)回路44は、従来周知の昇圧チョッパ回路であって、全波整流器46で全波整流された脈流電圧を所望の直流電圧に変換することで力率を改善するように構成される。このPFC回路44は、インダクタL1とダイオードD1と平滑コンデンサC1が全波整流器46の脈流出力端間に電気的に直列接続され、且つ2つのスイッチング素子Q11、Q12の並列回路がダイオードD1と平滑コンデンサC1に電気的に並列接続される。なお、2つのスイッチング素子Q11、Q12は、電気的な特性が共通である半導体スイッチング素子(例えば、NチャネルのパワーMOSFET)である。つまり、このPFC回路44は、2つのスイッチング素子Q11、Q12の並列回路を備えることにより、個々のスイッチング素子Q11、Q12に流す電流を減らして温度上昇を抑えるように構成されている。ただし、このPFC回路44は、2つのスイッチング素子Q11、Q12が並列接続されている点を除けば、従来周知の回路構成を有しているので、詳細な動作の説明は省略する。以下の説明では、PFC回路44の出力電圧(平滑コンデンサC1の両端電圧)を、直流入力電圧Vdcと呼ぶ。なお、電源ユニット4は、蓄電池や太陽電池から供給される直流電圧・直流電流をバックコンバータ40に入力するように構成されても構わない。
バックコンバータ40は、降圧チョッパ回路とも呼ばれるスイッチング電源回路であり、PFC回路44から供給される数百ボルトの直流入力電圧Vdcを、光源ユニット1に必要とされる数十ボルトの直流電圧(以下、出力電圧V1と呼ぶ。)に降圧するように構成される。バックコンバータ40は、2つのスイッチング素子Q21、Q22、インダクタT1、ダイオードD4、平滑コンデンサC3などで構成されることが好ましい。2つのスイッチング素子Q21、Q22は、PFC回路44の高電位側の出力端と、光源ユニット1の正極との間に、インダクタT1を介して電気的に並列接続される。平滑コンデンサC3は電解コンデンサからなり、光源ユニット1と電気的に並列接続される。ダイオードD4は、スイッチング素子Q21、Q22の並列回路と、インダクタT1との接続点にカソードが電気的に接続され、PFC回路44の低電位側の出力端(グランド)にアノードが電気的に接続される。なお、2つのスイッチング素子Q11、Q12は、電気的な特性が共通である半導体スイッチング素子(例えば、NチャネルのパワーMOSFET)である。また、ダイオードD4のアノードと平滑コンデンサC3の低電位側の端子との間に、検出抵抗R8が電気的に接続されることが好ましい。ただし、このバックコンバータ40は、2つのスイッチング素子Q21、Q22が並列接続されている点を除けば、従来周知の回路構成を有しているので、詳細な動作の説明は省略する。
第1制御電源回路42は、数百ボルトの直流入力電圧Vdcを、十数ボルト(例えば、15ボルト)の直流電圧(以下、第1制御電源電圧Vccと呼ぶ。)に変換するように構成される。第1制御電源回路42は、バックコンバータやフライバックコンバータなどのスイッチング電源回路で構成されることが好ましい。
ここで、本実施形態の電源ユニット4は、従来周知であるブートストラップ回路を備えている。ブートストラップ回路は、ブートストラップダイオードD2と、ブートストラップコンデンサC2と、複数の抵抗R2〜R6の直列回路(以下、抵抗直列回路と呼ぶ。)とで構成される。ブートストラップダイオードD2は、アノードに第1制御電源電圧Vccが印加され、カソードにブートストラップコンデンサC2の一端が電気的に接続される。ブートストラップコンデンサC2の他端は、抵抗直列回路を介してグランドと電気的に接続される。さらに、抵抗R3〜R6は、バックコンバータ40のダイオードD4と電気的に並列接続される。このブートストラップ回路は、バックコンバータ40のスイッチング素子Q21、Q22のオフ期間に、第1制御電源電圧VccによってブートストラップコンデンサC2を充電するように構成される。そして、ブートストラップコンデンサC2が充電されることにより、ブートストラップコンデンサC2の高電位側の端子から、スイッチング素子Q21、Q22の駆動電圧HVccを得ることができる。
第2制御電源回路43は、抵抗R7と、ダイオードD3と、ツェナーダイオードZD1とで構成されることが好ましい。抵抗R7の一端がPFC回路44の高電位側の出力端と電気的に接続され、抵抗R7の他端と、ツェナーダイオードZD1のカソード及びダイオードD3のアノードとが電気的に接続される。ツェナーダイオードZD1のアノードが、バックコンバータ40のダイオードD4のカソードと電気的に接続される。そして、ダイオードD3のカソードが、ブートストラップコンデンサC2の高電位側の端子と電気的に接続される。ただし、第2制御電源回路43の動作については後述する。
制御回路41は、PFC回路44を制御する第1制御動作と、バックコンバータ40を制御する第2制御動作とを実行するように構成される。なお、このような制御回路41は、例えば、第1制御動作を実行する回路と、第2制御動作を実行する回路とを有する集積回路で構成されることが好ましい。
第1制御動作は、直流入力電圧Vdcを所望の目標値(例えば、400ボルト程度の電圧)に維持するように、制御回路41を動作させることが好ましい。すなわち、制御回路41は、直流入力電圧Vdcを抵抗分圧回路R1、R2によって計測し、前記計測値に基づき、直流入力電圧Vdcを目標値に一致させるように、PWM信号のオンデューティ比を調整することが好ましい。このPWM信号は、PFC駆動部48に出力される。PFC駆動部48は、PWM信号に応じて、2つのスイッチング素子Q11、Q12を同時にオン・オフ駆動することが好ましい。
第2制御動作は、光源ユニット1に流す電流(負荷電流)I1を目標値に一致させるように、制御回路41を動作させることが好ましい。すなわち、制御回路41は、検出抵抗R8の両端電圧から負荷電流I1を計測し、前記計測値に基づき、負荷電流I1を目標値に一致させるように、PWM信号のオンデューティ比を調整することが好ましい。なお、制御回路41は、制御ユニット6から与えられる制御信号(調光信号)に応じて、負荷電流I1の目標値を調整することにより、光源ユニット1を調光したり、消灯させても構わない。
ここで、第2制御動作を実行する回路構成の一部(駆動回路)を図4に示す。制御回路41(駆動回路)は、2つのスイッチング素子Q31、Q32の直列回路と、フリップフロップ回路FFと、抵抗R16と、否定回路(インバータ)NOTとを有することが好ましい。2つのスイッチング素子Q31、Q32は、何れもNチャネル型のMOSFETからなり、互いの電気的な特性が共通であることが好ましい。一方のスイッチング素子Q31は、ドレインに駆動電圧HVccが印加され、ソースが他方のスイッチング素子Q32のドレインと電気的に接続される。他方のスイッチング素子Q32は、ソースがハイレベルのグランド端子HGNDに電気的に接続される。フリップフロップ回路FFは、出力端子とハイレベルのグランド端子HGNDの間に抵抗R16が挿入され、出力端子と他方のスイッチング素子Q32のゲートの間に否定回路NOTが挿入される。また、一方のスイッチング素子Q31のゲートがフリップフロップ回路FFの出力端子と電気的に接続される。
フリップフロップ回路FFの出力がハイレベルになると、ハイサイドのスイッチング素子Q31がターンオンするとともにローサイドのスイッチング素子Q32がターンオフする。その結果、制御回路41の出力端子Hoから、駆動電圧HVccにほぼ等しい電圧の駆動信号が出力される。一方、フリップフロップ回路FFの出力がローレベルになると、ハイサイドのスイッチング素子Q31がターンオフするとともにローサイドのスイッチング素子Q32がターンオンする。その結果、制御回路41の出力端子Hoがハイレベルのグランド端子HGNDとほぼ同電位となり、制御回路41は出力端子Hoから駆動信号の出力を停止する。
ここで、制御回路41の駆動信号は、それぞれスピードアップ回路47を介して、スイッチング素子Q21、Q22のゲートに与えられる。各スピードアップ回路47は、PNP型のバイポーラトランジスタTr1、ダイオードD5、抵抗R17〜R19などで構成されることが好ましい(図3参照)。抵抗R17は、各スイッチング素子Q21、Q22のゲートとソースの間に電気的に接続される。バイポーラトランジスタTr1のエミッタがスイッチング素子Q21、Q22のゲートと電気的に接続され、バイポーラトランジスタTr1のコレクタが抵抗R18を介してスイッチング素子Q21、Q22のソースと電気的に接続される。また、バイポーラトランジスタTr1のベースがダイオードD5のアノード及び抵抗R19の一端と電気的に接続され、各スピードアップ回路47の抵抗R19の他端同士が制御回路41の出力端子Hoと電気的に接続される。
各スピードアップ回路47は、出力端子Hoからハイレベルの駆動信号が入力されると、バイポーラトランジスタTr1がオフとなり、抵抗R17を介して、スイッチング素子Q21、Q22のゲート・ソース間に駆動電圧HVccを印加してターンオンさせる。また、各スピードアップ回路47は、出力端子Hoからの駆動信号が停止すると、バイポーラトランジスタTr1がオンとなり、スイッチング素子Q21、Q22のゲートに蓄積されている電荷を放出させてターンオフさせる。つまり、各スピードアップ回路47は、パワーMOSFETからなるスイッチング素子Q21、Q22のターンオンを高速化するように構成されている。
また、制御回路41は、第2制御動作において、インダクタT1と磁気結合された検出巻線T2に誘起される電圧(検出電圧)に基づいて、出力端子Hoからハイレベルの駆動信号を出力するタイミングを決定している。例えば、制御回路41は、前記検出電圧に基づいてインダクタT1に流れる電流(インダクタ電流)のゼロクロスを検出し、ゼロクロスに同期して駆動信号を出力するように構成されることが好ましい。
信号変換回路49は、制御ユニット6から与えられる制御信号(PWM信号)を直流の電圧信号に変換して制御回路41に出力するように構成されることが好ましい。なお、信号変換回路49から出力される電圧信号の信号レベル(直流電圧レベル)は、制御信号で指示される出力レベル(調光レベル)に対応している。制御回路41は、前記目標値を、信号変換回路49から出力される電圧信号の信号レベル(調光レベル)に対応した値に調整することが好ましい。
ところで、本実施形態の電源ユニット4は、タイマ回路を備えることが好ましい。タイマ回路は、図3に示すように、抵抗R13〜R15とコンデンサC4のCR積分回路で構成されることが好ましい。このタイマ回路は、抵抗R13〜R15の直列回路が平滑コンデンサC3及び検出抵抗R8と電気的に並列接続され、且つローサイドの抵抗R15とコンデンサC4が電気的に並列接続されて構成される。コンデンサC4の両端電圧が、交流電源ACの投入時点から徐々に上昇するので、制御回路41は、コンデンサC4の両端電圧(以下、タイマ信号と呼ぶ。)に基づいて、前記投入時点からの経過時間を知ることができる。なお、タイマ回路には、抵抗R9〜R12の直列回路が電気的に並列接続されることが好ましい。
次に、図5及び図6の波形図を参照して、本実施形態の電源ユニット4の基本的な動作を説明する。なお、図5及び図6は、直流入力電圧Vdc、出力電圧V1、駆動電圧HVcc、負荷電流I1の波形図をそれぞれ示している。
まず、図5に示すように、時刻t=t1に交流電源ACの電源が投入されると、第1制御電源回路42が起動し、第1制御電源電圧Vccを生成する。第1制御電源電圧Vccが定格値(例えば、15ボルト)に達すると(時刻t=t2)、制御回路41が起動して第1制御動作を実行する。なお、制御回路41は、タイマ信号に基づき、時刻t=t1からの経過時間を監視することが好ましい。
制御回路41が第1制御動作を実行すると、PFC回路44が動作して直流入力電圧Vdcが定格値に達する(時刻t=t3)。また、第1制御電源電圧Vccが定格値に達すれば、ブートストラップ回路が正常に動作し、所定の駆動電圧HVccが制御回路41に与えられる。
制御回路41は、タイマ信号に基づき、直流入力電圧Vdcが定格値に達してから所定時間(以下、準備期間と呼ぶ。)が経過したと判断すれば(時刻t=t4)、第2制御動作を開始する。制御回路41が第2制御動作を開始すると、バックコンバータ40の出力電圧V1が徐々に上昇し、光源ユニット1の点灯開始電圧を超えた時点(時刻t=t5)から負荷電流I1が流れ始める。そして、制御回路41は、負荷電流I1を一定値とするようにバックコンバータ40を制御(フィードバック制御)する。故に、本実施形態の電源ユニット4は、光源ユニット1を所望の明るさ(光出力)で点灯させることができる。
ここで、図5に示すように、時刻t=t6に交流電源ACに瞬時停電が発生したと仮定する。交流電源ACに瞬時停電が発生すると、PFC回路44のスイッチング素子Q11、Q12はオフとなり、直流入力電圧Vdcは、平滑コンデンサC1に蓄積された電荷が放電されている間、定格値よりも僅かに低い電圧に維持される(図5参照)。よって、第1制御電源回路42は動作を継続し、第1制御電源電圧Vccを供給し続けることができる。ただし、直流入力電圧Vdcが定格値を下回ると、バックコンバータ40の出力電圧V1が点灯開始電圧以下に低下するため、光源ユニット1が消灯し、負荷電流I1が流れなくなる。そして、PFC回路44が再起動すると、直流入力電圧Vdcが定格値に戻る(時刻t=t7)。
しかしながら、瞬時停電が発生した後の再起動時において、バックコンバータ40の平滑コンデンサC3に充電電荷が残っている状態では、ハイレベルのグランド端子HGNDの電位が第1制御電源電圧Vccよりも高い状態に維持されてしまう。その結果、第1制御電源回路42からブートストラップコンデンサC2に充電電流が流れず、駆動電圧HVccが必要なレベルにまで上昇しないため、バックコンバータ40のスイッチング素子Q21、Q22がターンオンしなくなる(図6参照)。
そこで、本実施形態の電源ユニット4では、ブートストラップ回路が正常に動作し得ない(駆動電圧HVccが必要なレベルにまで上昇しない)ときにのみ、第2制御電源回路43が駆動電圧HVccを生成するように構成されている。すなわち、時刻t=t6〜t7の期間において、直流入力電圧Vdc(≒交流電源ACの電源電圧のピーク値)がバックコンバータ40の出力電圧V1を上回るため、第2制御電源回路43が動作してブートストラップコンデンサC2を充電する。その結果、本実施形態の電源ユニット4は、図5に示すように、PFC回路44が停止している間(時刻t=t6〜t7)においても、駆動電圧HVccを、スイッチング素子Q21、Q22の駆動に必要なレベルに維持することができる。ただし、第2制御電源回路43がブートストラップコンデンサC2及び抵抗直列回路に充電電流を流すことにより、第2制御電源回路43が存在しない場合と比較して、直流入力電圧Vdcの低下速度が増す。故に、PFC回路44が再起動して直流入力電圧Vdcが点灯開始電圧を超える前に、直流入力電圧Vdcがバックコンバータ40の出力電圧V1を下回ってしまうと、バックコンバータ40を起動できない可能性がある。そのため、PFC回路44の動作開始時点からバックコンバータ40の動作開始時点までの時間(時刻t=t7〜t8)内に、第2制御電源回路43が駆動電圧HVccを必要な電圧まで上昇させなければならない。本実施形態の電源ユニット4では、抵抗直列回路の合成抵抗値とブートストラップコンデンサC2の静電容量とで決まる時定数を適当に設定することにより、第2制御電源回路43が駆動電圧HVccを必要な電圧まで上昇させることができるようにしている。
電源ユニット4の制御回路41は、信号変換回路49から出力される電圧信号の信号レベルが最大値のときにバックコンバータ40の出力を下限値とし、前記信号レベルが最小値のときにバックコンバータ40の出力を定格値とすることが好ましい。また、制御回路41は、原則として、前記信号レベルがゼロのときはバックコンバータ40の出力を定格値とすることが好ましい。ただし、交流電源ACが投入された直後は、PFC回路44の出力電圧が定格電圧に達していないため、バックコンバータ40の出力電圧が安定しない。そのため、制御回路41は、交流電源ACの投入時から前記準備期間が経過するまでの間、制御信号を受け付けず且つバックコンバータ40を停止することが好ましい。つまり、準備期間中は電源ユニット4からの給電が行われないため、光源ユニット1が消灯状態に維持される。そして、準備期間が経過してPFC回路44の出力電圧が安定すれば、制御回路41は、バックコンバータ40を動作させて制御信号に対応した出力レベルの直流電力を光源ユニット1に供給させる。その結果、光源ユニット1は、制御信号で指示される調光レベルで点灯する。
上述のように本実施形態の点灯装置8は、1つの制御ユニット6から2つの電源ユニット4に対して、制御信号を共通に出力するように構成されている。したがって、複数の制御ユニットが個別に電源ユニットに制御信号を出力する場合と比較して、本実施形態の点灯装置8は、複数の電源ユニット4が各光源ユニット1を点滅及び調光するタイミング(制御タイミング)のばらつきを抑制することができる。また、本実施形態の点灯装置8は、複数の電源ユニット4のうちの1つの電源ユニット4(第1電源ユニット4A)から制御ユニット6へ電源(第1制御電源電圧Vcc)を供給するように構成されている。そのため、制御ユニット6が交流電源ACから動作電源を生成する場合と比較して、制御ユニット6の回路構成の簡素化を図ることができる。
本実施形態の点灯装置8は、上述のように、固体発光素子(発光ダイオード)を有する複数の光源ユニット1を点灯する点灯装置である。本実施形態の点灯装置8は、外部電源(交流電源AC)から供給される電力を電力変換して光源ユニット1に各別に給電する複数の電源ユニット4と、光源ユニット1に供給される電力を調整するように電源ユニット4を制御する制御ユニット6とを備える。複数の電源ユニット4は、スイッチング電源回路(バックコンバータ40)と、スイッチング電源回路の動作を制御する制御回路41と、制御回路41の動作用の電源を生成する制御電源回路(第1制御電源回路42)とをそれぞれ有する。制御ユニット6は、制御部60を有する。制御部60は、スイッチング電源回路の出力レベルを指示する制御信号を生成し、生成した前記制御信号を、複数の電源ユニット4の制御回路41に共通に与える。制御ユニット6は、何れか1つの電源ユニット4Aの制御電源回路(第1制御電源回路42)で生成される電源(第1制御電源電圧Vcc)で制御部60を動作させるように構成される。複数の電源ユニット4の制御回路41は、スイッチング電源回路(バックコンバータ40)の動作を制御して、スイッチング電源回路(バックコンバータ40)の出力電力を、制御信号で指示される出力レベルに対応した値に一致させるように構成される。
本実施形態の点灯装置8は上述のように構成されるので、複数の光源ユニット1の制御タイミングのばらつきを抑制することができる。
ところで、PFC回路44の平滑コンデンサC1に用いられる電解コンデンサは、静電容量が大きい程、許容誤差も大きく(例えば、±20%)なる。そして、交流電源ACの投入時点からPFC回路44の出力電圧が安定するまでに要する時間は、平滑コンデンサC1の静電容量の影響が大きいため、個々の電源ユニット4毎にばらついてしまう。各電源ユニット4毎の前記時間のばらつきが大きくなると、それぞれの電源ユニット4で点灯させられる各光源ユニット1の点灯タイミングのばらつきも大きくなってしまう虞がある。
そこで、本実施形態の点灯装置8では、各電源ユニット4毎の準備期間のうちで最長の準備期間(のデータ)を、制御ユニット6の制御部60が予めメモリに格納しておくことが好ましい。
次に、本実施形態の点灯装置8の動作について、図7A〜図7Cのタイムチャートを参照して詳細に説明する。以下の説明において、第1電源ユニット4Aの準備期間T1よりも、他方の電源ユニット4(以下、第2電源ユニット4Bと呼ぶ。)の準備期間T2の方が長い(T1<T2)と仮定する。図7Aは、第1電源ユニット4Aの制御回路41がバックコンバータ40の出力レベルを増減するときのタイムチャートを示し、図7Bは、第2電源ユニット4Bの制御回路41がバックコンバータ40の出力レベルを増減するときのタイムチャートを示す。図7Cは、制御ユニット6の制御部60が制御信号を生成するときのタイムチャートを示す。ただし、図7A及び図7Bの縦軸は出力レベル(定格出力を100%としたときの割合)を示し、図7Cの縦軸は制御信号のデューティ比を示す。また、図7A〜図7Cの横軸は時刻tを示す。
時刻t=t0に交流電源ACが投入されると、各電源ユニット4A、4Bの第1制御電源回路42が動作を開始する。第1制御電源回路42は、時刻t=t1以降、第1制御電源電圧Vccを供給することができる。第1制御電源電圧Vccが供給され始めると、各電源ユニット4A、4Bにおいて、PFC回路44、制御回路41及び制御ユニット6が動作を開始する。制御ユニット6の制御部60は、時刻t=t1からの経過時間をカウント(計時)し、且つデューティ比を100%としたPWM信号(制御信号)を生成して制御信号出力部62から各電源ユニット4A、4Bへ出力させる。
一方、各電源ユニット4A、4Bの制御回路41は、時刻t=t1になると、準備期間T1、T2に相当する時間のカウントダウン(限時)を開始する。ただし、「準備期間T1、T2に相当する時間」とは、準備期間T1、T2から第1制御電源回路42の動作が安定するまでの時間t0〜t1を引いた時間を意味する。また、各電源ユニット4A、4Bの制御回路41は、準備期間T1、T2に相当する時間をカウントダウンしている間、制御ユニット6から伝送される制御信号を受け付けず、且つバックコンバータ40を動作させない。故に、光源ユニット1は消灯したままとなる。
制御部60は、前記経過時間が準備期間T2に相当する時間に達すると(時刻t=t3)、デューティ比を15%としたPWM信号(制御信号)を生成して電源ユニット4A、4Bに出力する。ただし、このときのデューティ比の値は、初期照度補正特性に応じて、制御部60により決定される。
電源ユニット4A、4Bの制御回路41は、準備期間T2に相当する時間のカウントダウンが終了すると(時刻t=t3)、信号変換回路49で変換された電圧信号(制御信号)の信号レベルから、指示されている出力レベル(調光レベル)を判断する。つまり、制御回路41は、デューティ比が15%であるから、出力レベル(調光レベル)を80%と判断し、負荷電流I1の大きさが定格値の80%となるようにバックコンバータ40を制御する。ただし、制御ユニット6の制御部60は、時刻t=t3から時刻t=t4までの間、デューティ比を100%から15%まで一定の割合(例えば、10%毎秒)で減少させたデューティ比のPWM信号を生成することが好ましい。これにより、各電源ユニット4の制御回路41は、図7A、図7Bに示すように、出力レベルをゼロから80%まで一定の割合(例えば、10%毎秒)で増大させるようにバックコンバータ40を制御することが好ましい。このように複数の光源ユニット1の光量が徐々に増大すれば、照明空間に居る人に、より違和感を感じさせ難くすることができる。
ここで、第1電源ユニット4Aに制御ユニット6から制御信号が出力されない場合を考える。この場合、第1電源ユニット4Aの制御回路41は、時刻t=t2の時点、すなわち、時刻t=t0からの経過時間が第1電源ユニット4Aの準備期間T1に達した時点で、バックコンバータ40を動作させて光源ユニット1を定格点灯させてしまう。
しかしながら、本実施形態の点灯装置8では、第1電源ユニット4Aの制御回路41は、時刻t=t2からt=t3までの間、制御信号によって出力レベルをゼロとするように指示される。そのため、第1電源ユニット4Aに電気的に接続されている光源ユニット1も、時刻t=t3に達するまで消灯状態に維持される。
したがって、準備期間の異なる複数の電源ユニット4A、4Bが混在している点灯装置8であっても、交流電源ACの投入時点から所定時間(準備期間T2)が経過した時点で全ての光源ユニット1を一斉に点灯させることができる。つまり、本実施形態の点灯装置8は、複数の光源(光源ユニット1)の点灯タイミングのばらつきを抑制することができる。
上述のように本実施形態の点灯装置8において、制御部60は、外部電源の投入時において、所定の待機時間(準備期間)が経過するまでの間は、ゼロまたはゼロに近い値の前記出力レベルを指示する前記制御信号を生成するように構成されることが好ましい。また、制御部60は、前記制御信号を複数の電源ユニット4に共通に与えるように構成されることが好ましい。さらに、制御部60は、前記待機時間の経過後に、ゼロではない所定の前記出力レベルを指示する前記制御信号を生成して複数の電源ユニット4に共通に与えるように構成されることが好ましい。前記待機時間は、複数の電源ユニット4の起動に要する時間(準備期間T1、T2)の最大値以上の時間に設定されることが好ましい。
本実施形態の点灯装置8が上述のように構成されれば、複数の電源ユニット4の出力の立ち上がりのばらつきを緩和し、複数の光源ユニット1の点灯タイミングのばらつきを抑制することができる。
ところで、第1制御電源回路42は、PFC回路44の出力電圧(直流入力電圧Vdc)から第1制御電源電圧Vccを生成している。そのため、交流電源ACが遮断されても、平滑コンデンサC1の充電電荷が放電されて直流入力電圧Vdcが動作可能な下限値を下回るまでは、第1制御電源回路42は動作し続ける。そして、第1制御電源回路42が動作し続けている状況で交流電源ACの給電が再開された場合、制御ユニット6の制御部60は、電源リセットされないため、交流電源ACの投入時に本来の機能(例えば、フェードイン機能)が実現できない。そのため、個々の電源ユニット4の制御回路41が、それぞれ第1制御動作と第2制御動作を順次再開するので、複数の光源ユニット1の点灯タイミングのばらつきを抑えることができない。
そこで、第1電源ユニット4Aの制御回路41は、交流電源ACの電力供給が停止したことを検知すると、第1制御電源回路42から制御ユニット6への電源供給を停止するように構成されることが好ましい。例えば、制御回路41は、PFC回路44のスイッチング素子Q11、Q12の電流を監視しており、当該電流が流れなくなることを検知したときに交流電源ACの電力供給が停止したと判断することが好ましい(図3参照)。また、制御回路41は、例えば、第1制御電源回路42から制御ユニット6(の電源部63)への給電路に挿入されるリレー(電磁リレーあるいは半導体リレー)をオフすることで第1制御電源回路42から制御ユニット6への電源供給を停止することが好ましい。
本実施形態の点灯装置8において、制御回路41は、外部電源(交流電源AC)の電力供給が停止したことを検知すると、制御電源回路(第1制御電源回路42)から制御ユニット6の制御部60への電源供給を停止するように構成されることが好ましい。
本実施形態の点灯装置8が上述のように構成されれば、交流電源ACの電力供給が停止した場合に制御ユニット6の制御部60が必ず電源リセットされるので、制御部60が誤った制御を行う可能性を低下させることができる。
次に、点灯装置8の構造、並びに本発明に係る照明器具の実施形態について、図8〜図12を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、照明器具として投光器を例示するが、本発明の技術思想が適用可能な照明器具は投光器に限定されず、例えば、高天井用の照明器具や道路灯などでも構わない。
本実施形態の照明器具は、図8及び図9に示すように、複数(図示例では4つ)の光源ユニット1と、点灯装置8とを備える。さらに、本実施形態の照明器具は、複数の光源ユニット1を連結する連結部材と、アーム16とを備えることが好ましい。ただし、照明器具を構成する光源ユニット1の数は4つに限定されず、1〜3つ、あるいは5つ以上でも構わない。なお、以下の説明において、特に断りの無い限り、図8において上下、左右、前後の各方向を規定し、紙面の手前側を前とする。
光源ユニット1は、図9に示すように、光源に相当するLEDモジュールと、放熱部材3とを有する。LEDモジュールは、複数個の発光ダイオード(LED)と、実装基板とを有することが好ましい。LEDは、例えば、従来周知であるパッケージ型の白色LEDである。実装基板は、矩形平板状のアルミ基板で構成されることが好ましい。LEDは、実装基板の前面に、縦横に並べて実装される。また、実装基板の前面にレセプタクルコネクタが実装される。レセプタクルコネクタは、実装基板の前面に形成される配線用の導体を介して、各LEDの電極(カソード及びアノード)と電気的に接続される。
放熱部材3は、図9に示すように、ベース部30、一対の縁部31、複数の放熱板32で構成されることが好ましい。なお、ベース部30、縁部31並びに放熱板32は、例えば、アルミニウム合金などの熱伝導性に優れた材料で形成されることが好ましい。ベース部30は、矩形平板状に形成される。ベース部30の前面にLEDモジュールが固定される。また、ベース部30の前面には、LEDモジュールを覆い隠すようにカバー7が取り付けられる(図8参照)。カバー7は、ポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料により、扁平な矩形の箱状に形成される。一対の縁部31は、上下方向を長手方向とする直方体状であって、ベース部30の左端縁と右端縁においてベース部30と一体に形成される。なお、縁部31の厚み(前後方向の幅)は、ベース部30の厚みよりも十分に大きく形成されている。
連結部材は、図8及び図9に示すように、第1連結部材10、第2連結部材11、第3連結部材12並びに補助連結部材を含むことが好ましい。
第1連結部材10は、帯状の主片100と、主片100の長手方向に沿って主片100の厚み方向に突出する補助片101とを有する。なお、主片100と補助片101とは、ステンレス鋼板などの金属板が長手方向に沿って折り曲げられることで一体に形成される。
また、第1連結部材10は、主片100の長手方向における両端及び中央に、それぞれ突片102、103が設けられている。ただし、中央の突片103は、両端の突片102のほぼ2倍の長さ寸法を有している。また、中央の突片103の先端が、外向きに折り曲げられている。各突片102、103には、それぞれ1つ又は2つのねじ挿通孔が設けられる(図8及び図9参照)。
第1連結部材10は、図9に示すように、各突片102、103が、放熱部材3の縁部31にねじ止めされることで2つの光源ユニット1に取り付けられる。すなわち、各突片102、103のねじ挿通孔に挿通されるねじ104が縁部31のねじ孔にねじ込まれる。
第2連結部材11は、帯状の金属板(例えば、ステンレス鋼板など)で構成される。ただし、第2連結部材11の中央部110は、両側の端部111に対して厚み方向に突出している。中央部110には、3つのねじ挿通孔が設けられる。一方、各端部111には、2つのねじ挿通孔がそれぞれ設けられる(図9参照)。
第2連結部材11は、放熱部材3の縁部31にねじ止めされることで2つの光源ユニット1に取り付けられる。すなわち、中央部110及び各端部111のねじ挿通孔に挿通されるねじ112が縁部31のねじ孔にねじ込まれる。
第3連結部材12は、帯状の金属板(例えば、ステンレス鋼板など)で構成される。ただし、第3連結部材12は、長手方向に沿った両端部が厚み方向に折り曲げられることで補強されている。また、第3連結部材12は、長手方向の両端にそれぞれ2つのねじ挿通孔が設けられている。これらのねじ挿通孔は、第3連結部材12の短手方向に並ぶように設けられる。第3連結部材12は、放熱部材3の縁部31にねじ止めされることで4つの光源ユニット1に取り付けられる(図8参照)。
補助連結部材は、図8及び図9に示すように、一対のアーム取付部材13と、一対の補強部材14とで構成される。アーム取付部材13は、角樋状の固定部130と、一対の取付部131と、軸受け部132とを有する。なお、固定部130と取付部131と軸受け部132とは、例えば、アルミダイカストによって一体に形成されることが好ましい。
一対の取付部131は、長尺の円錐台形状に形成され、固定部130から後方に突出する。なお、各取付部131の先端部には、雌ねじが形成されている。
軸受け部132は、円筒形状に形成され、一対の取付部131の間に配置されて各取付部131並びに固定部130と繋がっている。軸受け部132の中心には、ねじ孔が設けられる。
補強部材14は、図9に示すように、帯状の金属板(例えば、ステンレス鋼板など)で構成される。ただし、補強部材14は、長手方向に沿った両端部が厚み方向に折り曲げられることで補強されている。一対の補強部材14は、上下方向に並ぶように、左右両側のアーム取付部材13の取付部131に取り付けられる。すなわち、補強部材14の両端に設けられるねじ挿通孔にボルト140が挿通され、そのボルト140が取付部131の先端部の雌ねじにねじ込まれてねじ止めされる(図9参照)。
アーム16は、図9に示すように、固定板160と、固定板160の左右両端から斜め上向きに立ち上がる一対の立ち上げ片161と、各立ち上げ片161の先端から斜め上向きに立ち上がる支持片162とが金属板によって一体に形成されている。
固定板160は、略中心に円形の固定孔1601が貫通し、固定孔1601よりも後方に、固定孔1601を中心とする半円弧状の長孔1600が貫通している(図9参照)。そして、固定孔1601に挿通されるボルトと、長孔1600に挿通されるボルトとで固定板160が照明台(コンクリート製の土台)などに固定される。また、長孔1600に挿通されるボルトを緩めることにより、アーム16の向き(光源ユニット1の向き)を略180度の範囲で変更することができる。
各支持片162は、先端部に円形の挿通孔が貫通している。故に、挿通孔に挿通したボルト163が、アーム取付部材13の軸受け部132のねじ孔にねじ込まれることにより、連結部材で連結された4つの光源ユニット1をアーム16で回転可能に支持することができる。
ところで、下側の補強部材14には、配線ボックス15がねじ止めによって取り付けられる(図9参照)。
配線ボックス15は、金属材料によって矩形箱状に形成される。配線ボックス15内には、中継用の端子台が収納される。この端子台は、電力系統から交流電力を供給するための電源ケーブルと、点灯装置8に前記交流電力を供給するための電源ケーブル9とを電気的に接続するように構成される。
点灯装置8は、図10A及び図10Bに示すように、2つの電源ユニット4A、4Bを内部に収納するケース81を備える。ただし、以下の点灯装置8に関する説明においては、図11において、上下、左右、前後の各方向を規定する。
各電源ユニット4A、4Bは、図10B、図11及び図12に示すように、プリント配線板800の表面に、PFC回路44やバックコンバータ40、制御回路41などの各回路を構成する多数の回路素子(回路部品)801が実装されて構成される。また、各電源ユニット4A、4Bは、先端にプラグコネクタが設けられた出力ケーブルを有することが好ましい。これらの出力ケーブルは、ケース81の外に引き出され、光源ユニット1のレセプタクルコネクタと直接、若しくは別の電線ケーブルを介して、電気的に接続されることが好ましい。ただし、各電源ユニット4A、4Bにおいて、第1制御電源回路42を構成する回路素子(例えば、スイッチング電源用の半導体スイッチング素子など)801Bは、プリント配線板800の裏面に実装されることが好ましい(図10B参照)。
さらに、各電源ユニット4A、4Bは、プリント配線板800の片面における端部から立ち上がる壁部802を有する。壁部802は、熱の良導体である材料(例えば、アルミ若しくはアルミ合金)によって矩形平板状に形成される。また、壁部802は、長手方向に沿った一方の端縁における前端及び後端から突出する一対のL字形状の脚8020を備えることが好ましい(図10B参照)。壁部802は、これら一対の脚8020がプリント配線板800の表面(回路素子801が実装されている面)に取り付けられることにより、前記表面の法線方向(上下方向)に沿って起立するように設けられることが好ましい。また、壁部802は、厚み方向に貫通する複数のねじ孔8021が長手方向に並ぶように設けられることが好ましい(図11参照)。さらに、壁部802は、プリント配線板800の表面に実装される回路素子801のうち、全波整流器46やスイッチング素子Q11、Q12、Q21、Q22などに用いられる半導体素子(例えば、パワーMOSFETなど)801Aと熱的に結合される。なお、これらの半導体素子801Aは、通常、放熱器(放熱板)を有している。そして、放熱器に設けられるねじ挿通孔に挿通されるねじ803が、壁部802に設けられるねじ孔8022にねじ込まれることにより、半導体素子801Aと壁部802が熱的に結合される(図10B及び図11参照)。
ケース81は、ケース本体82と、2つの蓋部83、84とを有することが好ましい(図9参照)。ケース本体82は、例えば、アルミ又はアルミ合金が押出成形されることにより、軸方向の両端が開口した角筒状に形成されることが好ましい。また、ケース本体82は、左側の側壁820の上部と下部の内側面にそれぞれ溝部85が形成されることが好ましい。さらに、ケース本体82は、右側の側壁821の上部と下部の内側面にもそれぞれ溝部85が形成されることが好ましい(図10B及び図11参照)。これらの溝部85は、ケース本体82の一方の開口端から他方の開口端まで真っ直ぐ且つ互いに平行となるように構成されることが好ましい。なお、溝部85の幅は、プリント配線板800の厚みよりも僅かに大きい程度の寸法であればよい。
また、ケース本体82の下側の側壁823の後端部には、4つのケーブル挿通孔が貫通している。これら4つのケーブル挿通孔には、それぞれ出力ケーブルが挿通され、止め金具によって出力ケーブルが側壁823に固定される。
蓋部83、84は、例えば、アルミダイカストによって平板状に形成されることが好ましい。これら2つの蓋部83、84は、ケース本体82の軸方向の端部にそれぞれねじ止めされることにより、ケース本体82の両端の開口を閉塞するように構成されることが好ましい(図9参照)。ただし、各蓋部83、84とケース本体82の端部との間に防水パッキンが挟み込まれ、ケース本体82内への雨水の浸入が防止されることが好ましい。また、片方(前方)の蓋部84は、中央にケーブル挿通孔が貫通している。そして、このケーブル挿通孔に電源ケーブル9が挿通され、止め金具によって電源ケーブル9が蓋部84に固定される。
点灯装置8は、図9に示すように、ケース本体82の側壁823が、一対の補強部材14にねじ止めされることが好ましい。このとき、点灯装置8は、電源ケーブル9が固定されている方の蓋部84を下、もう一方の蓋部83を上とする姿勢で補強部材14に固定されることが好ましい。
次に、本実施形態の点灯装置8の組立作業について、説明する。まず、作業者は、側壁823の4つのケーブル挿通孔にそれぞれ出力ケーブルを挿通し、2つの電源ユニット4A、4Bの出力端子に、それぞれ2本ずつの出力ケーブルを電気的に接続する。なお、出力端子と出力ケーブルとの電気的な接続は、コネクタを用いた接続方式が好ましい。ただし、コネクタを用いた接続方式以外にも、端子台を用いた接続方式やはんだ付けによる接続方式でも構わない。
続いて、作業者は、一方の電源ユニット4A、4Bのプリント配線板800の両端部を、ケース本体82の片側の開口から、左右両側の側壁820、821の下側の溝部85に挿入する(図11参照)。同様に、作業者は、他方の電源ユニット4A、4Bのプリント配線板800の両端部を、ケース本体82の片側の開口から、左右両側の側壁820、821の上側の溝部85に挿入する。このとき、一方の電源ユニット4A、4Bの壁部802が右側の側壁821に近接し、他方の電源ユニット4A、4Bの壁部802が左側の側壁820に近接する。なお、第1電源ユニット4Aがケース本体82内の上側に配置され、第2電源ユニット4Bがケース本体82内の下側に配置されることが好ましい。
作業者は、ケース本体82の外から、左右両側の側壁820、821に設けられる複数の貫通孔にそれぞれねじ88を挿通し、これらのねじ88を壁部802のねじ孔8021にねじ込む。つまり、本実施形態の点灯装置8では、各電源ユニット4A、4Bの壁部802がケース本体82の側壁820、821にねじ止めされて機械的且つ熱的に結合される(図10B及び図12参照)。
続いて、作業者は、制御ユニット6をケース本体82内に収容し、下側の側壁823にねじ止めする。また、作業者は、制御ユニット6の制御信号出力部62と2つの電源ユニット4A、4Bの信号変換回路49とをそれぞれ電線で電気的に接続する。さらに、作業者は、第1電源ユニット4Aの第1制御電源回路42の出力端と、制御ユニット6の電源部63とを電線で電気的に接続する。
続いて、作業者は、蓋部84のケーブル挿通孔に挿通した電源ケーブル9を、各電源ユニット4A、4Bの入力端子にそれぞれ電気的に接続する。それから、作業者は、2つの蓋部83、84をケース本体82の前端及び後端にねじ止めする。最後に、作業者は、止め金具を側壁823にねじ止めして出力ケーブルをケース本体82に固定するとともに、止め金具を蓋部84にねじ止めして電源ケーブル9をケース本体82に固定する。このようにして、点灯装置8の組立作業が完了する。
本実施形態の点灯装置8は、上述のように、プリント配線板800の端部を、ケース本体82に設けられる溝部85に挿入することでケース本体82に電源ユニット4A、4Bを支持させている。さらに、本実施形態の点灯装置8は、電源ユニット4A、4Bの特定の回路素子(半導体素子801A)を、壁部802を介してケース本体82に熱的に結合させている。そのため、半導体素子801Aに生じる熱は、壁部802を介してケース本体82に伝わり、ケース本体82を通して放熱される。故に、本実施形態の点灯装置8は、電源ユニット4A、4Bを収納する筐体が不要になることで小型化及び軽量化を図ることができ、且つ壁部802を介して半導体素子801Aの熱をケース本体82に伝えることで放熱性の向上を図ることができる。
また、本実施形態のように、点灯装置8が2つの電源ユニット4A、4Bを有する場合、それぞれの電源ユニット4A、4Bの壁部802が、ケース本体82の複数の側壁820〜823のうちで異なる2つの側壁820、821と熱的に結合されることが好ましい。つまり、本実施形態の点灯装置8は、2つの電源ユニット4A、4Bの壁部802が同一の側壁(例えば、側壁820)と熱的に結合される場合と比較して、半導体素子801Aの熱をケース本体82から効率的に放熱させることができる。
さらに、本実施形態の点灯装置8において、制御ユニット6は、2つの電源ユニット4A、4Bのうちで、光源ユニット1(の放熱部材3)との距離が大きい方の第1電源ユニット4Aから給電されることが好ましい(図10B参照)。つまり、光源ユニット1(の放熱部材3)との距離が近い程、光源ユニット1(の放熱部材3)から放射される熱の影響を受け易い。したがって、光源ユニット1(の放熱部材3)との距離が大きい方の第1電源ユニット4Aから制御ユニット6へ給電することにより、第1制御電源回路42が光源ユニット1からの熱の影響を受け難くなり、第1制御電源回路42の熱的な余裕度を確保することができる。
上述のように本実施形態の点灯装置8において、複数の電源ユニット4A、4Bは、光源ユニット1との距離がそれぞれ異なるように構成されることが好ましい。制御部60は、前記距離が最も大きい電源ユニット4Aの制御電源回路(第1制御電源回路42)から動作用の電源が供給されるように構成されることが好ましい。
本実施形態の点灯装置8が上述のように構成されれば、制御電源回路(第1制御電源回路42)が光源ユニット1の熱の影響を受け難くすることができる。
ここで、電源ユニット4においては、バックコンバータ40を構成する回路素子801、801Aがプリント配線板800の表面に実装され、第1制御電源回路42を構成する回路素子801Bがプリント配線板800の裏面に実装されることが好ましい。つまり、プリント配線板800を構成する絶縁基板(ガラス布基材エポキシ樹脂基板など)により、回路素子801で発生する熱が、第1制御電源回路42を構成する回路素子801Bに伝わり難くなる。
上述のように本実施形態の点灯装置8において、制御電源回路(第1制御電源回路42)は、スイッチング電源(バックコンバータ又はフライバックコンバータ)を構成する半導体スイッチング素子を有することが好ましい。電源ユニット4は、スイッチング電源回路(バックコンバータ40)で発生する熱を、前記半導体スイッチング素子に伝導され難くする断熱部(プリント配線板800)を備えることが好ましい。
本実施形態の点灯装置8が上述のように構成されれば、制御電源回路(第1制御電源回路42)がスイッチング電源回路(バックコンバータ40)の熱の影響を受け難くすることができる。
ところで、本実施形態の照明器具が照明台に設置される場合、金属製のワイヤ17の両端がそれぞれ第2連結部材11の中央部110にねじ止めされることが好ましい(図9参照)。さらに、ワイヤ17は、照明台に固定されるワイヤ受け18に支持されることが好ましい(図9参照)。つまり、アーム16が照明台から外れた場合、ワイヤ17が支持することで照明器具の落下が防止される。
上述のように本実施形態の照明器具は、点灯装置8と、点灯装置8によって点灯される複数の光源ユニット1とを有する。
本実施形態の照明器具によれば、複数の光源ユニット1の制御タイミングのばらつきを抑制することができる。
本実施形態の照明器具において、複数の光源ユニット1並びに点灯装置8を変位可能に支持する支持部材(アーム16)を有することが好ましい。
本実施形態の照明器具が上述のように構成されれば、光源ユニット1の光の照射方向を変更することができて使い勝手の向上を図ることができる。
また、本実施形態の照明器具において、光源ユニット1は、固体発光素子として発光ダイオード又は有機エレクトロルミネセンス素子を有することが好ましい。