以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下では、第1回転体および第2回転体の互いに向き合う面を「天面」とし、互いに背く面を「底面」として、各部の形状や位置関係を説明する。ただし、これらの用語は、あくまで説明の便宜のために定義されたものである。これらの用語により、本発明に係るロータユニットおよび回転電機の、使用時の位置を限定する意図はない。
<1.一実施形態に係るロータユニット> 図1は、本発明の一実施形態に係る回転電機用ロータユニット32Aの斜視図である。図1に示すように、ロータユニット32Aは、2つの回転体41A,42Aを備えている。2つの回転体41A,42Aは、中心軸9Aに沿って配列されている。なお、図1では、回転体41Aの一部のかくれ線を、破線で示している。
2つの回転体41A,42Aは、それぞれ、ロータコア51A、ホルダ52A、および複数のマグネット53Aを、有している。ロータコア51Aは、中心軸9Aを包囲する環状の部材である。複数のマグネット53Aは、ロータコア51Aの周囲において周方向に配列され、ホルダ52Aに保持されている。
ホルダ52Aは、複数のマグネット53Aの間に沿って軸方向に延びる複数の仕切部60Aを、有している。図1に示すように、各仕切部60Aの軸方向の寸法は、その仕切部60Aに保持されるマグネット53Aの軸方向の寸法より、長くなっている。
また、2つの回転体41A,42Aは、複数のマグネット53Aの周方向位置を互いにずらした状態で、配置されている。このため、仕切部60Aが、マグネット53Aの軸方向の移動を制限する。それにより、一方の回転体41Aのマグネット53Aと、他方の回転体42Aのマグネット53Aとの接触が、防止される。したがって、各マグネット53Aの損傷が、抑制される。
このロータユニット32Aを製造するときには、まず、ロータコア51Aを金型の内部に配置する。そして、金型の内部に樹脂を射出する。これにより、複数の仕切部60Aを有する形状に、ホルダ52Aをインサート成型する。ここでは、仕切部60Aの軸方向の寸法が、マグネット53Aの軸方向の寸法より長くなるように、ホルダ52Aを成型する。インサート成型の製造工程では、ホルダ52Aの成型と、ロータコア51Aおよびホルダ52Aの固定との、双方が行われる。このため、ロータコア51Aおよびホルダ52Aの製造工程が、短縮される。
続いて、互いに隣り合う一対の仕切部60Aの間に、マグネット53Aを配置する。仮に、マグネットも含めてインサート成型しようとすると、インサート成型前に、ロータコアにマグネットを接着する等して、少なくとも一旦固定する必要がある。これに対し、本実施形態では、成型が完了して硬化した後のホルダ52Aを利用して、マグネット53Aを位置決めする。このため、マグネット53Aも含めてインサート成型する場合より、複数のマグネット53Aを、容易に精度よく位置決めできる。
その後、上記の工程により作製された2つの回転体41A,42Aを、軸方向に配列する。このとき、複数のマグネット53Aの周方向位置を互いにずらした状態で、複数の回転体41A,42Aを配列する。
<2.より具体的な実施形態> <2−1.モータの全体構成> 続いて、本発明のより具体的な実施形態について説明する。
図2は、回転電機の一例となるモータ1の縦断面図である。本実施形態のモータ1は、自動車に搭載され、パワーステアリングの駆動力を発生させるために使用される。図2に示すように、モータ1は、静止部2と回転部3とを、有している。回転部3は、静止部2に対して、回転可能に支持されている。
本実施形態の静止部2は、ハウジング21、蓋部22、電機子23、下軸受部24、および上軸受部25を、有している。
ハウジング21は、電機子23、下軸受部24、および回転部3を内部に収容する、有底略円筒状の筐体である。ハウジング21の下面の中央には、下軸受部24を保持するための凹部211が、形成されている。蓋部22は、ハウジング21の上部の開口を閉塞する板状の部材である。蓋部22の中央には、上軸受部25を保持するための円孔221が、形成されている。
電機子23は、駆動電流に応じて磁束を発生させる。電機子23は、ステータコア26と、コイル27と、を有する。ステータコア26は、複数の鋼板を軸方向(中心軸9に沿う方向。以下同じ)に積層した積層鋼板からなる。ステータコア26は、円環状のコアバック261と、コアバック261から径方向(中心軸9に直交する方向。以下同じ)内側へ向けて突出した複数本のティース部262と、を有する。コアバック261は、ハウジング21の側壁の内周面に、固定されている。コイル27は、ステータコア26の各ティース部262に巻回された導線により、構成されている。
下軸受部24および上軸受部25は、回転部3側のシャフト31を回転可能に支持する機構である。本実施形態の下軸受部24および上軸受部25には、球体を介して外輪と内輪とを相対回転させるボールベアリングが、使用されている。ただし、ボールベアリングに代えて、すべり軸受や流体軸受等の他方式の軸受が、使用されていてもよい。
下軸受部24の外輪241は、ハウジング21の凹部211に、固定されている。また、上軸受部25の外輪251は、蓋部22の円孔221の縁に、固定されている。一方、下軸受部24および上軸受部25の内輪242,252は、シャフト31に固定されている。このため、シャフト31は、ハウジング21および蓋部22に対して、回転可能に支持されている。
本実施形態の回転部3は、シャフト31と、ロータユニット32とを、有している。
シャフト31は、中心軸9に沿って上下方向に延びる略円柱状の部材である。シャフト31は、上述した下軸受部24および上軸受部25に支持されつつ、中心軸9を中心として回転する。また、シャフト31は、蓋部22より上方に突出した頭部311を有する。頭部311は、ギア等の動力伝達機構を介して、自動車の操舵装置に連結される。
ロータユニット32は、電機子23の径方向内側において、シャフト31とともに回転するユニットである。ロータユニット32は、第1回転体41、第2回転体42、およびカバー43を、備えている。
本実施形態の第1回転体41および第2回転体42は、それぞれ、ロータコア51、マグネットホルダ52、および複数のマグネット53を、有している。第1回転体41および第2回転体42は、マグネット53が露出した天面同士を互いに向き合わせ、他端面である底面同士を互いに背けた状態で、中心軸9に沿って配列されている。
カバー43は、ロータユニット32を保持する略円筒状の部材である。カバー43は、ロータユニット32の外周面および軸方向両端面の一部分を、覆っている。これにより、第1回転体41と第2回転体42とが、互いに接触した状態に、維持されている。
このようなモータ1において、静止部2のコイル27に駆動電流を与えると、ステータコア26の複数のティース部262に、径方向の磁束が発生する。そして、ティース部262とマグネット53との間の磁束の作用により、周方向のト
ルクが発生する。その結果、静止部2に対して回転部3が、中心軸9を中心として回転する。回転部3が回転すると、シャフト31に連結された操舵装置に、駆動力が伝達される。
<2−2.第1回転体および第2回転体の構造について> 続いて、ロータユニット32のより詳細な構造について、説明する。上述の通り、本実施形態のロータユニット32は、第1回転体41、第2回転体42、およびカバー43を、有している。以下では、まず、第1回転体41および第2回転体42の構造について、説明する。
図3は、第1回転体41の斜視図である。図4は、第1回転体41の天面図である。図3および図4に示すように、第1回転体41は、ロータコア51(第1ロータコア)、マグネットホルダ52(第1ホルダ)、および複数のマグネット53(第1マグネット)を、有している。
ロータコア51は、中心軸9を包囲する環状の部材である。ロータコア51の中央には、シャフト31が挿入される貫通孔511が、設けられている。ロータコア51は、電磁鋼板を軸方向に積層させた積層鋼板からなる。本実施形態のロータコア51は、略正多角柱状の外周面を、有している。ロータコア51の外周面には、軸方向に延びる複数の溝部512が、設けられている。溝部512は、ロータコア51の外周面を構成する複数の平面の境界部において、径方向内側へ窪んでいる。
マグネットホルダ52は、マグネット53を保持する樹脂製の部材である。マグネットホルダ52は、複数の仕切部60(第1仕切部)と、複数の仕切部60の底面側の端部を接続する円環状の連結部70(第1連結部)と、を有している。複数の仕切部60は、周方向に略等間隔に配列されている。各仕切部60は、ロータコア51の溝部512の付近において、ロータコア51の側面に沿って軸方向に延びている。
仕切部60は、内側柱状部61および外側柱状部62を、有している。内側柱状部61は、溝部512内、すなわち、ロータコア51の外周面より径方向内側において、軸方向に延びている。本実施形態では、内側柱状部61の天面側の端部は、ロータコア51の天面とほぼ同等の軸方向位置に、配置されている。外側柱状部62は、ロータコア51の外周面より径方向外側において、軸方向に延びている。外側柱状部62の天面側の端部には、ロータコア51の天面より第2回転体42側へ突出した凸部63が、設けられている。
複数のマグネット53は、ロータコア51の周囲に配列されている。各マグネット53は、略平板状の外形を有し、互いに隣り合う一対の仕切部60の間に、圧入されている。マグネット53の底面側の端部は、マグネットホルダ52の連結部70に当接する。すなわち、マグネットホルダ52の連結部70は、マグネット53の底面側の端部に当接する当接面71を、有している。
マグネット53の径方向外側の面は、電機子23に対向する磁極面となっている。複数のマグネット53は、N極の磁極面とS極の磁極面とが交互に並ぶように、周方向に等間隔に配置されている。なお、マグネット53には、例えば、Nd−Fe−B合金系の焼結磁石を、使用することができる。
本実施形態の第2回転体42は、天面と底面とを反転させた姿勢で配置されているが、構造自体は第1回転体41と略同一である。すなわち、第2回転体42は、第1回転体41と同様のロータコア51、マグネットホルダ52、および複数のマグネット53を、有している。第2回転体42の各部の詳細について、重複する説明は省略する。第2回転体42において、ロータコア51は第2ロータコア、マグネットホルダ52は第2ホルダ、マグネット53は第2マグネット、仕切部60は第2仕切部、連結部70は第2連結部、に相当する。
図5は、カバー43の内部に配置される第1回転体41および第2回転体42の斜視図である。図5に示すように、第1回転体41および第2回転体42は、天面同士を互いに向き合わせ、底面同士を互いに背けた状態で、軸方向に配列されている。また、第1回転体41および第2回転体42は、複数のマグネット53の周方向位置を互いにずらした状態で、配列されている。このように、マグネットの周方向位置をずらすことにより、モータ1のコギングやトルクリップルが、低減される。
上述の通り、内側柱状部61の天面側の端部は、ロータコア51の天面とほぼ同等の軸方向位置に、配置されている。そして、ロータコア51の外周面より径方向外側の位置には、凸部63(図3参照)が設けられている。このため、本実施形態では、ロータコア51同士を接触させつつ、第1回転体41および第2回転体42の周方向位置を、ずらすことができる。なお、内側柱状部61の天面側の端部は、ロータコア51の天面より底面側に、位置していてもよい。
図6は、第1回転体41および第2回転体42の部分側面図である。図6に示すように、各回転体41,42において、連結部70の当接面71から凸部63の天面側の端部までの軸方向の寸法d1は、マグネット53の軸方向の寸法d2より、長い。このため、仮に、マグネット53の軸方向位置がずれたとしても、マグネット53同士が接触する前に、マグネット53の天面側の端面が、他方の回転体の凸部63に当接する。すなわち、仕切部60の凸部63が、マグネット53の軸方向の移動を制限する。これにより、マグネット53同士の接触が、防止される。それゆえ、マグネット53の損傷を抑制できる。
特に、本実施形態のロータコア51は、略正多角柱状の外形を有している。そして、2つの回転体41,42のロータコア51が、周方向の位置を互いにずらした状態で、配置されている。このため、一方の回転体のロータコア51の角部は、他方のロータコア51の径方向外側にはみ出し、他方の回転体のマグネット53と、軸方向に対向する。したがって、仮に、マグネット53の軸方向の移動が制限されていなければ、ロータコア51の角部とマグネット53との接触が生じ得る。
この点について、本実施形態では、各回転体の凸部63が、ロータコア51の天面より他方の回転体側へ、突出している。すなわち、当接面71から凸部63の天面側の端部までの軸方向の寸法d1は、当接面71からロータコア51の天面までの軸方向の寸法d3より、長い。また、マグネット53の軸方向の寸法d2は、当接面71からロータコア51の天面までの軸方向の寸法d3より、短い。
このため、仮に、マグネット53の軸方向位置がずれたとしても、マグネット53は、ロータコア51の角部に接触する前に、他方の回転体の凸部63に当接する。このように、本実施形態の仕切部60は、マグネット53同士の接触だけではなく、ロータコア51とマグネット53との接触も、防止する。これにより、マグネット53の損傷が、さらに抑制される。
また、本実施形態では、当接面71からロータコア51の天面までの軸方向の寸法d3は、マグネット53の軸方向の寸法d2と、ロータコア51の天面から凸部63の天面側の端部までの軸方向の寸法d4との和より、大きい。このため、一方の回転体のマグネット53と、他方の回転体の凸部63との間に、隙間が設けられる。この隙間により、各部材の寸法誤差を吸収できる。
特に、本実施形態のロータコア51は、積層鋼板からなる。このため、ロータコア51の軸方向の寸法が、ばらつきやすい。したがって、マグネット53同士の接近、または、ロータコア51とマグネット53との接近が、生じやすい。しかしながら、上記の寸法関係を満たしていれば、マグネット53同士の接触、および、ロータコア51とマグネット53との接触を、防止できる。
<2−3.カバーの固定構造について> 続いて、第1回転体41および第2回転体42に対するカバー43の固定構造について、説明する。カバー43は、鉄、アルミニウム等の非磁性体の金属からなる。カバー43は、例えば、プレス加工等により形成される。図7は、ロータユニット32の部分縦断面図である。図7に示すように、カバー43は、円筒部431、第1環状かしめ部432(第1環状部)、および第2環状かしめ部433(第2環状部)を、有している。円筒部431は、第1回転体41および第2回転体42の外周面を、包囲している。なお、カバー43は、非磁性体の金属に限らず、非磁性体の樹脂等から形成されていてもよい。
第1環状かしめ部432は、第1回転体41の底面に沿って径方向内側へ曲折された、円環状の部位である。第1環状かしめ部432は、第1回転体41のマグネットホルダ52の底面に、当接している。ここで、連結部70の底面には、図5に示す複数の切り欠き72,73が、設けられている。第1環状かしめ部432の径方向内側の端部は、切り欠き72,73内に入り込むように、さらにかしめられている。これにより、第1回転体41とカバー43との、中心軸9を中心とする周方向の相対回転が、防止されている。
なお、複数の切り欠き72,73は、図5のように、複数のマグネット53に対応する周方向位置に、設けられている。また、本実施形態の複数の切り欠き72,73は、矩形状の切り欠き72と半円状の切り欠き73とを含み、外観上区別できるこれらの切り欠き72,73が、周方向に交互に配列されている。カバー43を取り付けた後も、これらの切り欠き72,73は、ロータユニット32の外部から視認できる。したがって、これらの切り欠き72,73に基づいて、ロータユニット32のN極およびS極の位置を、確認できる。
第2環状かしめ部433は、第2回転体42側の底面の縁に沿って、径方向内側へ曲折されている。第2環状かしめ部433は、第2回転体42のマグネットホルダ52の底面に、当接している。第2環状かしめ部433の径方向の寸法は、第1環状かしめ部433の径方向の寸法より、小さい。これにより、第2環状かしめ部433における皺の発生が、抑制されている。
第1回転体41および第2回転体42は、第1環状かしめ部432および第2環状かしめ部433に、それぞれ接触した状態で、第1環状かしめ部432と第2環状かしめ部433との間に挟まれている。これにより、第1回転体41および第2回転体42は、互いに接触した状態で、保持されることとなる。このように、本実施形態のカバー43は、両端部をかしめることによって、第1回転体41および第2回転体42を、容易かつ確実に固定するものとなっている。このカバー43の構造は、本実施形態の第1回転体41および第2回転体42に限らず、軸方向に配列された複数の回転体を固定するものとして、広く適用できるものである。
<2−4.ロータユニットの製造方法> 続いて、ロータユニット32の製造方法の一例について、図8のフローチャートを参照しつつ、説明する。
ロータユニット32を製造するときには、まず、一対の金型と、予め作製されたロータコア51とを用意する(ステップS1)。ロータコア51は、例えば、打ち抜き加工された鋼板を、軸方向に積層することにより、作製される。一対の金型は、互いの対向面を当接させることにより、それらの内部に、ロータコア51およびマグネットホルダ52の形状に対応する空洞を形成するものが、使用される。
次に、一対の金型の内部に、ロータコア51を配置する(ステップS2)。ここでは、まず、一方の金型の内部に、ロータコア51を配置する。そして、当該金型の上部を、他方の金型で閉鎖する。これにより、金型の内部に空洞が形成され、当該空洞にロータコア51が配置された状態となる。
続いて、金型内の空洞に、流動状態の樹脂を射出する(ステップS3)。ここでは、金型に設けられたランナーを通して、金型内の空洞へ、流動状態の樹脂を射出する。
金型内の空洞に樹脂が行き渡ると、続いて、金型内の樹脂を、冷却して固化する(ステップS4)
。金型内の樹脂は、固化されることにより、マグネットホルダ52となる。また、樹脂の固化とともに、ロータコア51とマグネットホルダ52とが、固定される。マグネットホルダ52は、複数の仕切部60と連結部70とを有し、上述した図6の寸法関係を満たすように、成型される。
その後、一対の金型を開き、ロータコア51およびマグネットホルダ52を、金型から離型させる(ステップS5)。
以上のステップS1〜S5は、インサート成型の一例となる手順である。インサート成型時には、マグネットホルダ52の成型と、ロータコア51およびマグネットホルダ52の固定との、双方が行われる。このため、ロータコア51およびマグネットホルダ52を別個に作製して互いに固定する場合より、ロータコア51およびマグネットホルダ52の製造工程を短縮できる。
インサート成型時には、ロータコア51の天面を、一方の金型に当接させることにより、ロータコア51を位置決めすることが、好ましい。すなわち、一対の金型の内部に、天面側を基準として、ロータコア51を軸方向に位置決めすることが、好ましい。天面側を基準としてロータコア51を位置決めすれば、ロータコア51の軸方向寸法にばらつきがあったとしても、そのばらつきに応じて、マグネットホルダ52の連結部70の厚みが、増減される。したがって、ロータコア51の軸方向寸法のばらつきに拘わらず、上述したd1〜d4の寸法関係を、実現できる。
インサート成型が完了すると、次に、マグネット53を準備し、互いに隣り合う一対の外側柱状部62の間に、マグネット53を圧入する(ステップS6)。そして、マグネット53の底面を、連結部70の当接面71に当接させる。マグネット53の軸方向および周方向の位置は、マグネットホルダ52の当接面71および外側柱状部62により、定められる。
仮に、上記のインサート成型時に、金型の内部に複数のマグネットも配置しようとすると、ロータコアに対するマグネットの位置決めを行うために、金型の構造が複雑となる。または、インサート成型の前に、ロータコアにマグネットを、一旦接着する等して固定しておく必要がある。これに対し、本実施形態では、インサート成型が完了して硬化した後のマグネットホルダ52を利用して、マグネット53を位置決めする。このため、複数のマグネット53を、容易に精度よく位置決めできる。
以上のステップS1〜S6により、第1回転体41と第2回転体42とを、それぞれ作製する。本実施形態では、第1回転体41のマグネットホルダ52と、第2回転体42のマグネットホルダ52とが、略同一の形状を有する。このため、インサート成型時には、各回転体41,42のマグネットホルダ52を、同一の金型を使用して、作製できる。
次に、第1回転体41および第2回転体42を、軸方向に配列する(ステップS7)。ここでは、天面同士を互いに向き合わせ、底面同士を互いに背け、かつ、複数のマグネット53の周方向位置を互いにずらした状態で、両回転体41,42を配列する。
その後、第1回転体41および第2回転体42に、カバー43を取り付ける(ステップS8)。ここでは、円筒状のカバー43の内部に、第1回転体41および第2回転体42を挿入した後、カバー43の両端部をかしめて、第1かしめ部432および第2かしめ部433を、形成する。これにより、第1回転体41および第2回転体42を、互いに接触した状態に、固定する。
<3.他の実施形態> 続いて、本発明の他の実施形態について、上記実施形態との相違点を中心に説明する。図9は、他の実施形態に係るロータユニット32Bの側面図である。図9では、カバーの図示は省略されている。図9に示すように、このロータユニット32Bは、第1回転体41B、第2回転体42B、および中央回転体44Bを備えている。
第1回転体41Bおよび第2回転体42Bの構造は、上記実施形態の第1回転体41および第2回転体42と、同等である。すなわち、第1回転体41Bおよび第2回転体42Bは、それぞれ、上記実施形態と同等のロータコア51B、マグネットホルダ52B、および複数のマグネット53Bを、有している。各部の詳細については、重複する説明を省略する。
中央回転体44Bは、中央ロータコア54B、中央マグネットホルダ55B、および複数の中央マグネット56Bを、有している。本実施形態の中央ロータコア54Bには、第1回転体41Bおよび第2回転体42Bのロータコア51Bと、同等のものが使用されている。中央ロータコア54Bは、一対のロータコア51Bの間において、シャフトに固定される。
また、本実施形態の中央マグネット56Bには、第1回転体41Bおよび第2回転体42Bのマグネット53Bと、同等のものが使用されている。複数の中央マグネット56Bは、中央ロータコア54Bの周囲に、等間隔に配列されている。中央回転体44Bが有する中央マグネット56Bの数は、第1回転体41Bおよび第2回転体42Bのそれぞれが有するマグネット53Bの数と、同数となっている。
中央マグネットホルダ55Bは、中央マグネット56Bを保持する樹脂製の部材である。中央マグネットホルダ55Bは、連結部70Bを有していない点において、第1回転体41Bおよび第2回転体42Bのマグネットホルダ52Bと相違する。中央マグネットホルダ55Bは、複数の中央仕切部90Bを有している。各中央仕切部90Bは、互いに隣り合う中央マグネット56Bの間において、軸方向に延びている。
中央仕切部90Bの第1回転体41B側の端部には、第1凸部93Bが設けられている。第1凸部93Bは、中央ロータコア54Bの第1回転体41B側の端部より第1回転体41B側へ、突出している。また、中央仕切部90Bの第2回転体42B側の端部には、第2凸部94Bが設けられている。第2凸部94Bは、中央ロータコア54Bの第2回転体42B側の端部より第2回転体42B側へ、突出している。
図9に示すように、第1回転体41Bおよび第2回転体42Bは、天面同士を互いに向き合わせ、底面同士を互いに背けた状態で、軸方向に配列されている。また、中央回転体44Bは、第1回転体41Bと第2回転体42Bとの間に、配置されている。第1回転体41B、中央回転体44B、および第2回転体42Bは、複数のマグネット53B,56Bの周方向位置を互いにずらした状態で、配列されている。このように、マグネット53B,56Bの周方向位置をずらすことにより、モータのコギングやトルクリップルが、低減される。
図10は、第1回転体41B、第2回転体42B、および中央回転体44Bの部分側面図である。図10に示すように、中央仕切部90Bの軸方向寸法d5、すなわち、第1凸部93Bの第1回転体41B側の端部から第2凸部94Bの第2回転体42B側の端部までの軸方向寸法d5は、中央ロータコア54Bの軸方向寸法d6より長い。また、中央マグネット56Bの軸方向寸法d7は、中央ロータコア54Bの軸方向寸法d6より短い。
そして、中央マグネット56Bは、第1回転体41Bの仕切部60Bに設けられた凸部63Bと、第2回転体42Bの仕切部60Bに設けられた凸部63Bとの間に、配置されている。
このため、仮に、中央マグネット56Bの軸方向位置がずれたとしても、中央マグネット56Bが他のマグネット53Bやロータコア51Bに当接する前に、中央マグネット56Bの端面は、第1回転体41Bまたは第2回転体42Bの凸部63Bに当接する。このように、第1回転体41Bおよび第2回転体42Bの仕切部60Bの凸部63Bが、中央マグネット56Bの軸方向の移動を制限する。これにより、中央マグネット56Bの損傷が、抑制される。
また、第1回転体41Bおよび第2回転体42Bにおいて、当接面71Bから凸部63の天面側の端部までの軸方向寸法d8は、当接面71Bからロータコア51Bの天面までの軸方向寸法d9より長い。また、マグネット53Bの軸方向寸法d10は、当接面71Bからロータコア51Bの天面までの軸方向寸法d9より短い。そして、マグネット53Bは、当接面71Bと、中央仕切部90Bに設けられた第1凸部93Bまたは第2凸部94Bとの間に、配置されている。
図10の例では、第1凸部93Bと、第1回転体41Bのマグネット53Bの天面との間には、隙間が設けられている。この隙間により、各部材の寸法誤差が、許容されている。また、仮に、第1回転体41Bのマグネット53Bの軸方向位置がずれたとしても、マグネット53Bが中央マグネット56Bや中央ロータコア54Bに当接する前に、マグネット53Bの端面は、第1凸部93Bに当接する。このように、中央仕切部90Bの第1凸部93Bが、第1回転体41Bマグネット53Bの軸方向の移動を制限する。これにより、マグネット53Bの損傷が、抑制される。
一方、第2凸部94Bは、第2回転体42Bのマグネット53Bの天面に、当接している。すなわち、本実施形態では、第2回転体42Bのマグネット53Bが、第2回転体42Bの当接面71Bと、第2突部94Bとの、双方に当接している。これにより、第2回転体42Bのマグネット53Bの軸方向位置のずれ自体が、防止されている。
中央回転体44Bは、上記実施形態の第1回転体41Bや第2回転体42Bの製造方法に準じた製造方法で、作製される。中央マグネットホルダ55Bは、中央ロータコア54Bを金型の内部に配置して、インサート成型される。
インサート成型時には、例えば、中央ロータコア54Bの第1回転体41B側の端面を、一方の金型に当接させる。すなわち、一対の金型の内部に、第1回転体41B側の端面を基準として、中央ロータコア54Bを、軸方向に位置決めする。このようにすれば、中央ロータコア54Bの軸方向寸法のばらつきに拘わらず、中央ロータコア54Bの第1回転体41B側の端面から、第1凸部93Bを突出させることができる。
しかしながら、中央ロータコア54Bを、第1回転体41B側の端面を基準として位置決めすると、中央ロータコア54Bの第2回転体42B側の端面と、第2凸部94Bの第2回転体42B側の端部との位置関係は、中央ロータコア54Bの軸方向寸法のばらつきによって、変動する。このため、本実施形態では、第2凸部94Bを第1凸部93Bより長めに成型し、中央ロータコア54Bの第2回転体42B側の端面から、第2凸部94Bが必ず突出するようにしている。そして、第2回転体42Bと中央回転体44Bとを配置するときに、第2回転体42Bのマグネット53Bに第2凸部94Bの先端部を押し付けて潰し、第2凸部94Bの寸法を調整している。
また、本実施形態では、中央ロータコア54Bの軸方向寸法のばらつきに拘わらず、中央ロータコア54Bの第2回転体42B側の端面が、第2凸部94Bの基端部より第2回転体42B側に配置されるように、中央ロータコア54Bおよび中央マグネットホルダ55Bの寸法が、設定されている。これにより、中央ロータコア54Bの第2回転体42B側の端面と、第2回転体42Bのロータコア51Bの天面とが、互いに接触するようにされている。
<4.変形例> 以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
ロータコアの外周面は、上記のような多角柱状であってもよく、他の一例として、円筒状であってもよい。また、マグネットホルダの仕切部の数や、マグネットの数は、上記の実施形態と異なる数であってもよい。
仕切部は、上記のような凸部を有することなく、全体的にロータコアの天面より他方の回転体側へ突出するものであってもよい。
マグネットホルダは、上記のように、インサート成型で作製されたものであっ
てもよく、ロータコアとは別に単独で成型されたものであってもよい。
本発明の複数の回転体は、互いに異なる構造であってもよい。また、本発明のロータユニットは、4つ以上の回転体を備えるものであってもよい。例えば、第1回転体と第2回転体との間に、2つ以上の中央回転体が配置されていてもよい。
また、本発明の回転電機は、上記のようなパワーステアリング用のモータであってもよく、自動車の他の部位に使用されるモータであってもよい。例えば、本発明の回転電機は、電気自動車の駆動力を発生させるためのモータであってもよい。また、本発明の回転電機は、電動アシスト自転車、電動バイク、家電製品、OA機器、医療機器等に使用されるモータであってもよい。
また、上記の実施形態や変形例のモータと同等の構造で、発電機を構成することもできる。本発明の回転電機は、自動車、電動アシスト自転車、風力発電等に使用される発電機であってもよい。
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。