JP6399056B2 - ポリエチレン被覆鋼管およびその製造方法 - Google Patents

ポリエチレン被覆鋼管およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエチレン被覆層の密着性に優れたポリエチレン被覆鋼管およびその製造方法に関する。また、本発明は、ガス管、水道管、ケーブル保護管、ラインパイプ等に用いられる外面ポリエチレン被覆鋼管に関する。
鋼管表面に防食層としてポリエチレン被覆層を被覆したポリエチレン被覆鋼管は、防食性に優れ各種配管に利用されている。ポリエチレン被覆鋼管は特に海底や地下への埋設用途が増大しており、その場合、電気防食が併用されることが多い。電気防食の効果によってポリエチレン被覆鋼管の鋼管は防食されるが、一方でポリエチレン被覆層が鋼管外表面から剥離しやすくなる問題があり、この問題は陰極剥離として知られている。
このような陰極剥離を抑制する方法として、クロメート処理が有効であることが知られている。例えば、特許文献1には、鋼材表面にクロメート層を有するクロメート被覆鋼材であって、エポキシプライマー層、無水マレイン酸変性ポリオレフィン層及びポリオレフィン層を順次積層した樹脂被覆重防食鋼材が開示されている。また、特許文献2には、鋼材の表面に特定のエポキシプライマーを適用するとともに、下地処理としてクロメート処理を施すことが示されている。
また、近年では環境負荷の観点からクロメート処理を施さない、すなわち、ノンクロメート処理を施した耐食性に優れた有機被覆鋼材が望まれている。特許文献3には、ノンクロメート処理を施した耐食性に優れた有機被覆鋼板が示されている。
特開2005−35061号公報 特開2000−190422号公報 特開2011−111638号公報
特許文献1、2の方法では、鋼管を被覆する場合は環境負荷の高いクロメート処理を必要とする問題がある。特許文献3の方法はめっき鋼板を処理して耐食性を向上させるものであり、また、陰極剥離を抑制するものでもないという問題がある。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、ポリエチレン被覆層の耐陰極剥離性に優れるとともに、クロメート処理を施すことなく製造することができるポリエチレン被覆鋼管を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、鋼管外表面とポリエチレン被覆層の間に存在する粉じん量が陰極剥離に影響することを突き止めた。そこで、複数の鋼管外表面の粉じん付着状態のポリエチレン被覆鋼管を製造し、その耐陰極剥離性との関係の検討を行って、本発明を完成させた。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]鋼管外表面にポリエチレン被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、前記鋼管外表面と前記ポリエチレン被覆層間に含まれる粉じん量が、剥離したポリエチレン被覆層の鋼管外表面に接していた面をXPSで測定したFeの表面元素割合が1.0%以下となる量である、ポリエチレン被覆鋼管。
[2]電気防食とともに使用される、[1]に記載のポリエチレン被覆鋼管。
[3]海底または地下への埋設用である、[1]または[2]に記載のポリエチレン被覆鋼管。
[4]ブラスト処理後、JIS Z0313(2004)に規定された方法で粘着媒体に鋼管外表面の粉じんを付着させ、その粘着媒体を白色紙に貼り付け、画像解析により、256階調での輝度を測定し、その平均値が220以上である鋼管に、ポリエチレン被覆をする、ポリエチレン被覆鋼管の製造方法。
[5]前記輝度の平均値が220以上である鋼管の外表面にシランカップリング剤を塗布し、乾燥させる下地処理を行い、その後前記ポリエチレン被覆をする、[4]に記載のポリエチレン被覆鋼管の製造方法。
[6]前記シランカップリング剤の乾燥を、赤外線加熱、誘導加熱、もしくは熱風加熱のいずれか、またはこれらの組み合わせにて行う、[5]に記載のポリエチレン被覆鋼管の製造方法。
[7]前記シランカップリング剤の乾燥を、赤外線加熱にて行う、[6]に記載のポリエチレン被覆鋼管の製造方法。
なお、本発明において、ポリエチレン被覆層の密着性に優れたとは、後述の実施例に記載の試験において、陰極剥離距離の平均値が20mm以下であることを意味する。
本発明のポリエチレン被覆鋼管は、電気防食が併用された場合において、ポリエチレン被覆層の陰極剥離が効果的に抑制され、優れた防食性を発揮する。このように本発明のポリエチレン被覆鋼管は、優れた耐陰極剥離性を有するため、特に海底や地下への埋設用途に好適である。
以下本発明の構成を説明する。本発明のポリエチレン被覆鋼管は、優れた耐陰極剥離性を発揮するため、鋼管外表面の粉じん量の規定が必要となる。該粉じんはFeを主成分とし、通常、ブラスト処理粒子の破片、ブラスト処理によって剥離した鋼管の破片、鋼管外表面に残存したスケール等を含んでいることが多い。
1.鋼管外表面に付着した粉じん量について
陰極剥離は鋼管外表面とポリエチレン被覆層間で生じる。鋼管外表面にブラスト処理等で付着した粉じんが多量に付着していると、その部分で鋼管外表面とポリエチレン被覆層の密着が十分なされないため、陰極剥離が生じやすくなる。そのため、以下のように鋼管外表面の粉じん付着量を制御することにより、優れた耐陰極剥離性を発揮する。
例えば、ポリエチレン被覆鋼管のポリエチレン被覆層を強制剥離し、剥離した被覆層の鋼管外表面に接していた面をXPS(X線光電子分光分析)により分析し、Feの表面元素割合が1.0%以下であることとする。後述の製造方法において記載のとおり、例えば鋼管外表面のエアブロー等により鋼管外表面に付着した粉じん量を低減できる。ポリエチレン被覆層を強制剥離する方法は、特に限定されるものではないが、例えばポリエチレン被覆鋼管の一部20mm×50mmほどを切り出し測定用片とし、測定用片を液体窒素中に浸漬した後、取り出してポリエチレン被覆層をプラスチックハンマーで叩くなどすると、ポリエチレン被覆層が鋼管外表面から剥離する。剥離したポリエチレン被覆層の鋼管外表面に接していた面10mm×10mmを以下の条件でXPSにより分析する。Feの表面元素割合を1.0%以下とすることでポリエチレン被覆層と鋼管外表面との密着性が向上し、陰極剥離が発生し難くなる。Feの表面元素割合が1.0%を超える場合、ポリエチレン被覆層と鋼管外表面との密着性が低下し、陰極剥離が発生し易くなる。Feの表面元素割合は好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.3%以下である。
−XPS分析条件−
(1)XPSの分析条件は、光電子脱出角度を45度として、測定範囲を約5mm×5mmの範囲とし、光電子エネルギーを0〜1100eVの範囲でスキャンすることで存在元素情報を得ることが出来る。(2)得られた全元素ピーク強度に対するFeのピーク強度の比からFe元素割合を求めることができる。
2.鋼管について
本発明で用いられる母材鋼管の種類や寸法などに特に制限はなく、鋼管の種類としては、例えば、電縫鋼管、スパイラル鋼管、UOE鋼管、プレスベンド鋼管等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。強度や経済性の面から母材鋼管は電縫鋼管が好ましい。
3.ポリエチレン被覆について
ポリエチレン被覆には一般的な材料を用いることができる。ポリエチレン被覆層は鋼管外表面に接する側から順にプライマー層、接着性ポリエチレン層、ポリエチレン層を形成することで作製できる。なお、ポリエチレン被覆層は後述のシランカップリング剤を使用して形成した表面処理層を更に含んでもよい。本発明のポリエチレン被覆層は、クロメート処理により形成した表面処理層を含まない。
プライマー層を形成するためのプライマーとして例えば、エポキシプライマー(JIS G3477−1:2012)等を用いることができる。
接着性ポリエチレン層を形成するための接着性ポリエチレン樹脂としては、例えば無水マレイン酸変性ポリエチレン、不飽和カルボン酸変性ポリエチレン等を用いることができる。
ポリエチレン層を形成するためのポリエチレン樹脂としては低密度、中密度、高密度のいずれを用いてもよいが、特に高密度ポリエチレン樹脂(0.94〜0.97g/cm)が防食性の観点から望ましい。ポリエチレン樹脂には、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、顔料、充填剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤等の添加剤を加えることができる。
ポリエチレン被覆層は厚さ1mm〜5mm程度が防食性と経済性の面から好ましい。防食性の面から、さらに好ましい下限は2.5mmである。
4.製造方法について
以下に本発明のポリエチレン被覆鋼管の製造方法について説明する。まず、鋼管外表面をブラスト処理する。その後エアブロー等で鋼管外表面の粉じんを除去する。次いでエアブロー後の鋼管外表面における粉じんを、JIS Z0313(2004)に規定された方法で粘着媒体であるセロハン粘着テープ(JIS Z1522:2009)に付着させ、その粘着媒体を白色紙に貼り付け、画像解析により、256階調での輝度を測定し、その平均値が220以上であることを確認する。また、あらかじめ、輝度が220以上であることを確認した見本サンプルと比較し、粉じんの除去状況を確認しても良い。上記粘着媒体は、粘着力1.8N/10mm以上の粘着層を有する透明の薄膜である。
上記白色紙は、白色度90%〜95%である(後述の実施例では白色普通紙とも称する)。使用可能の白色紙として、例えば、JIS P0001:1998 に示されるPPC用紙やインクジェット用紙等がある。
輝度の測定は256階調でおこなう。より具体的には、輝度の測定は、例えば複合機などを用い白色紙上に貼り付けたセロハン粘着テープをスキャンし、Adobe社製画像解析ソフトPhotoshopCS6を用いて、セロハン粘着テープ画像の任意の位置を指定し、その範囲輝度の平均値を測定することができる。
画像解析のサイズは特に限定されないが、簡便さの観点から20mm×20mmとすることが好ましい。また、輝度の平均値を求めるにあたり、測定回数は2以上とする。測定回数は、好ましくは、2〜5である。
粉じんの付着量が多い場合、輝度の平均値は低くなる。輝度の平均値が220以上となる粉じんの少ない状態でポリエチレン被覆を行うと、鋼管外表面とポリエチレン被覆層の密着性が向上し、陰極剥離が発生し難くなる。輝度の平均値が220未満の場合、ポリエチレン被覆層と鋼管外表面との密着性が低下し、陰極剥離が発生し易くなる。輝度の平均値は好ましくは230以上、さらに好ましくは240以上である。
ポリエチレン被覆層の形成方法は特に限定されない。例えば、外表面の粉じんが除去された鋼管にエポキシプライマーを塗布し、所定温度(例えば130〜170℃)まで誘導加熱装置、熱風炉等で加熱し、更に外側に極性を有する接着性ポリエチレン層と、ポリエチレン層を順次、丸ダイス、Tダイス等より押出し被覆層を形成後、冷却するといった方法がある。また、外表面の粉じんが除去された鋼管にエポキシプライマーを塗布、加熱後、接着性ポリエチレン層とポリエチレン層を同時に丸ダイス、Tダイス等より押出し被覆するといった方法等も挙げられる。この場合、2層の被覆層が一度に形成されることになる。特に、この場合はポリエチレン被覆鋼管とした後のポリエチレン被覆層の接着性が優れたものになる。ポリエチレン被覆層は厚さ1mm〜5mm程度が防食性と経済性の面から好ましい。防食性の面から、さらに好ましい下限は2.5mmである。
さらに、耐陰極剥離性を向上させるため、鋼管を加熱後、上記ポリエチレン被覆層を形成するための樹脂を被覆する前に、0.5〜2質量%程度に希釈したシランカップリング剤をスプレー等で塗布し、乾燥させて表面処理層を形成しても良い。シランカップリング剤は特に限定されるものではないが、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基などの官能基をもつものを用いることができる。エポキシ基をもつシランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどがある。メルカプト基をもつシランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどがある。アミノ基をもつシランカップリング剤としては3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどがある。シランカップリング剤の乾燥条件は、適宜選択可能である。
シランカップリング剤の乾燥には赤外線加熱、誘導加熱、熱風加熱、もしくはこれら組み合わせを用いることが出来る。シランカップリング剤は加熱乾燥されることにより、水分が除去されるとともに、鋼表面の水酸基などと縮合反応し、耐陰極剥離性を向上させる。
シランカップリング剤の乾燥を赤外線加熱で行った場合には、耐陰極剥離性が他の加熱方法を採用した場合に比べて向上する。よって、より良好な耐陰極剥離性を求められる用途には赤外線加熱を行うのが有利である。
以上のとおり、本発明のポリエチレン被覆鋼管は、電気防食とともに使用されることが好ましい。また、本発明のポリエチレン被覆鋼管は、海底や地下への埋設用途に好適である。本発明のポリエチレン被覆鋼管は、海底や地下へ埋設され、かつ、電気防食とともに使用されることがより好ましい。
以下に、本発明の実施例を説明する。本実施例では、以下の方法により、鋼管外表面における粉じん付着量が異なるNo.1〜15のポリエチレン被覆鋼管について試験した。なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されない。
(輝度測定)
ブラスト処理したJIS SGP 400A鋼管について、エアブローで外表面に付着した粉じんを除去し、JIS JIS Z0313(2004)に規定された方法でセロハン粘着テープ(サイズ:24mm×200mm)に鋼管外表面の粉じんを付着させ、そのセロハン粘着テープを白色普通紙に貼り付けた。白色普通紙に貼り付けたテープはその後スキャナで電子データとし、画像解析ソフト(Adobe社製PhotoshopCS6)で上述の方法によりセロハン粘着テープの輝度を求めた。なお、鋼管1本につき3回輝度を測定し、その平均値を求めた。
(ポリエチレン被覆)
上記エアブロー処理した鋼管外表面に、市販の液状エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「基本液状タイプ828」)と硬化剤(三菱化学(株)製「変性脂肪族アミングレードT」)を混合したエポキシプライマーを膜厚が40μmとなるようにスプレー塗布し、誘導加熱により表面温度150℃まで加熱し硬化させた。
その後、市販の接着性ポリエチレン樹脂(三井化学(株)製「アドマーNE065」)、ポリエチレン樹脂(プライムポリマー(株)製「HI−ZEX5100E」、高密度ポリエチレン樹脂である)を押出被覆により被覆して、ポリエチレン被覆層の厚さが3mmとなるポリエチレン被覆鋼管を作製した。
(表面処理層形成)
また、一部の鋼管には上記エアブロー処理した鋼管にシランカップリング剤として、エポキシ基をもつ3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBM−403」)を用い、シランカップリング剤が1質量%となるように純水で希釈した処理液をスプレーで塗布し、その後赤外線加熱、誘導加熱、熱風加熱それぞれの装置により処理液が完全に乾燥するように加熱し、表面処理層を形成した後、上記のポリエチレン被覆を行った。表面処理層を有するものは、表1において、「表面処理液」欄に「エポキシシラン」と記載した。
(XPS測定)
ポリエチレン被覆後鋼管の端部20mm×50mmを切り出し測定用片とし、測定用片を液体窒素中に浸漬した後、取り出して被覆層をプラスチックハンマーで叩いてポリエチレン被覆層を鋼管外表面から剥離した。剥離したポリエチレン被覆層の鋼管外表面側10mm×10mmを上述の方法によりXPS測定し、Feの表面元素割合を測定した。
(参考例:No.15)
参考例としてクロメート処理を施した鋼管を用いたポリエチレン被覆鋼管を作製した。上記のシランカップリング剤の代わりに、クロメート処理液(関西ペイント(株)製「コスマー100」)を純水で1/5(質量%)に希釈したものを使用し、鋼管外表面にCr換算付着量が300mg/mとなるようスプレー塗布し、鋼管表面到達温度が100℃となるよう加熱乾燥させてクロメート層を形成した。それ以外は、他の実施例と同様とし、ポリエチレン被覆鋼管を作製した。Cr換算付着量は、クロメート層を形成したダミー板を作製し、所定面積のクロメート皮膜を10%NaOHで剥離した後、剥離溶液中のCr量を吸光光度法で測定し、これを元に1m当たりのCr換算付着量を算出した。
(陰極剥離試験)
ポリエチレン被覆鋼管から適当な大きさの試験片を採取し、以下の方法で陰極剥離距離を測定し、耐陰極剥離性を評価した。試験片の中央部に直径6mmφの円形の人工欠陥部を形成し、鋼管外表面を露出させた。人工欠陥部を中心にして直径70mmφのアクリル製の円筒をポリエチレン被覆層上に縦に設置してシール材でポリエチレン被覆層に固定し、円筒内部を3質量%NaCl水溶液で満たし、セルを作成した。
対極に白金を使用して人工欠陥部の鋼管の電位を−1.5V vsSCEにポテンシオスタットを使用して保持した。このまま60℃の恒温槽内に試験片を静置し、28日間電位を保持した。
以上の試験により、試験片には陰極剥離が生じている。次いで、試験片を回収後、セルをはずし、人工欠陥部の周囲をたがねとカッターを使用して強制的に剥離した。人工欠陥部の周辺部はポリエチレン被覆層が鋼管外表面から剥離し、鋼管の表面が露出した。人工欠陥部を中心とした4方向(管軸方向を12時方向として、12時、3時、6時、9時方向)で人工欠陥部端部からのポリエチレン被覆層剥離部の距離を測定して、その平均値を陰極剥離距離(mm)とした。この陰極剥離距離は、値が小さいほど良好であり、「20mm以下」を合格とした。合格であるポリエチレン被覆鋼管は、海底や地下への埋設用途に好適である。表1に試験結果を示す。
Figure 0006399056
本発明例No.4、7、10では、陰極剥離距離が目標の20mm以下を満足し、優れた耐陰極剥離性を示している。シランカップリング剤を有する処理液を赤外線加熱で乾燥させた発明例はいずれも陰極剥離距離が11.5mmを下回り、優れた耐陰極剥離性を精度良く実現した。
No.11〜14は比較例である。No.11、12は鋼管外表面粉じん付着量が多く、XPS測定結果が1.0%を超え、輝度の平均値も220未満であり、陰極剥離距離は目標値を満足しない。No.13、14は表面処理としてシランカップリング剤を用いたが、鋼管外表面粉じん付着量が多く、XPS測定結果が1.0%を超え、輝度の平均値も220未満であり、陰極剥離距離は目標値を満足しない。
No.15は参考例のクロメート処理材である。クロメート処理材は鋼管外表面の粉じん付着量が多く、XPS測定結果が1.0%を超えているが、陰極剥離距離は目標値を満足する。ただし、環境負荷が高いため、望ましくない。

Claims (4)

  1. 鋼管外表面にポリエチレン被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管であって、前記鋼管外表面と前記ポリエチレン被覆層間に含まれる粉じん量が、剥離したポリエチレン被覆層の鋼管外表面に接していた面をXPSで測定したFeの表面元素割合が1.0%以下となる量であり、前記鋼管外表面と前記ポリエチレン被覆層との間にシランカップリング剤の表面処理層を有し、陰極剥離距離が11.5mm未満である、クロメート層を有しない、ポリエチレン被覆鋼管。
    ただし、陰極剥離距離とは、ポリエチレン被覆鋼管から採取した試験片の中央部に円形の人工欠陥部を形成し、鋼管外表面を露出させ、3質量%NaCl水溶液中で人工欠陥部の鋼管の電位を−1.5V vsSCEにポテンシオスタットを使用して保持し、このまま60℃の恒温槽内に試験片を静置し、28日間電位を保持した試験片を回収後、人工欠陥部を剥離し、人工欠陥部を中心とした4方向(管軸方向を12時方向として、12時、3時、6時、9時方向)で人工欠陥部端部からのポリエチレン被覆層剥離部の距離を測定し、その平均値をいう。
  2. 電気防食とともに使用される、請求項1に記載のポリエチレン被覆鋼管。
  3. 海底または地下への埋設用である、請求項1または2に記載のポリエチレン被覆鋼管。
  4. ブラスト処理後、JIS Z0313(2004)に規定された方法で粘着媒体に鋼管外表面の粉じんを付着させ、その粘着媒体を白色紙に貼り付け、画像解析により、256階調での輝度を測定し、その平均値が220以上である鋼管の外表面にシランカップリング剤を塗布し、前記シランカップリング剤を赤外線加熱にて乾燥させる下地処理を行い、その後、ポリエチレン被覆をする、ポリエチレン被覆鋼管の製造方法。
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