JP2008229998A - 重防食被覆鋼材 - Google Patents
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Abstract
【課題】クロメート処理を用いずに、耐久性を向上させることができる重防食被覆鋼材を提供する。
【解決手段】鋼材1上に、第1プライマー層2、粘土膜層3、第2プライマー層4、及び、ポリウレタン樹脂層またはポリオレフィン樹脂層からなる樹脂層5を順次積層した重防食被覆鋼材。
【選択図】図1
【解決手段】鋼材1上に、第1プライマー層2、粘土膜層3、第2プライマー層4、及び、ポリウレタン樹脂層またはポリオレフィン樹脂層からなる樹脂層5を順次積層した重防食被覆鋼材。
【選択図】図1
Description
本発明は、海洋、港湾、河川の鋼構造物を長期に防食するのに適した重防食被覆鋼材に関する。
海洋構造物等で使用される鋼材にはポリウレタン樹脂またはポリオレフィン樹脂を被覆する重防食被覆が防食方法として多く用いられている。これらの鋼材は重防食被覆鋼材と呼ばれ、主な品種として鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板等がある。またこれらの多くは電気防食との併用がなされている。この電気防食はキズ部や端部からの鋼材腐食を抑制するが、その周りの被覆接着力を低下させる陰極剥離を生じさせる。この陰極剥離は重防食被覆を透過してくる酸素によって助長される。この耐陰極剥離性が重防食被覆鋼材を長期間使用する際に重要となる。この耐陰極剥離性を向上させるため、従来は下地処理としてクロメート処理を施すことが一般的である。近年、環境対策面からクロメート処理の代替処理の開発が求められている。
クロメート処理を用いず、耐久性を向上させる手法として重防食樹脂層の上に厚み50〜1000μmで酸素透過度を100cm3/m2・day・atm(20℃)以下に調整した酸素遮断用塗装皮膜を積層し耐陰極剥離性を向上させる方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、重防食被覆層の表面にポリシラザン溶液塗布により形成された0.2〜2μmの無機被覆層をもうけ耐久性を向上させる方法が開示されている(例えば特許文献2参照)。
しかし、特許文献1の方法では耐陰極剥離性向上の点でクロメート処理に及ばない。また、特許文献2の方法では強度の低い無機被覆層が最外層にあるため耐衝撃性に劣り、衝撃等を受けた場合にクロメート処理に比べて耐久性に劣る問題がある。以上のように、現在のところ、クロメート処理を用いずに重防食被覆鋼材の耐久性を向上させる有効な技術は見出されていない。
特許文献3については、[発明を実施するための最良の形態]の項で説明する。
特開2004−332010号公報
特開2006−43934号公報
特開2006−77237号公報
本発明は、上記課題を解決し、クロメート処理を用いずに、耐久性を向上させることができる重防食被覆鋼材を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の手段は下記の通りである。
(1)鋼材上に、第1プライマー層、粘土膜層、第2プライマー層、及び、ポリウレタン樹脂層またはポリオレフィン樹脂層からなる樹脂層、が順次積層されてなることを特徴とする重防食被覆鋼材。
(2)前記粘土膜層の厚みが30〜100μmであることを特徴とする(1)の重防食被覆鋼材。
(3)前記粘土膜層の酸素透過度が15cm3/(m2・day・atm)以下であることを特徴とする(1)の重防食被覆鋼材。
(1)鋼材上に、第1プライマー層、粘土膜層、第2プライマー層、及び、ポリウレタン樹脂層またはポリオレフィン樹脂層からなる樹脂層、が順次積層されてなることを特徴とする重防食被覆鋼材。
(2)前記粘土膜層の厚みが30〜100μmであることを特徴とする(1)の重防食被覆鋼材。
(3)前記粘土膜層の酸素透過度が15cm3/(m2・day・atm)以下であることを特徴とする(1)の重防食被覆鋼材。
本発明は、粘土膜層を重防食被覆層に含むことで表面からの酸素を大幅に抑制することが可能になり、重防食被覆鋼材のキズ部や端部からの陰極剥離を従来の重防食被覆鋼材に比較し大幅に抑制することが出来る。これにより重防食被覆鋼材の寿命を長くし、より過酷な環境での使用も可能になる。また本発明の重防食被覆鋼材はクロメート処理の省略にも有効である。
粘土を主原料とする粘土膜からなる保護膜は、ガスバリア性に優れ、自立膜として利用可能な機械的強度を有することが開示されている(特許文献3参照)。しかし特許文献3には単にガスバリア性の高い材料そのものが開示されるだけである。本発明者らは、重防食被覆鋼材の被覆層の一つの層として粘土膜層を配置することで、クロメート処理を省略しても耐陰極剥離性および耐衝撃性においてクロメート処理を行った場合と同等の特性が得られることを見出し、本発明に至った。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の重防食被覆鋼材の被覆層の一構成例を図1に示す。重防食被覆鋼材は図1に示す通り、鋼材1の表面にプライマー層2(第1プライマー層)、粘土膜層3、プライマー層4(第2プライマー層)、防食樹脂層5を順次積層したものである。
<鋼材>
本発明に使用する鋼材1は普通鋼、またはNi、Cu、Cr、Mo、Mg、Al、Ti等の元素を添加した合金鋼であり、一般的に海洋、港湾、河川の鋼構造物等の用途分野で使用される鋼を使用できる。鋼材形状は限定されない。鋼管、形鋼等適宜形状のものを使用できる。上記鋼材にはプライマー層を塗装して形成する前にその表面のスケール、汚染物等を除去するために下地処理を行う。下地処理としてはサンドブラスト処理、スチールショットブラスト処理、スチールグリットブラスト処理等のブラスト処理やアルカリ脱脂と酸洗等を行う。
本発明に使用する鋼材1は普通鋼、またはNi、Cu、Cr、Mo、Mg、Al、Ti等の元素を添加した合金鋼であり、一般的に海洋、港湾、河川の鋼構造物等の用途分野で使用される鋼を使用できる。鋼材形状は限定されない。鋼管、形鋼等適宜形状のものを使用できる。上記鋼材にはプライマー層を塗装して形成する前にその表面のスケール、汚染物等を除去するために下地処理を行う。下地処理としてはサンドブラスト処理、スチールショットブラスト処理、スチールグリットブラスト処理等のブラスト処理やアルカリ脱脂と酸洗等を行う。
<第1プライマー層>
第1プライマー層2は粘土膜層と鋼材との密着性、重防食被覆の耐陰極剥離性を向上させるために塗装して形成する。第1プライマー層2には熱硬化性樹脂を主成分とするものを用い、必要に応じて、防食性付与のためにリン酸カルシウム、トリポリリン酸アルミニウム等の公知の無機顔料などを添加してもよい。熱硬化樹脂としてはエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等がある。エポキシ樹脂ではその主成分としてビスフェノールA型、ビスフェノールF型等がある。ポリウレタン樹脂としてはポリオールとイソシアネートとの反応を利用した主剤と硬化剤の2液硬化タイプ、プレポリマーを利用した湿気硬化型1液硬化タイプ、また厚膜化が可能な熱硬化型の粉体タイプ等がある。液体タイプの場合は刷毛、ロール、エアスプレー塗装の方法を用いて塗装する。粉体タイプのものは静電粉体塗装の方法を用いて塗装する。
第1プライマー層2は粘土膜層と鋼材との密着性、重防食被覆の耐陰極剥離性を向上させるために塗装して形成する。第1プライマー層2には熱硬化性樹脂を主成分とするものを用い、必要に応じて、防食性付与のためにリン酸カルシウム、トリポリリン酸アルミニウム等の公知の無機顔料などを添加してもよい。熱硬化樹脂としてはエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等がある。エポキシ樹脂ではその主成分としてビスフェノールA型、ビスフェノールF型等がある。ポリウレタン樹脂としてはポリオールとイソシアネートとの反応を利用した主剤と硬化剤の2液硬化タイプ、プレポリマーを利用した湿気硬化型1液硬化タイプ、また厚膜化が可能な熱硬化型の粉体タイプ等がある。液体タイプの場合は刷毛、ロール、エアスプレー塗装の方法を用いて塗装する。粉体タイプのものは静電粉体塗装の方法を用いて塗装する。
この第1プライマー層に適した熱硬化樹脂と無機顔料とを含有したものには、市販されているものを使用できる。市販されている熱硬化樹脂と無機顔料とを含有したものには、例えば、第一工業製薬株式会社製「パーマガード331(主剤と硬化剤、登録商標)」等がある。
膜厚は30〜600μmの範囲が望ましい。膜厚が30μmより薄い場合はピンホールが発生する。また膜厚が600μmを超えると耐衝撃性が低下する。
<粘土膜層>
粘土膜層3は重防食被覆のガスバリア性を高め、耐陰極剥離性を向上させるために設ける。粘土膜層3はモンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、雲母、スメクタイト等の粘土鉱物を主成分とする。これらの粘土鉱物は人工的に精製したものであることが不純物等を含まないという観点から望ましい。人工的に精整した粘土鉱物は、市販されているものを使用できる。市販されている人工的に精整した粘土鉱物には、例えばクニミネ工業株式会社製「クニピアF」(登録商標)等がある。
粘土膜層3は重防食被覆のガスバリア性を高め、耐陰極剥離性を向上させるために設ける。粘土膜層3はモンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、雲母、スメクタイト等の粘土鉱物を主成分とする。これらの粘土鉱物は人工的に精製したものであることが不純物等を含まないという観点から望ましい。人工的に精整した粘土鉱物は、市販されているものを使用できる。市販されている人工的に精整した粘土鉱物には、例えばクニミネ工業株式会社製「クニピアF」(登録商標)等がある。
粘土膜層3の被覆方法について説明する。まず上記粘土鉱物の単体もしくはそれらの混合物を水に加え、均一な分散液に調整する。分散液中の粘土鉱物の濃度は1〜10mass%が望ましい。粘土鉱物の濃度が1mass%より薄い場合膜生成に時間がかかり過ぎる。また10mass%より濃い場合均一な分散液を作りにくい。次にこの分散液を上記プライマー層の上に水平になるように静置する。このとき鋼材の端部は分散液が流れ出ないように囲いで覆う。そして5〜24時間程度常温で静置して粘土鉱物を沈積させ、その後電気炉で50℃で5〜24時間程度乾燥して液体を蒸発させ、粘土膜層3を第1プライマー層2上に生成する。膜厚は分散液の量で調整するが、30〜100μmの範囲が好ましい。膜厚が30μmより薄い場合はピンホールや透けが発生する。100μmを超えると耐衝撃性が低下する。
<第2プライマー層>
第2プライマー層4は粘土膜層3上のプライマー層であり、粘土膜層3と防食樹脂層5との密着性向上のために形成する。第2プライマー層4の成分や膜厚は上記第1プライマー層2と同様のものを使用できる。第2プライマー層4の形成方法は上記第1プライマー層2の形成方法と同様の方法で行う。
第2プライマー層4は粘土膜層3上のプライマー層であり、粘土膜層3と防食樹脂層5との密着性向上のために形成する。第2プライマー層4の成分や膜厚は上記第1プライマー層2と同様のものを使用できる。第2プライマー層4の形成方法は上記第1プライマー層2の形成方法と同様の方法で行う。
<防食樹脂層>
防食樹脂層5にはポリウレタン樹脂もしくはポリオレフィン樹脂を用いる。
防食樹脂層5にはポリウレタン樹脂もしくはポリオレフィン樹脂を用いる。
ポリウレタン樹脂は、防食用途として、通常用いられている汎用品であれば、特に制限はない。具体的には、ポリオールとイソシアネート化合物を含有していれば良い。熱による収縮を防止する為に充填無機顔料を含有していれば、さらに望ましく、耐候性を付与するために着色顔料を含有していれば、なお望ましい。市販されているポリウレタン樹脂としては、例えば、第一工業製薬株式会社製「パーマガード137(主剤:Aクロ(Z)、硬化剤:B、登録商標)」、または、日本ペイント株式会社製「ニッペウレタンエラストマーU1001−S」等がある。これらポリウレタン樹脂は、エアレススプレーで塗装して防食樹脂層5を形成する。この時の膜厚は、1〜6mmが望ましい。1mmより薄い場合は耐衝撃性、耐陰極剥離性等が低下し、6mmを超えた場合それらの性能の向上は見られず、経済的でない。
ポリオールはポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ひまし油系ポリオール等を用いる。充填無機顔料としては炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン等を用いる。着色顔料にはカーボンブラックを用いる。またその他の特性を付与するために可塑剤、助剤、増粘剤、酸化防止剤、光安定剤等を含有してもよい。
イソシアネートとしてはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)等のポリイソシアネートを用いる。
防食樹脂層5にポリオレフィン樹脂を用いる場合、防食樹脂層5はポリオレフィン樹脂層と変性ポリオレフィン接着剤層とで構成され、ダイス等で加熱し溶融した状態で被覆される。ポリオレフィン樹脂層は、ポリオレフィン樹脂を含有し、ポリオレフィン樹脂には低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いる。また、必要に応じて、耐候性を付与するために着色顔料(例えば、カーボンブラック等)を含有しても良い。またさらに、その他の特性を付与するために、酸化防止剤や光安定剤等の添加剤を含有してもよい。また、変性ポリオレフィン接着剤層は上記のポリオレフィン樹脂をマレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸またはその酸無水物で変性したもの、あるいはその変性物をポリオレフィン樹脂で適宜希釈したもの等を用いる。
膜厚は変性ポリオレフィン接着剤層が0.3〜1mm、ポリオレフィン樹脂層が1〜6mmが望ましい。変性ポリオレフィン接着剤層は0.3mmより薄い場合加熱被覆時に透けが生じることがある。また1mmを超えても密着性等向上は見られず、経済的でない。ポリオレフィン樹脂層は1mmより薄い場合、耐衝撃性、耐陰極剥離性等が低下し、6mmを超えた場合それらの性能の向上は見られず、経済的でない。
1.供試重防食被覆鋼材の作製
<本発明例の重防食被覆鋼材の作製>
寸法3mm×100mm×100mmの熱延鋼板に、下地処理としてスチールグリットブラスト処理を行った。次にポリウレタン樹脂2液硬化タイプのプライマー(第一工業製薬株式会社製「パーマガード331」)を30〜40μm塗装した。プライマーは塗装後室温で24時間硬化させた。次に粘土鉱物分散液を作成した。粘土鉱物は精製されたモンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製「クニピアF」)を用いた。この精製モンモリロナイトを蒸留水に加えよく攪拌しモンモリロナイトを均一に分散させ、モンモリロナイト濃度が1.0〜3.3mass%の分散液を作成した。この分散液60cm3を上記プライマーを30〜40μm塗装した鋼板に分散液が流れ出ないようステンレス製の囲いをしてその上から注ぎ、鋼板と共に電気炉の中に入れ水平になるよう静置した。これを常温で24時間ゆっくり沈積させ、その後50℃で24時間強制的に水分を蒸発させ、膜厚30〜100μmの範囲で膜厚の異なる粘土膜層を生成した。上記の濃度の異なる分散液を用いることで粘土膜層の膜厚を調製した。その後上記プライマーを再び塗装し、24時間硬化させた。その後防食樹脂層として、ポリウレタン樹脂を3.0〜3.5mm塗装した。ここでポリウレタン樹脂は、市販品である第一工業製薬株式会社製「パーマガード137(主剤:Aクロ(Z)、硬化剤:B、主剤:硬化剤比率=2.7:1)」を使用し、塗装後、常温(20℃以上)7日間で硬化させた(発明例1〜5)。
<本発明例の重防食被覆鋼材の作製>
寸法3mm×100mm×100mmの熱延鋼板に、下地処理としてスチールグリットブラスト処理を行った。次にポリウレタン樹脂2液硬化タイプのプライマー(第一工業製薬株式会社製「パーマガード331」)を30〜40μm塗装した。プライマーは塗装後室温で24時間硬化させた。次に粘土鉱物分散液を作成した。粘土鉱物は精製されたモンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製「クニピアF」)を用いた。この精製モンモリロナイトを蒸留水に加えよく攪拌しモンモリロナイトを均一に分散させ、モンモリロナイト濃度が1.0〜3.3mass%の分散液を作成した。この分散液60cm3を上記プライマーを30〜40μm塗装した鋼板に分散液が流れ出ないようステンレス製の囲いをしてその上から注ぎ、鋼板と共に電気炉の中に入れ水平になるよう静置した。これを常温で24時間ゆっくり沈積させ、その後50℃で24時間強制的に水分を蒸発させ、膜厚30〜100μmの範囲で膜厚の異なる粘土膜層を生成した。上記の濃度の異なる分散液を用いることで粘土膜層の膜厚を調製した。その後上記プライマーを再び塗装し、24時間硬化させた。その後防食樹脂層として、ポリウレタン樹脂を3.0〜3.5mm塗装した。ここでポリウレタン樹脂は、市販品である第一工業製薬株式会社製「パーマガード137(主剤:Aクロ(Z)、硬化剤:B、主剤:硬化剤比率=2.7:1)」を使用し、塗装後、常温(20℃以上)7日間で硬化させた(発明例1〜5)。
<比較例の重防食被覆鋼材の作製>
以下の重防食被覆鋼材を作製した。
(i)鋼材の表面から上方にプライマー層、ポリウレタン重防食被覆層を上記発明例と同様に被覆したもの(比較例2)
(ii)鋼材の表面から上方に上記発明例と同様のプライマー層、粘土膜層、ポリウレタン重防食被覆層を生成したもの。粘土膜層の厚みは30μm未満(比較例3)または100μm超(比較例4、比較例5)とした。
(iii)下地処理としてスチールグリットブラスト処理をした鋼材にクロメート処理を行い、その上に本発明例と同様のプライマー層、ポリウレタン重防食被覆層を形成したもの(比較例1)。クロメート処理は鋼板表面にクロメート処理液を塗布後100℃に加熱し乾燥させた。Cr付着量は200〜400mg/m2である。
2.評価方法
上記で作成した重防食被覆鋼材の耐陰極剥離性の評価を次のように行った。重防食被覆層の中央部に直径5mmの鋼面に達する人工欠陥を作製し、被覆層に内径75mmの塩化ビニル製の円筒を接着した。円筒の内部を3mass%のNaCl水溶液で満たし、白金電極を対極とし、飽和カロメル標準電極に対して−1.5Vの電位を鋼材に印加した。60℃で60日間電位を印加した後、人工欠陥の端部からの剥離距離(mm)を測定し、陰極剥離距離とした。
以下の重防食被覆鋼材を作製した。
(i)鋼材の表面から上方にプライマー層、ポリウレタン重防食被覆層を上記発明例と同様に被覆したもの(比較例2)
(ii)鋼材の表面から上方に上記発明例と同様のプライマー層、粘土膜層、ポリウレタン重防食被覆層を生成したもの。粘土膜層の厚みは30μm未満(比較例3)または100μm超(比較例4、比較例5)とした。
(iii)下地処理としてスチールグリットブラスト処理をした鋼材にクロメート処理を行い、その上に本発明例と同様のプライマー層、ポリウレタン重防食被覆層を形成したもの(比較例1)。クロメート処理は鋼板表面にクロメート処理液を塗布後100℃に加熱し乾燥させた。Cr付着量は200〜400mg/m2である。
2.評価方法
上記で作成した重防食被覆鋼材の耐陰極剥離性の評価を次のように行った。重防食被覆層の中央部に直径5mmの鋼面に達する人工欠陥を作製し、被覆層に内径75mmの塩化ビニル製の円筒を接着した。円筒の内部を3mass%のNaCl水溶液で満たし、白金電極を対極とし、飽和カロメル標準電極に対して−1.5Vの電位を鋼材に印加した。60℃で60日間電位を印加した後、人工欠陥の端部からの剥離距離(mm)を測定し、陰極剥離距離とした。
耐衝撃性の評価を、ASTM G14に準拠し、先端径15.9mm、重量5kgfの落錘を用いた−20℃での落錘衝撃試験で行った。重防食被覆層の破壊は20kVの通電試験で確認し、破壊の生じない限界高さから衝撃強度を求めた。
また厚さ100〜110μm×幅100mm×長さ100mmのPETフィルム上に、前記粘土膜層作製法と同様の手法で膜厚40〜50μmの粘土膜を生成させた。このPETフィルム付き粘土膜の酸素透過度およびPETフィルムのみの酸素透過度を測定した。酸素透過度測定は、JIS K7126(1987)に準拠し、23℃、0%RHで測定した。前記の測定結果に基き、下式(1)より粘土膜のみの酸素透過度を求めた。
表1に各種重防食被覆鋼材の陰極剥離距離、衝撃強度、粘土膜の酸素透過度を示す。
鋼材上に、プライマー層とポリウレタン樹脂層だけを形成した比較例2、粘土膜の膜厚が30μmより薄い比較例3は比較例1に比べて耐陰極剥離性が劣る。粘土膜の膜厚が100μmを超える比較例4、5は耐衝撃性が劣る。これに対して本発明例1〜5は、クロメート処理を施した重防食被覆鋼材である比較例1と同等の優れた耐陰極剥離性及び耐衝撃性を示している。このことから、本発明例の重防食被覆鋼材は、クロメート処理を用いずに耐久性を向上できることがわかる。
本発明の重防食被覆鋼材は、耐陰極剥離性と耐衝撃性に優れるので、より過酷な環境下で使用される重防食被覆鋼材として利用することができる。また、本発明の重防食被覆鋼材は、クロメート処理を省略しても耐久性に優れるので、クロメート処理を行わずに長期防食が要求される、海洋、港湾、河川の鋼構造物などの用途分野に使用する重防食被覆鋼材として利用することができる。
1 鋼材
2 プライマー層(第1プライマー層)
3 粘土膜層
4 プライマー層(第2プライマー層)
5 防食樹脂層
2 プライマー層(第1プライマー層)
3 粘土膜層
4 プライマー層(第2プライマー層)
5 防食樹脂層
Claims (3)
- 鋼材上に、第1プライマー層、粘土膜層、第2プライマー層、及び、ポリウレタン樹脂層またはポリオレフィン樹脂層からなる樹脂層、が順次積層されてなることを特徴とする重防食被覆鋼材。
- 前記粘土膜層の厚みが30〜100μmであることを特徴とする請求項1記載の重防食被覆鋼材。
- 前記粘土膜層の酸素透過度が15cm3/(m2・day・atm)以下であることを特徴とする請求項1記載の重防食被覆鋼材。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009024211A (ja) * | 2007-07-18 | 2009-02-05 | Nippon Steel Corp | 有機樹脂被覆鋼材及びこれを用いた建造物 |
JP2014069400A (ja) * | 2012-09-28 | 2014-04-21 | Jfe Steel Corp | ポリエチレン被覆鋼材、及びエポキシ樹脂プライマー層形成材料 |
-
2007
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