JP6398869B2 - 圧入方法 - Google Patents

圧入方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6398869B2
JP6398869B2 JP2015104359A JP2015104359A JP6398869B2 JP 6398869 B2 JP6398869 B2 JP 6398869B2 JP 2015104359 A JP2015104359 A JP 2015104359A JP 2015104359 A JP2015104359 A JP 2015104359A JP 6398869 B2 JP6398869 B2 JP 6398869B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
press
opening
fitting
ball
side wall
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2015104359A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016215334A (ja
Inventor
浩規 立石
浩規 立石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2015104359A priority Critical patent/JP6398869B2/ja
Publication of JP2016215334A publication Critical patent/JP2016215334A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6398869B2 publication Critical patent/JP6398869B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Automatic Assembly (AREA)

Description

本発明は圧入装置に関する。
ワークの開口部にボールを圧入する圧入装置が知られている。例えば、自動車のミッションケースには油路を形成するための多数の開口部が形成されている。そして、この開口部にボールを圧入して開口部を閉塞することで、ミッションケースを形成している。特許文献1には、支持台に固定したワークの開口部にボールを圧入して固定する圧入装置が開示されている。
実開平6−74233号公報
村井、津村:浸炭鋼の残留オーステナイト量に及ぼす合金元素と炭素ポテンシャルの影響、鉄と鋼、Vol.84(1998)No.6、PP446−451
従来技術では、鋼材(ワーク)の開口部に圧入部品(ボール)を圧入する場合、図6に示すように、鋼材の浸炭焼入・焼戻処理(ステップS101)の後、鋼材の開口部が圧入部品の圧入によって割れることを抑制するために開口部の周囲の側壁を焼戻して硬度を低下させていた(ステップS102)。その後、開口部の寸法を調整するための仕上げ加工を行い(ステップS103)、この仕上げ加工をした後、鋼材の開口部に圧入部品を圧入していた(ステップS104)。このように、従来技術では、鋼材の開口部に圧入部品を圧入する際の工程数が多くなり、製造工程が煩雑になるという問題があった。
上記課題に鑑み本発明の目的は、鋼材の開口部に圧入部品を圧入する製造工程を簡略化することが可能な圧入装置を提供することである。
本発明にかかる圧入装置は、鋼材の開口部に圧入部品を圧入する圧入装置であって、前記鋼材の開口部の周囲の側壁を加熱し、前記開口部の周囲の側壁の硬度を低下させるための熱処理を行う第1の加熱手段と、前記第1の加熱手段による熱処理の後に、前記鋼材の前記開口部に前記圧入部品を圧入する圧入手段と、を備える。前記圧入手段は、前記第1の加熱手段による前記熱処理の熱によって常温よりも高い所定温度条件下で前記鋼材の前記開口部の開口幅が常温時の開口幅よりも拡大した状態において、前記圧入部品を前記開口部に圧入する。前記所定温度条件は、前記熱処理後に温度が低下して常温状態にある前記鋼材の前記開口部の開口幅の加工公差に対応して想定される最小開口幅を有する前記鋼材の開口幅が、前記開口部に前記圧入部品を圧入するために求められる開口幅の最小値にまで拡大するよう前記鋼材の前記開口部が変形するために必要な温度以上の温度である。
本発明では、鋼材の開口部の周囲の側壁の硬度を低下させるための熱処理を行った後、常温よりも高い所定温度条件下で鋼材の開口部の開口幅が常温時の開口幅よりも拡大した状態において、圧入部品を開口部に圧入している。ここで、所定温度条件は、常温状態における鋼材の開口部の加工公差に対応して想定される最小開口幅を有する鋼材の開口幅が、開口部に圧入部品を圧入するために求められる開口幅の最小値にまで拡大するよう開口部が変形するために必要な温度以上の温度である。このように、本発明では、鋼材の開口部の周囲の側壁が加熱されて鋼材の開口部の開口幅が常温時の開口幅よりも拡大した状態において、圧入部品を開口部に圧入している。よって、従来技術で必要であった開口部の寸法を調整するための仕上げ加工(図6のステップS103)を省略することができ、鋼材の開口部に圧入部品を圧入する製造工程を簡略化することができる。
また、本発明にかかる圧入装置は、圧入部品を加熱する第2の加熱手段を更に備えていてもよく、前記所定温度条件が前記鋼材のA1点よりも高い場合、前記圧入手段は、前記第2の加熱手段が前記圧入部品を前記鋼材のMs点よりも高い温度に加熱した後、前記開口部に前記圧入部品を圧入するようにしてもよい。
所定温度条件が鋼材のA1点よりも高い場合は、鋼材の開口部に圧入部品を圧入した際に開口部の周囲の側壁が急冷されてマルテンサイト(遅れ破壊の原因となる)が生成されるおそれがある。しかし、予め圧入部品を鋼材のMs点よりも高い温度に加熱しておくことで、鋼材の開口部に圧入部品を圧入した際に開口部の周囲の側壁が急冷されることを抑制することができ、マルテンサイトの生成を抑制することができる。
また、本発明にかかる圧入装置は、圧入部品を加熱する第2の加熱手段を更に備えていてもよく、前記圧入手段が前記鋼材の前記開口部に前記圧入部品を圧入する際、前記第2の加熱手段は前記圧入部品を加熱して軟化させるようにしてもよい。
このように、圧入部品を加熱して軟化させることで、鋼材の開口部に圧入部品を圧入する際に圧入部品を変形させることができる。よって、鋼材の開口部に圧入部品を圧入する際に必要な圧入荷重を小さくすることができる。
また、本発明にかかる圧入装置は、前記開口部に前記圧入部品を圧入する際に前記開口部の周囲の側壁と前記圧入部品との間に働く圧入荷重を測定する圧入荷重測定手段を更に備えていてもよく、前記第2の加熱手段は、前記圧入荷重測定手段で測定された圧入荷重が所定の値よりも小さくなるように前記圧入部品を加熱してもよい。
このように、圧入荷重測定手段を用いて圧入荷重を測定し、測定された圧入荷重が所定の値以上の場合に圧入部品を加熱して圧入部品の変形量を大きくすることで、圧入部品を圧入する際の圧入荷重を所定の値よりも小さくすることができる。よって、圧入部品を圧入する際に開口部の周囲の側壁に大きな圧入荷重が働くことを抑制することができ、開口部の周囲の側壁が破損することを抑制することができる。
本発明にかかる圧入装置は、鋼材の開口部に圧入部品を圧入する圧入装置であって、前記圧入部品が前記開口部の周囲の側壁に当接している状態で前記圧入部品を加熱し、当該圧入部品を介して前記鋼材の開口部の周囲の側壁を加熱して前記開口部の周囲の側壁の硬度を低下させるための熱処理と、前記圧入部品を軟化させるための熱処理とを行う第1の加熱手段と、前記軟化のための熱処理によって前記圧入部品が軟化している状態で前記圧入部品を前記開口部に圧入する圧入手段と、を備える。
本発明では、軟化のための熱処理によって圧入部品が軟化している状態で圧入部品を開口部に圧入している。よって、開口部に圧入部品を圧入する際に圧入部品を変形させることができ、開口部に求められる加工精度を低減することができる。したがって、従来技術で必要であった開口部の寸法を調整するための仕上げ加工(図6のステップS103)を省略することができ、鋼材の開口部に圧入部品を圧入する製造工程を簡略化することができる。また、本発明では、圧入部品が開口部の周囲の側壁に当接している状態で圧入部品を加熱し、この圧入部品を介して開口部の周囲の側壁に熱処理を行っているので、例えばレーザユニット等の複雑な装置を設ける必要がなく圧入装置の装置構成を簡略化することができる。
本発明により、鋼材の開口部に圧入部品を圧入する製造工程を簡略化することが可能な圧入装置を提供することができる。
実施の形態1にかかる圧入装置の一例を示す斜視図である。 実施の形態1にかかる圧入装置の一例を示す拡大断面図である。 実施の形態1にかかる圧入装置の動作を説明するためのフローチャートである。 実施の形態1にかかる圧入装置の動作を説明するための断面図である。 実施の形態1にかかる圧入装置の動作を説明するための断面図である。 実施の形態1にかかる圧入装置の動作を説明するための断面図である。 実施の形態1にかかる圧入装置の動作を説明するための断面図である。 鋼材の温度と伸びとの関係を示す図である。 従来技術にかかる製造工程を示すフローチャートである。 実施の形態2にかかる圧入装置の一例を示す断面図である。 実施の形態2にかかる圧入装置の動作を説明するためのフローチャートである。 開口部にボールを圧入する際のボールの温度と、ボールを圧入した後の開口部の周囲の側壁の硬さとの関係を示す図である。 実施の形態3にかかる圧入装置の一例を示す断面図である。 実施の形態3にかかる圧入装置の動作を説明するためのフローチャートである。 ボールの温度と硬さとの関係を示す図である。 実施の形態4にかかる圧入装置の一例を示す断面図である。 実施の形態4にかかる圧入装置の動作を説明するためのフローチャートである。
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態1にかかる圧入装置の一例を示す斜視図である。図2は、実施の形態1にかかる圧入装置の一例を示す拡大断面図である。図1、図2に示すように、圧入装置1は、サーボプレスユニット11、イケール12、ラム13(圧入手段)、スペーサ14、チャック15、回転ユニット16、及びレーザユニット17(第1の加熱手段)を備える。なお、図1ではレーザユニット17の図示を省略している。
スペーサ14は、ワーク(鋼材)21を着脱可能に構成されている。例えば、スペーサ14の上端部には凹部18(図4A参照)が形成されており、ワーク21はこの凹部18に配置される。ワーク21はボルト等を用いて凹部18に固定される。スペーサ14の下端部は、チャック15に固定されている。チャック15は回転ユニット16を用いて回転可能に構成されている。例えば、回転ユニット16はモータを用いて回転可能に構成されており、回転ユニット16が回転することで、スペーサ14の上端部に取り付けられているワーク21が回転軸31を中心に回転する。
図2に示すレーザユニット17は、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23(図4A参照)にレーザ光28を照射する。このとき、回転ユニット16を回転させてワーク21を回転軸31を中心に回転させることで、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23にレーザ光28を均一に照射することができ、開口部22の周囲の側壁23を均一に加熱することができる。レーザユニット17は、レーザ光28の照射エネルギーを調整可能に構成されている。これにより、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23の熱処理温度を調整することができる。
ラム13は、ボール25(圧入部品)を着脱可能に構成されている。例えば、ラム13の先端部は着磁されており、磁力を用いてラム13にボール25を固定することができる。また、ラム13の先端部に吸引機構を設け、吸引機構で吸引することでボール25をラム13に固定してもよい。
ラム13は、イケール12に固定されている。イケール12は、ラム13を着脱可能に構成されており、例えば、ラム13が破損した場合や異なる形状を有するラム13を用いる場合にラム13を交換する。
サーボプレスユニット11は、イケール12(ラム13を含む)を昇降可能に構成されている。サーボプレスユニット11は、モータとスクリューとを備えており(不図示)、モータが回転してスクリューを回転させることでイケール12が上下に変位する。これにより、ラム13を上下に変位させることができる。
次に、本実施の形態にかかる圧入装置の動作について、図3に示すフローチャートおよび図4A〜図4Dに示す断面図を用いて説明する。ワーク21の開口部22にボール25を圧入する場合は、まず、図4Aに示すように、ワーク21をスペーサ14の凹部18に取り付ける(ステップS1)。また、ボール25をラム13の先端部に取り付ける(ステップS2)。
次に、図4Bに示すように、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23にレーザ光28を照射して、側壁23を加熱する(ステップS3)。具体的には、回転ユニット16を回転させてワーク21を回転軸31を中心に回転させた後、レーザユニット17からワーク21の開口部22の周囲の側壁23にレーザ光28を照射する。これにより、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23の硬度を低下させるための熱処理(焼戻)を行うことができる。
このときの側壁23の熱処理温度および熱処理時間は任意に設定することができる。例えば、側壁23の硬度が、所定の硬度以下となるような熱処理温度および熱処理時間とする。ここで、所定の硬度とは、圧入部品の圧入によって開口部22の周囲の側壁23が割れることを抑制することができる程度の硬度である。なお、熱処理条件はワーク21を構成する鋼材の組成に依存するため、鋼材の組成に応じて予め熱処理条件を求めておくことが好ましい。開口部22の周囲の側壁23の熱処理が終了した後、レーザ光28の照射を停止し、回転ユニット16の回転を停止する。
次に、図4Cに示すように、ワーク21の開口部22にボール25を圧入する(ステップS4)。具体的には、サーボプレスユニット11のモータを回転させてイケール12を下降させる。これにより、ラム13が下降してボール25をワーク21の開口部22に圧入することができる。
本実施の形態にかかる圧入装置1では、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23の温度が所定温度条件のときに、ワーク21の開口部22にボール25を圧入するようにしている。ここで、所定温度条件とは、熱処理後に温度が低下して常温状態にあるワーク21の開口部22の開口幅の加工公差に対応して想定される最小開口幅を有するワーク21の開口幅が、開口部22にボール25を圧入するために求められる開口幅の最小値にまで拡大するようワーク21の開口部22が変形するために必要な温度以上の温度である。つまり、開口部22の周囲の側壁23の温度を所定温度以上とすることで、開口部22の開口幅を広げることができ、開口部22にボール25を圧入することができる。
例えば、図6に示す従来技術の仕上げ加工(ステップS103)後のワーク21の開口部22の加工公差T1を0.03mmとする。また、仕上げ加工(ステップS103)を行わない場合のワーク21の開口部22の加工公差T2を0.2mmとする。この加工公差T2はワーク21に開口部22を形成した際の加工公差に対応しており、上記の「熱処理後に温度が低下して常温状態にあるワーク21の開口部22の開口幅の加工公差」に対応している。また、仕上げ加工を省略することにより拡大した開口部22の加工公差をΔTとすると、拡大した加工公差ΔTは、仕上げ加工を行わない場合の開口部22の加工公差T2と仕上げ加工を行った場合の開口部22の加工公差T1との差であるので、ΔT=T2−T1=0.17mmとなる。
そして、本実施の形態では、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23の温度を所定温度以上とすることで、ワーク21の開口部22の加工公差T2に対応して想定されるワーク21の開口幅(最小開口幅)が、開口部22にボールを圧入するために求められる開口幅の最小値にまで拡大するようワーク21の開口部22を変形させている。換言すると、開口部22の開口幅の広がり量(図5の鋼材の伸び量に対応している)を、拡大した加工公差ΔT(0.17mm)よりも大きくしている。
具体的には、開口部22の直径をφ6mmとした場合、加工公差T2(0.2mm)を考慮すると開口部22の直径はφ6±0.2mmとなる。よって、開口部22の開口幅の加工公差(常温状態)に対応して想定される最小開口幅はφ5.8mm(=6mm−0.2mm)となる。また、開口部22にボール25を圧入するために求められる開口幅の最小値は、仕上げ加工(ステップS103)を実施した場合のワーク21の開口部22の加工公差T1が0.03mmであるので、φ5.97(=6mm−0.03mm)となる。よって、開口幅がφ5.8mmからφ5.97まで拡大するようにワーク21を加熱することで、開口部22にボール25を圧入することができる。
拡大した加工公差ΔTを用いて説明すると、開口部22の直径をφ6mmとした場合、拡大した加工公差ΔTが0.17mmであるので開口部22の直径はφ6±0.17mmとなる。例えば、開口部22の直径がφ5.83mm(=6mm−0.17mm)の場合、ボール25(φ6mmとする)を圧入するためには、(6π−5.83π)÷6π×100=2.8%の伸び率が必要になる。図5は、ワーク21を構成している鋼材(SCR40)の温度と伸びとの関係を示す図である。図5に示すように、ワーク21が2.8%以上伸びるためには、ワーク21を550℃以上の温度に加熱すればよい。
このとき、加熱工程(ステップS3)後、圧入工程(ステップS4)の開始までに開口部22の周囲の側壁23が冷却されることを考慮し、加熱工程(ステップS3)において側壁23を加熱する際の温度は高めに設定することが好ましい。なお、本実施の形態では、ボール25の加工公差はワーク25の加工公差と比べて無視できるほど小さいものとする(例えば、±1μm程度)。
上記で説明したように、本実施の形態にかかる圧入装置1では、圧入工程(ステップS4)において、開口部22の周囲の側壁23の温度を所定温度以上としているので、開口部22の開口幅の広がり量を、仕上げ加工を省略することにより拡大した開口部22の加工公差ΔTよりも大きくすることができ、開口部22にボール25を圧入することができる。よって、従来技術で必要であった仕上げ加工(図6のステップS103)が不要となる。また、開口部22の周囲の側壁23を加熱することで開口部22の周囲の側壁23の塑性変形能が向上する。よって、開口部22にボール25を圧入する際に開口部22が変形するので、ボール25を圧入する際に開口部22の周囲の側壁23が割れることを抑制することができる。
なお、熱処理(ステップS3)をした後における開口部22の加工公差は上記の加工公差T2に対応しており、本実施の形態では、開口部22の開口幅の広がり量が、開口部22の加工公差T2(T2>ΔT)よりも大きくなる温度以上のときに、ワーク21の開口部22にボール25を圧入するようにしてもよい。上記例を用いて説明すると、開口部22の開口幅の広がり量が加工公差T2(0.2mm)よりも大きくなる温度以上のときに、ワーク21の開口部22にボール25を圧入するようにしてもよい。熱処理をした後における開口部22の加工公差T2よりも開口部22の開口幅の広がり量が大きい状態は、仕上げ加工による公差が0の場合に相当する。
ステップS4においてワーク21の開口部22の所定の位置にボール25を圧入した後、図4Dに示すようにラム13を上昇させる。その後、ボール25が圧入されたワーク21をハンドリングのために冷却する(ステップS5)。このとき、ワーク25が冷却されることでワーク25の開口部22が収縮し、開口部22にボール25が強固に固定される。つまり、焼嵌めの効果が得られる。
なお、上記で説明した工程において、ラム13の降下を開始するタイミングとレーザ光28の照射を停止するタイミングと、回転ユニット16の回転を停止するタイミングはそれぞれオーバーラップしてもよい。
従来技術では、ワークの開口部にボールを圧入する場合、図6に示すように、ワークの浸炭焼入・焼戻処理(ステップS101)の後、ワークの開口部の周囲の側壁がボールの圧入によって割れることを抑制するために開口部の周囲の側壁を焼戻して硬度を低下させていた(ステップS102)。その後、開口部の寸法を調整するための仕上げ加工を行い(ステップS103)、この仕上げ加工をした後、ワークの開口部にボールを圧入していた(ステップS104)。このように、従来技術では、ワークの開口部にボールを圧入する際の工程数が多くなり、製造工程が煩雑になるという問題があった。また、従来技術では、レーザ焼戻工程(ステップS102)と圧入工程(ステップS104)とをそれぞれ別の機械で行っていたため、設備数が多くなるという問題があった。
一方、本実施の形態にかかる圧入装置1では、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23にレーザ光28を照射して開口部22の周囲の側壁23を加熱し(ステップS3)、その後、開口部22の周囲の側壁23の温度が所定温度条件のときに、ワーク21の開口部22にボール25を圧入するようにしている。このように、本実施の形態にかかる圧入装置1では、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23が加熱されてワーク21の開口部22の開口幅が常温時の開口幅よりも拡大した状態において、ボール25を開口部22に圧入している。よって、従来技術で必要であった開口部の寸法を調整するための仕上げ加工(図6のステップS103)を省略することができ、ワーク21の開口部22にボール25を圧入する製造工程を簡略化することができる。換言すると、仕上げ加工工程を省略することによって拡大した開口部22の加工公差を、温度上昇による開口部22の開口幅の広がり量の増加によって補償することができる。また、従来技術では、レーザ焼戻工程(ステップS102)と圧入工程(ステップS104)とをそれぞれ別の機械で行っていた。しかし、本実施の形態にかかる圧入装置1では、これらの工程を1台の装置で行うことができる。よって、従来技術と比べて設備数を少なくすることができる。
また、本実施の形態にかかる圧入装置1では、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23を加熱する際にレーザ光28を用いているので、開口部22の周囲の側壁23の加熱終了後、迅速にボール25を開口部22に圧入することができる。例えば、開口部22の周囲の側壁23の加熱に高周波加熱装置を用いた場合は、開口部22の周囲の側壁23にコイルを近づけて加熱する。この場合は、開口部22の周囲の側壁23の加熱終了後、ボール25を開口部22に圧入する前にコイルを移動する必要があるため、コイルを移動している間に開口部22の周囲の側壁23の温度が低下する。しかし、本実施の形態のようにレーザ光28を用いて開口部22を加熱した場合は、レーザ光28を停止後、すぐにボール25を開口部22に圧入することができる。よって、開口部22の周囲の側壁23の温度が低下する前にボール25を開口部22に圧入することができる。
以上で説明した本実施の形態にかかる発明により、鋼材の開口部に圧入部品を圧入する製造工程を簡略化することが可能な圧入装置を提供することができる。
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図7は、実施の形態2にかかる圧入装置の一例を示す断面図である。図7に示すように、本実施の形態にかかる圧入装置は、ボール25を加熱するための加熱手段35(第2の加熱手段)を備えている点が実施の形態1にかかる圧入装置1と異なる。これ以外は、実施の形態1で説明した圧入装置1と同様であるので、重複した説明は適宜省略する。
ワーク21は鋼材を用いて形成されているので、ワーク21を熱処理する際の温度条件が不適切である場合は、遅れ破壊の原因となるマルテンサイトが生成される。このマルテンサイトは、鋼材をA1点(A1変態温度)以上に加熱することで発生したオーステナイトが急冷されることで生成される。マルテンサイトは体心正方格子の鉄の結晶中に炭素が侵入した固溶体であり、硬くて脆いという性質がある。このため、ワーク21の開口部22にマルテンサイトが形成されないようにする必要がある。
しかしながら、実施の形態1において、図3のステップS3におけるワーク21の開口部22の周囲の側壁23の熱処理温度がA1点以上である場合、その後、ワーク21の開口部22にボール25(室温)を圧入すると、開口部22の周囲の側壁23が急冷される。このため、開口部22の周囲の側壁23にマルテンサイトが形成されるという問題がある。
そこで本実施の形態にかかる圧入装置では、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23の熱処理温度がA1点以上である場合、ボール25を鋼材のMs点よりも高い温度に加熱した後で、ワーク21の開口部22にボール25を圧入するようにしている。
図7に示すように、加熱手段35は、ラム13の周囲を取り囲むように設けられている。加熱手段35は、例えば電熱線を用いて構成することができる。加熱手段35を用いてラム13を加熱することで、ラム13の先端部に取り付けられたボール25にラム13から熱が伝わり、ボール25が加熱される。なお、開口部22の周囲の側壁23の温度やボール25の温度は、例えば放射温度計(不図示)を用いて測定することができる。
次に、図8のフローチャートを用いて本実施の形態にかかる圧入装置の動作について説明する。まず、ワーク21をスペーサ14に取り付ける(ステップS11)。また、ボール25をラム13の先端部に取り付ける(ステップS12)。
次に、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23にレーザ光28を照射して、側壁23を加熱する(ステップS13)。これにより、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23の硬度を低下させるための熱処理(焼戻)を行うことができる。なお、本実施の形態では、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23の熱処理温度はA1点以上であるものとする。
次に、加熱手段35を用いてボール25を加熱する(ステップS14)。このとき、ワーク21を構成する鋼材のMs点よりも高い温度になるようにボール25を加熱する。ここで、Ms点は鋼材を構成する各元素の組成に応じて変化する。例えば、Ms点は次の式を用いて求めることができる(非特許文献1参照)。
Ms(K)=812−423C−30.4Mn−17.7Ni−12.1Cr−7.5Mo+(10Co−7.5Si) ・・・式1
ここで、CはCの質量%、MnはMnの質量%、NiはNiの質量%、CrはCrの質量%、MoはMoの質量%、CoはCoの質量%、SiはSiの質量%である。
そして、ボール25を鋼材のMs点よりも高い温度に加熱した後、ワーク21の開口部22にボール25を圧入する(ステップS15)。具体的には、サーボプレスユニット11のモータを回転させてイケール12を下降させる。これにより、ラム13が下降してボール25をワーク21の開口部22に圧入することができる。
ボール25が開口部22に向けて下降している間、ボール25の温度が低下する。よって、ボール25の温度は、ボール25が開口部22に到達したタイミングで、鋼材のMs点よりも高い温度になるように予め高めに設定しておいてもよい。または、ボール25が開口部22に向けて下降している間、加熱手段35を用いて鋼材のMs点よりも高い温度になるようにボール25を加熱し続けてもよい。
その後、ボール25が圧入されたワーク21をハンドリングのために冷却する(ステップS16)。このとき、ワーク25が冷却されることでワーク25の開口部22が収縮し、開口部22にボール25が強固に固定される。
図9は、開口部22にボール25を圧入する際のボール25の温度と、ボール25を圧入した後の開口部25の周囲の側壁23の硬さとの関係を示す図である。図9に示す例では、鋼材の開口部22の周囲の側壁23の表面付近の組成として、炭素が0.2%、Siが0.25%、Mnが0.73%、Crが1.05%、Niが0.13%、Moが0%、Coが0%含まれている鋼材を用いた場合を示している。この場合は、上記式1から開口部22の表面付近のMs点は162℃となる。また、鋼材のA1点は727℃とする。
ワーク21の開口部22の周囲の側壁23を850℃(A1点以上の温度)に加熱して熱処理をした後、室温のボール25を圧入した場合は、開口部22の周囲の側壁23が急冷される。このとき、鋼材中のオーステナイトが急冷されてマルテンサイトが生成されるため、図9に示すように、開口部22の周囲の側壁23の表面付近の硬さは780(Hv)となり硬くなる。
一方、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23を850℃(A1点以上の温度)に加熱して熱処理をした後、400℃に加熱したボール25を圧入した場合は、開口部22の周囲の側壁23が急冷されないため、マルテンサイトの生成を抑制することができる。このため、図9に示すように、開口部22の周囲の側壁23の表面付近の硬さを400(Hv)程度とすることができ、硬さの目標値である440(Hv)よりも低くすることができる。
上記で説明したように、開口部22の周囲の側壁23を熱処理(ステップS13)する際の温度が鋼材のA1点よりも高い場合は、開口部22にボール25を圧入した際に開口部22の周囲の側壁23が急冷されてマルテンサイト(遅れ破壊の原因となる)が生成されるおそれがあった。しかし、本実施の形態にかかる圧入装置では、予めボール25を鋼材のMs点よりも高い温度に加熱しておくことで(ステップS14)、鋼材の開口部22にボール25を圧入した際に開口部22の周囲の側壁23が急冷されることを抑制することができ、マルテンサイトの生成を抑制することができる。
なお、上記ではボール25をラム13に取り付けた後にボール25を加熱する構成について説明した。しかし本実施の形態にかかる圧入装置では、予め加熱してあるボール25をラム13に取り付け、その後、ボール25を開口部22に圧入するようにしてもよい。この場合は、ボール25をラム13に取り付ける時間およびボール25を開口部22に搬送する時間を考慮して、ボール25の温度を高めに設定する必要がある。
<実施の形態3>
次に、本発明の実施の形態3について説明する。図10は、実施の形態3にかかる圧入装置の一例を示す断面図である。図10に示すように、本実施の形態にかかる圧入装置は、ボール25を加熱するための加熱手段35(第2の加熱手段)と、ボール25を開口部22に圧入する際に開口部22の周囲の側壁23とボール25との間に働く圧入荷重を測定するための圧入荷重測定手段37とを備えている点が、実施の形態1にかかる圧入装置1と異なる。これ以外は、実施の形態1で説明した圧入装置と同様であるので、重複した説明は適宜省略する。
本実施の形態にかかる圧入装置では、ボール25を開口部22に圧入する際に、加熱手段35を用いてボール25を加熱して軟化させている。このように、ボール25を加熱して軟化させることで、開口部22にボール25を圧入する際にボール25を変形(塑性変形)させることができる。よって、開口部22にボール25を圧入する際に必要な圧入荷重を小さくすることができる。
このとき、開口部22にボール25を圧入する際に開口部22の周囲の側壁23とボール25との間に働く圧入荷重を測定する圧入荷重測定手段37を設け、圧入荷重測定手段37で測定された圧入荷重が所定の値よりも小さくなるようにボール25を加熱してもよい。
このように、圧入荷重測定手段37を用いて圧入荷重を測定し、測定された圧入荷重が所定の値以上の場合にボール25を加熱してボール25の変形量を大きくすることで、ボール25を圧入する際の圧入荷重を所定の値よりも小さくすることができる。よって、ボール25を圧入する際に開口部22の周囲の側壁23に大きな圧入荷重が働くことを抑制することができ、開口部22の周囲の側壁23が破損することを抑制することができる。
図10に示すように、加熱手段35は、ラム13の周囲を取り囲むように設けられている。加熱手段35は、例えば電熱線を用いて構成することができる。加熱手段35を用いてラム13を加熱することで、ラム13の先端部に取り付けられたボール25にラム13から熱が伝わり、ボール25が加熱される。
圧入荷重測定手段37は、ラム13とイケール12との間に設けられている。ボール25を開口部22に圧入する際、ボール25は開口部22の周囲の側壁23から反力を受ける。この反力はラム13からイケール12に伝わる。圧入荷重測定手段37は、このラム13からイケール12に伝わる力を測定することで、開口部22の周囲の側壁23とボール25との間に働く圧入荷重を測定することができる。圧入荷重測定手段37は、例えば圧力センサを用いて構成することができる。
次に、図11のフローチャートを用いて本実施の形態にかかる圧入装置の動作について説明する。まず、ワーク21をスペーサ14に取り付ける(ステップS21)。また、ボール25をラム13の先端部に取り付ける(ステップS22)。次に、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23にレーザ光28を照射して、開口部22の周囲の側壁23を加熱する(ステップS23)。これにより、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23の硬度を低下させるための熱処理(焼戻)を行うことができる。
次に、ボール25を加熱しながらワーク21の開口部22にボール25を圧入する(ステップS24)。具体的には、加熱手段35を用いてボール25を加熱する。また、サーボプレスユニット11のモータを回転させてイケール12を下降させる。これにより、ボール25を加熱しながら、ボール25をワーク21の開口部22に圧入することができる。
そして、圧入装置1は、圧入荷重測定手段37で開口部22の周囲の側壁23とボール25との間に働く圧入荷重をモニタしながら、加熱手段35を用いてボール25の温度を制御する(ステップS25)。具体的には、加熱手段35は、圧入荷重測定手段37で測定された圧入荷重が所定の値よりも小さくなるようにボール25を加熱する。換言すると、加熱手段35は、圧入荷重測定手段37で測定された圧入荷重が所定の値よりも大きい場合、ボール25の温度を上昇させる。これによりボールが軟化して、ボール25を開口部22に圧入する際の圧入荷重を低減させることができる。
その後、ボールの圧入が終了するまで(ボール25が開口部22の所定の位置に達するまで)、ステップS24〜S25の動作を繰り返す(ステップS26:No)。そして、ボールの圧入が終了した後(ステップS26:Yes)、ボール25が圧入されたワーク21をハンドリングのために冷却する(ステップS27)。このとき、ワーク25が冷却されることでワーク25の開口部22が収縮し、開口部22にボール25が強固に固定される。
図12は、ボール25の温度と硬さとの関係を示す図である。図12では、ボール25の材料にSUJ2(高炭素クロム軸受鋼鋼材)を用いた場合を示している。図12に示すように、ボール25の温度が上昇するにつれて、ボール25の硬さが低下する。本実施の形態では、図12に示すようなデータを参考にして、ボール25の温度の条件出しを実施してもよい。
このように、圧入荷重測定手段37を用いて圧入荷重を測定し、測定された圧入荷重が所定の値以上の場合にボール25を加熱してボール25の変形量を大きくすることで、ボール25を圧入する際の圧入荷重を所定の値よりも小さくすることができる。よって、ボール25を圧入する際に開口部22の周囲の側壁23に大きな圧入荷重が働くことを抑制することができ、開口部22の周囲の側壁23が破損することを抑制することができる。
なお、上記ではボール25をラム13に取り付けた後にボール25を加熱する構成について説明した。しかし本実施の形態にかかる圧入装置では、予め加熱してあるボール25をラム13に取り付けるようにしてもよい。このように、ボール25を予め加熱しておくことで、ボール25をラム13に取り付けた後、ボール25が軟化する温度までの加熱時間を短くすることができる。
また、ボール25を加熱することでボール25の体積も膨張するが、本実施の形態ではボール25の軟化の影響のほうが大きいといえる。また、開口部22に関しては、開口部22の周囲の側壁23を加熱することによる軟化の影響よりも、開口部22の広がり量の増加の影響のほうが大きいといえる。よって、本実施の形態では、開口部22の周囲の側壁23およびボール25を加熱することで、ボール25を圧入する際の圧入荷重を小さくすることができる。
また、本実施の形態にかかる圧入装置においても、実施の形態2にかかる圧入装置で得られた効果と同様の効果を得ることができる場合がある。すなわち、開口部22の周囲の側壁23を熱処理(ステップS23)する際の温度が鋼材のA1点よりも高い場合は、開口部22にボール25を圧入した際に開口部22の周囲の側壁23が急冷されてマルテンサイト(遅れ破壊の原因となる)が生成されるおそれがある。しかし、本実施の形態にかかる圧入装置では、ボール25を加熱しながらワーク21の開口部22にボール25を圧入する際に(ステップS24)、予めボール25を鋼材のMs点よりも高い温度に加熱しておくことで、鋼材の開口部22にボール25を圧入した際に開口部22の周囲の側壁23が急冷されることを抑制することができ、マルテンサイトの生成を抑制することができる。この場合、ステップS25において制御するボール25の制御温度が鋼材のMs点よりも高い温度であることが前提となる。
<実施の形態4>
次に、本発明の実施の形態4について説明する。図13は、本実施の形態にかかる圧入装置の一例を示す断面図である。実施の形態1〜3で説明した圧入装置では、レーザ光28を照射してワーク21の開口部22の周囲の側壁23に熱処理を施していた(図4B参照)。しかしながら本実施の形態にかかる圧入装置では、レーザ光を用いる代わりにボール25を用いてワーク21の開口部22の周囲の側壁23に熱処理を施している。図13に示すように、本実施の形態にかかる圧入装置は、レーザユニット17(図2参照)を備えていない点、及びボール25を加熱するための加熱手段35(本実施の形態では第1の加熱手段)を備えている点が実施の形態1にかかる圧入装置と異なる。これ以外は、実施の形態1で説明した圧入装置1と同様であるので、重複した説明は適宜省略する。
図13に示すように、加熱手段35は、ラム13の周囲を取り囲むように設けられている。加熱手段35は、例えば電熱線を用いて構成することができる。加熱手段35を用いてラム13を加熱することで、ラム13の先端部に取り付けられたボール25にラム13から熱が伝わり、ボール25が加熱される。そして、加熱手段35は、ボール25が開口部22の周囲の側壁23に当接している状態でボール25を加熱し、このボール25を介して開口部22の周囲の側壁23に熱処理を施す。つまり、本実施の形態にかかる圧入装置では、加熱されたボール25から開口部22の周囲の側壁23に熱伝導によって熱が伝わることで、開口部22の周囲の側壁23に熱処理を施すことができる。
次に、図14のフローチャートを用いて本実施の形態にかかる圧入装置の動作について説明する。まず、ワーク21をスペーサ14に取り付ける(ステップS31)。また、ボール25をラム13の先端部に取り付ける(ステップS32)。次に、ボール25を加熱する(ステップS33)。そして、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23にボール25を当接させて保持し、開口部22の周囲の側壁23に熱処理を施す(ステップS34:図13参照)。これにより、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23の硬度を低下させるための熱処理(焼戻)を行うことができる。なお、本実施の形態では、ワーク21の開口部22の周囲の側壁23にボール25を当接させた後に、ボール25の加熱を開始してもよい。つまり、ステップS33はステップS34に含まれていてもよい。
このときの開口部22の周囲の側壁23の熱処理温度および熱処理時間は任意に設定することができる。例えば、開口部22の周囲の側壁23の硬度が、所定の硬度以下となるような熱処理温度および熱処理時間とする。ここで、所定の硬度とは、圧入部品の圧入によって開口部22の周囲の側壁23が割れることを抑制することができる程度の硬度である。
上記の熱処理が終了した後、ワーク21の開口部22に、加熱された状態のボール25(つまり、ボール25を軟化させるための熱処理が施されたボール)を圧入する(ステップS35)。その後、ボール25が圧入されたワーク21をハンドリングのために冷却する(ステップS36)。このとき、ワーク25が冷却されることでワーク25の開口部22が収縮し、開口部22にボール25が強固に固定される。つまり、焼嵌めの効果が得られる。
本実施の形態にかかる圧入装置では、軟化のための熱処理によってボール25が軟化している状態でボール25を開口部22に圧入している(ステップS35)。よって、開口部22にボール25を圧入する際にボール25を変形させることができ、開口部22に求められる加工精度を低減することができる。したがって、従来技術で必要であった開口部の寸法を調整するための仕上げ加工(図6のステップS103)を省略することができ、鋼材の開口部に圧入部品を圧入する製造工程を簡略化することができる。また、本実施の形態にかかる圧入装置では、ボール25が開口部22の周囲の側壁23に当接している状態でボール25を加熱し、このボール25を介して開口部22の周囲の側壁23に熱処理を施している。よって、実施の形態1にかかる圧入装置と比べてレーザユニット17(図2参照)を省略することができるので、圧入装置の装置構成を簡略化することができる。
特に本実施の形態にかかる圧入装置は、開口部22の周囲の側壁23の熱処理温度が比較的低い場合、つまり、開口部22の周囲の側壁の硬さの低下代(硬さの低下幅)が低い場合に有効である。
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
1 圧入装置
11 サーボプレスユニット
12 イケール
13 ラム(圧入手段)
14 スペーサ
15 チャック
16 回転ユニット
17 レーザユニット
21 ワーク(鋼材)
22 開口部
23 側壁
25 ボール(圧入部品)
28 レーザ光
31 回転軸
35 加熱手段
37 圧入荷重測定手段

Claims (2)

  1. 鋼材の開口部に圧入部品を圧入する圧入方法であって、
    前記鋼材の開口部の周囲の側壁を加熱し、前記開口部の周囲の側壁の硬度を低下させるための熱処理を行う第1の加熱工程と、
    前記圧入部品を加熱する第2の加熱工程と、
    前記第1及び第2の加熱工程の後、前記鋼材の前記開口部に前記第2の加熱工程において加熱された前記圧入部品を圧入する圧入工程と、を備え、
    前記圧入工程では、前記第1の加熱工程による前記熱処理の熱によって常温よりも高い所定温度条件下で前記鋼材の前記開口部の開口幅が常温時の開口幅よりも拡大した状態において、前記圧入部品を前記開口部に圧入し、
    前記所定温度条件は、前記熱処理後に温度が低下して常温状態にある前記鋼材の前記開口部の開口幅の加工公差に対応して想定される最小開口幅を有する前記鋼材の開口幅が、前記開口部に前記圧入部品を圧入するために求められる開口幅の最小値にまで拡大するよう前記鋼材の前記開口部が変形するために必要な温度以上の温度であ
    前記所定温度条件が前記鋼材のA1点よりも高い場合、前記第2の加熱工程において前記圧入部品を前記鋼材のMs点よりも高い温度に加熱した後、前記圧入工程において前記開口部に前記圧入部品を圧入する、
    圧入方法
  2. 前記圧入工程において前記開口部に前記圧入部品を圧入する際前記開口部の周囲の側壁と前記圧入部品との間に働く圧入荷重を測定し、当該測定された圧入荷重が所定の値よりも小さくなるように前記圧入部品を加熱して軟化させながら圧入する、請求項に記載の圧入方法
JP2015104359A 2015-05-22 2015-05-22 圧入方法 Expired - Fee Related JP6398869B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015104359A JP6398869B2 (ja) 2015-05-22 2015-05-22 圧入方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015104359A JP6398869B2 (ja) 2015-05-22 2015-05-22 圧入方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016215334A JP2016215334A (ja) 2016-12-22
JP6398869B2 true JP6398869B2 (ja) 2018-10-03

Family

ID=57577681

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015104359A Expired - Fee Related JP6398869B2 (ja) 2015-05-22 2015-05-22 圧入方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6398869B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102450225B1 (ko) * 2021-12-28 2022-10-06 비엠에스엔지니어링 주식회사 리프팅 어셈블리 및 이를 이용한 저장 탱크 제조방법

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3932216B2 (ja) * 1997-08-11 2007-06-20 株式会社Mstコーポレーション 焼嵌め式工具ホルダ
JP2003227964A (ja) * 2002-02-06 2003-08-15 Seiko Instruments Inc フェルールの製造方法
JP4091835B2 (ja) * 2002-12-26 2008-05-28 京セラ株式会社 光ファイバ固定具及びその製造方法
JP4692900B2 (ja) * 2006-12-27 2011-06-01 日本ビクター株式会社 フランジ付き軸の製造方法及び軸挿入装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016215334A (ja) 2016-12-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2013099821A1 (ja) ばねの製造方法及びばね
JP6211366B2 (ja) リング状部材の熱処理方法およびリング状部材の熱処理設備
JP2009287074A (ja) 高周波熱処理装置、高周波熱処理方法及び高周波熱処理方法を行った環状部品を備える転がり軸受
JP2009203498A (ja) 高周波誘導加熱方法、加熱装置、及び軸受
JP6398869B2 (ja) 圧入方法
JP2011256423A (ja) 転動体転動面の熱処理方法と転動体転動面の熱処理装置
JP6537940B2 (ja) 軌道輪の製造方法
JP5026175B2 (ja) ワークの製造方法
JP2012144768A (ja) クランクシャフトへの焼入方法及びそのクランクシャフト
JP5433932B2 (ja) 環状体の変形矯正方法
JP5553440B2 (ja) 熱処理方法及び熱処理装置
US10161015B2 (en) Heat treatment method and method of manufacturing machine part
JP2009203525A (ja) 転がり軸受の製造ライン
JP5380812B2 (ja) 環状体の焼入れ方法
JP6191630B2 (ja) ワークの製造方法
JP2000054027A (ja) リニアガイドレールの製造方法
JP6519282B2 (ja) リングギヤの製造方法及びリングギヤ
JP5763036B2 (ja) 微細フェライト粒界析出型マルテンサイト組織を有する鋼製品の製造方法
JP2019514699A (ja) 成形体を生成するための方法
JP2008106307A (ja) 金属リングの高周波焼入方法
JPH06264147A (ja) ステアリングラック軸の製造方法
JP6175101B2 (ja) 微細フェライト粒界析出型マルテンサイト組織を有する鋼製品
JP2020076148A (ja) ワークの表面硬化処理方法
JP2009518543A (ja) フラッシュ焼き戻し方法および装置
JP4919556B2 (ja) 歯車の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170614

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180320

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180508

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180807

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180820

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6398869

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees