JP6398673B2 - 溶融金属中での気泡発生方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスインジェクションによって、溶融金属中で微細な気泡を発生させる方法に関する。
溶融金属を取り扱う乾式精錬プロセスにおいて、溶融金属中の炭素、窒素等の不純物元素、または酸化物を主体とする非金属介在物は、その溶融金属から製造される製品の特性に悪影響を与えることが多い。したがって、これらの不純物元素、および非金属介在物を除去することは、重要である。特に、非金属介在物は、溶融金属から得られる製品にまで残存すると、製品の重大欠陥に繋がるため、溶融状態の段階、すなわち鋳造前までの段階で、除去しておかなければならない。
溶融金属中の非金属介在物を取り除く手段として、不活性ガスインジェクション、すなわち、溶融金属中にノズルを挿入してノズルから不活性ガスの気泡を発生させることが有効である。この気泡が非金属介在物に付着することにより、非金属介在物は、溶融金属中をその表面へと浮上して溶融金属から分離するので、溶融金属の清浄度が向上する。
ガスインジェクションを利用した溶融金属の清浄度向上は、発生する気泡の態様と大きく関係している。すなわち、気泡のサイズが小さいほど、または、気泡の数が多いほど、非金属介在物に付着して非金属介在物を浮上させる確率が大幅に増す。
溶融金属の代わりに、常温、常圧の水に対して、ガスインジェクションを行う場合は、サイズが小さな気泡を発生させることは容易である。しかしながら、同じ内径および外径を有するノズルを用いても、溶融金属にインジェクションする場合は、水系で得られるような小さなサイズの気泡を生成させることには限界がある。これは、溶融金属の表面張力が水の表面張力と比べて大きいことに関係していると考えられる。
特許文献1には、溶鋼を収容する容器の底部に設けられた多孔性煉瓦を通してガスを吹き込み、溶鋼中に気泡を発生させる方法が開示されている。この方法では、容器中の溶鋼に、変動する電磁力を発生させて、多孔性体の表面に作用する見掛け圧を変動させ、多孔性体の表面から浮上する気泡の径を制御する。特許文献1では、さらに、鉛直方向に変動する電磁力を溶鋼に発生させる方法として、溶鋼に、互いに直交する静磁場と交流電流とを水平方向に印加することが挙げられている。
特許文献2には、溶融金属中にガスを吹き込んで気泡を発生させる方法において、気泡が発生する部分の溶融金属に気泡の発生方向に直流電流を印加し、これにより発生する電磁力によって、発生する気泡の径を制御する方法が開示されている。
特許文献3には、溶鋼が収容された円筒型容器の円周壁全体が不活性ガスを吹き込むガス吹き込み帯であり、このガス吹き込み帯の下方に、溶鋼を水平面内で回転させる駆動装置を配置した装置が開示されている。特許文献3では、駆動装置により溶鋼内に速度勾配を生じさせて、容器全体に微細な気泡を分散させることが記載されている。
特公平03−30456号公報 特開平06−128660号公報 特開平09−122846号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、静磁場を発生させる装置等の設備コストが大きく、さらに、容器内の溶鋼量が増すに従って、設備の大型化が避けられない。
引用文献1および2の方法では、微細な気泡を発生させるための条件を求める方法が開示されておらず、気泡を微細化できない場合がある。
引用文献3の技術では、溶鋼を収容する容器のうち少なくとも円周壁全体が耐火物からなり、溶鋼の回転によりこの耐火物に溶損が生じるため、一定の期間使用した後には、この容器の交換が必要であり、操業コストが増大する。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、コストを抑制して、溶融金属中に微細な気泡を発生させることを可能とする方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記の、溶融金属中での気泡の発生方法を要旨としている。
溶融金属中に不活性ガスを吹き込んで、当該溶融金属中に気泡を発生させる方法であって、
ガス吹き込み孔を有し導電性物質からなるノズルと当該溶融金属との間に電位差を付与して、当該溶融金属に通電することにより、前記ノズルに対する当該溶融金属の接触角を90°未満に制御する工程と、
前記接触角を90°未満に制御した状態で、前記ガス吹き込み孔から当該溶融金属中へ、不活性ガスを吹き込む工程と
を有する、溶融金属中での気泡発生方法。
この気泡発生方法により、溶融金属中に微細な気泡を発生させることができる。溶融金属とノズルとの間の電位差は、たとえば、対極となる導電性部材を溶融金属に浸漬して、この対極とノズルとの間に電位差を付与することにより、付与することができる。ノズル、および対極は、安価に製造することができるので、本発明により、コストを抑制することができる。
図1は、本発明の気泡発生方法の実施に用いることができる装置構成の一例を示す図である。
[微細な気泡を発生させることが困難である理由]
一般に、液体内に浸漬したノズルからガスを吹き込むことによって液体中に発生する気泡のサイズは、ノズル径、液体の表面張力および密度、ならびにノズルと液体との間の接触角(濡れ性)などの影響を強く受ける。液体の種類が同じであれば、発生する気泡のサイズを微細にするためには、ノズル径を小さくするか、ノズルと液体との間の接触角を小さくすることが有効である。
しかしながら、ノズルと液体との間の接触角が90°を超える、いわゆる、ノズルが液体に濡れない場合には、ノズル径をいくら小さくできたとしても、それによる気泡微細化には限界が生じる。これは、ノズル出口から出て気泡として成長するガスは、臨界の気泡径に成長するまで、ノズルから離脱しないためである。したがって、気泡を微細にするためには、ノズルを小径化するとともに、同時に、ノズルと液体と間の濡れ性を向上させることが必要である。
放電加工など、様々な加工技術を駆使すれば、ノズル径を小さくすることは容易である。一方、ノズルと液体との間の濡れ性を向上させることに関しては、これまで、有効な対策が講じられていなかった。
ガスを吹き込む対象の液体が、常温で液体であり(たとえば、液体が水であり)、気泡を常温で発生させるのであれば、この液体が接触する固体の表面に親水性のコーティング剤を塗布すれば、水と固体との間の濡れ性を容易に高くすることができる。しかしながら、高温(たとえば、数百℃以上)でも安定で実用的なコーティング剤は存在しない。そのため、溶融金属のような、少なくとも、数百℃以上の融点を有する液体の場合は、ノズルと液体との間の濡れ性を任意に制御することは難しいうえに、そもそも高温での使用に耐えうるノズルの材料も限られる。
仮に、溶融金属との濡れ性を向上させることができる材料が存在したとしても、そのような材料は、溶融金属と反応して消耗しやすい。そのため、仮に、濡れ性の向上を重視して、反応しやすい消耗性の材料からなるノズルを選定したとすると、耐久性に課題が残るだけでなく、消耗の進行に伴って、ノズル径が徐々に拡大するため、ノズルの小径化と良好な濡れ性とが両立しなくなってしまう。
[本発明の元となった着想]
本発明者らは、溶融金属中へのガスインエジェクションの場合でも、ノズルと溶融金属との間に適正な電位差を付与すれば、上記耐久性の問題を解決した上で、溶融金属とノズルとの間の濡れ性を向上でき、溶融金属中に微細な気泡を発生できることを知見した。この知見は、試行錯誤で条件を変えて溶融金属と非金属物質との間の濡れ性を評価する実験から得られた。以下、この実験について説明する。
〈実験1〉溶融金属と非金属物質との間の濡れ性評価
チャンバー型の電気炉を用いて、炉内をAr雰囲気として、金属を、直径が30mmで、厚さが10mmの円板状の非金属物質からなる基板の上で溶融させた。
溶融対象の金属は、下記金属A〜Cとした。
金属A:Fe−4.5質量%C(形状:直径が8mmで、厚さが5mmの円柱状)
金属B:純度が99.99%のCu(形状:直径が8mmで、厚さが5mmの円柱状)
金属C:純度が99.99%のFe(形状:直径が7mmで、厚さが7mmの円柱状)
基板として、黒鉛からなる基板A、ZrO2からなる基板B、およびY23からなる基板Cを用いた。金属Aまたは金属Bを用いる場合は、金属の溶融温度は1200℃とし、金属Aおよび金属Bと、基板A、基板B、および基板Cとのすべての組合せで、金属の溶融を行った。一方、金属Cを用いる場合は、金属の溶融温度は1550℃とし、基板B、および基板C上でのみ、金属の溶融を行った。
いずれの場合も、溶融金属と基板との接触部を含む領域を、側方から、CCDカメラで撮影し、その撮影像から、基板に対する溶融金属の接触角を計測した。接触角は、いずれも、120〜150°の範囲内にあった。すなわち、接触角は90°以上であり、基板に対する溶融金属の濡れ性は低かった。
次に、溶融金属と基板とを、それぞれ、導電部材を介して、直流電源装置につないで、溶融金属と基板との間に電位差の付与を可能とする電気回路を構成した。これにより溶融金属と基板との間に電位差を付与すると、接触角に変化が生じることを見出した。特に、電流密度が35mA/cm2〜1A/cm2となるように電位差を付与すると、金属および基板の種類によらず、溶融金属と基板との間の接触角を46〜90°の範囲に制御できた。すなわち、濡れ性を向上させる条件を見出した。
〈実験2〉溶融金属中へのガスインジェクション試験
実験1で得られた知見に基づき、溶融金属中へのガスインジェクション試験を実施し、溶融金属中に微細な気泡を発生させる方法を見出した。
まず、直電源装置に備えられた1対の出力端子のうち、正極に、黒鉛棒を接続し、また、負極に、先端がZrO2製または黒鉛製のガス吹き込み管(単管)を接続した。黒鉛棒の直径は、3mmであった。ガス吹き込み管は、いずれも、外径が1mmで、内径が0.4mmのものであった。ガス吹き込み管の先端は、ガスを吐出するノズルとして機能するものであった。
次に、外径が96mmで、内径が90mmで、高さが150mmの有底円筒状のアルミナるつぼ内に、純度が99.9%のCuを3.5kg装入し、このアルミナるつぼを、電気炉内に入れ、電気炉内をAr雰囲気にした後、銅を加熱して溶融し、1200℃で保持した。
そして、黒鉛棒と、ガス吹き込み管とを、Cu融液中に挿入した。ガス吹き込み管の先端は、Cu融液の表面から45mmの深さまで浸漬させた。この状態で、直流電源装置により、黒鉛棒とガス吹き込み管との間に電位差を与えた。続いて、ガス吹き込み管を介して、純度が99.99%のArを20cm3/分(標準温度および圧力;STP(standard temperature and pressure))の流量でCu融液中に吹き込んだ。これにより、ガス吹き込み管の先端(ノズル)から吐出されたArガスは、気泡となってCu融液の表面まで浮上した。
その際、条件(ガス吹き込み管先端の材質、直流電源装置によって付与した電位差(電圧)の大きさ)ごとに、気泡が浮上してくるCu融液の表面を、炉の上部から、カメラによって動画として撮影した。その後、得られた動画から、画像解析により、気泡の円相当径を算出した。
表1Aに、先端がZrO2製のガス吹き込み管を用いた場合の印加電圧と気泡径との関係を示す。表1Bに、先端が黒鉛製のガス吹き込み管を用いた場合の印加電圧と気泡径との関係を示す。
Figure 0006398673
Figure 0006398673
表1Aおよび表1Bには、Cu融液中でガス吹き込み管先端部表面での電流密度の値、ガス吹き込み管先端部の材料に対するCu融液の接触角、および電圧を印加しなかった場合の気泡の径に対する、電圧を印加した場合の気泡の径の比を、併せて記載している。
電流密度の値は、出力電流をガス吹き込み管の導通部(黒鉛またはZrO2からなる部分に相当)とCu融液との接触面積で除して求めた。接触角の値は、実験1の結果に基づいている。
表1Aおよび表1Bから、印加する電圧が大きくなり、Cu融液中の電流密度が大きくなるほど、接触角が小さくなるとともに、気泡の径が小さくなることがわかる。ガス吹き込み管先端部を構成する材料がZrO2および黒鉛のいずれの場合でも、当該材料に対するCu融液の接触角が90°未満のとき、電圧を印加しないときの気泡径よりも30%以上小さい径の気泡が生成する。
上述のように、本発明の気泡発生方法は、溶融金属中に不活性ガスを吹き込んで、当該溶融金属中に気泡を発生させる方法であって、ガス吹き込み孔を有し導電性物質からなるノズルと当該溶融金属との間に電位差を付与して、当該溶融金属に通電することにより、前記ノズルに対する当該溶融金属の接触角を90°未満に制御する工程と、前記接触角を90°未満に制御した状態で、前記ガス吹き込み孔から当該溶融金属中へ、不活性ガスを吹き込む工程とを有する。
接触角が90°以上のとき、ノズルから気泡が離脱しにくくなり、微細な気泡を発生させることが困難になる。このため、接触角が90°未満になるように溶融金属とノズルとの間に電位差を付与することとする。気泡径を正確に制御するためには、電位差と接触角との関係を、予め、上記実験1に準ずる方法により求めておき、本発明の気泡発生方法を実施する際は、この関係に基づき、目標とする接触角に対応する電位差を溶融金属とノズルとの間に付与することが好ましい。
前記通電によって、当該溶融金属と前記ノズルとの間の電流密度を35mA/cm2〜1A/cm2に調整することが好ましい。電流密度を35mA/cm2以上とすることにより、接触角を90°未満として、微細な気泡を発生させることができる。一方、電流密度が1A/cm2を超えると、微細な気泡を発生させる効果はほぼ飽和するのみならず、そのような電流密度を生じさせるためには、大型の電源装置が必要になるうえ、配線ケーブルを太くする必要などが生じるため、実用上は望ましくない。このため、電流密度は、35mA/cm2〜1A/cm2とする。
上記効果を安定して得るためには、電流密度を、45mA/cm2〜900mA/cm2に制御することが好ましい。
本発明の第1および第2の気泡発生方法のいずれにおいても、溶融金属の種類は、特に限定されず、たとえば、Cu、Cu系合金、Fe、Fe系合金、Al、Al系合金、Ni、Ni系合金、ステンレスなどからなるものとすることができる。
ノズルと溶融金属との間に電位差を付与するために、ノズル(ガスを吹き込む孔の縁部)は、導電性物質からなる必要がある。ノズルを構成する導電性物質としては、たとえば、ジルコニア、イットリアなどの固体電解質、黒鉛、および、アルミナグラファイト、マグネシアグラファイトなどのグラファイト系耐火物を挙げることができる。
ノズルは、たとえば、管の開口端とすることができる。本発明を実施する際、1個のノズルを用いてもよく、複数のノズルを用いてもよい。ノズルを管の開口端とする場合は、1本の管を用いてもよく、複数の管を用いてもよい。ノズルとして、多孔質体(ポーラスな材料からなる部材)を用いてもよい。また、ノズルは、必ずしも浸漬させる必要はなく、取鍋、タンディッシュなど、溶融金属を収容する容器底面にはめ込まれたものであってもよい。
本発明の気泡発生方法により、溶融金属に対してガスインジェクションを行い、微細な気泡を発生させることができる。この気泡により、非金属介在物を効率的に除去できるので、精錬効率の向上、および溶融金属から得られる製品の清浄性を向上できる。
図1は、本発明を実施するために用いた装置の構成を示す断面図である。この装置は、溶鋼Mを収容する取鍋1と、取鍋1の底部から抜き出された溶鋼Mを受けるタンディッシュ2と、タンディッシュ2の底部から抜き出された溶鋼Mを受ける溶鋼受け3とを備えている。
タンディッシュ2の底部には、アルミナグラファイト製で、内径が15mmの円筒状のタンディッシュノズル2aが設けられている。このタンディッシュノズル2aを介して、タンディッシュ2内の溶鋼Mを抜き出すことができる。また、タンディッシュ2には、タンディッシュ2内からタンディッシュノズル2aの開口を開閉する棒状のストッパー5が設けられている。ストッパー5は、アルミナグラファイトからなる。
さらに、タンディッシュ2には、ポーラスノズル4が設けられている。ポーラスノズル4は、ZrO2グラファイト(85質量%ZrO2−5質量%CaO−10質量%C)で構成されている。ポーラスノズル4の外径は、100mmである。ポーラスノズル4の表面には、微小な開口が多数存在する。ポーラスノズル4の長手方向は、鉛直方向に沿うように向けられており、ポーラスノズル4の上端からArガスを供給することにより、ポーラスノズル4の表面の微小な開口からArガスが吐出される。
ポーラスノズル4は、直流電源装置6の負極に接続されており、ストッパー5は、直流電源装置6の正極に接続されている。したがって、ストッパー5は、ポーラスノズル4の対極として機能する。直流電源装置6により、ガス導入配管4とタンディッシュノズル2aとの間に、直流の電位差を与えることができる。
溶鋼受け3には、ロードセル8が取り付けられている。ロードセル8により、溶鋼受け3および溶鋼受け3内の溶鋼Mの合計重量をモニターすることができ、したがって、タンディッシュ2から溶鋼受け3内に排出された溶鋼Mの重量を知ることができる。
本発明の効果を確認するため、図1に示す装置を用いて、溶鋼M中で気泡を発生させて、溶鋼M中の介在物除去効果を評価した。
まず、図示しない高周波誘導炉を用いて、SiおよびMnによる予備複合脱酸を施した溶鋼を1ton溶製した。この溶鋼Mを、高周波誘導炉から、取鍋1に上方から注いで移し替えた。取鍋1内には、溶鋼Mを注入する前に、予め、金属AlおよびTiを装入しておき、溶鋼Mの注入によって、溶鋼M中にAlおよびTiを溶解させ、溶鋼組成を表2に示すものに調整した。溶鋼Mの組成で、表1に示すものの残部は、Feおよび不純物からなる。この組成では、一般的な組成の鋼に比して、AlおよびTi系の酸化物が溶鋼M中で生成しやすくなる。
Figure 0006398673
次に、ストッパー5によりタンディッシュノズル2aが閉じられた状態とし、取鍋1をタンディッシュ2の上方へ移動後、取鍋1の底部に設けられたノズルを介して、タンディッシュ2内へと、取鍋1内の溶鋼Mの移送を開始した。タンディッシュ2内の溶鋼量が増えると、ストッパー5を引き上げてタンディッシュノズル2aを全開にするとともに、取鍋1からの溶鋼供給量を調整して、タンディッシュ2内の溶鋼量が常に300kgになるようにした。このとき、タンディシュ2内の溶鋼過熱度は50〜60℃の範囲であった。
そして、ポーラスノズル4が溶鋼M中に浸漬した状態とし、ポーラスノズル4から、Arガスを、300cm3/分(STP)の流量で溶鋼M中へ吹き込んだ。また、直流電源装置6により、ポーラスノズル4とストッパー5との間に電位差を付与し、溶鋼Mとストッパー5との間に電位差を付与した。
タンディッシュ2から溶鋼Mを排出している間は、ロードセル8により溶鋼受け3内の溶鋼Mの重量をモニターし、タンディッシュノズル2aが閉塞をした場合を除き、溶鋼受け3内に排出された溶鋼Mの総重量が600kgに到達した時点で、ストッパー5を下降させてタンディッシュノズル2aを閉じ、溶鋼Mの排出を止めた。条件によっては、600kgの溶鋼Mをタンディッシュ2から排出する前に、タンディッシュノズル2aが閉塞した。
以上の試験を種々の条件で実施した。タンディッシュノズル2aの閉塞有無、および、タンディッシュ2から600kgの溶鋼Mを排出させるのに要した時間を測定し、溶鋼M中へのガス吹き込みによる介在物除去効果を間接的に評価した。
表3に、試験の条件および結果を示す。実施例1〜4は、本発明の要件を満足する例であり、比較例1および2は、本発明の要件を満足しない例である。
Figure 0006398673
実施例1〜4では、いずれも、短時間で、600kgの溶鋼Mを排出できた。これは、吹き込んだArガスが微細となり、酸化物が効率的に除去されたためであると考えられる。特に、実施例4では、600kgの溶鋼Mを最も短時間で排出させることができ、Arガス吹き込みによる酸化物除去効果が最も顕著であったものと推察される。
比較例1では、600kgの溶鋼Mを排出する前に、タンディッシュノズル2aが閉塞した。これは、溶鋼Mとポーラスノズル4との間に電位差を付与せずにArガスを溶鋼M中に吹き込んだために、Arガスの気泡が微細にならず、溶鋼Mの清浄性がほとんど改善されなかったためと考えられる。
比較例2では、600kgの溶鋼Mを排出させることはできたものの、実施例1〜4と比べて、排出するのに要した時間は、10〜20%程度長くなっており、酸化物を主とする介在物によるタンディッシュノズル2aの閉塞の進行が顕著であったと考えられる。これは、溶鋼Mとタンディッシュノズル2aとの間に電位差を付与したものの、タンディッシュノズル2aに対する溶鋼Mの接触角が90°未満にならず、溶鋼M中のArガスの気泡を微細化することができず、酸化物介在物の除去効果を低くできなかったためと推察される。
実際に、実験後のタンディッシュノズル2a内の閉塞状況を調査した結果、実施例1〜4に比べ、比較例1、2では、酸化物系介在物が多量に付着していることを確認した。
1:取鍋、 2:タンディッシュ、 2a:タンディッシュノズル、
3:溶鋼受け、 4:ポーラスノズル、 5:ストッパー、
6:直流電源装置、 8:ロードセル、 M:溶鋼

Claims (1)

  1. 溶融金属中に不活性ガスを吹き込んで、当該溶融金属中に気泡を発生させる方法であって、
    ガス吹き込み孔を有し導電性物質からなるノズルと当該溶融金属との間に、直流電源装置により直流の電位差を付与して、当該溶融金属に通電することにより、当該溶融金属と前記ノズルとの間の電流密度を35mA/cm 〜1A/cm に調整し、前記ノズルに対する当該溶融金属の接触角を90°未満に制御した状態で、前記ガス吹き込み孔から当該溶融金属中へ、不活性ガスを吹き込むことを特徴とする、溶融金属中での気泡発生方法。
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