JP6397699B2 - マルチワイヤ放電加工装置の制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マルチワイヤ放電加工装置の制御方法に関する。
従来、円柱状インゴットからウェーハを切り出す場合等における切断手段として、砥粒を用いたワイヤーソーが知られている。しかし、このようなワイヤーソーでは、加工用砥粒が混合された加工液(スラリー)を同時供給する必要があり、その取扱いは容易でない。また、ワイヤがワークに直接接触するため、特に硬度の高いSiC等の場合、加工中にワイヤが断線するおそれがあり、断線が生じた場合には復旧までに長時間を要する不都合があった。
そこで、マルチワイヤ放電加工装置が発案された。放電加工によりワイヤとインゴットは接触していないため、インゴットにかかる負荷が非常に低く、スラリーによるスクラッチ等の傷の発生もないという効果がある。
しかしながら、放電による被加工物の除去とワイヤとインゴットの相対移動速度が対応しない場合、ワイヤとインゴットが接触し、短絡状態になってしまう。短絡した箇所に集中して電気が流れると、高熱となってワイヤが破断する恐れがある。そこで、マルチワイヤ放電加工装置は電圧を監視して短絡状態になっているか否かを常時監視している。そして、短絡状態になった場合、ワイヤをインゴットから離間(退避)させた後、再度加工を実施する。この際、加工に適した所望の距離だけ離間しているかどうかは、加工中と同じ電圧を印加して、ワイヤとインゴットに流れる電力の電圧が所定値以上であることが目安となるため、加工中と同じ電圧を印加して電圧を測定するテスト工程を実施する。
特開2012−240128号公報
しかしながら、テスト工程において、何らかの理由で所望の距離離間していなかった場合、加工中と同じ電圧を印加すると短絡時と同様に局所的に放電が集中し、ワイヤが断線する恐れがある。
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ワイヤとインゴットが短絡してから加工を再開させる際に、再開処理でワイヤが断線することを防止するマルチワイヤ放電加工装置の制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るマルチワイヤ放電加工装置の制御方法は、間隔をおいて隣接する複数のガイドローラに軸方向に間隔をあけて複数回巻き掛けられたワイヤと、インゴットが並列する該ワイヤに切り込むように該ワイヤとインゴットを固定する基台部とを相対的に加工送りさせる駆動手段と、該ワイヤと該基台部に固定されたインゴットに高周波パルス電力を供給する高周波パルス電源ユニットと、を備え、該高周波パルス電源ユニットは、印加するパルス電力を所望の周波数に調整するパルス調整手段と、印加する該パルス電力の電圧を調整する電圧調整手段と、該ワイヤとインゴットに流れた該パルス電力の電圧を測定し、該電圧に基づいてインゴットと該ワイヤとの間隔を判別する判別手段と、判別された該間隔に基づいてインゴットと該ワイヤとの間隔を調整する距離調整手段と、を備えるマルチワイヤ放電加工装置の制御方法であって、所定の加工電圧を印加しつつ該ワイヤとインゴットとを加工送りして放電加工する加工ステップと、該加工ステップ中に該ワイヤとインゴットとが接触または加工屑を介して接続し、所定以下の電圧が測定されて短絡状態になったと判別した際に、該ワイヤをインゴットから離間させ短絡による発熱で該ワイヤが破断するのを防ぐ離間ステップと、該離間ステップを実施した後に、該加工電圧よりも低いテスト電圧を印加して、短絡状態が解消されたか否かを判別するテストステップと、を備え、該テストステップで所定の該テスト電圧を印加した際に、測定された電圧が閾値以上の場合、短絡状態が解消したと判別して再び該加工ステップを実施し、測定された電圧が該閾値未満の場合、該テストステップを再度実施する又は該離間ステップを再度実施し、該テストステップで印加する該テスト電圧の周波数は該加工ステップより高く、所定時間で測定できるパルス数が該加工ステップより多いことを特徴とする。
また、上記マルチワイヤ放電加工装置の制御方法において、該テスト電圧は低い電圧から所定の電圧まで徐々に高く調整され、印加される電圧に対応して設定された閾値以上の電圧が測定された場合、更に高い電圧を印加することが好ましい。
本発明のマルチワイヤ放電加工装置の制御方法によれば、ワイヤとインゴットの短絡が判別された際に、双方を離間させた後、加工時の電圧よりも低いテスト電圧を印加することで、万が一ワイヤとインゴットが接触していた場合でも集中的に高い電圧で放電が発生することを防ぎ、ワイヤの断線を防ぐ効果がある。また、接触によって損傷し断線しやすい状態のワイヤを保護することができる。
図1は、実施形態1に係るマルチワイヤ放電加工装置の構成例を示す正面図である。 図2は、実施形態1に係るウェーハの形成例を示す側面図である。 図3は、実施形態1に係る加工時及び短絡時の電圧を示す図である。 図4は、実施形態1に係るテスト電圧の設定例を示す図である。 図5は、実施形態1に係るマルチワイヤ放電加工装置の制御方法を示すフローチャートである。 図6は、実施形態2に係るテスト電圧の周波数の制御例を示す図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
実施形態1に係るマルチワイヤ放電加工装置の構成例について、図1に基づいて説明する。図1は、マルチワイヤ放電加工装置の構成例を示す正面図である。
図1に示すように、マルチワイヤ放電加工装置1はワイヤRでインゴットIを放電加工するものであり、ワイヤRを繰り出す繰り出しボビン20と、間隔をおいて複数配設され、繰り出しボビン20により繰り出されたワイヤRを案内する円柱状のガイドローラ21〜24と、ワイヤRを巻き取る巻き取りボビン25とを備える。4箇所のガイドローラ21〜24は、矩形の形状を成すようにそれぞれが矩形の角に配設される。
ガイドローラ21とガイドローラ22で形成される線分と、ガイドローラ24とガイドローラ23で形成される線分は平行になるようにガイドローラ21〜24は配設されている。ガイドローラ21〜24は、繰り出しボビン20から繰り出されたワイヤRを複数回掛け回して巻き取りボビン25に送り出す。
繰り出しボビン20、ガイドローラ21〜24及び巻き取りボビン25は、図示しないモータによって回転駆動される。なお、全てのガイドローラ21〜24をモータ駆動とする必要はなく、例えばガイドローラ22,24を従動ローラとしてもよい。
繰り出しボビン20には、放電加工に用いられる黄銅などの金属線であるワイヤRが巻き回されている。繰り出しボビン20は、ワイヤRをガイドローラ21に対して繰り出す。ガイドローラ21は、繰り出しボビン20から繰り出されたワイヤRを巻き掛けてガイドローラ22に送り出す。ガイドローラ22は、ガイドローラ21から送り出されたワイヤRを巻き掛けてガイドローラ23に送り出す。ガイドローラ23は、ガイドローラ22から送り出されたワイヤRを巻き掛けてガイドローラ24に送り出す。ガイドローラ24は、ガイドローラ23から送り出されたワイヤRを巻き掛けてガイドローラ21に送り出す。これにより、ガイドローラ21〜24にワイヤRが一周巻き掛けられたことになる。
ワイヤRは、間隔をおいて隣接する複数のガイドローラ21〜24に軸方向に間隔をあけて複数回巻き掛けられる。この例では、8回巻き掛けられている。複数回巻き掛けられたワイヤRは、最後にガイドローラ22から送り出されて巻き取りボビン25に巻き取られる。このように、ワイヤRは、ガイドローラ21〜24の軸方向に間隔をあけて複数回巻き掛けられてガイドローラ21〜24の間で並列して走行する。ワイヤRは、一対の隣接するガイドローラ23とガイドローラ24との間に形成された切断ワイヤ部30を構成する。
切断ワイヤ部30はインゴットIを切断する箇所であり、ガイドローラ23とガイドローラ24で一定のテンションを有して張設され、所定の間隔でガイドローラ23,24の長手方向に配設された8本のワイヤRから構成されている。例えば、切断ワイヤ部30を構成するワイヤRの間隔は0.5mm〜数mm程度である。インゴットIは、このワイヤRの間隔で切断される。インゴットIは導電性がある材料であり、SiC(炭化ケイ素)、単結晶ダイヤ、シリコン、GaN(窒化ガリウム)等から形成される。この例では、インゴットIの形状は円柱である。
切断ワイヤ部30に対向した位置には、インゴットIを設置するインゴット設置手段40を備える。インゴット設置手段40は、基台部41と、取り付け部42と、駆動手段44とを備える。
基台部41は、取り付け部42を介してインゴットIを固定する。取り付け部42は、基台部41に固定され、インゴットIを支持する取り付け面43を有する。この取り付け面43には、導電性接着剤45(図2参照)によりインゴットIの端面Iaが接着固定される。
駆動手段44は、インゴットIが並列するワイヤRに切り込むように、インゴットIを固定する基台部41とワイヤRとを相対的に加工送りさせる。例えば、駆動手段44は、鉛直方向に対して平行に延在される図示しないボールねじと、パルスモータ等で構成される駆動源とを有し、ボールねじのナットに固定された基台部41を、加工送り方向に駆動させる。そして、切断ワイヤ部30のワイヤRによりインゴットIをスライスしてウェーハを形成する。なお、インゴットIの軸方向にインゴットIを移動させる図示しない駆動手段が設けられている。
インゴットIのスライス時に生じる加工屑U(図2参照)を除去するノズル手段50と、ノズル手段50を移動させる移動手段60とを備える。ノズル手段50は、一対の部材から構成され、インゴットIを挟んだワイヤRの走行方向の前後に配設され、インゴットIの加工溝に向けて加工液Fを噴出する。移動手段60は、ノズル手段50をインゴットIの外周面と一定の間隔を有しながらインゴットIの外周面の形状に沿って移動させる。
マルチワイヤ放電加工は、誘電体である水や油などの加工液Fの中で実施され、切断ワイヤ部30は加工液Fが満たされた加工槽70の中に浸漬される。加工槽70の中で、貯留された加工液Fに浸漬された切断ワイヤ部30のワイヤRがインゴットIを加工する。
加工槽70の中には、ウェーハを収容するための籠71が配置されている。籠71は、インゴットIの真下に配置され、インゴットIの長手方向及び短手方向の長さよりも大きく形成され、一定の深さを有している。基台部41の取り付け部42に固定されたインゴットIから分離されたウェーハは、加工槽70の中に配置された籠71に沈下して収容される。
マルチワイヤ放電加工装置1は、基台部41に固定されたインゴットIとワイヤRに高周波パルス電力を供給する高周波パルス電源ユニット80を備える。高周波パルス電源ユニット80は、制御手段81と、電極82とを備える。制御手段81は、駆動手段44に接続され、駆動手段44を制御してインゴットIが加工送り方向などに移動することを制御する。
また、制御手段81は、電極82に接続され、電極82を介して高周波パルス電力をワイヤRに供給する。例えば、電極82は、ガイドローラ21とガイドローラ24との間に張設されるワイヤRに接続され、さらにガイドローラ22とガイドローラ23との間に張設されるワイヤRに接続されている。また、制御手段81は、基台部41に接続され、基台部41を介して高周波パルス電力をインゴットIに供給する。
制御手段81から高周波パルス電力を供給して、ワイヤRとインゴットIとの極間に電圧を印加すると、切断ワイヤ部30のワイヤRとインゴットIとの間に短い周期で繰り返される放電が発生する。例えば、液中で絶縁状態にあるインゴットIとワイヤRの間隔が数十μm位まで近づくと、両者の絶縁が破壊されて放電が発生する。この放電によってインゴットIが加熱されて溶融され、さらに液体の温度が急激に上昇することにより液体が気化し、体積膨張によって溶融箇所を飛散させる。このように、高周波パルス電力を供給して極間に電圧を印加することで、ワイヤRによりインゴットIを溶融すると共に飛散させる処理を断続的に行ってインゴットIを切断する。
制御手段81は、パルス調整手段810と、電圧調整手段811と、判別手段812と、距離調整手段813とを備える。パルス調整手段810は、印加するパルス電力を所望の周波数に調整する。例えば、パルス調整手段810は、トランジスタ等の複数のスイッチング素子から構成される図示しないスイッチング回路と、所定のクロック数でスイッチング回路のスイッチング素子をON/OFF制御する図示しない制御回路とから構成される。例えば、制御回路は、所望のクロック数でスイッチング素子をON/OFF制御することにより、印加するパルス電力の周波数を所望の周波数に調整する。
また、制御回路は、ON/OFF制御する対象のスイッチング素子を切り替えることにより、極間に印加するパルス電力の電圧の極性を変更する。例えば、スイッチング回路はフルブリッジ回路であり、一方側のスイッチング素子のみをONにすることによりプラスの電圧を極間に印加し、他方側のスイッチング素子のみをONにすることによりマイナスの電圧を極間に印加し、極性を交互に変えながら両極加工を行う。もちろん、両極加工を行わずに、一つの極性のみで加工するようにしてもよい。この場合、フルブリッジ回路ではなく、例えば一つのスイッチング素子によるON/OFF制御を行う。
電圧調整手段811はパルス調整手段810に接続され、印加するパルス電力の電圧を調整する。例えば、電圧調整手段811は、放電加工時の電圧(加工電圧)を200Vに調整し、テスト時の電圧(テスト電圧)を100V〜170Vに調整する。
判別手段812は、ワイヤRとインゴットIに流れたパルス電力の電圧、すなわち極間の電位差を測定し、測定した電位差(測定電圧)に基づいてインゴットIとワイヤRとの間隔を判別する。例えば、判別手段812は、測定電圧に基づいてワイヤRとインゴットIとが短絡したか否かを判別する。例えば、判別手段812は、ワイヤRとインゴットIとが短絡したことを判別するための閾値(120V)を有し、この閾値と測定電圧とを比較し、測定電圧が閾値未満の場合、ワイヤRとインゴットIとが短絡したと判別する。また、判別手段812は、測定電圧が閾値以上の場合、ワイヤRとインゴットIとが短絡せずに一定の間隔を有して正常に放電加工が実施されていると判別する。
距離調整手段813は、判別手段812に接続され、判別手段812により判別された間隔に基づいてインゴットIとワイヤRとの間隔を調整する。例えば、距離調整手段813は、判別手段812からワイヤRとインゴットIとが短絡したことを示す短絡情報を入力すると、インゴットIをワイヤRから離間させる。例えば、基台部41に固定されたインゴットIは、放電加工を実施している際に、駆動手段44によって一定の加工速度でワイヤRに切り込むように加工送り方向に移動されている。距離調整手段813は、短絡情報を入力すると、駆動手段44に対して加工送り方向の移動を一旦停止させ、さらに加工送り方向とは反対方向にインゴットIを若干移動させて停止させて、インゴットIをワイヤRから離間させる。
次に、図2〜図5に基づいて、実施形態1に係るマルチワイヤ放電加工装置1の制御方法について説明する。図2は、実施形態1に係るウェーハの形成例を示す側面図である。図3は、実施形態1に係る加工時及び短絡時の電圧を示す図である。図4は、実施形態1に係るテスト電圧の設定例を示す図である。図5は、実施形態1に係るマルチワイヤ放電加工装置の制御方法を示すフローチャートである。
図5に示すステップST1で、制御手段81は、所定の加工電圧を印加しつつワイヤRとインゴットIとを加工送りして放電加工するように加工制御する(加工ステップ)。例えば、電圧調整手段811は、200Vの加工電圧を印加する。また、制御手段81は、駆動手段44を制御して、インゴットIを一定の加工速度でワイヤRに切り込むように加工送り方向に移動させる。次に、ステップST2に移行する。
ステップST2で、制御手段81は、放電加工が終了したか否かを判別する。例えば、予め、加工対象のインゴットIの直径に基づいて、インゴットIを加工送り方向へ移動させる移動量を設定しておき、制御手段81は、インゴットIの移動量が、設定された移動量に到達した時点で放電加工が終了したと判別して放電加工が終了となる。インゴットIの移動量が設定された移動量に到達していない場合、ステップST3に移行する。
ステップST3で、制御手段81は、上述の加工制御中にワイヤRとインゴットIとが接触または加工屑Uを介して接続し、所定以下の電圧が測定されて短絡状態になったか否かを判別する。例えば、ワイヤRによりインゴットIが放電加工されているとき、図2の(A)の拡大図に示すように、インゴットIの加工溝Dにおいて、インゴットIとワイヤRとの間隔(放電ギャップG)が存在している。一方、インゴットIとワイヤRとが短絡したとき、図2の(B)の拡大図に示すように、インゴットIの加工溝Dにおいて、インゴットIとワイヤRとの間隔(放電ギャップG)がゼロになるか、又は加工屑Uを介してワイヤRとインゴットIが接続している。
インゴットIとワイヤRとが短絡すると、図3に示すように、短絡が発生した時刻t1で測定電圧Vが、閾値Thより低い電圧になる。図3は、縦軸が電圧を示し、横軸が時刻を示し、閾値Thが短絡か否かを判別するための基準を示している。例えば、印加する加工電圧は200Vであり、閾値Thは120Vであり、短絡は時刻t1で発生している。
短絡が発生する時刻t1より前では、測定電圧Vは、閾値Th(120V)よりも高い電圧になっている。短絡が発生した時刻t1以降では、測定電圧Vは、閾値Th(120V)よりも低い電圧になっている。判別手段812は、測定電圧Vと閾値Thとを比較した結果、測定電圧Vが閾値Th未満となる場合、ワイヤRとインゴットIとが短絡したと判別してステップST4に移行する。また、判別手段812は、測定電圧Vが閾値Th以上となる場合、ワイヤRとインゴットIとが短絡せずに一定の間隔(放電ギャップG)を有して正常に放電加工が実施されていると判別してステップST1に戻って放電加工を継続する。
ステップST4で、制御手段81は、加工制御中に短絡状態になったと判別する(ステップST3がYesと判別する)と離間制御を実施する。離間制御では、ワイヤRをインゴットIから離間させて、短絡による発熱でワイヤRが破断することを防ぐ(離間ステップ)。例えば、距離調整手段813は、駆動手段44に対して加工送り方向へのインゴットIの移動を一旦停止させ、さらに加工送り方向とは反対方向にインゴットIを若干移動させて停止させて、インゴットIをワイヤRから離間させる。次に、ステップST5に移行する。
ステップST5で、制御手段81はテスト制御を行う。制御手段81は、離間制御を実施した後に、加工電圧よりも低いテスト電圧を印加して、短絡状態が解消されたか否かを判別する(テストステップ)。例えば、電圧調整手段811は、テスト電圧を低い電圧から所定の電圧まで徐々に高く調整する。電圧調整手段811は、印加する電圧に対応して設定された閾値以上の電圧が測定された場合に、更に高い電圧を印加する。例えば、電圧調整手段811は、最初に100Vのテスト電圧を印加し、次に150Vのテスト電圧を印加し、最後に170Vのテスト電圧を印加する。
各テスト電圧には、インゴットIとワイヤRが短絡しているか否かを判別するための閾値Th1〜Th3が設定されている。例えば、100Vのテスト電圧には60Vの閾値Th1が設定され、150Vのテスト電圧には100Vの閾値Th2が設定され、170Vのテスト電圧には120Vの閾値Th3が設定されている。
判別手段812は、最初に100Vのテスト電圧を印加した際に、図4に示す測定電圧V1と閾値Th1(60V)とを比較し、測定電圧V1が閾値Th1以上の場合、インゴットIとワイヤRとが短絡していないと判別し、短絡していないことを示す情報を電圧調整手段811に出力する。電圧調整手段811は、次に150Vのテスト電圧を印加する。判別手段812は、測定電圧V2と閾値Th2(100V)とを比較し、測定電圧V2が閾値Th2以上の場合、インゴットIとワイヤRとが短絡していないと判別し、短絡していないことを示す情報を電圧調整手段811に出力する。電圧調整手段811は、最後に170Vのテスト電圧を印加する。判別手段812は、測定電圧V3と閾値Th3(120V)とを比較し、測定電圧V3が閾値Th3以上の場合、インゴットIとワイヤRとが短絡していないと判別してテスト制御を終了する。また、判別手段812は、測定電圧V1〜V3のいずれかが、対応する閾値Th1〜Th3未満の場合、インゴットIとワイヤRとが短絡していると判別してテスト制御を終了する。次に、ステップST6に移行する。
ステップST6で、制御手段81は、テスト制御で所定のテスト電圧を印加した際に、測定された電圧が対応する閾値以上の場合、短絡状態が解消したと判別してステップST1に戻り、加工制御を再開するように制御する。また、測定された電圧が対応する閾値未満の場合、ステップST7に移行する。
ステップST7で、制御手段81は、カウンタをカウントアップする。例えば、制御手段81は、放電加工時にカウンタのカウント値「n」にゼロを設定して初期化しておく(n=0)。制御手段81は、ステップST6で短絡が解消しない場合にカウンタのカウント値「n」に1をプラスする(n=n+1)。次に、ステップST8に移行する。
ステップST8で、制御手段81は、カウンタのカウント値「n」が基準値を超えているか否かを判定する。基準値は、離間制御及びテスト制御を再度実施する回数を決定するものであり、この例では、基準値に「3」を設定し、離間制御及びテスト制御を再度実施する回数を3回に設定している。カウント値「n」が基準値「3」以下であれば、ステップST4に移行して離間制御を実施すると共にステップST5に移行してテスト制御を再度実施する。また、カウント値「n」が基準値「3」より大きければ、離間制御及びテスト制御を終了する。このように、離間制御及びテスト制御を再度実施する回数に制限を持たせている。
なお、ステップST6,ST8で、短絡が解消されずに再度短絡の解消を試みる場合、離間制御を実施するステップST4に移行せずに、ステップST5に移行して再度のテスト制御を実施してもよい。例えば、加工屑Uが介在して短絡した場合、自然に加工屑Uが除去されて短絡が解消することがあるので、離間制御後に短絡と判別されたとしても直ぐに離間制御に移行せずに、再度のテスト制御を実施することが有効である。この場合、離間制御を実施せずに短絡が解消するので、インゴットIをワイヤRから離間させる処理が不要になり、加工時間を短縮できる。再度のテスト制御を実施しても短絡が解消されなければ、ステップST4に移行して離間制御を実施する。
短絡した原因が放電ギャップGがゼロになった場合や、加工屑Uが自然に除去されない場合は、離間制御を実施せずに再度のテスト制御を実施しても短絡が解消されないので、再度のテスト制御を実施せずに、直ぐに離間制御を実施したほうが加工時間を短縮できる。
以上のように、実施形態1に係るマルチワイヤ放電加工装置1の制御方法によれば、ワイヤRとインゴットIが短絡したと判別された際に、ワイヤRとインゴットIを離間させた後、加工時の電圧よりも低いテスト電圧を印加することで、万が一ワイヤRとインゴットIが接触していた場合でも集中的に高い電圧で放電が発生することを防ぎ、ワイヤRの断線を防ぐ効果がある。また、接触によって損傷して断線しやすい状態のワイヤRを保護することができる。もし、短絡によりワイヤRが断線すると、断線したワイヤRをガイドローラ21〜24などから取り外し、ワイヤRを繰り出しボビン20から繰り出してセットする必要があるが、本発明を適用することで、このような作業が生じない。
また、テスト電圧を複数用意し、テスト電圧を低い電圧から所定の電圧まで徐々に高く調整するので、1つのテスト電圧を用いる場合と比較して、正確に短絡解消を判別できると共に、ワイヤRに与える損傷を抑制することができる。すなわち、仮に、テスト制御において、ワイヤRとインゴットIが短絡していたとしても、一番低いテスト電圧(100V)で短絡を発見することができるので、ワイヤRに与える損傷を抑制することができる。
〔実施形態2〕
次に、図6に基づいて、実施形態2に係るテスト電圧の周波数の制御例について説明する。図6は、実施形態2に係るテスト電圧の周波数の制御例を示す図である。パルス調整手段810は、テスト制御で印加するテスト電圧の周波数を加工制御で印加するテスト電圧の周波数より高くする。例えば、パルス調整手段810は、テスト制御において、スイッチング回路のスイッチング素子をON/OFFするクロック数を図4に示したクロック数より高くする。これにより、図6に示す測定電圧V1’〜 V3’のパルス間隔は、図4に示した測定電圧V1〜 V3のパルス間隔より短くなる。
以上のように、実施形態2に係るテスト電圧の周波数の制御方法によれば、テスト制御において所定時間で測定できるパルス数が加工制御より多くなる。このように、加工時よりも高周波でテスト制御を実施することで、短時間でテスト制御を終了することができ、加工時間の無駄な延長を防ぐことができる。
なお、インゴットIを切断ワイヤ部30のワイヤRよりも上方に配置して、インゴットIを上方から下方に向けて移動させたが、このような構成に限定されない。例えば、インゴットIを切断ワイヤ部30のワイヤRよりも下方に配置して、インゴットIをワイヤRの下方から上方に向けて移動させて放電加工をしてもよい。
また、テスト電圧は、必ずしも、複数の電圧を用いる必要はない。加工電圧よりも低い1つのテスト電圧を用いるようにしてもよい。
1 マルチワイヤ放電加工装置
20 繰り出しボビン
21〜24 ガイドローラ
30 切断ワイヤ部
40 インゴット設置手段
41 基台部
42 取り付け部
44 駆動手段
70 加工槽
71 籠
80 高周波パルス電源ユニット
82 電極
F 加工液
I インゴット
R ワイヤ
G 放電ギャップ
D 加工溝
,V1〜V3 測定電圧
Th,Th1〜Th3 閾値

Claims (2)

  1. 間隔をおいて隣接する複数のガイドローラに軸方向に間隔をあけて複数回巻き掛けられたワイヤと、インゴットが並列する該ワイヤに切り込むように該ワイヤとインゴットを固定する基台部とを相対的に加工送りさせる駆動手段と、該ワイヤと該基台部に固定されたインゴットに高周波パルス電力を供給する高周波パルス電源ユニットと、を備え、
    該高周波パルス電源ユニットは、印加するパルス電力を所望の周波数に調整するパルス調整手段と、印加する該パルス電力の電圧を調整する電圧調整手段と、該ワイヤとインゴットに流れた該パルス電力の電圧を測定し、該電圧に基づいてインゴットと該ワイヤとの間隔を判別する判別手段と、判別された該間隔に基づいてインゴットと該ワイヤとの間隔を調整する距離調整手段と、を備えるマルチワイヤ放電加工装置の制御方法であって、
    所定の加工電圧を印加しつつ該ワイヤとインゴットとを加工送りして放電加工する加工ステップと、
    該加工ステップ中に該ワイヤとインゴットとが接触または加工屑を介して接続し、所定以下の電圧が測定されて短絡状態になったと判別した際に、該ワイヤをインゴットから離間させ短絡による発熱で該ワイヤが破断するのを防ぐ離間ステップと、
    該離間ステップを実施した後に、該加工電圧よりも低いテスト電圧を印加して、短絡状態が解消されたか否かを判別するテストステップと、を備え、
    該テストステップで所定の該テスト電圧を印加した際に、測定された電圧が閾値以上の場合、短絡状態が解消したと判別して再び該加工ステップを実施し、測定された電圧が該閾値未満の場合、該テストステップを再度実施する又は該離間ステップを再度実施し、
    該テストステップで印加する該テスト電圧の周波数は該加工ステップより高く、所定時間で測定できるパルス数が該加工ステップより多いことを特徴とするマルチワイヤ放電加工装置の制御方法。
  2. 該テスト電圧は低い電圧から所定の電圧まで徐々に高く調整され、印加される電圧に対応して設定された閾値以上の電圧が測定された場合、更に高い電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載のマルチワイヤ放電加工装置の制御方法。
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