JP6396964B2 - 導電性ペースト並びに電子基板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミックス基板に電極や回路などの導電部を形成して、表面メタライズド基板やビア充填基板、スルーホール壁面メタライズド基板などの電子基板を製造するための導電性ペースト並びにこのペーストを用いて得られた電子基板(導電部付セラミックス基板)及びその製造方法に関する。
従来、セラミックス基板の表面に電極や回路を形成するペースト材料としてAgやCu、Ni、Wなどの金属粒子と低軟化点のガラス粒子(粉末)を有機ビヒクル中に混合した導電性ペーストが一般的に知られている。このタイプの導電性ペーストは、スクリーン印刷などによって所定のパターンを基板表面に印刷した後、焼成工程においてガラス成分の軟化点以上であり、且つ金属の融点以下の温度で加熱して使用される。すなわち、このペーストでは、加熱により溶融軟化したガラス成分がセラミックス基板と濡れて、ペーストと基板とが接合するとともに、金属粉末同士が焼結することで導電部が形成される。このようなガラス粒子を含む導電性ペーストは、その取扱いの容易さから、電子部品や回路基板の製造のためにエレクトロニクス産業の分野で広く用いられてきた。しかし、ガラス成分での接合は、他の接合方法に比べて接合強度の面で見劣りしてしまう点は否めなかった。特に、高出力半導体の放熱目的で用いられることの多い窒化アルミニウム基板や窒化珪素基板などのセラミックス基板に対しては、ガラス成分は濡れ難く、十分な接合強度を得るのは困難であった。そのため、高度な信頼性が求められる用途では、スパッタリングによる薄膜法や活性金属ロウを用いて金属箔や金属板を基板に貼り付ける方法などが取られることも多い。ただし、これらのメタライズ方法ではコストが高く、低コストを要求されるペースト印刷法では接合強度の改善要求は依然として強いものがあった。
特開平5−226515号公報(特許文献1)では、活性金属種であるTiの化合物(水素化チタン)をAg−Cu合金を主成分とする導電性ペースト中に添加することにより窒化アルミニウム基板とメタライズ層とを強固に接合するメタライズ方法が開示されている。この文献には、焼成は、Ag−Cu合金及び水素化チタンの分解及び酸化を防ぐために、非酸化性雰囲気中、不活性雰囲気中又は真空雰囲気中で加熱すると記載され、実施例では真空雰囲気中で焼成されている。
この方法では、活性金属やその化合物の粒子は、活性金属単独では基板表面と反応し難いため、適切な溶融成分(Ag−Cu合金であることが多い)を併せて用いられる。そのため、焼成中に流動し易く、電極や配線などのパターン形成は困難であり、金属板の貼り合わせなどの用途に用いられる場合が多い。さらに、真空中で焼成すれば基板とメタライズ層とが強固に接合し、パターン形状も保持し易い傾向はあるものの、それでも焼成中に溶融したAg−Cu合金が縮んで端がめくれ上がったり、基板上で小さく丸くなったりしてパターンが崩れる傾向がある。この傾向は、特に窒素雰囲気(非酸化性雰囲気)での焼成において顕著になり、窒素雰囲気下での焼成では、完全にパターンがめくれ上がったり、ボール状に変形し、わずかに接触している部分がかろうじて基板と接合している状態となる。この文献の実施例では真空中で焼成されているのは、このような事情のためであると推定できる。従って、この文献のペーストは、真空焼成では電極や回路などの精細なパターン形状を基板に強固に接合できる可能性があるが、真空焼成はバッチ式であるうえに昇温や降温に非常に時間が要するため、生産性が低く、生産性を向上させるためにコンベア搬送式の窒素焼成を行うと、メタライズ層が縮むため、電極や回路などの精細なパターン形状を保持するのが困難である。
また、特開2000−246482号公報(特許文献2)には、Ag−Cu合金粒子と、表面が銅で被覆されたチタン粒子とを金属成分として含有するろう材ペーストが開示されている。この文献には、従来の水素化チタンでは、約400〜500℃で水素とチタンとに分解され、反応性の高いチタンがペースト中に含まれる有機物の分解ガスの酸素や炭素と反応してセラミックス部材との接合が阻害されていたと記載されている。
これに対して、特許文献1には、水素化チタンは700℃まで安定と記載されているが、いずれにしても焼成温度が850℃程度の高温であるため、焼成時に酸素や炭素、窒素などのガスに曝されると十分に機能できず、前記ガスのない真空中で焼成するのが通常であった。
特開平5−226515号公報(請求項1及び2、段落[0005][0007]、実施例) 特開2000−246482号公報(請求項1、段落[0006][0017])
従って、本発明の目的は、導電部をセラミックス基板に強固に接合できる導電性ペースト並びにこのペーストを用いて得られた電子基板及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、窒素雰囲気中で焼成しても、精細なパターンをセラミックス基板に強固に接合できる導電性ペースト並びにこのペーストを用いて得られた電子基板及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、焼成温度を超える融点を有する高融点金属粒子と、400℃以下の融点を有する合金を含む溶融合金粒子と、活性金属を含む活性金属粒子と、有機ビヒクルとを組み合わせた導電性ペーストをセラミックス基板に塗布又は充填して焼成すると、導電部をセラミックス基板に強固に接合できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の導電性ペーストは、焼成温度を超える融点を有する高融点金属粒子と、焼成温度で溶融し、かつ400℃以下の融点を有する合金を含む溶融合金粒子と、活性金属を含む活性金属粒子と、有機ビヒクルとを含む。前記溶融合金粒子がSnを含んでいてもよく、Sn−Ag−Cu合金粒子、Sn−Bi合金粒子及びAu−Sn合金粒子からなる群より選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。前記活性金属粒子において、活性金属は、Ti及び/又はZrであってもよい。前記活性金属粒子は、水素化チタン粒子、ホウ化チタン粒子及び水素化ジルコニウム粒子からなる群より選択された少なくとも1種であってもよい。前記高融点金属粒子は、Cu、Ag及びNiからなる群より選択された少なくとも1種の金属又はこの金属を含む合金で形成されていてもよい。前記高融点金属粒子と前記溶融合金粒子との質量割合が、高融点金属粒子/溶融合金粒子=90/10〜40/60程度である。前記活性金属粒子の割合は、高融点金属粒子及び溶融合金粒子の合計100質量部に対して0.5〜30質量部程度である。前記溶融合金粒子の中心粒径は0.1〜15μmであってもよい。前記活性金属粒子の中心粒径は1〜15μm程度である。前記高融点金属粒子の中心粒径は0.01〜10μm程度である。
本発明には、セラミックス基板に前記導電性ペーストを付着させる付着工程、及び前記セラミックス基板に付着した前記導電性ペーストを焼成して導電部を形成する焼成工程を含む電子基板の製造方法も含まれる。前記焼成工程において、窒素雰囲気中で導電性ペーストを焼成してもよい。前記焼成工程において、焼成温度が800〜950℃程度である。
本発明にはセラミックス基板と、焼成温度以上の融点を有する高融点金属と、400℃以下の融点を有する溶融合金と、活性金属とを含む導電部とを備えた電子基板も含まれる。前記セラミックス基板は、アルミナ基板、アルミナ−ジルコニア基板、窒化アルミニウム基板、窒化珪素基板又は炭化珪素基板であってもよい。本発明の電子基板は、表面メタライズド基板、ビア充填基板又はスルーホール壁面メタライズド基板であってもよい。
本発明では、焼成温度以上の融点を有する高融点金属粒子と、400℃以下の融点を有する合金を含む溶融合金粒子と、活性金属を含む活性金属粒子と、有機ビヒクルとを組み合わせているため、導電部をセラミックス基板に強固に接合でき、特に、窒素雰囲気中で焼成しても、精細なパターン形状を崩すことなく、セラミックス基板に強固に接合できる。
[導電性ペースト]
本発明の導電性ペーストは、焼成温度以上の融点を有する高融点金属粒子と、400℃以下の融点を有する合金を含む溶融合金粒子と、活性金属を含む活性金属粒子と、有機ビヒクルとを含む。本発明の導電性ペーストを用いると、セラミックス基板に導電部が強固に接合できる理由は次のように推定できる。すなわち、ペースト中に含まれる溶融合金粒子が低温で溶融して活性金属粒子の表面を覆うことによって、高温でも活性金属やその化合物が周辺に存在するガス(焼成雰囲気ガスの窒素や有機ビヒクルが分解して発生する炭素など)と反応するのを防止していると推定できる。このような作用によって、活性金属は窒素雰囲気中でも高温までその活性を保持でき、溶融金属成分中に活性を保持した活性金属が含まれることで溶融金属はセラミック基板に濡れて活性金属とセラミックス基板との間で反応することが可能となり、メタライズ膜のめくれ上がりや収縮も抑制されると推定できる。なお、溶融金属は、文字通り液化流動しているのでパターンのめくれ上がりや丸く縮んでしまう現象、又は反対に基板に濡れすぎてパターンが広がってしまう現象などは、このような作用だけでは完全にコントロールできないと推定できる。そこで、本発明では、溶融金属や活性金属化合物とは別に高融点金属粒子を加えることで、前述のような収縮や広がり現象のコントロールを抑制している。すなわち、溶融金属成分が高融点金属粒子の表面にも濡れることで過剰な流動を防いでいると推定できる。溶融金属及び高融点金属の種類よっては焼成中に溶融金属と高融点金属との間で合金化が進んで溶融金属の融点が上昇することを利用して流動化を抑制することも可能である。
(高融点金属粒子)
高融点金属粒子を形成する金属は、焼成温度を超える融点(例えば950℃を超え、2500℃以下)を有していれば、特に限定されない。具体的には、前記金属としては、例えば、Cu、Ag、Ni、W、Mo、Au、Pt、Pdなどが挙げられる。これらの金属は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。金属粒子は、異種の金属粒子の組み合わせであってもよく、融点が焼成温度以上であれば、二種以上を組み合わせた合金で形成されていてもよい。これらの金属のうち、Cu、Ag及びNiからなる群より選択された少なくとも1種の金属又はこの金属を含む合金が好ましい。
これらの金属粒子のうち、導電性に優れ、かつ比較的融点が低く、800〜950℃の焼成温度で粒子同士が互いに焼結し易い点から、Cu粒子(融点1083℃)、Ag粒子(融点960℃)が好ましく、経済性の点から、Cu粒子が特に好ましい。
高融点金属粒子の形状としては、例えば、球状(真球状又は略球状)、楕円体(楕円球)状、多角体状(多角錘状、正方体状や直方体状など多角方形状など)、板状(扁平状、鱗片状、薄片状など)、ロッド状又は棒状、繊維状、樹針状、不定形状などが挙げられる。高融点金属粒子の形状は、通常、球状、楕円体状、多角体状、不定形状などである。
高融点金属粒子の中心粒径又は平均粒径(D50)は、パターン形状の保持性とセラミックス基板に対する密着性とを両立できる点から、例えば0.01〜15μm(例えば0.01〜10μm)、好ましくは0.05〜10μm(例えば0.1〜7μm)、さらに好ましくは0.3〜1μm(特に0.4〜0.8μm)程度である。また、高融点金属粒子の中心粒径は、パターン形状の保持性が重要な用途では、例えば0.01〜2μm(特に0.05〜1μm)程度であってもよく、セラミックス基板に対する密着性が重要な用途では、例えば0.2〜10μm(特に0.3〜8μm)程度であってもよい。粒径が小さすぎると、経済性が低下するとともに、ペースト中での分散性も低下する虞があり、大きすぎると、ペーストの印刷性及び分散の均一性が低下する虞がある。
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、中心粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定された平均粒径を意味する。
高融点金属粒子の融点は、焼成温度以上の融点であればよく、例えば950℃を超えて2500℃以下であってもよく、好ましくは955〜2000℃、さらに好ましくは960〜1500℃(特に980〜1200℃)程度である。融点が低すぎると、精細な形状のパターンを形成するのが困難となる虞がある。
高融点金属粒子は、慣用の方法で製造でき、例えば、湿式還元法、電解法、アトマイズ法、水アトマイズ法などの各種製法によって製造できる。
(溶融合金粒子)
溶融合金粒子は、焼成温度で溶融し、かつ400℃以下の融点を有する合金を含み、ペーストの焼成温度以下で焼成時に溶融して流動化することにより、導電部とセラミックス基板との接合性を向上できる。400℃以下の融点を有する合金の融点は、400℃以下であればよく、例えば80〜400℃、好ましくは100〜300℃(例えば120〜280℃)、さらに好ましくは150〜250℃(特に200〜240℃)程度である。
溶融合金粒子は、400℃以下の融点を有する合金を含んでいればよいが、流動性の点から、400℃以下の融点を有する合金のみで形成された粒子を含むのが好ましい。
400℃以下の融点を有する合金粒子としては、例えば、Sn−Bi合金粒子、Sn−Pb合金粒子、Sn−Zn−Bi合金粒子、Au−Sn合金粒子、Sn−Ag−Cu合金粒子、Sn−Cu合金粒子、Sn−Sb合金粒子、Au−Sn合金粒子、Au−Ge合金粒子、Zn−Al−Ge合金粒子などが挙げられる。このような合金粒子は、半田ペーストなどに用いられる半田粉末であってもよく、例えば、Sn−58Bi(融点約140℃)、Sn−37Pb(融点183℃)、Sn−8Zn−3Bi(融点約190℃)、Au−90Sn(融点約220℃)、Sn−3Ag−0.5Cu(融点約220℃)、Sn−0.7Cu(融点約230℃)、Sn−5Sb(融点約235℃)、Au−20Sn(融点約280℃)、Au−12Ge(融点356℃)、Zn−5Al−0.1Ge(融点382℃)などであってもよい。これらの合金粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの合金粒子のうち、流動性などの点から、Snを含む合金粒子が好ましい。さらに、有害な鉛を含まず、小粒径の粒子を入手し易い点から、Sn−58BiなどのSn−Bi合金粒子、Sn−3Ag−0.5CuなどのSn−Ag−Cu合金粒子、Au−20SnなどのAu−Sn合金粒子が好ましく、流動性に優れ、導電部とセラミックス基板との接合性を高度に向上できる点から、融点の低いSn−Bi合金粒子やSn−Ag−Cu合金粒子が好ましい。さらに、高融点金属粒子との濡れ性(親和性)を向上でき、流動性を調整してパターン形状を保持し易い点から、高融点金属粒子を形成する金属(Cu、Agなど)を含む合金、例えば、Sn−Ag−Cu合金粒子が特に好ましい。
溶融合金粒子は、本発明の効果を損なわない範囲で、400℃以下の融点を有する合金粒子(第1の溶融合金粒子)に加えて、400℃を超えて焼成温度以下の融点を有する合金粒子(第2の溶融合金粒子)をさらに含んでいてもよい。第2の溶融合金粒子と組み合わせることにより、第1の溶融合金粒子の流動性を調整でき、基板と導電部との接合性と精細なパターン形状とを両立できる。
第2の溶融合金粒子の融点は、例えば400℃を超えて880℃以下、好ましくは500〜850℃、さらに好ましくは700〜800℃程度である。
第2の溶融合金粒子としては、このような融点を有していれば特に限定されないが、第1の溶融合金粒子との親和性を向上できるため、第1の溶融合金粒子に含まれる金属を含む合金粒子が好ましく、高融点金属粒子との濡れ性を向上できる点から、高融点金属粒子を形成する金属(Cu、Agなど)を含む合金粒子も好ましい。なかでも、第1及び第2の溶融合金粒子共に高融点金属粒子を形成する金属(Cu、Agなど)を含む合金で形成するのが特に好ましい。好ましい第2の溶融合金粒子としては、Cu及び/又はAgを含む合金(例えば、Ag−Cu合金など)、例えば、ロウ材ペーストとして汎用される銀ロウ材72Ag−28Cu(融点約780℃)などが挙げられる。
第1の溶融合金粒子と第2の溶融合金粒子との質量割合は、前者/後者=100/0〜10/90程度の範囲から選択でき、両粒子を組み合わせる場合は、例えば90/10〜20/80、好ましくは70/30〜30/70、さらに好ましくは60/40〜40/60程度である。第2の溶融合金粒子の割合が多すぎると、基板と導電部との接合力が低下する虞がある。
溶融合金粒子は、溶融状態にある合金に対して、ガスや空気、水などを吹き付けて粉砕と冷却凝固とを瞬時に行って粉末化する所謂アトマイズ法などにより作製できる。これらの方法のうち、真球状に近いミクロンオーダーの合金粒子が作製できる点から、水を吹き付ける水アトマイズ法により作製した粒子であってもよい。
溶融合金粒子の形状としては、例えば、球状(真球状又は略球状)、楕円体(楕円球)状、多角体形状(多角錘状、正方体状や直方体状など多角方形状など)、板状(扁平、鱗片又は薄片状など)、ロッド状又は棒状、繊維状、不定形状などが挙げられる。溶融合金粒子の形状は、通常、球状、楕円体状、多角体状、不定形状などである。
溶融合金粒子の中心粒径(D50)は、例えば0.1〜15μm、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは1〜7μm(特に3〜6μm)程度である。粒径が小さすぎると、粒子の作製における収率が著しく低下してコストが大幅に上昇する虞がある。反対に粒径が大きすぎると、微細パターン形成時における1粒子サイズの割合が高くなり、パターン内での均一性が低下して、パターン欠けやボイド、基板との接合の不均一などの不具合が生じる虞がある。また、メッシュスクリーンで印刷する場合には、メッシュ目詰まりの原因となる虞もある。
高融点金属粒子と溶融合金粒子との質量割合は、例えば、高融点金属粒子/溶融合金粒子=90/10〜40/60、好ましくは85/15〜45/55、さらに好ましくは80/20〜50/50(特に75/25〜60/40)程度である。溶融合金粒子の割合が多すぎると、溶融合金の流動性を抑制しきれずに焼成収縮によるパターンエッジのめくれ上がりやパターン外への滲み出しに繋がり易い。反対に溶融合金粒子の割合が少なすぎる場合、セラミックス基板と活性金属成分との反応フィールドとなる固液接触界面が少なくなるので良好な接合が得られない虞がある。
(活性金属粒子)
活性金属粒子に含まれる活性金属としては、例えば、周期表第4A族金属であるTi、Zr、Hfが挙げられる。これらの活性金属は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの活性金属のうち、焼成工程での活性に優れ、セラミックス基板と導電部との接合力を向上できる点から、Ti及び/又はZrが好ましく、Tiが特に好ましい。
活性金属粒子は、活性金属を含んでいればよく、前記活性金属単体で形成されていてもよいが、焼成工程での活性に優れる点から、活性金属を含む化合物で形成されているのが好ましい。
活性金属を含む化合物としては、特に限定されないが、例えば、チタン化合物[例えば、ホウ化チタン(TiB)、水素化チタン(TiH)、硫化チタン(TiS)、四塩化チタン(TiCl)など]、ジルコニウム化合物[例えば、ホウ化ジルコニウム(ZrB)、水素化ジルコニウム(ZrH)、硫化ジルコニウム(ZrS)、四塩化ジルコニウム(ZrCl)、水酸化ジルコニウム(Zr(OH))など]、ハフニウム化合物[例えば、ホウ化ハフニウム(HfB)、水素化ハフニウム(HfH)、硫化ハフニウム(HfS)、四塩化ハフニウム(HfCl)など]などが挙げられる。これらのうち、焼成工程での活性に優れる点から、水素化チタン(TiH)、ホウ化チタン(TiB)、水素化ジルコニウム(ZrH)が好ましい。
これらの活性金属を含む活性金属粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、水素化チタン粒子、ホウ化チタン粒子及び水素化ジルコニウム粒子からなる群より選択された少なくとも1種が好ましい。
活性金属粒子の形状としては、例えば、球状(真球状又は略球状)、楕円体(楕円球)状、多角体形状(多角錘状、正方体状や直方体状など多角方形状など)、板状(扁平、鱗片又は薄片状など)、ロッド状又は棒状、繊維状、不定形状などが挙げられる。活性金属粒子の形状は、通常、球状、楕円体状、多角体状、不定形状などである。
活性金属粒子の中心粒径(D50)は、例えば0.1〜15μm(例えば1〜15μm)、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは1〜7μm(特に3〜6μm)程度である。粒径は、小さい方がペーストの均一性の面で好ましいが、小さすぎると、粒子の作製における収率が著しく低下し、経済性が低下する虞がある。反対に粒子径が大きすぎると、微細パターン形成時における1粒子サイズの割合が高くなり、パターン内での均一性が低下するため、パターン欠けやボイド、基板との接合の不均一などの不具合が生じ易い。また、メッシュスクリーンで印刷すると、メッシュ目詰まりを起こす虞がある。
活性金属粒子の割合は、高融点金属粒子及び溶融合金粒子の合計100質量部に対して0.5〜30質量部、好ましくは1〜20質量部、さらに好ましくは2〜10質量部(特に2.5〜5質量部)程度である。活性金属粒子の割合が少なすぎるとセラミックス基板との接合性が低下する虞がある。反対に多すぎると、メタライズ膜や充填ビア自体が脆くなる虞がある。
(有機ビヒクル)
有機ビヒクルは、金属粒子を含む導電性ペーストの有機ビヒクルとして利用される慣用の有機ビヒクル、例えば、有機バインダー及び/又は有機溶剤であってもよい。有機ビヒクルは、有機バインダー及び有機溶剤のいずれか一方であってもよいが、通常、有機バインダーと有機溶剤との組み合わせ(有機バインダーの有機溶剤による溶解物)である。
有機バインダーとしては、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂(オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体など)、熱硬化性樹脂(熱硬化性アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂など)などが挙げられる。これらの有機バインダーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの有機バインダーのうち、焼成過程で容易に焼失し、かつ灰分の少ない樹脂、例えば、アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートなど)、セルロース誘導体(ニトロセルロース、エチルセルロース、ブチルセルロース、酢酸セルロースなど)、ポリエーテル類(ポリオキシメチレンなど)、ゴム類(ポリブタジエン、ポリイソプレンなど)などが汎用され、熱分解性などの点から、ポリ(メタ)アクリル酸メチルやポリ(メタ)アクリル酸ブチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−10アルキルエステルが好ましい。
有機溶剤としては、特に限定されず、ペーストに適度な粘性を付与し、かつペーストを基板に塗布した後に乾燥処理によって容易に揮発できる有機化合物であればよく、高沸点の有機溶剤であってもよい。このような有機溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素(パラキシレンなど)、エステル類(乳酸エチルなど)、ケトン類(イソホロンなど)、アミド類(ジメチルホルムアミドなど)、脂肪族アルコール(オクタノール、デカノール、ジアセトンアルコールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類(エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなど)、カルビトール類(カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトールなど)、カルビトールアセテート類(エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、トリエチレングリコール、グリセリンなど)、脂環族アルコール類[例えば、シクロヘキサノールなどのシクロアルカノール類;テルピネオール、ジヒドロテルピネオールなどのテルペンアルコール類(モノテルペンアルコールなど)など]、芳香族アルコール類(メタクレゾールなど)、芳香族カルボン酸エステル類(ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど)、窒素含有複素環化合物(ジメチルイミダゾール、ジメチルイミダゾリジノンなど)などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの有機溶剤のうち、ペーストの流動性などの点から、テルピネオールなどの脂環族アルコール、ブチルカルビトールアセテートなどのC1−4アルキルセロソルブアセテート類が好ましい。
有機バインダーと有機溶剤とを組み合わせる場合、有機バインダーの割合は、有機溶剤100質量部に対して、例えば1〜200質量部、好ましくは10〜100質量部、さらに好ましくは30〜80質量部程度であり、有機ビヒクル全体に対して5〜80質量%、好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは15〜40質量%程度である。
有機ビヒクルの体積割合は、導電性ペーストの体積全体に対して、例えば10〜80質量%、好ましくは20〜75質量%、さらに好ましくは30〜70質量%程度である。有機ビヒクルの質量割合は、導電成分(高融点金属粒子、溶融合金粒子及び活性金属粒子の総量)100質量部に対して、例えば1〜200質量部、好ましくは5〜150質量部、さらに好ましくは10〜100質量部程度である。
(他の成分)
導電性ペーストは、本発明の効果を損なわない範囲で、慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。慣用の添加剤としては、例えば、無機バインダー(ガラスフリットなど)、硬化剤(アクリル系樹脂の硬化剤など)、着色剤(染顔料など)、色相改良剤、染料定着剤、光沢付与剤、金属腐食防止剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、界面活性剤又は分散剤(アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤など)、分散安定化剤、粘度調整剤又はレオロジー調整剤、保湿剤、チクソトロピー性賦与剤、レベリング剤、消泡剤、殺菌剤、充填剤などが挙げられる。これらの他の成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。他の成分の割合は、成分の種類に応じて選択でき、通常、導電性ペースト全体に対して10質量%以下(例えば0.01〜10質量%)程度である。さらに、本発明の導電性ペーストは、ガラスフリットなどの無機バインダーを含んでいなくてもよい。
[電子基板の製造方法]
本発明の電子基板(導電部付セラミックス基板)は、セラミックス基板に前記導電性ペーストを付着させる付着工程、前記セラミックス基板に付着した前記導電性ペーストを焼成して導電部を形成する焼成工程を経て得られる。
付着工程において、導電性ペーストの付着方法は、電子基板の種類に応じて選択でき、表面メタライズド基板やスルーホール壁面メタライズド基板では、基板の表面や貫通孔(スルーホール)の内壁に導電性ペーストを塗布してもよく、ビア充填基板では表裏貫通穴に対して導電性ペーストを充填(ビア充填)してもよい。本発明の導電性ペーストは、焼成時に収縮しないため、いずれの種類の電子基板であっても焼成後に形状を保持できる。
導電性ペーストの塗布や充填方法としては、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、凹版印刷法(例えば、グラビア印刷法など)、平版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法などの印刷法やこれらの印刷法を組み合わせた印刷法、スピンコート法、ディップ法、ロール圧入法、スギージ圧入法、プレス圧入法などの直接圧入法などが挙げられる。これらの方法のうち、スクリーン印刷法などが好ましい。
基板に付着させたペーストは、焼成処理の前に、自然乾燥してもよいが、加熱して乾燥してもよい。加熱温度は、有機溶媒の種類に応じて選択でき、例えば50〜200℃、好ましくは80〜180℃、さらに好ましくは100〜150℃程度である。加熱時間は、例えば1分〜3時間、好ましくは5分〜2時間、さらに好ましくは10分〜1時間程度である。
焼成工程において、焼成温度は、導電性ペースト中の高融点金属粒子の焼結温度以上であればよい。焼成温度(最高到達温度)は500℃以上であってもよく、例えば750〜1000℃(例えば780〜980℃)、好ましくは800〜950℃、さらに好ましくは850〜930℃(特に880〜920℃)程度である。焼成時間(最高到達温度での焼成時間)は、例えば1分〜3時間、好ましくは3分〜1時間、さらに好ましくは5〜30分程度である。焼成温度が低すぎると、反応が十分に進まず基板との接合力が弱くなる虞がある。反対に焼成温度が高すぎると、溶融成分の流動性が高くなって、メクレ上がりや収縮、にじみ出しなどが生じてパターン性が低下する虞がある。
なお、焼成の雰囲気は、金属粒子の種類に応じて選択でき、特に限定されず、空気中、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなど)雰囲気中、真空雰囲気中のいずれでもあってもよいが、電子基板を高い生産性で製造できる点から、不活性ガス雰囲気中が好ましい。特に、本発明では、窒素ガス雰囲気中であっても、パターンを強固に基板に接合できるため、窒素雰囲気中が特に好ましい。
焼成(特に窒素雰囲気中での焼成)は、バッチ炉又はベルト搬送式のトンネル炉を用いて行ってもよい。
焼成して得られた導電部(メタライズド膜やビア充填部)は、その表面を物理的又は化学的に研磨してもよい。物理的な研磨方法としては、例えば、バフ研磨、ラップ研磨、ポリッシング研磨などが挙げられる。化学的な研磨方法(表面処理方法)としては、例えば、過硫酸ナトリウム水溶液などで最表面をソフトエッチングする方法などが挙げられる。
物理的又は化学的に研磨した後、メタライズ膜やビア充填部表面をメッキしてもよい。メッキ方法としては、電解・無電解を問わず、各種のメッキ方法を利用できる。さらに、メッキ層の金属種も幅広く選択できる。例えば、はんだ接合性やワイヤーボンド性、バンプ接合性などを向上するために、ニッケル金メッキ、ニッケルパラジウム金メッキ、錫メッキ、はんだメッキであってもよく、増膜して抵抗値を下げるため、銅メッキであってもよく、反射率を高めるために、銀メッキであってもよい。
さらに、前記メタライズ膜又はビア充填部に、銅ペーストや銀ペーストなどの汎用の導電ペーストを重ねて増膜してもよい。
さらに、電子基板がビア充填基板又はスルーホール壁面メタライズド基板である場合、ビア充填部や壁面メタライズド膜は、基板表裏導通や熱伝導性向上の目的で設けられるが、基板表面に形成される電極・配線パターンは、本発明の導電性ペーストであってもよいが、汎用の導電性ペーストであってもよい。例えば、ビア充填基板において、ビア充填部のみ本発明の導電性ペーストで形成し、表面電極や配線はスパッタリングやメッキ法で形成してもよい。
[電子基板]
本発明の電子基板は、前記製造方法によって得られ、セラミックス基板と、焼成温度以上の融点を有する高融点金属と、400℃以下の融点を有する溶融合金と、活性金属とを含む導電部とを備えている。
セラミックス基板の材質としては、活性金属が反応できるセラミックスであればよく、例えば、金属酸化物(石英、アルミナ又は酸化アルミニウム、ジルコニア、サファイア、フェライト、酸化亜鉛、酸化ニオブ、ムライト、ベリリアなど)、酸化ケイ素(二酸化ケイ素など)、金属窒化物(窒化アルミニウム、窒化チタンなど)、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化炭素、金属炭化物(炭化チタン、炭化タングステンなど)、炭化ケイ素、炭化ホウ素、金属複酸化物[チタン酸金属塩(チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、チタン酸ニオブ、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウムなど)、ジルコン酸金属塩(ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸鉛など)など]などが挙げられる。これらのセラミックスは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのセラミックス基板のうち、電気電子分野で信頼性が高い点から、アルミナ基板、アルミナ−ジルコニア基板、窒化アルミニウム基板、窒化珪素基板、炭化珪素基板が好ましく、さらに耐熱性が高く、Cu粒子やAg粒子などの高融点金属との接合力の向上効果が大きい点から、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、窒化珪素基板が特に好ましい。
セラミックス基板の厚みは、用途に応じて適宜選択すればよく、例えば0.001〜10mm、好ましくは0.01〜5mm、さらに好ましくは0.05〜3mm(特に0.1〜1mm)程度であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の例において、実施例で使用した材料及び評価用基板のパターン、得られた電子基板の評価方法を以下に示す。
[使用した材料]
(高融点金属粒子)
Cu粒子A:中心粒径0.1μmの銅粒子、融点1085℃
Cu粒子B:中心粒径0.5μmの銅粒子、融点1085℃
Cu粒子C:中心粒径3μmの銅粒子、融点1085℃
Cu粒子D:中心粒径7μmの銅粒子、融点1085℃
Cu粒子E:中心粒径15μmの銅粒子、融点1085℃
Ag粒子:中心粒径0.5μmの銀粒子、融点962℃
Ni粒子:中心粒径0.7μmのニッケル粒子、融点1455℃。
(溶融合金粒子)
SnAgCu粒子:中心粒径5μmのSn−Ag−Cu合金粒子、融点220℃
SnBi粒子:中心粒径5μmのSn−Bi合金粒子、融点140℃
AuSn粒子:中心粒径5μmのAu−Sn合金粒子、融点280℃
AgCu粒子:中心粒径5μmのAg−Cu合金粒子、融点780℃。
(活性金属粒子)
水素化チタン(TiH)粒子:中心粒径6μmの水素化チタン粒子
ホウ化チタン(TiB)粒子:中心粒径3μmのホウ化チタン粒子
水素化ジルコニウム(ZrH)粒子:中心粒径5μmの水素化ジルコニウム粒子。
(有機ビヒクル)
有機バインダー:ポリブチルメタクリレート
有機溶剤:テルピネオール。
[評価用基板のパターン]
50.8mm×50.8mmのセラミックス基板の表面に、2mm×2mmサイズの正方形パターンを縦横並べて配置したサンプルを評価基板とした。パターン間は、電気めっきができるように細線で連結した。
[電子基板の評価]
(パターン形状)
焼成後の電子基板の外観(2mm×2mmサイズの正方形パターン)を目視及びルーペ(15倍)で観察し、形状が変形せずに保持されていたパターンについては、さらに画像測定し、以下の基準で評価した。
×(エッジめくれ):パターンのエッジ部分がめくれ上がっている
×(収縮):パターンのエッジ部分はめくれ上がっていないが、正方形が崩れてエッジ部が丸くなったり、サイズダウンしている
○(良好):2mm×2mmパターンの形状が変形せずに保持されているが、さらに画像測定すると、1.97mm×1.97mm〜2.03mm×2.03mmの範囲にはない
◎(特に良好):2mm×2mmパターンの形状が変形せずに保持されており、さらに画像測定において2mm×2mmパターンのサイズがほとんど変わることなく、1.97mm×1.97mm〜2.03mm×2.03mmの範囲にある。
(ピール強度試験及び破壊状態)
パターン形状の良好な電子基板についてピール強度試験を行った。錫メッキ銅線(ピール線)を2mm×2mmの正方形パターンの上面に沿わせて(正方形の中心部を通り、辺に平行に沿わせて)はんだ付けした後、ピール線を2mmパターンの外側で90度折り曲げ、基板面に対して垂直上方に引っ張り上げて膜を引き剥がしてピール強度を測定した。破壊の際の最も高い強度をピール強度として記録した。また、試験後の破壊場所を観察し、破壊状態を以下の基準で評価した。
◎(基板破壊):基板がえぐりとられるように破壊し、かつピール強度が4kg以上
○(基板破壊):基板がえぐりとられるように破壊し、かつピール強度が2kg以上4kg未満
○(界面破壊):基板とメタライズ膜との界面で破壊し、かつピール強度が2kg以上
×(界面破壊):基板とメタライズ膜との界面で破壊し、かつピール強度が2kg未満
×(膜内破壊):メタライズ膜がボソボソで膜の内部で破壊し、かつピール強度が2kg未満。
(総合判定)
パターン形状の評価結果及びピール強度試験の評価結果について、以下の基準で総合評価した。
◎:パターン形状とピール強度の判定がいずれも「◎」
○:パターン形状とピール強度の判定がいずれも「○」、あるいは一方が「◎」でもう一方が「○」
×:パターン形状とピール強度の判定のいずれかが「×」。
実施例1
表1に示す組成で調製したペースト1をスクリーン印刷で前記評価パターンに印刷した後、窒素置換したトンネル炉で焼成した。セラミックス基板としては窒化アルミニウム基板を用いた。焼成は最高温度900℃にて行い、この温度を10分間保持し、昇温降温含めた炉への投入から回収までの時間は約60分間とした。炉から出てきた焼成後の基板のメタライズ膜を観察したところ良好な形状であった。焼成後のメタライズ膜の表面をバフ研磨した後、表面に電解ニッケル金メッキを施した。得られた電子基板のピール強度試験に供したところ、破壊モードが基板破壊となり、基板とメタライズ膜とは基板強度以上に高い強度で接合されており、十分な接合性を示した。
実施例2〜3
ペースト1の代わりに表1に示すペースト2及び3を用いて、ペースト中の溶融合金粒子を変更する以外は実施例1と同様にして電子基板を得た。得られた電子基板は、パターン形状、ピール試験ともに良好な結果であった。しかし、実施例1との相対的な評価では、実施例2はパターン形状が若干低下し、実施例3はピール強度が若干低下した。
実施例4〜5
ペースト1の代わりに表1に示すペースト4及び5を用いて、ペースト中の活性金属粒子を変更する以外は実施例1と同様にして電子基板を得た。得られた電子基板は、パターン形状、ピール試験ともに良好な結果であった。しかし、実施例1との相対的な評価では、いずれもピール強度が若干低下した。
実施例6〜7
ペースト1の代わりに表1に示すペースト6及び7を用いて、ペースト中の高融点金属粒子を変更する以外は実施例1と同様にして電子基板を得た。得られた電子基板は、パターン形状、ピール試験ともに実施例1と同一の良好な結果であった。
実施例8〜9
ペースト1の代わりに表1に示すペースト8及び9を用いて、ペースト中の高融点金属粒子と溶融合金粒子との割合を変更する以外は実施例1と同様にして電子基板を得た。得られた電子基板は、パターン形状、ピール試験ともに良好な結果であった。しかし、実施例1との相対的な評価では、実施例8はピール強度が若干低下し、実施例9はパターン形状が若干低下した。
実施例10〜11
ペースト1の代わりに表1に示すペースト10及び11を用いて、ペースト中の活性金属粒子の割合を変更する以外は実施例1と同様にして電子基板を得た。得られた電子基板は、パターン形状、ピール試験ともに良好な結果であった。しかし、実施例1との相対的な評価では、実施例10はパターン形状及びピール強度ともに若干低下し、実施例11はピール強度が若干低下した。
実施例12〜14
ペースト1の代わりに表1に示すペースト12〜14を用いて、ペースト中の溶融合金粒子を表1に示す2種類の溶融合金粒子に置き換える以外は実施例1と同様にして電子基板を得た。得られた電子基板は、パターン形状、ピール試験ともに良好な結果であった。詳しくは、実施例12では、パターン形状、ピール試験ともに実施例1と同一の結果であった。また、実施例13では、400℃以下の融点を有する溶融合金粒子に対して400℃を超える融点の溶融合金粒子を組み合わせることにより、流動性が適切な範囲に調整されたためか、実施例2に比べてパターン形状が向上した。さらに、実施例14では、パターン形状、ピール試験ともに実施例3と同一の結果であった。
実施例15〜18
ペースト1の代わりに表1に示すペースト15〜18を用いて、ペースト中の高融点金属粒子の粒子径を変更する以外は実施例1と同様にして電子基板を得た。得られた電子基板は、パターン形状、ピール試験ともに良好な結果であった。しかし、実施例1との相対的な評価では、実施例15はピール強度が若干低下し、実施例16〜17はパターン形状が若干に低下し、実施例18はパターン形状及びピール強度ともに若干低下した。
実施例19〜20
ペーストは変更せず、セラミックス基板の種類をアルミナ又は窒化珪素に変更する以外は実施例1と同様にして電子基板を得た。得られた電子基板は、パターン形状、ピール試験ともに実施例1と同一の良好な結果であった。
実施例21〜23
ペーストは変更せず、焼成温度を変更する以外は実施例1と同様にして電子基板を得た。得られた電子基板は、パターン形状、ピール試験ともに良好な結果であった。得られた電子基板は、焼成温度が850℃である実施例22では、パターン形状、ピール試験ともに実施例1と同一の結果であったが、焼成温度が800℃である実施例21では、ピール強度が実施例1よりも若干低下し、焼成温度が950℃である実施例23では、パターン形状が実施例1よりも若干低下した。
比較例1〜3
ペースト1の代わりに表2に示すペースト19〜21を用いて、溶融合金粒子として融点400℃以下の合金を用いずに融点780℃のAg−Cu合金粒子のみを用いて変量する以外は実施例1と同様にして電子基板を得た。比較例1ではパターン形状は良好であったが、ピール強度が低く、十分な接合が得られなかった。Ag−Cu合金粒子の割合を増加するにつれて、パターン形状が低下し、エッジめくれや収縮が生じた。これらの結果から、融点の高い溶融成分のみではパターン形状も良好で基板との接合性も優れた電子基板は得られなかった。
実施例及び比較例で得られた電子基板の評価結果を表2に示す。
Figure 0006396964
Figure 0006396964
本発明の導電性ペーストは、回路基板、電子部品、半導体パッケージの基板などに利用でき、電子基板の導電部を形成するためのペーストとして特に有効に利用できる。

Claims (17)

  1. 焼成温度を超える融点を有する高融点金属粒子と、焼成温度で溶融し、かつ400℃以下の融点を有する合金を含む溶融合金粒子と、Ti、Zr及びHfからなる群より選択された少なくとも1種の活性金属を含む活性金属粒子と、有機ビヒクルとを含む導電性ペースト。
  2. 溶融合金粒子がSnを含む請求項1記載の導電性ペースト。
  3. 溶融合金粒子が、Sn−Ag−Cu合金粒子、Sn−Bi合金粒子及びAu−Sn合金粒子からなる群より選択された少なくとも1種を含む請求項2記載の導電性ペースト。
  4. 活性金属が、Ti及び/又はZrである請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ペースト。
  5. 活性金属粒子が、水素化チタン粒子、ホウ化チタン粒子及び水素化ジルコニウム粒子からなる群より選択された少なくとも1種である請求項4記載の導電性ペースト。
  6. 高融点金属粒子が、Cu、Ag及びNiからなる群より選択された少なくとも1種の金属又はこの金属を含む合金で形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ペースト。
  7. 高融点金属粒子と溶融合金粒子との質量割合が、高融点金属粒子/溶融合金粒子=90/10〜40/60である請求項1〜6のいずれかに記載の導電性ペースト。
  8. 活性金属粒子の割合が、高融点金属粒子及び溶融合金粒子の合計100質量部に対して0.5〜30質量部である請求項1〜7のいずれかに記載の導電性ペースト。
  9. 溶融合金粒子の中心粒径が0.1〜15μmである請求項1〜8のいずれかに記載の導電性ペースト。
  10. 活性金属粒子の中心粒径が1〜15μmである請求項1〜9のいずれかに記載の導電性ペースト。
  11. 高融点金属粒子の中心粒径が0.01〜10μmである請求項1〜10のいずれかに記載の導電性ペースト。
  12. セラミックス基板に請求項1〜11のいずれかに記載の導電性ペーストを付着させる付着工程、及び前記セラミックス基板に付着した前記導電性ペーストを焼成して導電部を形成する焼成工程を含む電子基板の製造方法。
  13. 焼成工程において、窒素雰囲気中で導電性ペーストを焼成する請求項12記載の製造方法。
  14. 焼成工程において、焼成温度が800〜950℃である請求項12又は13記載の製造方法。
  15. セラミックス基板と、焼成温度以上の融点を有する高融点金属と、400℃以下の融点を有する溶融合金と、活性金属とを含む導電部とを備えた電子基板であって、セラミックス基板に請求項1〜11のいずれかに記載の導電性ペーストを付着させる付着工程、及び前記セラミックス基板に付着した前記導電性ペーストを窒素雰囲気中で800〜950℃で焼成して導電部を形成する焼成工程を含む製造方法で得られた電子基板
  16. セラミックス基板が、アルミナ基板、アルミナ−ジルコニア基板、窒化アルミニウム基板、窒化珪素基板又は炭化珪素基板である請求項15記載の電子基板。
  17. 表面メタライズド基板、ビア充填基板又はスルーホール壁面メタライズド基板である請求項15又は16記載の電子基板。
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