JP6395316B2 - スイッチング電源装置 - Google Patents

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Description

本発明は、入力電圧を所望の電圧に変換して電子機器等の負荷に供給するためのスイッチング電源装置に関する。
従来、商用の交流電源が入力されるスイッチング電源装置は、力率改善回路が内蔵されているものが多い。これらの力率改善回路には、昇圧チョッパー回路が広く用いられている(特許文献1)。
商用電源が入力される力率改善回路は、100V〜200V程度の実効電圧をもつ交流電圧が入力され、380V程度の直流の電圧を出力する。そのため、半導体素子には、高耐圧の半導体素子が用いられることになる。
力率改善回路の昇圧チョッパー回路に使用される半導体素子は、一般的には、スイッチング素子として600V耐圧のMOS−FET、整流素子として600V耐圧のダイオードが用いられる。
力率改善回路として用いられる昇圧チョッパー回路を設計する方法として、動作モードを電流臨界モードとした昇圧チョッパー回路を用いる方法がある。
(電流臨界モードの昇圧チョッパー回路)
図14は従来の昇圧チョッパー回路を示した回路ブロック図である。図14に示すように、昇圧チョッパー回路100は、MOS−FETを用いた主スイッチング素子104、整流素子として機能するダイオード106、出力チョークコイル108、出力コンデンサ110を備え、入力電源102から入力した所定の直流電圧をスイッチング制御により昇圧して安定化した所定の直流電圧に変換して負荷112に出力する。
図15は図14の昇圧チョッパー回路の動作モードを電流臨界モードとした場合の動作波形であり、図15(a)〜(d)に分けて、MOS−FETを用いた主スイッチング素子104のゲート・ソース間電圧VGS、ドレイン・ソース間電圧VDS、ダイオード106のカソード・アノード間電圧VKA、及び出力チョークコイル108を流れるチョークコイル電流ILを示している。また、図16は図14について1周期の回路動作を期間A,Bに分けて示している。
(期間Aの動作)
電流臨界モードで動作するスイッチング素子104は、可変周波数方式によりオン、オフしている。主スイッチング素子104をオンした場合は、図16(期間A)に矢印で示すように、入力電源102のプラス側から出力チョークコイル108、主スイッチング素子104及び入力電源102のマイナス側となる経路で電流が流れ、出力チョークコイル108に磁気的エネルギーが蓄えられる。主スイッチング素子104をオンしてから所定時間が経過すると、主スイッチング素子104がオフする。
(期間Bの動作)
主スイッチング素子104がオフすると、図16(期間B)に矢印で示すように、出力チョークコイル108のドッドで示すプラス側からダイオード106、負荷112、入力電源102及び出力チョークコイル108のドットの無いマイナス側となる経路で電流が流れる。
可変周波数方式による制御では、出力チョークコイル108の励磁エネルギーが全て放出されたタイミングで主スイッチング素子104をオンするため、ダイオード106の順方向の電流がゼロになったタイミングで主スイッチング素子104をオンする制御を行うことになる(期間Bの最後)。
このように出力チョークコイル108が励磁エネルギーを全て放出したタイミングで主スイッチング素子104をオンする動作を実現して出力電圧Voを所定の電圧に制御するためには、入力電圧や出力電流によってスイッチング周波数を可変する必要がある。
図17は、図15に対し、出力電圧は一定であるが、入力電圧が高く、出力電流が大きい場合の電流臨界モードによる昇圧チョッパー回路の動作波形であり、図17(a)〜(d)に分けて、MOS−FETを用いた主スイッチング素子104のゲート・ソース間電圧VGS、ドレイン・ソース間電圧VDS、ダイオード106のカソード・アノード間電圧VKA、及び出力チョークコイル108を流れるチョークコイル電流ILを示している。
このように入力電圧が高く、出力電流が大きい場合には、出力電流が大きくなったことに伴い、主スイッチング素子104のオフにより出力チョークコイル108の励磁エネルギーを全て放出させて主スイッチング素子104をオンするまで期間Bが長くなるように周波数制御を行う。
ところで、電流臨界モードの昇圧チョッパー回路は、入力電圧や出力電流の変化に対してスイッチング周波数が変化する動作であるため、計測機器等に用いられる場合は、計測誤差を発生させる原因になる。これは、計測機器内に用いられているADコンバータのサンプリング周期とスイッチング周波数の逓倍周波数が重なるとAD変換誤差を発生させることによる。
そこで、高精度の計測機器等では、固定周波数方式のスイッチング電源装置が好まれる。これは、スイッチング電源装置を固定周波数で動作させることで、計測機器のADコンバータのサンプリング周期を、スイッチング電源装置のスイッチング周波数と重ならないように設定することができるようになるためである。
固定周波数で動作する昇圧チョッパー回路を設計する方法として、動作モードを電流連続モードとした昇圧チョッパー回路を用いる方法がある。
(電流連続モードの昇圧チョッパー回路)
図18は昇圧チョッパー回路の動作モードを電流連続モードとした場合の動作波形であり、図18(a)〜(d)に分けて、MOS−FETを用いた主スイッチング素子104のゲート・ソース間電圧VGS、ドレイン・ソース間電圧VDS、ダイオード106のカソード・アノード間電圧VKA、及び出力チョークコイル108を流れるチョークコイル電流ILを示している。また、図19は図18について1周期の回路動作を期間A,期間B及び期間Bから期間Aに変化した直後に分けて示している。
更に、図20は電流連続モードの昇圧チョッパー回路にリカバリー特性の悪いダイオードを使用した場合の動作波形であり、図18と同様に図20(a)〜(d)に分けて示している。
(期間Aの動作)
電流連続モードにおけるスイッチング素子104は、固定周波数方式によりオン、オフされており、主スイッチング素子104をオンした場合は、図19(期間A)に矢印で示すように、入力電源102のプラス側から出力チョークコイル108、主スイッチング素子104及び入力電源102のマイナス側となる経路で電流ILが流れ、出力チョークコイル108に磁気的エネルギーが蓄えられる。出力電圧を一定にするデューティ制御によるオン時間が経過すると、主スイッチング素子104がオフする。
(期間Bの動作)
主スイッチング素子104がオフすると、図19(期間B)に矢印で示すように、出力チョークコイル108のドッドで示すプラス側からダイオード106、負荷112、入力電源102及び出力チョークコイル108のドットの無いマイナス側となる経路で電流が流れる。電流連続モードでは、出力チョークコイル108が励磁エネルギーを放出している途中で1周期に達すると、スイッチング素子104をオンする。
(期間Bから期間Aに変化した直後の動作)
電流連続モードによるスイッチング素子104の動作では、ダイオード106に順方向の電流が流れているときに、主スイッチング素子106をオンする制御を行うことになるため、整流素子であるダイオード106のリカバリー特性が悪いと、主スイッチング素子がオンする際に、図19(期間Bから期間Aに変化した直後)に矢印で示すように、出力コンデンサ110のプラス側からダイオード106、スイッチング素子104及び出力コンデンサ110のマイナス側となる経路で大きなリカバリー電流が流れる。
このようにリカバリー特性の悪いダイオード106にリカバリー電流が流れるとリカバリー電流が流れることで効率の低下を引き起こし、また、図20に示すように、ダイオード106のカソード・アノード間に大きなサージ電圧が発生することでノイズが増大する。
このような問題は、整流素子であるダイオード106に、リカバリー特性に優れた、シリコンカーバイトを使用したショットキーバリアダイオードを用いることで解決できる。しかし、シリコンカーバイトを使用したショットキーバリアダイオードは高価な素子であり、スイッチング電源装置が高価なものになってしまう。
特開2014−143884号公報 特開2002−044937号公報
(同期整流の昇圧チョッパー回路)
昇圧チョッパー回路を高効率化するための手法として、整流素子にMOS−FETを用いた同期整流を行う方法が考えられる。しかし、高い電圧が入出力される力率改善回路である昇圧チョッパー回路では、MOS−FETの寄生ダイオードのリカバリー特性が問題となる。
これは図18乃至図20に示した電流連続モードの昇圧チョッパー回路で特に顕著になる。即ち、高耐圧のMOS−FETは寄生ダイオードのリカバリー特性が非常に悪く、これにより、効率の低下やノイズの増大を引き起こしてしまう。
この問題を解決するため、特許文献2にあっては、主スイッチング素子として使用するソフトスイッチング回路が提案されている。このソフトスイッチング回路は、第1ダイオード、共振コンデンサ及び第2ダイオードを直列接続し、第1ダイオードと共振コンデンサの直列回路に半導体デバイスの第1スイッチを並列接続すると共に、共振コンデンサと第2ダイオードの直列回路に半導体デバイスの第2スイッチを並列接続し、第1及び第2スイッチの端子間の電圧ゼロ又は電流ゼロでオン、オフするソフトスイッチ動作を実現している。
しかしながら、このようなソフトスイッチング回路を用いた昇圧チョッパー回路は、高効率で低ノイズのスイッチング電源装置を実現できるが、ソフトスイッチング回路が複雑で部品点数が増加し、高コストになってしまう問題がある。
本発明は、同期整流の昇圧チョッパー回路について、少ない部品点数でソフトスイッチング動作を実現して、高効率、低ノイズ及び低コストを可能とするスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
過大出力電流に対するサージ電圧防止機能を設けたスイッチング電源装置
本発明は、
入力電源の一端に出力チョークコイルの一端が接続され、
出力チョークコイルの他端に主スイッチング素子の一端と整流素子の一端とが接続され、
整流素子の他端に出力コンデンサの一端が接続され、
主スイッチング素子の他端に出力コンデンサの他端と入力電源の他端が接続され、スイッチング制御回路により、主スイッチング素子および整流素子のオン、オフが制御される構成を持つ同期整流の昇圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置であって
出力チョークコイルのインダクタンスは、出力電流が定格値以下ときにスイッチングの1周期内において、出力チョークを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、
スイッチング制御回路は、スイッチング周波数発生回路を備え、スイッチング周波数発生回路が出力する固定周波数に同期して、主スイッチング素子および整流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフするように制御するものであり、更に
出力チョークコイルの他端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときに極性検出信号を出力する極性検出回路と、
出力電流が過大出力電流となった場合に、スイッチング制御回路が主スイッチング素子をオンさせようとするタイミングで極性検出回路が極性検出信号を出力しているときには、スイッチング制御回路が出力する主スイッチング素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御することで、整流素子のサージ電圧の発生を抑制する主スイッチング素子オン保留制御回路と、
備えたことを特徴とする。
ここで、スイッチング制御回路は、スイッチング1周期内に主スイッチング素子のオフ期間を設けるように制御し、更に、
スイッチング素子のオン期間の上限を決定することで最大出力電流を抑制する電流制限回路を備える。
過大回生電流に対するサージ電圧防止機能を設けたスイッチング電源装置
本発明は、
入力電源の一端に出力チョークコイルの一端が接続され、
出力チョークコイルの他端に主スイッチング素子の一端と整流素子の一端とが接続され、
整流素子の他端に出力コンデンサの一端が接続され、
主スイッチング素子の他端に出力コンデンサの他端と入力電源の他端が接続され、スイッチング制御回路により、主スイッチング素子および整流素子のオン、オフが制御される構成を持つ回生機能を備えた同期整流の昇圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置であって
出力チョークコイルのインダクタンスは、出力側から入力側へ流れる回生電流が定格値以下ときにスイッチングの1周期内において、出力チョークコイルを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、
スイッチング制御回路は、スイッチング周波数発生回路を備え、スイッチング周波数発生回路が出力する固定周波数に同期して、主スイッチング素子および整流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフすると共に、スイッチングの1周期内に整流素子のオフ期間を設けるように制御するものであり、更に
出力チョークコイルの一端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときに極性検出信号を出力する極性検出回路と、
回生電流が過大回生電流となった場合に、スイッチング制御回路が整流素子をオンさせようとするタイミングで極性検出回路が極性検出信号を出力しているときには、スイッチング制御回路が出力する整流素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御することで、主スイッチング素子のサージ電圧の発生を抑制する整流素子オン保留制御回路と、
備えたことを特徴とする。
(基本的な効果)
本発明は、入力電源の一端に出力チョークコイルの一端が接続され、出力チョークコイルの他端に主スイッチング素子の一端と整流素子の一端とが接続され、整流素子の他端に出力コンデンサの一端が接続され、主スイッチング素子の他端に出力コンデンサの他端と入力電源の他端が接続される構成を持つ同期整流の昇圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置において、出力チョークコイルのインダクタンスは、出力電流が所定の定格値以下のときにスイッチングの1周期内において、出力チョークコイルを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、所定のスイッチング周期で主スイッチング素子および整流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフするように制御するスイッチング制御回路を設けるようにしたため、出力電流が零から定格電流の範囲では、出力チョークコイルの電流がマイナス方向を向いている状態で整流素子をオフさせることで主スイッチング素子の寄生容量を引く抜くことができるように、出力チョークコイルのインダクタンスが設定されている。また、主スイッチング素子がオンする直前のタイミングでは、通常の昇圧チョッパー回路と異なり整流素子の寄生ダイオードに電流が流れていないため、整流素子の寄生ダイオードにリカバリー電流が流れることがない。
この場合、通常の昇圧チョッパー回路では用いられないような大きな電流振幅で出力チョークコイルを動作させることになるため、コアロスの増加による損失の増大や実効電流の増加による電流通過経路の抵抗成分による損失の増大が発生する。しかしながら、同期整流、リカバリー動作の抑制、ソフトスイッチング動作が実現できるため、スイッチング電源装置全体としての見た場合の損失が低減できる。
また、サージ電圧が発生しないため、通常の同期整流やダイオード整流を用いた昇圧チョッパー回路よりも耐圧の低いMOS−FET等の半導体素子(オン抵抗の小さい素子)が使用可能となり、高効率化に寄与し、さらに、スイッチングノイズも低減できる。このような効果は、リカバリー特性の良くないMOS−FET等の半導体素子を主スイッチング素子や整流素子に用いなければならないような高い入力電圧で用いられる同期整流昇圧チョッパー回路で顕著となる。
また、本発明のスイッチング電源装置の出力チョークコイルの電流と似たような電流が流れるスイッチング電源装置として、可変周波数方式のスイッチング電源装置があるが、これは、出力チョークコイルの電流が臨界状態(ゼロとプラスの間で振幅させる)となるように制御されるため、入力電圧、出力電圧、出力電流の変化に対して、スイッチング周波数を可変させる必要があり、例えば、計測機器等に用いる場合は、計測誤差を引き起こす原因となる。これに対し、本発明のスイッチング電源装置は、スイッチング周波数が固定周波数方式で制御されているため、本発明のスイッチング電源装置を計測機器等に用いても、計測誤差等の悪影響を及ぼすことがない。
(負荷過大電流に対するサージ発生防止による効果)
本発明は、入力電源の一端に出力チョークコイルの一端が接続され、出力チョークコイルの他端に主スイッチング素子の一端と整流素子の一端とが接続され、整流素子の他端に出力コンデンサの一端が接続され、主スイッチング素子の他端に出力コンデンサの他端と入力電源の他端が接続される構成を持つ同期整流の昇圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置において、出力チョークコイルのインダクタンスは、出力電流が定格値以下のときにスイッチングの1周期内において、出力チョークを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、所定のスイッチング周期で主スイッチング素子および整流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフするように制御するスイッチング制御回路と、出力チョークコイルの極性を検出して出力する極性検出回路と、極性検出回路により出力チョークコイルの他端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときには、制御回路が出力する主スイッチング素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御する主スイッチング素子オン保留制御回路と、を設けるようにしたため、最大出力電流値以上の電流を流そうとした場合でも、整流素子の寄生ダイオードに電流が流れていない状態で、主スイッチング素子がオンすることになるため、サージ電圧を発生させることがない。
また、サージ電圧の発生が無いことから、主スイッチング素子及び整流素子として使用するMOS−FETなどの半導体素子に低耐圧で導通抵抗の低い素子を用いることができ、低ノイズで高効率のスイッチング電源装置を実現することができる。
また、スイッチング制御回路は、スイッチング周期の1周期内に主スイッチング素子のオフ期間を設けて最大出力電流を制限する電流制限回路を設けるようにしたため、出力チョークコイルの電流ピーク値が、主スイッチング素子のオン時間で制限されてスイッチング周期の1周期以上にはならず、過大な電流が流れることを抑制する機能である過電流保護機能を併せ持つことになる。
(回生動作による効果)
本発明は、入力電源の一端に出力チョークコイルの一端が接続され、出力チョークコイルの他端に主スイッチング素子の一端と整流素子の一端とが接続され、整流素子の他端に出力コンデンサの一端が接続され、主スイッチング素子の他端に出力コンデンサの他端と入力電源の他端が接続される構成を持つ同期整流の昇圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置において,出力チョークコイルのインダクタンスは、出力電流が定格値以下のときにスイッチングの1周期内において、出力チョークコイルを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、所定のスイッチング周期で主スイッチング素子および整流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフすると共に、スイッチングの1周期内に整流素子のオフ期間を設けるように制御するスイッチング制御回路と、出力チョークコイルの極性を検出して出力する極性検出回路と、極性検出回路により出力チョークコイルの一端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときには、スイッチング制御回路が出力する整流素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御する整流素子オン保留制御回路と、を設けるようにしたため、出力側から入力側に電力を回生する機能を備えた、低ノイズで高効率なスイッチング電源装置を実現可能とする。
この回生動作は、スイッチング電源装置が出力している出力電圧設定値よりも高い電圧をスイッチング電源装置の出力側に印加されている場合や、出力側に大容量のコンデンサを取り付けた状態で、出力電圧設定値を急に下げる場合等に発生する。
また、本発明のスイッチング電源装置は、回生動作を利用して、双方向スイッチング電源装置を作ることを可能とする。
また、本発明のスイッチング電源装置では、回生動作中においても、回生電流となる出力チョークコイルの電流がゼロを跨いで変化する状態であれば、主スイッチング素子および整流素子の寄生ダイオードにリカバリー電流が流れることが無いため、サージ電圧が発生しない。また、主スイッチング素子および整流素子の寄生容量の引き抜きが行われるため、ソフトスイッチング動作が実現できる。これにより、高効率、低ノイズの双方向スイッチング電源装置を実現可能とする。
また、大きな回生電流が流れた場合でも、主スイッチング素子の寄生ダイオードに電流が流れている最中に整流素子がオンすることがなくなるため、サージ電圧を発生させることがない。また、サージ電圧の発生がないため、主スイッチング素子や整流素子に低耐圧で導通抵抗の低いMOS―FET等の半導体素子を用いることができ、低ノイズで高効率回生機能を持ったスイッチング電源装置を実現可能とする。
また、出力チョークコイルの回生電流のピーク値は、スイッチングの1周期以上にはならないように整流素子のオン時間で制限されるため、過大な回生電流が流れることを抑制する機能である回生過電流保護機能を併せ持つことになる。
同期整流の昇圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図 図1について出力電流が零の場合の動作波形を示した説明図 図1について出力電流が大きい場合の動作波形を示した説明図 図1についてスイッチングの1周期の回路動作を期間A〜Fに分けて示した説明図 過大出力電流に対するサージ電圧防止機能を備えたスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図 過大出力電流に対するサージ電圧防止機能がない場合の動作波形を示した説明図 図6の出力電流が定格電流を超えた期間G及び期間Hの回路動作を示した説明図 過大出力電流に対するサージ電圧防止機能を設けた図6の実施形態の動作波形を示した説明図 過大出力電流に対するサージ電圧防止機能と過電流保護機能を備えたスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図 過大回生電流に対するサージ電圧防止機能がない場合の回生電流が定格電流以下の場合と定格電流を超えた場合の動作波形を示した説明図 図10の回生電流が定格電流を超えた期間I及び期間Jの回路動作を示した説明図 過大回生電流に対するサージ電圧防止機能と回生過電流保護機能を備えたスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図 図12の実施形態の動作波形を示した説明図 従来の昇圧チョッパー回路を示した回路ブロック図 図14の昇圧チョッパー回路の動作モードを電流臨界モードとした場合の動作波形を示した説明図 図14の昇圧チョッパー回路について電流臨界モードによるスイッチングの1周期の回路動作を期間A,Bに分けて示した説明図 図14の昇圧チョッパー回路の動作モードを電流臨界モードとした場合において、図15に対して入力電圧と出力電流を大きくして用いた場合の図15との動作波形の違いを示した説明図 図14の昇圧チョッパー回路の動作モードを電流連続モードとした場合の動作波形を示した説明図 図14の昇圧チョッパー回路について電流連続モードによるスイッチングの1周期の回路動作を期間A,B、期間Bから期間Aに変化した直後に分けて示した説明図 リカバリー特性の悪いダイオードを用いた場合の電流連続モードによる昇圧チョッパー回路の動作波形を示した説明図
[スイッチング電源装置の構成]
図1は同期整流方式の昇圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図である。
図1に示すように、本実施形態のスイッチング電源装置は、入力電源12の入力電圧を同期整流の昇圧チョッパー回路10により所望の出力電圧に変換し、電子機器等の負荷22に供給するものであり、特に、入出力電圧の高い同期整流の昇圧チョッパー回路10において、少ない部品点数でソフトスイッチング動作を実現することで、高効率化、低ノイズ化、低コスト化に対する課題を解決する。
(同期整流の昇圧チョッパー回路)
図1に示すように、同期整流の昇圧チョッパー回路10は、MOS−FETを用いた主スイッチング素子14、MOS−FETを用いた同期整流を行う整流素子16、出力チョークコイル18、出力コンデンサ20及びスイッチング制御回路24を備える。
同期整流の昇圧チョッパー回路10のパワー回路部は、入力電源12のプラス側の一端に出力チョークコイル18の一端が接続され、出力チョークコイル18の他端に主スイッチング素子14のドレイン端子Dと整流素子16のソース端子Sとが接続され、整流素子のドレイン端子Dに出力コンデンサ20の一端が接続され、主スイッチング素子14のソース端子Sに出力コンデンサ20の他端と入力電源12のマイナス側の他端が接続される。
出力チョークコイル18のインダクタンスLは、出力電流Ioが所定の定格出力電流IoMAX以下のときに、スイッチングの1周期内において、出力チョークコイル18を流れるチョークコイル電流ILが正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されている。この詳細は後の説明で明らかにする。
また、主スイッチング素子14及び整流素子16は、MOS−FETの半導体素子構造に起因して、それぞれのソース・ドレイン間と並列に、寄生ダイオード60,64と寄生容量62,66を発生している。
スイッチング制御回路24は、所定のスイッチング周期で主スイッチング素子14および整流素子16を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフするように制御する。
(スイッチング制御回路)
スイッチング制御回路24は、スイッチング周波数発生回路26、三角波発生回路28、PWM回路(パルス幅変調回路)32、フィードバック回路30、第1デッドタイム発生回路34、第2デッドタイム発生回路36で構成されている。
スイッチング周波数発生回路26は発振回路25を備え、所定のスイッチング周波数fswのクロック信号E1を出力する。
三角波発生回路28は、MOS−FETを用いたスイッチング素子40、抵抗42とコンデンサ44を直列接続した充放電回路を備え、発振回路25のパルス信号E1のLレベルへの立下りでスイッチング素子40をオフし、抵抗42を介してコンデンサ44を充電して直線的に増加する信号電圧を生成し、続いて発振回路25のパルス信号E1のHレベルへの立上りでスイッチング素子40をオンしてコンデンサ44を放電リセットし、これにより発振回路25の発振周期で繰り返す三角波信号E2を生成する。
PWM回路32はフィードバック回路30から出力電圧Voに応じて変化するフィードバック信号E3と三角波発生回路28からの三角波信号E2を入力し、フィードバック信号E3の信号レベルに応じたオンデューティをもつPWM信号E4を出力し、主スイッチング素子14のオン、オフを制御する。
PWM回路32からのPWM信号E4は第1デッドタイム発生回路34を介して整流制御用インバータ38に入力され、整流制御用インバータ38で反転された整流制御信号E7により、主スイッチング素子14のオンオフ制御に対し相補的に整流素子16をオンオフ制御させる。
第1デッドタイム発生回路34は、抵抗50とコンデンサ52を直列接続した遅延回路であり、PWM信号E4を一定時間遅延させた遅延信号E6を整流制御用インバータ38に出力し、遅延信号E6が整流制御用インバータ38のスレッショルドレベル以下となった遅延後にHレベルとなる整流制御信号E7を出力することで、主スイッチング素子14のオフと整流素子16のオンの間に所定の第1テッドタイムを設ける。
第2デッドタイム発生回路36は、発振回路46とダイオード48を備え、発振回路25と発振回路46の周波数を同期させており、発振回路25のパルス信号E1が発生する直前に発振回路46からパルス信号E5を出力することで所定の第2デッドタイムを発生させ、整流素子16のオフと主スイッチング素子14のオンの間に第2デッドタイムを設ける。
(スイッチング電源装置の動作)
図2は図1について出力電流が零の場合の動作波形を示した説明図、図3は図1について出力電流が大きい場合の動作波形を示した説明図である。
ここで、図2及び図3は、その(a)〜(j)に、発振回路25のパルス信号E1、発振回路46のパルス信号E5、PWM回路32の入力する三角波信号E2とフィードバック信号E3、PWM回路32から出力するPWM信号E4、第1デッドタイム発生回路34の遅延信号E6、主スイッチング素子14のゲート・ソース間電圧VGS1、整流素子16のゲート・ソース間電圧VGS2、主スイッチング素子14のドレイン・ソース間電圧VDS1、整流素子16のドレイン・ソース間電圧VDS2及び出力チョークコイル18のチョークコイル電流ILを示している。また、図4は図1についてスイッチングの時刻t1〜t2となる1周期の回路動作をA〜Fの6期間に分けて示している。
図1に示した本実施形態のスイッチング電源装置は、出力電流Ioが零から所定の定格出力電流IoMAXの範囲において、出力電圧をVo、入力電圧をVinとすると、主スイッチング素子14のオンデューティが(Vo−Vin)/Voとなるように動作する。また、出力電流Ioは、主スイッチング素子14がオフしているときに、出力チョークコイル18を流れるチョークコイル電流ILの平均値となる。
(期間Aの動作)
出力電流Ioが零から定格出力電流IoMAXの範囲では、図2の期間Aに示すように、図2(f)のVGS1がHレベルにあることで主スイッチング素子14がオンしており、また図2(g)のVGS2がLレベルにあることで整流素子16がオフしており、図2(J)のチョークコイル電流ILがプラス方向を向いて増加している。
このとき図4(期間A)に矢印で示すように、入力電源12のプラス側から出力チョークコイル18、主スイッチング素子14及び入力電源12のマイナス側となる経路で電流が流れ、出力チョークコイル18に磁気的エネルギーが蓄積される。
期間Aの間に図2(c)に示す三角波信号E2がフィードバック信号E3のレベルに交差すると、図2(d)のPMW信号E4がHレベルからLレベルに立下り、図2(f)のVGS1がHレベルからLレベルとなり、期間Aの最後に示すように、主スイッチング素子14がオフする。
(期間Bの動作)
主スイッチング素子14がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第1デッドタイムとなる期間Bを持つ。従って、図4(期間B)に矢印で示すように、入力電源12のプラス側から出力チョークコイル18、整流素子16の寄生容量66、出力コンデンサ20及び入力電源12のマイナス側となる経路で電流が流れる。このため、第1デットタイムの期間Bで整流素子16の寄生容量66に蓄えられた電荷が引き抜かれる。
(期間Cの動作)
期間Bの第1デットタイムが過ぎて図2(g)のVGS2がLレベルからHレベルに立ち上がって整流素子16がオンするタイミングでは、整流素子16の寄生容量66の電荷が期間Bで引き抜かれているため、期間Cの最初で整流素子16はソフトスイッチング動作によりオンすることができる。
即ち、寄生容量66は放電状態にあることから、整流素子16のドレイン・ソース間電圧VDS2は零ボルトとなっており、この状態で整流素子16がオンするソフトスイッチング動作を行うことができる。
整流素子16がオンすると、図4(期間C)に矢印で示すように、入力電源12のプラス側から出力チョークコイル18、整流素子16、出力コンデンサ20及び入力電源12のマイナス側となる経路で電流が流れ、図2(j)に示すように、チョークコイル電流ILは直線的に減少する。
(期間Dの動作)
期間Cにおいて、主スイッチング素子14がオフし、整流素子16がオンしている状態で、出力チョークコイル18の電流が低下して零を過ぎると、電流方向がマイナス方向となる期間Dに入る。
このときには、図4(期間D)に示すように、出力コンデンサ20のプラス側から出力整流素子16、チョークコイル18、入力電源12及び出力コンデンサ20のマイナス側となる経路で出力チョークコイル18に磁気的エネルギーを蓄えるように電流が流れ、図2(j)に示すように、チョークコイル電流ILはマイナス方向に直線的に増加する。
期間Dの最後に近づくと、図2(b)に示す発振回路46のパルス信号E5により図2(g)のVGS2がHレベルからLレベルとなり、期間Dの最後に示すように、整流素子16がオフする。
(期間Eの動作)
整流素子16がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第2デッドタイムとなる期間Eを持つ。このとき出力チョークコイル18はチョークコイル電流ILを流し続けようと動作するため、出力チョークコイル18のドットの無い側がプラス極性となり、ドットで示す側がマイナス極性となる。
従って、図4(期間E)に矢印で示すように、出力チョークコイル18のドットの無いプラス側から入力電源12、主スイッチング素子14の寄生容量62及び出力チョークコイル18のドットで示したマイナス側となる経路で、出力チョークコイル18のエネルギー放出による電流が流れる。このため、第2デットタイムの期間Eで主スイッチング素子14の寄生容量62に蓄えられた電荷が回収される。
(期間Fの動作)
期間Eの第2デットタイムが過ぎて図2(f)のVGS1がLレベルからHレベルに立ち上がって主スイッチング素子14がオンするタイミングでは、主スイッチング素子14の寄生容量62の電荷が期間Eで回収されているため、期間Fの最初で主スイッチング素子14はソフトスイッチング動作によりオンすることができる。
即ち、寄生容量62は放電状態にあることから、主スイッチング素子14のドレイン・ソース間電圧VDS1は零ボルトとなっており、この状態で主スイッチング素子14をオンするソフトスイッチング動作を行うことができる。
主スイッチング素子14がオンすると、図4(期間F)に矢印で示すように、出力チョークコイル18のドットの無いプラス側から入力電源12、主スイッチング素子14及び出力チョークコイル18のドットで示したマイナス側となる経路で、出力チョークコイル18のエネルギー放出による電流が流れ、図2(j)の期間Fに示すように、チョークコイル電流ILはマイナス方向から零に向かって直線的に変化する。
なお、期間A〜Fの動作は図2の出力電流が零の場合の動作波形を例にとっているが、図3の出力電流が大きい場合の動作波形についても、チョークコイル電流ILの平均値がプラスになっている以外は、同様の動作となる。
(出力チョークコイルのインダクタンス)
図2乃至図4に示した期間A〜Fの動作を実現するために、出力チョークコイル18のインダクタンスLは、式(1)を満たすように設定される。
Figure 0006395316
但し、
L:出力チョークコイルのインダクタンス
Vin:入力電圧
Vo:出力電圧
IoMAX:スイッチング電源装置の定格出力電流
fsw:スイッチング周波数
式(1)は、次の式(2)〜式(6)により導出される。
昇圧チョッパー回路10のソフトスイッチングの条件として、主スイッチング素子14がオンするときに、出力チョークコイル18の電流ILは、必ずマイナス方向を向いていなければならず、電流振幅(電流変化量)ΔILは必ず、ゼロを跨ぐようにしなければならない。
このため、本実施形態のスイッチング電源装置が定格出力電流IoMAXを出力する条件は、出力チョークコイル18の電流ILがゼロ、正確には、ゼロを若干だけ下回った点を起点に電流が振幅変化する動作となったときである。このときの定格出力電流IoMAXは、主スイッチング素子14がオフしたときに出力チョークコイル18に流れる電流の平均値であるので、ここから、出力チョークコイル18の電流振幅ΔILの最小値が次の式(2)から求まる。
Figure 0006395316
また、出力チョークコイル18の電流振幅ΔIL は、出力チョークコイル18に印加される電圧VL、印加時間Ton、インダクタンスLにより次の式(3)で表される。
Figure 0006395316
また、出力チョークコイル18に印加される電圧VLは、入力電圧Vinであり、次の式(4)となる。
VL=Vin (4)
また、出力チョークコイル18にVLが印加されている時間Tonは、主スイッチング素子14のオン時間であり、スイッチング周波数とデューティから求められ、次の式(5)となる。
Figure 0006395316
更に、主スイッチング素子14のデューティdutyは、入力電圧Vinと出力電圧Voから次の式(6)として求められる。
Figure 0006395316
このため式(6)のデューティdutyを式(5)に代入してオン時間Tonを求め、これを式(3)に代入し、また式(4)から求めた印加電圧VLを式(3)に代入して電流振幅ΔILを求め、これを式(2)に代入して整理することで、式(1)を満たすインダクタンスLを求めることができる。
(図1のスイッチング電源装置の有用性)
図1に示したスイッチング電源装置は、出力電流Ioが零から所定の定格出力電流IoMAXの範囲では、出力チョークコイル18の電流がマイナス方向を向いている状態で整流素子16をオフさせることで主スイッチング素子14の寄生容量の引く抜くことができるように出力チョークコイル18のインダクタンスLが設定されている。
また、主スイッチング素子14がオンする直前のタイミングでは、整流素子16の寄生ダイオードに電流が流れていないため、整流素子16の寄生ダイオードにリカバリー電流が流れることがない。この動作は、固定周波数で行われるため、従来の電流臨界モードの昇圧チョッパー回路のようにスイッチング周波数が変化することが無く、高精度の測定器の測定精度に影響を及ぼすことが無い。
また、従来の電流連続モードの昇圧チョッパー回路が持っていた半導体素子にサージ電圧を発生させる原因、即ち、ダイオードの順方向に電流が流れているときに、ダイオードに逆電圧を印加する動作を持たないため、シリコンカーバイドを用いたショットキーバリアダイオード等の高価な半導体素子を必要としない。
さらには、共振用のコンデンサ、共振用のインダクター、補助スイッチを用いずに整流素子にMOS−FETを用いた同期整流を実現できるため、低コストで高効率、低ノイズのスイッチング電源装置を作ることが可能になる。
[過大出力電流に対しサージ電圧を防止する実施形態]
(スイッチング電源装置の構成)
図5は過大出力電流に対するサージ電圧防止機能を備えたスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図である。
図5に示すように、本実施形態のスイッチング電源装置は、入力電源12の入力電圧を同期整流の昇圧チョッパー回路10により所望の出力電圧に変換して負荷22に供給する。
同期整流の昇圧チョッパー回路10は、MOS−FETを用いた主スイッチング素子14、MOS−FETを用いた同期整流を行う整流素子16、出力チョークコイル18、出力コンデンサ20及びスイッチング制御回路24を備える。なお、主スイッチング素子14及び整流素子16のソース・ドレイン間と並列に発生する寄生ダイオードと寄生容量は省略している。
スイッチング制御回路24は、スイッチング周波数発生回路26、三角波発生回路28、PWM回路32、フィードバック回路30、第1デッドタイム発生回路34、第2デッドタイム発生回路36で構成されている。
これらの構成は図1の実施形態と同じであるが、本実施形態にあっては、極性検出回路70と主スイッチング素子オン保留制御回路74が付加される。
極性検出回路70は、出力チョークコイル18に結合した極性検出コイル72を備え、出力チョークコイル18に発生している電圧の極性を検出して極性検出信号E8を出力する。即ち、極性検出回路70は、出力チョークコイル18のドットで示す側にプラスの電圧が発生している場合にLレベルとなる極性検出信号E8を出力し、また、出力チョークコイル18のドットで示す側の反対側にプラスの電圧が発生している場合にHレベルとなる極性検出信号E8を出力する。
主スイッチング素子オン保留制御回路74は、極性検出回路70により出力チョークコイル18にドットで示す側にプラスの電圧が発生してLレベルとなる極性検出信号E8を出力しているときに、スイッチング制御回路24が出力するHレベルとなるPWM信号E4をLレベルに固定し、主スイッチング素子14のオンを保留してオフを継続するように制御する。
(サージ電圧防止機能がない場合の動作)
図5の実施形態のように、極性検出回路70と主スイッチング素子オン保留制御回路74を付加していない場合に、出力電流Ioが定格出力電流IoMAX以上に流れた場合の動作について、図6及び図7に基づいて説明する。
図6は過大出力電流に対するサージ電圧防止機能がない場合の動作波形を示した説明図であり、図2(a)〜(j)と同様に、図6(a)〜(j)に分けて示している。
(期間Aの動作)
図6(c)に示すように、負荷22が大電流を要求して出力電流Ioが定格出力電流IoMAX以上に流れたことに対しフィードバック信号E3の信号電圧が上昇し、三角波信号E2がフィードバック信号E3に交差するまでの期間が長くなるため、図6(d)のPMW信号がHレベルからLレベルに立下るまでの期間が長くなる。
このように負荷22に大電流が流れると、主スイッチング素子14のオンデューティが増加し、図6(j)の期間Aに示すように、チョークコイル電流ILが上昇する。
(期間Bの動作)
主スイッチング素子14がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第1デッドタイムとなる期間Bを持つことで、整流素子16の寄生容量66に蓄えられた電荷が引き抜かれる。
(期間Cの動作)
期間Bの第1デットタイムが過ぎて図6(g)のVGS2がLレベルからHレベルに立ち上って整流素子16がオンするタイミングでは、整流素子16の寄生容量66の電荷が期間Bで引き抜かれているため、整流素子16はソフトスイッチング動作によりオンすることができる。整流素子16がオンしている期間Cでは、出力チョークコイル18がエネルギーを放出し、チョークコイル電流ILが低下する。
この場合、主スイッチング素子14がオフし、整流素子16がオンしている状態で、チョークコイル電流ILが低下してくるが、出力電流Ioが定格出力電流IoMAXよりも大きくなっている状態であるので、チョークコイル電流ILは零以下まで低下してこない。
この状態で期間Cの最後に近づくと、図6(b)に示す発振回路46のパルス信号E5により図6(g)のVGS2がHレベルからLレベルとなり、期間Cの最後に示すように、整流素子16がオフする。
(期間Gの動作)
整流素子16がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第2デッドタイムとなる期間Gを持つ。このとき出力電流Ioが定格出力電流IoMAXよりも大きくなっている状態であるので、チョークコイル電流ILは零以下まで低下しない。
このため図7(期間G)に矢印で示すように、出力チョークコイル18のドットで示すプラス側から整流素子16の寄生ダイオード64、出力コンデンサ20、入力電源12及び出力チョークコイル18のドットの無いマイナス側となる経路で、出力チョークコイル18のエネルギー放出による電流が流れることになる。
(期間Hの動作)
期間Gの第2デットタイムが過ぎて図6(f)のVGS1がLレベルからHレベルに立ち上がって主スイッチング素子14がオンする。しかし、主スイッチング素子14がオンした直後、整流素子16の寄生ダイオード64のリカバリー動作により、図7(期間H)に矢印で示すように、出力コンデンサ20のプラス側、整流素子16の寄生ダイオード64、主スイッチング素子14及び出力コンデンサ20のマイナス側となる経路で大きな貫通電流が流れ、配線による寄生インダクタンスにエネルギーが蓄えられ、この寄生インダクタンスに蓄えられたエネルギーが整流素子16に図6(i)のVSD2に示すようにサージ電圧Vsを発生させる。
このように図5で極性検出回路70と主スイッチング素子オン保留制御回路74を付加していない場合には、負荷が大電流を要求した場合、出力チョークコイル18の電流が直流重畳してしまう現象が発生し、整流素子16にサージ電圧が発生してしまうことになる。
(サージ電圧防止機能がある場合の動作)
図5の実施形態のように、極性検出回路70と主スイッチング素子オン保留制御回路74を付加した場合に、出力電流Ioが定格出力電流IoMAX以上に流れた場合の動作について、図8に基づいて説明する。
図8は過大出力電流に対するサージ電圧防止機能を設けた場合の動作波形を示した説明図であり、図8(a)〜(k)に分けて示しており、図6に対し、図8(f)に極性検出信号E8が追加されている。
(期間Aの動作)
図8(c)に示すように、負荷22が大電流を要求して出力電流Ioが定格出力電流IoMAX以上に流れたことに対しフィードバック信号E3の信号電圧が上昇し、三角波信号E2がフィードバック信号E3に交差するまでの期間が長くなるため、図8(d)のPMW信号がHレベルからLレベルに立下るまでの期間が長くなる。
このように負荷22に大電流が流れると、主スイッチング素子14のオンデューティが増加し、図8(k)の期間Aに示すように、チョークコイル電流ILが上昇する。
このとき、極性検出回路70から出力される極性検出信号E8はHレベルであるので、主スイッチング素子オン保留回路74は、主スイッチング素子14のオンを保留することは無く、PWM回路32からのPWM信号E4に同期して、主スイッチング素子14をオンオフさせる。
(期間Bの動作)
主スイッチング素子14がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第1デッドタイムとなる期間Bを持つことで、整流素子16の寄生容量66に蓄えられた電荷が引き抜かれる。
(期間Cの動作)
期間Bの第1デットタイムが過ぎて図8(h)のVGS2がLレベルからHレベルに立ち上がって整流素子16がオンするタイミングでは、整流素子16の寄生容量の電荷が期間Bで引き抜かれているため、整流素子16はソフトスイッチング動作によりオンすることができる。整流素子16がオンしている期間Cでは、出力チョークコイル18がエネルギーを放出し、チョークコイル電流ILが低下する。
この状態で、図8(b)に示す発振回路46のパルス信号E5により図8(h)のVGS2がHレベルからLレベルとなり、期間Cの最後に示すように、整流素子16がオフする。
(期間C1の動作)
整流素子16がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第2デッドタイムとなる期間C1を持つ。期間C1では、図7(期間G)と同様に、出力チョークコイル18のドットで示すプラス側から整流素子16の寄生ダイオード64、出力コンデンサ20、入力電源12及び出力チョークコイル18のドットの無いマイナス側となる経路で、出力チョークコイル18のエネルギー放出による電流が流れ、チョークコイル電流ILは低下し続ける。
(期間C2の動作)
期間C2では、図8(d)のPWM信号E4がHレベルとなって主スイッチング素子14をオンさせようとするが、このときは、出力チョークコイル18はエネルギーを放出している状態であるため、極性検出回路70からの極性検出信号E8はLレベルの状態を維持している。
このように極性検出信号E8がLレベルの状態であるとき、PWM信号E4が主スイッチング素子14をオンするためにHレベルとなっても、主スイッチング素子オン保留制御回路74のアンド回路76がLレベルの極性検出信号E8により禁止状態となってLレベル出力に固定されており、主スイッチング素子オン信号保留制御回路74は主スイッチング素子14のオンを保留してオフを継続させる。
従って、期間C1と同様に、整流素子16の寄生ダイオードに電流が流れることで、出力チョークコイル18が出力コンデンサ20及び負荷22に向かってエネルギーを放出し続け、チョークコイル電流ILが低下し続ける。
出力チョークコイル18がエネルギー放出を終えると、極性検出回路70からの極性検出信号がHレベルとなり、主スイッチング素子保留制御回路74に設けたアンド回路76の禁止状態が解除され、このときPWM信号E4はHレベルにあることから、主スイッチング素子14がオンする。
また、期間C2の最後では、チョークコイル電流ILが零になった後に主スイッチング素子14がオンする。従って、整流素子16の寄生ダイオードに流れる電流がゼロになった後に主スイッチング素子14がオンすることになる。このため整流素子16の寄生ダイオードにはリカバリー動作が発生しないため、図7(H)に示したような貫通電流が流れず、整流素子16にサージ電圧が発生することがない。
(図5のスイッチング電源装置の有用性)
図5に示したスイッチング電源装置は、極性検出回路70と主スイッチング素子オン保留制御回路74の機能により、定格出力電流IoMAXとなる最大出力電流値以上の出力電流Ioを流そうとした場合でも、整流素子16の寄生ダイオードに電流が流れている最中に主スイッチング素子14がオンすることがなくなるため、整流素子16にサージ電圧を発生させることがなく、整流素子16として使用するMOS−FET等の半導体素子に低耐圧で導通抵抗の低い素子を用いることができ、低ノイズで高効率のスイッチング電源装置を実現することができる。
[過電流保護機能を備えたスイッチング電源装置]
図9は過大出力電流に対するサージ電圧防止機能及び過電流保護機能を備えたスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図である。
図9に示すように、本実施形態のスイッチング電源装置は、図5に示したスイッチング電源装置に、出力電流制限回路として機能する最大デューティ制限回路78が付加される。
最大デューティ制限回路78は、インバータ80とアンド回路82を備え、インバータ80により発振回路25からのパルス信号E1を反転してアンド回路82の一方に入力し、アンド回路82の他方にはPWM回路32からのPWM信号E4を入力し、スイッチングの1周期内に、主スイッチング素子14が必ずオフする期間を設けるように制御する。
即ち、最大デューティ制限回路78は、発振回路25からのパルス信号E1がLレベルからHレベルに立ち上がったときに、主スイッチング素子14をオフするように制御し、これにより過大な出力電流が流れることを抑制する。
更に具体的に説明すると、図8の動作波形にあっては、フィードバック信号E3が三角波信号E2と交差している状態について説明したが、出力電流Ioの増加に伴いフィードバック信号E3が更に上昇すると、三角波信号E2と交差できない状態になり、主スイッチング素子14がオフできなくなってしまい、出力電流Ioの上昇が継続して過電流となってしまう。
そこで、図9に示すように、最大デューティ制限回路78を設けることで、主スイッチング素子14のオン期間の上限を決定することが可能となり、また、出力電流の電流上昇が主スイッチング素子14の最大デューティで制限されることになるため、スイッチング電源装置に過大な電流が流れることを抑制することができる。
[回生機能を備えたスイッチング電源装置]
図1に示したスイッチング電源装置は、出力側から入力側に電力を回生する機能を有する。回生動作は、スイッチング電源装置が出力している出力電圧設定値よりも高い電圧が出力側に印加されている場合や、出力側に大容量のコンデンサを取り付けた状態で、出力電圧設定値を急に下げる場合等に発生する。また、図1に示したスイッチング電源装置は、回生現象を利用して、双方向スイッチング電源装置を実現することが可能である。
(スイッチング電源装置の回生動作)
図1のスイッチング電源装置について、回生機能を実現するソフトスイッチング動作を説明する。
図10は回生電流が定格出力電流以下の場合とその後に定格出力電流を超えた場合の動作波形を示した説明図であり、図2(a)〜(j)と同様に、図10(a)〜(j)に分けて示している。
まず、回生電流が定格出力電流IoMAX以下の場合の動作を図10の期間A〜Eに分けて説明する。
スイッチング電源装置の出力に外部電圧が印加されると、回生電流が流れる。スイッチング電源装置は、出力電圧Voが自身の設定値になるように電流を回生する。即ち、スイッチング電源装置の出力端子に印加される外部電圧は、回生電流が流れることで電圧降下が発生し、スイッチング電源装置の出力端子に印加される電圧Voが設定値になる。回生電流が流れている状態では、出力チョークコイル18のチョークコイル電流ILの平均値がマイナスになる。
出力電圧をVo、入力電圧をVinとすると、回生電流の大小によらず、スイッチング制御回路24により主スイッチング素子14のオンデューティを(Vo−Vin)/Voとなるように制御される。また、固定周波数方式で制御されているため、主スイッチング素子14のオンタイミングが発振回路25を備えたスイッチング周波数発生回路26で生成される。
(期間Aの動作)
PWM信号E4がHレベルにあることで主スイッチング素子14がオンし、一方、整流素子16がオフしており、回生電流の大小によらず、出力チョークコイル18の電流がプラス方向を向いている。この状態で、図10(c)に示す三角波信号E2がフィードバック信号E3に交差すると、図10(d)のPMW信号がHレベルからLレベルに立下り、図10(f)のVGS1がHレベルからLレベルとなることで、期間Aの最後に示すように、主スイッチング素子14がオフする。
(期間Bの動作)
主スイッチング素子14がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第1デッドタイムとなる期間Bを持つことで、整流素子16の寄生容量66に蓄えられた電荷を回収する。
(期間Cの動作)
期間Bの第1デットタイムが過ぎて図10(g)のVGS2がLレベルからHレベルに立ち上がって整流素子16がオンするタイミングでは、整流素子16の寄生容量の電荷が期間Bで回収されているため、整流素子16はソフトスイッチング動作によりオンすることができる。
(期間Dの動作)
期間Cにおいて、主スイッチング素子14がオフし、整流素子16がオンしている状態で、出力チョークコイル18のチョークコイル電流ILが低下して零を過ぎると、電流方向がマイナス方向となる期間Dに入る。
期間Dの最後に近づくと、図10(b)に示す発振回路46のパルス信号E5により図10(g)のVGS2がHレベルからLレベルとなり、期間Dの最後に示すように、整流素子16がオフする。
(期間Eの動作)
整流素子16がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第2デッドタイムとなる期間Eを持つ。このとき出力チョークコイル18はチョークコイル電流ILを流し続けようと動作するため、出力チョークコイル18のドットの無い側がプラス極性となり、ドットで示す側がマイナス極性となる。
従って、出力チョークコイル18のドットの無いプラス側から入力電源12、主スイッチング素子14の寄生容量62、入力電源12及び出力チョークコイル18のドットで示したマイナス側となる経路で、出力チョークコイル18のエネルギー放出による電流が流れる。このため、第2デットタイムの期間Eで主スイッチング素子14の寄生容量62に蓄えられた電荷が回収される。
期間Eの第2デットタイムが過ぎて図10(f)のVGS1がLレベルからHレベルに立ち上がって主スイッチング素子14がオンするタイミングでは、主スイッチング素子14の寄生容量62の電荷が期間Eで回収されているため、主スイッチング素子14はソフトスイッチング動作によりオンすることができる。
(回生動作の有用性)
このように本実施形態のスイッチング電源装置では、回生動作中においても、回生電流が定格出力電流IoMAX以下であれば、即ち出力チョークコイル18のチョークコイル電流が零を跨いで変化すれば、主スイッチング素子14および整流素子16の寄生ダイオードにリカバリー電流が流れることが無いため、サージ電圧が発生しない。
また、デッドタイムの設定により主スイッチング素子14および整流素子16の寄生容量の引き抜きが行われるため、ソフトスイッチング動作が実現できる。これにより、高効率、低ノイズ、低コストの回生機能を備えたスイッチング電源装置及び双方向スイッチング電源装置を実現することができる。
[過大回生電流に対するサージ電圧防止機能を備えたスイッチング電源装置]
(サージ電圧防止機能がない場合の動作)
図1の実施形態のスイッチング電源装置の回生時において、定格出力電流IoMAX以上の回生電流を流そうとした場合にサージ電圧が発生する。この場合の動作を図10及び図11に基づいて説明する。なお、図11は図10の期間I,Jで流れる電流を示している。
(期間Fの動作)
図1のスイッチング電源装置の負荷側に外部電圧を印加し、回生電流を流している状態で、回生電流を増やす方向に印加電圧を上昇させたとすると、図10(c)に示すように、フィードバック信号E3の信号電圧が低下し、三角波信号E2がフィードバック信号E3に交差するまでの期間が短くなるため、これによりPWM信号E4がHレベルからLレベルになるまでの期間が短くなる。このように負荷側に外部電圧を印加すると主スイッチング素子14のオンデューティを狭くするようにスイッチング制御回路24が動作する。
(期間Iの動作)
主スイッチング素子14がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第1デッドタイムとなる期間Iを持つ。このとき出力チョークコイル18はチョークコイル電流ILを流し続けようと動作するため、出力チョークコイル18のドットの無い側がプラス極性となり、ドットで示す側がマイナス極性となる。
従って、図11(期間I)に矢印で示すように、出力チョークコイル18のドットの無いプラス側から入力電源12、主スイッチング素子14の寄生ダイオード60及び出力チョークコイル18のドットで示したマイナス側となる経路で、出力チョークコイル18のエネルギー放出による電流が流れる。
(期間Jの動作)
期間Iの第1デットタイムが過ぎて図10(g)のVGS2がLレベルからHレベルに立ち上がって整流素子16がオンする。しかし、整流素子16がオンした直後、期間Iで電流が流れていた主スイッチング素子14の寄生ダイオード60のリカバリー動作により、図11(期間J)に矢印で示すように、出力コンデンサ20のプラス側、整流素子16、主スイッチング素子14の寄生ダイオード60及び出力コンデンサ20のマイナス側となる経路で大きな貫通電流が流れ、配線による寄生インダクタンスにエネルギーが蓄えられ、この寄生インダクタンスに蓄えられたエネルギーが整流素子16に図10(h)のVDS1に示すようにサージ電圧Vsを発生させる。
(スイッチング電源装置の構成)
図12は過大回生電流に対するサージ電圧防止機能を備えたスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図である。
図12に示すように、本実施形態のスイッチング電源装置は、スイッチング電源装置が出力している出力電圧設定値よりも高い電圧を出力側に印加されている場合や、出力側に大容量のコンデンサを取り付けた状態で、出力電圧設定値を急に下げる場合等に、同期整流の昇圧チョッパー回路10の回生動作により出力側から入力側に電力を回生する機能を有する。
同期整流の昇圧チョッパー回路10は、MOS−FETを用いた主スイッチング素子14、MOS−FETを用いた同期整流を行う整流素子16、出力チョークコイル18、出力コンデンサ20及びスイッチング制御回路24を備える。なお、主スイッチング素子14及び整流素子16のソース・ドレイン間と並列に発生する寄生ダイオードと寄生容量は省略している。
スイッチング制御回路24は、スイッチング周波数発生回路26、三角波発生回路28、PWM回路32、フィードバック回路30、第1デッドタイム発生回路34、第2デッドタイム発生回路36で構成されている。
これらの構成は図1の実施形態と同じであるが、本実施形態にあっては、極性検出回路84と整流素子オン保留制御回路88が付加される。
極性検出回路84は、出力チョークコイル18に結合した極性検出コイル86を備え、出力チョークコイル18に発生している電圧の極性を検出して極性検出信号E9を出力する。即ち、極性検出回路84は、出力チョークコイル18のドットで示す側にプラスの電圧が発生している場合にHレベルとなる極性検出信号E9を出力し、また、ドットが無い方向にプラスの電圧が発生している場合にLレベルとなる極性検出信号E9を出力する。これは図5の極性検出回路70の場合と逆になる。
整流素子オン保留制御回路88は、極性検出回路84により出力チョークコイル18にドットの無い方向にプラスの電圧が発生してLレベルとなる極性検出信号E9を出力しているときに、スイッチング制御回路24が出力する整流制御信号E7がHレベルになっても、整流素子16のオンを保留するように制御する。
図13は過大回生電流に対するサージ電圧防止機能を設けた場合の動作波形を示した説明図であり、図13(a)〜(k)に分けて示しており、図10に対し、図13(f)に極性検出信号E9が追加されている。
期間A〜Eの動作は、図10と同じになることから省略し、それ以降の期間F,F1,F2の動作を説明する。
(期間Fの動作)
図12のスイッチング電源装置の負荷側に外部電圧を印加し、回生電流を流している状態で、回生電流を増やす方向に印加電圧を上昇させたとすると、図13(c)に示すように、フィードバック信号E3の信号電圧が低下し、三角波信号E2がフィードバック信号E3に交差するまでの期間が短くなるため、これによりPWM信号E4がHレベルからLレベルになるまでの期間が短くなる。このように負荷側に外部電圧を印加すると主スイッチング素子14のオンデューティを狭くするようにスイッチング制御回路24が動作する。
(期間F1の動作)
期間F1は、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第1デッドタイムであり、出力チョークコイル18はチョークコイル電流ILを流し続けようと動作するため、出力チョークコイル18のドットの無い側がプラス極性となり、ドットで示す側がマイナス極性となる。
従って、出力チョークコイル18のドットの無いプラス側から入力電源12、主スイッチング素子14の寄生容量60及び出力チョークコイル18のドットで示したマイナス側となる経路で、出力チョークコイル18のエネルギー放出による電流が流れ、チョークコイル電流ILが上昇し続ける。
(期間F2の動作)
期間F2では、スイッチング制御回路24の遅延回路34からの遅延信号E6を整流制御用インバータ36に出力することでHレベルとなる整流制御信号E7が出力されるが、このとき、出力チョークコイル18がエネルギーを放出している状態であるため、極性検出回路84の極性検出信号E9はLレベルの状態を維持している。
このためスイッチング制御信号24がHレベルとなる整流制御信号E7を出力しても、極性検出回路84からのLレベルとなる極性検出信号E9により整流素子オン保留制御回路88のアンド回路90は禁止状態にあり、その出力はLレベルを維持しており、整流素子16のオンを保留する。
従って、期間F2は期間F1と同様に、整流素子16の寄生ダイオードに電流が流れることで、出力チョークコイル18がエネルギーを放出し続け、チョークコイル電流ILが零に向かって変化し続ける。
この状態で、出力チョークコイル18がエネルギー放出を終えると、極性検出回路84の極性検出信号E9がHレベルとなり、整流素子オン保留制御回路88のアンド回路90の禁止状態が解除され、このときHレベルにあるスイッチング制御回路24からの整流制御信号E7が整流素子16に出力され、整流素子16がオンする。
このため期間F2の最後では、出力チョークコイル18のチョークコイル電流ILが零になった後に、即ち主スイッチング素子14の寄生ダイオードに流れる電流が零になった後に整流素子16がオンすることになる。これにより主スイッチング素子14の寄生ダイオードのリカバリー動作が発生せず、図11(期間J)に示したような貫通電流が流れず、主スイッチング素子14にサージ電圧が発生することがない。
(回生電流の過電流保護機能)
図12のスイッチング電源装置は、極性検出回路84と整流素子オン保留制御回路88による図13の期間F2における整流素子16のオン保留制御で、これに続く期間D1のように、整流素子16のオン期間が長くなっても、第2デッドタイム発生回路36に設けた発振回路46からのパルス信号E5により整流素子16がオフとなるように制御され、このためスイッチング電源装置に過大な回生電流が流れることを抑制する過電流防止機能を実現できる。即ち、スイッチング電源装置は、回生動作を行うスイッチングの1周期内に整流素子16のオフ期間を設けるように制御することで、過大な回生電流が流れることを抑制する過電流防止機能を実現できる。
(図12のスイッチング電源装置の有用性)
図12のスイッチング電源装置は、極性検出回路84と整流素子オン保留制御回路88を付加したことにより、大きな回生電流が流れた場合でも、主スイッチング素子14の寄生ダイオードに電流が流れている最中に整流素子16がオンすることがなくなるため、主スイッチング素子14にサージ電圧を発生させることがなく、主スイッチング素子14に用いるMOS−FET等の半導体素子に低耐圧で導通抵抗の低い素子を用いることができ、低ノイズで高効率の回生機能を持ったスイッチング電源装置を実現することができる。
また、出力チョークコイル18の回生電流のピーク値は、整流素子16のオン時間で制限されてスイッチングの1周期以上にはならないため、過大な回生電流が流れることを抑制する機能である回生過電流保護機能を併せ持つことになる。
[本発明の変形例]
本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
10:昇圧チョッパー回路
12:入力電源
14:主スイッチング素子
16:整流素子
18:出力チョークコイル
20:出力コンデンサ
22:負荷
24:スイッチング制御回路
25,46:発振回路
26:スイッチング周波数発生回路
28:三角波発生回路
30:フィードバック回路
32:PWM回路
34:第1デッドタイム発生回路
36:第2デッドタイム発生回路
38:整流制御用インバータ
60,64:寄生ダイオード
62,66:寄生容量
70,84:極性検出回路
74:主スイッチング素子オン保留制御回路
78:最大デューティ制限回路
88:整流素子オン保留制御回路

Claims (3)

  1. 入力電源の一端に出力チョークコイルの一端が接続され、
    前記出力チョークコイルの他端に主スイッチング素子の一端と整流素子の一端とが接続され、
    前記整流素子の他端に出力コンデンサの一端が接続され、
    前記主スイッチング素子の他端に前記出力コンデンサの他端と入力電源の他端が接続され、スイッチング制御回路により、前記主スイッチング素子および前記整流素子のオン、オフが制御される構成を持つ同期整流の昇圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置であって
    前記出力チョークコイルのインダクタンスは、出力電流が定格値以下ときにスイッチングの1周期内において、前記出力チョークコイルを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、
    前記スイッチング制御回路は、スイッチング周波数発生回路を備え、前記スイッチング周波数発生回路が出力する固定周波数に同期して、前記主スイッチング素子および前記整流素子をデッドタイムを設けて相補的にオン、オフするように制御するものであり、更に
    前記出力チョークコイルの他端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときに極性検出信号を出力する極性検出回路と、
    前記出力電流が過大出力電流となった場合に、前記スイッチング制御回路が前記主スイッチング素子をオンさせようとするタイミングで前記極性検出回路が極性検出信号を出力しているときには、前記スイッチング制御回路が出力する前記主スイッチング素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御することで、前記整流素子のサージ電圧の発生を抑制する主スイッチング素子オン保留制御回路と、
    備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
  2. 請求項記載のスイッチング電源装置に於いて
    前記スイッチング制御回路は、前記スイッチング1周期内に前記主スイッチング素子のオフ期間を設けるように制御し、更に、
    前記スイッチング素子のオン期間の上限を決定することで最大出力電流を制限する電流制限回路を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
  3. 入力電源の一端に出力チョークコイルの一端が接続され、
    前記出力チョークコイルの他端に主スイッチング素子の一端と整流素子の一端とが接続され、
    前記整流素子の他端に出力コンデンサの一端が接続され、
    前記主スイッチング素子の他端に前記出力コンデンサの他端と入力電源の他端が接続され、スイッチング制御回路により、前記主スイッチング素子および前記整流素子のオン、オフが制御される構成を持つ回生機能を備えた同期整流の昇圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置であって
    前記出力チョークコイルのインダクタンスは、出力側から入力側へ流れる回生電流が定格値以下ときにスイッチングの1周期内において、前記出力チョークコイルを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、
    前記スイッチング制御回路は、スイッチング周波数発生回路を備え、前記スイッチング周波数発生回路が出力する固定周波数に同期して、前記主スイッチング素子および前記整流素子をデッドタイムを設けて相補的にオン、オフすると共に、前記スイッチング1周期内に前記整流素子のオフ期間を設けるように制御するものであり、更に
    前記出力チョークコイルの一端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときに極性検出信号を出力する極性検出回路と、
    前記回生電流が過大回生電流となった場合に、前記スイッチング制御回路が前記整流素子をオンさせようとするタイミングで前記極性検出回路が極性検出信号を出力しているときには、前記スイッチング制御回路が出力する前記整流素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御することで、前記主スイッチング素子のサージ電圧の発生を抑制する整流素子オン保留制御回路と、
    備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
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