JP6395316B2 - スイッチング電源装置 - Google Patents
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Description
図14は従来の昇圧チョッパー回路を示した回路ブロック図である。図14に示すように、昇圧チョッパー回路100は、MOS−FETを用いた主スイッチング素子104、整流素子として機能するダイオード106、出力チョークコイル108、出力コンデンサ110を備え、入力電源102から入力した所定の直流電圧をスイッチング制御により昇圧して安定化した所定の直流電圧に変換して負荷112に出力する。
電流臨界モードで動作するスイッチング素子104は、可変周波数方式によりオン、オフしている。主スイッチング素子104をオンした場合は、図16(期間A)に矢印で示すように、入力電源102のプラス側から出力チョークコイル108、主スイッチング素子104及び入力電源102のマイナス側となる経路で電流が流れ、出力チョークコイル108に磁気的エネルギーが蓄えられる。主スイッチング素子104をオンしてから所定時間が経過すると、主スイッチング素子104がオフする。
主スイッチング素子104がオフすると、図16(期間B)に矢印で示すように、出力チョークコイル108のドッドで示すプラス側からダイオード106、負荷112、入力電源102及び出力チョークコイル108のドットの無いマイナス側となる経路で電流が流れる。
図18は昇圧チョッパー回路の動作モードを電流連続モードとした場合の動作波形であり、図18(a)〜(d)に分けて、MOS−FETを用いた主スイッチング素子104のゲート・ソース間電圧VGS、ドレイン・ソース間電圧VDS、ダイオード106のカソード・アノード間電圧VKA、及び出力チョークコイル108を流れるチョークコイル電流ILを示している。また、図19は図18について1周期の回路動作を期間A,期間B及び期間Bから期間Aに変化した直後に分けて示している。
電流連続モードにおけるスイッチング素子104は、固定周波数方式によりオン、オフされており、主スイッチング素子104をオンした場合は、図19(期間A)に矢印で示すように、入力電源102のプラス側から出力チョークコイル108、主スイッチング素子104及び入力電源102のマイナス側となる経路で電流ILが流れ、出力チョークコイル108に磁気的エネルギーが蓄えられる。出力電圧を一定にするデューティ制御によるオン時間が経過すると、主スイッチング素子104がオフする。
主スイッチング素子104がオフすると、図19(期間B)に矢印で示すように、出力チョークコイル108のドッドで示すプラス側からダイオード106、負荷112、入力電源102及び出力チョークコイル108のドットの無いマイナス側となる経路で電流が流れる。電流連続モードでは、出力チョークコイル108が励磁エネルギーを放出している途中で1周期に達すると、スイッチング素子104をオンする。
電流連続モードによるスイッチング素子104の動作では、ダイオード106に順方向の電流が流れているときに、主スイッチング素子106をオンする制御を行うことになるため、整流素子であるダイオード106のリカバリー特性が悪いと、主スイッチング素子がオンする際に、図19(期間Bから期間Aに変化した直後)に矢印で示すように、出力コンデンサ110のプラス側からダイオード106、スイッチング素子104及び出力コンデンサ110のマイナス側となる経路で大きなリカバリー電流が流れる。
昇圧チョッパー回路を高効率化するための手法として、整流素子にMOS−FETを用いた同期整流を行う方法が考えられる。しかし、高い電圧が入出力される力率改善回路である昇圧チョッパー回路では、MOS−FETの寄生ダイオードのリカバリー特性が問題となる。
本発明は、
入力電源の一端に出力チョークコイルの一端が接続され、
出力チョークコイルの他端に主スイッチング素子の一端と整流素子の一端とが接続され、
整流素子の他端に出力コンデンサの一端が接続され、
主スイッチング素子の他端に出力コンデンサの他端と入力電源の他端が接続され、スイッチング制御回路により、主スイッチング素子および整流素子のオン、オフが制御される構成を持つ同期整流の昇圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置であって、
出力チョークコイルのインダクタンスは、出力電流が定格値以下のときにスイッチングの1周期内において、出力チョークを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、
スイッチング制御回路は、スイッチング周波数発生回路を備え、スイッチング周波数発生回路が出力する固定周波数に同期して、主スイッチング素子および整流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフするように制御するものであり、更に、
出力チョークコイルの他端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときに極性検出信号を出力する極性検出回路と、
出力電流が過大出力電流となった場合に、スイッチング制御回路が主スイッチング素子をオンさせようとするタイミングで極性検出回路が極性検出信号を出力しているときには、スイッチング制御回路が出力する主スイッチング素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御することで、整流素子のサージ電圧の発生を抑制する主スイッチング素子オン保留制御回路と、
を備えたことを特徴とする。
スイッチング素子のオン期間の上限を決定することで最大出力電流を抑制する電流制限回路を備える。
本発明は、
入力電源の一端に出力チョークコイルの一端が接続され、
出力チョークコイルの他端に主スイッチング素子の一端と整流素子の一端とが接続され、
整流素子の他端に出力コンデンサの一端が接続され、
主スイッチング素子の他端に出力コンデンサの他端と入力電源の他端が接続され、スイッチング制御回路により、主スイッチング素子および整流素子のオン、オフが制御される構成を持つ回生機能を備えた同期整流の昇圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置であって、
出力チョークコイルのインダクタンスは、出力側から入力側へ流れる回生電流が定格値以下のときにスイッチングの1周期内において、出力チョークコイルを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、
スイッチング制御回路は、スイッチング周波数発生回路を備え、スイッチング周波数発生回路が出力する固定周波数に同期して、主スイッチング素子および整流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフすると共に、スイッチングの1周期内に整流素子のオフ期間を設けるように制御するものであり、更に、
出力チョークコイルの一端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときに極性検出信号を出力する極性検出回路と、
回生電流が過大回生電流となった場合に、スイッチング制御回路が整流素子をオンさせようとするタイミングで極性検出回路が極性検出信号を出力しているときには、スイッチング制御回路が出力する整流素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御することで、主スイッチング素子のサージ電圧の発生を抑制する整流素子オン保留制御回路と、
を備えたことを特徴とする。
本発明は、入力電源の一端に出力チョークコイルの一端が接続され、出力チョークコイルの他端に主スイッチング素子の一端と整流素子の一端とが接続され、整流素子の他端に出力コンデンサの一端が接続され、主スイッチング素子の他端に出力コンデンサの他端と入力電源の他端が接続される構成を持つ同期整流の昇圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置において、出力チョークコイルのインダクタンスは、出力電流が所定の定格値以下のときにスイッチングの1周期内において、出力チョークコイルを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、所定のスイッチング周期で主スイッチング素子および整流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフするように制御するスイッチング制御回路を設けるようにしたため、出力電流が零から定格電流の範囲では、出力チョークコイルの電流がマイナス方向を向いている状態で整流素子をオフさせることで主スイッチング素子の寄生容量を引く抜くことができるように、出力チョークコイルのインダクタンスが設定されている。また、主スイッチング素子がオンする直前のタイミングでは、通常の昇圧チョッパー回路と異なり整流素子の寄生ダイオードに電流が流れていないため、整流素子の寄生ダイオードにリカバリー電流が流れることがない。
本発明は、入力電源の一端に出力チョークコイルの一端が接続され、出力チョークコイルの他端に主スイッチング素子の一端と整流素子の一端とが接続され、整流素子の他端に出力コンデンサの一端が接続され、主スイッチング素子の他端に出力コンデンサの他端と入力電源の他端が接続される構成を持つ同期整流の昇圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置において、出力チョークコイルのインダクタンスは、出力電流が定格値以下のときにスイッチングの1周期内において、出力チョークを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、所定のスイッチング周期で主スイッチング素子および整流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフするように制御するスイッチング制御回路と、出力チョークコイルの極性を検出して出力する極性検出回路と、極性検出回路により出力チョークコイルの他端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときには、制御回路が出力する主スイッチング素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御する主スイッチング素子オン保留制御回路と、を設けるようにしたため、最大出力電流値以上の電流を流そうとした場合でも、整流素子の寄生ダイオードに電流が流れていない状態で、主スイッチング素子がオンすることになるため、サージ電圧を発生させることがない。
本発明は、入力電源の一端に出力チョークコイルの一端が接続され、出力チョークコイルの他端に主スイッチング素子の一端と整流素子の一端とが接続され、整流素子の他端に出力コンデンサの一端が接続され、主スイッチング素子の他端に出力コンデンサの他端と入力電源の他端が接続される構成を持つ同期整流の昇圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置において,出力チョークコイルのインダクタンスは、出力電流が定格値以下のときにスイッチングの1周期内において、出力チョークコイルを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、所定のスイッチング周期で主スイッチング素子および整流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフすると共に、スイッチングの1周期内に整流素子のオフ期間を設けるように制御するスイッチング制御回路と、出力チョークコイルの極性を検出して出力する極性検出回路と、極性検出回路により出力チョークコイルの一端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときには、スイッチング制御回路が出力する整流素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御する整流素子オン保留制御回路と、を設けるようにしたため、出力側から入力側に電力を回生する機能を備えた、低ノイズで高効率なスイッチング電源装置を実現可能とする。
図1は同期整流方式の昇圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図である。
図1に示すように、同期整流の昇圧チョッパー回路10は、MOS−FETを用いた主スイッチング素子14、MOS−FETを用いた同期整流を行う整流素子16、出力チョークコイル18、出力コンデンサ20及びスイッチング制御回路24を備える。
スイッチング制御回路24は、スイッチング周波数発生回路26、三角波発生回路28、PWM回路(パルス幅変調回路)32、フィードバック回路30、第1デッドタイム発生回路34、第2デッドタイム発生回路36で構成されている。
図2は図1について出力電流が零の場合の動作波形を示した説明図、図3は図1について出力電流が大きい場合の動作波形を示した説明図である。
出力電流Ioが零から定格出力電流IoMAXの範囲では、図2の期間Aに示すように、図2(f)のVGS1がHレベルにあることで主スイッチング素子14がオンしており、また図2(g)のVGS2がLレベルにあることで整流素子16がオフしており、図2(J)のチョークコイル電流ILがプラス方向を向いて増加している。
主スイッチング素子14がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第1デッドタイムとなる期間Bを持つ。従って、図4(期間B)に矢印で示すように、入力電源12のプラス側から出力チョークコイル18、整流素子16の寄生容量66、出力コンデンサ20及び入力電源12のマイナス側となる経路で電流が流れる。このため、第1デットタイムの期間Bで整流素子16の寄生容量66に蓄えられた電荷が引き抜かれる。
期間Bの第1デットタイムが過ぎて図2(g)のVGS2がLレベルからHレベルに立ち上がって整流素子16がオンするタイミングでは、整流素子16の寄生容量66の電荷が期間Bで引き抜かれているため、期間Cの最初で整流素子16はソフトスイッチング動作によりオンすることができる。
期間Cにおいて、主スイッチング素子14がオフし、整流素子16がオンしている状態で、出力チョークコイル18の電流が低下して零を過ぎると、電流方向がマイナス方向となる期間Dに入る。
整流素子16がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第2デッドタイムとなる期間Eを持つ。このとき出力チョークコイル18はチョークコイル電流ILを流し続けようと動作するため、出力チョークコイル18のドットの無い側がプラス極性となり、ドットで示す側がマイナス極性となる。
期間Eの第2デットタイムが過ぎて図2(f)のVGS1がLレベルからHレベルに立ち上がって主スイッチング素子14がオンするタイミングでは、主スイッチング素子14の寄生容量62の電荷が期間Eで回収されているため、期間Fの最初で主スイッチング素子14はソフトスイッチング動作によりオンすることができる。
図2乃至図4に示した期間A〜Fの動作を実現するために、出力チョークコイル18のインダクタンスLは、式(1)を満たすように設定される。
L:出力チョークコイルのインダクタンス
Vin:入力電圧
Vo:出力電圧
IoMAX:スイッチング電源装置の定格出力電流
fsw:スイッチング周波数
式(1)は、次の式(2)〜式(6)により導出される。
VL=Vin (4)
また、出力チョークコイル18にVLが印加されている時間Tonは、主スイッチング素子14のオン時間であり、スイッチング周波数とデューティから求められ、次の式(5)となる。
図1に示したスイッチング電源装置は、出力電流Ioが零から所定の定格出力電流IoMAXの範囲では、出力チョークコイル18の電流がマイナス方向を向いている状態で整流素子16をオフさせることで主スイッチング素子14の寄生容量の引く抜くことができるように出力チョークコイル18のインダクタンスLが設定されている。
(スイッチング電源装置の構成)
図5は過大出力電流に対するサージ電圧防止機能を備えたスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図である。
図5の実施形態のように、極性検出回路70と主スイッチング素子オン保留制御回路74を付加していない場合に、出力電流Ioが定格出力電流IoMAX以上に流れた場合の動作について、図6及び図7に基づいて説明する。
図6(c)に示すように、負荷22が大電流を要求して出力電流Ioが定格出力電流IoMAX以上に流れたことに対しフィードバック信号E3の信号電圧が上昇し、三角波信号E2がフィードバック信号E3に交差するまでの期間が長くなるため、図6(d)のPMW信号がHレベルからLレベルに立下るまでの期間が長くなる。
主スイッチング素子14がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第1デッドタイムとなる期間Bを持つことで、整流素子16の寄生容量66に蓄えられた電荷が引き抜かれる。
期間Bの第1デットタイムが過ぎて図6(g)のVGS2がLレベルからHレベルに立ち上って整流素子16がオンするタイミングでは、整流素子16の寄生容量66の電荷が期間Bで引き抜かれているため、整流素子16はソフトスイッチング動作によりオンすることができる。整流素子16がオンしている期間Cでは、出力チョークコイル18がエネルギーを放出し、チョークコイル電流ILが低下する。
整流素子16がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第2デッドタイムとなる期間Gを持つ。このとき出力電流Ioが定格出力電流IoMAXよりも大きくなっている状態であるので、チョークコイル電流ILは零以下まで低下しない。
期間Gの第2デットタイムが過ぎて図6(f)のVGS1がLレベルからHレベルに立ち上がって主スイッチング素子14がオンする。しかし、主スイッチング素子14がオンした直後、整流素子16の寄生ダイオード64のリカバリー動作により、図7(期間H)に矢印で示すように、出力コンデンサ20のプラス側、整流素子16の寄生ダイオード64、主スイッチング素子14及び出力コンデンサ20のマイナス側となる経路で大きな貫通電流が流れ、配線による寄生インダクタンスにエネルギーが蓄えられ、この寄生インダクタンスに蓄えられたエネルギーが整流素子16に図6(i)のVSD2に示すようにサージ電圧Vsを発生させる。
図5の実施形態のように、極性検出回路70と主スイッチング素子オン保留制御回路74を付加した場合に、出力電流Ioが定格出力電流IoMAX以上に流れた場合の動作について、図8に基づいて説明する。
図8(c)に示すように、負荷22が大電流を要求して出力電流Ioが定格出力電流IoMAX以上に流れたことに対しフィードバック信号E3の信号電圧が上昇し、三角波信号E2がフィードバック信号E3に交差するまでの期間が長くなるため、図8(d)のPMW信号がHレベルからLレベルに立下るまでの期間が長くなる。
主スイッチング素子14がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第1デッドタイムとなる期間Bを持つことで、整流素子16の寄生容量66に蓄えられた電荷が引き抜かれる。
期間Bの第1デットタイムが過ぎて図8(h)のVGS2がLレベルからHレベルに立ち上がって整流素子16がオンするタイミングでは、整流素子16の寄生容量の電荷が期間Bで引き抜かれているため、整流素子16はソフトスイッチング動作によりオンすることができる。整流素子16がオンしている期間Cでは、出力チョークコイル18がエネルギーを放出し、チョークコイル電流ILが低下する。
整流素子16がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第2デッドタイムとなる期間C1を持つ。期間C1では、図7(期間G)と同様に、出力チョークコイル18のドットで示すプラス側から整流素子16の寄生ダイオード64、出力コンデンサ20、入力電源12及び出力チョークコイル18のドットの無いマイナス側となる経路で、出力チョークコイル18のエネルギー放出による電流が流れ、チョークコイル電流ILは低下し続ける。
期間C2では、図8(d)のPWM信号E4がHレベルとなって主スイッチング素子14をオンさせようとするが、このときは、出力チョークコイル18はエネルギーを放出している状態であるため、極性検出回路70からの極性検出信号E8はLレベルの状態を維持している。
図5に示したスイッチング電源装置は、極性検出回路70と主スイッチング素子オン保留制御回路74の機能により、定格出力電流IoMAXとなる最大出力電流値以上の出力電流Ioを流そうとした場合でも、整流素子16の寄生ダイオードに電流が流れている最中に主スイッチング素子14がオンすることがなくなるため、整流素子16にサージ電圧を発生させることがなく、整流素子16として使用するMOS−FET等の半導体素子に低耐圧で導通抵抗の低い素子を用いることができ、低ノイズで高効率のスイッチング電源装置を実現することができる。
図9は過大出力電流に対するサージ電圧防止機能及び過電流保護機能を備えたスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図である。
図1に示したスイッチング電源装置は、出力側から入力側に電力を回生する機能を有する。回生動作は、スイッチング電源装置が出力している出力電圧設定値よりも高い電圧が出力側に印加されている場合や、出力側に大容量のコンデンサを取り付けた状態で、出力電圧設定値を急に下げる場合等に発生する。また、図1に示したスイッチング電源装置は、回生現象を利用して、双方向スイッチング電源装置を実現することが可能である。
図1のスイッチング電源装置について、回生機能を実現するソフトスイッチング動作を説明する。
PWM信号E4がHレベルにあることで主スイッチング素子14がオンし、一方、整流素子16がオフしており、回生電流の大小によらず、出力チョークコイル18の電流がプラス方向を向いている。この状態で、図10(c)に示す三角波信号E2がフィードバック信号E3に交差すると、図10(d)のPMW信号がHレベルからLレベルに立下り、図10(f)のVGS1がHレベルからLレベルとなることで、期間Aの最後に示すように、主スイッチング素子14がオフする。
主スイッチング素子14がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第1デッドタイムとなる期間Bを持つことで、整流素子16の寄生容量66に蓄えられた電荷を回収する。
期間Bの第1デットタイムが過ぎて図10(g)のVGS2がLレベルからHレベルに立ち上がって整流素子16がオンするタイミングでは、整流素子16の寄生容量の電荷が期間Bで回収されているため、整流素子16はソフトスイッチング動作によりオンすることができる。
期間Cにおいて、主スイッチング素子14がオフし、整流素子16がオンしている状態で、出力チョークコイル18のチョークコイル電流ILが低下して零を過ぎると、電流方向がマイナス方向となる期間Dに入る。
整流素子16がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第2デッドタイムとなる期間Eを持つ。このとき出力チョークコイル18はチョークコイル電流ILを流し続けようと動作するため、出力チョークコイル18のドットの無い側がプラス極性となり、ドットで示す側がマイナス極性となる。
このように本実施形態のスイッチング電源装置では、回生動作中においても、回生電流が定格出力電流IoMAX以下であれば、即ち出力チョークコイル18のチョークコイル電流が零を跨いで変化すれば、主スイッチング素子14および整流素子16の寄生ダイオードにリカバリー電流が流れることが無いため、サージ電圧が発生しない。
(サージ電圧防止機能がない場合の動作)
図1の実施形態のスイッチング電源装置の回生時において、定格出力電流IoMAX以上の回生電流を流そうとした場合にサージ電圧が発生する。この場合の動作を図10及び図11に基づいて説明する。なお、図11は図10の期間I,Jで流れる電流を示している。
図1のスイッチング電源装置の負荷側に外部電圧を印加し、回生電流を流している状態で、回生電流を増やす方向に印加電圧を上昇させたとすると、図10(c)に示すように、フィードバック信号E3の信号電圧が低下し、三角波信号E2がフィードバック信号E3に交差するまでの期間が短くなるため、これによりPWM信号E4がHレベルからLレベルになるまでの期間が短くなる。このように負荷側に外部電圧を印加すると主スイッチング素子14のオンデューティを狭くするようにスイッチング制御回路24が動作する。
主スイッチング素子14がオフした後、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第1デッドタイムとなる期間Iを持つ。このとき出力チョークコイル18はチョークコイル電流ILを流し続けようと動作するため、出力チョークコイル18のドットの無い側がプラス極性となり、ドットで示す側がマイナス極性となる。
期間Iの第1デットタイムが過ぎて図10(g)のVGS2がLレベルからHレベルに立ち上がって整流素子16がオンする。しかし、整流素子16がオンした直後、期間Iで電流が流れていた主スイッチング素子14の寄生ダイオード60のリカバリー動作により、図11(期間J)に矢印で示すように、出力コンデンサ20のプラス側、整流素子16、主スイッチング素子14の寄生ダイオード60及び出力コンデンサ20のマイナス側となる経路で大きな貫通電流が流れ、配線による寄生インダクタンスにエネルギーが蓄えられ、この寄生インダクタンスに蓄えられたエネルギーが整流素子16に図10(h)のVDS1に示すようにサージ電圧Vsを発生させる。
図12は過大回生電流に対するサージ電圧防止機能を備えたスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図である。
図12のスイッチング電源装置の負荷側に外部電圧を印加し、回生電流を流している状態で、回生電流を増やす方向に印加電圧を上昇させたとすると、図13(c)に示すように、フィードバック信号E3の信号電圧が低下し、三角波信号E2がフィードバック信号E3に交差するまでの期間が短くなるため、これによりPWM信号E4がHレベルからLレベルになるまでの期間が短くなる。このように負荷側に外部電圧を印加すると主スイッチング素子14のオンデューティを狭くするようにスイッチング制御回路24が動作する。
期間F1は、主スイッチング素子14および整流素子16の両方がオフする第1デッドタイムであり、出力チョークコイル18はチョークコイル電流ILを流し続けようと動作するため、出力チョークコイル18のドットの無い側がプラス極性となり、ドットで示す側がマイナス極性となる。
期間F2では、スイッチング制御回路24の遅延回路34からの遅延信号E6を整流制御用インバータ36に出力することでHレベルとなる整流制御信号E7が出力されるが、このとき、出力チョークコイル18がエネルギーを放出している状態であるため、極性検出回路84の極性検出信号E9はLレベルの状態を維持している。
図12のスイッチング電源装置は、極性検出回路84と整流素子オン保留制御回路88による図13の期間F2における整流素子16のオン保留制御で、これに続く期間D1のように、整流素子16のオン期間が長くなっても、第2デッドタイム発生回路36に設けた発振回路46からのパルス信号E5により整流素子16がオフとなるように制御され、このためスイッチング電源装置に過大な回生電流が流れることを抑制する過電流防止機能を実現できる。即ち、スイッチング電源装置は、回生動作を行うスイッチングの1周期内に整流素子16のオフ期間を設けるように制御することで、過大な回生電流が流れることを抑制する過電流防止機能を実現できる。
図12のスイッチング電源装置は、極性検出回路84と整流素子オン保留制御回路88を付加したことにより、大きな回生電流が流れた場合でも、主スイッチング素子14の寄生ダイオードに電流が流れている最中に整流素子16がオンすることがなくなるため、主スイッチング素子14にサージ電圧を発生させることがなく、主スイッチング素子14に用いるMOS−FET等の半導体素子に低耐圧で導通抵抗の低い素子を用いることができ、低ノイズで高効率の回生機能を持ったスイッチング電源装置を実現することができる。
本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
12:入力電源
14:主スイッチング素子
16:整流素子
18:出力チョークコイル
20:出力コンデンサ
22:負荷
24:スイッチング制御回路
25,46:発振回路
26:スイッチング周波数発生回路
28:三角波発生回路
30:フィードバック回路
32:PWM回路
34:第1デッドタイム発生回路
36:第2デッドタイム発生回路
38:整流制御用インバータ
60,64:寄生ダイオード
62,66:寄生容量
70,84:極性検出回路
74:主スイッチング素子オン保留制御回路
78:最大デューティ制限回路
88:整流素子オン保留制御回路
Claims (3)
- 入力電源の一端に出力チョークコイルの一端が接続され、
前記出力チョークコイルの他端に主スイッチング素子の一端と整流素子の一端とが接続され、
前記整流素子の他端に出力コンデンサの一端が接続され、
前記主スイッチング素子の他端に前記出力コンデンサの他端と入力電源の他端が接続され、スイッチング制御回路により、前記主スイッチング素子および前記整流素子のオン、オフが制御される構成を持つ同期整流の昇圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置であって、
前記出力チョークコイルのインダクタンスは、出力電流が定格値以下のときにスイッチングの1周期内において、前記出力チョークコイルを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、
前記スイッチング制御回路は、スイッチング周波数発生回路を備え、前記スイッチング周波数発生回路が出力する固定周波数に同期して、前記主スイッチング素子および前記整流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフするように制御するものであり、更に、
前記出力チョークコイルの他端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときに極性検出信号を出力する極性検出回路と、
前記出力電流が過大出力電流となった場合に、前記スイッチング制御回路が前記主スイッチング素子をオンさせようとするタイミングで前記極性検出回路が極性検出信号を出力しているときには、前記スイッチング制御回路が出力する前記主スイッチング素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御することで、前記整流素子のサージ電圧の発生を抑制する主スイッチング素子オン保留制御回路と、
を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
- 請求項1記載のスイッチング電源装置に於いて、
前記スイッチング制御回路は、前記スイッチングの1周期内に前記主スイッチング素子のオフ期間を設けるように制御し、更に、
前記スイッチング素子のオン期間の上限を決定することで最大出力電流を制限する電流制限回路を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
- 入力電源の一端に出力チョークコイルの一端が接続され、
前記出力チョークコイルの他端に主スイッチング素子の一端と整流素子の一端とが接続され、
前記整流素子の他端に出力コンデンサの一端が接続され、
前記主スイッチング素子の他端に前記出力コンデンサの他端と入力電源の他端が接続され、スイッチング制御回路により、前記主スイッチング素子および前記整流素子のオン、オフが制御される構成を持つ回生機能を備えた同期整流の昇圧チョッパー回路を用いたスイッチング電源装置であって、
前記出力チョークコイルのインダクタンスは、出力側から入力側へ流れる回生電流が定格値以下のときにスイッチングの1周期内において、前記出力チョークコイルを流れる電流が正方向と負方向の双方に流れるような所定の値に設定されており、
前記スイッチング制御回路は、スイッチング周波数発生回路を備え、前記スイッチング周波数発生回路が出力する固定周波数に同期して、前記主スイッチング素子および前記整流素子を、デッドタイムを設けて相補的にオン、オフすると共に、前記スイッチングの1周期内に前記整流素子のオフ期間を設けるように制御するものであり、更に、
前記出力チョークコイルの一端にプラス極性の電圧が発生している期間を検出しているときに極性検出信号を出力する極性検出回路と、
前記回生電流が過大回生電流となった場合に、前記スイッチング制御回路が前記整流素子をオンさせようとするタイミングで前記極性検出回路が極性検出信号を出力しているときには、前記スイッチング制御回路が出力する前記整流素子のオン信号を保留してオフを継続するように制御することで、前記主スイッチング素子のサージ電圧の発生を抑制する整流素子オン保留制御回路と、
を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
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