以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰り返さないものとする。
図1は、本実施の形態に係る電源装置を搭載したハイブリッド車両1(以下、単に車両1と記載する)の全体構成図である。車両1は、モータジェネレータMG1,MG2と、昇圧コンバータCNV1,CNV2と、システムメインリレーSMRと、インバータ20と、エンジン30と、動力分割装置40と、駆動輪50と、バッテリ70と、ECU(Electronic Control Unit)200とを備える。本実施の形態に係る電源装置は、昇圧コンバータCNV1,CNV2と、バッテリ70と、ECU200とによって構成される。
モータジェネレータMG1,MG2およびエンジン30は、動力分割装置40に連結される。車両1は、エンジン30およびモータジェネレータMG2の少なくとも一方からの駆動力によって走行する。
エンジン30が発生する動力は、動力分割装置40によって、駆動輪50へ伝達される経路と、モータジェネレータMG1へ伝達される経路とに分割される。
モータジェネレータMG1,MG2の各々は、交流回転電機であり、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える三相交流回転電機から成る。動力分割装置40によって分割されたエンジン30の動力を用いてモータジェネレータMG1による発電が行なわれる。モータジェネレータMG1によって発電された交流電力はインバータ20において直流電力に変換されて昇圧コンバータCNV1または昇圧コンバータCNV2を経由してバッテリ70へ供給される。
モータジェネレータMG2は、バッテリ70から供給される電力およびモータジェネレータMG1により発電された電力の少なくとも一方を用いて駆動力を発生する。そして、モータジェネレータMG2の駆動力は、駆動輪50に伝達される。なお、車両の制動時等には、駆動輪50によりモータジェネレータMG2が駆動され、モータジェネレータMG2が発電機として作動する。これにより、モータジェネレータMG2は、制動エネルギを電力に変換する回生ブレーキとして作動する。モータジェネレータMG2により発電された交流電力は、インバータ20において直流電力に変換されて昇圧コンバータCNV1または昇圧コンバータCNV2を経由してバッテリ70へ供給される。
動力分割装置40は、サンギヤと、ピニオンギヤと、キャリアと、リングギヤとを有する遊星歯車機構を含む。ピニオンギヤは、サンギヤおよびリングギヤの各々と噛み合う。キャリアは、ピニオンギヤを自転可能に支持するとともに、エンジン30のクランクシャフトに連結される。サンギヤは、モータジェネレータMG1の回転軸に連結される。リングギヤはモータジェネレータMG2の回転軸および駆動輪50に接続される出力軸に連結される。
バッテリ70は、たとえば、ニッケル水素電池あるいはリチウムイオン電池等の二次電池で構成される直流電源である。バッテリ70は、たとえば、複数の電池セルが直列に接続された電池セル群が2つ並列に接続されて構成される。バッテリ70は、システムメインリレーSMRを介して昇圧コンバータCNV1,CNV2の各々に接続される。
システムメインリレーSMRは、リレーSMRBと、リレーSMRPと、リレーSMRGとを含む。リレーSMRB、リレーSMRP、および、リレーSMRGの各々の開閉は、ECU200からの信号に基づいて制御される。
リレーSMRBは、正極線PL1とバッテリ70の正極との間の経路の接続および非接続を切り替える。リレーSMRPは、プリチャージ用の抵抗体を経由した、負極線NLとバッテリ70の負極との間の経路の接続および非接続を切り替える。リレーSMRGは、プリチャージ用の抵抗体を経由しない、負極線NLとバッテリ70の負極との間の経路の接続および非接続を切り替える。
リレーSMRBと、リレーSMRGとが閉じられると、バッテリ70がインバータ20に電気的に接続された状態となる。
バッテリ70とシステムメインリレーSMRとの間には、電圧センサ72と、電流センサ74とが設けられる。電圧センサ72は、バッテリ70の端子間電圧VBを検出する。電流センサ74は、バッテリ70に流れる電流IBを検出する。これらの各センサは、検出結果をECU200へ出力する。
コンデンサC1は、バッテリ70に並列に接続されている。コンデンサC1は、バッテリ70の電圧VBを平滑化して昇圧コンバータCNV1,CNV2に供給する。
電圧センサ36は、コンデンサC1の両端の電圧、すなわち、正極線PL1と負極線NLとの間の電圧VLを検出し、その検出結果を示す信号をECU200に出力する。
昇圧コンバータCNV1,CNV2の各々は、ECU200からの信号に基づいて正極線PL1および負極線NLの間の電圧を昇圧する。インバータ20は、ECU200からの信号に基づいて昇圧コンバータCNV1,CNV2によって昇圧された直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータMG1,MG2の各々へ出力する。
昇圧コンバータCNV1は、リアクトルL1と、スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。スイッチング素子Q1,Q2および後述するスイッチング素子Q3,Q4の各々は、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子である。スイッチング素子Q1,Q2は、昇圧コンバータCNV1とインバータ20とを結ぶ電力線PL2と電力線NLとの間に互いに直列に接続されている。ダイオードD1,D2は、スイッチング素子Q1,Q2のコレクタ−エミッタ間に逆並列にそれぞれ接続されている。リアクトルL1の一方端は、バッテリ70の高電位側である正極線PL1に接続されている。リアクトルL1の他方端は、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との中間点(スイッチング素子Q1のエミッタとスイッチング素子Q2のコレクタとの接続点)に接続されている。
昇圧コンバータCNV1は、スイッチング素子Q1,Q2の各々をスイッチング動作させるためのPWM(Pulse Width Modulation)方式の制御信号PWMC1に応じて、バッテリ70の電圧VBを昇圧し、昇圧された電圧を正極線PL2および負極線NLに供給する。また、昇圧コンバータCNV1は、制御信号PWMC1に応じて、インバータ20から供給された正極線PL2および負極線Lの直流電圧を降圧してバッテリ70を充電する場合がある。
昇圧コンバータCNV2は、リアクトルL2と、スイッチング素子Q3,Q4と、ダイオードD3,D4とを含む。スイッチング素子Q3,Q4は、電力線PL2から分岐した電力線PL3と電力線NLから分岐した電力線NL1との間に互いに直列に接続されている。ダイオードD3,D4は、スイッチング素子Q3,Q4のコレクタ−エミッタ間に逆並列にそれぞれ接続されている。リアクトルL2の一方端は、正極線PL1に接続されている。リアクトルL2の他方端は、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との中間点(スイッチング素子Q3のエミッタとスイッチング素子Q4のコレクタとの接続点)に接続されている。
昇圧コンバータCNV2は、スイッチング素子Q3,Q4の各々をスイッチング動作させるためのPWM(Pulse Width Modulation)方式の制御信号PWMC2に応じて、バッテリ70の電圧VBを昇圧し、昇圧された電圧を正極線PL3および負極線NL1に供給する。また、昇圧コンバータCNV2は、制御信号PWMC2に応じて、インバータ20から供給された正極線PL3および負極線NL1の直流電圧を降圧してバッテリ70を充電する場合がある。
電流センサ75は、リアクトルL1に流れる電流IL1を検出し、その検出結果を示す信号をECU200に出力する。電流センサ76は、リアクトルL2に流れる電流IL2を検出し、その検出結果を示す信号をECU200に出力する。
コンデンサC2は、昇圧コンバータCNV1,CNV2の各々に並列に接続されている。コンデンサC2は、昇圧コンバータCNV1または昇圧コンバータCNV2から供給された直流電圧を平滑化してインバータ20に供給する。
電圧センサ24は、コンデンサC2の両端の電圧、すなわち正極線PL2と負極線NLと間の電圧(以下「システム電圧」とも記載する)VHを検出し、その検出結果を示す信号をECU200に出力する。
インバータ20は、昇圧コンバータCNV1,CNV2からシステム電圧VHが供給されると、制御信号PWMIに基づいて直流電圧を交流電圧に変換してモータジェネレータMG1,MG2を動作させる。これにより、モータジェネレータMG1,MG2は、それぞれのトルク指令値により指定されたトルクを発生するように動作される。インバータ20は、制御信号PWMIによってスイッチング動作する複数のスイッチング素子(図示せず)により構成される。
ECU200は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを含む。ECU200は、メモリに記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、所定の演算処理を実行するように構成される。
以上のような構成を有する車両1において、ECU200は、車両1の運転中に昇圧の要求がない場合には、昇圧コンバータCNV1,CNV2の両方を停止状態にする。ECU200は、スイッチング素子Q1,Q3をオン状態にし、スイッチング素子Q2,Q4をオフ状態にする。このように、スイッチング素子Q1〜Q4においてスイッチング動作が行なわれないことによって昇圧コンバータCNV1,CNV2の両方が停止状態にされる。
なお、ECU200は、たとえば、車両1に要求される要求電力Peに基づいて昇圧の要求があるか否かを判定する。ECU200は、アクセルペダルの踏み込み量や車速等に基づいて車両1に要求される要求電力Peを算出する。ECU200は、算出された要求電力Peを電圧VLで除算することにより昇圧動作が行なわれない場合にインバータ20に流れる電流(Pe/VL)の大きさを推定し、推定された電流がインバータ20の電流限界値よりも大きいか否かを判定する。ECU200は、推定された電流がインバータ20の電流限界値よりも大きい場合に昇圧の要求があると判定する。インバータ20の電流限界値は、たとえば、予め定められた値であって、実験的あるいは設計的に適合される。
ECU200は、車両1の運転中に昇圧の要求があると判定される場合には、昇圧コンバータCNV1を単独で用いた昇圧動作を行なう第1制御モードと、昇圧コンバータCNV1,CNV2の両方を用いた昇圧動作を行なう第2制御モードとのうちのいずれか一方の制御モードを選択する。
第1制御モードにおいては、電圧VHが昇圧の要求に基づく目標値になるように昇圧コンバータCNV1が制御されるとともに、電流IL2がゼロになるように昇圧コンバータCNV2が制御される。
一方、第2制御モードにおいては、電圧VHが昇圧の要求に基づく目標値になるように昇圧コンバータCNV1が制御されるとともに、昇圧コンバータCNV1,CNV2の間で予め定められた比(以下、分配比と記載する)Kで電力が分配されるように昇圧コンバータCNV2が制御される。
分配比Kは、0よりも大きく、かつ、1よりも小さい値であって、昇圧コンバータCNV1,CNV2の回路抵抗の比から算出される。たとえば、昇圧コンバータCNV1の回路抵抗値をR1とし、昇圧コンバータCNV2の回路抵抗値をR2とする場合、分配比Kは、K=R1/(R1+R2)の式によって算出される。
第2制御モードにおいては、車両1に要求される要求電力Peに対して昇圧コンバータCNV1における電力が(1−K)×Peとなり、昇圧コンバータCNV2における電力がK×Peとなるように昇圧コンバータCNV2が制御される。より具体的には、電流IL2と電圧VLとを乗算した値が分配電力K×Peとなるように昇圧コンバータCNV2の動作が制御される。
しかしながら、昇圧コンバータCNV1,CNV2間で回路抵抗に差があると、要求される電力によっては、昇圧コンバータCNV1を単独で昇圧動作を行なう場合と、昇圧コンバータCNV1,CNV2を組み合わせて昇圧動作を行なう場合とで電力損失量の大小が必ずしも一定とならない場合がある。そのため、動作させる昇圧コンバータを適切に選択する必要がある。
そこで、本実施の形態においては、ECU200は、以下のような動作を行なうものとする。
すなわち、ECU200は、昇圧コンバータCNV1を単独で用いて昇圧動作を行なわせると、昇圧コンバータCNV1に流れる電流が昇圧コンバータCNV1の限界値よりも大きくなる昇圧動作が要求される場合には、昇圧コンバータCNV1,CNV2の両方を用いて要求された昇圧動作を行なう。
ECU200は、昇圧コンバータCNV1を単独で用いて昇圧動作を行なっても、昇圧コンバータCNV1に流れる電流が限界値よりも小さい昇圧動作が要求される場合には、第1電力損失量が第2電力損失量よりも小さいときには、昇圧コンバータCNV1を単独で用いて要求された昇圧動作を行なう。ECU200は、第1電力損失量が第2電力損失量よりも大きいときには、昇圧コンバータCNV1,CNV2の両方を用いて電力分配比に従って、要求された昇圧動作を行なう。
第1電力損失量は、昇圧コンバータCNV1を単独で用いて昇圧動作を行なうことによる電力損失量である。第2電力損失量は、昇圧コンバータCNV1の回路抵抗値R1と昇圧コンバータCNV2の回路抵抗値R2との比から得られる電力分配比K(=R1/(R1+R2))に従って昇圧コンバータCNV1,CNV2の両方を用いて昇圧動作を行なうことによる電力損失量である。
このようにすると、昇圧コンバータCNV1を単独で用いて昇圧動作が可能な場合でも、第1電力損失量が第2電力損失量よりも大きいときには、昇圧コンバータCNV1,CNV2の両方を用いて昇圧動作が行なわれる。そのため、電力損失量がより低い組み合わせで昇圧コンバータCNV1,CNV2を用いて昇圧動作を行なうことができる。
図2は、本実施の形態に係る電源装置に含まれるECU200により実行される制御処理を示すフローチャートである。このフローチャートは所定周期で繰り返し実行される。また、このフローチャートの各ステップは、基本的にはECU200によるソフトウェア処理によって実現されるものとして説明するが、ECU200内に作製された電子回路を用いたハードウェア処理によって実現されてもよい。
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、ECU200は、昇圧の要求があるか否かを判定する。昇圧の要求があるか否かの判定方法については上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。昇圧の要求があると判定される場合(S100にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでない場合(S100にてNO)、処理はS104に移される。
S102にて、ECU200は、要求電力Peの大きさ(絶対値)が電圧VLと電流IL1の限界値Aとを乗算した値よりも小さいか否かを判定する。
電流IL1の限界値Aは、予め定められた値である。ECU200は、電圧センサ36によって電圧VLを検出する。要求電力Peの大きさ(絶対値)が電圧VLと限界値Aとを乗算した値よりも小さいか否かを判定することによって、要求電力Peが昇圧コンバータCNV1単独で昇圧動作を行なう場合に限界値Aを超えて電流が流れることとなる電力であるか否かを判定する。
要求電力Peの大きさ(絶対値)が電圧VLと電流IL1の限界値Aとを乗算した値よりも小さいと判定される場合(S102にてYES)、処理はS106に移される。もしそうでない場合(S102にてNO)、処理はS110に移される。
S104にて、ECU200は、昇圧コンバータCNV1,CNV2の両方の昇圧を停止状態にする。このとき、バッテリ70からの電流は、昇圧コンバータCNV1,CNV2において成りゆきで流れることとなる。バッテリ70からの電流は、昇圧コンバータCNV1の回路抵抗値と、昇圧コンバータCNV2の回路抵抗値との比(すなわち、電力分配比K)に従って、昇圧コンバータCNV1,CNV2において分岐して流れる。
S106にて、ECU200は、第1制御モード時の昇圧コンバータCNV1での電力損失量L1が第2制御モード時の昇圧コンバータCNV1での電力損失量L2と昇圧コンバータCNV2での電力損失量L3の和(L2+L3)よりも小さいか否かを判定する。
ECU200は、たとえば、L1=R1×(Pe/VL)2の式を用いて第1制御モードで昇圧動作を行なう場合の昇圧コンバータCNV1における電力損失量の推定値を電力損失量L1として算出する。
さらに、ECU200は、たとえば、L2=R1×((1−K)×Pe/VL)2の式を用いて、第2制御モードで昇圧動作を行なう場合の昇圧コンバータCNV1における電力損失量の推定値を電力損失量L2として算出する。
さらに、ECU200は、たとえば、L3=R2×(K×Pe/VL)2の式を用いて、第2制御モードで昇圧動作を行なう場合の昇圧コンバータCNV2における電力損失量の推定値を電力損失量L3として算出する。
ECU200は、第1制御モード時の電力損失量L1が、第2制御モード時の電力損失量の和L2+L3よりも小さいか否かを判定する。第1制御モード時の電力損失量L1が第2制御モード時の電力損失量の和L2+L3よりも小さいと判定される場合(S106にてYES)、処理はS108に移される。もしそうでない場合(S106にてNO)、処理はS110に移される。
S108にて、ECU200は、第1制御モードで昇圧制御を実行する。具体的には、ECU200は、要求電力Peに基づいて昇圧目標値VHtを決定し、電圧センサ24によって検出される電圧VHが決定された昇圧目標値VHtになるように昇圧コンバータCNV1の動作を制御する。ECU200は、たとえば、要求電力Peと昇圧目標値VHtとの関係を示すマップを用いて要求電力Peから昇圧目標値VHtを決定してもよい。
ECU200は、たとえば、電圧センサ24によって検出される電圧VHと昇圧目標値VHtとの差に応じて昇圧コンバータCNV1に対する指令値(たとえば、duty値)を決定するフィードバック制御を実行してもよい。
さらに、ECU200は、電流センサ76によって電流IL2がゼロとなるように昇圧コンバータCNV2の指令値(たとえば、duty値)を決定するフィードバック制御を実行する。
S110にて、ECU200は、第2制御モードで昇圧制御を実行する。具体的には、ECU200は、要求電力Peに基づいて昇圧目標値VHtを決定し、電圧センサ24によって検出される電圧VHが決定された昇圧目標値VHtになるよう昇圧コンバータCNV1の動作を制御する。さらに、ECU200は、電流IL2と電圧VHとを乗算した値が、分配比K×要求電力Peと一致するように昇圧コンバータCNV2の動作を制御する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る電源装置のECU200の動作について説明する。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、たとえば、車両1が、エンジン30の停止状態が維持される電動走行中であって、かつ、昇圧コンバータCNV1,CNV2の各々において昇圧動作が停止している場合を想定する。
車両1に要求される要求電力Peを電圧VLで除算した値の大きさがインバータ20の電流限界値よりも小さい場合には、昇圧の要求がないと判定され(S100にてNO)、昇圧動作が停止した状態が継続される(S104)。
一方、運転者がアクセルペダルを踏み込むなどして要求電力Peが増加し、要求電力Peを電圧VLで除算した値の大きさがインバータ20の電流限界値以上となる場合には、昇圧の要求があると判定される(S100にてYES)。
そして、車両1に要求される要求電力Peの大きさが電圧VLと電流IL1の限界値Aとを乗算した値以上である場合には(S102にてNO)、第2制御モードで昇圧制御が実行される(S110)。すなわち、ECU200は、上述したとおり、電圧VHが昇圧目標値VHtになるように昇圧コンバータCNV1の動作を制御するとともに、電流IL2と電圧VHとを乗算した値が分配比K×Peになるように昇圧コンバータCNV2の動作を制御する。
一方、車両1に要求される要求電力Peの大きさが電圧VLと電流IL1の限界値Aとを乗算した値よりも小さい場合には(S102にてYES)、第1制御モード時の電力損失量L1が第2制御モード時の電力損失量の和L2+L3よりも小さいか否かが判定される(S106)。
第1制御モード時の電力損失量L1が第2制御モード時の電力損失量の和L2+L3以上の場合には(S106にてNO)、第2制御モードで昇圧制御が実行される(S110)。
一方、第1制御モード時の電力損失量L1が第2制御モード時の電力損失量の和L2+L3よりも小さいときは(S106にてYES)、第1制御モードで昇圧制御が実行される(S108)。ECU200は、上述したとおり、電圧VHが昇圧目標値VHtになるように昇圧コンバータCNV1の動作を制御する。さらに、ECU200は、電流IL2がゼロになるように昇圧コンバータCNV2の動作を制御する。
図3に要求電力Peと電圧VLと関係を示す。図3の縦軸は、要求電力Peを示し、図3の横軸は、電圧VLを示す。図3の実線は、第1制御モードで昇圧制御が実行可能な要求電力Peの上限を示す。図3の破線は、第2制御モードでの昇圧制御が第1制御モードでの昇圧制御よりも電力損失が小さい領域を示す。
図3の斜線の領域は、図3の実線と破線とによって囲まれる領域である。図3の斜線の領域は、第1制御モードでの昇圧制御が実行可能であるとともに、第2制御モードでの昇圧制御が第1制御モードでの昇圧制御よりも電力損失量が小さい領域であるため、このような領域においては、第2制御モードで昇圧制御が実行されることによって、電力損失の増加が抑制される。
以上のようにして、本実施の形態に係る電源装置によると、第1制御モードで昇圧制御の実行が可能な場合でも、第1制御モードでの電力損失量L1が第2制御モードでの電力損失量L2+L3よりも大きいときには、第2制御モードで昇圧制御が実行される。これにより、電力損失量がより低い組み合わせで昇圧コンバータCNV1,CNV2を用いて昇圧動作を行なうことができる。したがって、複数の昇圧コンバータのうち、動作させるコンバータを適切に選択する電源装置を提供することができる。
以下、変形例について記載する。
上述の実施形態では、図1に示すハイブリッド車両1に本発明を適用した場合を一例として説明したが、本発明を適用可能な車両は、ハイブリッド車両に限定されるものではなく、たとえば、エンジンを有しない電動車両に適用されてもよい。
上述の実施の形態では、車両1は、バッテリ70を搭載する場合を一例として説明したが、バッテリ70は、二次電池以外の蓄電装置を用いてもよい。たとえば、二次電池に代えてキャパシタを用いてもよい。
なお、上記した変形例は、その全部または一部を組み合わせて実施してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。