JP6394250B2 - 衝撃吸収式ステアリングシャフト及び衝撃吸収式ステアリング装置 - Google Patents
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Description
尚、本明細書及び特許請求の範囲で、前後方向は、特に断らない限り、車両の前後方向を言う。
特に、本発明の衝撃吸収式ステアリングシャフトの場合、この衝撃吸収手段は、衝撃吸収用軸部を備える。
この衝撃吸収用軸部は、前記インナシャフトのうち、通常時(二次衝突が発生する前)に前記アウタチューブが外嵌される部分よりも軸方向他側に位置する部分を構成するもので、その外径寸法が前記インナシャフトの軸方向他側(他端側)に向かう程連続的に又は段階的に大きくなっている。尚、この外径寸法がインナシャフトの軸方向他側に向かう程段階的に大きくなっている事には、後述する図5中の衝撃吸収用軸部35aの外周面の如く、外径寸法がインナシャフトの軸方向他側に向かう程、軸方向に離隔した複数箇所に関して、段階的に大きくなっている事が含まれるものとする。
又、前記衝撃吸収用軸部は、二次衝突の発生時に前記衝撃吸収式ステアリングシャフトの全長が収縮する事に伴って、その外周面に、少なくとも二次衝突の発生後に前記アウタチューブと共に軸方向に変位する環状部材の内周面が、前記インナシャフトの軸方向他側に向け押し込まれるものである。
一方、本発明とは異なる別発明では、前記衝撃吸収用軸部は、二次衝突の発生時に前記衝撃吸収式ステアリングシャフトの全長が収縮する事に伴って、その外周面に、前記アウタチューブの軸方向一端側部分の内周面が、前記インナシャフトの軸方向他側に向け押し込まれるものである。
別な言い方をすれば、前記衝撃吸収用軸部は、二次衝突の発生時に前記衝撃吸収式ステアリングシャフトの全長が収縮する事に伴って、その外周面を、前記環状部材の内周面又は前記アウタチューブの軸方向一端側部分の内周面に係合させる事により、この環状部材の内径寸法又はこのアウタチューブの軸方向一端側部分の内径寸法を、連続的に又は段階的に拡げるものである。
尚、上述の様な衝撃吸収用軸部としては、例えば、その外周面の全体を、前記インナシャフトの軸方向他側に向かう程外径寸法が大きくなる方向に傾斜した傾斜面部としたものや、その外周面の軸方向複数箇所に、当該傾斜面部や前記インナシャフトの軸方向一端側を向いた段部を設けたもの等を採用できる。
又、前記衝撃吸収用軸部は、二次衝突の発生時に前記衝撃吸収式ステアリングシャフトの全長が収縮する事に伴って、その外周面に、前記アウタチューブの軸方向一端部に押圧されてこのアウタチューブと共に軸方向に変位する前記環状部材の内周面が、前記インナシャフトの軸方向他側に向け押し込まれるものとする。
又、前記環状部材の内周面の軸方向複数箇所に周方向溝を形成する事ができる。
この場合には、前記アウタチューブの軸方向一端側部分の円周方向1乃至複数箇所に、このアウタチューブの軸方向一端縁に開口する切り欠きを設けることができる。
又は、前記アウタチューブの軸方向一端側部分の肉厚を、このアウタチューブの軸方向一端縁に向かう程小さくすることができる。
特に、本発明の衝撃吸収式ステアリング装置の場合には、前記衝撃吸収式ステアリングシャフトを、本発明の衝撃吸収式ステアリングシャフトとしている。
これに対して、本発明とは異なる別発明の衝撃吸収式ステアリング装置の場合には、前記衝撃吸収式ステアリングシャフトを、前記別発明の衝撃吸収式ステアリングシャフトとしている。
この様な構成を採用する場合には、前記環状部材を、前記ステアリングホイールの前後位置調節範囲の前端位置を規定する、テレスコストッパとして機能させる事ができる。或いは、前記環状部材を、前記前端位置を規定する他の部材同士が勢い良く衝突するのを防止する為の緩衝部材として機能させる事ができる。この場合に、好ましくは、前記環状部材を合成樹脂製又はゴム製とする。
図1〜4は、本発明の実施の形態の第1例を示している。後端部にステアリングホイール4(図11参照)を固定したステアリングシャフト3aは、筒状のステアリングコラム2aの内径側に、回転自在に支持している。又、このステアリングコラム2aの中間部は、支持ブラケット11に支持している。この支持ブラケット11は、図示しない車体に対し、衝突事故に伴う二次衝突により、前方に離脱可能に支持する。前記ステアリングコラム2aの前端部は、電動式パワーステアリング装置用のギヤハウジング12に結合固定している。又、このギヤハウジング12は前記車体に対し、支持筒13に挿通した横軸を中心とする揺動変位を可能に支持して、前記ステアリングホイール4の上下位置を調節可能なチルト機構を構成する。更に、本例の場合には、このチルト機構に加えて、前記ステアリングホイール4の前後位置を調節する為のテレスコピック機構も組み込んでいる。
図5は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、インナシャフト19aを構成する衝撃吸収用軸部35aの外周面の形状が、上述した第1例の場合と異なる。本例の場合には、この衝撃吸収用軸部35aの外周面の後端部及び後端寄り部分の2箇所に、後方に向いた段部40a、40bを設けると共に、これら両段部40a、40bの前側に隣接する部分に、それぞれ円筒面部41a、41bを設けている。このうちの前側の段部40b及び円筒面部41bの外径寸法は、後側の段部40a及び円筒面部41aの外径寸法よりも大きくなっている。即ち、本例の場合には、軸方向に離隔した2箇所位置(前記両円筒面部41a、41bを形成した位置)で、前記衝撃吸収用軸部35aの外径寸法を段階的に増大させている。又、この衝撃吸収用軸部35aの外周面のうち、前側の円筒面部41bの前側に隣接する部分に、前側に向かう程外径寸法が大きくなるテーパー状の傾斜面部37aを設けている。
その他の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
図6は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、環状部材36aの内周面の軸方向複数箇所に、それぞれがこの内周面の全周に亙る周方向溝44、44を形成している。
この様な構成を有する本例の場合には、前記各周方向溝44、44の数、形成位置、寸法等を規制する事により、前記環状部材36aの内径部の剛性を変化させる事で、二次衝突の発生時にこの環状部材36aの内周面が傾斜面部37(衝撃吸収用軸部35の外周面)に押し込まれる事による衝撃荷重の吸収量を調節できる為、運転者の保護充実を図る為の設計が容易となる。
尚、本例の構造を実施する場合には、衝撃吸収用軸部として、上述の図5に示した実施の形態の第2例と同様の構成(衝撃吸収用軸部35a)を採用する事もできる。
その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
図8は、本発明に関連する参考例の第1例を示している。本参考例の場合には、環状部材を用いないで、二次衝突の発生時の衝撃荷重を吸収する構成を採用している。
即ち、本参考例の場合には、インナシャフト19bの外周面のうち、傾斜面部37(衝撃吸収用軸部35の外周面)の後端側に隣接する部分に環状部材を外嵌支持する事なく、又、その部分の後端部に段差面39(図1参照)を設けないで、二次衝突の発生時に、アウタチューブ20の前端部を直接、前記傾斜面部37に当接させる様にしている。
この様な構成を採用する本参考例の場合には、二次衝突の発生時に前記ステアリングシャフト3cの全長が収縮する過程で、前記アウタチューブ20の前端部の内周面が前記傾斜面部37に押し込まれる。そして、このアウタチューブ20の前端部は、この押し込みに伴って連続的に拡径しつつ、衝撃荷重を吸収する。この結果、二次衝突の発生時の運転者の保護充実を図れる。
尚、本参考例の構造を実施する場合には、衝撃吸収用軸部として、前述の図5に示した実施の形態の第2例と同様の構成(衝撃吸収用軸部35a)を採用する事もできる。
その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
図9は、本発明に関連する参考例の第2例を示している。
アウタチューブ20aの肉厚が大きい場合には、二次衝突の発生時に、このアウタチューブ20aの前端部{図9の(B)の左端部}の内周面が傾斜面部37(図6参照)に十分に押し込まれず、このアウタチューブ20aの前端部が連続的に拡径しないと言った不都合が生じる事を回避する必要がある。
この為の対策として、本参考例の場合には、前記アウタチューブ20aの前端部の円周方向1乃至複数箇所(図示の例では、円周方向等間隔の4箇所)に、このアウタチューブ20aの前端縁に開口する切り欠きであるスリット45を設けている。これにより、このアウタチューブ20aの前端部の拡径剛性を適度に低下させる事で、前記傾斜面部37に対するこのアウタチューブ20aの内周面の押し込み量を十分に確保して、二次衝突の発生時に於ける衝撃吸収性能を十分に確保できる様にしている。
尚、前記スリット45は、前記アウタチューブ20aの円周方向4箇所に限らず、円周方向1箇所乃至3箇所又は5箇所以上に設ける事もできる。
その他の構成及び作用は、上述した参考例の第1例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
図10は、本発明に関連する参考例の第3例を示している。
アウタチューブ20bの肉厚が大きい場合には、二次衝突の発生時に、このアウタチューブ20bの前端部{図10の(B)の左端部}の内周面が傾斜面部37(図6参照)に十分に押し込まれず、このアウタチューブ20bの前端部が連続的に拡径しないと言った不都合が生じる事を回避する必要がある。
この為の対策として、本参考例の場合には、前記アウタチューブ20bの外周面の前端部を、前端縁に向かう程外径寸法が小さくなるテーパー部46とする事により、このアウタチューブ20bの前端部の肉厚を、前端縁に向かう程小さくしている。これにより、このアウタチューブ20bの前端部の拡径剛性を適度に低下させる事で、前記傾斜面部37に対するこのアウタチューブ20bの内周面の押し込み量を十分に確保して、二次衝突の発生時に於ける衝撃吸収性能を十分に確保できる様にしている。
尚、前記テーパー部46の母線形状(中心軸を含む仮想平面で切断した場合の断面形状)は、図10の(B)に示す様な直線に限らず、曲線であっても良い。
その他の構成及び作用は、前述した参考例の第1例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
又、通常の使用状態で、ステアリングホイールの前後位置を調節可能とするテレスコピック機構や、同じく上下位置を調節可能とするチルト機構は、何れも、備えている事が必須ではない。
この場合に、環状部材の材質に関しては、合成樹脂{ポリアセタール樹脂(POM)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリアミド樹脂(PA)等}に限らず、金属(鋼、銅、アルミニウム合金等)やゴムを使用する事もできる。
2、2a ステアリングコラム
3、3a、3b、3c ステアリングシャフト
4 ステアリングホイール
5a、5b 自在継手
6 中間シャフト
7 ステアリングギヤユニット
8 入力軸
9 タイロッド
10 電動モータ
11 支持ブラケット
12 ギヤハウジング
13 支持筒
14 インナコラム
15 アウタコラム
16 スリット
17 被挟持部
18 前後方向長孔
19、19a、19b インナシャフト
20、20a、20b アウタチューブ
21 雄スプライン部
22 雌スプライン部
23 支持板部
24 上下方向長孔
25 調節ロッド
26 頭部
27 ナット
28 駆動側カム
29 被駆動側カム
30 カム装置
31 調節レバー
32 取付孔
33 キーロックピン
34 キーロックカラー
35、35a 衝撃吸収用軸部
36、36a、36b 環状部材
37、37a 傾斜面部
38 小径円筒面部
39 段差面
40a、40b 段部
41a、41b 円筒面部
42 分割素子
43 結合スリーブ
44 周方向溝
45 スリット
46 テーパー部
Claims (5)
- インナシャフトと、このインナシャフトの軸方向一端側部分にその軸方向一端側部分をトルク伝達可能に且つ軸方向の相対変位可能に外嵌したアウタチューブと、二次衝突に伴って加わる衝撃荷重を吸収する為の衝撃吸収手段とを備えた衝撃吸収式ステアリングシャフトであって、
前記衝撃吸収手段は、衝撃吸収用軸部と、環状部材とを備えており、
前記衝撃吸収用軸部は、前記インナシャフトのうち、通常時に前記アウタチューブが外嵌される部分よりも軸方向他側に位置する部分を構成するもので、その外径寸法が前記インナシャフトの軸方向他側に向かう程連続的に又は段階的に大きくなっており、
前記環状部材は、前記インナシャフトのうち、通常時に前記アウタチューブが外嵌される部分と前記衝撃吸収用軸部との間に位置する部分に外嵌支持された状態で、軸方向に関して前記アウタチューブの軸方向一端部と対向しており、
前記衝撃吸収用軸部は、二次衝突の発生時に前記衝撃吸収式ステアリングシャフトの全長が収縮する事に伴って、その外周面に、前記アウタチューブの軸方向一端部に押圧されてこのアウタチューブと共に軸方向に変位する前記環状部材の内周面が、前記インナシャフトの軸方向他側に向け押し込まれるものである、
事を特徴とする衝撃吸収式ステアリングシャフト。 - 前記環状部材の内周面の軸方向複数箇所に周方向溝が形成されている、請求項1に記載した衝撃吸収式ステアリングシャフト。
- インナコラムの軸方向一端側部分に、アウタコラムの軸方向一端側部分を軸方向の相対変位可能に外嵌して成るステアリングコラムと、
このステアリングコラムの内径側に回転可能に支持された衝撃吸収式ステアリングシャフトとを備えた、
衝撃吸収式ステアリング装置であって、
前記衝撃吸収式ステアリングシャフトが、請求項1又は2に記載した衝撃吸収式ステアリングシャフトである事を特徴とする衝撃吸収式ステアリング装置。 - 前記インナコラムと前記アウタコラムとの軸方向に関する相対変位と、前記インナシャフトと前記アウタチューブとの軸方向に関する相対変位とに基づいて、これらインナシャフトとアウタチューブとのうち、車両への取付状態で後側に配置されるシャフト又はチューブの後端部に固定されるステアリングホイールの前後位置調節を可能としており、
このステアリングホイールの前後位置調節範囲の前端位置で、前記環状部材と前記アウタチューブの軸方向一端部とが当接する、
請求項3に記載した衝撃吸収式ステアリング装置。 - 前記環状部材が合成樹脂製又はゴム製である、請求項4に記載した衝撃吸収式ステアリング装置。
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