JP6390363B2 - 溶融紡糸型エレクトロスピニング用プロピレン系樹脂組成物、およびそれを用いたプロピレン系極細繊維の製造方法、並びにその方法により製造されたプロピレン系極細繊維 - Google Patents

溶融紡糸型エレクトロスピニング用プロピレン系樹脂組成物、およびそれを用いたプロピレン系極細繊維の製造方法、並びにその方法により製造されたプロピレン系極細繊維 Download PDF

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Description

本発明は、溶融紡糸型エレクトロスピニング用プロピレン系樹脂組成物およびそれを用いたプロピレン系極細繊維の製造方法、並びにその方法により製造されたプロピレン系極細繊維に関し、さらに詳しくは、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸することのできる溶融紡糸型エレクトロスピニング用プロピレン系樹脂組成物、及び溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸する、ポリプロピレン系極細繊維の製造方法、並びにその製造方法により紡糸されたポリプロピレン系極細繊維及びその繊維製品に関する。
近年においてナノカーボンやナノチューブに代表されるナノテクノロジーが開発され、その極細構造による特異な機能や用途が注目されて、バイオテクノロジーなどと共に、新しい基本技術として重用されている。
ナノテクノロジーの分野において、一般にナノファイバーと呼ばれる繊維径がナノオーダー(数μm程度以下)の極細繊維も出現し、その極細繊維は表面積が非常に大きく、また、その極細構造による特異な機能も発現されるので、非常に広い各種の技術分野における用途が展開され有効利用されつつある。
その新しい用途としては、電池用セパレーター、電磁波シールド材、フィルター、人工皮革、人工血管、細胞培養基材、ICチップ、有機EL、太陽電池などに代表される各種の用途開発が期待されている。
特に、(i)半導体産業、製薬産業、バイオ産業などにおける、高い捕集性能を有する高性能フィルターユニットとして、(ii)細胞が接着及び増殖しやすく取り扱いが容易な細胞培養繊維体として、(iii)医療分野における生体人工器官の表面全体のコーティング材料や生物学的機能を置換向上させる新材料として、(iv)優れたイオン透過性と充放電特性を有する分離膜とそれを利用した電気化学素子として、(v)超高感度の金属酸化物ガスセンサーとして、(vi)電子ペーパーにおける高性能なエレクトロクロミック表示素子として、及び、(vii)光発電性能の高い色素増感型太陽電池用電極や高い光電変換効率を実現し得る光電変換素子として、多々の重要な用途展開が行われている。
ナノファイバー分野におけるその製造方法としては、繊維径がナノオーダーと極めて細いため、通常の繊維を製造する紡糸方法では製造することが極めて難しいために、最近において、新しい紡糸法として、エレクトロスピニング法が開発され、それにより製造する技術手法が広く研究され新しい各種手法が提示されている。
エレクトロスピニング法としては、基本的に、ポリマーを溶剤に溶解又は分散したポリマー溶液をノズルからターゲットに向けて垂らすと共にノズルがプラス電極になり、ターゲットがマイナス電極になるように5〜100kVの高電圧を印加する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
しかし、このエレクトロスピニング法は、溶液エレクトロスピニング法であり、使用し得るポリマーは、溶剤に溶解するポリマーに限定され、また、ポリマーを溶解した溶剤がエレクトロスピニングする際に蒸発するため、この方法でナノファイバーを製造する際には、蒸発した溶剤を回収しなければならず、巨大な溶剤回収装置が必要であるという欠点が内在している。また、得られた繊維に溶剤に起因する成分が残留する問題があり、繊維に溶剤が残留すると、後に溶剤に起因する成分が滲み出して繊維製品に不都合を生じる惧れもある。
このような欠点を解消するために溶剤を使用することなく、熱可塑性樹脂を加熱溶解してエレクトロスピニングする、溶融エレクトロスピニング法が研究開発されている。
溶融エレクトロスピニング法としては、基本的な手法として、導電性筒状ノズルに熱可塑性樹脂糸状物を挿通し、ノズル先端部を加熱溶融すると共に導電性筒状ノズルがプラス電極になり、ターゲットがマイナス電極になるよう高電圧を印加する、溶融静電紡糸方法とその装置が開示されている(特許文献2、3を参照)。
しかし、上記した溶融静電紡糸法においては、高分子を静電紡糸可能な粘度まで下げるために熱を加えるが、長時間の加熱滞留によって熱分解して、高分子の物性低下を招く場合があった。
ポリマーの加熱分解を回避するために、レーザー光線を照射して加熱溶融させるエレクトロスピニング法(特許文献4を参照)が提示され、更には、ノズルの先端をヒートガンで加熱するエレクトロスピニング法や、真空中で溶融エレクトロスピニングする方法なども提案されている。
ところで、このような溶融エレクトロスピニング法においては、ポリプロピレンのような体積固有抵抗値が高いものでは、電圧を印加しても電荷を持ち難く、効率よく伸張延伸できないので、極細繊維化することは非常に困難である。
これまで、上記した問題点を解消するために、本出願人は、ポリプロピレン系樹脂に対して脂環族炭化水素樹脂や、特定のトリアジン環構造を有する添加剤を特定の割合で配合してなる組成物を提案し、それを用いて溶融エレクトロスピニング法による極細繊維を紡糸することを試みてきた(特許文献5、6を参照)。
しかしながら、従来のものは、いずれも工業的な観点や効率の面等から十分に満足のいくものとはいえず、それゆえに、現状においては、溶融エレクトロスピニング法に適しない、ポリプロピレンのような樹脂に関しては、溶融エレクトロスピニング法における研究は、未だ十分になされておらず、この分野における更なる研究開発が求められている。
特表2008−531860号公報 特開2007−321246号公報 特開2009−150039号公報 特開2007−239114号公報 特開2012−72514号公報 特開2013−44067号公報
本発明の課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を工業的に生産効率よく紡糸することのできる溶融紡糸型エレクトロスピニング用プロピレン系樹脂組成物、及び溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸する、ポリプロピレン系極細繊維の製造方法、並びにその製造方法により紡糸されたポリプロピレン系極細繊維及びその繊維製品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、体積固有抵抗値が高く電圧を印加しても電荷を持ち難くて、効率よく伸張延伸できないプロピレン系樹脂においても、特定の割合で高分子型帯電防止剤を配合したプロピレン系樹脂組成物を採用すれば、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により極細繊維を製造できることを見い出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸する樹脂材料であって、プロピレン系樹脂50〜99重量%に、高分子型帯電防止剤を1〜50重量%配合することを特徴とする、エレクトロスピニング紡糸用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、プロピレン系樹脂がプロピレン単独重合体又はプロピレンとα−オレフィン(エチレンを含む)との共重合体であることを特徴とするエレクトロスピニング紡糸用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、プロピレン系樹脂組成物が、更に、他の重合体及び/又は添加剤を含むことを特徴とする、エレクトロスピニング紡糸用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、プロピレン系樹脂のMFR(温度230℃・荷重21.2N)が50〜20,000g/10minであることを特徴とするエレクトロスピニング紡糸用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、プロピレン系樹脂80〜99重量%に、高分子型帯電防止剤を1〜20重量%配合することを特徴とするエレクトロスピニング紡糸用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明に係るエレクトロスピニング紡糸用プロピレン系樹脂組成物を、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸することを特徴とする、ポリプロピレン系極細繊維を製造する方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、加熱溶融がレーザー加熱により行われることを特徴とするポリプロピレン系極細繊維を製造する方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明に係るプロピレン系樹脂組成物を、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って紡糸することにより得られたことを特徴とする、ポリプロピレン系極細繊維が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第8の発明に係る極細繊維を使用して製造されたことを特徴とする繊維製品が提供される。
本発明においては、従来法では溶融紡糸型エレクトロスピニング法により均一な極細繊維を製造できなかった体積固有抵抗値が高いプロピレン系樹脂においても、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により均一な極細繊維を工業的に生産効率よく製造することができる。
本発明の紡糸方法に用いる、溶融紡糸型エレクトロスピニング装置の説明図である。
以下、本発明の溶融紡糸型エレクトロスピニング用プロピレン系樹脂組成物を構成する各成分、特にプロピレン系樹脂材料や高分子型帯電防止剤、さらにはそれを用いたプロピレン系極細繊維の製造方法、並びにその方法により製造されたプロピレン系極細繊維等について、項目毎に、詳細に説明する。
(1)プロピレン系樹脂材料
本発明で使用されるプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体のいずれであってもよいが、プロピレンとα−オレフィンの共重合体、特にプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が好ましい。好ましく用いられるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、プロピレンから誘導される構成単位を主成分としたプロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体である。コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、好ましくはエチレン又は炭素数4〜18のα−オレフィンである。コモノマー含有量としては好ましくは1.0重量%〜5.0重量%である。
α−オレフィンの具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1などを挙げることができる。また、α−オレフィンとしては、1種単独又は2種以上の組み合わせでもよい。
かかるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の具体例としては、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−オクテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体などが挙げられる。
このようなプロピレン系重合体は、典型的には、固体状チタン触媒と有機金属化合物を主体とするチーグラー系触媒、又はメタロセン化合物を触媒の一成分として用いたメタロセン系触媒の存在下で、プロピレンを重合或いはプロピレンと他のα−オレフィンを共重合させることによって製造することができる。
重合法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法や、或いは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法などが挙げられる。
本発明で使用されるプロピレン系樹脂においては、JIS K7210に準拠して、加熱温度230℃・荷重21.2Nで測定されるMFR(メルトフローレート)が、50〜20,000g/10minであることが好ましい。より好ましくは1000〜20,000g/10minである。MFR値は高い程、紡糸する際に延伸されやすく、細い繊維が作製し易い。
50g/10min未満では溶融樹脂の粘度が高くなり過ぎ、極細繊維が得られなくなり、20,000g/10minを超えるものは、現在の重合技術と設備では製造困難である。
所望のMFRを得るためには、MFRは基本的に分子量に依存するので、分子量を制御すればよく、それには重合温度や水素ガスの供給量或いは重合停止剤などの制御を行えばよい。プロピレン系重合体を重合後、有機過酸化物を使用し溶融混練することにより調整してもよい。
(2)高分子型帯電防止剤
本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、下記に記述される高分子型帯電防止剤をプロピレン系樹脂50〜99重量%に、高分子型帯電防止剤を1〜50重量%配合することを主要な要件としている。
高分子型帯電防止剤としては、少なくとも2以上の繰返し単位を有する帯電防止剤であり、好ましくは、例えば、数平均分子量1,000以上高分子型の帯電防止剤であれば、使用でき、非イオン性、カチオン性あるいはアニオン性の高分子型帯電防止剤でも制限はされない。
このうち、非イオン性のものが好ましく、特に、親水性セグメントを有し、その親水性セグメントの吸湿性によって制電性が付与された高分子型帯電防止剤が好ましい。こうした高分子型帯電防止剤としては、ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体等の親油性ポリマー/親水性ポリマーブロック共重合体等が好ましく挙げられる。ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体では、ポリエーテルのブロックが親水性セグメントとして機能するとともに、ポリオレフィンのブロックが親油性セグメントとして機能する。すなわち、親水性セグメントは、その吸湿性によって成形体の表面抵抗を低下させる作用を奏し、親油性セグメントは、基材であるプロピレン系樹脂との相溶性を高める作用を奏することから、特に優れた帯電防止剤である。
ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体を構成するポリエーテルとしては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルジアミン、及びこれらの変性物、並びにポリエーテル含有親水性ポリマー等が含まれる。ポリエーテル含有親水性ポリマーとしては、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステル、ポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルアミド、及びポリエーテルジオール又はポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルウレタンが含まれる。
ポリエーテルを構成するオキシアルキレン基は、例えばアルキレンの炭素数が2〜4のオキシアルキレン基であるエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。ポリエーテルを構成するオキシアルキレン鎖中におけるオキシエチレン基の占める割合は、制電性を高めるという観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10〜100質量%、さらに好ましくは60〜100質量%である。なお、ポリエーテルの数平均分子量は150〜20,000が好ましい。
ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体を構成するポリオレフィンとしては、好ましくは炭素数2〜30のオレフィンから選ばれる少なくとも一種を重合して得られるポリオレフィン、より好ましくはエチレン及びプロピレンの少なくとも一種を重合して得られるポリオレフィンである。
ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体を構成するポリエーテルのブロックと、ポリオレフィンのブロックとの繰り返し単位の平均繰り返し数は、制電性を付与する作用を考慮すると、好ましくは2〜50、より好ましくは2.3〜30、さらに好ましくは2.7〜20、最も好ましくは3〜10である。この平均繰り返し数は、特許文献3に記載の方法で求めることができる。
また、ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体を構成するポリエーテルの割合は、ポリエーテルとポリオレフィンとの合計質量を基準として好ましくは20〜90質量%、より好ましくは25〜80質量%、さらに好ましくは30〜70質量%である。
ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体の数平均分子量は、好ましくは2,000〜60,000、より好ましくは5,000〜40,000、さらに好ましくは8,000〜30,000である。
使用する高分子型帯電防止剤は、高分子型帯電防止剤からの揮発性成分やナトリウム、カリウムイオン溶出量が問題とならない範囲で、使用することが好ましい。このような高分子型帯電防止剤を用いることにより、プロピレン系樹脂との分散性が良好となり、成形性に優れ、かつ成形体の帯電防止性が長期間に渡り良好となる。
高分子型帯電防止剤の数平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは2,000〜60,000、さらに好ましくは3,000〜30,000である。
このような高分子型帯電防止剤としては、例えば商品名「ペレスタット」(三洋化成工業(株)製商品名)や「スタットライト」(The Lubrizol Corporation社製商品名)が挙げられる。
高分子型帯電防止剤の添加量は1〜50重量%の範囲である。高分子型帯電防止剤の添加量が1重量%未満であると十分な導電性能が得られないため不適である。一方、高分子型帯電防止剤の添加量が50重量%を超えると製造費用が高くなる上に、プロピレン系樹脂材料の特性を維持できなくなり得られた繊維自体の強度が脆弱となる恐れがあるため、不適である。高分子型帯電防止剤の添加量は、1〜20重量%の範囲であることが好ましい。
この規定された高分子型帯電防止剤を配合することにより、電圧を印加して樹脂がエレクトロスピニング紡糸をされる際、樹脂の体積固有抵抗値が低下し、より導電し易くなることで、強い静電気力にて高速で紡糸が行われるため、溶融エレクトロスピニング法において得られる繊維径が細繊化されると考えられる。
添加剤配合量としては、下限値として1重量%と規定する。これは、後記する比較例2に記載されているとおり、0.5重量%にては添加の効果が認められなかったためである。また上限値としては50重量%と規定する。これはコスト面や紡糸繊維自体の強度面からもこれ以上の添加剤配合は望ましくないと考えるためである。
(3)プロピレン系樹脂の組成物
本発明で使用されるプロピレン系樹脂組成物材料においては、組成物としては更に、他の樹脂との組成物、或いは、各種の添加剤を配合した組成物として使用することもできる。
配合される他の樹脂としては、エチレン系重合体もしくはブテン系重合体等プロピレン以外を主成分としたオレフィン系重合体、ポリアミド系重合体、ポリエステル系重合体、その他任意の重合体を使用し得る。
他の各種の添加剤としては、樹脂材料の性能を高め、或いは、他の性能を付加するために配合され、通常ポリオレフィンに使用する公知の酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、低分子型帯電防止剤、金属不活性剤などの各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤及びチオ系酸化防止剤などが例示でき、中和剤としては、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩類が例示でき、光安定剤及び紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン類、ニッケル錯化合物、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類などが例示できる。また、滑剤としては、ステアリン酸アマイドなどの高級脂肪酸アマイド類が例示でき、低分子型帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸モノエステルなどの脂肪酸部分エステル類が例示でき、更には、金属不活性剤としては、フォスフォン類、エポキシ類、トリアゾール類、ヒドラジド類、オキサミド類などが例示できる。
(4)溶融紡糸型エレクトロスピニング装置
溶融紡糸型エレクトロスピニング装置としては、カトーテック製の加熱溶融紡糸型エレクトロスピニング装置などを使用し、樹脂を加熱溶融するシリンダー、樹脂を帯電する電極、樹脂押出用ピストン、ノズル及び極細繊維を受ける電極プレート(ターゲット)からなり、ノズルから出た溶融樹脂にノズルとターゲット間で電圧を印加し紡糸するものである。
樹脂を加熱するシリンダーの温度は好ましくは160〜400℃、より好ましくは220〜360℃である。またノズルの口径は好ましくは0.1〜0.6mmである。さらに印加電圧の数値は好ましくは20〜100kV、より好ましくは30〜80kVである。
図1は、本発明に使用した加熱溶融紡糸型エレクトロスピニング装置の概略説明図である。
紡糸工程では、適宜な加熱手段により加熱溶融させた熱可塑性樹脂の溶融部に電圧を作用させて、伸長する繊維を電気的引力によってターゲットに捕集する。この工程では、熱可塑性樹脂の溶融部に電圧を作用させて、ターゲットとは反対極の電荷を付与して帯電させることにより、溶融状態の樹脂をターゲットに向けて飛翔させて、伸長又は延伸させることにより静電紡糸する。
(5)極細繊維
本発明では、溶融型静電紡糸方法(エレクトロスピニング)により、繊維径の非常に小さい極細繊維(ナノ繊維)が得られる。極細繊維の平均繊維径は、例えば、5μm以下であり、好ましくは100nm〜3μm程度である。最細繊維径は1μm以下である。
繊維の繊維長は、特に限定されず、製造条件などを調整することにより、用途に応じて選択すればよい。
本発明により紡糸される極細繊維は、長繊維や短繊維として、通常の織布や不織布などの繊維製品に使用できる。
そして、本発明の極細繊維は、極細繊維の特殊性能と共にプロピレン系樹脂材料の性能により、新しい用途として、電池用セパレーター、電磁波シールド材、高性能フィルター、生体人工器材、細胞培養基材、ICチップ、有機EL、太陽電池、エレクトロクロミック表示素子、光電変換素子などに代表される各種の用途開発が期待される。
以下に、本発明を実施例及び比較例によって、更に具体的に説明し、各実施例のデータ及び各実施例と各比較例の対照により、本発明の構成の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性を実証する。
なお、実施例及び比較例における諸物性は、下記の評価方法に従って測定し評価し、使用した樹脂として実施例と比較例に記載のものを用いた。
イ)MFR:JIS K7210に準じて加熱温度230℃・荷重21.2N、オリフィス口径2.0mmにて測定した。但し、MFRが200を超える場合はJIS K7210を参考に加熱温度230℃・荷重21.2Nでオリフィス口径は0.5mmで行い、測定結果を2.0mmオリフィス口径測定値相当に換算して数値を求めた。
ロ)最細繊維径:日立ハイテクノロジーズ社製の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて紡糸した繊維径の観察を行い、画像解析ソフトにて任意の繊維100本の繊維径を測定した結果から最細繊維径を求めた。
ハ)標準偏差はロ)と同様にSEMにて繊維径を観察し、画像解析ソフトにて任意の繊維100本の繊維径を測定した結果から標準偏差を求めた。
二)Tm(融点):融解ピーク温度Tmは、示差走査型熱量計(ティ・エイ・インスツルメント社製DSC)で求める値であり、具体的には、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度として求める値である。
ホ)GPCによる分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって分子量分布Mw/Mn(ここで、Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量)を測定した。なお、Mn、Mw、Mzの定義は「高分子化学の基礎」(高分子学会編、東京化学同人、1978)等に記載されており、GPCによる分子量分布曲線から計算可能である。
そして、GPCの具体的な測定手法は、以下の通りである。
・装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
・検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
・カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本直列)
・移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
・測定温度:140℃
・流速:1.0ml/min
・注入量:0.2ml
・試料の調製:試料はODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレン(PS)による検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
なお、分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
ヘ)・13C−NMRによるエチレン含有量の測定
α−オレフィン(好ましくはエチレン)含有量α[A2]は、プロトン完全デカップリング法により以下の条件に従って測定した、13C−NMRスペクトルを解析することにより求める。
機種:日本電子(株)製 GSX−400又は同等の装置
(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
溶媒:o−ジクロロベンゼン/重ベンゼン=4/1(体積比)
濃度:100mg/ml 温度:130℃
パルス角:90° パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えばMacromolecules 17 1950 (1984)などを参考に行えばよい。上記条件により測定されたスペクトルの帰属は表1の通りである。表中Sααなどの記号はCarmanら(Macromolecules 10 536(1977))の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
Figure 0006390363
以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中にはPPP、PPE、EPE、PEP、PEE、及びEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules 15 1150 (1982)などに記されているように、これらトリアッドの濃度とスペクトルのピーク強度とは、以下の(1)〜(6)の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ) …(1)
[PPE]=k×I(Tβδ) …(2)
[EPE]=k×I(Tδδ) …(3)
[PEP]=k×I(Sββ) …(4)
[PEE]=k×I(Sβδ) …(5)
[EEE]=k×{I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4} …(6)
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば[PPP]は全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。
従って、[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1 …(7)
である。また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えばI(Tββ)はTββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記(1)〜(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体には少量のプロピレン異種結合(2,1−結合及び/又は1,3−結合)が含まれ、それにより、表2に示す微小なピークを生じる。
Figure 0006390363
正確なα−オレフィン(エチレン)含有量を求めるにはこれら異種結合に由来するピークも考慮して計算に含める必要があるが、異種結合由来のピークの完全な分離・同定が困難であり、また異種結合量が少量であることから、本発明のエチレン含有量は実質的に異種結合を含まないチーグラー・ナッタ系触媒で製造された共重合体の解析と同じく(1)〜(7)の関係式を用いて求めることとする。
〔実施例1〕
(重合例)
(1)触媒の調製
3つ口フラスコ(容積1L)中に硫酸で逐次的に処理されたスメクタイト族ケイ酸塩(水沢化学社製ベンクレイSL)20g、ヘプタン200mLを仕込み、トリノルマルオクチルアルミニウム50mmolで処理後、ヘプタンで洗浄し、スラリー1とした。また別のフラスコ(容積200mL)中に、ヘプタン90mL、(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム0.3mmol、トリイソブチルアルミニウム1.5mmolを仕込みスラリー2とした。スラリー2を、上記スラリー1に加えて、室温で60分攪拌した。その後ヘプタンを210mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを10g/hrの速度でフィードし4時間40℃を保ちつつ予備重合、1時間残重合を行い予備重合触媒83gを得た。
(2)プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の製造
内容積270Lの反応器に液状プロピレン、エチレン、水素、及びトリイソブチルアルミニウム(TIBA)のヘキサン希釈溶液を連続的に供給し、内温を62℃に保持した。プロピレンの供給量は、38kg/hrであり、エチレンの供給量は0.92kg/hrであり、水素の供給量は0.25g/hrであり、TIBAの供給量は18g/hrであった。前記予備重合触媒を流動パラフィンによりスラリー状とし、2.35g/hrでフィードした。その結果、12.2kg/hrのプロピレン・エチレンランダム共重合体(PP−0)を得た。
得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体(PP−0)は、MFR=26.0g/10分、エチレン含量=4.5mol%、Tm=125℃、Q値=2.7であった。
(3)添加剤の配合
樹脂材料としてプロピレン系樹脂(PP−0)を用い、該樹脂100重量部に対し、有機過酸化物である1,3−ビス(t−ブチル−パーオキシ−イソプロピル)ベンゼン(商品名:パーカドックス14・化薬アクゾ株式会社製)0.34重量部、フェノ−ル系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン(商品名:IRGANOX1010・BASF社製)0.1重量部、フォスファイト系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名:IRGAFOS 168・BASF社製)0.1重量部、並びに中和剤であるステアリン酸カルシウム(商品名:カルシウムステアレ−ト・日本油脂株式会社製)0.1重量部配合し、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサ−:商品名)にて室温下で3分間混合した後、押出機にて溶融混練して、MFR=2500g/10minのプロピレン系樹脂ペレット(PP−1)を得た。
さらにプロピレン系樹脂ペレット(PP−1)を用い、該樹脂98重量%に対し、高分子型帯電防止剤(成分A)として、ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体(商品名:ペレスタット303・三洋化成社製)2重量%を配合して押出機にて溶融混練して、プロピレン系樹脂ペレットを得た。
(4)エレクトロスピニング紡糸
得られたプロピレン系樹脂を、図1に示す溶融紡糸型エレクトロスピニング装置において、260℃に加熱した溶融シリンダー内に4g投入し、5分間保持後、ピストンにて0.05cc/hrの吐出量で押し込み、ノズルとターゲット間に40kVの電圧を印加し、極細繊維を得た。
本発明の構成の要件を満たすプロピレン系樹脂組成物から得られた極細繊維として、目的とする均一なナノファイバーが得られた。
〔実施例2〕
樹脂組成物としてプロピレン系樹脂(PP−1)を95重量%、成分Aを5重量%配合した以外は、実施例1と同様に実施し、極細繊維を得た。
本発明の構成の要件を満たすプロピレン系樹脂組成物から得られた極細繊維として、目的とする均一なナノファイバーが得られた。
〔実施例3〕
樹脂組成物としてプロピレン系樹脂(PP−1)を90重量%、(成分A)を10重量%に配合量を変更した以外は、実施例1と同様に実施し、極細繊維を得た。
本発明の構成の要件を満たすプロピレン系樹脂組成物から得られた極細繊維として、目的とする均一なナノファイバーが得られた。
〔実施例4〕
樹脂材料としてプロピレン系樹脂(PP−0)を用い、該樹脂100重量部に対し、有機過酸化物である1,3−ビス(t−ブチル−パーオキシ−イソプロピル)ベンゼン(商品名:パーカドックス14・化薬アクゾ株式会社製)1.4重量部、フェノ−ル系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン(商品名:IRGANOX1010・BASF社製)0.1重量部、フォスファイト系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名:IRGAFOS 168・BASF社製)0.1重量部、並びに中和剤であるステアリン酸カルシウム(商品名:カルシウムステアレ−ト・日本油脂株式会社製)0.1重量部配合し、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサ−:商品名)にて室温下で3分間混合した後、押出機にて溶融混練して、MFR=17000g/10minのプロピレン系樹脂ペレット(PP−2)を得た。
樹脂組成物としてプロピレン系樹脂(PP−2)を用いる以外は、実施例3と同様に実施し、MFR=13000g/10minのプロピレン系樹脂ペレットを得た。
得られたプロピレン系樹脂を、図1に示す溶融紡糸型エレクトロスピニング装置において、260℃に加熱した溶融シリンダー内に4g投入し、5分間保持後、ピストンにて0.05cc/hrの吐出量で押し込み、ノズルとターゲット間に40kVの電圧を印加し、極細繊維を得た。
本発明の構成の要件を満たすプロピレン系樹脂組成物から得られた極細繊維として、目的とする均一なナノファイバーが得られた。
〔比較例1〕
樹脂組成物として、プロピレン系樹脂(PP−1)において、高分子型帯電防止剤が無配合である以外は、実施例1と同様に実施し、極細繊維を得た。
本発明の構成の要件を満たさないプロピレン系樹脂組成物から得られた極細繊維としては、目的とする均一なナノファイバーが得られていない。
〔比較例2〕
樹脂組成物として、プロピレン系樹脂(PP−1)を99.5重量%、高分子型帯電防止剤として、(成分A)の配合量を0.5重量%に変更した以外は、実施例1と同様に実施し、極細繊維を得た。
本発明の構成の要件を満たさないプロピレン系樹脂組成物から得られた極細繊維としては、目的とする均一なナノファイバーが得られていない。
〔比較例3〕
樹脂組成物として、プロピレン系樹脂(PP−1)において、高分子型帯電防止剤として、(成分A)の配合量を2.0重量%から低分子型帯電防止剤であるグリセリンモノスレアレ−ト(商品名:エレクトロストリッパー・花王社製)を2.0重量%に変更した以外は、実施例1と同様に実施し、極細繊維を得た。
本発明の構成の要件を満たさないプロピレン系樹脂組成物から得られた極細繊維としては、目的とする均一なナノファイバーが得られていない。
Figure 0006390363
[実施例と比較例の結果の考察]
表3から明らかなように、実施例1〜4は本発明の構成の要件を満たしているので、比較例1〜3と対照して、均一な極細繊維としてのナノファイバーが得られている。
比較例3については、実施例1と同等量の帯電防止剤が配合されているが、低分子型帯電防止剤には本発明のような効果は認められない。高分子型帯電防止剤は添加剤自身が導電性を有するが、低分子型帯電防止剤の改質機構は成形品表面へのブリードアウトによって導電性能を発現する、すなわちエレクトロスピニングでの紡糸時に溶融樹脂の電気特性改質効果が高分子型帯電防止剤にのみ有るためと考えられる。
以上の結果より、本発明の構成の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性が明示されているといえる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物を用い、溶融紡糸型エレクトロスピニング装置で得られた極細繊維は、ナノ単位の極細であるため、表面積が大きく、吸液性や濾過性に優れる。
したがって、各種用途、例えば、絶縁材用セパレーターなどのエレクトロニクス用部材、産業用資材(油吸着材、皮革基布、セメント用配合剤、ゴム用配合材、各種テープ基材など)、医療・衛生材(紙おむつ、ガーゼ、包帯、医療用ガウンなど)、生活関連資材(ワイパー、印刷物基材、包装・袋物資材、収納材、エアーフィルター、液体フィルターなど)、衣料用材、内装用材(断熱材、吸音材など)、建設資材、農業・園芸用資材、土木用資材、鞄・靴材などに使用できる。
1;ピストン 5;電極プレート
2;遮蔽板 6;絶縁板
3;溶融シリンダー 7;テーブル
4;ノズル

Claims (9)

  1. 溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸するプロピレン系樹脂組成物であって、
    組成物基準でプロピレン系樹脂50〜99重量%に、ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体である高分子型帯電防止剤を1〜50重量%配合することを特徴とする、エレクトロスピニング紡糸用プロピレン系樹脂組成物。
  2. プロピレン系樹脂がプロピレン単独重合体又はプロピレンとα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロスピニング紡糸用プロピレン系樹脂組成物。
  3. プロピレン系樹脂組成物が、更に、ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体を除く他の重合体及び/又は添加剤を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のエレクトロスピニング紡糸用プロピレン系樹脂組成物。
  4. プロピレン系樹脂のMFR(温度230℃・荷重21.2N)が50〜20,000g/10minであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロスピニング紡糸用プロピレン系樹脂組成物。
  5. 組成物基準でプロピレン系樹脂80〜99重量%に、前記高分子型帯電防止剤を1〜20重量%配合することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のエレクトロスピニング紡糸用プロピレン系樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のエレクトロスピニング紡糸用プロピレン系樹脂組成物を、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸することを特徴とする、ポリプロピレン系極細繊維を製造する方法。
  7. 加熱溶融がレーザー加熱により行われることを特徴とする、請求項6に記載のポリプロピレン系極細繊維を製造する方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載のエレクトロスピニング紡糸用プロピレン系樹脂組成物を、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って紡糸することにより得られたことを特徴とする、ポリプロピレン系極細繊維。
  9. 請求項8に記載のポリプロピレン系極細繊維を使用して製造されたことを特徴とする繊維製品。
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