JP6387673B2 - エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物及び表示素子及び調光素子 - Google Patents

エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物及び表示素子及び調光素子 Download PDF

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本発明は、発色時に黒色発色を呈するエレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、および該エレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を用いた表示素子及び調光素子に関するものである。
近年、紙に替わる電子媒体として、電子ペーパーの開発が盛んに行われている。
電子ペーパーは、表示装置が紙のように用いられるところに特徴があるため、CRTや液晶ディスプレイといった従来の表示装置とは異なった特性が要求される。例えば、反射型表示装置であり、かつ、高い白反射率・高いコントラスト比を有すること、高精細な表示ができること、表示にメモリ効果があること、低電圧でも駆動できること、薄くて軽いこと、安価であること、などの特性が要求される。このうち特に、表示の品質に関わる特性として、紙と同等な白反射率・コントラスト比についての要求度が高い。
これまで、電子ペーパー用途の表示装置として、例えば、反射型液晶を用いる方式、電気泳動を用いる方式、トナー泳動を用いる方式、などが提案されているが、その中でも主流なのは電気泳動法であり、現在、製品として市場に出ている電子ペーパーに多く用いられている。しかし、この方法では特に、高い白反射率の付与が難しく、紙が80%、新聞紙が60%に対して、この方法では40%程度ととても低い値を示すことがわかっており、この方式での大きな課題となっている。
この課題を解決でき、反射型の表示装置を実現するための有望な技術として、エレクトロクロミック現象を用いる方式がある。電圧を印加することで、その極性に応じて可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。このエレクトロクロミズム現象を引き起こすエレクトロクロミック化合物の発色/消色(以下、発消色)を利用した表示装置が、エレクトロクロミック表示装置である。このエレクトロクロミック表示装置については、反射型の表示装置であること、メモリ効果があること、低電圧で駆動できることから、電子ペーパー用途の表示装置技術の有力な候補として、材料開発からデバイス設計に至るまで、幅広く研究開発が行われている。この方法での白反射率は60%と、ほぼ実際の紙と同等の値を示すことが確認されている(特許文献1:特開2006−267829号公報)。
エレクトロクロミック表示装置において、上記のような課題の多くをカバーできる方式であるが、この方式で作成された特許文献2(特開2011−102287号公報)に記載のモノクロ表示素子に使用されているエレクトロクロミック化合物において、消色状態の色味が、少し黄色味を持っており、この方式の特徴である高い白反射率を実現することができていなかった。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、黒色に発色し,消色時には吸収帯を持たず消色状態が無色であるエレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物(エレクトロクロミック化合物が導電性または半導体性ナノ構造体に結合または吸着されてなるエレクトロクロミック組成物)、および該エレクトロクロミック化合物またはエレクトロクロミック組成物を用いた、高い白反射率、高いコントラストを有する表示素子、若しくは、高い透過率、高いコントラストを有する調光素子を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定構造を有するエレクトロクロミック化合物を用いることにより、前記課題を解決できることを見出し本発明に至った。
即ち、上記課題は、つぎの(1)に記載の「エレクトロクロミック化合物」によって解決される。
(1)「下記一般式(I)で表されることを特徴とするエレクトロクロミック化合物。
Figure 0006387673
Figure 0006387673
(式中,一般式(I)のX,X2,X3のうち、少なくとも2つが一般式(II)の構造を有する。一般式(II)の構造が2つである場合,残りのX,X2,X3のいずれかの部位は官能基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、あるいは、水素原子のいずれかである。Y〜Yは各々独立に水素原子または一価の基を示し、これら一価の基は置換基を有していてもよい。Rは官能基を有していてもよい一価の基を示し、これら一価の基は置換基を有していてもよい。mは0〜3のいずれかである。Aは1価のアニオンを表す。一般式(I)のX,X2,X3に入る一般式(II)のY〜Y,m,Aの構造は独立して異なっていてもよい。)」
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、消色時に吸収帯を持たず、消色状態が無色である黒色発色のエレクトロクロミック化合物あるいはエレクトロクロミック組成物を得ることができる。
本発明のエレクトロクロミック化合物を用いた一般的な表示素子の構成例を示す概略図である。 本発明のエレクトロクロミック組成物を用いた一般的な表示素子の構成例を示す概略図である。 本発明のエレクトロクロミック組成物を用いた一般的な調光素子の構成例を示す概略図である。 実施例1で作製したエレクトロクロミック表示層を形成した表示電極の消色状態と発色状態における吸収スペクトルを示す図である。 実施例1で作製したエレクトロクロミック表示素子と比較例1で作製したエレクトロクロミック表示素子の消色状態における吸収スペクトルを示す図である。 実施例1で作製したエレクトロクロミック表示素子と比較例1で作製したエレクトロクロミック表示素子との色彩値の比較を示す図である。 実施例3で作製したエレクトロクロミック表示層を形成した表示電極の消色状態と発色状態における吸収スペクトルを示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は上記(1)に記載の「エレクトロクロミック化合物」に係るものであるが、この「エレクトロクロミック化合物」は、つぎの(2)〜(6)記載の「エレクトロクロミック化合物」の態様を包含する。また本発明は、つぎの(7)記載の「表示素子」、(8)記載の「調光素子」をも包含するものであるので、これら(2)〜(8)記載の「エレクトロクロミック化合物」、「表示素子」および「調光素子」についても併せて詳細に説明する。
(2)「一般式(I)のX,X2,X3のうち、2つが一般式(II)の構造を有することを特徴とする前期(1)に記載のエレクトロクロミック化合物」。
(3)「一般式(II)のRの少なくとも1つが水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基を有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載のエレクトロクロミック化合物」。
(4)「一般式(I)のX〜X3のうち、少なくとも1つが水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基を有することを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物」。
(5)「水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基が、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、シリル基又はシラノール基から選択される基であることを特徴とする前記(3)または(4)に記載のエレクトロクロミック化合物」。
(6)「前記(1)乃至(5)のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物と導電性または半導体性ナノ構造体が結合または吸着されてなることを特徴とするエレクトロクロミック組成物」。
(7)「表示電極と、該表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に配置された電解質とを備え、該表示電極の表面に、少なくとも前記(1)乃至(5)のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物又は該エレクトロクロミック化合物と前記(6)に記載のエレクトロクロミック組成物を含む表示層を有することを特徴とする表示素子」。
(8)「表示電極と、該表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に配置された電解質とを備え、該表示電極の表面に、少なくともエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を有する素子において、該エレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物が、前記(1)乃至(5)のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物又は前記(6)に記載のエレクトロクロミック組成物であり、表示電極、対向電極、電解質が透明であることを特徴とする調光素子」。
そして、本発明のエレクトロクロミック化合物またはエレクトロクロミック組成物を用いることで、高い白反射率、高いコントラストを有するモノクロ表示素子を提供することができる。さらに、高い透明性、高いコントラストを有するモノクロ調光素子を提供することができる。
前述のように本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、下記一般式(I)で表されるエレクトロクロミック化合物であれば、上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、一般式(I)で表されるエレクトロクロミック化合物は黒色発色を呈し、さらに消色時の色づきが少ないものである。
Figure 0006387673
Figure 0006387673
(式中,一般式(I)のX,X2,X3のうち、少なくとも2つが一般式(II)の構造を有する。一般式(II)の構造が2つである場合,残りのX,X2,X3のいずれかの部位は官能基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、あるいは、水素原子のいずれかである。Y〜Yは各々独立に水素原子または一価の基を示し、これら一価の基は置換基を有していてもよい。Rは官能基を有していてもよい一価の基を示し、これら一価の基は置換基を有していてもよい。mは0〜3のいずれかである。Aは1価のアニオンを表す。一般式(I)のX,X2,X3に入る一般式(II)のY〜Y,m,Aの構造は独立して異なっていてもよい。
一般式(II)中、Y〜Yで示される一価の基としては、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、アミノカルボニル基、スルホン酸基、スルホニル基、スルホンアミド基、アミノスルホニル基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、および複素環基から選択される一価の基が挙げられ、これら一価の基は置換基を有していてもよい。また、Rで示される一価の基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびアリール基から選択される官能基を有していてもよい一価の基が挙げられ、これら一価の基は置換基を有していてもよい。ここで、置換基を有していてもよい前記カルボニル基としては、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等が、置換基を有していてもよい前記アミノカルボニル基としては、モノアルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、モノアリールアミノカルボニル基、ジアリールアミノカルボニル基等が、前記スルホニル基としては、アルコキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が、置換基を有していてもよい前記アミノスルホニル基としては、モノアルキルアミノスルホニル基、ジアルキルアミノスルホニル基、モノアリールアミノスルホニル基、ジアリールアミノスルホニル基等が、前記アミノ基としては、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基等が、それぞれ挙げられる。
即ち、前記一般式(II)において、Y〜Yで示される一価の基としては、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、アミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換基を有していてもよいアルコキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、スルホンアミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよい複素環基などが挙げられる。また、Bで示される一価の基としては、各々独立に官能基を有していてもよいアルキル基、官能基を有していてもよいアルケニル基、官能基を有していてもよいアルキニル基、および官能基を有していてもよいアリール基などが挙げられ、これら一価の基は置換基を有していてもよい。
〜Yの一価の基により、エレクトロクロミック化合物の溶媒に対する溶解性を付与することができるので素子作製プロセスが容易になる。一方、これらの基により、耐熱性・耐光性などの安定性が低下しやすいので、好ましくは水素原子、ハロゲン、炭素数6以下の置換基がよい。
は1価のアニオンを表し、カチオン部と安定に対を成すものであれば特に限定されるものではないが、臭素イオン(Br)、塩素イオン(Cl)、過塩素酸イオン(ClO )、六ふっ化りん酸イオン(PF )、四ふっ化ほう酸イオン(BF ),トリフルオロメタンスルホナートイオン(CF3SO3 )等が好ましい。
本発明のエレクトロクロミック化合物は一般式(I)のX〜Xのうち2つ,または3つが一般式(II)の構造である。3つの場合,2つの場合のいずれも黒色を発色するが,2つの場合のほうがエレクトロクロミック化合物の溶解性が高く,素子作製プロセスが容易になる。
本発明のエレクトロクロミック化合物は,水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基を有することが好ましい。水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基としては、水酸基に対して水素結合、吸着あるいは化学反応により直接的あるいは間接的に結合可能な官能基であればよく、その構造は限定されるものではないが、好ましい例としては、ホスホン酸基、リン酸基、トリクロロシリル基、トリアルコキシシリル基、モノクロロシリル基、モノアルコキシシリル基等のシリル基(又はシラノール基)やカルボキシル基が挙げられる。トリアルコキシシリル基としては、トリエトキシシリル基、トリメトキシシリル基等が好ましい。なかでも、導電性または半導体性ナノ構造体への結合力が高いホスホン酸基又はシリル基(トリアルコキシシリル基、あるいはトリヒドキシシリル基)が特に好ましい。
水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基の位置としては,一般式(II)のRの部位が最もよい。また,一般式(I)のX,X,Xに対して一般式(II)が2つ導入されている構造においては,X,X,Xのうち残りの1つに水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基を導入してもよい。もちろん,水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基は1つに限らず,2つ,3つ導入しても構わない。
本発明のエレクトロクロミック化合物の具体例を下記構造式(3)〜(29)に示すが、本発明のエレクトロクロミック化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006387673
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また、本発明に係るエレクトロクロミック組成物は、本発明のエレクトロクロミック化合物[前記一般式(I)で表されるエレクトロクロミック化合物]に導電性または半導体性ナノ構造体が結合されてなることを特徴とするものである。
本発明のエレクトロクロミック組成物は、エレクトロクロミック表示素子に用いたとき、黒色発色を呈しさらに画像のメモリ性すなわち発色画像保持特性に優れたものとなる。なお、導電性または半導体性ナノ構造体とは、ナノ粒子もしくはナノポーラス構造体等、ナノスケールの凹凸を有する構造体である。
前述のように一般式(I)のうちに水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基を有する場合、例えば、本発明のエレクトロクロミック化合物が、結合または吸着構造としてスルホン酸基またはリン酸基あるいはカルボキシル基を有するとき、該エレクトロクロミック化合物は容易に前記ナノ構造体と複合化し、発色画像保持性に優れたエレクトロクロミック組成物となる。上記スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基はエレクトロクロミック化合物中に複数有していてもよい。また、本発明のエレクトロクロミック化合物が、シリル基又はシラノール基を有するとき、シロキサン結合を介して前記ナノ構造体と結合されてその結合は強固なものとなり、やはり安定なエレクトロクロミック組成物が得られる。ここで言うシロキサン結合とは、ケイ素原子および酸素原子を介した化学結合である。また、該エレクトロクロミック組成物は、前記エレクトロクロミック化合物と前記ナノ構造体がシロキサン結合を介して結合した構造をしていればよく、特にその結合方法・形態は限定しない。
前記導電性または半導体性ナノ構造体を構成する材質としては、透明性や導電性の面から金属酸化物が好ましい。このような金属酸化物の例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物が用いられる。また、これらの金属酸化物は、単独で用いられてもよく、2種以上が混合され用いられてもよい。
電気伝導性等の電気的特性や光学的性質等の物理的特性を鑑みるに、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステン等の金属酸化物から選ばれる一種、もしくはそれらの混合物が用いられたとき、発消色の応答速度に優れる。とりわけ、酸化チタンが用いられたとき、より発消色の応答速度に優れる。
前記金属酸化物の形状としては、平均一次粒子径が30nm以下の金属酸化物微粒子であることが好ましい。粒子径が小さいほど金属酸化物に対する光の透過率が向上し、単位体積当たりの表面積(以下、「比表面積」という。)が大きい形状が用いられる。大きな比表面積を有することで、より効率的にエレクトロクロミック化合物が担持され、発消色の表示コントラスト比に優れた多色カラー表示が可能である。ナノ構造の比表面積は、特に限定されるものではないが、例えば、100m/g以上とすることができる。
次に、本発明に係る表示素子について説明する。
本発明の表示素子は、表示電極と、該表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に配置された電解質とを備え、該表示電極の対向電極側の表面に、前記一般式(I)で表されるエレクトロクロミック化合物を含む表示層を有することを特徴とするものである。
図1に、本発明のエレクトロクロミック化合物を用いた一般的な表示素子の構成例を示す。図1に示すように、本発明の表示素子10は、表示電極1と、該表示電極1に対して間隔をおいて対向して設けられた対向電極2と、両電極(表示電極1と対向電極2)間に配置し,、少なくとも本発明の記載のエレクトロクロミック化合物(有機エレクトロクロミック化合物)4を溶解させた電解質3とを備える。本表示素子ではエレクトロクロミック化合物は電極表面でのみ酸化還元反応により発消色する。
図2に本発明のエレクトロクロミック化合物を用いたもう1つの一般的な表示素子の構成例を示す。
本発明の表示素子20は、表示電極1と、該表示電極1に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極2と、両電極(表示電極1と対向電極2)間に配置された電解質3とを備え、該表示電極1の表面に、少なくとも本発明のエレクトロクロミック組成物4aを含む表示層5を有する。また、対向電極2の表示電極1側に、白色粒子からなる白色反射層6を有する。
本発明のエレクトロクロミック組成物中のエレクトロクロミック化合物は、分子構造中に水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基(吸着基)、いわゆる、結合基を有しているものを用いることができるので、前記結合基が導電性または半導体性ナノ構造体に結合して、エレクトロクロミック組成物を構成することができる。そして、該エレクトロクロミック組成物が表示電極1上に層状に設けられて、表示層5が形成されている。
以下、本発明の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示素子10、20に用いられる構成材料について説明する。
表示電極1を構成する材料としては、透明導電基板を用いることが望ましい。透明導電基板としてはガラス、あるいはプラスチックフィルムに透明導電薄膜をコーティングしたものが望ましい。
透明導電薄膜材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、光の透過性を確保する必要があるため、透明且つ導電性に優れた透明導電性材料が用いられる。これにより、発色させる色の視認性をより高めることができる。
透明導電性材料としては、スズをドープした酸化インジウム(略:ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(略:FTO)、アンチモンをドープした酸化スズ(略:ATO)等の無機材料を用いることができるが、特に、インジウム酸化物(以下、In酸化物という)、スズ酸化物(以下、Sn酸化物という)、または亜鉛酸化物(以下、Zn酸化物という)の何れか1つを含む無機材料であることが好ましい。In酸化物、Sn酸化物およびZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。また、特に好ましい材料は、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOである。
表示電極1を設ける表示基板(符号は不表示)を構成する材料としては、ガラスあるいはプラスチック等が挙げられる。表示基板として、プラスチックフィルムを用いれば軽量でフレキシブルな表示素子を作製することができる。
対向電極2としては、ITO、FTO、酸化亜鉛等の透明導電膜、あるいは亜鉛、白金等の導電性金属膜、さらにはカーボンなどが用いられる。対向電極2も一般的には対向基板(符号は不表示)上に形成する。対向電極基板もガラス、あるいはプラスチックフィルムが望ましい。対向電極2として、チタン、亜鉛等の金属板が用いられる場合、対向電極2が基板を兼ねる。
さらに、対向電極2を構成する材料が、表示層のエレクトロクロミック組成物が起こす酸化還元反応と逆の逆反応を起こす材料を含む場合、安定した発消色が可能である。すなわち、エレクトロクロミック組成物が酸化により発色する場合は還元反応を起こし、エレクトロクロミック組成物が還元により発色する場合は酸化反応を起こす材料を対向電極2として用いると、エレクトロクロミック組成物を含む表示層5における発消色の反応がより安定となる。
電解質3を構成する材料としては、一般的に、支持塩を溶媒に溶解させたものが用いられる。
支持塩として、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的な例としては、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、CFSOLi、CFCOOLi、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF等を用いることができる。
また、溶媒として、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ―ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、が用いられる。
その他、支持塩を溶媒に溶解させた液体状の電解質に特に限定されるものではないため、ゲル状の電解質や、ポリマー電解質等の固体電解質も用いられる。例えば、パーフルオロスルホン酸系高分子膜などの固体系などがある。溶液系はイオン伝導度が高いという利点があり、固体系は劣化がなく高耐久性の素子を作製することに適している。
また、本発明の表示素子を反射型表示素子として用いる場合、図2に示すように、表示電極1と対向電極2の間に白色反射層6を設けることが望ましい。白色反射層6としては、白色顔料粒子を樹脂に分散させ対向電極2上に塗布することが最も簡便な作製方法である。
白色顔料微粒子としては、一般的な金属酸化物からなる粒子が適用でき、具体的には酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化セシウム、酸化イットリウムなどが挙げられる。また、ポリマー電解質に白色顔料粒子を混合することによって、白色反射層を兼ねることもできる。
表示素子10、20の駆動方法としては、任意の電圧、電流を印加することができればどのような方法を用いても構わない。パッシブ駆動方法を用いれば安価な表示素子を作製することができる。また、アクティブ駆動方法を用いれば高精細、かつ高速な表示をおこなうことができる。対向基板上にアクティブ駆動素子を設けることで容易にアクティブ駆動ができる。
図3に本発明のエレクトロクロミック化合物を用いたもう1つの一般的な調光素子の構成例を示す。
本発明の調光素子30は、表示電極1と、該表示電極1に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極2と、両電極(表示電極1と対向電極2)間に配置された電解質3とを備え、該表示電極1の表面に、少なくとも本発明のエレクトロクロミック組成物4aを含む表示層5を有する。
本発明のエレクトロクロミック組成物中のエレクトロクロミック化合物は、分子構造中に水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基(吸着基)、いわゆる、結合基を有しているものを用いることができるので、前記結合基が導電性または半導体性ナノ構造体に結合して、エレクトロクロミック組成物を構成することができる。そして、該エレクトロクロミック組成物が表示電極1上に層状に設けられて、表示層5が形成されている。
以下、本発明の実施の形態に係るエレクトロクロミック調光素子30に用いられる構成材料について説明する。
表示電極1を構成する材料としては、透明導電基板を用いる必要がある。透明導電基板としてはガラス、あるいはプラスチックフィルムに透明導電薄膜をコーティングしたものが望ましい。
透明導電薄膜材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、光の透過性を確保する必要があるため、透明且つ導電性に優れた透明導電性材料が用いられる。これにより、発色させる色の視認性をより高めることができる。
透明導電性材料としては、スズをドープした酸化インジウム(略:ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(略:FTO)、アンチモンをドープした酸化スズ(略:ATO)等の無機材料を用いることができるが、特に、インジウム酸化物(以下、In酸化物という)、スズ酸化物(以下、Sn酸化物という)、または亜鉛酸化物(以下、Zn酸化物という)の何れか1つを含む無機材料であることが好ましい。In酸化物、Sn酸化物およびZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。また、特に好ましい材料は、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOである。
表示電極1を設ける表示基板(符号は不表示)を構成する材料としては、ガラスあるいはプラスチック等が挙げられる。表示基板として、プラスチックフィルムを用いれば軽量でフレキシブルな表示素子を作製することができる。
対向電極2も、表示電極1同様に、透明導電基板を用いる必要がある。透明導電基板としてはガラス、あるいはプラスチックフィルムに透明導電薄膜をコーティングしたものが望ましい。
透明導電薄膜材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、光の透過性を確保する必要があるため、透明且つ導電性に優れた透明導電性材料が用いられる。これにより、発色させる色の視認性をより高めることができる。
透明導電性材料としては、スズをドープした酸化インジウム(略:ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(略:FTO)、アンチモンをドープした酸化スズ(略:ATO)等の無機材料を用いることができるが、特に、インジウム酸化物(以下、In酸化物という)、スズ酸化物(以下、Sn酸化物という)、または亜鉛酸化物(以下、Zn酸化物という)の何れか1つを含む無機材料であることが好ましい。In酸化物、Sn酸化物およびZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。また、特に好ましい材料は、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOである。
これも表示電極1同様に、対向電極2を設ける表示基板(符号は不表示)を構成する材料としては、ガラスあるいはプラスチック等が挙げられる。表示基板として、プラスチックフィルムを用いれば軽量でフレキシブルな表示素子を作製することができる。
さらに、対向電極2を構成する材料が、表示層のエレクトロクロミック組成物が起こす酸化還元反応と逆の逆反応を起こす材料を含む場合、安定した発消色が可能である。すなわち、エレクトロクロミック組成物が酸化により発色する場合は還元反応を起こし、エレクトロクロミック組成物が還元により発色する場合は酸化反応を起こす材料を対向電極2として用いると、エレクトロクロミック組成物を含む表示層5における発消色の反応がより安定となる。
電解質3を構成する材料としては、一般的に、支持塩を溶媒に溶解させたものが用いられる。調光素子の場合、特に、電解質3は無色透明である必要がある。
支持塩として、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的な例としては、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、CFSOLi、CFCOOLi、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF等を用いることができる。
また、溶媒として、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ―ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、が用いられる。
その他、支持塩を溶媒に溶解させた液体状の電解質に特に限定されるものではないため、ゲル状の電解質や、ポリマー電解質等の固体電解質も用いられる。例えば、パーフルオロスルホン酸系高分子膜などの固体系などがある。溶液系はイオン伝導度が高いという利点があり、固体系は劣化がなく高耐久性の素子を作製することに適している。
調光素子30の駆動方法としては、任意の電圧、電流を印加することができればどのような方法を用いても構わない。パッシブ駆動方法を用いれば安価な調光素子を作製することができる。また、透明なアクティブ駆動素子を用いれば高精細、かつ高速な調光をおこなうことができる。例えば、透明なアクティブ駆動素子としてはIGZOなどが挙げられる。
以下、実施例にて本発明のエレクトロクロミック化合物およびエレクトロクロミック組成物、またそれらを用いた表示素子若しくは調光素子について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<エレクトロクロミック化合物(9)[構造式(9)]の合成>
〈a〉中間体(9−1)の合成
Figure 0006387673
フラスコに2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジん3.0gを入れ、アルゴンガスで置換した後にジオキサン(100mL)、フェニルピリジンボロン酸ピナコールエステル (18.5g)、PdCl2(PPh3)2 (600 mg)を加えた。2M K2CO3 (17mL)を加え、50℃で14時間撹拌し,さらに室温で16時間撹拌した。内容物をセライトろ過し、ろ液に水、クロロホルムを加えて有機層を分離した後、水層をクロロホルムで3回抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ液を濃縮し、粗体を得た。(収量7.5 g)
シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒CHCl3/MeOH=93/7)で精製し、得られた固体をクロロホルム/ヘキサン中で分散洗浄し、濾取した固体を真空乾燥させ、白色の固体として目的物を得た(収量6.9g,収率78 %)
〈b〉エレクトロクロミック化合物(9)[構造式(9)]の合成
Figure 0006387673
25ml三つ口フラスコに、中間体(9−1) 0.5g、8−ブロモオクチルホスホン酸 4.0g、ジメチルホルムアミド 3.0mlを加え、90℃で8時間反応させた。室温に戻した後、この溶液を2−プロパノールに排出し、次いで、得られた固形分を2−プロパノール中に分散させた後、回収し、100℃で2日間減圧乾燥して目的物を得た。
収量1.1g、収率85%。
〔エレクトロクロミック表示素子の作製および評価〕
(a)表示電極およびエレクトロクロミック表示層の形成
まず、25mm×30mmのFTO導電膜付きガラス基板(AGCファブリテック製社)を準備し、その上面の19mm×15mmの領域に、酸化チタンナノ粒子分散液(昭和タイタニウム社製 SP210)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子膜を形成した。この酸化チタン粒子膜に構造式(22)で示される化合物の1wt%2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液を塗布液としてスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行うことによって酸化チタン粒子表面にエレクトロクロミック化合物を吸着させた表示層5を形成した。
なお、作製のエレクトロクロミック表示素子の構成は図2の構成に準ずる(白色反射層は除く)ものである。
(b)白色反射層の形成
さらに、この上に2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液に結着ポリマーとして、ウレタンペースト(DIC社製 HW140SF)10wt%溶解した溶液を準備し、この溶液に酸化チタン粒子(商品名:CR90 石原産業株式会社製、平均粒子径:約250nm)を50wt%分散したペーストをエレクトロクロミック層表面にスピンコート法により塗布し、120℃で5分間アニール処理を行うことにより、約1μmの白色反射層を形成した。
(c)対向電極の形成
一方、前記ガラス基板とは別に25mm×30mmのITO導電膜付きガラス基板(ジオマテック社製)を準備し、対向基板とした。
(d)エレクトロクロミック表示素子の作製
表示基板と対向基板を75μmのスペーサを介して貼り合わせ、セルを作製した。次に、過塩素酸テトラブチルアンモニウムをジメチルスルホキシドに20wt%を溶解させた電解質溶液を調製し、セル内に封入することでエレクトロクロミック表示素子を作製した。
[比較例1]
特許文献2(特開2011−102287号公報)に記載されている[化46]で示される下記構造式(44)で表されるエレクトロクロミック化合物を合成した。
Figure 0006387673
得られたエレクトロクロミック化合物を用いたほかは実施例1の(a)〜(d)と全く同じ方法で表示電極およびエレクトロクロミック表示層を形成し、エレクトロクロミック表示素子を作製した。
〔発消色比較試験1〕
石英セルに実施例1と比較例1で作製したエレクトロクロミック表示層を形成した表示電極(a)を各々入れ、対極として白金電極、参照電極としてAg/Ag+電極(ビー・エー・エス株式会社 RE−7)を用い,過塩素酸テトラブチルアンモニウムをジメチルスルホキシドに0.1Mを溶解させた電解液でセル内を満たした。この石英セルに重水素タングステンハロゲン光(オーシャンオプティクス社 DH−2000)を照射し、透過した光をスペクトロメータ(オーシャンオプティクス社 USB4000)で検出し、吸収スペクトルを測定した。消色状態および発色状態における吸収スペクトルを図4に示す。電圧印加前の消色状態では400nm〜700nmの可視域全体で吸収がなく透明であった。ポテンショスタット(ビー・エー・エス株式会社 ALS−660C)を用いて−1.5V電圧印加したところ、黒色発色を示した。
実施例1のエレクトロクロミック表示層(d)と比較例1のエレクトロクロミック表示層(d)との消色状態での吸収スペクトルの比較を図5に示す。比較例1は消色状態でも400nm付近に吸収が見られ、実施例1のエレクトロクロミック化合物より消色体に色づきがあった。
実施例1および比較例1で作製した各々のエレクトロクロミック表示素子(d)について、発消色の比較評価を実施した。発消色の評価は、大塚電子株式会社製分光測色装置MCPD7700を用いて拡散光を照射することで行った。色彩値はCIE L*a*b*の色空間で評価し,a* vs b*を図6にプロットした。
各々の表示素子への−4.0Vの電圧印加後の発色状態において、実施例1,比較例1のエレクトロクロミック表示素子ともにa* vs b*プロットの原点に非常に近く、ブラックとほぼ同様の色づきをしていることを確認できた。
電圧印加前の消色状態においては、a* vs b*プロットにおいて、原点にプロットされるジャパンカラーホワイトと比較して、実施例1はほぼ同様の色味を示している。一方、比較例1に関しては、b*の値が大きくなっており、黄色の色づきがあることが分かった。
以上の結果より、実施例1と比較例1のエレクトロクロミック表示素子を比較すると実施例1のほうがより消色状態の色づきがなく、白反射率が高いことが分かる。
[実施例2]
〔エレクトロクロミック調光素子の作製および評価〕
(a)表示電極およびエレクトロクロミック表示層の形成
まず、25mm×30mmのFTO導電膜付きガラス基板(AGCファブリテック製社)を準備し、その上面の19mm×15mmの領域に、酸化チタンナノ粒子分散液(昭和タイタニウム社製 SP210)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子膜を形成した。この酸化チタン粒子膜に構造式(9)で示される化合物の1wt%2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液を塗布液としてスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行うことによって酸化チタン粒子表面にエレクトロクロミック化合物を吸着させた表示層5を形成した。
なお、作製のエレクトロクロミック調光素子の構成は図3の構成に準ずる(白色反射層は除く)ものである。
(b)対向電極の形成
一方、前記ガラス基板とは別に25mm×30mmのITO導電膜付きガラス基板(ジオマテック社製)を準備し、対向基板とした。
(c)エレクトロクロミック調光素子の作製
表示基板と対向基板を75μmのスペーサを介して貼り合わせ、セルを作製した。次に、過塩素酸テトラブチルアンモニウムをジメチルスルホキシドに20wt%を溶解させた電解質溶液を調製し、セル内に封入することでエレクトロクロミック調光素子を作製した。
〔発消色比較試験2〕
実施例2で作製した調光素子(c)に重水素タングステンハロゲン光(オーシャンオプティクス社 DH−2000)を照射し、透過した光をスペクトロメータ(オーシャンオプティクス社 USB4000)で検出し、透過スペクトルを測定した。電圧印加前の消色状態では400nm〜700nmの可視域全体で吸収がなく透明であった。とくに、550nmの透過率は80%を示した。一方、この素子に−6.0Vで2秒間、電圧印加したところ、黒色発色を示し、550nmにおける透過率は25%にまで減少していることが確認できた。
この結果より、構造式(9)で示されるエレクトロクロミック化合物を用いることにより、高コントラストな調光素子ができた。
[実施例3]
<エレクトロクロミック化合物(10)[構造式(10)]の合成>
〈a〉中間体(10−1)の合成
Figure 0006387673
フラスコに2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン 3.0gを入れ、アルゴンガスで置換した後にジオキサン(100mL)、ピリジルボロン酸ピナコールエステル (9.0 g)、PdCl2(PPh3)2 (300mg)を加えた。2M K2CO3 (14mL)を加え、50℃で8時間撹拌し,さらに室温で10時間撹拌した。内容物をセライトろ過し、ろ液に水、クロロホルムを加えて有機層を分離した後、水層をクロロホルムで3回抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ液を濃縮し、粗体を得た。(収量4.5 g)
シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒CHCl/MeOH=93/7)で精製し、得られた固体をクロロホルム/ヘキサン中で分散洗浄し、濾取した固体を真空乾燥させ、白色の固体として目的物を得た(収量4.1g,収率81%)。
〈b〉エレクトロクロミック化合物(10)[構造式(10)]の合成
Figure 0006387673
実施例1〈b〉と同様にして、中間体(10−1)と8−ブロモオクチルホスホン酸を用いて、無色の粉末である目的物を得た。
〔エレクトロクロミック表示素子の作製および評価〕
使用したエレクトロクロミック化合物を実施例3で合成したものに替えた以外は実施例1と同じ方法でエレクトロクロミック表示素子を作製した。
〔発消色試験3〕
実施例1と同様の方法で吸収スペクトルを測定した結果を図7に示す。電圧印加前の消色状態では400nm〜700nmの可視域全体で吸収がなく透明であった。ポテンショスタット(ビー・エー・エス株式会社 ALS−660C)を用いて−1.5V電圧印加したところ、黒色発色を示した。
各々の実施例で作製したエレクトロクロミック表示素子に−3Vを3秒印加すると黒色に発色した。このときの550nmの反射率は下記の表の通りであった。
Figure 0006387673
1 表示電極
2 対向電極
3 電解質
4 エレクトロミック化合物
4a エレクトロミック組成物
5 表示層
6 白色反射層
10 表示素子
20 表示素子
30 調光素子
特開2006−267829号公報 特開2011−102287号公報

Claims (7)

  1. 下記一般式(I)で表されることを特徴とするエレクトロクロミック化合物。
    Figure 0006387673
    Figure 0006387673
    (式中、一般式(I)のX,X,Xのうち、少なくとも2つが一般式(II)の構造を有する。一般式(II)の構造が2つである場合、残りのX,X,Xのいずれかの部位は官能基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、あるいは、水素原子のいずれかである。Y〜Yは各々独立に水素原子または一価の基を示し、これら一価の基は置換基を有していてもよい。Rは官能基を有していてもよい一価の基を示し、これら一価の基は置換基を有していてもよく、Rの少なくとも1つが水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基を有する。mは0〜3のいずれかである。Aは1価のアニオンを表す。一般式(I)のX,X,Xに入る一般式(II)のY〜Y、m、Aの構造は独立して異なっていてもよい。
  2. 一般式(I)のX,X,Xのうち、2つが一般式(II)の構造を有することを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック化合物。
  3. 一般式(I)のX 〜X のうち、少なくとも1つが水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基を有することを特徴とする請求項1または2に記載のエレクトロクロミック化合物。
  4. 水酸基に対して直接的または間接的に結合可能な官能基が、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、シリル基及びシラノール基から選択される基であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物と導電性または半導体性ナノ構造体が結合または吸着されてなることを特徴とするエレクトロクロミック組成物。
  6. 表示電極と、該表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に配置された電解質とを備え、該表示電極の表面に、少なくとも請求項1乃至4のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物または該エレクトロクロミック化合物と請求項5に記載のエレクトロクロミック組成物を含む表示層を有することを特徴とする表示素子。
  7. 表示電極と、該表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に配置された電解質とを備え、該表示電極の表面に、少なくともエレクトロクロミック化合物またはエレクトロクロミック組成物を有する素子において、該エレクトロクロミック化合物またはエレクトロクロミック組成物が、請求項1乃至4のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物または請求項5に記載のエレクトロクロミック組成物であり、表示電極、対向電極、電解質が透明であることを特徴とする調光素子。
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