JP6386907B2 - 硬化性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、硬化性エポキシ樹脂組成物、該硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物、及び上記硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置に関する。
近年、光半導体装置の高出力化が進んでおり、このような光半導体装置において光半導体素子を被覆する樹脂(封止材)には、高い耐熱性や耐光性が求められている。従来、耐熱性が高い封止材を形成するための封止剤として、例えば、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートとビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む組成物が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、上記組成物を高出力の青色・白色光半導体用の封止剤として用いた場合には、光半導体素子から発せられる光や熱によって封止材の着色が進行し、本来出力されるべき光が吸収されてしまい、その結果、光半導体装置から出力される光の光度が経時で低下するという問題が生じていた。
高い耐熱性及び耐光性を有し、黄変しにくい硬化物(封止材)を形成する封止剤として、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレートとε−カプロラクトンの付加物、1,2,8,9−ジエポキシリモネン等の脂環骨格を有する液状の脂環式エポキシ樹脂が知られている。しかし、これらの脂環式エポキシ樹脂の硬化物は各種応力に弱く、例えば、冷熱サイクル(加熱と冷却を周期的に繰り返すこと)のような熱衝撃が加えられた場合に、クラック(ひび割れ)が発生する等の問題が生じていた。
また、光半導体装置(例えば、表面実装型の光半導体装置)は、はんだ付けにより光半導体装置の電極を配線基板に接合するためのリフロー工程を経るのが一般的である。近年、接合材としてのはんだとして、融点の高い無鉛はんだが使用されるようになってきており、リフロー工程での加熱処理がより高温(例えば、ピーク温度が240〜260℃)になってきている。このような状況下、従来の光半導体装置においては、リフロー工程での加熱処理により封止材が光半導体装置のリードフレームから剥離したり、封止材にクラックが生じたりする等の劣化の問題が生じていた。さらに、従来耐熱性に優れるとされる封止材を使用した場合であっても、リフロー工程における高温の熱によって封止材の着色(黄変等)が進行し、光度が低下する問題が生じていた。
このため、光半導体装置における封止材には、高い耐熱性、耐光性に加え、熱衝撃が加えられた場合にもクラックが生じにくい特性(「耐熱衝撃性」と称する場合がある)、及び、リフロー工程において加熱処理された際にもクラックや剥離が生じにくい特性が求められている。特に、近年、封止材のより高い信頼性確保の観点から、光半導体装置を高湿条件下で一定時間(例えば、30℃、60%RHの条件下で192時間;60℃、60%RHの条件下で52時間等)置いて吸湿させた後にリフロー工程で加熱処理した場合にもなお、上述のクラックや剥離が生じにくいこと(このような特性を「耐吸湿リフロー性」と称する場合がある)も求められている。
特開2000−344867号公報
光半導体装置における封止材に上述のクラックや剥離が生じた場合には、光半導体装置の全光束の相対光度の低下(光度低下)や不点灯といった品質低下の問題が生じる。
従って、本発明の目的は、優れた耐熱性及び耐熱衝撃性を有し、特に、加熱(特に、リフロー工程における加熱)による着色が抑制された硬化物を形成できる硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、優れた耐熱性及び耐熱衝撃性を有し、特に、加熱(特に、リフロー工程における加熱)による着色が抑制された硬化物を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、耐熱衝撃性及び耐吸湿リフロー性に優れ、加熱や経時による光度低下等の劣化が生じにくい光半導体装置を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定量の特定種のエポキシ化合物と、特定種の硬化剤と、特定種の硬化促進剤とを必須成分として含む硬化性エポキシ樹脂組成物によると、優れた耐熱性及び耐熱衝撃性を有し、特に、加熱(特に、リフロー工程における加熱)による着色が抑制された硬化物を形成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、エポキシ化合物(A)と、酸無水物系硬化剤(B)と、第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)とを含み、
エポキシ化合物(A)として、該エポキシ化合物(A)の全量(100重量%)に対し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂30〜90重量%、及び脂環式エポキシ化合物10〜70重量%を含み、
第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)として、下記式(1)
Figure 0006386907
[式中、R1は、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基、又はアリール基を示す。R2は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。X-は、有機スルホン酸の共役塩基を示す。]
で表される化合物(C−1)、及び下記式(2)
Figure 0006386907
[式中、R3は、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基、又はアリール基を示す。R4は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。Z-は、酸性リン酸エステルの共役塩基を示す。]
で表される化合物(C−2)を含むことを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
さらに、酸無水物系硬化剤(B)が、非芳香族酸無水物系硬化剤である前記の硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、前記の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物を提供する。
さらに、光半導体封止用樹脂組成物である前記の硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、前記の硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置を提供する。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は上記構成を有するため、該樹脂組成物を硬化させることにより、優れた耐熱性及び耐熱衝撃性を有し、特に、加熱(特に、リフロー工程における加熱)による着色が抑制された硬化物が得られる。このため、特に、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を光半導体封止用樹脂組成物として使用することにより、耐熱衝撃性及び耐吸湿リフロー性に優れ、加熱や経時による光度低下等の劣化が生じにくい光半導体装置が得られる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置の一実施形態を示す概略図である。左側の図(a)は斜視図であり、右側の図(b)は断面図である。 実施例のはんだ耐熱性試験における光半導体装置の表面温度プロファイル(二度の加熱処理のうち一方の加熱処理における温度プロファイル)の一例である。
<硬化性エポキシ樹脂組成物>
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、エポキシ化合物(A)と、酸無水物系硬化剤(B)と、第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)とを必須成分として含む組成物(硬化性組成物)である。中でも後述のように、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、エポキシ化合物(A)として、該エポキシ化合物(A)の全量(100重量%)に対し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂30〜90重量%、及び脂環式エポキシ化合物10〜70重量%を含み、なおかつ第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)として、後述の化合物(C−1)及び化合物(C−2)を必須成分として含む。
[エポキシ化合物(A)]
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物におけるエポキシ化合物(A)は、分子内に1個以上のエポキシ基(オキシラン環)を有する化合物であり、公知乃至慣用のエポキシ化合物から任意に選択して使用することができる。エポキシ化合物(A)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂)等、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタンから得られるエポキシ樹脂等の芳香族エポキシ化合物(芳香族エポキシ樹脂);脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物(脂肪族エポキシ樹脂);脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)、複素環式エポキシ化合物(複素環式エポキシ樹脂)、分子内にエポキシ基を1個以上有するシロキサン誘導体等が挙げられる。
エポキシ化合物(A)は、公知乃至慣用の方法により製造して得ることもできるし、市販品を入手することもできる。
中でも、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、エポキシ化合物(A)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(「ビスフェノールA型エポキシ樹脂(A−1)」と称する場合がある)、及び脂環式エポキシ化合物(「脂環式エポキシ化合物(A−2)」と称する場合がある)を含む。これにより、硬化物の耐熱性、被着体に対する密着性、及び耐熱衝撃性を共立させることができる。なお、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物においては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(A−1)及び脂環式エポキシ化合物(A−2)に加えて、その他のエポキシ化合物(A)を併用してもよい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(A−1)は、分子内に1個以上のビスフェノールA骨格と、1個以上のエポキシ基とを有する化合物であり、周知慣用のビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用することができる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(A−1)のエポキシ当量は、特に限定されないが、2000(g/当量)以下が好ましく、より好ましくは1000以下である。ビスフェノールA型エポキシ樹脂(A−1)のエポキシ当量を2000以下とすることにより、硬化性エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎず、取り扱い性が向上する傾向がある。上記エポキシ当量の下限は、特に限定されないが、30以上が好ましく、より好ましくは50以上である。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(A−1)の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、10000以下が好ましく、より好ましくは8000以下である。ビスフェノールA型エポキシ樹脂(A−1)の重量平均分子量を10000以下とすることにより、硬化性エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎず、取り扱い性が向上する傾向がある。上記重量平均分子量の下限は、特に限定されないが、60以上が好ましく、より好ましくは100以上である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物においてビスフェノールA型エポキシ樹脂(A−1)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(A−1)は公知乃至慣用の方法により製造して得ることもできるし、例えば、商品名「YD−128」(新日鐡住金化学(株)製)等の市販品を入手することもできる。
脂環式エポキシ化合物(A−2)は、分子内に1個以上の脂環(脂肪族炭化水素環)と1個以上のエポキシ基とを有する化合物である。脂環式エポキシ化合物(A−2)としては、例えば、(i)分子内に脂環エポキシ基(脂環を構成する隣接する2個の炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基)を少なくとも1個(好ましくは2個以上)有する化合物;(ii)脂環に直接単結合で結合したエポキシ基を有する化合物;(iii)脂環とグリシジル基とを有する化合物等が挙げられる。
上述の(i)分子内に脂環エポキシ基を少なくとも1個有する化合物が有する脂環エポキシ基としては、特に限定されないが、中でも硬化性の観点で、シクロヘキセンオキシド基(シクロヘキサン環を構成する隣接する2個の炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基)が好ましい。特に、(i)分子内に脂環エポキシ基を少なくとも1個有する化合物としては、硬化物の透明性、耐熱性の観点で、分子内に2個以上のシクロヘキセンオキシド基を有する化合物が好ましく、より好ましくは下記式(I)で表される化合物である。
Figure 0006386907
上記式(I)中、Aは単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、これらが複数個連結した基等が挙げられる。なお、式(I)におけるシクロヘキサン環(シクロヘキセンオキシド基)を構成する炭素原子の1以上には、アルキル基等の置換基が結合していてもよい。
式(I)中のAが単結合である化合物としては、3,4,3',4'−ジエポキシビシクロヘキサン等が挙げられる。
上記二価の炭化水素基としては、炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。上記二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等の二価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルケニレン基(アルカポリエニレン基も含まれる)等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記連結基Aとしては、特に、酸素原子を含有する連結基が好ましく、具体的には、−CO−、−O−CO−O−、−COO−、−O−、−CONH−、エポキシ化アルケニレン基;これらの基が複数個連結した基;これらの基の1又は2以上と二価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基等が挙げられる。二価の炭化水素基としては上記で例示したものが挙げられる。
式(I)で表される化合物の代表的な例としては、下記式(I−1)〜(I−10)で表される化合物、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン等が挙げられる。なお、下記式(I−5)、(I−7)中のl、mは、それぞれ1〜30の整数を表す。下記式(I−5)中のRは炭素数1〜8のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。下記式(I−9)、(I−10)中のn1〜n6は、それぞれ1〜30の整数を示す。
Figure 0006386907
Figure 0006386907
上述の(ii)脂環に直接単結合で結合したエポキシ基を有する化合物としては、例えば、下記式(II)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006386907
式(II)中、R’は、構造式上、p価のアルコールの構造式からp個の水酸基(−OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、nはそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R’(OH)p]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコール(炭素数1〜15のアルコール等)等が挙げられる。pは1〜6が好ましく、nは1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの( )内(外側の括弧内)の基におけるnは同一でもよく異なっていてもよい。上記式(II)で表される化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等が挙げられる。
上述の(iii)脂環とグリシジル基とを有する化合物としては、例えば、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を水素化したもの(水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂)等;ビス[o,o−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[o,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[p,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を水素化したもの(水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂)等;水添ビフェノール型エポキシ樹脂;水添ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、水添フェノールノボラック型エポキシ樹脂、水添クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAの水添クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);水添ナフタレン型エポキシ樹脂;トリスフェノールメタンから得られるエポキシ樹脂の水添エポキシ樹脂等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物(A−2)としては、その他、例えば、1,2,8,9−ジエポキシリモネン等も挙げられる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物において脂環式エポキシ化合物(A−2)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。脂環式エポキシ化合物(A−2)は公知乃至慣用の方法により製造して得ることもできるし、例えば、商品名「セロキサイド2021P」、「セロキサイド2081」(以上、(株)ダイセル製)等の市販品を入手することもできる。
脂環式エポキシ化合物(A−2)としては、式(I−1)で表される化合物[3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート;例えば、商品名「セロキサイド2021P」((株)ダイセル製)等]が特に好ましい。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物におけるエポキシ化合物(A)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物(100重量%)に対して、10〜95重量%が好ましく、より好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜60重量%である。エポキシ化合物(A)の含有量を上記範囲に制御することにより、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化性がより向上したり、硬化物の耐熱性や機械強度がより向上する傾向がある。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物におけるビスフェノールA型エポキシ樹脂(A−1)の含有量(配合量)は、エポキシ化合物(A)の全量(100重量%)に対して30〜90重量%であり、好ましくは40〜85重量%、さらに好ましくは50〜80重量%である。ビスフェノールA型エポキシ樹脂(A−1)の含有量を30重量%以上とすることにより、硬化物の被着体に対する密着性が向上する。一方、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(A−1)の含有量を90重量%以下とすることにより、硬化物の耐熱衝撃性が向上し、加熱による着色が抑制される。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における脂環式エポキシ化合物(A−2)の含有量(配合量)は、エポキシ化合物(A)の全量(100重量%)に対して10〜70重量%であり、好ましくは15〜60重量%、さらに好ましくは20〜50重量%である。脂環式エポキシ化合物(A−2)の含有量を10重量%以上とすることにより、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化性、硬化物の耐熱性が向上する。一方、脂環式エポキシ化合物(A−2)の含有量を70重量%以下とすることにより、硬化物の耐熱衝撃性が向上する。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物(A)の全量(100重量%)に対するビスフェノールA型エポキシ樹脂(A−1)と脂環式エポキシ化合物(A−2)の合計量の割合は、特に限定されないが、70重量%以上(例えば、70〜100重量%)が好ましく、より好ましくは80重量%以上(例えば、80〜99重量%)、さらに好ましくは90重量%以上(例えば、90〜98重量%)である。中でも、エポキシ化合物(A)は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(A−1)及び脂環式エポキシ化合物(A−2)のみからなる(上記割合が100重量%である)ことが好ましい。上記割合を70重量%以上とすることにより、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化性、硬化物の耐熱性、耐熱衝撃性、被着体に対する密着性が向上する。
[酸無水物系硬化剤(B)]
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における酸無水物系硬化剤(B)は、エポキシ化合物(A)と反応することにより硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させる働きを有する化合物である。また、数あるエポキシ樹脂用硬化剤の中でも、特に、酸無水物系硬化剤(B)を使用することで、硬化時の着色が抑制され、色相に優れた硬化物が得られる。
酸無水物系硬化剤(B)としては、エポキシ樹脂用硬化剤として周知慣用の酸無水物類を使用することができ、特に限定されないが、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸等)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等)、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸(1−メチル無水ナジック酸、5−メチル無水ナジック酸等)、水素化メチルナジック酸無水物、4−(4−メチル−3−ペンテニル)テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、無水セバシン酸、無水ドデカン二酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物(1−メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、5−メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物等)、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。中でも、取り扱い性の観点で、25℃で液状の酸無水物[例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等]が好ましい。一方、25℃で固体状の酸無水物については、例えば、25℃で液状の酸無水物に溶解させて液状の混合物とすることで、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における酸無水物系硬化剤(B)としての取り扱い性が向上する傾向がある。また、酸無水物系硬化剤(B)としては、硬化物の耐熱性、透明性の観点で、非芳香族酸無水物(非芳香族酸無水物系硬化剤)が好ましく、より好ましくは飽和単環炭化水素ジカルボン酸の無水物(環にアルキル基等の置換基が結合したものも含む)である。
なお、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物において酸無水物系硬化剤(B)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、酸無水物系硬化剤(B)は公知乃至慣用の方法により製造して得ることもできるし、例えば、商品名「リカシッド MH−700」、「リカシッド MH−700F」(以上、新日本理化(株)製);商品名「HN−5500」(日立化成工業(株)製)等の市販品を入手することもできる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における酸無水物系硬化剤(B)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量100重量部に対して、50〜200重量部が好ましく、より好ましくは80〜150重量部である。より具体的には、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ基を有する化合物におけるエポキシ基1当量あたり、0.5〜1.5当量となる割合で使用することが好ましい。酸無水物系硬化剤(B)の含有量を50重量部以上とすることにより、硬化を十分に進行させることができ、硬化物の強靭性がより向上する傾向がある。一方、酸無水物系硬化剤(B)の含有量を200重量部以下とすることにより、着色が抑制され、色相に優れた硬化物が得られる傾向がある。
なお、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物においては、酸無水物系硬化剤(B)以外の硬化剤(他の硬化剤)を併用することもできる。他の硬化剤としては、例えば、アミン類(アミン系硬化剤)、ポリアミド樹脂、イミダゾール類(イミダゾール系硬化剤)、ポリメルカプタン類(ポリメルカプタン系硬化剤)、フェノール類(フェノール系硬化剤)、ポリカルボン酸類、ジシアンジアミド類、有機酸ヒドラジド等が挙げられる。他の硬化剤の使用量は、特に限定されないが、硬化剤の全量(100重量%)に対して、0〜20重量%(特に、0〜5重量%)の範囲から適宜選択可能である。
[第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)]
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)は、ホスホニウムイオンとその対イオン(アニオン)とで構成される塩である。第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)としては、ホスホニウムイオンとその対イオンとで構成されるものであればよく、例えば、テトラフェニルホスホニウムテトラ(p−トリル)ボレート等の公知乃至慣用の化合物(第四級ホスホニウム塩)を使用することができる。第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)は、公知乃至慣用の方法により製造して得ることもできるし、市販品を入手することもできる。
中でも、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)として、下記式(1)で表される化合物(「化合物(C−1)」と称する場合がある)、及び下記式(2)で表される化合物(「化合物(C−2)」と称する場合がある)を含む。これにより、加熱による硬化物の着色、特に、リフロー工程における加熱による着色が高度に抑制される。なお、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物においては、化合物(C−1)及び化合物(C−2)に加え、その他の第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)を併用してもよい。
Figure 0006386907
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式(1)中、R1は、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基、又はアリール基を示す。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、s−ヘキシル基、t−ヘキシル基、ネオヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基等の炭素数3〜10の環状アルキル基(シクロアルキル基)等が挙げられる。また、アリール基としては、例えば、フェニル基、置換フェニル基(例えば、トリル基、キシリル基、メシチル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基等)、ナフチル基等が挙げられる。中でも、式(1)中のR1としては、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化性、加熱による硬化物の着色抑制の観点で、アリール基が好ましく、より好ましくはフェニル基、置換フェニル基である。
式(1)中、R2は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状アルキル基が挙げられる。中でも、式(1)中のR2としては、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化性、加熱による硬化物の着色抑制の観点で、炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基、エチル基である。
式(1)中、X-は、有機スルホン酸の共役塩基を示す。上記有機スルホン酸としては、公知乃至慣用の有機スルホン酸が挙げられ、特に限定されない。具体的には、X-(有機スルホン酸の共役塩基)としては、例えば、下記式(1a)で表される脂肪族スルホン酸の共役塩基、下記式(1b)で表される芳香族スルホン酸の共役塩基等が挙げられる。特に、加熱による硬化物の着色抑制の観点で、式(1)中のX-は、式(1a)で表される脂肪族スルホン酸の共役塩基、又は式(1b)で表される芳香族スルホン酸の共役塩基が好ましい。
Figure 0006386907
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式(1a)中、Raは、炭素数1〜16の直鎖又は分岐鎖状アルキル基を示す。Raとしては、特に、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、s−ヘキシル基、s−ヘキシル基、t−ヘキシル基、ネオヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等の炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
式(1a)で表される脂肪族スルホン酸の共役塩基としては、より詳しくは、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、2−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ペンタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸の共役塩基が挙げられる。
中でも、式(1a)で表される脂肪族スルホン酸の共役塩基としては、メタンスルホン酸の共役塩基が好ましい。
式(1b)中、Rb〜Rfは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜16の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基、アルコキシ基、又は、ハロゲン原子を示す。Rb〜Rfとしての炭素数1〜16の直鎖又は分岐鎖状アルキル基としては、特に、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、s−ヘキシル基、t−ヘキシル基、ネオペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
b〜Rfとしてのアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状アルコキシ基等が挙げられる。中でも、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。Rb〜Rfとしてのハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。中でも、塩素原子が好ましい。
式(1b)で表される芳香族スルホン酸の共役塩基としては、より詳しくは、例えば、ベンゼンスルホン酸、モノアルキルベンゼンスルホン酸、ジアルキルベンゼンスルホン酸、モノアルコキシベンゼンスルホン酸、モノハロベンゼンスルホン酸等の芳香族スルホン酸の共役塩基が挙げられる。上記モノアルキルベンゼンスルホン酸としては、例えば、2−、3−、又は4−モノ(炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖状アルキル)ベンゼンスルホン酸が挙げられ、より具体的には、p−トルエンスルホン酸、4−エチルベンゼンスルホン酸、3−(直鎖又は分岐鎖状オクチル)ベンゼンスルホン酸、4−(直鎖又は分岐鎖状オクチル)ベンゼンスルホン酸、3−(直鎖又は分岐鎖状ドデシル)ベンゼンスルホン酸、4−(直鎖又は分岐鎖状ドデシル)ベンゼンスルホン酸等が挙げられる。上記ジアルキルベンゼンスルホン酸としては、例えば、ジ(炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖状アルキル)ベンゼンスルホン酸が挙げられ、よる具体的には、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。上記モノアルコキシベンゼンスルホン酸としては、例えば、モノ(炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状アルコキシ)ベンゼンスルホン酸が挙げられ、より具体的には、4−メトキシベンゼンスルホン酸、4−エトキシベンゼンスルホン酸等が挙げられる。上記モノハロベンゼンスルホン酸としては、例えば、4−クロロベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
中でも、式(1b)で表される芳香族スルホン酸の共役塩基としては、特に、ベンゼンスルホン酸の共役塩基、4−クロロベンゼンスルホン酸の共役塩基、n−ドデシルベンゼンスルホン酸の共役塩基、分岐鎖状ドデシルベンゼンスルホン酸の共役塩基が好ましい。
特に、式(1)中のX-としては、メタンスルホン酸の共役塩基が好ましい。
化合物(C−1)は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、化合物(C−1)は、周知慣用の製造方法(例えば、特開2010−106131号公報に開示された製造方法等)により得ることもできるし、市販品を入手することもできる。
式(2)中、R3は、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基、又はアリール基を示す。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、s−ヘキシル基、t−ヘキシル基、ネオヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基等の炭素数3〜10の環状アルキル基(シクロアルキル基)等が挙げられる。また、アリール基としては、例えば、フェニル基、置換フェニル基(例えば、トリル基、キシリル基、メシチル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基等)、ナフチル基等が挙げられる。中でも、式(2)中のR3としては、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化性、加熱による硬化物の着色抑制の観点で、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状アルキル基である。
式(2)中、R4は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状アルキル基が挙げられる。中でも、式(2)中のR4としては、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化性、加熱による硬化物の着色抑制の観点で、炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。
式(2)中、Z-は、酸性リン酸エステルの共役塩基を示す。上記酸性リン酸エステルとしては、公知乃至慣用の酸性リン酸エステルが挙げられ、特に限定されないが、例えば、リン酸モノエステル(リン酸モノアルキルエステル等)、リン酸ジエステル(リン酸ジアルキルエステル等)等が挙げられる。より具体的には、Z-(酸性リン酸エステルの共役塩基)としては、加熱による硬化物の着色抑制の観点で、下記式(2a)で表される酸性リン酸エステルの共役塩基が好ましい。
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式(2a)中、Rg及びRhは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基、又はアリール基を示す。Rg及びRhの具体例としては、R3として挙げたものと同様の基が挙げられる。中でも、式(2a)中のRg及びRhとしては、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化性、加熱による硬化物の着色抑制の観点で、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基である。
化合物(C−2)は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。化合物(C−2)は、周知慣用の製造方法により得ることもできるし、例えば、商品名「ヒシコーリンPX−4MP」(日本化学工業(株)製)等の市販品を入手することもできる。
なお、第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)としては、化合物(C−1)及び化合物(C−2)のみを使用することもできるし、化合物(C−1)及び化合物(C−2)以外の化合物(例えば、式(1)中のX-の代わりにハロゲンアニオンを有する化合物等)を併用することもできる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部である。第四級ホスホニウム塩(C)の含有量を上記範囲に制御することにより、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化性がより向上し、加熱による硬化物の着色がより抑制される傾向がある。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における化合物(C−1)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)の全量(100重量%)に対して、10〜90重量%が好ましく、より好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%である。化合物(C−1)の含有量を10重量%以上とすることにより、硬化物の耐熱性(特に、光半導体装置の耐吸湿リフロー性)がより向上し、加熱による硬化物の着色がより抑制される傾向がある。一方、化合物(C−1)の含有量を90重量%以下とすることにより、硬化物の耐熱性(特に、光半導体装置の耐吸湿リフロー性)及び耐熱衝撃性がより向上し、加熱による硬化物の着色がより抑制される傾向がある。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における化合物(C−2)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)の全量(100重量%)に対して、10〜90重量%が好ましく、より好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%である。化合物(C−2)の含有量を10重量%以上とすることにより、硬化物の耐熱性(特に、光半導体装置の耐吸湿リフロー性)及び耐熱衝撃性がより向上し、加熱による硬化物の着色がより抑制される傾向がある。一方、化合物(C−2)の含有量を90重量%以下とすることにより、硬化物の耐熱性(特に、光半導体装置の耐吸湿リフロー性)がより向上し、加熱による硬化物の着色がより抑制される傾向がある。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれる化合物(C−1)と化合物(C−2)との割合(重量基準)[化合物(C−1)/化合物(C−2)]は、特に限定されないが、10/90〜90/10が好ましく、より好ましくは30/70〜70/30である。上記割合を上記範囲に制御することにより、加熱による硬化物の着色が高度に抑制される傾向がある。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれる第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)の全量(100重量%)に対する化合物(C−1)と化合物(C−2)の合計量の割合は、特に限定されないが、80重量%以上(例えば、80〜100重量%)が好ましく、より好ましくは90重量%以上(例えば、90〜97重量%)、さらに好ましくは95重量%以上である。中でも、第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)は、化合物(C−1)及び化合物(C−2)のみからなる(上記割合が100重量%である)ことが好ましい。上記割合を80重量%以上とすることにより、加熱による硬化物の着色が著しく抑制される傾向がある。
なお、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物においては、第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)以外の硬化促進剤(他の硬化促進剤)を併用することもできる。他の硬化促進剤としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)又はその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩等);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)又はその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩等);ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等の三級アミン;テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルモノアリールアンモニウム塩、ジアルキルジアリールアンモニウム塩、モノアルキルトリアリールアンモニウム塩、テトラアリールアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩;2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール;リン酸エステル、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;オクチル酸亜鉛やオクチル酸スズ等の有機金属塩;金属キレート等が挙げられる。他の硬化促進剤の使用量は、特に限定されないが、硬化促進剤の全量(100重量%)に対して、0〜20重量%(特に、0〜5重量%)の範囲から適宜選択可能である。
[添加剤]
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、上記以外にも、本発明の効果を損なわない範囲内で各種添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のヒドロキシ基を有する化合物を含有させると、反応を緩やかに進行させることができる。その他にも、粘度や透明性を損なわない範囲内で、シリコーン系やフッ素系消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤(例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランや3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等)、界面活性剤、無機充填剤(例えば、シリカ、アルミナ等)、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、イオン吸着体、顔料、蛍光体(例えば、YAG系の蛍光体微粒子、シリケート系蛍光体微粒子等の無機蛍光体微粒子等)、離型剤、ゴム粒子(例えば、コアシェル構造を有するゴム粒子等)等の慣用の添加剤を使用することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、特に限定されないが、上記の各成分を、必要に応じて加熱した状態で攪拌・混合することにより調製することができる。なお、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、各成分があらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物として使用することもできるし、例えば、別々に保管しておいた2以上の成分を使用前に所定の割合で混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物として使用することもできる。上記攪拌・混合の方法は、特に限定されず、例えば、ディゾルバー、ホモジナイザー等の各種ミキサー、ニーダー、ロール、ビーズミル、自公転式攪拌装置等の公知乃至慣用の撹拌・混合手段を使用できる。また、攪拌・混合後、減圧下ないし真空下にて脱泡してもよい。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物の25℃における粘度は、特に限定されないが、60〜10000mPa・sが好ましく、より好ましくは100〜9000mPa・s、さらに好ましくは150〜8000mPa・sである。25℃における粘度を60mPa・s以上とすることにより、注型時の作業性が向上したり、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。一方、25℃における粘度を10000mPa・s以下とすることにより、注型時の作業性が向上したり、硬化物に注型不良に由来する不具合が生じにくくなる傾向がある。なお、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物の25℃における粘度は、デジタル粘度計(型番「DVU−EII型」、(株)トキメック製)を用いて、ローター:標準1°34′×R24、温度:25℃、回転数:0.5〜10rpmの条件で測定される。
<硬化物>
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させることにより、優れた耐熱性及び耐熱衝撃性を有し、特に、加熱(特に、リフロー工程における加熱)による着色が抑制された硬化物(本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物を「本発明の硬化物」と称する場合がある)が得られる。硬化の手段としては、加熱処理や光照射処理等の公知乃至慣用の手段を利用できる。加熱により硬化させる際の温度(硬化温度)は、特に限定されないが、45〜200℃が好ましく、より好ましくは50〜190℃、さらに好ましくは55〜180℃である。また、硬化の際に加熱する時間(硬化時間)は、特に限定されないが、30〜600分が好ましく、より好ましくは45〜540分、さらに好ましくは60〜480分である。硬化温度と硬化時間が上記範囲の下限値より低い場合は硬化が不十分となり、逆に上記範囲の上限値より高い場合は樹脂成分の分解が起きる場合があるので、いずれも好ましくない。硬化条件は種々の条件に依存するが、例えば、硬化温度を高くした場合は硬化時間を短く、硬化温度を低くした場合は硬化時間を長くする等により、適宜調整することができる。また、硬化は、一段階で行うこともできるし、二段階以上の多段階に分けて行うこともできる。
<光半導体封止用樹脂組成物>
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、光半導体装置における光半導体素子を封止するための樹脂組成物、即ち、光半導体封止用樹脂組成物(光半導体装置における光半導体素子の封止剤)として好ましく使用できる。本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を光半導体封止用樹脂組成物として用いることにより、優れた耐熱性及び耐熱衝撃性を有し、特に、加熱(特に、リフロー工程における加熱)による着色が抑制された硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置が得られる。上記光半導体装置は、耐熱衝撃性及び耐吸湿リフロー性に優れ、加熱や経時による光度低下等の劣化が生じにくい等、耐久性が高い。
<光半導体装置>
本発明の光半導体装置は、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物(光半導体封止用樹脂組成物)の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置である。光半導体素子の封止は、例えば、上述の方法で調製した硬化性エポキシ樹脂組成物を所定の成形型内に注入し、所定の条件で硬化させて行うことができる。これにより、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置が得られる。硬化温度と硬化時間は、特に限定されず、例えば、硬化物の調製時と同様の範囲で適宜設定することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、上述の光半導体素子の封止用途に限定されず、例えば、接着剤、電気絶縁材、積層板、コーティング、インク、塗料、シーラント、レジスト、複合材料、透明基材、透明シート、透明フィルム、光学素子、光学レンズ、光学部材、光造形、電子ペーパー、タッチパネル、太陽電池基板、光導波路、導光板、ホログラフィックメモリ、光ピックアップセンサー等の各種用途に使用することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、表1における「−」は、当該成分の配合を行わなかったことを意味する。また、表1に示す成分の量(割合)の単位は重量部である。
製造例1
(メチルトリフェニルホスホニウムメタンスルホン酸塩の製造)
攪拌式のオートクレーブに、炭酸ジメチル120重量部、メタノール120重量部、及びトリフェニルホスフィン262重量部を仕込み、反応温度120℃にて10時間反応させて、メチルトリフェニルホスホニウムモノメチル炭酸塩のメタノール溶液を得た。
次いで、メタンスルホン酸98重量部が入った反応容器に、上記で得られたメチルトリフェニルホスホニウムモノメチル炭酸塩のメタノール溶液24重量部を徐々に加え、発生する炭酸ガスを除去し、さらに減圧にして残存のメタノールを除去して、メチルトリフェニルホスホニウムメタンスルホン酸塩を得た。
製造例2
(エチルトリフェニルホスホニウムメタンスルホン酸塩の製造)
炭酸ジメチルを炭酸ジエチル150重量部に変更したこと以外は製造例1と同様の操作を行い、エチルトリフェニルホスホニウムメタンスルホン酸塩を得た。
製造例3
(エポキシ硬化剤の製造)
硬化剤(商品名「リカシッドMH−700」、新日本理化(株)製)100重量部、メチルトリフェニルホスホニウムメタンスルホン酸塩0.5重量部、商品名「PX−4MP」(日本化学工業(株)製)0.5重量部、及びエチレングリコール(和光純薬工業(株)製)1重量部を、自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎 AR−250」、(株)シンキー製、以下同じ)を用いて混合し、エポキシ硬化剤(K剤)を製造した。
製造例4
(エポキシ硬化剤の製造)
硬化剤(商品名「リカシッドMH−700」、新日本理化(株)製)100重量部、エチルトリフェニルホスホニウムメタンスルホン酸塩0.5重量部、商品名「PX−4MP」(日本化学工業(株)製)0.5重量部、及びエチレングリコール(和光純薬工業(株)製)1重量部を、自公転式攪拌装置を用いて混合し、エポキシ硬化剤(K剤)を製造した。
製造例5
(エポキシ硬化剤の製造)
硬化剤(商品名「リカシッドMH−700」、新日本理化(株)製)100重量部、メチルトリフェニルホスホニウムメタンスルホン酸塩1.0重量部、及びエチレングリコール(和光純薬工業(株)製)1重量部を、自公転式攪拌装置を用いて混合し、エポキシ硬化剤(K剤)を製造した。
製造例6
(エポキシ硬化剤の製造)
硬化剤(商品名「リカシッドMH−700」、新日本理化(株)製)100重量部、商品名「PX−4MP」(日本化学工業(株)製)1.0重量部、及びエチレングリコール(和光純薬工業(株)製)1重量部を、自公転式攪拌装置を用いて混合し、エポキシ硬化剤(K剤)を製造した。
製造例7
(エポキシ硬化剤の製造)
硬化剤(商品名「リカシッドMH−700」、新日本理化(株)製)100重量部、商品名「U−CAT 18X」(サンアプロ(株)製)1.0重量部、及びエチレングリコール(和光純薬工業(株)製)1重量部を、自公転式攪拌装置を用いて混合し、エポキシ硬化剤(K剤)を製造した。
製造例8
(エポキシ硬化剤の製造)
硬化剤(商品名「リカシッドMH−700」、新日本理化(株)製)100重量部、メチルトリフェニルホスホニウムメタンスルホン酸塩0.5重量部、商品名「U−CAT 18X」(サンアプロ(株)製)0.5重量部、及びエチレングリコール(和光純薬工業(株)製)1重量部を、自公転式攪拌装置を用いて混合し、エポキシ硬化剤(K剤)を製造した。
実施例1〜3
まず、表1に示す配合割合で、商品名「セロキサイド2021P」((株)ダイセル製)、及び商品名「YD−128」(新日鐵住金化学(株)製)を、自公転式攪拌装置を使用して均一に混合し、脱泡して、エポキシ樹脂(組成物)を得た。
次に、表1に示す配合割合となるように、上記で得たエポキシ樹脂と製造例3で得たエポキシ硬化剤とを、自公転式攪拌装置を使用して均一に混合し、脱泡して、硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。
さらに、上記で得た硬化性エポキシ樹脂組成物を図1に示す光半導体のリードフレーム(InGaN素子、3.5mm×2.8mm)に注型した後、120℃のオーブン(樹脂硬化オーブン)で5時間加熱することで、上記硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置を得た。なお、図1において、100はリフレクター(光反射用樹脂組成物)、101は金属配線、102は光半導体素子、103はボンディングワイヤ、104は硬化物(封止材)を示す。
実施例4
製造例3で得たエポキシ硬化剤を製造例4で得たエポキシ硬化剤に変更したこと以外は実施例2と同様にして、硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。また、該硬化性エポキシ樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして光半導体装置を得た。
比較例1、2
エポキシ樹脂の組成を表1に示す組成に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。また、該硬化性エポキシ樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして光半導体装置を得た。
比較例3
製造例3で得たエポキシ硬化剤を製造例5で得たエポキシ硬化剤に変更したこと以外は実施例2と同様にして、硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。また、該硬化性エポキシ樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして光半導体装置を得た。
比較例4
製造例3で得たエポキシ硬化剤を製造例6で得たエポキシ硬化剤に変更したこと以外は実施例2と同様にして、硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。また、該硬化性エポキシ樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして光半導体装置を得た。
比較例5
製造例3で得たエポキシ硬化剤を製造例7で得たエポキシ硬化剤に変更したこと以外は実施例2と同様にして、硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。また、該硬化性エポキシ樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして光半導体装置を得た。
比較例6
製造例3で得たエポキシ硬化剤を製造例8で得たエポキシ硬化剤に変更したこと以外は実施例2と同様にして、硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。また、該硬化性エポキシ樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして光半導体装置を得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られた光半導体装置について、下記の評価試験を実施した。
[硬化着色試験]
実施例及び比較例で得られた光半導体装置の封止材部分(硬化物)の着色度を目視で確認し、下記の指標で評価した。結果を表1の「硬化着色試験[目視]」の欄に示した。
◎(硬化時の着色が高度に抑制されている):封止材部分が無色
○(硬化時の着色が抑制されている):封止材部分がわずかに黄色
△(硬化時の着色が明らかに生じている):封止材部分が黄色
×(硬化時の着色が著しく生じている):封止材部分が黄褐色
[はんだ耐熱性試験]
実施例及び比較例で得られた光半導体装置(各硬化性エポキシ樹脂組成物につき2個ずつ用いた)を、30℃、60%RHの条件下で192時間静置して吸湿処理した。次いで、上記光半導体装置をリフロー炉に入れ、下記加熱条件にて加熱処理した。その後、上記光半導体装置を室温環境下に取り出して放冷した後、再度リフロー炉に入れて同条件で加熱処理した。即ち、当該はんだ耐熱性試験においては、光半導体装置に対して下記加熱条件による熱履歴を二度与えた。
〔加熱条件(光半導体装置の表面温度基準)〕
(1)予備加熱:150〜190℃で60〜120秒
(2)予備加熱後の本加熱:217℃以上で60〜150秒、最高温度260℃
但し、予備加熱から本加熱に移行する際の昇温速度は最大で3℃/秒に制御した。
図2には、リフロー炉による加熱の際の光半導体装置の表面温度プロファイル(二度の加熱処理のうち一方の加熱処理における温度プロファイル)の一例を示す。
二度の加熱処理を行った光半導体装置の封止材部分(硬化物)の着色度を目視で確認し、硬化着色試験と同じ指標で評価した。結果を表1の「はんだ耐熱性試験[目視]」の欄に示した。なお、2個の光半導体装置の間で着色度に差があった場合には、より着色している方の結果を示した。
さらに、デジタルマイクロスコープ(商品名「VHX−900」、(株)キーエンス製)を使用して光半導体装置を観察し、二度の加熱処理により電極剥離(電極表面からの硬化物の剥離)が発生したか否かを確認した。光半導体装置2個のうち、電極剥離が発生した光半導体装置の個数を表1の「はんだ耐熱性試験[電極剥離数]」の欄に示した。
[熱衝撃試験]
実施例及び比較例で得られた光半導体装置(各硬化性エポキシ樹脂組成物につき2個ずつ用いた)に対し、−40℃の雰囲気下に30分曝露し、続いて、100℃の雰囲気下に30分曝露することを1サイクルとした熱衝撃を、熱衝撃試験機を用いて200サイクル分与えた。その後、光半導体装置に10mAの電流を通電し、点灯しなかった光半導体装置(不灯の光半導体装置)の個数を計測した。なお、熱衝撃試験前には全ての光半導体装置が点灯するものであることを確認済みである。結果を表1の「熱衝撃試験[不灯数]」の欄に示した。
[総合判定]
各試験の結果、下記(1)〜(4)をいずれも満たす場合を○(良好)と判定した。一方、下記(1)〜(4)のいずれかを満たさない場合には×(不良)と判定した。
(1)硬化着色試験:光半導体装置の封止材部分が試験後において無色(◎)である
(2)はんだ耐熱性試験:光半導体装置の封止材部分が試験後において無色(◎)又はわずかに黄色(○)である
(3)はんだ耐熱性試験:電極剥離が発生した光半導体装置の個数が0個
(4)熱衝撃試験:不灯の光半導体装置の個数が0個
結果を表1の「総合判定」の欄に示した。
Figure 0006386907
表1記載の成分の説明を以下に示す。
YD−128:商品名「YD−128」[ビスフェノールA型エポキシ樹脂]、新日鐵住金化学(株)製
セロキサイド2021P:商品名「セロキサイド2021P」[3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート]、(株)ダイセル製
MH−700:商品名「リカシッド MH−700」[4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30]、新日本理化(株)製
エチレングリコール:和光純薬工業(株)製
PX−4MP:商品名「ヒシコーリンPX−4MP」[メチルトリn−ブチルホスホニウムジメチルホスフェート]、日本化学工業(株)製
U−CAT 18X:商品名「U−CAT 18X」[アミン系硬化促進剤]、サンアプロ(株)製
試験機器
・樹脂硬化オーブン
エスペック(株)製 GPHH−201
・熱衝撃試験機
エスペック(株)製 小型冷熱衝撃装置 TSE−11−A
・リフロー炉
日本アントム(株)製 UNI−5016F
100:リフレクター(光反射用樹脂組成物)
101:金属配線
102:光半導体素子
103:ボンディングワイヤ
104:硬化物(封止材)

Claims (5)

  1. エポキシ化合物(A)と、酸無水物系硬化剤(B)と、第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)とを含み、
    エポキシ化合物(A)として、該エポキシ化合物(A)の全量(100重量%)に対し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂30〜90重量%、及び脂環式エポキシ化合物10〜70重量%を含み、
    第四級ホスホニウム塩系硬化促進剤(C)として、下記式(1)
    Figure 0006386907
    [式中、R1は、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基、又はアリール基を示す。R2は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。X-は、有機スルホン酸の共役塩基を示す。]
    で表される化合物(C−1)、及び下記式(2)
    Figure 0006386907
    [式中、R3は、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基、又はアリール基を示す。R4は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。Z-は、酸性リン酸エステルの共役塩基を示す。]
    で表される化合物(C−2)を含むことを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物。
  2. 酸無水物系硬化剤(B)が、非芳香族酸無水物系硬化剤である請求項1に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物硬化物。
  4. 光半導体封止用樹脂組成物である請求項1又は2に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項4に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置。
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