JP6384749B2 - 多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法、多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体、多層構造のガラス化後のハイドロゲル、徐放剤乾燥体の製造方法、接着方法、徐放剤乾燥体、及び徐放剤水和体 - Google Patents
多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法、多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体、多層構造のガラス化後のハイドロゲル、徐放剤乾燥体の製造方法、接着方法、徐放剤乾燥体、及び徐放剤水和体 Download PDFInfo
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Description
(ア)ゲル同士の接着又は積層
特許文献1には無孔性コラーゲン系材料と多孔性コラーゲン系材料とをコラーゲンゾルを糊として接合し乾燥した後架橋して接着させることによるバイオマテリアルの製造方法が開示されている。
特許文献2には、コラーゲンゾルを鋳型に注入した後にこれに、ビトリゲル乾燥体、コラーゲンゾル、ビトリゲル乾燥体、コラーゲンビトリゲルを順次重層し、これをゲル化・乾燥した後、さらに乾燥してガラス化することによりビトリゲル積層体を作製する方法、および当該積層体が開示されている。
特許文献2には、コラーゲンゾルをゲル化・乾燥・再水和した膜上でヤギ抗マウス抗体を含むコラーゲンゾルをゲル化・乾燥・再水和し、さらにその上でコラーゲンゾルをゲル化・乾燥・再水和した後に、組成物全体を乾燥・ガラス化することにより製造された、薬物を含有する層を中間層として有する3層に重層化したビトリゲル膜の積層体、および、該構造物が上記抗体を徐放する効果を有することが開示されている。
前記(イ)のゲル中間層に含有された物質の徐放について特許文献2が開示されているが、特許文献2に記載の方法で薬物を含有するガラス化後のハイドロゲル乾燥体を得ようとしても、ハイドロゲルから自由水を除去しガラス化を行う段階でハイドロゲルが含んでいた薬物が自由水とともに流出してしまう。そのため、流出した薬物が無駄となってしまう。また、ガラス化後のハイドロゲル乾燥体に正確な量の薬物を保持させることは困難である。
また、本発明は、正確な量の薬物を保持させることが可能な徐放剤乾燥体の製造方法、徐放剤乾燥体、及び徐放剤水和体を提供することを課題とする。
(a)第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の一方の面の少なくとも一部に、コラーゲンゾルを滴下又は塗布する工程と、
(b)第一のガラス化後のハイドロゲル若しくは第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体のコラーゲンゾルが滴下又は塗布された前記一方の面の少なくとも一部に、第二のガラス化後のハイドロゲル若しくは第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させる工程と、
(c)コラーゲンゾルが滴下若しくは塗布された第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の一方の面の少なくとも一部に、前記第二のガラス化後のハイドロゲル又は第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させた状態で、該コラーゲンゾルをゲル化させ、第一のガラス化後のハイドロゲル若しくは第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体と第二のガラス化後のハイドロゲル若しくは第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体とを付着させ、ガラス化後のハイドロゲル多重層を形成させる工程と、
(d)工程(c)で形成された前記ガラス化後のハイドロゲル多重層を乾燥させ、多重層乾燥体を形成させる工程と、
(e)工程(d)で形成された多重層乾燥体に紫外線を照射して重層間結合を誘導する工程と、を含み、
前記コラーゲンゾルは、分子量が30以上40000以下の薬物を含有することを特徴とする多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法。
(2)前記工程(e)の後に前記工程(a)〜(e)を繰り返して行う工程、前記工程(d)の後に前記工程(a)〜(d)を繰り返して行う工程、前記工程(c)の後に前記工程(a)〜(c)を繰り返して行う工程、及び前記工程(b)の後に前記工程(a)〜(b)を繰り返して行う工程からなる群から選ばれる少なくとも1工程を含む前記(1)に記載の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法。
(3)前記ガラス化後のハイドロゲル又は前記ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体が、細胞外マトリックス成分を含有する前記(1)又は(2)に記載の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法。
(4)前記細胞外マトリックス成分がブタ由来アテロコラーゲンである前記(3)に記載の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法。
(5)前記ガラス化後のハイドロゲル又は前記ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体が、細胞外マトリックス成分を1cm2あたり0.1〜1,000mg含有する前記(3)又は(4)に記載の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法。
(6)前記紫外線の総照射量が70〜1,600mJ/cm2である前記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法。
(7)前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法を用いて得られることを特徴とする多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体。
(8)厚さが1〜50,000μmである前記(7)に記載の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体。
(9)前記(7)又は(8)に記載の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体を再水和してなる多層構造のガラス化後のハイドロゲル。
(10)第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体と、第二のガラス化後のハイドロゲル又は第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体とを接着してなる徐放剤を製造する徐放剤乾燥体の製造方法であって、
(a)第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の一方の面の少なくとも一部に、薬物を含有するコラーゲンゾルを滴下又は塗布する工程と、
(b)第一のガラス化後のハイドロゲル若しくは第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体のコラーゲンゾルが滴下又は塗布された前記一方の面の少なくとも一部に、第二のガラス化後のハイドロゲル若しくは第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させる工程と、
(c)コラーゲンゾルが滴下若しくは塗布された第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の一方の面の少なくとも一部に、前記第二のガラス化後のハイドロゲル又は第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させた状態で、該コラーゲンゾルをゲル化させ、第一のガラス化後のハイドロゲル若しくは第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体と第二のガラス化後のハイドロゲル若しくは第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体とを付着させ、ガラス化後のハイドロゲル多重層を形成させる工程と、
(d)工程(c)で形成された前記ガラス化後のハイドロゲル多重層を乾燥させ、多重層乾燥体を形成させる工程と、
(e)工程(d)で得られた多重層乾燥体に紫外線を照射して重層間結合を誘導する工程と、を含み、
前記薬物の分子量が30以上40000以下であることを特徴とする徐放剤乾燥体の製造方法。
(11)第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体と、第二のガラス化後のハイドロゲル又は第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体とを接着させる接着方法であって、
(a)第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部に、コラーゲンゾルを滴下又は塗布する工程と、
(b)第一のガラス化後のハイドロゲル若しくは第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体のコラーゲンゾルが滴下又は塗布された部分に、第二のガラス化後のハイドロゲル若しくは第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させる工程と、
(c)コラーゲンゾルが滴下若しくは塗布された第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部に、前記第二のガラス化後のハイドロゲル又は第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させた状態で、該コラーゲンゾルをゲル化させ、第一のガラス化後のハイドロゲル若しくは第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体と第二のガラス化後のハイドロゲル若しくは第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体とを付着させ、付着面においてガラス化後のハイドロゲル多重層を形成させる工程と、
(d)工程(c)で形成された前記ガラス化後のハイドロゲル多重層を乾燥させ、多重層乾燥部を形成させる工程と、
(e)工程(d)で形成された多重層乾燥部に紫外線を照射して重層間結合を誘導する工程と、を含み、
前記コラーゲンゾルは、分子量が30以上40000以下の薬物を含有することを特徴とするガラス化後のハイドロゲル又はガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の接着方法。
(12)(10)に記載の徐放剤乾燥体の製造方法を用いて得られることを特徴とする徐放剤乾燥体。
(13)前記コラーゲンゲル層は分子量が30以上4000以下の薬物を含有する前記(12)に記載の徐放剤乾燥体。
(14)(12)又は(13)に記載の徐放剤乾燥体を再水和してなる徐放剤水和体。
また、本発明の接着方法によれば、ガラス化後のハイドロゲル等同士の付着面において強固な重層間結合を形成させることができる。
また、本発明の徐放剤乾燥体の製造方法によれば、正確な量の薬物が保持された徐放剤が得られ、徐放剤乾燥体、及び徐放剤水和体を提供することができる。
本明細書中における各工程、並びに各工程を経た後のゲル及びゲル乾燥体の呼称を図1に示す。本明細書中においては、ガラス化後のハイドロゲルの作製工程を詳細に説明するにあたり、当該ガラス化工程の直後であり再水和の工程を経ていないハイドロゲルの乾燥体に対しては、単に「ハイドロゲル乾燥体」とした。そして、当該ガラス化工程の後に再水和の工程を経て得られたゲルを「ガラス化後のハイドロゲル」として区別して表し、そのゲルをガラス化させて得られた乾燥体を「ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体」とした。また、ガラス化後のハイドロゲル又はガラス化後のハイドロゲル再乾燥体に後述の工程(a)〜(c)を施して得られるものを「ガラス化後のハイドロゲル多重層」とし、該ガラス化後のハイドロゲル多重層に乾燥(後述の工程(d))を施して得られるものを「多重層乾燥体」とし、該多重層乾燥体に紫外線照射(後述の工程(e))を施して得られたものを「多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体」とした。さらに、多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体を再水和したものを「多層構造のガラス化後のハイドロゲル」とした。
本明細書中では溶媒Bで平衡化されたガラス化後のハイドロゲルも、溶媒Cで平衡化されたガラス化後のハイドロゲルも「ガラス化後のハイドロゲル」として扱う。
本発明の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法は、
(a)第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の一方の面の少なくとも一部に、コラーゲンゾルを滴下又は塗布する工程、
(b)第一のガラス化後のハイドロゲル若しくは第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体のコラーゲンゾルが滴下又は塗布された前記一方の面の少なくとも一部に、第二のガラス化後のハイドロゲル若しくは第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させる工程と、
(c)コラーゲンゾルが滴下若しくは塗布された第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の一方の面の少なくとも一部に、前記第二のガラス化後のハイドロゲル又は第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させた状態で、該コラーゲンゾルをゲル化させ、第一のガラス化後のハイドロゲル若しくは第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体と第二のガラス化後のハイドロゲル若しくは第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体とを付着させ、ガラス化後のハイドロゲル多重層を形成させる工程と、
(d)工程(c)で形成された前記ガラス化後のハイドロゲル多重層を乾燥させ、多重層乾燥体を形成させる工程と、
(e)工程(d)で形成された多重層乾燥体に紫外線を照射して重層間結合を誘導する工程を含む。
本実施形態では、第一のガラス化後のハイドロゲルと第二のガラス化後のハイドロゲルとを接着する。ガラス化後のハイドロゲルは膜状である。
(工程(a))
図2は、本発明の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法の第一実施形態を例示した模式図である。工程(a)として、第一のガラス化後のハイドロゲル1の一方の面の少なくとも一部にコラーゲンゾル3aを滴下する。
次に、第一のガラス化後のハイドロゲル1のコラーゲンゾル3aが滴下された前記一方の面の少なくとも一部に、第二のガラス化後のハイドロゲル2の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させる。このときコラーゲンゾル3は流動性を有しているので、第一のガラス化後のハイドロゲル1と第二のガラス化後のハイドロゲル2の表面に沿って広がる。本実施形態では、コラーゲンゾル3aが第一のガラス化後のハイドロゲル1と第二のガラス化後のハイドロゲル2との間に広がり層状となった状態を示すが、必ずしも層状である必要はない。
その後、コラーゲンゾルが滴下された第一のガラス化後のハイドロゲル1の一方の面の少なくとも一部に、第二のガラス化後のハイドロゲル2の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾル3aを介して接触させた状態で、コラーゲンゾル3aをゲル化させコラーゲンゲル3bを形成させる。通常コラーゲンゾルは、保温により容易にゲル化させることができる。
コラーゲンゲル3bを形成させることにより、第一のガラス化後のハイドロゲル1と第二のガラス化後のハイドロゲル2とをコラーゲンゲル3bを介して付着させ、ガラス化後のハイドロゲル多重層4を形成させる。
次いで、工程(c)で形成された前記ガラス化後のハイドロゲル多重層を乾燥させ、ガラス化後のハイドロゲル多重層乾燥体5を形成させる。乾燥の目安としては、第一のガラス化後のハイドロゲル1及び第二のガラス化後のハイドロゲル2から完全に自由水が除去されて、これらゲルがガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の状態となるまで、とすることができるが、これらゲルの長期間に渡る十分なガラス化は必須ではない。この工程でコラーゲンゲル3aもガラス化されることになる。ガラス化されたコラーゲンゲルはガラス化されていないコラーゲンゲルよりも強固にガラス化後のハイドロゲル同士を接着させることができる。
その後、工程(d)で形成されたガラス化後のハイドロゲル多重層乾燥体5に紫外線を照射して重層間結合を誘導し、多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体6を得る。紫外線の照射には、公知の紫外線照射装置を使用することができる。
ガラス化後のハイドロゲル多重層乾燥体5への紫外線の照射エネルギーは、単位面積あたりの総照射量が、70〜1,600mJ/cm2であることが好ましく、400〜1,600mJ/cm2であることがより好ましく、800〜1,600mJ/cm2であることがさらに好ましい。この範囲の照射量であると、第一のガラス化後のハイドロゲル1と第二のガラス化後のハイドロゲル2との接着を特に好ましいものとすることができる。
紫外線の照射を、ガラス化後のハイドロゲル多重層乾燥体5に行うことで、第一のガラス化後のハイドロゲル1と第二のガラス化後のハイドロゲル2との接着強度が強まる。このことは、第一のガラス化後のハイドロゲル1内とコラーゲンゲル3b内の高分子化合物同士、及び、第二のガラス化後のハイドロゲル2内とコラーゲンゲル3b内の高分子化合物同士が、紫外線によって架橋されるからと考えられる。
本実施形態では、第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体と第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体とを接着する。これは上記[第一実施形態]のガラス化後のハイドロゲルをガラス化後のハイドロゲル再乾燥体へ置き変えたものである。
本実施形態では、複数枚の第一のガラス化後のハイドロゲルと1枚以上の第二のガラス化後のハイドロゲルとを接着する。
まず、上記[第一実施形態]に記載の方法と同様にして、工程(a)〜(e)を行い、多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体6を得た後、それを再水和させて多層構造のガラス化後のハイドロゲル7を得る。そして、多層構造のガラス化後のハイドロゲル7を上記[第一実施形態]の第一のガラス化後のハイドロゲル1と同様に扱い、再度工程(a)〜(e)を繰り返して、多層構造のガラス化後のハイドロゲル7と第二のガラス化後のハイドロゲルとを接着させる。
上記の方法の概要は、工程(a)→工程(b)→工程(c)→工程(d)→工程(e)→再水和→工程(a)→工程(b)→工程(c)→工程(d)→工程(e)の順である。上記操作によって、計3枚のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体と、計2枚のコラーゲンゲルの乾燥体とが夫々交互に重ねられた多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体を得ることができる。
ここで、第二のガラス化後のハイドロゲルに代えて、多層構造のガラス化後のハイドロゲル7を用いることで、複数枚のガラス化後のハイドロゲルを有する多層構造のガラス化後のハイドロゲル同士を接着することも可能である。
本実施形態では、複数枚の第一のガラス化後のハイドロゲルと1枚以上の第二のガラス化後のハイドロゲルとを接着する。
まず、上記[第一実施形態]に記載の方法と同様にして、工程(a)〜(b)までを行い、第一のガラス化後のハイドロゲル1と、第二のガラス化後のハイドロゲル2の表面の少なくとも一部がコラーゲンゾル3aを介して接触した状態とする。当該操作を複数回行い、複数枚のガラス化後のハイドロゲルとコラーゲンゾルの層とを夫々交互に重ねていく。その後、上記[第一実施形態]に記載の方法と同様にして、工程(c)〜(e)を行う。上記の方法の概要は、{工程(a)→工程(b)}n回 →工程(c)→工程(d)→工程(e)の順である。上記操作によって、複数枚のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体と、複数枚のコラーゲンゲルの乾燥体とが夫々交互に重ねられた多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体を得ることができる。
前記ガラス化後のハイドロゲル又は前記ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体は、細胞外マトリックス成分を含有することが好ましい。
ガラス化後のハイドロゲルの作製に用いられる細胞外マトリックス成分としては、例えば、コラーゲン(I型、II型、III型、V型、XI型など)、マウスEHS腫瘍抽出物(IV型コラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカンなどを含む)より再構成された基底膜成分(商品名:マトリゲル)、ゼラチン、寒天、アガロース、フィブリン、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、プロテオグリカンなどを例示することができる。それぞれのゲル化に至適な塩等の成分、その濃度、pHなどを選択しハイドロゲルを作製することが可能である。複数種の原料を組み合わせることで、様々な生体内組織を模倣したガラス化後のハイドロゲルを得ることができる。
以下、本発明に用いるガラス化後のハイドロゲルの作製方法の一例を示す。例えば、コラーゲンを用いる場合には、コラーゲンゾルを、基板上に配置された壁面鋳型に注入し、インキュベーターでゲル化させたものを使用することができる(特許文献2、国際公開第2012/026531号参照)。
本発明の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法は、前記コラーゲンゾルが薬物を含有するものであってもよい。
前記コラーゲンゾルが薬物を含有する場合、得られた多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体は徐放剤として用いることができ、多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法は、徐放剤乾燥体の製造方法と言い換えることができる。
当該徐放剤乾燥体を再水和して得られたものが徐放剤水和体である。徐放剤乾燥体は再水和され、徐放剤水和体とされた状態で使用されることが好ましい。徐放剤水和体の一例としては、第一のガラス化後のハイドロゲルと、第二のガラス化後のハイドロゲルとの間にコラーゲンゲル層が形成されてなる徐放剤であって、前記コラーゲンゲル層が薬物を含有するものである。
一方で、以下の非特許文献(Takezawa et al. (2007) Collagen vitrigel membrane useful for paracrine assays in vitro and drug delivery systems in vivo. J. Biotechnol. 131: 76-83.)で示されるように、BMP-2タンパク質を含有するコラーゲンゾルをゲル化・乾燥・再水和し、その後乾燥してガラス化して製造したBMP-2を含有したガラス化後のコラーゲンゲルは、ガラス化していないコラーゲンゲルと比較して、より優れたBMP-2の徐放効果(低下した薬物放出速度を示す)を有することが認められる。しかし、上記非特許文献に記載の方法で、コラーゲンゲルにBMP-2を含有させた場合、コラーゲンゲルから自由水を除去しガラス化を行う段階でコラーゲンゲルが含んでいた薬物が自由水とともに流出してしまい、流出した薬物が無駄となってしまう場合がある。また、ガラス化後のコラーゲンゲル乾燥体に正確な量の薬物を保持させることは困難である。
そして、本発明の徐放剤乾燥体を再水和して得られた徐放剤水和体では、薬物を含有するコラーゲンゲル層が2枚のガラス化後のハイドロゲルの層の間に配置されているので、薬物はガラス化後のハイドロゲルの層を通過して放出されることとなる。したがって、本発明の徐放剤乾燥体は、長期にわたって薬物を放出することが可能であり、且つ正確な量の薬物が保持された徐放剤とすることができる。
本発明の接着方法は、
(a)第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部に、コラーゲンゾルを滴下又は塗布する工程と、
(b)第一のガラス化後のハイドロゲル若しくは第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体のコラーゲンゾルが滴下又は塗布された部分に、第二のガラス化後のハイドロゲル若しくは第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させる工程と、
(c)コラーゲンゾルが滴下若しくは塗布された第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部に、前記第二のガラス化後のハイドロゲル又は第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させた状態で、該コラーゲンゾルをゲル化させ、第一のガラス化後のハイドロゲル若しくは第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体と第二のガラス化後のハイドロゲル若しくは第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体とを付着させ、付着面においてガラス化後のハイドロゲル多重層を形成させる工程と、
(d)工程(c)で形成された前記ガラス化後のハイドロゲル多重層を乾燥させ、多重層乾燥部を形成させる工程と、
(e)工程(d)で形成された多重層乾燥部に紫外線を照射して重層間結合を誘導する工程を含む。
(工程(a))
図3は、本発明の接着方法の一例を示す模式図である。工程(a)として、第一のガラス化後のハイドロゲル1の表面の少なくとも一部にコラーゲンゾル3aを滴下する。ガラス化後のハイドロゲルは膜状に限定されずあらゆる形状を選択可能であり、本実施形態では柱状である。
次に、第一のガラス化後のハイドロゲル1のコラーゲンゾル3aが滴下された前記表面の少なくとも一部に、第二のガラス化後のハイドロゲル2の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させる。このときコラーゲンゾル3は流動性を有しているので、第一のガラス化後のハイドロゲル1と第二のガラス化後のハイドロゲル2の表面に沿って広がる。本実施形態では、コラーゲンゾル3aが第一のガラス化後のハイドロゲル1と第二のガラス化後のハイドロゲル2との間に広がり層状となった状態を示すが、必ずしも層状である必要はない。
その後、コラーゲンゾルが滴下された第一のガラス化後のハイドロゲル1の表面の少なくとも一部に、第二のガラス化後のハイドロゲル2の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾル3aを介して接触させた状態で、コラーゲンゾル3aをゲル化させコラーゲンゲル3bを形成させる。コラーゲンゲル3bを形成させることにより、第一のガラス化後のハイドロゲル1と第二のガラス化後のハイドロゲル2とをコラーゲンゲル3bを介して付着させ、付着面においてガラス化後のハイドロゲル多重層4を形成させる。これは、前記≪多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法≫において説明したガラス化後のハイドロゲル多重層4を付着面において形成するものと考えればよい。ハイドロゲル多重層4は第一のガラス化後のハイドロゲル1及び第二のガラス化後のハイドロゲル2の全部を含んで形成されていてもよく、一部のみを含んで形成されていてもよい。
次いで、工程(c)で形成された前記ガラス化後のハイドロゲル多重層を乾燥させ、ガラス化後のハイドロゲル多重層乾燥部8を形成させる。図3ではガラス化後のハイドロゲル多重層の一部のみを乾燥させてガラス化後のハイドロゲル多重層乾燥部8が形成された様子を示している。乾燥の目安としては、付着面において形成されたガラス化後のハイドロゲル多重層4に含まれる第一のガラス化後のハイドロゲル1及び第二のガラス化後のハイドロゲル2から完全に自由水が除去されて、これらゲルがガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の状態となるまで、とすることができるが、これらゲルの長期間に渡る十分なガラス化は必須ではない。この工程でコラーゲンゲル3aもガラス化されることになる。ガラス化されたコラーゲンゲルはガラス化されていないコラーゲンゲルよりも強固にガラス化後のハイドロゲル同士を接着させることができる。
その後、工程(d)で形成されたガラス化後のハイドロゲル多重層乾燥部8に紫外線を照射して重層間結合を誘導する。紫外線の照射には、公知の紫外線照射装置を使用することができる。紫外線の照射を、ガラス化後のハイドロゲル多重層乾燥部8に行うことで、第一のガラス化後のハイドロゲル1と第二のガラス化後のハイドロゲル2との接着強度が強まる。
本実施形態の接着方法によれば、ガラス化後のハイドロゲル同士を強固に接着することができる。
[2枚のガラス化後のコラーゲンハイドロゲル厚膜の接着]
≪ガラス化後のコラーゲンハイドロゲル厚膜(直径15mm・コラーゲン量5.0 mg/cm2)及びガラス化後のコラーゲンハイドロゲル厚膜乾燥体の作製≫
上記と同様の方法で作製した、ガラス後のコラーゲンハイドロゲル厚膜(直径15mm・コラーゲン量5.0 mg/cm2)2枚を1セットとして使用する。ガラス化後のコラーゲンハイドロゲル厚膜乾燥体をPBSで十分に再水和した。また、氷上で無血清培養液と1.0% ブタ由来アテロコラーゲン溶液を等量混和し、コラーゲンゾルを作製した。
≪接着させた2枚のガラス化後のコラーゲンハイドロゲル厚膜の振とうと剥離≫
接着させた2枚のガラス化後のコラーゲンハイドロゲル厚膜を振とうするディッシュとして、6ウェルふた付きのセルカルチャープレート(ファルコン#35-3046)を用いた。6ウェルセルカルチャープレートにPBS 5mlを入れ、その中にUV照射処理済の接着させたガラス化後のコラーゲンハイドロゲル厚膜を浸漬させた。
≪三層構造のガラス化後のコラーゲンハイドロゲル厚膜の作製≫
前述≪ガラス化後のコラーゲンハイドロゲル厚膜(直径15mm・コラーゲン量5.0 mg/cm2)及びガラス化後のコラーゲンハイドロゲル厚膜乾燥体の作製≫と同様の手法で、ガラス化後のコラーゲンハイドロゲル厚膜乾燥体をあらかじめ作製した。
前述≪三層構造のガラス化後のコラーゲンハイドロゲル厚膜の作製≫の乾燥工程から3日後、三層構造のガラス化後のコラーゲンハイドロゲル厚膜に、フナコシのUV Linkerを用いてUV照射を行った。UV条件は、UV照射量600mJ/cm2を両面(表裏)に各々照射した。
しかしながら、FD40含有のコラーゲンハイドロゲル厚膜においては、他の分子量の薬物含有コラーゲンハイドロゲル厚膜と比較し、ゆるやかな徐放が見られたことより、薬物含有三層構造のガラス化後の薬物含有コラーゲンハイドロゲル厚膜は、薬物の分子量に応じた徐放性を示す結果が得られた(図5参照)。
≪従来法によるガラス化後の薬物含有コラーゲンハイドロゲル厚膜(直径15mm・コラーゲン量10.0 mg/cm2)の作製≫
壁面鋳型は、外円の直径が19mmで内円の直径が15mmで高さが30mmのアクリルを用いた。ディッシュは、96×96×15mm(アズワン#D-210-16)のプラスチックディッシュを用いた。ビニールは87×87mmに切り出した上で四隅を切り落とし、前記のディッシュに入るサイズとした。なお、壁面鋳型およびビニールは70%エタノールを噴霧して拭き取る滅菌処理を施してから使用した。具体的には、ディッシュの上にビニールを敷いて、その上に壁面鋳型を設置した。
この際、取り外したステンレスメッシュをPBS 2mLで3回洗い流し、流出したPBS溶液は全量回収した。
≪回収した溶液の蛍光濃度測定≫
96ウェルふた付きのセルカルチャープレート(ファルコン#35-3075)の各セルに上記で回収した各サンプルを100μlずつ入れた。FD4、FD10、FD40の測定は蛍光プレートリーダー(molecular devices:SPECTRA max GEMINIXS)を使用し、またVB12の測定はマイクロプレートリーダー(molecular devices:VERSA MAX)を使用して100μl中の蛍光強度を測定し、回収した液量の計測と併せて、各作製工程で流出した蛍光試薬量を算出した。
Claims (14)
- 第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体と、第二のガラス化後のハイドロゲル又は第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体とを接着して多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体を製造する方法であって、
(a)第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の一方の面の少なくとも一部に、コラーゲンゾルを滴下又は塗布する工程と、
(b)第一のガラス化後のハイドロゲル若しくは第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体のコラーゲンゾルが滴下又は塗布された前記一方の面の少なくとも一部に、第二のガラス化後のハイドロゲル若しくは第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させる工程と、
(c)コラーゲンゾルが滴下若しくは塗布された第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の一方の面の少なくとも一部に、前記第二のガラス化後のハイドロゲル又は第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させた状態で、該コラーゲンゾルをゲル化させ、第一のガラス化後のハイドロゲル若しくは第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体と第二のガラス化後のハイドロゲル若しくは第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体とを付着させ、ガラス化後のハイドロゲル多重層を形成させる工程と、
(d)工程(c)で形成された前記ガラス化後のハイドロゲル多重層を乾燥させ、多重層乾燥体を形成させる工程と、
(e)工程(d)で形成された多重層乾燥体に紫外線を照射して重層間結合を誘導する工程と、を含み、
前記コラーゲンゾルは、分子量が30以上40000以下の薬物を含有することを特徴とする多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法。 - 前記工程(e)の後に前記工程(a)〜(e)を繰り返して行う工程、前記工程(d)の後に前記工程(a)〜(d)を繰り返して行う工程、前記工程(c)の後に前記工程(a)〜(c)を繰り返して行う工程、及び前記工程(b)の後に前記工程(a)〜(b)を繰り返して行う工程からなる群から選ばれる少なくとも1工程を含む請求項1に記載の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法。
- 前記ガラス化後のハイドロゲル又は前記ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体が、細胞外マトリックス成分を含有する請求項1又は2に記載の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法。
- 前記細胞外マトリックス成分がブタ由来アテロコラーゲンである請求項3に記載の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法。
- 前記ガラス化後のハイドロゲル又は前記ガラス化後のハイドロゲル再乾燥体が、細胞外マトリックス成分を1cm2あたり0.1〜1,000mg含有する請求項3又は4に記載の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法。
- 前記紫外線の総照射量が70〜1,600mJ/cm2である請求項1〜5のいずれか一項に記載の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体の製造方法を用いて得られることを特徴とする多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体。
- 厚さが1〜50,000μmである請求項7に記載の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体。
- 請求項7又は8に記載の多層構造のガラス化後のハイドロゲル乾燥体を再水和してなる多層構造のガラス化後のハイドロゲル。
- 第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体と、第二のガラス化後のハイドロゲル又は第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体とを接着してなる徐放剤を製造する徐放剤乾燥体の製造方法であって、
(a)第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の一方の面の少なくとも一部に、薬物を含有するコラーゲンゾルを滴下又は塗布する工程と、
(b)第一のガラス化後のハイドロゲル若しくは第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体のコラーゲンゾルが滴下又は塗布された前記一方の面の少なくとも一部に、第二のガラス化後のハイドロゲル若しくは第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させる工程と、
(c)コラーゲンゾルが滴下若しくは塗布された第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の一方の面の少なくとも一部に、前記第二のガラス化後のハイドロゲル又は第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させた状態で、該コラーゲンゾルをゲル化させ、第一のガラス化後のハイドロゲル若しくは第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体と第二のガラス化後のハイドロゲル若しくは第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体とを付着させ、ガラス化後のハイドロゲル多重層を形成させる工程と、
(d)工程(c)で形成された前記ガラス化後のハイドロゲル多重層を乾燥させ、多重層乾燥体を形成させる工程と、
(e)工程(d)で得られた多重層乾燥体に紫外線を照射して重層間結合を誘導する工程と、を含み、
前記薬物の分子量が30以上40000以下であることを特徴とする徐放剤乾燥体の製造方法。 - 第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体と、第二のガラス化後のハイドロゲル又は第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体とを接着させる接着方法であって、
(a)第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部に、コラーゲンゾルを滴下又は塗布する工程と、
(b)第一のガラス化後のハイドロゲル若しくは第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体のコラーゲンゾルが滴下又は塗布された部分に、第二のガラス化後のハイドロゲル若しくは第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させる工程と、
(c)コラーゲンゾルが滴下若しくは塗布された第一のガラス化後のハイドロゲル又は第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部に、前記第二のガラス化後のハイドロゲル又は第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の表面の少なくとも一部を前記コラーゲンゾルを介して接触させた状態で、該コラーゲンゾルをゲル化させ、第一のガラス化後のハイドロゲル若しくは第一のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体と第二のガラス化後のハイドロゲル若しくは第二のガラス化後のハイドロゲル再乾燥体とを付着させ、付着面においてガラス化後のハイドロゲル多重層を形成させる工程と、
(d)工程(c)で形成された前記ガラス化後のハイドロゲル多重層を乾燥させ、多重層乾燥部を形成させる工程と、
(e)工程(d)で形成された多重層乾燥部に紫外線を照射して重層間結合を誘導する工程と、を含み、
前記コラーゲンゾルは、分子量が30以上40000以下の薬物を含有することを特徴とするガラス化後のハイドロゲル又はガラス化後のハイドロゲル再乾燥体の接着方法。 - 請求項10に記載の徐放剤乾燥体の製造方法を用いて得られることを特徴とする徐放剤乾燥体。
- 前記コラーゲンゲル層は分子量が30以上4000以下の薬物を含有する請求項12に記載の徐放剤乾燥体。
- 請求項12又は13に記載の徐放剤乾燥体を再水和してなる徐放剤水和体。
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