JP6383961B2 - 摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法 - Google Patents

摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法 Download PDF

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Description

本発明は摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法に関し、より具体的には、現場施工が可能な可搬型の小型摩擦攪拌接合装置であって、手動による動作制御を可能とする小型摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法に関する。
摩擦攪拌接合は接合中の最高到達温度が被接合材の融点に達せず、接合部における強度低下が従来の溶融溶接と比較して小さいのが特徴で、近年急速に実用化が進んでいる。しかしながら、摩擦攪拌接合は種々の優れた特性を有する一方で、被接合材及び装置に対して非常に大きなツール荷重や接合方向の力等が働くため、装置が大型化するという問題がある。
一般的な摩擦攪拌接合装置では、高い負荷に耐え得る剛性を得るため、大型の構造材、ベアリング、モータ及び減速機等が用いられており、被接合材を固定する治具も接合時の負荷に応じて大型となる。このように大型化した装置は製作にコストがかかるだけでなく、設置場所が制限されるため、摩擦攪拌接合の産業的利用を拡大する障壁となっている。
また、割れ等の欠陥を補修するために溶融溶接を用いることができるが、熱影響による品質劣化などの問題があるため、入熱の少ない摩擦攪拌接合による補修が期待されている。しかしながら、既存の大型装置では補修のような現場施工への適用は困難である。これらの理由から、摩擦攪拌接合の適用範囲の拡大に資する、摩擦攪拌接合装置の小型化が切望されている。
加えて、手動で摩擦攪拌接合装置を制御することができる程度に小型化された、安価な可搬型の摩擦攪拌接合装置が実現すれば、中小企業や一般家庭においても手軽に摩擦攪拌接合を利用することができるようになる可能性がある。
これに対し、特許文献1(特開2002−45980号公報)では、高速回転する回転子を回転軸線方向に移動させ、先端部を被接合物に押圧し、先端部と被接合物との接触部を、回転により摩擦熱で軟化させ、攪拌して被接合物を接合する摩擦攪拌接合装置において、回転子の回転軸線まわりの回転駆動と、回転子の回転軸線方向への直進駆動とを1つの駆動源で行なうことを特徴とする摩擦攪拌接合装置が提案されている。
上記特許文献1に記載の摩擦攪拌接合装置においては、回転子の回転駆動と直進駆動とを1つの駆動源で行なうことにより、装置を小型・軽量化することができ、また、1つの駆動源で済むため、イニシャルコスト及び維持費を低減することができる、としている。
また、特許文献2(特開2009−61479号公報)では、被接合物の縦向きの側壁部の被接合部を横向姿勢の摩擦接合ツールによって摩擦攪拌して被接合部を接合する摩擦攪拌接合装置において、被接合物の側壁部の被接合部に沿って自走可能に構成された自走車体と、この自走車体に横向姿勢の基準軸線回りに回転自在に装備されて、接合ツールを保持するツール保持部と、自走車体に装備されツール保持部を基準軸線回りに回転駆動する回転駆動手段と、自走車体に装備されツール保持部を基準軸線に沿って変位駆動する変位駆動手段と、変位駆動手段によりツール保持部と接合ツールから被接合部に作用させる押圧力の反力に抗する対抗力を発生させる対抗力発生手段と、前記押圧力の反力によって自走車体に作用する転倒モーメントに抗する対抗モーメントを発生させる対抗モーメント発生手段と、を備えたことを特徴とする摩擦攪拌接合装置が提案されている。
上記特許文献2に記載の摩擦攪拌接合装置においては、自走車体と、ツール保持部と、回転駆動手段と、変位駆動手段と、対抗力発生手段と、対抗モーメント発生手段とを備えているため、対抗力発生手段で発生させる対抗力によって押圧力の反力を打ち消すことができ、かつ、対抗モーメント発生手段で発生させる対抗モーメントによって転倒モーメントを打ち消すことができる。その結果、自走車体の転倒を防止しながら安定した状態で接合することができる、としている。
特開2002−45980号公報 特開2009−61479号公報
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に開示されている摩擦攪拌接合装置は、従来の摩擦攪拌接合装置と比較すると幾分かは小型化されているものの、容易に可搬でき、かつ、手動による動作制御が可能な装置とは大きな隔たりがある。
以上のような従来技術における問題点に鑑み、本発明の目的は、現場施工が可能な可搬型の小型摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法であって、手動による動作制御を可能とする小型摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法を提供することにある。
本発明者は上記目的を達成すべく、摩擦攪拌接合装置の小型化及び接合時に発生するプロセス荷重について鋭意研究を重ねた結果、上下部位が別駆動するボビン型摩擦攪拌接合用工具と予熱機構を用いること等が極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
上部回転体と、下部回転体と、前記下部回転体と一体に形成される攪拌軸と、を有し、前記上部回転体と前記下部回転体の間に被接合材を挟み込んで摩擦攪拌接合を行うボビン型摩擦攪拌接合用工具を用い、
被接合材を予熱するための予熱機構を備えること、
を特徴とする摩擦攪拌接合装置を提供する。
ボビン型摩擦攪拌接合用工具を用いることで、摩擦攪拌接合時に発生するZ軸荷重(被接合材の表面に対して略垂直方向の荷重)がボビン型摩擦攪拌接合用工具の内部で相殺される。よって、工具用のモータを保持する摩擦攪拌接合装置の本体構造及び被接合材を固定するステージ部等のサイズ及び剛性等を低減することができる。
本発明の摩擦攪拌接合装置においては、前記上部回転体と前記下部回転体の回転速度をそれぞれ独立して設定することができ、前記上部回転体と前記下部回転体の回転方向を反対とすることができること、が好ましい。ボビン型摩擦攪拌接合用工具の上部回転体と下部回転体を反対方向に回転させて摩擦攪拌接合を行うことで、ツールトルクを相殺することができ、摩擦攪拌接合中における工具の横振れを抑制することができる。
本発明の摩擦攪拌接合装置においては、被接合材を予熱するための予熱機構を備えており、前記予熱機構を前記ボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向前方に配置し、前記予熱による前記被接合材の軟化によって前記ボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向を誘導すること、が好ましい。
予熱領域の被接合材の強度は非予熱領域と比較して低下するため、摩擦攪拌接合時のプロセス荷重を効果的に低減することができる。加えて、ボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向前方を選択的に予熱することで、ボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向を誘導することができる。
また、本発明の摩擦攪拌接合装置においては、前記予熱機構が通電加熱方式であること、が好ましい。レーザ照射や高周波加熱等と比較して、通電加熱は装置が極めて安価かつ小型であることから、安価な摩擦攪拌接合装置小型化を実現するという観点から好適に用いることができる。
更に、本発明の摩擦攪拌接合装置においては、
前記上部回転体が凸形状を有し、
前記下部回転体が凹形状を有し、
前記上部回転体の凸部が前記下部回転体の凹部に挿入されること、
が好ましい。摩擦攪拌接合中に被接合材が上部回転体の凸部と凹部の隙間を通過することで、種々の方向を有する複雑な流れが生じ、攪拌部における結晶の配向を低下させることができる。特に、六方最密充填構造を有するマグネシウム及びマグネシウム合金においては、攪拌部に配向が生じやすく、当該配向によって継手強度が低下することが知られており、本発明の摩擦攪拌接合装置を好適に用いることができる。
ここで、本発明の摩擦攪拌接合装置では、上記摩擦攪拌接合装置とは逆に、前記上部回転体が凹形状を有し、前記下部回転体が凸形状を有し、前記下部回転体の凸部が前記上部回転体の凹部に挿入されるように設計してもよい。
本発明の摩擦攪拌接合装置では、摩擦攪拌接合時に前記ボビン型摩擦攪拌接合用工具に印加される接合方向の力(Fx)、接合線と直交する横方向の力(Fy)、及び接合線と直交する垂直方向の力(Fz)が、いずれも10kgf以下であること、が好ましく、摩擦攪拌接合時における前記ボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向を手動で制御すること、が好ましい。
また、本発明は、
上部回転体と、下部回転体と、前記下部回転体と一体に形成される攪拌軸と、を有するボビン型摩擦攪拌接合用工具を用い、
前記上部回転体と前記下部回転体の間に被接合材を挟み込む工程と、
前記上部回転体と前記下部回転体とを反対方向に回転させる工程と、
前記ボビン型摩擦攪拌接合工具を移動させる工程と、を有し、
予熱機構を前記ボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向前方に配置し、
前記予熱による前記被接合材の軟化によって前記ボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向を誘導すること、
を特徴とする摩擦攪拌接合方法も提供する。
前記ボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向は手動で制御すること、が好ましく、前記被接合材はアルミニウム又はアルミニウム合金であること、が好ましい。
なお、本発明の摩擦攪拌接合方法は、本発明の摩擦攪拌接合装置を用いて好適に実施することができる。
本発明によれば、現場施工が可能な可搬型の小型摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法であって、手動による動作制御を可能とする小型摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置で用いる上部回転体の一例を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置で用いる上部回転体の一例を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置で用いる下部回転体の一例を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置で用いる下部回転体の一例を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置で用いるボビン型摩擦攪拌接合用工具の一例を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置で用いるボビン型摩擦攪拌接合用工具の一例を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置による接合状態の概念図である。 本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置で用いる上部回転体の別の一例を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置で用いる上部回転体の別の一例を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置で用いる下部回転体の別の一例を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置で用いる下部回転体の別の一例を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置の概略側面図である。 本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置の概略正面図である。 本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置で用いる予熱機構の概念図である。 実施例で作製した摩擦攪拌接合装置の外観写真である。 実施例で作製した上部回転体と下部回転体の外観写真である。 摩擦攪拌接合時のプロセス荷重を測定するためのロードセル配置図である。 接合方向荷重Fxの測定値である。 横方向荷重Fyの測定値である。 試料固定台に印加されるプロセス荷重の概念図である。 種々の上部回転体回転速度における横方向荷重Fyの測定値である。 予熱機構による被接合材の温度変化を示す線図である。 予熱の有無における摩擦攪拌接合時のプロセス荷重の測定値である。 予熱を伴う摩擦攪拌接合によって得られた試料の外観写真である。
以下、図面を参照しながら本発明の摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法の代表的な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、表された各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。
(1)摩擦攪拌接合装置
(A)ボビン型摩擦攪拌接合用工具
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置で用いる上部回転体の一例を示す側面図及び平面図である。上部回転体1は、工具取付部2と上部ショルダ部4とを有している。また、工具取付部2には、上部回転体1をスピンドル底面に固定するための取付穴6が設けられている。
上部ショルダ部4は円筒形状となっており、後述の下部回転体が有する攪拌軸を貫通させることができる。ここで、上部ショルダ部4の底面積は被接合材に求められる入熱量や上部ショルダ部4を回転させるモータ容量等を考慮して適宜決定すればよい。
図3及び図4は、本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置で用いる下部回転体の一例を示す側面図及び平面図である。下部回転体10は、下部ショルダ部12と攪拌軸14とが一体に形成されており、下部ショルダ部12はプローブ部16を介して攪拌軸14と接続されている。
摩擦攪拌接合時のプロセス荷重を低下させる観点からは、上部ショルダ部4及び下部ショルダ部12の直径を小さくすることが好ましい。ここで、良好な摩擦攪拌接合に必要な入熱が不足する場合、上部ショルダ部4及び下部ショルダ部12の回転速度を高くすればよい。
プローブ部16の長さは被接合材の厚さによって決定すればよく、被接合材の厚さと同程度又は被接合材の厚さよりも0.1〜0.3mm程度短くすることが好ましい。また、プローブ部16の直径は、接合中にプローブ部16に印加されるプロセス荷重及び被接合材の塑性流動特性を考慮して決定すればよい。プロセス荷重が大きくなる場合はプローブ部16からの破断を防ぐために直径を大きくする必要があり、被接合材が塑性流動し難い場合は攪拌部における欠陥の形成を防ぐために直径を小さくする必要がある。
ここで、プローブ部16の表面を螺子形状とすることで攪拌部における塑性流動挙動を制御することができる。プローブ部16の回転方向が右回転(時計回り:CW)の場合は左螺子、左回転(反時計回り:CCW)の場合は右螺子の形状とすることで、塑性流動を攪拌部下向きの塑性流動を促進することができ、攪拌部における欠陥形成およびバリの発生を抑制することができる。なお、ボビン型摩擦攪拌接合用工具の場合はプローブ部16が被接合材を貫通しているため、プローブ部16の長さ方向における略中心から上下で螺子の方向を変えることが好ましい(被接合材の表面からは下向き、裏面からは上向きの塑性流動を促進する)。
更に、上部ショルダ部4及び/又は下部ショルダ部12の底面(被接合材と当接する面)を螺子形状とすることで、塑性流動挙動を制御することもできる。この場合、上部ショルダ部4及び/又は下部ショルダ部12の回転に伴って、塑性流動が当該ショルダ部の内向きとなるように螺子を形成することが好ましい(塑性流動が外向きとなるとバリの量が増加してしまう)。
図5及び図6は、本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置で用いるボビン型摩擦攪拌接合用工具の一例を示す側面図及び平面図である。ボビン型摩擦攪拌接合用工具20は上部回転体1と下部回転体10とから構成されており、下部回転体10の攪拌軸14が上部回転体1の中心を貫通している。
図7は、ボビン型摩擦攪拌接合用工具20を用いた接合状態の概念図である。被接合材は、上部ショルダ部4と下部ショルダ部12との間に挟まれた状態で摩擦攪拌接合されることになる。上部回転体1の上部ショルダ部4と下部回転体10の下部ショルダ部12とのギャップは、被接合材の厚さよりも0.1〜0.3mm程度短くすることが好ましい。被接合材の厚さよりも小さなギャップに挟まれることで、被接合材に対して摩擦攪拌接合に必要な応力が印加されることになる。また、当該応力はボビン型摩擦攪拌接合用工具20の内部で相殺されるため、摩擦攪拌接合装置に求められる剛性等を低減することができる。
攪拌軸14の直径は上部ショルダ部4の内径より僅かに小さくし、攪拌軸14が上部ショルダ部4の内部で円滑に回転できると共に、攪拌軸14と上部ショルダ部4の隙間から軟化した被接合材が侵入することを防止することが好ましい。
上部回転体1及び下部回転体10の素材は本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の金属材、超硬合金、及びセラミックス材等を用いることができるが、機械的特性や加工性等を考慮すると、SKD61等の熱間工具鋼を用いることが好ましい。なお、全ての部位を同一の素材とする必要はなく、例えば、上部回転体1及び/又は下部回転体10の被接合材に接する表面のみをセラミックス材としてもよい。
図8及び図9は、本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置で用いる上部回転体の別の一例を示す側面図及び平面図である。上部回転体100においては、上部ショルダ部4は凸部5を有しており、凸部5が下向き(下部回転体と対向する向き)となるようにスピンドル底面に取り付けられる。
図10及び図11は、本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置で用いる下部回転体の別の一例を示す側面図及び平面図である。下部回転体200においては、下部ショルダ部12は凹部13を有している。ここで、図10の一点鎖線は、プローブ部16が凹部13の底面に接続されていることを示している。
摩擦攪拌接合時においては、凸部5が凹部13に挿入された状態で被接合材を攪拌することとなり、被接合材が凸部5と凹部13の隙間を通過することで、種々の方向を有する複雑な流れが生じ、攪拌部における結晶の配向を低下させることができる。なお、凹部13に対する凸部5の挿入量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定すればよい。
なお、本発明の摩擦攪拌接合装置では、上部ショルダ部4に凹部13を、下部ショルダ部12に凸部5をそれぞれ設け、下部ショルダ部12の凸部5を上部ショルダ部4の凹部13に挿入する態様で摩擦攪拌接合を行ってもよい。
(B)摩擦攪拌接合装置本体
図12及び図13は、それぞれ本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置の概略側面図及び概略正面図である(予熱機構は図示せず)。摩擦攪拌接合装置30は、上部回転体1を回転させる上部回転体用モータ32及び上部回転体用スピンドル34、下部回転体10を回転させる下部回転体用モータ36及び下部回転体用スピンドル38、被接合材を固定する試料固定台40、試料固定台40を移動させるための試料固定台移動用モータ42、試料固定台用架台44を有している。ここで、試料固定台40、試料固定台移動用モータ42、及び試料固定用架台44は必須の構成要素ではなく、十分な重量を有する構造体又は任意の方法で固定した板材等に対して、試料固定台40、試料固定台移動用モータ42、及び試料固定用架台44を備えていない摩擦攪拌接合装置30を用いて処理を施すこともできる。
摩擦攪拌接合装置30は、上部回転体1と下部回転体10とが別駆動するボビン型摩擦攪拌接合用工具20を用いるため、モータを2台(上部回転体用モータ32及び下部回転体用モータ36)搭載した複動式とする必要がある。ここで、例えば板厚2mm程度のアルミニウム板の接合を目的とする場合、出力0.73kW以上、回転数1000rpm以上のモータを用いることが好ましい。また、家庭用コンセントで摩擦攪拌接合装置30を使用することを考慮すると、モータの出力は0.73kW程度にすることがより好ましい。
摩擦攪拌接合装置30においては、上部回転体用モータ32と下部回転体用モータ36とは独立して回転を設定することができることが好ましい。上部回転体用モータ32の回転方向と下部回転体用モータ36の回転方向が逆になるように設計すれば、必ずしも回転方向の切り替えができる必要はないが、接合条件設定の自由度等の観点から、各モータにおいて回転方向を任意に設定できることが好ましい。
上部回転体1は上部回転体用スピンドル34と、下部回転体10は下部回転体用スピンドル38と、それぞれ連結される。また、被接合材48は試料固定台40に固定され、接合又は改質したい領域を回転する上部回転体1と下部回転体10との間に圧入して移動させることで、接合又は改質が達成させる。
ボビン型摩擦攪拌接合用工具の上部回転体1と下部回転体10を反対方向に回転させて摩擦攪拌接合を行うことで、ツールトルクを相殺することができ、摩擦攪拌接合中における工具の横振れを抑制することができる。更に、上部回転体1と下部回転体10の回転速度の組合せによってツールトルクを変化させることができ、ツールトルクが最低となるような接合条件を選定することができる。
また、摩擦攪拌接合装置30に曲げ荷重よりも引張圧縮の荷重が印加するように設計することで、小型の摩擦攪拌接合装置30でも十分な剛性を得ることができる。更に、攪拌軸14の固定にコレットチャックを使用することにより、ボビン型摩擦攪拌接合用工具20の位置精度を確保することができる。
上部回転体用スピンドル34は、タイミングベルトによって下部回転体用スピンドル38と同軸にすることができる。ここで、回転を減速させないためには、タイミングベルト用プーリー46の径をモータ側と工具側と同一とすればよい。また、下部回転体用スピンドル38にコレットチャックを付けることで、攪拌軸14が細い場合であっても芯ずれが生じることなくボビン型摩擦攪拌接合用工具20を固定することができる。
上述の通り、試料固定台40、試料固定台移動用モータ42、及び試料固定用架台44は摩擦攪拌接合装置30の必須の構成要素ではないが、必要に応じて摩擦攪拌接合装置30に組み込むことが好ましい。試料固定台移動用モータ42には、例えば、ブラシレスDCモータを用いることができ、平歯車を介してモータの回転運動を台形ネジに伝達することで試料固定台40を直線運動させることができる。この場合、台形ネジの許容推力は対象とする被接合材によって適宜決定すればよい。また、試料固定台40の最大直線移動速度は、接合条件設定の自由度の観点から、300mm/min以上とすることが好ましい。
摩擦攪拌接合装置30ではボビン型摩擦攪拌接合用工具20を用いて接合及び改質を行うため、試料固定台40は被接合材の端を押え治具等で固定し、被処理領域の上下はボビン型摩擦攪拌接合用工具20が干渉しないように設計する必要がある。ここで、通常の摩擦攪拌接合の場合に使用する裏板(被接合材の下に配置する金属製の板)等が不要であることから、摩擦攪拌接合装置30が試料固定台40を有する場合であっても比較的軽量とすることができる。
後述の予熱機構を備えた摩擦攪拌接合装置30を用いることで、摩擦攪拌接合時にボビン型摩擦攪拌接合用工具20に印加される接合方向の力(Fx)、接合線と直交する横方向の力(Fy)、及び接合線と直交する垂直方向の力(Fz)を、いずれも10kgf以下とすることができる。
摩擦攪拌接合装置30においては、ボビン型摩擦攪拌接合用工具20の進行方向を手動で制御することが好ましい。この際、摩擦攪拌接合装置30を手動で移動させることでボビン型摩擦攪拌接合用工具20の位置を決定してもよく、被接合材48を手動で移動させることで相対的なボビン型摩擦攪拌接合用工具20の位置を決定してもよい。なお、摩擦攪拌接合装置30を用いることで、摩擦攪拌接合時における被接合材48の固定を緩和することができ、例えば、被接合材48の一点のみを固定した状態でも摩擦攪拌接合を施すことができる。
(C)予熱機構
本発明の摩擦攪拌接合装置30は、予熱機構を有している。予熱機構としては、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の予熱機構を用いることができ、通電加熱を用いた機構、レーザ照射を用いた機構、高周波加熱を用いた機構、マイクロアークを用いた機構、熱風を用いた機構、及び摩擦熱を用いた機構等を例示することができるが、コスト及び装置重量等の観点から、通電加熱を用いた機構を用いることが好ましい。
ここで、予熱機構としてレーザ照射を用いる場合、被接合材を溶融させることでレーザの吸収効率が増加する。つまり、レーザ照射によって被接合材を溶融させることで、深さ方向及び幅方向に、より効率的に被接合材の予熱を行うことができる。
図14は、本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置で好適に用いることができる通電加熱を利用した予熱機構の概念図である。予熱機構50は、正電極52及び負電極54を有しており、正電極52及び負電極54はそれぞれ電源56に接続されている。ここで、正電極52及び負電極54を被接合材48に当接させて電圧を印加することで、被接合材48に通電され、抵抗発熱によって被接合材48が加熱される。
被接合材48の加熱領域は正電極52及び負電極54の間隔によって制御することができる。当該間隔は特に限定されないが、局所的な加熱によって被接合材48の塑性変形抵抗を低下させ、摩擦攪拌接合時のプロセス荷重を効率的に低下させるために、当該間隔をプローブ部16の直径〜上部ショルダ部4又は下部ショルダ部12の直径とすることが好ましい。また、ボビン型摩擦攪拌接合用工具20の進行方向を効率的に誘導するためには、当該間隔をプローブ部16の直径と同程度にすることが好ましい。なお、正電極52及び負電極54を接合方向に並べることで、被接合材の48の温度を効率的に上昇させることができる。
予熱機構50は、本発明の効果を損なわない範囲で種々の位置に配置することができ、摩擦攪拌接合装置30とは別に設けてもよいが、摩擦攪拌接合装置30に組み込むことが好ましい。ここで、予熱機構50はボビン型摩擦攪拌接合用工具20の進行方向前方に配置し、予熱による被接合材48の軟化によってボビン型摩擦攪拌接合用工具20の進行方向を誘導することが好ましい。なお、予熱は被接合材48の表面に対して施すとは限らず、被接合材48の裏面に対して施してもよい。
予熱機構50によって、変形抵抗が十分に低下する程度にまで被接合材48の温度を上昇させることが好ましい。ここで、アルミニウム合金の場合は種類によらず200℃付近で大幅に変形抵抗が低下することから、予熱温度を150〜250℃とすることが好ましい。なお、予熱温度を必要以上に高く設定すると、変形抵抗が低下する領域が広くなり過ぎ、ボビン型摩擦攪拌接合用工具20の進行方向を誘導することが困難となる。
なお、予熱機構50によって加熱される領域の周囲を強制冷却することで、加熱領域とその近傍における被接合材48の変形抵抗の差が大きくなり、ボビン型摩擦攪拌接合用工具20の進行方向をより効率的に誘導することができる。ここで、強制冷却には本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の冷却方法を用いることができ、例えば、液体窒素、液体CO2、不活性ガス、大気、水等をノズル等で噴射することで達成することができる。
(2)摩擦攪拌接合方法
本発明の摩擦攪拌接合方法は、上部回転体と、下部回転体と、前記下部回転体と一体に形成される攪拌軸と、を有するボビン型摩擦攪拌接合用工具を用い、上部回転体と下部回転体の間に被接合材を挟み込む工程と、上部回転体と下部回転体とを反対方向に回転させる工程と、ボビン型摩擦攪拌接合工具を移動させる工程と、を有し、予熱機構を前記ボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向前方に配置し、前記予熱による前記被接合材の軟化によって前記ボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向を誘導すること、を特徴とするものである。
ボビン型摩擦攪拌接合用工具の上部回転体と下部回転体を反対方向に回転させて摩擦攪拌接合を行うことで、ツールトルクを相殺することができ、摩擦攪拌接合中における工具の横振れを抑制することができる。更に、上部回転体と下部回転体の回転速度の組合せによってツールトルクを変化させることができ、ツールトルクが最低となるような接合条件を選定することができる。
本発明の摩擦攪拌接合方法においては、予熱機構をボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向前方に配置し、予熱による被接合材の軟化によってボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向を誘導する。ここで、予熱によって被接合材を十分に軟化させるという観点から、被接合材の板厚は5mm以下とすることが好ましい。
また、ボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向は手動で制御すること、が好ましく、被接合材はアルミニウム又はアルミニウム合金であること、が好ましい。ここで、接合中における攪拌軸の破断を抑制するため、例えば、被接合材がアルミニウム又はアルミニウム合金の場合は、当該被接合材の板厚を5mm以下とすることが好ましい。
なお、本発明の摩擦攪拌接合方法は、本発明の摩擦攪拌接合装置を用いて好適に実施することができる。
以上、本発明の摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それら設計変更は全て本発明の技術的範囲に含まれる。
図15に、実施例として作製した摩擦攪拌接合装置の外観写真を示す。なお、上部回転体用モータ及び下部回転体用モータには、出力0.73kWのTEKNOMOTOR製三相誘導モータを用い、モータの制御装置は安川電機製インバータ(V1000)を用いた。参考として撮影したペットボトルと比較しても明らかであるとおり、作製した摩擦攪拌接合装置は極めて小さなものである(幅280mm×奥行440mm×高さ570mm)。
摩擦攪拌接合装置の上方には、上部回転体用モータと下部回転体用モータが並列に設置されており、タイミングベルトで同軸にしている。また、試料固定台には母材を移動させる送りモータが取り付けられている。本装置の最大ツール回転数は1200rpm、最大接合速度は300min/mmであり、板厚2mmまでの材料を接合可能な仕様とした。
図16に、実施例で作製したボビン型摩擦攪拌接合用工具(上部回転体及び下部回転体)の外観写真を示す。ツールの材質は熱間工具鋼(SKD61)で、上部ツールは4つの取付穴にネジを通してスピンドル部下面に固定する。また、下部ツールは把持部が研磨されており、コレットチャックで固定する仕様とした。
上部ショルダ部及び下部ショルダ部の被接合材と当接する面には、バリを最小限に抑えるために10°の凹み角が与えられており、直径は10mmとした。また、プローブ部の直径は約4mmとした。
[プロセス荷重測定]
上記摩擦攪拌接合装置を用いて板厚2mmのA1050板(90mm×100mm×2mm)に対する摩擦攪拌接合を行い、接合中の各種プロセス荷重を測定した。図17は、摩擦攪拌接合時のプロセス荷重を測定するためのロードセル配置図である。接合方向の力FxをロードセルX(定格荷重:5000N)、接合線と直交方向の力Fyの分力をロードセルY1からY4(定格荷重:300N)で測定した。ロードセルに与えられたひずみはロードセルアンプで電気信号に変換し、取得した電気信号はPCに記録した。
図18は、上下の回転体の回転方向を共にCWとし、回転速度を600rpm及び1000rpm、移動速度を50〜300min/mmとした場合のFxを示している。Fxはツールの回転速度が大きく、移動速度が小さい条件で小さな値を示しており、1000rpm、50min/mmでは約70Nとなっている。
図19は、上下の回転体の回転方向が同じ場合(CW)と異なる場合(上側ツールCCW/下側ツールCW)において、Fyを測定した結果である。なお、回転方向が同じ場合は上下の回転体共に700rpmとし、ツール回転方向が異なる場合は上部回転体を600rpm、下部回転体を700rpmとした。
Fyの絶対値に着目すると、同回転の場合と比較して,逆回転の場合は概ね値が小さくなっている。これは,上下の回転体によって発生する力が相殺された結果である。なお、図20に示しているように、同回転の場合は被接合材が一方向に押されるような力が印加されているのに対し、逆回転の場合は被接合材がCCW方向に回転するような力が印加されている。
図21は、上記の回転方向が逆回転の場合において、下部回転体の回転速度を700rpmで固定し、上部回転体の回転速度を400〜600rpmと変化させた場合のFyを測定した結果である。上部回転体の回転速度低下に伴いFyが小さくなる傾向が現れており、400rpmにおいてはFy1及びFy2の値がほぼ0になっている。上下回転体の回転数の好適な組み合わせは種々の条件で変化し得るが、上下回転体の回転数を独立して調整することで、上下の回転体から印加される力をバランスすることができることが分かる。
[予熱]
被接合材の表面に鋭利な先端を有するニクロム電極を当接させ(電極間距離4mm)、当該電極間を通電させる通電加熱方式を用いた簡易な予熱機構を作製した。図22は、設定電流を100Aとし、板厚2mmのA1050板にニクロム電極を当接させて200min/mmで移動させた場合のA1050板裏面の温度変化を示している。最高到達温度は約150℃となっており、A1050板表面では更に温度が高いと予想されることから、A1050の塑性変形抵抗の低減には十分に寄与するものと思われる。
図23は、予熱の有無における摩擦攪拌接合時の各種プロセス荷重の測定値である。なお、ニクロム電極をボビン型摩擦攪拌接合用工具の中心から8.5mm前方に配置し、ツールと共に移動することで予熱を行った(設定電流:100A)。摩擦攪拌接合条件は上下の回転体を逆回転(上側ツールCCW/下側ツールCW)とし、移動速度を200min/mm、回転速度を上側600rpm、下側700rpmとした。
予熱によるプロセス荷重の低下は顕著であり、FyについてはFy2を除いて数Nとなっている。加えて、Fxも予熱によって約30%低減されており、Fy及びFx共に、手動によるツール位置の制御が可能な値となっている。
図24は、予熱を伴う摩擦攪拌接合によって得られた試料の外観写真である。試作した小型の摩擦攪拌接合装置を用いて得られた接合体の外観は良好であり、予熱を伴った場合でも特に変化は認められない。接合の始端部にはボビン型の工具を用いた場合に特有の欠陥が存在するが、それ以外はバリも少なく、攪拌部表面は滑らかな形状を有している。
1,100・・・上部回転体、
2・・・工具取付部、
4・・・上部ショルダ部、
5・・・凸部、
6・・・取付穴、
10,200・・・下部回転体、
12・・・下部ショルダ部、
13・・・凹部、
14・・・攪拌軸、
16・・・プローブ部、
20・・・ボビン型摩擦攪拌接合用工具、
30・・・摩擦攪拌接合装置、
32・・・上部回転体用モータ、
34・・・上部回転体用スピンドル、
36・・・下部回転体用モータ、
38・・・下部回転体用スピンドル、
40・・・試料固定台、
42・・・試料固定台移動用モータ、
44・・・試料固定用架台、
46・・・タイミングベルト用プーリー、
48・・・被接合材、
50・・・予熱機構、
62・・・正電極、
64・・・負電極、
66・・・電源。

Claims (10)

  1. 上部回転体と、下部回転体と、前記下部回転体と一体に形成される攪拌軸と、を有し、前記上部回転体と前記下部回転体の間に被接合材を挟み込んで摩擦攪拌接合を行うボビン型摩擦攪拌接合用工具を用い、
    被接合材を予熱するための予熱機構を備え、
    前記上部回転体と前記下部回転体の回転速度をそれぞれ独立して設定することができ、
    前記上部回転体と前記下部回転体の回転方向を反対とすることができ、
    前記予熱機構を前記ボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向前方に配置し、
    前記予熱による前記被接合材の軟化によって前記ボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向を誘導し、
    摩擦攪拌接合時における前記ボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向を手動で制御すること、
    を特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  2. 前記予熱機構が通電加熱方式であること、
    を特徴とする請求項に記載の摩擦攪拌接合装置。
  3. 摩擦攪拌接合時に前記ボビン型摩擦攪拌接合用工具に印加される接合方向の力(Fx)、接合線と直交する横方向の力(Fy)、及び接合線と直交する垂直方向の力(Fz)が、いずれも10kgf以下であること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の摩擦攪拌接合装置。
  4. 前記攪拌軸はプローブ部を有し、
    前記プローブ部の長さは前記被接合材の厚さよりも0.1〜0.3mm短く、
    前記プローブ部の直径は前記攪拌軸の直径よりも小さいこと、
    を特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載の摩擦攪拌接合装置。
  5. 前記予熱機構によって加熱される領域の周囲を強制冷却する冷却機構を備えること、
    を特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載の摩擦攪拌接合装置。
  6. 前記上部回転体が凸形状を有し、
    前記下部回転体が凹形状を有し、
    前記上部回転体の凸部が前記下部回転体の凹部に挿入されること、
    を特徴とする請求項1〜5のうちのいずれかに記載の摩擦攪拌接合方法。
  7. 前記上部回転体が凹形状を有し、
    前記下部回転体が凸形状を有し、
    前記下部回転体の凸部が前記上部回転体の凹部に挿入されること、
    を特徴とする請求項1〜6のうちのいずれかに記載の摩擦攪拌接合装置。
  8. 上部回転体と、下部回転体と、前記下部回転体と一体に形成される攪拌軸と、を有するボビン型摩擦攪拌接合用工具を用い、
    前記上部回転体と前記下部回転体の間に被接合材を挟み込む工程と、
    前記上部回転体と前記下部回転体とを反対方向に回転させる工程と、
    前記ボビン型摩擦攪拌接合用工具を移動させる工程と、を有し、
    予熱機構を前記ボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向前方に配置し、
    前記予熱による前記被接合材の軟化によって前記ボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向を誘導すること、
    を特徴とする摩擦攪拌接合方法。
  9. 前記ボビン型摩擦攪拌接合用工具の進行方向を手動で制御すること、
    を特徴とする請求項に記載の摩擦攪拌接合方法。
  10. 前記被接合材がアルミニウム又はアルミニウム合金であること、
    を特徴とする請求項8又は9に記載の摩擦攪拌接合方法。
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