JP6381991B2 - 食酢及びその製造方法、食酢含有飲食品及びその風味改善方法 - Google Patents

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Description

本発明は、食酢及びその製造方法、食酢含有飲食品及びその風味改善方法に関するものである。
食酢は様々な飲食品に幅広く使用されるものであるが、成分中に酢酸を含む関係上、鋭い酸味や酢酸独特の酸臭といった風味を有している。近年、消費者の健康志向の高まりに伴い、食酢を含有する飲食品が支持を集めているが、強い酸味や酸臭は飲食物の風味に悪影響を与えることが知られている。ゆえに、食酢を含有する飲食品においては、食酢独特の酸味や酸臭の緩和という課題がある。
このような課題を解決するために、食酢中の酢酸等の成分を維持しながら食酢の酸味や酸臭を緩和する様々な方法が従来開発されてきた。例えば、化学的な手法としては、各種の添加物を添加する方法が提案されており、具体的にはグリシンを添加する方法(例えば、特許文献1を参照)、スクラロースを添加する方法(例えば、特許文献2を参照)、ヘキサナールを添加する方法(例えば、特許文献3を参照)などが知られている。また、物理的な手法としては、例えば、酢酸発酵液に対してパルス磁場を印加する方法(例えば、特許文献4を参照)、電磁波、超音波、遠赤外線などを照射する方法(例えば、特許文献5を参照)などが知られている。
特開2001−258487号公報 特開2002−95409号公報 特開2010−1246969号公報 特開平5−176693号公報 特開2005−117977号公報
ところが、食酢の風味を改善するための上記従来の方法には、以下のような問題があった。即ち、化学的な手法の場合、基本的に風味改善のための添加物の添加を伴うことから、求めていない余分な味が食品に付与されてしまい、食酢本来の風味を維持することができなくなる。また、物理的な手法の場合、添加物の添加を伴わない点では好ましい反面、多大な設備や運転費用がかかるうえに、酸味や酸臭を緩和する効果が必ずしも十分に得られない。
このように、添加物の添加を伴わず、しかも食酢の品質をあまり変化させることなく、酸味や酸臭を有効に緩和しうる方法は、従来知られていなかった。ちなみに、化学的・物理的な手法を採用しなくても、食酢を長期間熟成すればマイルドな風味になるものの、製造に要する期間が長くなり生産性の観点で不利である。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、添加物の添加を伴わず、しかも食酢の品質をあまり変化させることなく、食酢特有の酸味及び酸臭を有効に緩和して風味を改善することができる食酢及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、このように風味が改善された食酢を含有する食酢含有飲食品を提供することにある。本発明のさらに別の目的は、何ら添加物を添加することなく、食酢の風味を改善する方法を提供することにある。
そこで本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、偶然にも液体調味料である食酢を分散媒として、湿式微粉砕機で加工処理を行った場合に、分散媒である食酢の酸味や酸臭が緩和され、結果として食酢の風味が改善されることを新規に知見した。本発明者らは上記の知見に基づいてさらに鋭意研究を進めることにより、下記の発明を完成させるに至ったのである。ちなみに、食品分野において食品素材を湿式微粉砕機で加工処理する技術は既に存在していたが、あくまで固形分をある程度含む食品素材に適用され、その固形分を微細化することを主目的とするものであった。これに対して、当該技術を食酢のように固形分をほとんど含まない液体に適用することは未だ提案されておらず、また、これが風味改善に寄与することも従来全く知られていなかった。
上記の課題を解決するための手段[1]〜[]を以下に列挙する。
[1]原料である食酢を球状の無機粉砕媒体とともに容器内に収納して回転させるタイプの湿式微粉砕機を用いて、液温の上昇を抑制しつつ前記食酢を加工処理する風味改善工程を含むことを特徴とする食酢の製造方法。
]前記湿式微粉砕機は、ビーズミル粉砕機であることを特徴とする手段に記載の食酢の製造方法。
]前記無機粉砕媒体の平均粒径は、0.1mm以上1.0mm以下であることを特徴とする手段1または2に記載の食酢の製造方法。
]前記食酢における糖類の濃度は、20質量%以下であることを特徴とする手段1乃至のいずれか1項に記載の食酢の製造方法。
]手段1乃至のいずれか1項に記載の方法により製造された食酢。
]手段1乃至のいずれか1項に記載の方法により製造された食酢を含む食酢含有飲食品。
原料である食酢を球状の無機粉砕媒体とともに容器内に収納して回転させるタイプの湿式微粉砕機を用いて、液温の上昇を抑制しつつ加工処理された食酢を添加することで、当該食酢を含有する飲食品全体の風味を改善する方法。
以上詳述したように、請求項1〜に記載の発明によると、風味改善用添加物の添加を伴わず、しかも食酢の品質をあまり変化させることなく、食酢特有の酸味及び酸臭を有効に緩和して風味を改善することができる食酢及びその製造方法を提供することができる。また、請求項に記載の発明によると、このように風味が改善された食酢を含有する品質のよい食酢含有飲食品を提供することができる。さらに、請求項に記載の発明によると、風味改善用添加物を何ら添加することなく、食酢の風味を改善することができる優れた方法を提供することができる。
本発明を具体化した実施形態の実施例において行った試験1の結果を示す表1。 上記実施例において行った試験2で試作した飲食品のレシピを示す表2。 上記実施例において行った試験2の結果を示す表3。 上記実施例において行った試験3の結果を示す表4。
以下、本発明の食酢及びその製造方法、食酢含有飲食品及びその風味改善方法について詳細に説明する。
本発明の食酢の製造方法は、所定の風味改善工程を含むものであって、主として食酢特有の酸味及び酸臭の緩和を通じてその風味を改善する工程を含むものである。本発明が適用可能な食酢は、醸造酢であれば特に限定されないが、その例として、高酸度酢、米やその他穀物を原料とする米酢、玄米酢、穀物酢、リンゴ果汁、ブドウ果汁、ブドウ以外の果実(例えばブルーベリーなど)の果汁を原料とする果実酢などを挙げることができる。特に、エキス分(可溶性固形分)が少ない食酢は、風味が弱く、酸味、酸臭が強く感じられやすいため、本発明はこのような食酢に適用されることが好ましい。ここで、エキス分が少ない食酢とは、具体的にはエキス分含有量(EX%)が10質量%以下である低エキス食酢のことを指している。先に列挙した醸造酢のなかでは、高酸度酢、米酢、玄米酢、穀物酢、リンゴ果汁を原料とする果実酢などが低エキス食酢に該当し、とりわけエキス分含有量が少ないものとして高酸度酢を挙げることができる。
本発明の食酢は、装置の効率などを考慮して、できるだけ酸度(TA%)の高い食酢を生の状態で処理することが好ましい。ここで、酸度の高い食酢の例としては高酸度酢を挙げることができ、具体的には酸度が10%以上の高酸度酢を挙げることができる。なお、本発明における風味改善工程は、酸度の高い生酢の状態で実施されてもよいほか、他の原料を混合した後の調味酢あるいは食酢飲料の状態としてから実施されてもよい。
本発明が適用される食酢におけるエキス分含有量(EX%)及び酸度(TA%)に関していうと、例えば「EX%/TA%」の値が9.00以下であることが好ましく、2.00以下であることがより好ましく、1.80以下であることがさらに好ましく、0.80以下であることが最も好ましい。このほか、食酢の成分に関するパラメータとしては、他に全窒素含有量(TN%)やブリックス(Bx%)などがあるが、例えば「TN%/TA%」の値が0.04以下であることが好ましく、0.02以下であることがより好ましく、0.01以下であることが最も好ましい。また、「Bx%/TA%」の値が9.40以下であることが好ましく、2.80以下であることがより好ましく、2.10以下であることがさらに好ましく、1.40以下であることが最も好ましい。
本発明の適用により風味が改善された食酢は、従来の食酢の利用方法であれば特に限定されることなく広く使用できるが、用途の具体例としては、食酢飲料用、すし酢用、ぽん酢用、その他の調理用などが挙げられる。これらのなかでも、食酢飲料用の食酢は酸味酸臭緩和のために通常なら糖類を添加する必要があり、本発明はこのような用途の食酢に適用されることが特に好ましい。即ち、酸味酸臭が緩和された食酢を使用すれば、糖類の添加を抑制することができ、近年の消費者における健康志向への高まりに応えることができるからである。また、製造者にとっても、糖類添加量の低減によって経済的なメリットを享受でき、好ましいからである。
以下、本発明の食酢の製造方法について説明する。
本発明の製造方法では、液体調味料である食酢を加工処理して風味を改善するために、湿式微粉砕機を用いるとともに、原料である食酢を分散媒として当該装置に通じ、湿式の粉砕処理を行う必要がある。ここで、適用可能な湿式の粉砕方式としては、例えば、ピンミル、ロッドミル、ボールミル、ロールミル、ディスクミル、ビーズミルなどといった粉砕機を湿式で用いる方法が挙げられる。この場合において、原料である食酢を球状の無機粉砕媒体とともに容器内に収納して回転させるタイプの湿式微粉砕機を用いる方法が好ましく、特にビーズミル粉砕機を用いる方法が好ましい。ビーズミル粉砕機を用いると、食酢を確実にかつ効率よく処理できるばかりでなく、液温をあまり上昇させることなく処理できるという利点があるからである。
通常、液体中の固形分を粉砕する場合、目標とする粉砕粒度に応じて、回転数や流速などを適宜変更して、最も経済性の高い条件を設定するが、本発明の製造方法における風味改善工程においても、当該発明の効果が得られる程度に適宜条件設定を行い、最も経済性の高い条件設定を行えばよい。
ビーズミル粉砕機とは、一般に、液体中の粒子をナノ/マイクロメートルサイズまで粉砕・分散する装置のことをいう。処理室とも呼ばれる容器の中には、微細な酸化物セラミック製ビーズ(無機粉砕媒体)が70%〜95%程度充填される。この状態で、処理室の回転子を5m/秒〜15m/秒程度の速度で回転させることにより、ビーズに運動を与える。そして、本発明の風味改善工程においては、被処理物である食酢をあらかじめ作製しておき、その食酢を容器内にポンプで順次送り込むようにする。この場合、食酢には風味改善のための添加剤は特に添加されない。そして、容器を回転させると、容器内でのビーズ同士の衝突により、食酢が物理的に加工処理される。当該処理の後、食酢とビーズとは、処理室の出口にある分離手段等により分離される。当該処理の際には、常時冷却水を流通させるなどの方法により、液温の上昇を抑制することが好ましい。具体的には、液温が40℃以下を保つようにすることが好ましく、特には35℃以下を保つようにすることがより好ましい。このように非加熱下で加工処理を行うと、食酢の風味が熱により低下するリスクを軽減することができる。
なお、無機粉砕媒体としては特に限定されるものではないが、例えばジルコニアビーズを使用することが好ましい。また、ジルコニアビーズ等の無機粉砕媒体としては、例えば平均粒径が1.0mm以下のものを使用することが好ましく、特には0.1mm以上1.0mm以下のものを使用することが好ましい。
また、風味改善工程における加工処理時間は、特に限定されず任意に設定可能であるが、例えば1秒以上としてもよく、好ましくは1秒以上5時間以下としてもよく、さらに好ましくは1秒以上5分以下としてもよい。
本発明の製造方法における風味改善工程を経て得た食酢は、そのまま製品として成立してもよいほか、当該食酢を添加することで飲食品全体の風味が改善された食酢含有飲食品として成立してもよい。食酢を含有する飲食品の例としては、例えば、食酢を含有する飲料(食酢飲料)や、食酢を含有する液状調味料(合わせ酢、すし酢、ぽん酢、ドレッシング、めんつゆなど)等を挙げることができる。
以下、実施形態の食酢及びその製造方法、食酢含有飲食品及びその風味改善方法をより具体化して行った実施例について図1〜図4に基づいて説明する。
[試験1]
(1)サンプルの作製
試験1では以下の手順で各種の食酢を加工処理した。ここでは、湿式微粉砕機として、直径0.5mmのジルコニア製ビーズを原料加工処理室に85%充填したビ−ズミル(アシザワ・ファインテック社製、商品名「スターミル ラボスターミニ LMZ015」)を用いた。そして、回転子を13m/sの速度で回転させながら、食酢を処理した。ビーズミルによる加工処理の条件は定法によるものとした。具体的には、送液量75rpm(ワンパス),ミル処理強度4208rpm/13m/s,ビーズサイズ0.5mm,メッシュ0.2μmとした。また、加工処理を通じて液温を35℃以下に維持した。
食酢として、市販の高酸度酢(1種)、穀物酢(2種)、米酢(3種)、玄米酢(3種)、リンゴ酢(2種)、ブルーベリー酢(1種)の合計12サンプルを準備し、酸度(TA%)、エキス分含有量(EX%)、全窒素含有量(TN%)、ブリックス(Bx%)、pHを常法に従って測定した。その結果を図1の表1に示す。また、これらの測定データに基づいて計算を行い、酸度に対するエキス分含有量の比率として定義されるエキス分・酸度比(EX%/TA%)、酸度に対する全窒素含有量の比率として定義される全窒素・酸度比(TN%/TA%)、酸度に対するブリックスの比率として定義されるブリックス・酸度比(Bx%/TA%)をそれぞれ求めた(表1参照)。なお、表1中では、EX%/TA%の値が小さいものから順に並べ、サンプルNo.1〜No.12とした。概して、酸度の高い食酢やエキス分の少ない食酢が表1の上段側に位置する一方、酸度の低い食酢やエキス分の多い食酢が表1の下段側に位置している。
ちなみに、サンプルNo.1は高酸度酢であって、各計算値(EX%/TA%、TN%/TA%、Bx%/TA%)の値が0.000、0.001、0.498であった。サンプルNo.2は米酢Bであって、各計算値(EX%/TA%、TN%/TA%、Bx%/TA%)の値が0.248、0.004、0.756であった。サンプルNo.3はリンゴ酢Aであって、各計算値(EX%/TA%、TN%/TA%、Bx%/TA%)の値が0.575、0.001、1.076であった。サンプルNo.4は穀物酢Bであって、各計算値(EX%/TA%、TN%/TA%、Bx%/TA%)の値が0.686、0.010、1.243であった。サンプルNo.5は穀物酢Aであって、各計算値(EX%/TA%、TN%/TA%、Bx%/TA%)の値が0.739、0.010、1.310であった。サンプルNo.6はリンゴ酢Bであって、各計算値(EX%/TA%、TN%/TA%、Bx%/TA%)の値が0.824、0.001、1.317であった。サンプルNo.7は玄米酢Aであって、各計算値(EX%/TA%、TN%/TA%、Bx%/TA%)の値が0.873、0.029、1.652であった。サンプルNo.8は玄米酢Cであって、各計算値(EX%/TA%、TN%/TA%、Bx%/TA%)の値が0.956、0.029、1.704であった。サンプルNo.9は米酢Aであって、各計算値(EX%/TA%、TN%/TA%、Bx%/TA%)の値が1.621、0.007、2.156であった。サンプルNo.10は玄米酢Bであって、各計算値(EX%/TA%、TN%/TA%、Bx%/TA%)の値が1.894、0.037、2.788であった。サンプルNo.11は米酢Cであって、各計算値(EX%/TA%、TN%/TA%、Bx%/TA%)の値が1.994、0.014、2.573であった。サンプルNo.12はブルーベリー酢であって、各計算値(EX%/TA%、TN%/TA%、Bx%/TA%)の値が8.677、0.019、9.303であった。
なお、上記12種類のサンプルについては、ビーズミルによる加工処理を行ったもの(BM処理品)と、行わないもの(BM無処理品:コントロール品)とをそれぞれ作製し、後述する比較評価のための試験に供した。
(2)サンプルの比較評価
作製した食酢サンプルの風味(特に酸味酸臭)につき、5名の官能検査官による官能検査を行って比較評価した。その結果を図1の表1に示す。なお、サンプルごとに、絶対評価として、◎(明らかに酸の刺激が緩和される)、○(酸の刺激が緩和される)、△(やや酸の刺激が緩和される)、×(酸の刺激が強い(口に入れたとたんにツンツン、ピリピリする))の4段階で評価した。
(3)評価結果
図1の表1に示すように、No.1(高酸度酢)からNo.14(ブルーベリー酢)のBM無処理品については、いずれも評価が×(酸の刺激が強い(口に入れたとたんにツンツン、ピリピリする))であった。それゆえ、これらのBM無処理品は、酸味酸臭が強く風味の改善を要するものであった。これに対し、No.1(高酸度酢)からNo.5(穀物酢A)のBM処理品については、いずれも評価が◎(明らかに酸の刺激が緩和される)となり、風味改善効果が極めて高いことがわかった。No.6(リンゴ酢B)からNo.9(米酢A)のBM処理品については、いずれも評価が〇(酸の刺激が緩和される)となり、これらのサンプルについても風味改善効果が高いことがわかった。No.10(玄米酢B)からNo.12(ブルーベリー酢)のBM処理品については、いずれも評価が△(やや酸の刺激が緩和される)となり、効果はそれほど高くはないが風味改善効果があることがわかった。
以上の結果を総合すると、エキス分・酸度比(EX%/TA%)が2.00以下であるサンプルや、ブリックス・酸度比(Bx%/TA%)が2.80以下であるサンプルについて、風味改善効果が得やすくなる傾向があることがわかった。一方、全窒素・酸度比(TN%/TA%)に関して特にこのような傾向は認められなかった。
[試験2]
試験2では、基本的に試験1と同様の手順で各種の食酢をビーズミルで加工処理した。加工処理の条件としては、具体的には、送液量45rpm(循環),ミル処理強度4208rpm/13m/s,処理時間90分,ビーズサイズ0.5mm,メッシュ0.2μmとした。また、加工処理を通じて液温を35℃以下に維持した。ここでは、加工処理の対象となる食酢として、穀物酢(TA=4.2%,EX=3.1%)、純玄米黒酢(TA=4.5%,EX=8.6%)、米酢(TA=4.5%,EX=7.3%)、高酸度酢(TA=15.0%,EX=0.0%)の4種類を準備した。そして、このようなビーズミル加工処理済みの食酢を用いて、図2の表2のレシピに示すように、食酢飲料、合わせ酢(すし酢)、ぽん酢の3種類をそれぞれ作製した。このようにして作製した3種類の食酢含有飲食品と、生酢(即ちビーズミル加工処理済みの食酢)とを用い、各々について風味(特に酸味酸臭)に関する評価試験を行った。評価試験は試験1に準じて5名の官能検査官による官能検査とし、◎,○,△,×の4段階評価とした。サンプルNo.13〜No.16についての評価結果を図3の表3に示す。
その結果、図3の表3に示すように、食酢の種類を問わず、また飲食品の種類を問わず、◎の評価となり、高い風味改善効果が認められた。なお、これらのものにおいては、先の酸味(即ち、口に含んだ直後の刺激)が明らかに緩和されることがわかった。
[試験3]
試験3では、食酢として穀物酢(TA=4.2%,EX=3.1%)を用意し、基本的に試験1と同様の手順で食酢をビーズミルで加工処理するにあたり、加工処理の条件を図4の表4に示すように変更して、サンプルNo.17〜No.30を作製した。具体的にいうと、サンプルNo.17では、送液量45rpm(ワンパス),ミル処理強度4208rpm/13m/s,処理時間6分,とした。サンプルNo.18では、送液量30rpm(ワンパス),ミル処理強度4208rpm/13m/s,処理時間9分,とした。サンプルNo.19では、送液量15rpm(ワンパス),ミル処理強度4208rpm/13m/s,処理時間18分,とした。サンプルNo.20では、送液量15rpm(ワンパス),ミル処理強度2590rpm/8m/s,処理時間18分,とした。サンプルNo.21では、送液量45rpm(循環),ミル処理強度4208rpm/13m/s,処理時間90分,とした。サンプルNo.22では、送液量468rpm(装置能力上限)(ワンパス),ミル処理強度4208rpm/13m/s,処理時間0.5分未満,とした。サンプルNo.23では、送液量400rpm(装置能力上限)(ワンパス),ミル処理強度4208rpm/13m/s,処理時間0.5分未満,とした。サンプルNo.24では、送液量300rpm(装置能力上限)(ワンパス),ミル処理強度4208rpm/13m/s,処理時間0.5分未満,とした。サンプルNo.25では、送液量200rpm(ワンパス),ミル処理強度4208rpm/13m/s,処理時間1分,とした。サンプルNo.26では、送液量150rpm(ワンパス),ミル処理強度4208rpm/13m/s,処理時間2分,とした。サンプルNo.27では、送液量100rpm(ワンパス),ミル処理強度4208rpm/13m/s,処理時間3分,とした。サンプルNo.28は、送液量75rpm,ミル処理強度4208rpm/13m/s,処理時間4分,とした。サンプルNo.29は、送液量150rpm(ワンパス),ミル処理強度2590rpm/8m/s,処理時間2分,とした。なお、サンプルNo.30は無処理区とした。そして、上記14種類の生酢サンプルについて風味(特に酸味酸臭)に関する評価試験を行った。評価試験は試験1に準じて5名の官能検査官による官能検査とし、◎,○,△,×の4段階評価とした。サンプルNo.17〜No.30についての評価結果を図4の表4に示す。
図4の表4に示すように、サンプルNo.17、18、19、21については、いずれも◎の評価となり、高い風味改善効果が認められた。つまり、これらのものにおいては、先の酸味(即ち、口に含んだ直後の刺激)が明らかに緩和されることがわかった。これらに対し、ミル処理強度を低く設定したサンプルNo.20については、やや弱いが先の酸味の緩和効果があることから△の評価となった。また、処理時間を6分間〜90分間に設定した上記サンプルとは異なり、処理時間5分未満と短く設定したサンプルNo.22、23、24、25、26、27、28、29であっても、△〜◎の評価となったため、これらにおいても風味改善効果があることがわかった。特にサンプルNo.28は◎の評価となり、高い風味改善効果が認められた。
上述したように、本実施形態の上記試験例の食酢及びその製造方法によると、風味改善用添加物の添加を伴わず、しかも食酢の品質をあまり変化させることなく、食酢特有の酸味及び酸臭を有効に緩和して風味を改善することができる。また、上記試験例の製造方法を経て風味が改善された食酢を用いることにより、風味に優れた品質のよい食酢含有飲食品を提供することができる。なお、本発明の実施形態は発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて任意に変更してもよい。
次に、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)上記手段1乃至8のいずれか1項において、前記食酢は、酸度が10%以上の高酸度酢であること。
(2)上記手段1乃至8のいずれか1項において、前記食酢は、エキス分が0質量%以上10質量%以下の低エキス食酢であること。
(3)上記手段1乃至8のいずれか1項において、前記風味改善工程は、食酢の酸味及び酸臭の緩和を伴うものであること。
(4)上記手段1乃至8のいずれか1項において、前記風味改善工程は、前記食酢に対する添加物の添加を伴わずに行うこと。
(5)上記手段1乃至8のいずれか1項において、前記風味改善工程は、非加熱下で行うこと。
(6)上記手段1乃至8のいずれか1項において、前記風味改善工程は、40℃以下の液温を保持しながら行うこと。
(7)上記手段1乃至8のいずれか1項において、前記風味改善工程における加工処理時間が1秒以上5分以下であること。
(8)上記手段7において、前記食酢含有飲食品は食酢含有飲料であること。
(9)上記手段7において、前記食酢含有飲食品は食酢含有液状調味料であること。

Claims (7)

  1. 原料である食酢を球状の無機粉砕媒体とともに容器内に収納して回転させるタイプの湿式微粉砕機を用いて、液温の上昇を抑制しつつ前記食酢を加工処理する風味改善工程を含むことを特徴とする食酢の製造方法。
  2. 前記湿式微粉砕機は、ビーズミル粉砕機であることを特徴とする請求項に記載の食酢の製造方法。
  3. 前記無機粉砕媒体の平均粒径は、0.1mm以上1.0mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の食酢の製造方法。
  4. 前記食酢における糖類の濃度は、20質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の食酢の製造方法。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法により製造された食酢。
  6. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法により製造された食酢を含む食酢含有飲食品。
  7. 原料である食酢を球状の無機粉砕媒体とともに容器内に収納して回転させるタイプの湿式微粉砕機を用いて、液温の上昇を抑制しつつ加工処理された食酢を添加することで、当該食酢を含有する飲食品全体の風味を改善する方法。
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