JP6381828B2 - 熱硬化性樹脂フィルム、第1保護膜形成用シート及び第1保護膜の形成方法 - Google Patents
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Description
本願は、2015年11月4日に、日本に出願された特願2015−217117号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
また、本発明は、前記熱硬化性樹脂フィルムを、第1支持シートの一方の表面上に備えた、第1保護膜形成用シートを提供する。
また、本発明は、前記熱硬化性樹脂フィルムを0.1Pa以上の圧力で加圧しながら熱硬化させることで第1保護膜を形成する、第1保護膜の形成方法を提供する。
また、本発明の第1保護膜形成用シートは、上記の本発明の熱硬化性樹脂フィルムを、第1支持シートの一方の表面上に備えたものである。前記第1保護膜形成用シートにおいて、前記「熱硬化性樹脂フィルム」は、「熱硬化性樹脂層」と称することもある。
なお、本明細書においては、バンプ表面と半導体ウエハの回路面とをあわせて、「バンプ形成面」と称することがある。
したがって、本発明の熱硬化性樹脂フィルムを用いた場合、最終的に第1保護膜もほぼ又は全く気泡を含有しないため、それだけでもバンプ形成面と第1保護膜との密着性が高く、第1保護膜の回路面及びバンプに対する保護能が高いなど、第1保護膜は十分にその機能を発揮できる。また、はんだリフロー等によってこの第1保護膜が加熱されても、気泡の膨張が全く発生しないか又は抑制されるため、バンプ形成面と第1保護膜との密着性の低下や、第1保護膜の破裂が抑制され、第1保護膜の保護能が維持され、半導体チップの破損が抑制される。このように、本発明の熱硬化性樹脂フィルムを用いることで、回路面と、バンプの回路面近傍の部位、すなわち基部とが、第1保護膜で十分に保護される。
第1保護膜12’は、本発明の熱硬化性樹脂フィルムを用いて形成されたものであり、半導体ウエハ90の回路面90aを被覆し、さらにバンプ91の表面91aのうち、バンプ91の頂上とその近傍以外の領域を被覆している。このように、第1保護膜12’は、バンプ91の頂上とその近傍以外の表面91aに密着するとともに、半導体ウエハ90の回路面90aにも密着して、バンプ91を埋め込んでいる。
バンプ91の前記表面91aと半導体ウエハ90の回路面90a、すなわちバンプ形成面と、第1保護膜12’と、の間には、気泡が存在せず、第1保護膜12’の内部にも気泡が存在しない。バンプ91の、このようなほぼ球状という形状は、気泡の含有が抑制された第1保護膜の形成に、特に有利である。
しかし、本発明の熱硬化性樹脂フィルムを用いることで、このような狭い空間でも、十分に気泡の含有が抑制された第1保護膜12’を形成できる。したがって、バンプ91の上記のようなほぼ球状という形状は、バンプ91の基部において第1保護膜12’の保護作用が十分に得られるという点で、特に有利である。
なお、ここまでで説明したバンプの形状は、本発明の熱硬化性樹脂フィルムの適用に際して、好ましいものの一例に過ぎず、本発明において、バンプの形状はこれらに限定されない。
ここに示す保護膜92’は、従来の熱硬化性樹脂フィルムを用いて形成されたものである。保護膜92’の内部には気泡8が存在し、さらに、バンプ91の前記表面91a又は半導体ウエハ90の回路面90a、すなわちバンプ形成面と、保護膜92’と、の間にも気泡8が存在する。特に、バンプ91の基部における表面91aと、保護膜92’と、の間に、気泡8が残存し易い。また、バンプ91の基部における表面91aと、前記回路面90aと、で挟まれた部位の保護膜92’には、気泡8が残存し易い。
本発明の熱硬化性樹脂フィルムのΔt1は、520秒以上であることが好ましく、例えば、540秒以上、560秒以上、580秒以上、600秒以上、620秒以上及び640秒以上等のいずれかであってもよい。
一方、本発明の熱硬化性樹脂フィルムのΔt1の上限値は、特に限定されない。熱硬化性樹脂フィルムが良好な熱硬化性を有するという点においては、Δt1は、10000秒以下であることが好ましく、5000秒以下であることがより好ましく、3000秒以下であることがさらに好ましく、2000秒以下であることが特に好ましく、例えば、1000秒以下であってもよい。
本発明の熱硬化性樹脂フィルムを、昇温速度10℃/分で昇温させたときに、せん断粘度が100000Pa・s以下となる熱硬化性樹脂フィルムの温度の上限値は、特に限定されないが、160℃であることが好ましく、150℃であることがより好ましく、140℃であることが特に好ましい。
熱硬化性樹脂フィルムの前記温度がこのような範囲であることにより、第1保護膜の気泡の含有を抑制する効果がより高くなる。
以下、本発明の構成について、詳細に説明する。
前記第1支持シートは、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。支持シートが複数層からなる場合、これら複数層の構成材料及び厚さは、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
なお、本明細書においては、第1支持シートの場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
図3は、本発明の第1保護膜形成用シートの一実施形態を模式的に示す断面図である。ここに示す第1保護膜形成用シート1は、第1支持シートとして、第1基材上に第1粘着剤層が積層されてなるものを用いている。すなわち、第1保護膜形成用シート1は、第1基材11上に第1粘着剤層13を備え、第1粘着剤層13上に熱硬化性樹脂層(熱硬化性樹脂フィルム)12を備えて、構成されている。第1支持シート101は、第1基材11及び第1粘着剤層13の積層体であり、第1支持シート101の一方の表面101a上、すなわち第1粘着剤層13の一方の表面13a上に、熱硬化性樹脂層12が設けられている。
第1保護膜形成用シート1において、熱硬化性樹脂層12は、上述の様に、その硬化前から昇温速度10℃/分で昇温させたときに、Δt1が500秒以上となる。
ここに示す第1保護膜形成用シート2は、第1支持シートとして、第1基材上に第1中間層が積層され、前記第1中間層上に第1粘着剤層が積層されてなるものを用いている。すなわち、第1保護膜形成用シート2は、第1基材11上に第1中間層14を備え、第1中間層14上に第1粘着剤層13を備え、第1粘着剤層13上に熱硬化性樹脂層(熱硬化性樹脂フィルム)12を備えて、構成されている。第1支持シート102は、第1基材11、第1中間層14及び第1粘着剤層13がこの順に積層されてなる積層体であり、第1支持シート102の一方の表面102a上、すなわち第1粘着剤層13の一方の表面13a上に、熱硬化性樹脂層12が設けられている。
第1保護膜形成用シート2は、換言すると、図3に示す第1保護膜形成用シート1において、第1基材11と第1粘着剤層13との間に、さらに第1中間層14を備えたものである。
第1保護膜形成用シート2において、熱硬化性樹脂層12は、上述の様に、その硬化前から昇温速度10℃/分で昇温させたときに、Δt1が500秒以上となる。
ここに示す第1保護膜形成用シート3は、第1支持シートとして、第1基材のみからなるものを用いている。すなわち、第1保護膜形成用シート3は、第1基材11上に熱硬化性樹脂層(熱硬化性樹脂フィルム)12を備えて、構成されている。第1支持シート103は、第1基材11のみから構成され、第1支持シート103の一方の表面103a上、すなわち第1基材11の一方の表面11a上に、熱硬化性樹脂層12が直接接触して設けられている。
第1保護膜形成用シート3は、換言すると、図3に示す第1保護膜形成用シート1において、第1粘着剤層13が除かれてなるものである。
第1保護膜形成用シート3において、熱硬化性樹脂層12は、上述の様に、その硬化前から昇温速度10℃/分で昇温させたときに、Δt1が500秒以上となる。
次に、第1支持シートの構成について、詳細に説明する。
前記第1基材は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料としては、例えば、各種樹脂が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂等のポリエチレン以外のポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−ノルボルネン共重合体等のエチレン系共重合体(モノマーとしてエチレンを用いて得られた共重合体);ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂(モノマーとして塩化ビニルを用いて得られた樹脂);ポリスチレン;ポリシクロオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、すべての構成単位が芳香族環式基を有する全芳香族ポリエステル等のポリエステル;2種以上の前記ポリエステルの共重合体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;フッ素樹脂;ポリアセタール;変性ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルケトン等が挙げられる。
また、前記樹脂としては、例えば、前記ポリエステルとそれ以外の樹脂との混合物等のポリマーアロイも挙げられる。前記ポリエステルとそれ以外の樹脂とのポリマーアロイは、ポリエステル以外の樹脂の量が比較的少量であるものが好ましい。
また、前記樹脂としては、例えば、ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂も挙げられる。
ここで、「第1基材の厚さ」とは、第1基材全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第1基材の厚さとは、第1基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
後述する第1粘着剤層又は硬化性樹脂層がエネルギー線硬化性を有する場合、第1基材はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
前記第1粘着剤層は、シート状又はフィルム状であり、粘着剤を含有する。
前記粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂((メタ)アクリロイル基を有する樹脂からなる粘着剤)、ウレタン系樹脂(ウレタン結合を有する樹脂からなる粘着剤)、ゴム系樹脂(ゴム構造を有する樹脂からなる粘着剤)、シリコーン系樹脂(シロキサン結合を有する樹脂からなる粘着剤)、エポキシ系樹脂(エポキシ基を有する樹脂からなる粘着剤)、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート等の粘着性樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
ここで、「第1粘着剤層の厚さ」とは、第1粘着剤層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第1粘着剤層の厚さとは、第1粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
本発明において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。
紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
本発明において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。
第1粘着剤層は、粘着剤を含有する第1粘着剤組成物を用いて形成できる。例えば、第1粘着剤層の形成対象面に第1粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に第1粘着剤層を形成できる。第1粘着剤層のより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。第1粘着剤組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、第1粘着剤層の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
前記第1粘着剤組成物(I−1)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
前記粘着性樹脂(I−1a)は、アクリル系樹脂であることが好ましい。
前記アクリル系樹脂としては、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有するアクリル系重合体が挙げられる。
前記アクリル系樹脂が有する構成単位は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。
前記官能基含有モノマーとしては、例えば、前記官能基が後述する架橋剤と反応することで架橋の起点となったり、前記官能基が不飽和基含有化合物中の不飽和基と反応することで、アクリル系重合体の側鎖に不飽和基の導入を可能とするものが挙げられる。
すなわち、官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記他のモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等と共重合可能なものであれば特に限定されない。
前記他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
一方、前記アクリル系重合体中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基(エネルギー線重合性基)を有する不飽和基含有化合物を反応させたものは、上述のエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)として使用できる。
なお、本発明において、「エネルギー線重合性」とは、エネルギー線を照射することにより重合する性質を意味する。
第1粘着剤組成物(I−1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオール(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレート;ポリエステル(メタ)アクリレート;ポリエーテル(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、オリゴマーとしては、例えば、上記で例示したモノマーが重合してなるオリゴマー等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物は、分子量が比較的大きく、第1粘着剤層の貯蔵弾性率を低下させにくいという点では、ウレタン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
粘着性樹脂(I−1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、第1粘着剤組成物(I−1)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤(イソシアネート基を有する架橋剤);エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤(グリシジル基を有する架橋剤);ヘキサ[1−(2−メチル)−アジリジニル]トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤);アルミニウムキレート等の金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤);イソシアヌレート系架橋剤(イソシアヌル酸骨格を有する架橋剤)等が挙げられる。
粘着剤の凝集力を向上させて第1粘着剤層の粘着力を向上させる点、及び入手が容易である等の点から、架橋剤はイソシアネート系架橋剤であることが好ましい。
第1粘着剤組成物(I−1)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する第1粘着剤組成物(I−1)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
また、前記光重合開始剤としては、例えば、1−クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等を用いることもできる。
第1粘着剤組成物(I−1)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填材(フィラー)、防錆剤、着色剤(顔料、染料)、増感剤、粘着付与剤、反応遅延剤、架橋促進剤(触媒)等の公知の添加剤が挙げられる。
なお、反応遅延剤とは、例えば、第1粘着剤組成物(I−1)中に混入している触媒の作用によって、保存中の第1粘着剤組成物(I−1)において、目的としない架橋反応が進行するのを抑制するものである。反応遅延剤としては、例えば、触媒に対するキレートによってキレート錯体を形成するものが挙げられ、より具体的には、1分子中にカルボニル基(−C(=O)−)を2個以上有するものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I−1)は、溶媒を含有していてもよい。第1粘着剤組成物(I−1)は、溶媒を含有していることで、塗工対象面への塗工適性が向上する。
前記第1粘着剤組成物(I−2)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)を含有する。
前記粘着性樹脂(I−2a)は、例えば、粘着性樹脂(I−1a)中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物を反応させることで得られる。
前記エネルギー線重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2−プロペニル基)等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
粘着性樹脂(I−1a)中の官能基と結合可能な基としては、例えば、水酸基又はアミノ基と結合可能なイソシアネート基及びグリシジル基、並びにカルボキシ基又はエポキシ基と結合可能な水酸基及びアミノ基等が挙げられる。
粘着性樹脂(I−2a)として、例えば、粘着性樹脂(I−1a)におけるものと同様な、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、第1粘着剤組成物(I−2)は、さらに架橋剤を含有していてもよい。
第1粘着剤組成物(I−2)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−2)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する第1粘着剤組成物(I−2)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
第1粘着剤組成物(I−2)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−2)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
第1粘着剤組成物(I−2)における前記その他の添加剤としては、第1粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I−2)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−2)は、第1粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
第1粘着剤組成物(I−2)における前記溶媒としては、第1粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I−2)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−2)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
前記第1粘着剤組成物(I−3)は、上述の様に、前記粘着性樹脂(I−2a)と、エネルギー線硬化性低分子化合物と、を含有する。
第1粘着剤組成物(I−3)が含有する前記エネルギー線硬化性低分子化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー及びオリゴマーが挙げられ、第1粘着剤組成物(I−1)が含有するエネルギー線硬化性化合物と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I−3)が含有する前記エネルギー線硬化性低分子化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−3)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する第1粘着剤組成物(I−3)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
第1粘着剤組成物(I−3)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−3)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、第1粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I−3)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−3)は、第1粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
第1粘着剤組成物(I−3)における前記溶媒としては、第1粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I−3)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−3)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
ここまでは、第1粘着剤組成物(I−1)、第1粘着剤組成物(I−2)及び第1粘着剤組成物(I−3)について主に説明したが、これらの含有成分として説明したものは、これら3種の第1粘着剤組成物以外の全般的な第1粘着剤組成物(本明細書においては、「第1粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の第1粘着剤組成物」と称する)でも、同様に用いることができる。
非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系樹脂((メタ)アクリロイル基を有する樹脂)、ウレタン系樹脂(ウレタン結合を有する樹脂)、ゴム系樹脂(ゴム構造を有する樹脂)、シリコーン系樹脂(シロキサン結合を有する樹脂)、エポキシ系樹脂(エポキシ基を有する樹脂)、ポリビニルエーテル、又はポリカーボネート等の粘着性樹脂を含有するものが挙げられ、アクリル系樹脂を含有するものが好ましい。
第1粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)等の前記第1粘着剤組成物は、前記粘着剤と、必要に応じて前記粘着剤以外の成分等の、第1粘着剤組成物を構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
前記第1中間層は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料は目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
例えば、半導体表面を覆う保護膜に、半導体表面に存在するバンプの形状が反映されることによって、保護膜が変形してしまうことの抑制を目的とする場合、前記第1中間層の好ましい構成材料としては、第1中間層の貼付性がより向上する点から、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ここで、「第1中間層の厚さ」とは、第1中間層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第1中間層の厚さとは、第1中間層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
第1中間層は、その構成材料を含有する第1中間層形成用組成物を用いて形成できる。例えば、第1中間層の形成対象面に第1中間層形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させたり、エネルギー線の照射によって硬化させることで、目的とする部位に第1中間層を形成できる。第1中間層のより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。第1中間層形成用組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、第1中間層の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。ここで、「常温」とは、先に説明したとおりである。
第1中間層形成用組成物は、エネルギー線硬化性を有する場合、乾燥後に、さらにエネルギー線の照射により硬化させることが好ましい。
第1中間層形成用組成物(II−1)は、上述の様に、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する。
ウレタン(メタ)アクリレートは、1分子中に少なくとも(メタ)アクリロイル基及びウレタン結合を有する化合物であり、エネルギー線重合性を有する。
ウレタン(メタ)アクリレートは、単官能のもの(1分子中に(メタ)アクリロイル基を1個のみ有するもの)であってもよいし、二官能以上のもの(1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有するもの)、すなわち多官能のものであってもよい。ただし、本発明においては、ウレタン(メタ)アクリレートとして、少なくとも単官能のものを用いることが好ましい。
前記ポリオール化合物は、1分子中に水酸基を2個以上有する化合物であれば、特に限定されない。
前記ポリオール化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記ポリオール化合物は、2官能のジオール、3官能のトリオール、4官能以上のポリオール等のいずれであってもよいが、入手が容易であり、汎用性及び反応性等に優れる点では、ジオールが好ましい。
前記ポリエーテル型ポリオールは、特に限定されないが、ポリエーテル型ジオールであることが好ましく、前記ポリエーテル型ジオールとしては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
前記ポリエステル型ポリオールは、特に限定されないが、例えば、多塩基酸又はその誘導体を用いて、エステル化反応を行うことで得られたもの等が挙げられる。なお、本明細書において「誘導体」とは、特に断りのない限り、元の化合物の1個以上の基がそれ以外の基(置換基)で置換されてなるものを意味する。ここで、「基」とは、複数個の原子が結合してなる原子団だけでなく、1個の原子も包含するものとする。
前記多塩基酸としては、例えば、飽和脂肪族多塩基酸、不飽和脂肪族多塩基酸、芳香族多塩基酸等が挙げられ、これらのいずれかに該当するダイマー酸を用いてもよい。
前記不飽和脂肪族多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪族二塩基酸等が挙げられる。
前記芳香族多塩基酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族二塩基酸;トリメリット酸等の芳香族三塩基酸;ピロメリット酸等の芳香族四塩基酸等が挙げられる。
前記触媒としては、例えば、ジブチルスズオキサイド、オクチル酸第一スズ等のスズ化合物;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のアルコキシチタン等が挙げられる。
ポリカーボネート型ポリオールは、特に限定されないが、例えば、前記式(1)で表される化合物と同様のグリコールと、アルキレンカーボネートと、を反応させて得られたもの等が挙げられる。
ここで、グリコール及びアルキレンカーボネートは、いずれも1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
ポリオール化合物の水酸基価から算出した前記数平均分子量とは、下記式から算出された値である。
[ポリオール化合物の数平均分子量]=[ポリオール化合物の官能基数]×56.11×1000/[ポリオール化合物の水酸基価(単位:mgKOH/g)]
ポリオール化合物と反応させる前記多価イソシアネート化合物は、イソシアネート基を2個以上有するものであれば、特に限定されない。
多価イソシアネート化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
これらの中でも、多価イソシアネート化合物は、取り扱い性の点から、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート又はキシリレンジイソシアネートであることが好ましい。
前記末端イソシアネートウレタンプレポリマーと反応させる、前記(メタ)アクリル系化合物は、1分子中に少なくとも水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば、特に限定されない。
前記(メタ)アクリル系化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
これらの中でも、前記(メタ)アクリル系化合物は、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましく、水酸基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることがより好ましく、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルであることが特に好ましい。
例えば、前記ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、1000〜100000であることが好ましく、3000〜80000であることがより好ましく、5000〜65000であることが特に好ましい。前記重量平均分子量が1000以上であることで、ウレタン(メタ)アクリレートと後述する重合性モノマーとの重合物において、ウレタン(メタ)アクリレート由来の構造同士の分子間力に起因して、第1中間層の硬さの最適化が容易となる。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
第1中間層形成用組成物(II−1)は、製膜性をより向上させる点から、前記ウレタン(メタ)アクリレート以外に、重合性モノマーを含有していてもよい。
前記重合性モノマーは、エネルギー線重合性を有し、重量平均分子量が1000以上であるオリゴマー及びポリマーを除くものであって、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。
「1置換アミノ基」及び「2置換アミノ基」における、水素原子が置換される水素原子以外の基(すなわち、置換基)としては、例えば、アルキル基等が挙げられる。
前記複素環式基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
第1中間層形成用組成物(II−1)は、前記ウレタン(メタ)アクリレート及び重合性モノマー以外に、光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する第1中間層形成用組成物(II−1)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
第1中間層形成用組成物(II−1)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、前記ウレタン(メタ)アクリレート以外の樹脂成分を含有していてもよい。
前記樹脂成分の種類と、その第1中間層形成用組成物(II−1)における含有量は、目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
第1中間層形成用組成物(II−1)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、架橋剤、帯電防止剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、軟化剤(可塑剤)、充填材、防錆剤、着色剤(顔料、染料)等の公知の添加剤が挙げられる。
例えば、前記連鎖移動剤としては、1分子中に少なくとも1個のチオール基(メルカプト基)を有するチオール化合物が挙げられる。
第1中間層形成用組成物(II−1)は、溶媒を含有していてもよい。第1中間層形成用組成物(II−1)は、溶媒を含有していることで、塗工対象面への塗工適性が向上する。
第1中間層形成用組成物(II−1)等の前記第1中間層形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
前記熱硬化性樹脂層(熱硬化性樹脂フィルム)は、半導体ウエハの回路面、及びこの回路面上に設けられたバンプを保護するための層であり、硬化により第1保護膜を形成する。
また、前記熱硬化性樹脂層は、その構成材料を含有する熱硬化性樹脂層形成用組成物を用いて形成できる。
したがって、前記熱硬化性樹脂層のΔt1は、熱硬化性樹脂層形成用組成物の含有成分の種類及び量のいずれか一方又は両方を調節することで、調節できる。
熱硬化性樹脂層形成用組成物及びその製造方法については、後ほど詳しく説明する。
また、例えば、熱硬化性樹脂層形成用組成物の含有成分のうち、特に粘度を低減する成分の前記組成物中での含有量を増大させることで、より容易にΔt1を好ましい範囲に調節できる。前記粘度を低減する成分としては、例えば、後述する熱可塑性樹脂等が挙げられるが、これに限定されない。
また、例えば、熱硬化性樹脂層形成用組成物の含有成分のうち、特に熱硬化性成分の前記組成物中での含有量を低減したり、熱硬化性成分としてその効果が穏やかなものを用いることで、より容易にΔt1を好ましい範囲に調節できる。前記熱硬化性成分は、例えば、後述する熱硬化性成分(B)(例えば、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2))等から適宜選択できるが、これに限定されない。
前記熱硬化性樹脂層が複数層である場合には、熱硬化性樹脂層全体が、上述のΔt1の条件を満たせばよい。
ここで、「熱硬化性樹脂層の厚さ」とは、熱硬化性樹脂層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる熱硬化性樹脂層の厚さとは、熱硬化性樹脂層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
熱硬化性樹脂層は、その構成材料を含有する熱硬化性樹脂層形成用組成物を用いて形成できる。例えば、熱硬化性樹脂層の形成対象面に熱硬化性樹脂層形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に熱硬化性樹脂層を形成できる。熱硬化性樹脂層形成用組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、熱硬化性樹脂層の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。ここで、「常温」とは、先に説明したとおりである。
熱硬化性樹脂層形成用組成物としては、例えば、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有する熱硬化性樹脂層形成用組成物(III−1)(本明細書においては、単に「樹脂層形成用組成物(III−1)」と略記することがある)等が挙げられる。
重合体成分(A)は、熱硬化性樹脂層に造膜性や可撓性等を付与するための重合体化合物である。
樹脂層形成用組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂層が含有する重合体成分(A)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000〜2000000であることが好ましく、100000〜1500000であることがより好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記下限値以上であることで、熱硬化性樹脂層の形状安定性(保管時の経時安定性)が向上する。また、アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記上限値以下であることで、被着体の凹凸面へ熱硬化性樹脂層が追従し易くなる。
(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イミド;
(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸N−メチルアミノエチル等の置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基を意味する。
熱硬化性成分(B)は、熱硬化性樹脂層を硬化させて、硬質の第1保護膜を形成するための成分である。
樹脂層形成用組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂層が含有する熱硬化性成分(B)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
エポキシ系熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)からなる。
樹脂層形成用組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂層が含有するエポキシ系熱硬化性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
エポキシ樹脂(B1)としては、公知のものが挙げられ、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。
また、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を構成する芳香環等に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合した化合物等が挙げられる。
不飽和炭化水素基は、重合性を有する不飽和基であり、その具体的な例としては、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等が挙げられ、アクリロイル基が好ましい。
エポキシ樹脂(B1)のエポキシ当量は、100〜1000g/eqであることが好ましく、300〜800g/eqであることがより好ましい。
熱硬化剤(B2)は、エポキシ樹脂(B1)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤(B2)としては、例えば、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。前記官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、酸基が無水物化された基等が挙げられ、フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はアミノ基であることがより好ましい。
熱硬化剤(B2)のうち、アミノ基を有するアミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(以下、「DICY」と略記することがある)等が挙げられる。
不飽和炭化水素基を有する熱硬化剤(B2)としては、例えば、フェノール樹脂の水酸基の一部が、不飽和炭化水素基を有する基で置換されてなる化合物、フェノール樹脂の芳香環に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合してなる化合物等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)における前記不飽和炭化水素基は、上述の不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂における不飽和炭化水素基と同様のものである。
熱硬化剤(B2)のうち、例えば、ビフェノール、ジシアンジアミド等の非樹脂成分の分子量は、特に限定されないが、例えば、60〜500であることが好ましい。
樹脂層形成用組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂層は、硬化促進剤(C)を含有していてもよい。硬化促進剤(C)は、樹脂層形成用組成物(III−1)の硬化速度を調整するための成分である。
好ましい硬化促進剤(C)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類(1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されたイミダゾール);トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類(1個以上の水素原子が有機基で置換されたホスフィン);テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
樹脂層形成用組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂層は、充填材(D)を含有していてもよい。熱硬化性樹脂層が充填材(D)を含有することにより、熱硬化性樹脂層を硬化して得られた第1保護膜は、熱膨張係数の調整が容易となる。そして、この熱膨張係数を第1保護膜の形成対象物に対して最適化することで、第1保護膜形成用シートを用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。また、熱硬化性樹脂層が充填材(D)を含有することにより、第1保護膜の吸湿率を低減したり、放熱性を向上させたりすることもできる。
好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、窒化ホウ素等の粉末;これら無機充填材を球形化したビーズ;これら無機充填材の表面改質品;これら無機充填材の単結晶繊維;ガラス繊維等が挙げられる。
これらの中でも、無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましい。
樹脂層形成用組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂層は、カップリング剤(E)を含有していてもよい。カップリング剤(E)として、無機化合物又は有機化合物と反応可能な官能基を有するものを用いることにより、熱硬化性樹脂層の被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(E)を用いることで、熱硬化性樹脂層を硬化して得られた第1保護膜は、耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。
好ましい前記シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
重合体成分(A)として、上述のアクリル系樹脂等の、他の化合物と結合可能なビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の官能基を有するものを用いる場合、樹脂層形成用組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂層は、架橋剤(F)を含有していてもよい。架橋剤(F)は、重合体成分(A)中の前記官能基を他の化合物と結合させて架橋するための成分であり、このように架橋することにより、熱硬化性樹脂層の初期接着力及び凝集力を調節できる。
樹脂層形成用組成物(III−1)は、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有していてもよい。熱硬化性樹脂層は、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有していることにより、エネルギー線の照射によって特性を変化させることができる。
前記エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
樹脂層形成用組成物(III−1)は、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有する場合、エネルギー線硬化性樹脂(G)の重合反応を効率よく進めるために、光重合開始剤(H)を含有していてもよい。
樹脂層形成用組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲内において、汎用添加剤(I)を含有していてもよい。
汎用添加剤(I)は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、着色剤(染料、顔料)、ゲッタリング剤等が挙げられる。
樹脂層形成用組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂層の汎用添加剤(I)の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
樹脂層形成用組成物(III−1)は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する樹脂層形成用組成物(III−1)は、取り扱い性が良好となる。
前記溶媒は特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソブチルアルコール(2−メチルプロパン−1−オール)、1−ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
樹脂層形成用組成物(III−1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
樹脂層形成用組成物(III−1)等の熱硬化性樹脂層形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
前記第1保護膜形成用シートは、上述の各層を対応する位置関係となるように順次積層することで製造できる。各層の形成方法は、先に説明したとおりである。
例えば、第1支持シートを製造するときに、第1基材上に第1粘着剤層又は第1中間層を積層する場合には、第1基材上に上述の第1粘着剤組成物又は第1中間層形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させるか、又はエネルギー線を照射することで、第1粘着剤層又は第1中間層を積層できる。
また、例えば、第1基材上に第1中間層が積層され、前記第1中間層上に第1粘着剤層が積層されてなる第1支持シートを製造する場合には、第1基材上に第1中間層形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させるか、又はエネルギー線を照射することで、第1基材上に第1中間層を積層しておき、別途、剥離フィルム上に第1粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に第1粘着剤層を形成しておき、この第1粘着剤層の露出面を、第1基材上に積層済みの第1中間層の露出面と貼り合わせて、第1粘着剤層を第1中間層上に積層することで、第1支持シートが得られる。この場合、例えば、さらに別途、剥離フィルム上に熱硬化性樹脂層形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に熱硬化性樹脂層を形成しておき、この熱硬化性樹脂層の露出面を、第1中間層上に積層済みの第1粘着剤層の露出面と貼り合わせて、熱硬化性樹脂層を第1粘着剤層上に積層することで、第1保護膜形成用シートが得られる。
いずれの方法においても、剥離フィルムは目的とする積層構造を形成後の任意のタイミングで取り除けばよい。
・重合体成分
重合体成分(A)−1:アクリル酸ブチル(以下、「BA」と略記する)(55質量部)、アクリル酸メチル(以下、「MA」と略記する)(10質量部)、メタクリル酸グリシジル(以下、「GMA」と略記する)(20質量部)及びアクリル酸−2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」と略記する)(15質量部)を共重合してなるアクリル系樹脂(重量平均分子量800000、ガラス転移温度−28℃)。
・エポキシ樹脂
エポキシ樹脂(B1)−1:液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YL983U」)
エポキシ樹脂(B1)−2:多官能芳香族型エポキシ樹脂(日本化薬社製「EPPN−502H」)
エポキシ樹脂(B1)−3:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「EPICLON HP−7200」)
・熱硬化剤
熱硬化剤(B2)−1:ノボラック型フェノール樹脂(昭和電工社製「BRG−556」)
・硬化促進剤
硬化促進剤(C)−1:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製「キュアゾール2PHZ−PW」)
・充填材
充填材(D)−1:エポキシ基で修飾された球状シリカ(アドマテックス社製「アドマナノ YA050C−MKK」)
(粘着性樹脂(I−2a)の製造)
アクリル酸−2−エチルヘキシル(以下、「2EHA」と略記する)(80質量部)、HEA(20質量部)を共重合体の原料として、重合反応を行うことで、アクリル系重合体を得た。
このアクリル系重合体に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、「MOI」と略記する)(22質量部、HEAに対して約80モル%)を加え、空気気流中において50℃で48時間付加反応を行うことで、目的とする粘着性樹脂(I−2a)を得た。
<第1保護膜形成用シートの製造>
(熱硬化性樹脂層形成用組成物の製造)
重合体成分(A)−1、エポキシ樹脂(B1)−1、エポキシ樹脂(B1)−2、エポキシ樹脂(B1)−3、熱硬化剤(B2)−1、硬化促進剤(C)−1、及び充填材(D)−1を、これらの含有量の割合が表1に示す値となるようにメチルエチルケトンに溶解又は分散させて、23℃で撹拌することで、熱硬化性樹脂層形成用組成物として、固形分濃度が55質量%である樹脂層形成用組成物(III−1)を得た。なお、表1中の含有成分の欄の「−」との記載は、熱硬化性樹脂層形成用組成物がその成分を含有していないことを意味する。
製造例1で得られた粘着性樹脂(I−2a)(100質量部)に対して、イソシアネート系架橋剤として、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート三量体付加物(東ソー社製「コロネートL」)(0.5質量部)を加えて23℃で撹拌することで、第1粘着剤組成物として、固形分濃度が30質量%である第1粘着剤組成物(I−2)を得た。なお、この「第1粘着剤組成物の製造」における配合部数は、すべて固形分換算値である。
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET381031」、厚さ38μm)の前記剥離処理面に、上記で得られた第1粘着剤組成物を塗工し、120℃で2分間加熱乾燥させることにより、厚さ60μmの第1粘着剤層を形成した。
次いで、この第1粘着剤層の露出面に、第1基材として、ポリオレフィンフィルム(厚さ25μm)、接着剤層(厚さ2.5μm)、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)、接着剤層(厚さ2.5μm)及びポリオレフィンフィルム(厚さ25μm)がこの順に積層されてなる、厚さ105μmの積層フィルムを貼り合せることにより、第1支持シートを得た。
(熱硬化性樹脂フィルムのせん断粘度(V1)及びΔt1の測定)
上記で得られた熱硬化性樹脂層形成用組成物を用いて、その塗工量が異なる点以外は、上述の第1保護膜形成用シートの製造時と同様の方法で、厚さ500μmの熱硬化性樹脂フィルムを作製した。
次いで、この熱硬化性樹脂フィルムから直径25mm、厚さ500μmの評価用試料を作製し、この試料をせん断粘度測定装置に設置した。このとき、せん断粘度測定装置においては、予め試料の設置箇所を70℃で保温しておき、この状態の設置箇所に前記試料を載置して、試料の上面から測定治具を押し当てることで、試料を前記設置箇所に固定して設置した。
この状態を5分間保持した後、温度制御システムを用いて130℃の設定温度で試料を加熱した。これにより、未硬化の前記試料を軟化させた後、硬化させて、硬化物を形成した。このときの試料の昇温速度は10℃/分であった。そして、この試料の加熱による軟化から硬化の過程における、せん断速度1s−1での試料の粘度を測定し、Δt1を求めたところ、550秒であった。結果を表3に示す。表3には、130℃の設定温度で試料の加熱を開始してからの加熱時間と、そのときの試料の温度とを、あわせて抜粋して示している。また、このときの試料の前記加熱時間、温度及びせん断粘度(V1)の関係を図6に示す。この加熱の過程では、時間が経過するとともに試料の設置箇所の外に、粉体がこぼれ落ちるようになり、この現象により、試料が十分に硬化して最終的にゲル状となったことを確認できた。
加圧加熱硬化装置(リンテック社製「RAD−9100」)を用いて、上記で得られた第1保護膜形成用シートの熱硬化性樹脂層(熱硬化性樹脂フィルム)に対して、0.5MPaの圧力を加えながら設定温度130℃で2時間加熱し、熱硬化性樹脂層(熱硬化性樹脂フィルム)を軟化させた後、硬化させて、第1保護膜を形成した。
次いで、前記加圧加熱硬化装置から、熱硬化性樹脂層が硬化済みの第1保護膜形成用シートを取り出し、光学顕微鏡を用いて、第1保護膜を観察した。その結果、第1保護膜は気泡を全く含有していなかった。結果を表3に示す。
[実施例2〜7、比較例1〜3]
熱硬化性樹脂層形成用組成物の含有成分及び含有量を表1又は2に示すとおりとした点以外は、実施例1と同様に、第1保護膜形成用シートを製造し、熱硬化性樹脂フィルムを評価した。
その結果、実施例2〜7では、試料のΔt1は520〜1780秒で、第1保護膜は気泡を全く含有していなかったが、比較例1〜3では、試料のΔt1は0又は320秒で、第1保護膜は気泡を含有していた。これらの結果を表3又は4に示し、実施例1〜2及び比較例1の結果を、別途図6に示す。
これに対して、比較例1〜3では、第1保護膜は気泡を含有していた。これら比較例では、熱硬化性樹脂フィルムの硬化の終了までに、熱硬化性樹脂フィルムのせん断粘度(V1)が低い時間帯が全く無かったか、又は短かったため、この間、熱硬化性樹脂フィルム中の気泡は、一部がそのまま残ったと考えられた。
Claims (3)
- 半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させることによって、前記表面に第1保護膜を形成するための熱硬化性樹脂フィルムであって、
硬化前の前記熱硬化性樹脂フィルムを、昇温速度10℃/分で昇温させ、その後温度制御システムの設定温度を130℃に維持したときに、せん断速度1s−1での粘度が3000Pa・s以上100000Pa・s以下となっている時間が500秒以上である、熱硬化性樹脂フィルム。 - 請求項1に記載の熱硬化性樹脂フィルムを、第1支持シートの一方の表面上に備えた、第1保護膜形成用シート。
- 請求項1に記載の熱硬化性樹脂フィルムを0.1Pa以上の圧力で加圧しながら熱硬化させることで第1保護膜を形成する、第1保護膜の形成方法。
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