JP6368207B2 - コンクリート構造物の点検支援装置、点検支援方法、及びプログラム - Google Patents
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Description
図1は、本実施形態に係る点検支援を含む、コンクリート構造物(単に「構造物」とも呼ぶ)の点検の概要を説明するための図である。図1には、点検支援装置1と、構造物2と、撮像装置3とが示されている。点検支援装置1は、構造物2を撮像した画像(写真)データ、その他の情報を解析して、構造物2の劣化の状態を推定したり、劣化の程度を評価したりする。なお、点検支援装置1は、点検対象の構造物2の位置情報等、所定の情報を予め格納したデータベース(Database:DB)を有するものとする。また、構造物2は、橋梁、トンネルの覆工コンクリート、ダム堤体、護岸用擁壁、建築物等といった、コンクリートで形成された構造物であり、本実施形態において劣化の状況を点検する対象である。撮像装置3は、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の画像データを生成する装置である。なお、撮像装置3は、GPS(Global Positioning System)等の衛星
測位システムを利用するための受信機を備えており、撮像装置3の位置情報をメタデータとして画像データに付加するものとする。なお、メタデータは、例えばExif(Exchangeable Image File Format)等の規格に基づいて画像データに埋め込むことができる。また、位置情報は、所定の測地系に基づく緯度及び経度を含み、さらに標高を含むものとしてもよい。GPS受信環境下にない場所で撮影された画像データの場合は、後で手動入力で位置情報の緯度経度を付加しても良い。このようなシステムにおいて、撮像装置3が生成した画像データは、メモリカード等の記憶媒体を介して、または図示していないネットワークを介して点検支援装置1に取り込まれる。そして、点検支援装置1は、画像データに付加された位置情報や、DBに保持されている所定の情報を用いて画像を解析し、撮像された構造物2の劣化状態やその程度を判定する。
リートの外観に表れる。したがって、画像処理によってひび割れパターンを認識し、劣化原因を特定することができると共に、損傷の程度や補修の必要性を判断することができる。また、上述の劣化原因は、例えば海岸に近い構造物ほど外部塩害による鉄筋腐食のおそれが高まったり、地域によって凍害の危険度に差異があるといった具合に、構造物の位置に応じて劣化の発生する可能性が予測できる。また、構造物の構成材料や、長さ又は厚さといったサイズによっても劣化の発生する可能性が予測できる。そこで、本実施形態では、画像処理に加え、構造物の位置情報、構成材料やサイズ等の設計情報、施工時期や施工時の温度記録等といった施工情報を用いて発生する可能性の高い劣化状態の特定を行う。このようにすることで、画像処理による劣化状態の特定やその程度の評価の精度を向上させることができる。
図2は、本実施形態に係る点検支援装置1の一例を示す機能ブロック図である。点検支援装置1は、画像記憶部101と、画像読出部102と、構造物情報取得部103と、構造物DB104と、劣化要因取得部105と、劣化要因DB106と、画像解析部107と、特徴DB108と、損傷程度評価部109と、結果出力部110とを有する。
た、「位置情報」は、「緯度」、「経度」、及び「標高」(例えば、平均海面を基準とした海抜)を含む。
スカルバート等が登録される。「部位」には、例えば、床版、壁、柱等が登録される。また、「寸法」の項目は、「部材厚さ」、「部材幅」、「リフト高さ」、「誘発目地」等の項目をさらに含む。また、「材料」の項目は、「コンクリートの構成材料」、「コンクリートの配合」、「補強材料(繊維補強材等)」等の項目を含む。
、温度ひび割れ等は、コンクリートの打ち込み直後に発生し、短期間で成長が止まる。したがって、早い段階で補修を行えば構造物の耐久性に大きな影響は生じない。一方、中性化や塩害などによる鉄筋の腐食は、鉄筋に沿ったひび割れが生じた後、短期間でかぶりコンクリートの剥落に至る。このように、劣化要因に応じて、補修を行う必要がないか、速やかに補修が必要であるかといった判断を行うことができる。具体的には、画像解析部107が解析した劣化の状態及び程度と、劣化要因DBに記憶されている情報とを用いて予め定められた条件に合致する判定区分を求めるものとする。
ゆるNoSQLと呼ばれるような、ドキュメントストア型、キーバリュー型、オブジェクトデータベース、マルチバリューデータベース等の管理システムを採用してもよい。また、表計算ソフトによって作成された表や、CSV(Comma-Separated Values)のようなデリミタ区切りでデータを保持する形式であってもよい。
図5は、コンピュータの一例を示す装置構成図である。点検支援装置1は、例えば図5に示すようなコンピュータである。図5に示すコンピュータ1000は、CPU(Central Processing Unit)1001、主記憶装置1002、補助記憶装置(外部記憶装置)1
003、通信IF(Interface)1004、入出力IF(Interface)1005、ドライブ装置1006、通信バス1007を備えている。CPU1001は、プログラムを実行することにより本実施の形態に係る処理等を行う。主記憶装置1002は、CPU1001が読み出したプログラムやデータをキャッシュしたり、CPUの作業領域を展開したりする。主記憶装置は、具体的には、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等である。補助記憶装置1003は、CPU1001により実行されるプログラムや、本実施の形態で用いる設定情報などを記憶する。補助記憶装置1003は、具体的には、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、eMMC(embedded
Multi-Media Card)、フラッシュメモリ等である。主記憶装置1002や補助記憶装置
1003は、点検支援装置1の画像記憶部101、構造物DB104、劣化要因DB106及び特徴DB108として働く。通信IF1004は、他のコンピュータとの間でデータを送受信する。通信IF1004は、具体的には、有線又は無線のネットワークカード等である。点検支援装置1は、ネットワークを介して撮像装置3から画像データを受信す
る構成にしてもよい。入出力IF1005は、入出力装置と接続され、ユーザから入力を受け付けたり、ユーザへ情報を出力したりする。入出力装置は、具体的には、キーボード、マウス、ディスプレイ、タッチパネル等である。ドライブ装置1006は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク等の記憶媒体に記録されたデータを読み出したり、記憶媒体にデータを書き込んだりする。そして、以上のような構成要素が、通信バス1007で接続されている。なお、これらの構成要素はそれぞれ複数設けられていてもよいし、一部の構成要素(例えば、ドライブ装置1006)を設けないようにしてもよい。また、入出力装置がコンピュータと一体に構成されていてもよい。また、ドライブ装置1006で読み取り可能な可搬性の記憶媒体や、フラッシュメモリのような可搬性の補助記憶装置1003、通信IF1004などを介して、本実施の形態で実行されるプログラムが提供されるようにしてもよい。そして、CPU1001がプログラムを実行することにより、上記のようなコンピュータを例えば図2に示した点検支援装置1として働かせる。
図6は、点検支援処理の一例を示す処理フロー図である。まず、点検支援装置1の画像読出部102は、画像記憶部101から画像データを読み出す(図6:S1)。上述の通り、画像データには位置情報が埋め込まれており、画像読出部102は、画像そのものを表す情報と、当該画像を撮像した位置を示す位置情報とを読み出す。
、準拠すべき基準に従うものとする。例えば、直轄国道の橋梁に関しては「橋梁定期点検要領(案)」(国土交通省,平成16年3月)に従う。当該要領によれば、橋梁のコンクリート床版のひび割れに関しての損傷程度の評価区分は図7の様に定義されている。すなわち、最小ひび割れ間隔が概ね1.0m以上であって、ひび割れが主として一方向のみ、最大ひび割れ幅が0.05mm以下(ヘアークラック程度)の場合は、比較的程度の軽い区分aとする。また、ひび割れ間隔が1.0m〜0.5m、ひび割れは一方向が主で直交方向は従、かつ格子状でない場合は、区分bとする。また、ひび割れ間隔が0.5m程度、格子状直前のものであって、ひび割れ幅は0.2mm以下が主であるが、一部に0.2mm以上も存在する場合は、区分cとする。また、ひび割れ間隔が0.5m〜0.2mで、格子状に発生しており、ひびわれ幅は0.2mm以上が目立ち、部分的な角落ちもみられる場合は、区分dとする。そして、ひび割れ間隔が0.2m以下で、格子状に発生しており、ひびわれ幅は0.2mm以上がかなり目立ち連続的な角落ちが生じている場合は、程度の重い区分eとする。なお、例えば画像からひび割れの間隔や幅といったサイズを認識するためには、予め撮像する際の構造物と撮像装置との距離を定めておくことで、画像中のひび割れのサイズが算出できるようにしてもよい。また、予めサイズのわかっているマーカを点検対象の構造物と共に撮像し、これを基準としてひび割れのサイズを算出するようにしてもよいし、撮像された構造物の2点間の距離の入力を受け付け、これを基準としてひび割れのサイズを算出するようにしてもよい。なお、このような判定の基準が橋梁以外の構造物についても予め定義されているものとする。
110は、処理の結果を出力する(S7)。なお、構造物2を撮像した複数の画像データについてそれぞれ図6の処理を行う。処理の結果は、同一の構造物2を撮像した複数の画像データを処理した後に結果を統合してから出力するようにしてもよい。また、点検の実施や結果を示す履歴情報を、構造物DB104の維持管理情報に記憶させる。例えば、上述した判定区分のような情報が出力される。なお、結果出力部110は、評価区分や判定区分を例えば構造物DBにも記憶させておき、損傷程度評価部109が、ある構造物について同程度の年代に構築された他の構造物の平均と比較して損傷の程度が大きいか否か判断できるようにしてもよい。
本発明は上述の処理を実行するコンピュータプログラムを含む。さらに、当該プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に属する。当該プログラムが記録された記録媒体については、コンピュータに、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、上述の処理が可能となる。
101 画像記憶部
102 画像読出部
103 構造物情報取得部
104 構造物DB
105 劣化要因取得部
106 劣化要因DB
107 画像解析部
108 特徴DB
109 損傷程度評価部
110 結果出力部
2 構造物(コンクリート構造物)
3 撮像装置
Claims (8)
- 点検対象のコンクリート構造物が撮像され、且つ位置を示す位置情報が付加された画像データを読み出す画像読出部と、
コンクリート構造物の情報に対応付けて劣化の要因を記憶する記憶装置から、前記画像読出部が読み出した画像データの位置情報に対応するコンクリート構造物の情報に対応付けられた劣化の要因を取得する劣化要因取得部と、
前記劣化要因取得部が取得した前記劣化の要因と、劣化の要因ごとにコンクリート構造物の表面に表れる特徴を予め学習させた基準情報とを用いて、前記画像読出部が読み出した前記画像データを解析し、撮像された前記コンクリート構造物の劣化の状態を判定する画像解析部と、
を備えるコンクリート構造物の点検支援装置。 - 前記画像解析部は、前記劣化の状態の判定において、前記劣化要因取得部が取得した前記劣化の要因に起因して生じる劣化の状態を優先的に選択する
請求項1に記載のコンクリート構造物の点検支援装置。 - 前記画像解析部は、前記劣化の状態の判定において、前記劣化要因取得部が取得した前記劣化の要因に起因して生じる劣化の状態の特徴を学習させた前記基準情報を優先的に用いて前記コンクリート構造物に生じた劣化の状態を判定する、又は、前記劣化要因取得部が取得した前記劣化の要因に起因して生じる劣化の状態に対しその他の劣化の状態よりも大きく重みづけして前記コンクリート構造物に生じた劣化の状態を判定する
請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の点検支援装置。 - 前記記憶装置は、地域を示す地域情報に対応付けて、コンクリート構造物に発生する可能性のある劣化の要因を記憶し、
前記劣化要因取得部は、前記画像読出部が読み出した画像データの位置情報を含む地域に対応付けられた前記劣化の要因を取得する
請求項1から3のいずれか一項に記載のコンクリート構造物の点検支援装置。 - 前記記憶装置は、前記地域情報に対応付けられた劣化の要因として、塩害に関する情報、アルカリシリカ反応性骨材に関する情報、凍害に関する情報、又は化学的な腐食に関す
る情報を記憶する
請求項4に記載のコンクリート構造物の点検支援装置。 - 前記コンクリート構造物の情報は、コンクリート構造物の設計に関する情報、施工に関する情報、又は維持管理の履歴を示す情報を含み、
前記記憶装置は、前記劣化の要因に対応付けてコンクリート構造物の設計に関する情報、施工に関する情報、又は維持管理の履歴を示す情報が満たすべき条件を記憶する
請求項1から5のいずれか一項に記載のコンクリート構造物の点検支援装置。 - 点検対象のコンクリート構造物が撮像され、且つ位置を示す位置情報が付加された画像データを読み出す画像読出ステップと、
位置情報に対応付けて当該位置に構築されたコンクリート構造物の情報を記憶すると共に、コンクリート構造物の情報に対応付けて劣化の要因を記憶する記憶装置から、前記画像読出ステップにおいて読み出された画像データの位置情報に対応付けられたコンクリート構造物の情報、及び当該コンクリート構造物の情報に対応付けられた前記劣化の要因を取得する劣化要因取得ステップと、
前記劣化要因取得ステップにおいて取得された前記劣化の要因と、劣化の要因ごとにコンクリート構造物の表面に表れる特徴を予め学習させた基準情報とを用いて、前記画像読出ステップにおいて読み出された前記画像データを解析し、撮像された前記コンクリート構造物の劣化の状態を判定する画像解析ステップと、
をコンピュータが実行するコンクリート構造物の点検支援方法。 - 点検対象のコンクリート構造物が撮像され、且つ位置を示す位置情報が付加された画像データを読み出す画像読出ステップと、
位置情報に対応付けて当該位置に構築されたコンクリート構造物の情報を記憶すると共に、コンクリート構造物の情報に対応付けて劣化の要因を記憶する記憶装置から、前記画像読出ステップにおいて読み出された画像データの位置情報に対応付けられたコンクリート構造物の情報、及び当該コンクリート構造物の情報に対応付けられた前記劣化の要因を取得する劣化要因取得ステップと、
前記劣化要因取得ステップにおいて取得された前記劣化の要因と、劣化の要因ごとにコンクリート構造物の表面に表れる特徴を予め学習させた基準情報とを用いて、前記画像読出ステップにおいて読み出された前記画像データを解析し、撮像された前記コンクリート構造物の劣化の状態を判定する画像解析ステップと、
をコンピュータに実行させるコンクリート構造物の点検支援プログラム。
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