JP6367345B2 - シートベルトバックル取り付け構造 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載された取り付け構造は、対向離間配置された一対の平板状ベースプレートと、乗り物の部材(その例ではフロア)に固定されたストライカとそれに嵌合するフックと、を有する。そして、一対のベースプレートに対し、フック及びシートベルトバックルに連結されたアンカープレートを、それぞれ回動軸及びアンカーナットを介して挿通固定することで、乗り物の部材に対しシートベルトバックルが取り付けられるようになっている。
そのため、シートベルトに強衝撃が加わってシートベルトバックルが大きい力で引っ張られたときに、その力が取り付け構造で減衰することなく乗り物の部材に伝達され、乗り物の部材の変形が誘発される虞がある。
乗り物の部材が変形してしまうと、補修が大がかりになるなど不具合が多いため、改善が望まれていた。
図1は、自動車などの乗り物用シートのシートクッションにおける骨格となるフレーム構造と、そのフレーム構造に設けられたバックル取り付け構造TKと、を説明する右側面図である。
左右二組のレールホルダ1,2には、それぞれレール3が架け渡されて固定されている。
左右一対のレール3には、シートクッションの骨格となるシートクッションフレーム4の左右のサイドフレーム部5に備えられたアッパースライダ6がそれぞれ係合している。アッパースライダ6は、レール3に対し、任意の位置で保持可能なように前後移動できるようになっている。図1は、右側のサイドフレーム部5,アッパースライダ6,及びレール3などが示されている。
サイドフレーム部5の右側面は、使用状態において化粧カバーにより覆われている。図1では、サイドフレーム部5の後方側部位を覆う化粧カバーであるカバー11が取り付けられ、その他の部位を覆うメインカバーは、取り外されてアッパースライダ6やバックル取り付け構造TKが露出した状態が示されている。
バックル7の内部には、タングプレート13の装着状態でON、非装着状態でOFFとなるスイッチ(不図示)が設けられている。このスイッチのON/OFFを示す信号は、ワイヤハーネス14を介して乗り物の制御装置(図示せず)に向け送出される。ワイヤハーネス14の先端にはコネクタ14aが取り付けられている。コネクタ14aは、制御装置側に接続されたコネクタ(図示せず)と接続される。
ワイヤハーネス14は、製造時の引き回し作業において、バックル7から引き出されてガイド溝部11aに通される。ガイド溝部11aから出た後は、カバー11の後方側へ引き回され、カバー11の後方の左右中央部にてファスナ11cで保持される。さらにシートクッションフレーム4の下側を前方に向かって引き出され、ファスナ11dでシートクッションフレーム4に保持される。
ガイド溝部11aの中間部位はガイド爪11bにより開口幅が狭められている。これにより、ガイド溝部11aに挿通されたワイヤハーネス14は、ガイド溝部11aから自然に外れることはなく、ガイド溝部11a内に良好に収められる。
図2は、図1に示されたバックル取り付け構造TKにおける、ベースブラケット8及びバックルブラケット9を拡大して示した図である。図2には、バックル7及びバックル7から延出するワイヤハーネス14の一部も示されている。
図3は、ベースブラケット8のみを、図1に示された姿勢における左後方斜め上側から見た斜視図である。図4は、ベースブラケット8の形状を説明する模式的部分展開図である。図5は、図2におけるV−V位置に対応する断面図である。
ベースブラケット8は、バックルブラケット9が取り付けられる平板状に延在する棚部8aと、アッパースライダ6に取り付けられる脚部8cと、棚部8aと脚部8cとを連結する胴部8bと、を有している。
詳しくは、胴部8bは、中心軸線CL1まわりの角度θcの範囲で弧板状に形成された周壁部8b1と、周壁部8b1の周方向両端にそれぞれ接続して平板状に形成された平壁部8b2及び平壁部8b3と、を有する。角度θcは、例えば90°程度とされる。すなわち、胴部8bは、幅方向に平板状に形成された平壁部8b2,8b3と、幅方向に弧板状に湾曲した周壁部8b1と、を有している。
胴部8bにおける中心軸線CL1方向の中間部位には、幅方向(周方向)に延びる一定細幅の開口部8b4が設けられている。開口部8b4は、例えば、周壁部8b1と平壁部8b3とに跨るように設けられている。
図4は、胴部8bを平面状に延ばした模式的展開図である。すなわち、図3における胴部8bの周方向、すなわち幅方向の範囲Wを平面展開した図である。
図4の上方側が棚部8aとなり、下方側が脚部8cとなる。また、胴部8bの展開長をLa、開口部8b4の展開長をLbとする。
胴部8bにおける、幅方向(図4の横方向)の断面積は、上下方向において開口部8b4が設けられている中間の領域(点描を付与した部分)AR2が、他の領域である棚部8a側の領域AR1及び脚部8c側の領域AR3よりも開口部8b4の分だけ小さくなっている。
すなわち、領域AR2の断面積の領域AR1,AR3の断面積に対する比率Qは、Q=1−Lb/La となる。
従って、領域AR2の曲げ剛性は、領域AR1,AR3の曲げ剛性よりも小さくなっている。
比率Qを変えることで、領域AR2の剛性を調整できる。すなわち、開口部8b4の展開長Lbを長くして比率Qを小さくするほど、領域AR2の剛性が小さくなり、ベースブラケット8は変形し易くなる。
同じ断面積を有する場合、弧状であることから、平壁部8b2,8b3よりも周壁部8b1の方が剛性は高い。
従って、開口部8b4が平壁部8b2、8b3と周壁部8b1とのそれぞれにどれだけの長さ(及び幅)で設けられているか、によっても、剛性の調整が可能である。すなわち、ベースブラケット8は、周壁部8b1と平壁部8b2,8b3との両方を有していることで、より精細な剛性調整が可能になっている。
バックルブラケット9において、バックル7から外部に延出した部分は、一定幅で形成された腕部9aと、腕部9aの先端に連結され、中心に貫通孔9b1を有して円環状に形成された支持部9bと、を有している。
腕部9aは、バックル7側の平板状の基部9a1と、基部9a1の先端から折り曲げられてバックル7の外側面7a側に立ちあがる立壁部9a2とを有している。
立壁部9a2の先端は、基部9a1と概ね平行になるよう折り曲げられて支持部9bとされている。
具体的には、図5に示されるように、ベースブラケット8の棚部8aの外側面8a3に、バックルブラケット9の支持部9bの内側面9b2を当接させる。その際、バックルブラケット9の回動方向の位置を、立壁部9a2が棚部8aの切込み部8a2に進入する位置とする。
次いで、フランジ付のボルト21を貫通孔9b1及び貫通孔8a1に挿通する。その際、貫通孔9b1とボルト21の軸部21aとの間には径差を埋めるカラー22を介装する。貫通孔8a1から突出したボルト21の軸部21aに対し、摺動樹脂ワッシャ23及び金属ワッシャ24を介してナット25でねじ固定する。
このねじ固定において、バックルブラケット9は、締め付けトルクを適切に管理し、摺動樹脂ワッシャを介装することなどにより、ベースブラケット8に対し所定のトルクで回動可能となっている。
すなわち、ベースブラケット8は、乗り物の左右方向に離隔する棚部8a及び脚部8cと、棚部8aと脚部8cとを繋ぐ胴部8bが設けられている。
これにより、図5に示されるように、バックル7の左右方向位置は、胴部8bを設けていない場合に比べて、右方、すなわち乗り物の側方(右外方)にずれている。すなわち、タングプレート13の取り付け面SF1からの距離Lcが長くなっている。
この衝撃力Fが一定値を超えると、胴部8bの内の最も曲がりやすい領域AR2が変形する。この変形後の状態が図6に示されている。
そして、棚部8aに対し衝撃力Fが一定値を超えて付加されると、開口部8b4が形成されている領域AR2が曲げ変形し、棚部8aはシートベルト12による引っ張り方向へ変位する(矢印Da)。
この曲げ変形は、棚部8aに対して直交立設していた胴部8bが、図6の一点鎖線Bで示されるように倒れて傾斜する変形となる(矢印Db)。
そのため、乗り物の部材の変形は誘発されにくい。また、棚部8aがシートベルト12による引っ張り方向へ変位することで、衝突発生時にシートベルト12から乗員に加えられる保持力が緩和される。これにより、乗員はシートベルト12によってより良好に身体保持される。
しかし、この場合、切り込み部の存在によって、切り込まれていない部分である連結部分に捩れ変形が生じ易くなる。そのため、一定値を超えた衝撃力Fの付加時に、バックル7が、引っ張り方向への変位以外に、上下方向の位置が移動してシートベルト12の掛かる位置が上下方向にずれる虞がある。
そのため、幅方向の中間部位に開口部8b4を形成することで胴部8bの断面積を小さくするのが好ましい。
この実施例において、開口部8b4は一つであるが、これに限らず、分割して複数設けてもよい。
Claims (4)
- シートベルトバックルを乗り物の部材に取り付けるシートベルトバックル取り付け構造であって、
前記シートベルトバックルから延出し、先端に支持部を有するバックルブラケットと、
前記バックルブラケットの前記支持部が取り付けられた平板状の棚部,前記棚部に対して前記バックルブラケットの延出方向と交わる方向の離れた位置にあって、前記部材に取り付けられた脚部,及び前記棚部に対する直交方向に延びて前記脚部と前記棚部とを繋ぐ胴部、を有するベースブラケットと、
を備え、
前記胴部は、前記直交方向の中間領域に、幅方向の断面積を前記脚部の側の領域及び前記棚部の側の領域よりも小さくする開口部を有し、
前記バックルブラケットは、前記シートベルトバックルと前記支持部との間が折り曲げられて、前記シートベルトバックルが前記棚部と直交する方向において前記棚部よりも前記胴部側に位置していることを特徴とするシートベルトバックル取り付け構造。 - 前記シートベルトバックルを引っ張る一定値を超える衝撃力が付与されたときに、前記棚部における前記直交方向で前記開口部が形成されている領域は、前記棚部の前記シートベルトバックル側が前記胴部側に傾斜するよう変形することを特徴とする請求項1記載のシートベルトバックル取り付け構造。
- 前記胴部は、平板状の平壁部と、前記幅方向に弧板状に湾曲した周壁部と、を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のシートベルトバックル取り付け構造。
- 前記部材は、前記乗り物のシートクッションフレームにおける側部に位置するサイドフレーム部であり、前記棚部は、前記サイドフレーム部からさらに前記乗り物の側方へ離れた位置にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシートベルトバックル取り付け構造。
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