以下、本発明の光導波路、光電気混載基板、光モジュールおよび電子機器について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<光導波路>
≪第1実施形態≫
まず、本発明の光導波路の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の光導波路の第1実施形態を示す平面図である。図2は、図1に示す光導波路の部分拡大平面図である。図3は、図1に示す光導波路のA−A線断面図である。図4は、図1に示す光導波路の部分拡大斜視図である。なお、図1、2、4では、それぞれ説明の便宜上、クラッド層等の陰に隠れている部分を透視するように図示している。また、各図では、コア部に対してドットを付している。また、以下の説明では、説明の便宜上、図3の上方を「上」、下方を「下」として説明する。
図1に示す光導波路1は、シート状をなしており、光入射部と光出射部との間で光信号を伝送し、光通信を行う。
光導波路1は、図3に示すように、下からクラッド層11、コア層13およびクラッド層12を積層してなる積層体10を備えている。コア層13中には、複数の長尺状のコア部14(図1では8本のコア部14)とその側面に隣接して設けられた側面クラッド部15とが形成されている。なお、図1〜3に示す光導波路1では、それぞれ各図の左右方向にコア部14が延在しており、図1〜3にはその長手方向の端部近傍のみが図示されている。そして、図示されていない端部の構成については特に限定されないが、各図に図示されている構成と同じであることが好ましい。なお、図1〜3の左右方向をX軸方向とし、図1、2の上下方向をY軸方向とし、X軸方向とY軸方向とに直交する方向をZ軸方向(図3の上下方向)とする。また、以下の説明では、図1における右向きを+X側とし、左向きを−X側とする。さらに、図1における上向きを+Y側とし、下向きを−Y側とする。
また、図1、2に示すコア層13では、その長手方向の外縁よりも内側に各コア部14の右側の端部が位置するように、各コア部14が形成されている。そして、各コア部14の端部とコア層13の外縁との間は、側面クラッド部15で占められている。
コア部14の幅(Y軸方向の長さ)および高さ(コア層13の厚さ)は、特に限定されないが、1〜200μm程度であるのが好ましく、5〜100μm程度であるのがより好ましい。これにより、コア部14の伝送効率を高めつつコア部14の高密度化を図ることができる。すなわち、単位面積当たりに敷設可能なコア部14の数を多くすることができるので、小面積であっても大容量の光通信を行うことができる。
また、光導波路1の幅方向における屈折率分布および厚さ方向における屈折率分布は、それぞれ、屈折率が不連続的に変化したいわゆるステップインデックス(SI)型の分布であってもよく、屈折率が連続的に変化したいわゆるグレーデッドインデックス(GI)型の分布であってもよい。
また、コア部14は、平面視で直線状であっても曲線状であってもよい。さらに、コア部14は、途中で分岐していたり互いに交差していたりしてもよい。
さらに、コア部14の横断面形状は、特に限定されず、例えば、真円、楕円形、長円形等の円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形であってもよいが、四角形(矩形状)であることにより、安定した品質のコア部14を効率よく製造することができる。
一方、クラッド層11は、コア層13の下方に設けられ、クラッド層12は、コア層13の上方に設けられている。
クラッド層11、12の平均厚さは、コア層13の平均厚さの0.05〜1.5倍程度であるのが好ましく、0.1〜1.25倍程度であるのがより好ましい。具体的には、クラッド層11、12の平均厚さは、それぞれ1〜200μm程度であるのが好ましく、3〜100μm程度であるのがより好ましく、5〜60μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、光導波路1が必要以上に厚膜化するのを防止しつつ、クラッド部としての機能が確保される。
なお、クラッド層11、12は、必要に応じて設けられればよく、省略することもできる。この場合でも、例えば外気がクラッド層として機能する。
光導波路1には、積層体10の一部を除去することによって形成された凹部170が設けられている。すなわち、光導波路1は、積層体10とそれに形成された凹部170とを備えている。図1に示す凹部170は、コア部14の長手方向の端部、すなわちコア部14の延長線上に位置している。凹部170の内側面の一部は、コア部14の軸線に対して傾斜している傾斜面171になっている。
また、凹部170内は、空洞になっている。換言すれば、凹部170は、コア部14より屈折率が低い空気で満たされているといえる。したがって、傾斜面171は、空気と積層体10の構成材料との界面に相当し、高屈折率側である積層体10側を伝搬する光は、傾斜面171において反射される。したがって、傾斜面171は、コア部14の光路を変換するミラーとして機能する。すなわち、傾斜面171は、例えばコア部14内において図3の左端から入射して右方に向かう光を、下に向けて反射することで、その光路を変換することができる。
図3に示す凹部170の縦断面形状は、上底が下底より長い台形をなしている。なお、この縦断面形状は、特に限定されず、例えば三角形や平行四辺形等であってもよい。
また、傾斜面171は、図3、4に示すように、クラッド層12からコア層13を経てクラッド層11の途中に至るまでの間に連続して形成された平坦面である。また、凹部170の内側面のうち、傾斜面171に対向する位置には、直立面172が設けられている。直立面172は、コア部14の軸線に対して直交する面である。また、この直立面172も、傾斜面171と同様、クラッド層12からコア層13を経てクラッド層11の途中に至るまでの間に連続して形成された平坦面である。
一方、凹部170の内側面のうち、コア部14の軸線とほぼ平行な2つの面も、それぞれクラッド層12の上面に対してほぼ垂直な直立面173、174になっている。
上述したような傾斜面171と、3つの直立面172、173、174とにより、凹部170の内側面が構成されている。
また、凹部170の開口の形状は、図2に示すように長方形をなしている。なお、この開口の形状は、特に限定されず、例えばその他の四角形、五角形、六角形のような多角形であってもよく、長円形のような円形であってもよい。
なお、傾斜面171とクラッド層12の上面とが接してなる線分(稜線)は、凹部170の長方形をなす開口の短辺に相当する。一方、直立面172、173および174とクラッド層12の上面とがそれぞれ接してなる線分(稜線)は、いずれも凹部170の長方形をなす開口の長辺に相当する。
傾斜面171は、上述したように、コア部14の軸線に対して傾斜しているが、傾斜面171の傾斜角度に応じて光軸の変換方向が変わることになる。このため、傾斜面171の傾斜角度は、光導波路1の外部に設けられる光学部品の位置に応じて適宜設定される。
ここで、複数のコア部14のうち、図2に示すコア部14を特に「コア部14a」とし、コア部14aに隣り合うコア部14を特に「コア部14b」とする。そして、コア部14aが「第1コア部」に相当するとき、コア部14bが「第2コア部」に相当する。
また、コア部14aの右端に設けられた傾斜面171を特に「傾斜面171a」とし、コア部14bの右端に設けられた傾斜面171を特に「傾斜面171b」とする。そして、傾斜面171aが「第1ミラー」に相当するとき、傾斜面171bが「第2ミラー」に相当する。
さらに、各コア部14の光路であって、傾斜面171aで変換される光路を特に「光路140a」とし、傾斜面171bで変換される光路を特に「光路140b」とする。光路140aは、傾斜面171aよりも−X側に延在しており、同様に、光路140bは、傾斜面171bよりも−X側に延在している。なお、図2では、図示の便宜上、コア部14aの幅の中心を通る線を「光路140a」とし、コア部14bの幅の中心を通る線を「光路140b」として図示している。
図2では、傾斜面171bが傾斜面171aよりも−X側にずれるように設けられている。このため、傾斜面171aと傾斜面171bとが干渉し合うことが防止され、傾斜面171aおよび傾斜面171bがそれぞれ十分な面積を確保することができる。これにより、傾斜面171aおよび傾斜面171bにおける反射損失を十分に抑えることができる。その結果、外部の光学部品と光学的に接続される際、光結合効率の高い光導波路が得られる。
また、コア部14aは、Z軸方向から見たときの平面視において、相対的に幅の広い広幅部141aと、広幅部141aより幅が狭い狭幅部142aと、を備えている。狭幅部142aは、広幅部141aよりも右側に位置している。すなわち、広幅部141aと傾斜面171aとの間に狭幅部142aが位置しているといえる。
このようなコア部14aに隣り合うコア部14bでは、その右端に設けられた傾斜面171bが、X軸方向の位置においてコア部14aの狭幅部142aに対応する位置に設けられている。換言すれば、傾斜面171bがX軸方向において占める範囲と、コア部14aの狭幅部142aがX軸方向において占める範囲とが、少なくとも一部で重複している。X軸方向において占める範囲を傾斜面171bと狭幅部142aとでこのように重複させることにより、コア部14aとコア部14bとのピッチP(図2参照)を狭くした場合でも、傾斜面171bとコア部14aとの干渉を防止することができる。すなわち、コア層13に形成されるコア部14の形成密度を高めた場合でも、傾斜面171bとコア部14aとの干渉を避けながら、傾斜面171bの十分な面積を確保することが可能になる。したがって、コア部14の高密度化と、外部の光学部品との高い光結合効率と、を両立させることができる。
一方、傾斜面171bに対応する位置以外では、できるだけ幅を広くする、すなわち広幅部141aを配置することにより、その部位での伝送効率を高めることができる。また、コア部14bのうち、傾斜面171に露出する部分に広幅部141aを適用することによって、傾斜面171に露出するコア部14bの面積を広く確保することができる。その結果、傾斜面171における光結合効率をより高めることができる。
また、コア部14aは、広幅部141aと狭幅部142aとの間に位置し、+X側に向かうにつれて幅が徐々に狭くなるように構成された変幅部143a(第1変幅部)と、狭幅部142aと傾斜面171aとの間に位置し、+X側に向かうにつれて幅が徐々に広がるように構成された変幅部144a(第2変幅部)と、を備えている。変幅部143aを備えることにより、広幅部141aと狭幅部142aとの間で幅の変化が緩やかになる。このため、幅の変化に伴ってコア部14aから側面クラッド部15へと光が漏れ出る確率を低下させることができ、伝送効率の低下を抑制することができる。また、変幅部144aを備えることにより、変幅部144aを設けない場合に比べて、傾斜面171aに露出するコア部14aの面積をより広くすることができる。これにより、変幅部144aを設けない場合に比べて、傾斜面171aにおいて反射した光がコア部14aに入射する確率を高めることができ、外部の光学部品との光結合効率をより高めることができる。
一方、本実施形態では、コア部14bも、平面視において、相対的に幅の広い広幅部141bと、広幅部141bより幅が狭い狭幅部142bと、を備えている。狭幅部142bは、広幅部141bよりも右側に位置している。
そして、コア部14bも、広幅部141bと狭幅部142bとの間に位置し、+X側に向かうにつれて幅が徐々に狭くなる変幅部143bと、狭幅部142bと傾斜面171bとの間に位置し、+X側に向かうにつれて幅が徐々に広がるように構成された変幅部144bと、を備えている。
このようなコア部14bに対し、コア部14aとは反対側に隣り合うコア部14では、その右端に設けられた傾斜面171が、やはりX側方向の位置においてコア部14bの狭幅部142bに対応する位置に設けられている。これにより、コア部14bとそれに隣り合うコア部14とでピッチを狭くした場合でも、傾斜面171とコア部14bとの干渉を防止することができる。
以上のことから、コア部14aとそれに隣り合うコア部14bの右端に設けられた傾斜面171bとの間で満足する上述したような関係を他のコア部14と傾斜面171にも同様に適用することで、3本以上のコア部14を有する光導波路1においても、それぞれ隣り合うコア部14同士でピッチを狭めつつ、傾斜面171とコア部14との干渉を防止することができる。その結果、3本以上のコア部14が高密度に形成されている場合でも、傾斜面171とコア部14との干渉を避けながら、傾斜面171の十分な面積を確保することができ、コア部14の高密度化と、外部の光学部品との高い光結合効率と、を両立させることができる。
また、傾斜面171aの幅(Y軸方向における長さ)は、コア部14aの幅より広くなっている。このため、傾斜面171aでは、コア部14aを伝搬する光を十分に広い面積で反射することができるので、反射損失を十分に抑えることができる。なお、傾斜面171aの幅がコア部14aの幅より広いとは、コア部14aの最大幅(Y軸方向における最大長さ)より広いことをいう。
同様に、傾斜面171bの幅(Y軸方向における長さ)は、コア部14bの幅より広くなっている。このため、傾斜面171bでは、コア部14bを伝搬する光を十分に広い面積で反射することができるので、反射損失を十分に抑えることができる。なお、傾斜面171bの幅がコア部14bの幅より広いとは、コア部14bの最大幅(Y軸方向における最大長さ)より広いことをいう。
なお、コア部14aの広幅部141aでは、その幅がほぼ一定であることから、本実施形態に係る傾斜面171aの幅は、広幅部141aの幅より広いと言い換えることができる。
幅W2は、幅W1の20〜95%程度であるのが好ましく、30〜80%程度であるのがより好ましい。幅W2が前記下限値を下回ると、幅W2が狭くなり過ぎるため、狭幅部142aを伝搬する光の伝送効率が低下し、コア部14a全体の伝送効率の低下を招くおそれがある。一方、幅W2が前記上限値を上回ると、狭幅部142aの幅W2と広幅部141aの幅W1との差がわずかになるため、その分、傾斜面171bと狭幅部142aとの離間距離に余裕がなくなり、コア部14aとコア部14bとのピッチPを十分に狭めることが難しくなるため、コア部14の高密度化が難しくなるおそれがある。
なお、コア部14aとコア部14bとのピッチPとは、コア部14aの幅W1の中心とコア部14bの幅W2の中心との距離のことである。
ここで、広幅部141aの外縁を図2のX軸方向に沿って仮想的に延長した仮想線を引いた場合について考える。このうち、狭幅部142aと対応する位置に引かれた仮想線Lは、図2に示すように、平面視において傾斜面171bと重なっているのが好ましい。このように仮想線Lと傾斜面171bとが重なることにより、コア部14aとコア部14bとのピッチPを十分に短くするのと同時に、傾斜面171bの幅を十分に広くすることができる。すなわち、狭幅部142aを設けなかった場合には存在し得ない幅の傾斜面171bを、ピッチPを変えることなく実現することができるので、特に外部の光学部品との光結合効率を高める観点から有用である。
このとき、Y軸方向における傾斜面171bとコア部14aとの最短距離S(図2参照)は、コア部14と側面クラッド部15との屈折率差によっても異なるものの、0.1×{(W1−W2)/2}以上0.9×{(W1−W2)/2}以下であるのが好ましく、0.2×{(W1−W2)/2}以上0.8×{(W1−W2)/2}以下であるのがより好ましい。これにより、傾斜面171bと狭幅部142aとが近接し過ぎることによる不具合(例えばクロストーク)の増大を抑制しつつ、ピッチPを最大限に狭めるとともに傾斜面171bの幅を最大限に広げることができる。
また、傾斜面171aの幅および傾斜面171bの幅は、それぞれ好ましくは、ピッチPより広く、かつ、ピッチPの2倍より狭くなるように設定される。このように設定すれば、コア部14に対して十分な面積を有する傾斜面171aおよび傾斜面171bが得られる。そして、このような面積を有する傾斜面171aおよび傾斜面171bは、過酷な環境下でも反射損失の増大を招き難いものとなる。すなわち、例えば高温下で光導波路1が使用される場合、光導波路1の熱膨張に伴って傾斜面171aおよび傾斜面171bが歪み、反射損失が増大し易い傾向にあるものの、傾斜面171aの幅および傾斜面171bの幅が前記範囲内にあることで、かかる歪みを抑えることができる。これにより、反射損失の増大を最小限に抑え、過酷な環境下でも外部の光学部品との光結合効率の低下が抑えられた光導波路1が得られる。
なお、傾斜面171aの幅および傾斜面171bの幅は、それぞれより好ましくは、ピッチPの1.1〜1.9倍とされ、さらに好ましくは、ピッチPの1.2〜1.8倍とされる。
また、ピッチPは、コア部14の幅に応じて適宜設定されるものの、10〜1000μm程度であるのが好ましく、20〜500μm程度であるのがより好ましい。これにより、コア部14が十分に高い密度で形成された光導波路1が得られる。このような光導波路1は、幅が狭いものであっても十分な伝送容量を有するものとなる。
また、コア部14の平面視形状は、特に限定されないものの、その幅の中心を通りX軸に対して平行な軸線に対して線対称の関係を有する形状であるのが好ましい。このような形状のコア部14は、伝送効率の低下を抑えることができる。
なお、凹部170内には、必要に応じて、コア部14より屈折率が低い材料(低屈折率材料)が充填されていてもよい。この場合でも、傾斜面171では、凹部170の構成材料とコア部14の構成材料との屈折率差に基づいて光が反射する。また、低屈折率材料が固体である場合、凹部170内に異物が侵入するのを防止したり、光導波路1の外部環境の影響が直接凹部170近傍に及び難くなるので、光導波路1の耐候性を高めることができる。
低屈折率材料は、コア部14の屈折率に応じて適宜選択され、何ら限定されないが、例えば、シリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂のような各種樹脂材料等が挙げられる。低屈折率材料の屈折率は、コア部14の屈折率より低ければ低いほどよく、0.01以上低いことが好ましい。
また、傾斜面171には、必要に応じて、光反射性を有する材料、例えば金属光沢を有する金属材料等が成膜されていてもよい。この場合は、凹部170内に各種材料が充填されていてもよく、その材料の屈折率等は特に限定されない。
金属材料としては、例えば、アルミニウム、銀、ニッケルのような金属の単体または化合物等が挙げられる。
また、傾斜面171は、前述したようにコア部14と光学的に接続される光学部品の位置に応じて適宜設定されるが、コア層13の下面を基準面としたとき、基準面と傾斜面171とがなす角度は、30〜60°程度であるのが好ましく、40〜50°程度であるのがより好ましい。傾斜角度を前記範囲内に設定することにより、傾斜面171においてコア部14の光路を効率よく変換し、光路変換に伴う損失を抑制することができる。なお、基準面と傾斜面171とがなす角度とは、基準面と傾斜面171とで形成される内角の角度のうち、凹部170側とは反対側にできる内角の角度のことをいう。
一方、基準面と直立面172、173、174とがなす角度は、それぞれ好ましくは60〜90°程度とされ、より好ましくは70〜90°程度とされ、さらに好ましくは80〜90°程度とされる。基準面と直立面172、173、174とがなす角度を前記範囲内に設定することにより、特にクラッド層11とコア層13との界面にかかる応力をより小さく抑えることができ、この応力によって傾斜面171の反射損失が増大するのを抑制することができる。なお、各図では、基準面と直立面172、173、174とがなす角度をほぼ90°として図示している。また、基準面と直立面172、173、174とがなす角度とは、基準面と直立面172、173、174とで形成される内角の角度のうち、凹部170側とは反対側にできる内角の角度のことをいう。
なお、凹部170の最大深さは、積層体10の厚さから適宜設定されるものであり、特に限定されないが、光導波路1の機械的強度や可撓性といった観点から、好ましくは1〜500μm程度とされ、より好ましくは5〜400μm程度とされる。そして、凹部170は、少なくともコア層13に達していればよく、クラッド層11には達していなくてもよい。
上述したようなコア層13およびクラッド層11、12の構成材料(主材料)は、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料等を用いることができる。なお、環状オレフィン系樹脂としては、例えば、特開2010−090328号公報に記載されたものが用いられる。
また、樹脂材料は、異なる組成のものを組み合わせた複合材料であってもよい。これらは、比較的加工が容易であるため、凹部170が形成されるコア層13やクラッド層11、12の構成材料として好適である。
なお、光導波路1のうち、図示されていない左端の構成については特に限定されず、前述したように、右端の構成と同じであってもよいし、光コネクター等が装着されていてもよい。また、光導波路1が途中で分岐しているような場合も、少なくとも1つの端部において、各図の構成が適用されていればよく、その他の端部の構成については特に限定されない。
また、光導波路1に形成されるコア部14の本数は、特に限定されないが、例えば1〜100本程度とされる。
また、コア層13中にコア部14と側面クラッド部15とを形成する方法としては、例えば、成膜工程とフォトリソグラフィー技術とエッチング技術とを組み合わせたパターニング工程とを繰り返し行う方法や、成膜工程とインプリント技術によるパターニング工程とを繰り返し行う方法、エネルギー線の照射により屈折率が変化する屈折率変調能(例えばフォトブリーチングやモノマーディフュージョンによる屈折率変調)を有する組成物を用い、この組成物からなる部材に所望のパターンでエネルギー線を照射する方法等が挙げられる。なお、フォトブリーチングとは、エネルギー付与に伴って分子中の結合が切れることにより屈折率が変化する現象であり、モノマーディフュージョンとは、互いに屈折率が異なるポリマーとモノマーとを用い、エネルギー付与に伴って、ポリマー中に分散したモノマーを偏在させて屈折率の分布を形成する現象のことである。この他、屈折率変調の原理には、光異性化、光二量化等が挙げられる。
このうち、屈折率変調能を有する組成物からなる部材にエネルギー線を照射する方法を用いて、コア部14および側面クラッド部15を形成するのが好ましい。この方法によれば、ピッチPが狭い場合でも、高い寸法精度でコア部14を形成することができる。特に、コア部14aが変幅部143aおよび変幅部144aを備えているとき、滑らかな形状を形作ることができるので、変幅部143aおよび変幅部144aにおける光の漏れを抑制することができる。その結果、より伝送効率の高いコア部14を形成することができる。
エネルギー線としては、例えば、可視光、紫外線、レーザー、電子線等が挙げられる。
ここで、モノマーディフュージョンを生じる材料としては、例えば、特開2010−090328号公報に記載された感光性樹脂組成物等が挙げられる。
一方、フォトブリーチング、光異性化および光二量化といった原理による屈折率変調の場合、照射するエネルギー線の照射量に応じて屈折率の変化量を調整することができる。フォトブリーチングでは、エネルギー線の照射によって材料中の分子構造が切断され、離脱性基が主鎖から離脱する。これにより材料の屈折率を変化させる。また、光異性化および光二量化では、エネルギー線の照射によって材料の光異性化または光二量化を生じ、材料の屈折率が変化する。
フォトブリーチングを生じる材料としては、例えば、特開2009−145867号公報に記載されたコアフィルム材料等が挙げられる。
また、光異性化を生じる材料としては、例えば、特開2005−164650号公報に記載されたノルボルネン系樹脂等が挙げられる。
また、光二量化を生じる材料としては、例えば、特開2011−105791号公報に記載された感光性樹脂組成物等が挙げられる。
なお、照射するエネルギー線の照射量を徐々に変化させることにより、形成される屈折率分布も滑らかな屈折率変化を伴うものとなる。照射するエネルギー線の照射量を徐々に変化させる方法としては、例えば、グレイトーンマスクやハーフトーンマスクといった多階調マスクを用いる方法、光強度に分布があるエネルギー線を走査する方法、領域ごとの照射時間を変化させつつ照射する方法等が挙げられる。
また、エネルギー線の照射に用いる装置としては、形成すべき導波路パターンに対応したフォトマスクを介してエネルギー線を照射する装置を用いるようにしてもよいが、エネルギー線を照射する領域を細かく制御し、フォトマスクを用いることなく照射すべき領域のみにエネルギー線を選択的に照射する装置(マスクレス照射装置)を用いるのが好ましい。これにより、高い空間分解能でかつ効率よくエネルギー線照射処理を施すことができる。また、フォトマスクが不要になるので、エネルギー線照射処理の低コスト化が図られるとともに、異なる導波路パターンにも速やかに切り替えることができるので、多品種少量生産が可能になる。
マスクレス照射装置としては、例えば、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)のような反射型空間光変調素子、液晶表示素子(LCD)のような透過型空間光変調素子といった各種の空間光変調素子を利用し、発生源からのエネルギー線を空間変調したビームとして出射するものが挙げられる。
このうち、発生源としては、例えばランプ、レーザー光源、LED等が用いられる。
また、上記以外の空間光変調素子としては、空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)のようなMEMS(Micro Electro Mechanical System)方式の空間光変調素子、PLZT素子のような電気光学効果により透過光を変調する空間光変調素子、液晶光シャッター等が挙げられる。
さらには、発生源として複数の発光点を格子状に配列させたもの、例えば、レーザーダイオード(LD)アレイ、発光ダイオード(LED)アレイ、有機ELアレイ等もこの露光処理に用いることができる。このような発生源を用いた場合には、空間光変調素子を省略することもできる。
なお、マスクレス照射装置は、発生源や空間光変調素子以外に、被処理物を駆動するXYZステージ、各種光学系、発生源や空間光変調素子の動作を制御する制御部等を有していてもよい。
また、凹部170は、積層体10の一部を除去し得る各種の加工方法により形成することができる。かかる加工方法としては、例えば、切削のような機械加工、レーザー加工、電子線加工、インプリント加工等が挙げられる。
≪第2実施形態≫
次に、本発明の光導波路の第2実施形態について説明する。
図5は、本発明の光導波路の第2実施形態を示す平面図である。図6は、図5に示す光導波路のA−A線断面図である。図7は、図5に示す光導波路の部分拡大斜視図である。なお、図5、7では、それぞれ説明の便宜上、クラッド層等の陰に隠れている部分を透視するように図示している。また、各図では、コア部に対してドットを付している。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
第2実施形態に係る光導波路1は、凹部の縦断面形状が異なる以外、第1実施形態に係る光導波路1と同様である。
すなわち、図5に示す凹部170の縦断面形状は、図6に示すように、上底が下底より長い台形をなしている。そして、第1実施形態では、傾斜面171に対向する面が「直立面172」であったのに対し、本実施形態では、「傾斜面172’」になっている点で相違している。ただし、傾斜面171については第1実施形態と相違ない。
このような傾斜面172’を備える凹部170は、開口部のX軸方向における長さが第1実施形態よりも長くなっている。すなわち、傾斜面171のX軸方向における長さには変化がないものの、傾斜面172’が設けられた分だけ、凹部170がX軸方向において占める範囲が長くなっている。このため、例えば傾斜面171bに対応して設けられるコア部14aの狭幅部142aがX軸方向において占める範囲も、その分だけ、長くなっている。
このように凹部170の開口部が長くなっても、第1実施形態と同様、X軸方向の位置において傾斜面171bと狭幅部142aとが対応している。このため、コア部14aとコア部14bとのピッチを狭くした場合でも、傾斜面171bとコア部14aとの干渉を防止することができる。すなわち、コア層13に形成されるコア部14の形成密度を高めた場合でも、傾斜面171bとコア部14aとの干渉を避けながら、傾斜面171bの十分な面積を確保することが可能になる。したがって、コア部14の高密度化と、外部の光学部品との高い光結合効率と、を両立させることができる。
また、コア層13の下面を基準面としたとき、基準面と傾斜面172’とがなす角度は、30〜60°程度であるのが好ましく、40〜50°程度であるのがより好ましい。これにより、凹部170近傍に応力が発生し難くなり、応力集中に伴う傾斜面171の反射損失の増大を抑制することができる。なお、基準面と傾斜面172’とがなす角度とは、基準面と傾斜面172’とで形成される内角の角度のうち、凹部170側とは反対側にできる内角の角度のことをいう。
このような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
≪第3実施形態≫
次に、本発明の光導波路の第3実施形態について説明する。
図8、9は、それぞれ本発明の光導波路の第3実施形態を示す断面図である。なお、図8、9では、コア部に対してドットを付している。
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では、第1、2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
第3実施形態に係る光導波路1は、コア部に対する凹部の形成位置が異なる以外、第1、2実施形態に係る光導波路1と同様である。
すなわち、図8に示す凹部170は、コア部14の右端から離れた位置に形成されている。このため、第1、2実施形態では、凹部170の傾斜面171にコア部14が露出しているのに対し、本実施形態では、コア部14の右端を囲むように形成されている側面クラッド部15が露出している点で相違する。
このような図8に示す光導波路1においても、第1、2実施形態に係る光導波路1と同様の作用、効果が得られる。
加えて、第1、2実施形態では、傾斜面171にコア部14と側面クラッド部15の双方が露出するのに対し、本実施形態では側面クラッド部15のみが露出する。したがって、各種加工方法によって凹部170を形成する際には、滑らかな傾斜面171を形成し易くなる。このため、傾斜面171の反射損失をより小さく抑えることが可能になる。
一方、図9に示す凹部170は、コア部14の途中に形成されている。すなわち、第1〜3実施形態では、コア部14の長手方向の延長線上に傾斜面171が形成されているのに対し、本実施形態では、コア部14の長手方向の途中に傾斜面171が形成されている点で相違する。
このような図9に示す光導波路1においても、第1、2実施形態に係る光導波路1と同様の作用、効果が得られる。
≪第4実施形態≫
次に、本発明の光導波路の第4実施形態について説明する。
図10は、本発明の光導波路の第4実施形態を示す平面図である。なお、図10では、コア部に対してドットを付している。
以下、第4実施形態について説明するが、以下の説明では、第1〜3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
第4実施形態に係る光導波路1は、コア部14の平面視形状が異なる以外、第1〜3実施形態に係る光導波路1と同様である。
すなわち、第1実施形態に係る光導波路1では、コア部14の平面視形状が、その幅の中心を通りX軸に対して平行な軸線に対して線対称の関係を有する形状であるのに対し、本実施形態に係る光導波路1では、コア部14の平面視形状が、前記軸線に対して線対称ではない点で相違している。
具体的には、本実施形態では、コア部14のうち、隣り合うコア部14の傾斜面171と干渉するおそれがない部分では、幅を変化させないようにコア部14の形状が設定されている。したがって、隣り合うコア部14の傾斜面171が干渉するおそれがないコア部14については、狭幅部が形成されていない。コア部14のうち、+Y側には傾斜面171が近接している一方、−Y側には傾斜面171が近接していない場合には、そのコア部14の+Y側の外縁形状を変化させる一方、−Y側の外縁形状は変化させないことで、結果的に狭幅部を形成している。このようなパターンでコア部14の平面視形状が設定されているため、本実施形態に係る光導波路1では、コア部14の平面視形状が、前記軸線に対して線対称ではない部分を含んでいる。
しかしながら、このような本実施形態に係る光導波路1においても、第1〜3実施形態に係る光導波路1と同様の作用、効果が得られる。
≪第5実施形態≫
次に、本発明の光導波路の第5実施形態について説明する。
図11〜13は、それぞれ本発明の光導波路の第5実施形態を示す平面図である。なお、図11〜13では、コア部に対してドットを付している。
以下、第5実施形態について説明するが、以下の説明では、第1〜4実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
第5実施形態に係る光導波路1は、凹部170の近傍に設けられた貫通孔18を有する以外、第1〜4実施形態に係る光導波路1と同様である。
すなわち、図11に示す光導波路1は、平面視において凹部170の長方形をなす開口部の角部と重なるように設けられた貫通孔18を有する。この貫通孔18は、開口の平面視形状が円形をなし、積層体10を厚さ方向に貫通している。このような貫通孔18を設けることにより、凹部170近傍において応力が発生したとき、その応力によって傾斜面171の反射損失が増大するのを抑制することができる。
なお、貫通孔18は、凹部170の長方形をなす開口部が備える4つの角部のうち、少なくとも一部と重なるように設けられていればよい。例えば、図11に示すように、傾斜面171aを含む凹部170の開口部が備える4つの角部には、それぞれ貫通孔18が形成されているものの、傾斜面171bを含む凹部170の開口部が備える4つの角部には、コア部14aとは反対側に位置する2つの角部のみと重なるように貫通孔18が形成されており、残る2つの角部には貫通孔18が形成されていない。このような場合であっても、上述したような効果を奏する。
また、貫通孔18の平面視形状は、図11に示す真円に限定されないが、好ましくは楕円、長円のような丸みを帯びた形状であるのが好ましい。
なお、凹部170の開口部と貫通孔18との位置関係や貫通孔18の形状は、図11に示すものに限定されない。
例えば、図12(a)に示す光導波路1は、平面視において凹部170の長方形をなす開口部の近傍であって、開口部の対角線の延長線上に設けられた貫通孔18を有する。貫通孔18と凹部170とは離間している。また、図12(a)に示す貫通孔18は、図11に示す貫通孔18と同様、開口の平面視形状が真円をなしている。
一方、図12(b)に示す光導波路1も、平面視において凹部170の長方形をなす開口部の近傍であって、開口部の対角線の延長線上に設けられた貫通孔18を有する。貫通孔18と凹部170とは離間している。また、図12(b)に示す貫通孔18は、開口の平面視形状が楕円形をなしており、その長軸と前記対角線の延長線とがほぼ直交するように配置されている。
さらに、図12(c)に示す光導波路1も、平面視において凹部170の長方形をなす開口部の近傍であって、開口部の対角線の延長線上に設けられた貫通孔18を有する。貫通孔18と凹部170とは離間している。また、図12(c)に示す貫通孔18は、開口の平面視形状が線状をなしており、その線分と前記対角線の延長線とがほぼ直交するように配置されている。
また、図13に示す光導波路1は、平面視において凹部170の長方形をなす開口部の長辺と、光導波路1の外縁と、を結ぶように設けられた貫通孔18を有する。図13に示す貫通孔18は、開口の平面視形状が線状をなしており、その線分と前記長辺とがほぼ直交するように配置されている。
このような図12、13に示す光導波路1においても、上述したように、凹部170近傍において応力が発生したとき、その応力によって傾斜面171の反射損失が増大するのを抑制することができる。
その他、本実施形態に係る光導波路1においても、第1〜4実施形態に係る光導波路1と同様の作用、効果が得られる。
≪第6実施形態≫
次に、本発明の光導波路の第6実施形態について説明する。
図14は、本発明の光導波路の第6実施形態を示す平面図である。なお、図14では、コア部に対してドットを付している。
以下、第6実施形態について説明するが、以下の説明では、第1〜5実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
第6実施形態に係る光導波路1は、前述したモノマーディフュージョンを生じる材料により形成されており、かつ、凹部170の近傍に設けられたモノマー高濃度部19を有する以外、第1〜5実施形態に係る光導波路1と同様である。
すなわち、図14に示す光導波路1は、前述したように、屈折率変調能を有する組成物としてモノマーディフュージョンを生じる材料を用い、かかる材料からなる部材にエネルギー線を照射することによってコア部14および側面クラッド部15を形成してなるものである。かかる部材は、互いに屈折率が異なるポリマーとモノマーとを含んでおり、例えば側面クラッド部15を形成すべき領域にエネルギー線を照射することで、その領域に存在するモノマーを重合させるとともに、非照射領域からのモノマーの移動を誘起することによって、モノマーの濃度差を形成し、もって屈折率差を形成することが可能である。したがって、エネルギー線の照射量に応じて、モノマーの濃度に差をつけることができる。
本実施形態に係る光導波路1は、平面視において凹部170の長方形をなす開口部の近傍であって、開口部の対角線の延長線上に設けられたモノマー高濃度部19を有する。モノマー高濃度部19は、モノマーの濃度がその周囲の側面クラッド部15よりも高くなっている。これにより、モノマー高濃度部19の局所的な弾性率は、その周囲の側面クラッド部15の弾性率よりも大きくなっている。その結果、凹部170近傍において応力が発生したとき、その応力によって傾斜面171の反射損失が増大するのを抑制することができる。
なお、モノマー高濃度部19に高濃度に集積したモノマーは、その後の工程において重合し、モノマー由来のポリマーとなる。したがって、最終的には、モノマー高濃度部19においては、その周囲の側面クラッド部15よりも、濃度差に基づいて移動したモノマー由来のポリマーの濃度が高いことになる。モノマー高濃度部19におけるこの「モノマー由来のポリマー」の濃度は、その周囲の側面クラッド部15よりも10質量%以上高いのが好ましい。これにより、上述した効果がより顕著に発揮される。
また、モノマー高濃度部19の平面視形状としては、特に限定されず、図14に示す楕円の他、真円、長円のような円形、三角形、四角形、五角形、六角形のような多角形、平行四辺形、菱形、その他の異形状等が挙げられる。
その他、本実施形態に係る光導波路1においても、第1〜5実施形態に係る光導波路1と同様の作用、効果が得られる。
<光電気混載基板および光モジュール>
次に、本発明の光電気混載基板の実施形態および本発明の光モジュールの実施形態について説明する。
図15は、本発明の光電気混載基板の実施形態および本発明の光モジュールの実施形態を示す縦断面図である。
図15に示す光電気混載基板100は、光導波路1と、その上方に積層された電気配線基板5と、これらの間に介挿され両者を接着する接着層90と、を有している。以下、光電気混載基板100の各部の構成について順次説明する。
なお、図15に示す光導波路1は、積層体10に加え、積層体10の下方に設けられた支持フィルム2と、積層体10の上方に設けられたカバーフィルム3と、を備えている。これらのフィルムを設けることで、積層体10を外部環境や外力から保護することができ、光導波路1の信頼性をより高めることができる。
支持フィルム2およびカバーフィルム3の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド等の各種樹脂材料が挙げられる。
また、支持フィルム2およびカバーフィルム3の平均厚さは、特に限定されないが、5〜500μm程度であるのが好ましく、10〜400μm程度であるのがより好ましい。これにより、外力や外部環境から積層体10をより確実に保護することができる。
図15に示す電気配線基板5は、コア基板51とその両面に積層されたビルドアップ層52とを備えた多層基板50と、この多層基板50を貫通する貫通孔53と、を有している。
コア基板51の構成材料としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、各種ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂等の各種樹脂材料が挙げられる。この他、紙、ガラス布、樹脂フィルム等を基材とし、この基材に、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、シアネート樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂材料を含浸させたもの、具体的には、ガラス布・エポキシ銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板等のコンポジット銅張積層板に使用される絶縁性基板の他、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板等の耐熱・熱可塑性の有機系リジッド基板や、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板等のセラミックス系リジッド基板等であってもよい。
また、コア基板51には、その両面に積層されたビルドアップ層52同士を電気的に接続する貫通配線が形成されている。
一方、ビルドアップ層52は、絶縁層521と導体層522とを交互に積層することにより形成される。導体層522にはパターニングが施され、電気配線が形成されている。また、絶縁層521には、その両面に設けられた電気配線同士を接続する貫通配線が形成されている。
これらの導体層522および貫通配線は、それぞれ、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、亜鉛、錫、金、銀のような金属単体、またはこれらの金属元素を含む合金等の導電性材料で構成される。
また、絶縁層521は、酸化ケイ素、窒化ケイ素のようなケイ素化合物、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂のような樹脂材料等により構成される。
このようにして、ビルドアップ層52内には、面方向のみでなく厚さ方向にも広がる電気回路を構築することができ、電気回路の高密度化を図ることができる。
なお、このような多層基板50は、いかなる工法で形成されたものであってもよいが、一例としてアディティブ法、セミアディティブ法、サブトラクティブ法等の各種ビルドアップ工法により形成される。
また、本発明の光電気混載基板が備える電気配線基板は、上述した電気配線基板5のような多層基板を含むものに限定されず、例えば多層基板を単層の電気配線基板(リジッド基板)で代替したものであってもよく、ポリイミド基板、ポリエステル基板、アラミドフィルム基板のような各種フレキシブル基板で代替したものであってもよい。また、多層基板50は、コア基板51を含まないコアレスの多層基板で代替することもできる。なお、フレキシブル基板の場合、それ自体が十分な光透過性を有しているので、光スルーホールとして機能する貫通孔53は形成されていなくてもよい。
また、図1に示す電気配線基板5は、多層基板50の上面に設けられたソルダーレジスト層54を有している。なお、ソルダーレジスト層54のうち、導体層522との接続部には開口が形成されている。
ソルダーレジスト層54は、各種樹脂材料で構成され、必要に応じて無機フィラーを含む。ソルダーレジスト層54の平均厚さは、特に限定されないが10〜100μm程度であるのが好ましく、20〜50μm程度であるのがより好ましい。
以上のような光導波路1と電気配線基板5とが接着層90を介して接着されることにより、光電気混載基板100が得られる。
また、この光電気混載基板100に光素子6を搭載することにより、光モジュール(本発明の光モジュール)1000が得られる。図15に示す光素子6は、素子本体60と、素子本体60の下面に設けられた受発光部61および端子62と、端子62から下方に突出するよう設けられたバンプ63と、を有している。なお、受発光部とは、受光部または発光部、あるいはその双方の機能を有するものを指す。
光素子6は、受発光部61の光軸とコア部14の光軸とが傾斜面171を介して一致するよう配置されている。これにより、光導波路1と光素子6とが光学的に接続され、光導波路1を伝搬する光信号を光素子6に受光させたり、光素子6から出射された光信号を光導波路1に入射したりすることができる。
また、バンプ63は、導体層522に接続されている。これにより、光素子6が機械的に固定されるとともに、光素子6の端子62と導体層522とが電気的に接続され、光素子6の動作を電気配線基板5側から制御し得るよう構成されている。
光素子6としては、例えば、面発光レーザー(VCSEL)、発光ダイオード(LED)、有機EL素子等の発光素子、フォトダイオード(PD、APD)等の受光素子が挙げられる。
また、図15に示す光電気混載基板100には、図示しない電気素子が搭載されていてもよい。電気素子としては、例えば、IC、LSI、RAM、ROM、コンデンサー、コイル、抵抗、ダイオード等が挙げられる。
なお、接着層90は、光路上にあるため、透光性を有しているものが好ましい。接着層90の構成材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、ユリア系樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
このような光電気混載基板100および光モジュール1000では、傾斜面171を介して受発光部61とコア部14との光学的に接続する際、光結合効率を高めることができる。また、光導波路1は、コア部14の高密度化が図られ、伝送容量が大きいものであるため、光電気混載基板100および光モジュール1000は、通信容量の大きいものとなる。これにより、光通信におけるS/N比の低下を抑制し、高品質で大容量の光通信を実現することができる。したがって、光電気混載基板100および光モジュール1000は、信頼性の高いものとなる。
<電子機器>
上述したような本発明に係る光導波路は、外部の光学部品に対する光結合効率が高いものとなる。このため、本発明の光導波路を備えることにより、高品質の光通信を行い得る信頼性の高い電子機器(本発明の電子機器)が得られる。
本発明の光導波路を備える電子機器としては、例えば、携帯電話、ゲーム機、ルーター装置、WDM装置、パソコン、テレビ、ホーム・サーバー等の電子機器類が挙げられる。これらの電子機器では、いずれも、例えばLSI等の演算装置とRAM等の記憶装置との間で、大容量のデータを高速に伝送する必要がある。したがって、このような電子機器が本発明の光導波路を備えることにより、電気配線に特有なノイズ、信号劣化等の不具合が解消され、その性能の飛躍的な向上が図られ、また、電子機器の低コスト化に貢献することができる。
さらに、光導波路部分では、電気配線に比べて発熱量が大幅に削減される。このため、冷却に要する電力を削減することができ、電子機器全体の消費電力を削減することができる。
以上、本発明の光導波路、光電気混載基板、光モジュールおよび電子機器について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、前記各実施形態に係る光導波路、光電気混載基板および光モジュールには、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の光導波路の実施形態は、前記各実施形態のうち任意の2つ以上を組み合わせたものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.光導波路の製造
(実施例1)
(1)ノルボルネン系樹脂の合成
水分および酸素濃度がいずれも1ppm以下に制御され、乾燥窒素で満たされたグローブボックス中において、ヘキシルノルボルネン(HxNB)7.2g(40.1mmol)、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン12.9g(40.1mmol)を500mLバイアル瓶に計量し、脱水トルエン60gと酢酸エチル11gを加え、シリコン製のシーラーを被せて上部を密栓した。
次に、100mLバイアルビン中にNi触媒1.56g(3.2mmol)と脱水トルエン10mLを計量し、スターラーチップを入れて密栓し、触媒を十分に撹拌して完全に溶解させた。
このNi触媒溶液1mLをシリンジで正確に計量し、上記2種のノルボルネンを溶解させたバイアル瓶中に定量的に注入し室温で1時間撹拌したところ、著しい粘度上昇が確認された。この時点で栓を抜き、テトラヒドロフラン(THF)60gを加えて撹拌を行い、反応溶液を得た。
100mLビーカーに無水酢酸9.5g、過酸化水素水18g(濃度30%)、イオン交換水30gを加えて撹拌し、その場で過酢酸水溶液を調製した。次にこの水溶液全量を上記反応溶液に加えて12時間撹拌してNiの還元処理を行った。
次に、処理の完了した反応溶液を分液ロートに移し替え、下部の水層を除去した後、イソプロピルアルコールの30%水溶液を100mL加えて激しく撹拌を行った。静置して完全に二層分離が行われた後で水層を除去した。この水洗プロセスを合計で3回繰り返した後、油層を大過剰のアセトン中に滴下して生成したポリマーを再沈殿させ、ろ過によりろ液と分別した後、60℃に設定した真空乾燥機中で12時間加熱乾燥を行うことにより、ポリマー#1を得た。ポリマー#1の分子量分布は、GPC測定により、Mw=10万、Mn=4万であった。また、ポリマー#1中の各構造単位のモル比は、NMRによる同定により、ヘキシルノルボルネン構造単位が50mol%、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン構造単位が50mol%であった。
(2)コア層形成用組成物の製造
精製した上記ポリマー#1 10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(チバガイギー社製)0.01g、シクロヘキシルオキセタンモノマー(東亜合成製 CHOX、CAS#483303−25−9、分子量186、沸点125℃/1.33kPa)2g、重合開始剤(光酸発生剤) RhodorsilPhotoinitiator 2074(Rhodia社製、CAS# 178233−72−2)(0.025g、酢酸エチル0.1mL中)を加え均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、清浄なコア層形成用組成物を得た。
(3)クラッド層形成用組成物の製造
精製した上記ポリマー#1の各構造単位のモル比を、ヘキシルノルボルネン構造単位80mol%、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン構造単位20mol%にそれぞれ変更したものを、前記ポリマー#1に代えて用いるようにした以外はコア層形成用組成物と同様にしてクラッド層形成用組成物を得た。
(4)第1クラッド層の作製
離型層を形成した基材フィルム上に、(3)で製造したクラッド層形成用組成物をドクターブレードにより均一に塗布した後、50℃の乾燥機に10分間投入した。溶媒を完全に除去した後、UV露光機で全面に紫外線を照射し、塗布した組成物を硬化させた。これにより、厚さ10μmの無色透明な第1クラッド層を得た。なお、紫外線の積算光量は500mJ/cm2とした。
(5)コア層の作製
離型層を形成した基材フィルム上に、コア層樹脂組成物をドクターブレードにより均一に塗布した後、50℃の乾燥機に10分間投入した。溶媒を完全に除去して被膜とした後、得られた被膜上に、ライン、スペースの直線パターンが全面に描かれたフォトマスクを圧着した。そして、フォトマスク上から平行露光機により紫外線を照射した。なお、紫外線の積算光量は1300mJ/cm2とした。
次いで、フォトマスクを取り去り、150℃のオーブンに30分間投入した。オーブンから取り出すと、被膜には鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。また、得られたコア部の厚さは50μmとし、コア部の本数は8本とした。また、コア部のピッチPは、表1に示す通りである。
なお、コア部には、広幅部と狭幅部とを形成した。広幅部の幅W1および狭幅部の幅W2は、それぞれ表1に示す通りである。
(6)第2クラッド層の作製
離型層を形成した基材フィルム上に、(4)と同様にしてクラッド層形成用組成物を塗布し、厚さ10μmの無色透明な第2クラッド層を得た。
(7)積層体の製造
次いで、第1クラッド層上にコア層を重ねた。そして、コア層に付いていた基材フィルムを剥離した。
次いで、コア層上に第2クラッド層を重ねた。そして、第2クラッド層に付いていた基材フィルムを剥離した。
その後、第1クラッド層、コア層および第2クラッド層を加圧し、各層を互いに圧着した。これにより、積層体を得た。
(8)凹部の形成
次に、レーザー加工によりコア部の両端部にそれぞれ凹部を形成した。これにより、全長10cmの光導波路を得た。なお、形成した凹部の形状は、図1〜4に示す通りである。また、コア部と、そのコア部に隣り合うコア部の端部に形成された凹部との最短距離Sは、表1に示す通りである。さらに、凹部(傾斜面)の幅は、表1に示す通りである。
(実施例2〜4)
コア層の作製に際し、紫外線を照射するのに用いるフォトマスクを変更し、コア部の形状および凹部の配置を表1に示す通りに変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして光導波路を得た。
(実施例5)
形成した凹部の形状を、図5〜7に示すように変更するとともに、製造条件を表1に示すように変更した以外は、それぞれ実施例2と同様にして光導波路を得た。
(実施例6)
図11に示すような貫通孔をさらに形成するようにした以外は、実施例2と同様にして光導波路を得た。
(実施例7)
図12(a)に示すような貫通孔をさらに形成するようにした以外は、実施例2と同様にして光導波路を得た。
(実施例8)
図12(b)に示すような貫通孔をさらに形成するようにした以外は、実施例2と同様にして光導波路を得た。
(実施例9)
図12(c)に示すような貫通孔をさらに形成するようにした以外は、実施例2と同様にして光導波路を得た。
(実施例10)
図13に示すような貫通孔をさらに形成するようにした以外は、実施例2と同様にして光導波路を得た。
(実施例11)
図14に示すようなモノマー高濃度部をさらに形成するようにした以外は、実施例2と同様にして光導波路を得た。
(実施例12)
(1)クラッド層形成用樹脂組成物の製造
ダイセル化学工業(株)製の脂環式エポキシ樹脂、セロキサイド2081 20g、(株)ADEKA製のカチオン重合開始剤、アデカオプトマーSP−170 0.6g、およびメチルイソブチルケトン80gを撹拌混合して溶液を調製した。
次いで、得られた溶液を0.2μm孔径のPTFEフィルターでろ過して清浄で無色透明なクラッド層形成用樹脂組成物を得た。
(2)感光性樹脂組成物の製造
エポキシ系ポリマーとして新日鐵化学(株)製のフェノキシ樹脂、YP−50S 20g、光重合性モノマーとしてダイセル化学工業(株)製のセロキサイド2021P 5g、および重合開始剤として(株)ADEKA製のアデカオプトマーSP−170 0.2gを、メチルイソブチルケトン80g中に投入し、撹拌溶解して溶液を調製した。
次いで、得られた溶液を0.2μm孔径のPTFEフィルターでろ過して清浄で無色透明な感光性樹脂組成物を得た。
(3)下側クラッド層の作製
クラッド層形成用樹脂組成物をドクターブレードにより厚さ25μmのポリイミドフィルム上に均一に塗布した後、50℃の乾燥機に10分間投入した。溶媒を完全に除去した後、UV露光機で全面に紫外線を照射し、塗布した樹脂組成物を硬化させた。これにより、厚さ10μmの無色透明な下側クラッド層を得た。なお、紫外線の積算光量は500mJ/cm2とした。
(4)コア層の作製
作製した下側クラッド層上に感光性樹脂組成物をドクターブレードにより均一に塗布した後、40℃の乾燥機に5分間投入した。溶媒を完全に除去して被膜とした後、得られた被膜上に、ライン、スペースの直線パターンを描くように、マスクレス露光装置により紫外線を照射した。なお、紫外線の積算光量は1000mJ/cm2とした。
次いで、露光後の被膜を150℃のオーブンに30分間投入した。オーブンから取り出すと、被膜には鮮明な複数の導波路パターンが現れているのが確認された。また、得られたコア部の厚さは50μmとし、コア部の本数は8本とした。また、コア部のピッチPは、表2に示す通りである。
なお、コア部には、広幅部と狭幅部とを形成した。広幅部の幅W1および狭幅部の幅W2は、それぞれ表2に示す通りである。
(5)上側クラッド層の作製
作製したコア層上に、(3)と同様にしてクラッド層形成用樹脂組成物を塗布し、厚さ10μmの無色透明な上側クラッド層を得た。
(6)凹部の形成
次に、レーザー加工によりコア部の両端部にそれぞれ凹部を形成した。これにより、全長10cmの光導波路を得た。なお、形成した凹部の形状は、図1〜4に示す通りである。また、コア部とそのコア部に隣り合うコア部の端部に形成された凹部との最短距離Sは、表2に示す通りである。さらに、凹部(傾斜面)の幅は、表2に示す通りである。
(実施例13)
形成した凹部の形状を、図5〜7に示すように変更するとともに、製造条件を表2に示すように変更した以外は、実施例12と同様にして光導波路を得た。
(比較例1)
コア部に狭幅部を形成しないようにするとともに、それに応じて、コア部と凹部(傾斜面)とが干渉しないように凹部の幅を狭くした以外は、実施例12と同様にして光導波路を得た。
(比較例2)
コア部に狭幅部を形成しないようにするとともに、それに応じて、コア部と凹部(傾斜面)とが干渉しないように凹部の幅を狭くした以外は、実施例13と同様にして光導波路を得た。
2.光導波路の評価
2.1 挿入損失およびミラー損失の評価
各実施例および各比較例で得られた光導波路について、社団法人 日本電子回路工業会が規定した「高分子光導波路の試験方法(JPCA−PE02−05−01S−2008)」の4.6.1挿入損失の測定方法に準拠して傾斜面(ミラー)を介した光路の挿入損失を測定した。
次いで、各実施例および各比較例で得られた光導波路について、上記試験方法の4.6.2単位長さあたりの光伝搬損失の測定方法に準拠して光伝搬損失(伝送損失)を測定した。
その結果、各実施例および各比較例で得られた光導波路のいずれにおいても、光伝搬損失はほぼ同等であることが認められた。
光導波路の挿入損失は、光伝搬損失とミラー損失との和であると考えられることから、各実施例および各比較例で得られた光導波路についてミラー損失を求めた。そして、求めたミラー損失は、以下の評価基準にしたがって評価した。
<ミラー損失の評価基準>
A:ミラー損失が非常に小さい(0.2dB未満)
B:ミラー損失が小さい(0.2dB以上0.5dB未満)
C:ミラー損失がやや小さい(0.5dB以上1.0dB未満)
D:ミラー損失がやや大きい(1.0dB以上1.5dB未満)
E:ミラー損失が大きい(1.5dB以上2dB未満)
F:ミラー損失が非常に大きい(2dB以上)
以上の評価結果を表1、2に示す。
2.2 温度に対する耐久性の評価
各実施例および各比較例で得られた光導波路を温度サイクル試験に供した。なお、温度サイクル試験の試験条件は以下に示す通りである。
<温度サイクル試験の試験条件>
・温度 :−40〜125℃
・サイクル数 :500サイクル(高温、低温各30分間)
・評価特性 :挿入損失
次いで、試験前と試験後とで挿入損失を比較した。そして、試験後の挿入損失の増分を以下の評価基準にしたがって評価した。なお、試験後の被検体について、単位長さあたりの光伝搬損失を測定したところ、試験前とほとんど変化が認められなかったことから、挿入損失の増分のほとんどはミラー損失の増加によるものと考えられる。
<温度サイクル試験による挿入損失の増分の評価基準>
A:増分が非常に小さい(0.2dB未満)
B:増分が小さい(0.2dB以上0.5dB未満)
C:増分がやや小さい(0.5dB以上1.0dB未満)
D:増分がやや大きい(1.0dB以上1.5dB未満)
E:増分が大きい(1.5dB以上2dB未満)
F:増分が非常に大きい(2dB以上)
以上の評価結果を表1、2に示す。
表1、2から明らかなように、各実施例で得られた光導波路は、コア部のピッチPを十分に小さく(例えば100μm以下に)しても、ミラー損失が比較的小さく、また、温度サイクル試験のような過酷な環境下に曝された後でもミラー損失の増加量が比較的小さいことが認められた。
一方、比較例1、2で得られた光導波路は、相対的にミラー損失が大きいことが認められた。これは、コア部との干渉を考慮して実施例2よりも凹部(傾斜面)の幅を狭めざるを得なかったため、光の反射に有効な面積が実施例2に比べて相対的に小さいことが起因しているものと考えられる。また、有効面積が小さいことで、温度サイクル試験に対する耐久性もやや低下したものと推察される。