JP6362311B2 - 積層構造体中の細胞の画像解析方法、及び角膜移植用積層構造体の評価方法 - Google Patents

積層構造体中の細胞の画像解析方法、及び角膜移植用積層構造体の評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、層状構造を形成している細胞集団を含む積層構造体を、立体的構造のままイメージング(画像)により解析する方法、及び当該方法を利用して、角膜移植に用いられる積層構造体を評価する方法に関する。
近年、損傷を受けた生体組織や器官の再生を目的として、幹細胞を用いた再生医療が注目されている。患者から採取された幹細胞を培養して組織様の立体構造を形成させた構造体を移植する治療法は、臓器移植とは異なり、拒絶反応がなく、かつドナー不足の問題もない点で優れている。実際に、角膜再生のために、患者の角膜上皮幹細胞や口腔粘膜幹細胞等の上皮系幹細胞を培養して形成された積層構造体を角膜に移植する治療が実用化されている。
幹細胞は、一般的に、幹細胞からなる層の上方に分化した細胞からなる層が形成されている積層構造体、又は、幹細胞からなる層のみが形成されている単層構造体を複数枚重ね合わせた積層構造体として移植される。生体組織に移植された積層構造体中の各細胞が、生着した後に増殖・分化する結果、当該生体組織が再生される。損傷を受けた生体組織が移植用積層構造体の移植によって充分に再生するかどうかは、当該移植用積層構造体の質に左右される。このため、移植用積層構造体の品質評価が重要である。
角膜移植用積層構造体の品質評価について、例えば非特許文献1では、まず、角膜移植用積層構造体を半分に分け、一方はばらばらに個々の細胞にして、フローサイトメトリを用いて、総細胞数、生細胞数、サイトケラチン陽性細胞数(すなわち、上皮系細胞数)を定量的に測定し、他方からは凍結切片(厚みが10μmくらい)を作成し、各切片をそれぞれ、HE染色や、p63、AE5、ZO−1、及びMUC16に対する免疫染色を行い、細胞の状態を調べ、これらの結果を総合して、品質を評価している。
しかしながら、非特許文献1に記載の評価方法では、凍結切片を解析しているため、角膜移植用積層構造体のかなり狭い一部しか評価できず、また、マルチディメンショナル的な解析が不可能である。つまり、角膜移植用積層構造体中のそれぞれの細胞の位置関係を解析することはできない。また、角膜移植用積層構造体をばらばらにする時間と手間を要する。加えて、凍結切片の作製には作業員の熟練度を要し、サンプル間に差が生じる場合が多い。
ハヤシ、他7名、ティッシュー・エンジニアリング:パートC(Tissue Engineering :PartC)、2009年、第16巻、第4号、第553〜560ページ。
本発明は、層状構造を形成している細胞集団を含む積層構造体を、当該積層構造体中の細胞の位置関係の情報を保持したまま、より簡便に画像解析する方法、及び当該方法を利用して、角膜移植に用いられる積層構造体を評価する方法を提供することを目的とする。
本発明は、
(1) (a)少なくとも1層が細胞層である積層構造体中の細胞核及びその他の1種以上の生体分子を、それぞれ蛍光標識する工程と、
(b)前記工程(a)の後、前記積層構造体に対して、高さ方向の異なる複数枚の平面断層蛍光標識画像を、蛍光標識された生体分子の種類ごとにそれぞれ取得する工程と、
(c)前記工程(b)により取得された平面断層蛍光染色画像群を重ね合わせることにより、立体断層画像を構築する工程と、
(d)前記工程(c)により構築された立体断層画像から、1又は2以上の細胞領域を分割する工程と、
(e)前記工程(d)の後、分割された細胞領域ごとに、当該領域に含まれる全ての平面断層蛍光染色画像を合算することにより、1の平面スタック画像を作製する工程と、
(f)前記工程(e)により作製された前記1の平面スタック画像に対して画像解析を行い、当該積層構造体中の細胞を解析する工程と、
を有し、
前記工程(d)において分割される細胞領域は、立体断層画像中の、1層又は2層以上の細胞層を含み、かつ底面に平行な領域であることを特徴とする、積層構造体中の細胞の画像解析方法、
(2) 前記工程(d)において、決定される細胞領域のうち、特定の種類の細胞を含む1の細胞層からなり、底面に平行な細胞領域を、細胞核が存在していない底面に平行な断面に対して細胞核標識画像内の前記特定の種類の細胞の総輝度値が所定量増大する断面に基づいて決定することを特徴とする前記(1)の積層構造中の細胞の画像解析方法。
(3) 前記工程(d)において、決定される細胞領域のうち、特定の種類の細胞を含む1の細胞層からなる細胞領域を、
(i−1)前記特定の種類の細胞の細胞核が存在していない断面を特定する無細胞断面として特定する工程と、
(ii−1)細胞核標識画像の1画像あたりの前記特定の種類の細胞の総輝度値が、当該無細胞断面よりも所定量増大している断面を細胞底面基準断面として特定する工程と、
(iii−1)前記細胞底面基準断面に対して所定の高さ範囲を、前記特定の種類の細胞を含む細胞層からなる細胞領域として決定する工程と、
により決定することを特徴とする前記(1)の積層構造中の細胞の画像解析方法。
) 前記工程(d)において、決定される細胞領域のうち、特定の種類の細胞を含む1の細胞層からなる細胞領域を、
(i)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、前記特定の種類の細胞の細胞核が存在していない断面であって、前記積層構造体の底面からの高さが最も低い断面を、無細胞断面として特定する工程と、
(ii)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、前記無細胞断面よりも上側に存在し、かつ前記細胞核標識画像の1画像当たりの前記特定の種類の細胞の総輝度値が、当該無細胞断面よりも10〜50%増大している断面であって、当該無細胞断面に最も近い断面を、細胞底面基準断面として特定する工程と、
(iii)前記細胞底面基準断面よりも前記積層構造体の高さ方向で5〜10μm下の断面から、前記積層構造体の高さ方向で15〜25μm上の断面までの領域を、前記特定の種類の細胞を含む細胞層からなる細胞領域として決定する工程と、
により決定することを特徴とする前記(1)の積層構造体中の細胞の画像解析方法、
(5) 前記工程(d)において、決定される細胞領域のうち、特定の種類の細胞を含む1の細胞層からなる細胞領域を、
(i)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、前記特定の種類の細胞の細胞核が存在していない断面であって、前記積層構造体の底面からの高さが最も低い断面を、無細胞断面として特定する工程と、
(ii)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、前記無細胞断面よりも上側に存在し、細胞核標識画像の1画像当たりの前記特定の種類の細胞の総輝度値が、当該無細胞断面よりも10〜50%増大している断面であって、当該無細胞断面に最も近い断面を、細胞底面基準断面として特定する工程と、
(iii−2)前記細胞底面基準断面に最も近い断面であって、当該細胞底面基準断面よりも上側の細胞核が存在しない断面から、当該細胞核底面基準断面よりも下側の細胞核が存在しない断面までの領域を、前記特定の種類の細胞を含む細胞層からなる細胞領域として決定する工程と
により決定することを特徴とする前記(1)の積層構造体中の細胞の画像解析方法。
) 前記特定の種類の細胞が幹細胞であることを特徴とする前記(2)〜(5)のいずれかの積層構造体中の細胞の画像解析方法、
(7) 前記細胞領域が、細胞核領域であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかの積層構造体中の細胞の画像解析方法、
(8) (a)少なくとも1層が細胞層である積層構造体中の細胞核及びその他の1種以上の生体分子を、それぞれ蛍光標識する工程と、
(b)前記工程(a)の後、前記積層構造体に対して、高さ方向の異なる複数枚の平面断層蛍光標識画像を、蛍光標識された生体分子の種類ごとにそれぞれ取得する工程と、
(c)前記工程(b)により取得された平面断層蛍光染色画像群を重ね合わせることにより、立体断層画像を構築する工程と、
(d)前記工程(c)により構築された立体断層画像から、1又は2以上の細胞領域を分割する工程と、
(e)前記工程(d)の後、分割された細胞領域ごとに、1の平面スタック画像を作製する工程と、
(f)前記工程(e)により作製された各平面スタック画像に対して画像解析を行い、当該積層構造体中の細胞を解析する工程と、
を有し、
前記工程(d)において分割される細胞領域は、立体断層画像中の、1層又は2層以上の細胞層を含み、かつ底面に平行な領域であり、
前記積層構造体が、角膜上皮幹細胞又は口腔粘膜幹細胞を培養して形成されたことを特徴とする、積層構造体中の細胞の画像解析方法。
(9) 前記積層構造体は、角膜上皮幹細胞又は口腔粘膜幹細胞が分化した細胞を含むことを特徴とする、前記(8)の積層構造体中の細胞の画像解析方法。
10) 前記積層構造体が、第一の種類の細胞を含む第一の細胞層を有し、前記第一の細胞層の上方に、前記第一の種類とは異なる第二の種類の細胞を含む第二の細胞層を有することを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかの積層構造体中の細胞の画像解析方法、
11) 前記工程(a)において、細胞核に加えて、前記第一の種類の細胞において前記第二の種類の細胞よりも多く発現している生体分子及び前記第二の種類の細胞において前記第一の種類の細胞よりも多く発現している生体分子からなる群より選択される1種以上の生体分子を蛍光標識することを特徴とする前記(10)の積層構造体中の細胞の画像解析方法、
12) 前記第一の種類の細胞が幹細胞であり、前記第二の種類の細胞が、前記幹細胞が分化した細胞であることを特徴とする前記(10)又は(11)の積層構造体中の細胞の画像解析方法、
13) 前記工程(d)において、前記第一の細胞層からなる細胞領域と、前記第二の細胞層からなる細胞領域とを分割することを特徴とする前記(10)〜(12)のいずれかの積層構造体中の細胞の画像解析方法、
14) 前記工程(f)における画像解析が、各平面スタック画像の画素当たりの平均輝度値、全画素の輝度値の総和、1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積、及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素からなる領域の形状からなる群より選択される1以上の解析であることを特徴とする前記(1)〜(13)のいずれかの積層構造体中の細胞の画像解析方法、
15前記工程(f)における画像解析が、各平面スタック画像中の細胞核の大きさに基づいて、当該平面スタック画像中の細胞が、幹細胞か、幹細胞が分化した細胞なのかの解析を行うことを特徴とする前記(1)〜(14)のいずれかの積層構造体中の細胞の画像解析方法、
16) 上皮系幹細胞を培養して形成され、かつ角膜移植に用いられる積層構造体に対して、
(a’)前記積層構造体中の細胞核と、上皮系幹細胞に特異的な生体分子、分化後の上皮系細胞又はその周辺組織に特異的な生体分子、並びに上皮系幹細胞及び分化後の上皮系細胞の両方に存在する生体分子からなる群より選択される1種以上の生体分子とを、それぞれ蛍光標識する工程と、
(b’)前記工程(a’)の後、前記積層構造体に対して、高さ方向の異なる複数枚の平面断層蛍光標識画像を、蛍光標識された生体分子の種類ごとにそれぞれ取得する工程と、
(c’)前記工程(b’)により取得された平面断層蛍光染色画像群を重ね合わせることにより、立体断層画像を構築する工程と、
(d’)前記工程(c’)により構築された立体断層画像から、上皮系幹細胞を含む細胞層からなる下部細胞領域と、前記下部細胞領域の上方に隣接する上部細胞領域とを分割する工程と、
(e’)前記工程(d’)の後、分割された領域ごとに、1の平面スタック画像を作製する工程と、
(f’)前記工程(e’)により作製された各平面スタック画像に対して画像解析を行い、得られた解析結果に基づき、前記積層構造体を評価する工程と、
を有し、
前記工程(d’)において分割される細胞領域は、立体断層画像中の、1層又は2層の細胞層を含み、かつ底面に平行な領域であることを特徴とする、角膜移植用積層構造体の評価方法、
17) 前記工程(d’)において、前記下部細胞領域を、
(i’)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、細胞核が存在していない断面であって、前記積層構造体の底面からの高さが最も低い断面を、無細胞断面として特定する工程と、
(ii’)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、前記無細胞断面よりも上側に存在し、かつ前記細胞核標識画像の1画像当たりの総輝度値が、当該無細胞断面よりも10〜50%増大している断面であって、当該無細胞断面に最も近い断面を、幹細胞底面基準断面として特定する工程と、
(iii’)前記幹細胞底面基準断面よりも前記積層構造体の高さ方向で5〜10μm下の断面から、前記積層構造体の高さ方向で15〜25μm上の断面までの領域を、前記下部細胞領域として決定する工程と、
により決定することを特徴とする前記(16)の角膜移植用積層構造体の評価方法
18) 前記工程(d’)において、前記上部細胞領域と前記下部細胞領域とを、
(i”−1)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、細胞核が存在していない断面であって、前記積層構造体の底面からの高さが最も低い断面を、下側の無細胞断面として特定する工程と、
(i”−2)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、細胞核が存在していない断面であって、前記積層構造体の底面からの高さが最も高い断面を、上側の無細胞断面として特定する工程と、
(iii”)前記下側の無細胞断面と前記上側の無細胞断面の両方から等距離にある断面を境界面とし、前記下側の無細胞断面から前記境界面までの領域を下部細胞領域として決定し、前記境界面から前記上側の無細胞断面までの領域を上部細胞領域として決定する工程と、
により決定することを特徴とする前記(16)の角膜移植用積層構造体の評価方法、
19) 前記工程(a’)において、細胞核と、サイトケラチン、ムチン、上皮細胞のタイトジャンクションを構成する生体分子、及びp63からなる群より選択される1種以上の生体分子とを蛍光標識することを特徴とする前記(16)〜(18)のいずれかの角膜移植用積層構造体の評価方法、
20) 前記工程(a’)において、細胞核と、AE5、MUC16、ZO−1、panCK、及びp63からなる群より選択される1種以上の生体分子とを蛍光標識することを特徴とする前記(16)〜(18)のいずれかの角膜移植用積層構造体の評価方法、
21) 前記工程(a’)において、少なくとも細胞核及びAE5を蛍光標識し、
前記工程(f’)において、上部細胞領域から作製された平面スタック画像のAE5の蛍光標識画像における画素当たりの平均輝度値、全画素の輝度値の総和、及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積が、下部細胞領域から作製された平面スタック画像のAE5の蛍光標識画像よりも大きい場合に、前記積層構造体が角膜移植用として適していると評価することを特徴とする前記(16)〜(18)のいずれかの角膜移植用積層構造体の評価方法、
22) 前記工程(a’)において、少なくとも細胞核及びMUC16を蛍光標識し、
前記工程(f’)において、上部細胞領域から作製された平面スタック画像のMUC16の蛍光標識画像における画素当たりの平均輝度値、全画素の輝度値の総和、及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積が、下部細胞領域から作製された平面スタック画像のMUC16の蛍光標識画像よりも大きい場合に、前記積層構造体が角膜移植用として適していると評価することを特徴とする前記(16)〜(18)のいずれかの角膜移植用積層構造体の評価方法、
23) 前記工程(a’)において、少なくとも細胞核及びZO−1を蛍光標識し、
前記工程(f’)において、上部細胞領域から作製された平面スタック画像のZO−1の蛍光標識画像における画素当たりの平均輝度値、全画素の輝度値の総和、及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積が、下部細胞領域から作製された平面スタック画像のZO−1の蛍光標識画像よりも大きく、かつ上部細胞領域から作製された平面スタック画像のZO−1の蛍光標識画像における1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素からなる領域が網目構造の形状である場合に、前記積層構造体が角膜移植用として適していると評価することを特徴とする前記(16)〜(18)のいずれかの角膜移植用積層構造体の評価方法、
24) 前記工程(a’)において、少なくとも細胞核及びp63を蛍光標識し、
前記工程(f’)において、
工程(e’)により作製された各平面スタック画像について、細胞核の標識画像に基づき、細胞核領域を決定し、
上部細胞領域から作製された平面スタック画像のp63の標識画像中の各細胞核領域における画素当たりの平均輝度値が、下部細胞領域から作製された平面スタック画像のp63の蛍光標識画像よりも大きい場合に、前記積層構造体が角膜移植用として適していると評価することを特徴とする前記(16)〜(18)のいずれかの角膜移植用積層構造体の評価方法、
25) 前記工程(f’)において、
工程(e’)により作製された各平面スタック画像について、細胞核の標識画像に基づき、細胞核領域を決定し、
上部細胞領域から作製された平面スタック画像中に存在する全細胞核領域に対する、面積が閾値以上の大きさである細胞核領域の割合が、下部細胞領域から作製された平面スタック画像よりも多い場合に、前記積層構造体が角膜移植用として適していると評価することを特徴とする前記(16)〜(18)のいずれかの角膜移植用積層構造体の評価方法、
26) 前記工程(f’)において、
工程(e’)により作製された各平面スタック画像について、細胞核の標識画像に基づき、細胞核領域を決定し、
上部細胞領域から作製された平面スタック画像中に存在する細胞核領域の面積の平均値が、下部細胞領域から作製された平面スタック画像中に存在する細胞核領域の面積の平均値よりも3倍以上大きい場合に、前記積層構造体が角膜移植用として適していると評価することを特徴とする前記(16)〜(18)のいずれかの角膜移植用積層構造体の評価方法、
27) 前記工程(a’)において、さらにpanCKを蛍光標識し、
前記工程(f’)において、
工程(e’)により作製された各平面スタック画像について、細胞核の標識画像に基づき、細胞核領域を決定し、
さらに各細胞核領域の外周部分を内周とするドーナツ型の領域であって、ドーナツ型の幅が等間隔である領域を、細胞質領域として決定し、
上部細胞領域から作製された平面スタック画像のpanCKの標識画像中の各細胞質領域における画素当たりの平均輝度値が、下部細胞領域から作製された平面スタック画像のpanCKの蛍光標識画像と同程度である場合に、前記積層構造体が角膜移植用として適していると評価することを特徴とする前記(19)〜(26)のいずれかの角膜移植用積層構造体の評価方法、
を提供する。
本発明の積層構造体中の細胞の画像解析方法により、細胞をばらばらにすることなく、細胞が積層した状態について効率よく解析し得る。
このため、当該画像解析方法を利用した本発明の角膜移植用積層構造体の評価方法により、角膜移植用積層構造体を、当該構造体中の上皮系幹細胞と分化した細胞との位置関係を含めて効率よく評価することができる。
さらに、本発明の積層構造体中の細胞の画像解析方法は、同時多染色を行い、積層構造体の広域(広範囲)を一度に観察し解析することができるため、解析時間をより短縮することもできる。
下方に幹細胞層を有し、幹細胞層の上方に分化した細胞の細胞層を有する積層構造体を、幹細胞層からなる下部細胞領域と、分化した細胞の細胞層からなる上部細胞領域との2つの細胞領域に分割する態様を模式的に表した図である。 画像解析における細胞核領域の具体的な決定方法を模式的に示した図である。 上皮系幹細胞を培養して形成された角膜移植用積層構造体から取得された平面断層蛍光標識画像(細胞核標識画像)について、底面からの高さ(Z軸)(step;横軸)ごとに、画像全体に対して細胞核面積が占める割合(AREA%;縦軸)を測定した結果の一態様を示した図である。 画像解析における細胞質領域の具体的な決定方法を模式的に示した図である。 実施例1において構築された立体断層画像である。 実施例1において、上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像のAE5標識画像である。 実施例2において構築された立体断層画像である。 実施例2において、上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像のMUC16標識画像である。 実施例3において構築された立体断層画像である。 実施例3において、上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像のZO−1標識画像(左)及びストリング検出後の画像(右)である。 実施例3において、上部平面スタック画像のZO−1標識画像(左)及びストーン検出後の画像(右)である。 実施例3において、上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像について、ZO−1標識画像の1画像当たりの総輝度値を横軸とし、1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積を縦軸として示した図である。 実施例4において構築された立体断層画像である。 実施例4において、panCK標識画像の、立体断層画像の底面に垂直な断面図である。 実施例4において、各平面スタック画像のpanCK標識画像中の細胞質領域における画素当たりの平均輝度値を横軸とし、細胞数(Counts)を縦軸として示した図である。 実施例5において、panCK標識画像の、立体断層画像及びその底面に垂直な断面図である。 実施例5において、各平面スタック画像のpanCK標識画像中の細胞質領域における画素当たりの平均輝度値を横軸とし、細胞数(Counts)を縦軸として示した図である。 実施例6において構築された立体断層画像である。 実施例6において、p63標識画像の、立体断層画像の底面に垂直な断面図である。 実施例6において、上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像のp63標識画像の1画素当たりの平均輝度値を横軸とし、細胞数(Counts)を縦軸として示した図である。 実施例6において、上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像について、p63標識画像の1細胞核当たりの平均輝度値を横軸とし、1細胞核中に存在する1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積を縦軸として示した図である。 実施例7において、各平面スタック画像の細胞核標識画像である。 実施例7において、各平面スタック画像の細胞核画像中の1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積(細胞核の面積)を横軸とし、細胞数(Counts)を縦軸として示した図である。
<積層構造体中の細胞の画像解析方法>
本発明の積層構造体中の細胞の画像解析方法(以下、本発明の画像解析方法、ということがある。)は、下記(a)〜(f)の工程を有し、下記工程(d)において分割される細胞領域は、立体断層画像中の、1層又は2層以上の細胞層を含み、かつ底面に平行な領域であることを特徴とする。
(a)少なくとも1層が細胞層である積層構造体中の細胞核及びその他の1種以上の生体分子を、それぞれ蛍光標識する工程と、
(b)前記工程(a)の後、前記積層構造体に対して、高さ方向の異なる複数枚の平面断層蛍光標識画像を、蛍光標識された生体分子の種類ごとにそれぞれ取得する工程と、
(c)前記工程(b)により取得された平面断層蛍光染色画像群を重ね合わせることにより、立体断層画像を構築する工程と、
(d)前記工程(c)により構築された立体断層画像から、1又は2以上の細胞領域を分割する工程と、
(e)前記工程(d)の後、分割された細胞領域ごとに、当該領域に含まれる全ての平面断層蛍光染色画像を重ね合わせて、1の平面スタック画像を作製する工程と、
(f)前記工程(e)により作製された各平面スタック画像に対して画像解析を行い、当該積層構造体中の細胞を解析する工程。
すなわち、本発明の画像解析方法では、層構造を形成する細胞集団を含む積層構造体を、立体構造を維持したまま、細胞核及び各種生体分子を蛍光標識した後、当該積層構造体の高さ方向の異なる複数枚の平面断層蛍光標識画像を取得し、得られた平面断層蛍光染色画像群を重ね合わせて立体断層画像を構築する。得られた立体断層画像から、解析対象の細胞集団を含む層状の細胞領域を分割し、当該細胞領域中の全平面断層蛍光染色画像を重ね合わせて1の平面スタック画像を作製する。得られた平面スタック画像に対して画像解析を行う。
立体画像に対して詳細な画像解析を行うことは、扱うデータ量が膨大となり、非常に長時間を要する。これに対して、本発明では、立体断層画像中の解析対象の細胞集団を含む層状の領域について、次元を落として平面スタック画像とし、これを画像解析するため、各細胞集団についての解析を平面画像に対して行うことにより、積層構造体中の細胞の位置関係の情報を加味した詳細な画像解析を効率よく行うことができる。
本発明及び本願明細書において、積層構造体とは、2層以上を有しており、かつ少なくとも1層が細胞層である構造体をいう。層とは、構造体の底面に略平行であり、高さ方向にある程度の厚みを有する領域であり、細胞層とは、同種又は性質が近似した細胞の集団の層であり、実質的に単層に形成された細胞集団である。本発明の画像解析方法の解析対象となる積層構造体としては、2以上の細胞層が積層した構造体であってもよく、1以上の細胞層と、1以上の細胞を含まない層が積層した構造体であってもよい。積層構造体が2以上の細胞層を有する場合、全ての細胞層が同種の細胞が含まれる細胞層であってもよく、互いに異なる種類の細胞を含む細胞層を2以上有していてもよい。積層構造体に含まれる細胞層以外の層としては、例えば、細胞外マトリックス、細胞を接着させて培養するための基底膜層等が挙げられる。当該基底膜層を構成する膜としては、例えば、高分子膜、表面にタンパク質や糖質等の生体分子が被覆された膜、羊膜等が挙げられる。また、人工的に製造されたものであってもよく、層構造を維持した状態で生体から採取された組織片であってもよい。
本発明の画像解析方法の解析対象となる積層構造体としては、2以上の細胞層を有する積層構造体が好ましい。2以上の細胞層のみからなる積層構造体であってもよく、2以上の細胞層に加えてさらに基底膜層等を含む積層構造体であってもよい。中でも、少なくとも一の細胞層が、主構成成分として幹細胞を含む細胞層(幹細胞層)である積層構造体が好ましい。当該積層構造体としては、2以上の幹細胞層を有する積層構造体であってもよく、幹細胞層とその他の細胞を主構成成分として含む細胞層を有する積層構造体であってもよい。2以上の幹細胞層を有する積層構造体としては、例えば、幹細胞層同士が直接積層された構造体、幹細胞層同士の間に基底膜層が存在する構造体等が挙げられる。幹細胞層とその他の細胞を含む細胞層を有する積層構造体としては、下方に幹細胞層を有し、当該幹細胞層の上方に当該幹細胞が分化した細胞を含む層が、当該幹細胞層に隣接して存在する、若しくは基底膜層等を介して存在する構造体等が挙げられる。
本発明の画像解析方法の解析対象となる積層構造体としては、1層以上の幹細胞層を有し、生体への移植に用いられる積層構造体が好ましく、角膜へ移植される角膜移植用積層構造体であることがより好ましい。角膜移植用積層構造体は、例えば、上皮系幹細胞を含む幹細胞層を下方に有し、当該幹細胞層の上面に隣接して上皮系幹細胞が分化した細胞を含む細胞層が存在する構造体、上皮系幹細胞を含む幹細胞層が積層された構造体等が挙げられる。上皮系幹細胞としては、角膜上皮幹細胞、口腔粘膜幹細胞等が挙げられる。
本発明の画像解析方法の解析対象となる積層構造体は、当該技術分野において公知のいずれの手法で作製又は採取することができる。例えば、非特許文献1に記載されているように、培養容器の底面に幹細胞を含む細胞懸濁液を入れて培養することにより、細胞が多層に積み重なった積層構造体を形成させることができる。また、基底膜層表面に単層に培養した幹細胞を、基底膜層と共に又は幹細胞層のみを重ね合わせることにより、積層構造体を形成させることができる。
以下、工程ごとに説明する。
まず、工程(a)として、少なくとも1層が細胞層である積層構造体中の細胞核及びその他の1種以上の生体分子を、それぞれ蛍光標識する。当該生体分子としては、タンパク質、核酸、糖類、脂質等が挙げられる。蛍光標識される生体分子は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。マルチ蛍光染色を行うことによって、積層構造体の解析時間を短縮することができる。
積層構造体が、主たる構成成分である細胞の種類が異なる2以上の細胞層を有する場合、各細胞層を構成する細胞を識別可能な生体分子を蛍光標識することが好ましい。例えば、積層構造体が、第一の種類の細胞を含む第一の細胞層を有し、前記第一の細胞層の上方に、前記第一の種類とは異なる第二の種類の細胞を含む第二の細胞層を有する場合、前記第一の種類の細胞において前記第二の種類の細胞よりも多く発現している生体分子及び前記第二の種類の細胞において前記第一の種類の細胞よりも多く発現している生体分子からなる群より選択される1種以上の生体分子を蛍光標識することが好ましい。
細胞核は、細胞核内の核酸を蛍光染色することにより、蛍光標識できる。核酸の蛍光染色に用いる蛍光性核酸染色剤は、蛍光性DNAインターカレータ等の公知の蛍光性核酸染色剤の中から、適宜選択して用いることができる。蛍光性DNAインターカレータとしては、例えば、DAPI(4’,6−diamino−2−phenylindole)、PI(propidium iodide)、Hoechst33258、Hoechst33342、7−AAD(7Amino actinomycin D)、DRAQ5(登録商標)(Biostatus社製)、Sytox(登録商標)(インビトロジェン社製)、YOYO(登録商標)(インビトロジェン社製)等が挙げられる。
生体分子の蛍光標識は、適当な波長の励起光を照射して発された蛍光を検出することによって撮像された画像上で、生体分子及び細胞核と視覚的に区別し得るように蛍光標識し得る方法であれば特に限定されるものではなく、当該技術分野で公知のいずれの手法を用いてもよい。例えば、生体分子と特異的に結合する抗体やリガンド等を用い、蛍光物質を結合させた一次抗体や二次抗体を用いた免疫蛍光染色法を行う。なお、免疫蛍光染色法は、当該技術分野において汎用されている染色法であり、常法により行うことができる。
例えば、1種類又は複数種類の生体分子を蛍光免疫染色し、DAPI等の蛍光性核酸染色剤を用いて細胞核を染色する場合、各生体分子を染色する蛍光物質の蛍光特性と、蛍光性核酸染色剤の蛍光特性とが、互いに異なっていることが好ましい。なお、蛍光特性が異なるとは、FITCとローダミンのように、励起光照射により発される蛍光の波長が、区別して検出し得るほど異なることを意味する。
また、特異的に結合するとは、結合する対象である物質の検出や精製に通常用いることができる程度に特異的に結合し得ることを意味し、その他の物質と交差するものであってもよい。また、生体分子の蛍光標識に用いられる当該生体分子に対する抗体は、モノクローナル抗体であってもよく、ポリクローナル抗体であってもよい。また、市販の抗体を用いてもよく、生体分子又はその部分を抗原として実験動物に免疫し、常法により作製された抗体であってもよい。
工程(a)に供される積層構造体は、当該積層構造体中の細胞が生きている状態であってもよく、細胞観察用容器に固定された積層構造体であってもよく、固定化後、さらに界面活性剤等による細胞膜透過処理が行われた積層構造体であってもよい。
積層構造体は、細胞観察用容器に接着していればよく、必ずしも固定化処理がなされている必要はない。なお、細胞観察用容器への積層構造体の固定方法は、特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。例えば、自然乾燥させてもよく、ホルムアルデヒドやパラホルムアルデヒド、メタノール等の細胞固定架橋剤を呈することにより、細胞観察用容器へ積層構造体を固定することができる。
細胞観察用容器としては、一般的に細胞染色に用いられるものであれば、特に限定されるものではないが、スライドガラス又はマルチウェルプレートであることが好ましい。スライドガラス又はマルチウェルプレートを用いて、イメージングサイトメータ等を用いることにより、多数の検体も迅速かつ簡便に処理することが可能となる。
次いで、工程(b)として、前記積層構造体に対して、高さ方向の異なる複数枚の平面断層蛍光標識画像を、蛍光標識された生体分子の種類ごとにそれぞれ取得する。高さ方向の異なる複数枚の平面断層蛍光標識画像は、常法により撮像して取得することができる。例えば、共焦点レーザ顕微鏡等を用いて、共焦点領域を当該積層構造体の高さ方向(Z軸方向)へ少しずつずらしながら(対物レンズと積層構造体とを光軸に対して直交する方向に相対的に移動させながら)、当該積層構造体の底面に平行な断面の平面断層蛍光標識画像を順次撮像することによって、高さ方向の異なる複数枚の平面断層蛍光標識画像を取得することができる。共焦点顕微鏡をもちいることにより、厚みのある積層構造体について、切片を作成せずとも深さ方向に、かつ平面的にも広範囲に自動で観察・解析できる利点がある。
本発明においては、1ショット(1顕微鏡視野)ごとに、工程(a)において蛍光標識した全ての生体分子及び細胞核の蛍光標識画像を取得する。具体的には、1ショットごとに、各蛍光物質の蛍光特性に応じた波長の励起光を順次照射し、発された蛍光を検出して撮像する。
これらの画像は、CCDカメラ等の細胞の撮像に通常用いられる撮像装置を用いて撮像し取得することができる。例えばCCDカメラによる撮像は、通常、個々のXY位置に対して1枚あるいは複数枚の画像を撮像する。レンズの焦点位置を例えばZとし、これに垂直な面にXY面を設定して撮像ポイントを特定する場合が多い。CCDカメラで撮像された各チャンネルの画像は白黒画像であり、明るさごとに例えば0〜4096の値を各XY位置(画像の画素)に割り当て、各画素の輝度を記録している。
工程(b)においては、積層構造体の特定の高さ(Z軸上の特定の位置)における平面断層蛍光標識画像を取得する際に、XY位置の異なる複数枚の平面断層蛍光標識画像を取得してもよい。同一の高さの平面断層蛍光標識画像群をタイル状に貼り合わせることにより、積層構造体の非常に広い領域を画像解析の対象とすることができる。
例えば、積層構造体のXY平面(底面に平行な面)を複数の小区画に分割し、各小区画の平面断層蛍光標識画像を取得した後、これらを貼り合わせることによって、一の平面断層蛍光標識画像とする。当該小区画は、X軸方向又はY軸方向に隣接する各小区画の端部画像領域が重複するように設定されることが好ましい。
次いで工程(c)として、工程(b)により取得された平面断層蛍光染色画像群を重ね合わせることにより、立体断層画像を構築する。工程(b)において別個に取得された蛍光標識画像ごとに重ね合わせる。よって、構築された立体断層画像は、工程(a)において蛍光標識された物質の種類ごとの標識画像、例えば細胞核の蛍光標識画像(細胞核標識画像)と、各生体分子の蛍光標識画像とに分離できる。
立体断層画像の構築は、例えば、CT(コンピュータ断層撮影法)等の技術分野において公知の画像構築法により行うことができる。対物レンズと積層構造体とを光軸に対して直交する方向に相対的に移動させながら取得された複数枚の平面断層蛍光染色画像を重ね合わせて立体断層画像を作製する方法としては、具体的には、特開2006−343573号公報、特開平9−281405号公報、特開2009−175334号公報等に記載の方法を用いることができる。
工程(d)として、工程(c)により構築された立体断層画像から、1又は2以上の細胞領域を分割する。当該細胞領域は、1層又は2層以上の細胞層を含み、かつ底面に平行な領域である。
当該工程においては、立体断層画像から、1の細胞領域のみを分割してもよく、2以上の細胞領域を分割してもよい。例えば、積層構造体が、下方の領域と上方の領域とで、含まれる細胞の種類が異なる場合には、下方の領域に含まれる細胞の1又は2以上の細胞層からなる細胞領域と、上方の領域に含まれる細胞の1又は2以上の細胞層からなる細胞領域との2つの細胞領域を立体断層画像から分割することができる。同様に、積層構造体が、その下方の領域と上方の部領域とその間の領域とで、含まれる細胞の種類が異なる場合には、下方の領域に含まれる細胞の1又は2以上の細胞層からなる細胞領域と、下方の領域と上方の領域の間の領域に含まれる細胞の1又は2以上の細胞層からなる細胞領域と、上方の領域に含まれる細胞の1又は2以上の細胞層からなる細胞領域との3つの細胞領域を立体断層画像から分割することができる。
積層構造体が、幹細胞層と基底膜層とが交互に積層された構造体の場合には、基底膜層に挟まれたそれぞれの幹細胞層を、細胞領域として分割することができる。また、積層構造体が、下方に幹細胞層を有し、幹細胞層の上方に分化した細胞の細胞層を有する構造体の場合、幹細胞層からなる細胞領域と、分化した細胞の細胞層からなる細胞領域との2つの細胞領域を立体断層画像から分割することができる。このような積層構造体を2の細胞領域に分割した場合の模式図を図1に示す。図1中、細胞観察用容器8に設置された積層構造体1の下方には、幹細胞2からなる層が形成され、上方には分化した細胞3〜7、9、及び10が存在する。積層構造体1は、幹細胞2の細胞層からなる下部細胞領域1aと、分化した細胞の細胞層からなる上部細胞領域1bとに分割することができる。なお、上部細胞領域1bは、さらに、分化の程度によって分化した細胞を2以上の細胞集団に分け、それぞれの細胞集団ごとに細胞領域を分割してもよい。
細胞領域の境界面は、立体断層画像から目視により決定してもよく、予め定められた一定の基準に従って決定してもよい。一定の基準に従って解析対象となる細胞領域を決定下場合には、解析者による主観的な判断による差が軽減できる。
例えば、細胞領域が、細胞集団が単層を形成している細胞層を1つのみ含む領域の場合、細胞領域の厚み(積層構造体の高さ方向の幅)が過度に大きい場合には、当該細胞領域に目的の細胞層以外の領域も多く含まれることになり、形成された平面スタック画像にノイズ等が多くなるおそれがある。逆に、細胞領域の厚みを、目的の細胞層を形成する細胞の平均的な厚み(以下、「標準細胞厚み」)ぎりぎりとすると、当該細胞層を構成する細胞集団の一部が細胞領域に含まれなくなるおそれがある。層構造を形成する全ての細胞が、積層構造体中で完全に同じ高さに存在するとは限らないためである。
そこで、決定される細胞領域のうち、特定の種類の細胞(解析対象細胞)を含む1の細胞層からなる細胞領域については、例えば、次のようにして決定することができる。まず、立体断層画像の底面に平行な断面のうち、解析対象細胞の細胞核が存在していない断面であって、前記積層構造体の底面からの高さが最も低い断面を、無細胞断面として特定する。通常は、前記積層構造体の底面には細胞は存在していないため、底面又はその近傍の断面を無細胞断面として特定できる。さらに、前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、当該無細胞断面よりも上側であって、細胞核標識画像の1画像当たりの解析対象細胞の総輝度値が、当該無細胞断面よりも10〜50%、好ましくは15〜40%増大している断面であって、当該無細胞断面に最も近い断面を、細胞底面基準断面として特定する。そして、細胞底面基準断面よりも積層構造体の高さ方向で5〜10μm下の断面を細胞領域の下側の境界面とし、当該下側の境界面よりも積層構造体の高さ方向で15〜25μm上の断面を細胞領域の上側の境界面とする。つまり、細胞底面基準断面よりも積層構造体の高さ方向で5〜10μm下の断面から高さ方向で15〜25μm上の断面までの領域を、解析対象細胞を含む細胞層からなる細胞領域として決定する。
前記下側の境界面よりも15〜25μm上の断面を上側の境界面とすることにより、当該下側の境界面から上側の境界面までの領域中に、細胞層中に含まれる全解析対象細胞の少なくとも80%以上が存在すると考えられる。また、解析対象細胞の細胞厚みの幅を考慮し、当該細胞底面基準断面よりも5〜10μm下の断面を細胞領域の下側の境界面とする。なお、上側の境界面は、細胞底面基準断面より上側にある底面に平行な断面のうち、細胞核が全く存在しない断面であって、最も当該細胞底面基準断面に近い断面としてもよい。また、下側の境界面は、細胞底面基準断面より下側にある底面に平行な断面のうち、細胞核が全く存在しない断面であって、最も当該細胞底面基準断面に近い断面としてもよい。
多くの細胞において、1細胞当たり1の細胞核が含まれる。そこで、立体断層画像の底面に平行な断面中に存在する解析対象細胞の細胞数は、当該断面中に存在する細胞核の数を測定することにより、求められる。立体断層画像の各断面中の細胞核は、各断面の細胞核標識画像から細胞核領域を決定し、その数を計数することにより求められる。細胞核標識画像からの細胞核領域の決定は、例えば特開2011−75278号公報に記載の方法等により行うことができる。
具体的には、例えば、以下の方法により細胞核領域を決定することができる。まず、予め、細胞核標識画像中の細胞核を認識するための細胞核用閾値及び細胞核用面積閾値を設定しておき、細胞核標識画像から、各画素(ピクセル)が細胞核用閾値以上の輝度の値(以下、「輝度値」という。)を有する一塊の領域をメインオブジェクトとして認識する。このオブジェクト中の各画素の輝度値の勾配から、当該オブジェクトの境界を分離し、閉じた領域のうち細胞核用面積閾値以上の面積を有する領域を抽出し、細胞核領域として決定する。
なお、ここでいう輝度とは、例えば濃淡画像においては濃淡を表す値であり、画像中の各ピクセル(画素)の明るさを表す値である。また、ここでいう面積とは、領域の正確な面積の数値のみならず、領域に含まれる画素の数を意味してもよい。
ここで、細胞核用閾値及び細胞核用面積閾値は、解析対象細胞の種類、核酸の標識に用いた蛍光性核酸染色剤の種類等を考慮して適宜設定されるものである。例えば、解析対象細胞と同種の細胞を予め蛍光性核酸染色剤を用いて染色して細胞核標識画像を取得した後、当該細胞核標識画像から細胞核領域の輝度値や面積値を測定し、得られた測定値に基づいて設定することができる。
図2は、画像解析における細胞核領域の具体的な決定方法を模式的に示した図である。図2(A)は1つの細胞を模式的に示した図である。図中、領域101は細胞核標識画像中の蛍光性核酸染色剤で標識された領域(細胞核に相当)を、領域102は細胞質を、それぞれ示している。まず、画像解析によって、細胞核標識画像中の領域101、すなわち細胞核領域103をメインオブジェクトとして認識するような領域を設定する{図2(B)}。具体的には、蛍光性核酸染色剤により染色された部分の面積の最大値と最小値及び蛍光強度を測定し、各画素が細胞核用閾値以上の輝度値を有する領域のうち細胞核用面積閾値以上の面積を有する領域を抽出し、細胞核領域として決定する。
さらに、細胞密度が高く、細胞が込み合っているような場合がある場合は、領域分割を行う手法の一つとして知られているウォーターシェッド(Watershed)アルゴリズム手法を用いることが好ましい。該手法は、マークと呼ばれる領域の中心を隣接画素へと広げていくことによって領域を得るものであり、この機能を同時に使用することにより、個々の細胞核を認識するよう設定する{図2(C)}。図2(C)に示すように、2つの重なり合う細胞核は、ウォーターシェッド機能を用いない場合には1つの細胞核として認識されるが{図2(C−a)}、ウォーターシェッド機能を用いることにより、2つの細胞核として認識できるようになる{図2(C−b)}。細胞核の認識は、他にも、エッジ認識や隣接する細胞のくびれを認識されることによっても同様に行うことができる。
細胞領域を決定する際の基準とされる細胞底面基準断面は、工程(b)により取得されたそれぞれの平面断層蛍光染色画像としてもよい。例えば、以下のようにして細胞領域を決定することができる。まず、工程(b)により取得された各平面断層蛍光染色画像の細胞核標識画像中に存在する解析対象細胞について、1画像当たりの総輝度値を計測する。次いで、解析対象細胞の細胞核が存在していない平面断層蛍光染色画像であって、前記積層構造体の底面からの高さが最も低い断面の平面断層蛍光染色画像を、無細胞断面として特定する。通常は、前記積層構造体の底面には細胞は存在していないため、高さが最も低い平面断層蛍光染色画像が無細胞断面として特定することが好ましい。当該無細胞断面よりも上側であって、細胞核標識画像の1画像当たりの解析対象細胞の総輝度値が、当該無細胞断面よりも10〜50%、好ましくは15〜40%増大している平面断層蛍光染色画像であって、当該無細胞断面に最も近い断面を、細胞底面基準断面として特定する。
工程(d)の後、工程(e)として、分割された細胞領域ごとに、1の平面スタック画像を作製する。細胞領域から1の平面スタック画像を作製する方法は、特に限定されるものではなく、立体画像の次元を落として平面画像とする公知の画像解析方法により行うことができる。例えば、1の細胞領域に含まれる全ての画素について、Z軸(立体断層画像の高さ方向)の位置情報を破棄し、X軸及びY軸の位置が同じ画素の輝度値を全て合算することにより、1の平面スタック画像を作製することができる。
本発明の解析方法では、工程(b)〜(e)を、これらの工程を実現可能な一の画像解析装置を用いて解析することができる。当該画像解析装置としては、例えば、画像解析の分野において一般的に用いられている公知の画像解析装置又はこれを適宜改変した装置に、対物レンズと積層構造体とを光軸に対して直交する方向に相対的に移動させながら撮像することが可能な撮像手段を備えた共焦点レーザ顕微鏡等とを組み合わせた装置が挙げられる。
具体的には、共焦点レーザ顕微鏡により、蛍光標識された積層構造体の平面断層蛍光染色画像を、対物レンズと積層構造体とを光軸に対して直交する方向に相対的に移動させながら順次撮像し、撮像された各平面断層蛍光染色画像の画像データに対して、画像解析装置による画像解析を自動的に行い、立体断層画像の構築、細胞領域の決定、及び1の細胞領域当たり1の平面スタック画像の作製を行う。具体的には、細胞核標識画像に基づいて細胞核領域を決定し、各平面断層蛍光染色画像中の解析対象細胞の細胞核を計測する。次いで、解析対象細胞の細胞核が存在していない最も高さの低い平面断層蛍光染色画像(好ましくは、前記積層構造体の底面又はその近傍の平面断層蛍光染色画像)を無細胞断面として特定する。当該無細胞断面よりも上側であって、細胞核標識画像の1画像当たりの解析対象細胞の総輝度値が、当該無細胞断面よりも10〜50%、好ましくは15〜40%増大している平面断層蛍光染色画像であって、当該無細胞断面に最も近い断面を、細胞底面基準断面として特定する。さらに、得られた平面断層蛍光染色画像を重ね合わせて立体断層画像を構築し、この立体断層画像中の、細胞底面基準断面よりも立体断層画像の高さ方向で5〜10μm下の断面から高さ方向で15〜25μm上の断面までの領域を、解析対象細胞を含む細胞層からなる細胞領域として決定する。そして、1の細胞領域当たり1の平面スタック画像を作製する。
工程(f)として、作製された各平面スタック画像に対して画像解析を行い、当該積層構造体中の細胞を解析する。平面スタック画像に対する画像解析は、公知の画像解析の手法を適宜組み合わせることにより行うことができる。基本的な細胞画像解析や自動細胞認識においては、平面スタック画像中の標識された領域の決定は、画像に適当な輝度の閾値を設定することにより行う。例えば、輝度値が設定された閾値より上の点(画素)を1、それ以外を0というように二値化を行い、さらに1となった画素からなる領域を個々に切り分ける(1の島ごとに切り分けて番号付けを行う)ことによって、蛍光標識された個々の細胞核や生体分子を認識する。
工程(f)においては、作製された平面スタック画像の全体を画像解析の対象としてもよく、平面スタック画像の一部分のみを解析対象としてもよい。より精度の高い解析結果を得るためには、平面スタック画像のより広い領域を解析対象とすることが好ましく、平面スタック画像の全体を画像解析の対象とすることがより好ましい。
工程(f)における画像解析の種類は、特に限定されるものではない。平面スタック画像は、細胞核標識画像と、工程(a)において蛍光標識された各種生体分子の標識画像とに分離できる。それぞれの標識画像に対して画像解析を行うことにより、蛍光標識された生体分子や細胞核それぞれについての形態、細胞内における発現量、細胞内における局在等の情報を得ることができる。
例えば、平面スタック画像の細胞核標識画像を解析することにより、当該平面スタック画像中の細胞の細胞核の形状や大きさ(面積)等を調べることができる。具体的には、まず、細胞核標識画像中の細胞核領域を決定する。細胞核領域は、前記と同様にして行うことができる。各細胞核領域に対して、当該細胞核領域中の画素当たりの平均輝度値、当該細胞核領域の全画素の輝度値の総和、当該細胞核領域中の画素の総面積、及び当該細胞核領域の形状(総周囲長等)を測定し、得られた測定値に基づき、各細胞領域の形状や大きさを解析することができる。
例えば、幹細胞は一般的に、分化後の細胞よりも細胞核の大きさが小さい。特に上皮系細胞の場合、幹細胞が最も細胞核の大きさが小さく、分化の程度が高くなるほど細胞核の大きさが大きい傾向にある。このため、平面スタック画像中の細胞の細胞核の大きさを調べることにより、当該平面スタック画像中の細胞が、幹細胞なのか、分化した細胞なのかを解析することもできる。
生体分子の標識画像についても、細胞核標識画像と同様、標識の際のノイズを排除し、標識の有無を認識するための閾値を設けていることが好ましい。この閾値は、生体分子の種類や標識方法に依存して変動するものであるため、生体分子の種類及び標識方法の種類ごとに、それぞれ生体分子用閾値を設定しておく。例えば、解析対象の細胞と同種の細胞を予め染色し、生体分子の標識画像を取得した後、当該標識画像から生体分子領域の輝度値や面積値を測定し、得られた測定値に基づいて設定することができる。その他、例えば、生体分子の標識画像中の当該生体分子が存在していないことが明らかな領域(バックグラウンド)の1画素当たりの輝度値やその統計値等を生体分子用閾値としてもよく、経験的に取得された閾値であってもよい。
生体分子の存在量、局在、形態等を測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。まず、各標識画像中の各画素の輝度値を測定する。得られた測定値を、予め決定しておいた閾値と比較し、1画素当たりの輝度値がこの閾値以上である領域(画素の集合)を生体分子染色領域として決定する。決定された各生体分子染色領域の画素当たりの平均輝度値、当該生体分子染色領域に含まれる全画素の輝度値の総和、当該生体分子染色領域の総面積、及び当該生体分子染色領域の形状等を適宜組み合わせて解析する。
本発明の画像解析方法は、細胞層を含む積層構造体中の細胞を、積層構造を保持したまま解析し得ることから、特に、細胞同士の位置関係が重要な幹細胞を含む移植用積層構造体の解析に好適である。
<角膜移植用積層構造体の評価方法>
本発明の角膜移植用積層構造体の評価方法(以下、本発明の評価方法)では、上皮系幹細胞を培養して形成され、かつ角膜移植に用いられる積層構造体の評価を、本発明の画像解析方法を利用して行う。本発明の評価方法の評価対象となる角膜移植用積層構造体は、培養された上皮系幹細胞を含み、かつ角膜に移植される積層構造体であれば特に限定されるものではなく、従来公知のいずれの手法で作製されたものであってもよい。
本発明の評価方法は、具体的には、以下の工程(a’)〜(f’)を有することを特徴とする。
(a’)前記積層構造体中の細胞核と、上皮系幹細胞に特異的な生体分子、分化後の上皮系細胞又はその周辺組織に特異的な生体分子、並びに上皮系幹細胞及び分化後の上皮系細胞の両方に存在する生体分子からなる群より選択される1種以上の生体分子とを、それぞれ蛍光標識する工程と、
(b’)前記工程(a’)の後、前記積層構造体に対して、高さ方向の異なる複数枚の平面断層蛍光標識画像を、蛍光標識された生体分子の種類ごとにそれぞれ取得する工程と、
(c’)前記工程(b’)により取得された平面断層蛍光染色画像群を重ね合わせることにより、立体断層画像を構築する工程と、
(d’)前記工程(c’)により構築された立体断層画像を、上皮系幹細胞を含む細胞層からなる下部細胞領域と、前記下部細胞領域の上方に隣接する上部細胞領域とに分割する工程と、
(e’)前記工程(d’)の後、分割された領域ごとに、1の平面スタック画像を作製する工程と、
(f’)前記工程(e’)により作製された各平面スタック画像に対して画像解析を行い、得られた解析結果に基づき、前記積層構造体を評価する工程。
工程(a’)〜(c’)は、上皮系幹細胞に特異的な生体分子、分化後の上皮系細胞又はその周辺組織に特異的な生体分子、並びに上皮系幹細胞及び分化後の上皮系細胞の両方に存在する生体分子からなる群より選択される1種以上の生体分子を蛍光標識する以外は、前記工程(a)〜(c)と同様にして行うことができる。
上皮系幹細胞に特異的な生体分子としては、幹細胞の細胞核に比較的特異的に発現が観察されるp63が挙げられる。また、分化後の上皮系細胞に特異的な生体分子としては、AE5等の上皮系サイトケラチン、MUC16等のムチンが挙げられる。分化後の上皮系細胞の周辺組織に特異的な生体分子としては、上皮細胞のタイトジャンクションを構成する生体分子、例えばZO−1等が挙げられる。また、上皮系幹細胞及び分化後の上皮系細胞の両方に存在する生体分子としては、panCK等のサイトケラチンが挙げられる。
本発明においては、蛍光標識される生体分子の少なくとも1つが、上皮系幹細胞に特異的な生体分子、又は分化後の上皮系細胞若しくはその周辺組織に特異的な生体分子であることが好ましい。これらの生体分子の細胞における発現量や局在等を解析することにより、標識された細胞が、上皮系幹細胞であるか、分化した上皮細胞かを識別することができる。
蛍光標識される生体分子としては、AE5、MUC16、ZO−1、panCK、及びp63からなる群より選択される1種以上が好ましい。なお、panCKを蛍光標識する場合には、AE5、MUC16、ZO−1、及びp63からなる群より選択される1種以上と組み合わせて蛍光標識することが好ましい。
工程(d’)では、構築された立体断層画像から、上皮系幹細胞を含む細胞層からなる下部細胞領域と、前記下部細胞領域の上方に隣接する上部細胞領域とを分割する。下部細胞領域及び上部細胞領域の決定は、前記工程(d)において上皮系幹細胞を解析対象細胞とした場合と同様にして、行うことができる。
本発明においては、工程(d’)において、構築された立体断層画像を、上皮系幹細胞を含む細胞層からなる下部細胞領域と、前記下部細胞領域の上方に隣接する上部細胞領域との2の細胞領域に分割することが好ましい。下部細胞領域及び上部細胞領域は、具体的には、下記工程(i’)〜(iii’)により決定する。
(i’)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、細胞核が存在していない断面であって、前記積層構造体の底面からの高さが最も低い断面を、無細胞断面として特定する工程と、
(ii’)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、前記無細胞断面よりも上側に存在し、かつ前記細胞核標識画像の1画像当たりの総輝度値が、当該無細胞断面よりも10〜50%増大している断面であって、当該無細胞断面に最も近い断面を、幹細胞底面基準断面として特定する工程と、
(iii’)前記幹細胞底面基準断面よりも前記積層構造体の高さ方向で5〜10μm下の断面から、前記積層構造体の高さ方向で15〜25μm上の断面までの領域を、前記下部細胞領域として決定する工程。
下部細胞領域及び上部細胞領域は、その他、下記工程(i”−1)、(i”−2)及び(iii”)により決定することもできる。
(i”−1)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、細胞核が存在していない断面であって、前記積層構造体の底面からの高さが最も低い断面を、下側の無細胞断面として特定する工程と、
(i”−2)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、細胞核が存在していない断面であって、前記積層構造体の底面からの高さが最も高い断面を、上側の無細胞断面として特定する工程と、
(iii”)前記下側の無細胞断面と前記上側の無細胞断面の両方から等距離にある断面を境界面とし、前記下側の無細胞断面から前記境界面までの領域を下部細胞領域として決定し、前記境界面から前記上側の無細胞断面までの領域を上部細胞領域として決定する工程。
この決定方法によれば、常に、前記積層構造体中の細胞を含む領域のほぼ中央面が、下部細胞領域と上部細胞領域の分割面となる。
図3に、上皮系幹細胞を培養して形成された角膜移植用積層構造体に対して細胞核の蛍光染色を行った後、当該角膜移植用積層構造体に対して高さ方向の異なる平面断層蛍光標識画像(細胞核標識画像)を取得し、各細胞核標識画像について画像全体に対して細胞核面積が占める割合(AREA%)を測定した結果の一態様を示した。縦軸が、画像全体に対して細胞核面積が占める割合(AREA%)であり、横軸が、当該細胞核標識画像の底面からの高さ(Z軸;step)である。細胞核は9stepから38stepまでの細胞核標識画像で測定されている。つまり、当該角膜移植用積層構造体では、8stepの細胞核標識画像が下側の無細胞断面であり、39stepの細胞核標識画像が上側の無細胞断面であり、その中央面(すなわち、下部細胞領域と上部細胞領域の分割面)は23.5stepの高さの底面に平行な断面になる。こうして決定された分割面近傍では、画像全体に対して細胞核面積が占める割合が大きく変化している。これは、当該分割面より下部に幹細胞が主に存在しており、当該分割面の上部には、下部に存在する細胞とは性質の異なる細胞(すなわち、分化細胞)が存在しているためである。実際に、当該角膜移植用積層構造体の立体断層画像から、目視により、比較的小さな細胞群が存在する下部細胞領域と、比較的大きな細胞群が存在する上部細胞領域とに分割したところ、下部細胞領域と上部細胞領域の分割面は、22〜24stepの高さ(図3中の矢印で示した箇所)になった。この結果からも、角膜移植用積層構造体において、上部細胞領域と下部細胞領域を前記工程(i”−1)、(i”−2)及び(iii”)により決定する方法が妥当であることが明らかである。
立体断層画像から分割される解析対象とする細胞領域を3以上とすることによって角膜移植用積層構造体を評価することも当然可能である。しかしながら、本発明の評価方法のように、上皮系幹細胞を含む細胞領域と分化した上皮細胞を含む細胞領域とに2分割しても、角膜移植用積層構造体は十分に評価可能であり、かつ3以上の細胞領域に分割する場合よりも評価の判断基準がシンプルであるため、明確で信頼性の高い評価を効率よく行うことができる。
工程(e’)及び工程(f’)における画像解析は、前記工程(e)及び(f)と同様にして行うことができる。
画像解析の結果、下部細胞領域から作製された平面スタック画像(以下、下部平面スタック画像、ということがある。)中の細胞が幹細胞であり、上部細胞領域から作製された平面スタック画像(以下、上部平面スタック画像、ということがある。)中の細胞が分化した上皮系細胞であることが判明した場合に、解析に供された角膜移植用積層構造体は、正常であり、角膜移植用として適していると評価する。
AE5はサイトケラチンの一種であり、AE5を蛍光標識することにより、上皮組織ケラチンが染色される。このため、正常な角膜移植用積層構造体では、下部平面スタック画像中の細胞よりも、上部平面スタック画像中の細胞のほうが、発現量が高くなる。そこで、工程(a’)において、少なくとも細胞核及びAE5を蛍光標識した場合に、上部平面スタック画像のAE5の蛍光標識画像における画素当たりの平均輝度値、全画素の輝度値の総和、及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積が、下部平面スタック画像のAE5の蛍光標識画像よりも大きい場合や、上部平面スタック画像において、1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の割合が50%以上である場合に、解析に供された角膜移植用積層構造体が角膜移植用として適していると評価する。逆に、AE5の蛍光標識画像における画素当たりの平均輝度値、全画素の輝度値の総和、及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積が、下部平面スタック画像のほうか大きい場合や、上部平面スタック画像において、1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の割合が50%未満である場合には、当該角膜移植用積層構造体は角膜移植用として不適当であると評価する。
MUC16はムチンの一種であり、このため、正常な角膜移植用積層構造体では、下部平面スタック画像中の細胞ではほとんど発現が見られず、上部平面スタック画像中の細胞やその周辺領域では発現量が高くなる。そこで、工程(a’)において、少なくとも細胞核及びMUC16を蛍光標識した場合に、上部平面スタック画像のMUC16の蛍光標識画像における画素当たりの平均輝度値、全画素の輝度値の総和、及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積が、下部平面スタック画像のMUC16の蛍光標識画像よりも大きい場合に、解析に供された角膜移植用積層構造体が角膜移植用として適していると評価する。逆に、MUC16の蛍光標識画像における画素当たりの平均輝度値、全画素の輝度値の総和、及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積が、上部平面スタック画像と下部平面スタック画像とで差がない場合や、下部平面スタック画像のほうか大きい場合には、当該角膜移植用積層構造体は角膜移植用として不適当であると評価する。
ZO−1は上皮細胞同士のタイトジャンクションマーカであり、このため、正常な角膜移植用積層構造体では、下部平面スタック画像中の細胞ではほとんど発現が見られず、上部平面スタック画像中では、網目構造の形状に発現が観察される。そこで、工程(a’)において、少なくとも細胞核及びZO−1を蛍光標識した場合に、上部平面スタック画像のZO−1の蛍光標識画像における画素当たりの平均輝度値、全画素の輝度値の総和、及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積が、下部平面スタック画像のZO−1の蛍光標識画像よりも大きく、かつ上部平面スタック画像のZO−1の蛍光標識画像における1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素からなる領域が網目構造の形状である場合に、解析に供された角膜移植用積層構造体が角膜移植用として適していると評価する。逆に、下部平面スタック画像のZO−1の蛍光標識画像中に網目構造が観察されたような場合には、当該角膜移植用積層構造体は角膜移植用として不適当であると評価する。
上皮細胞のタイトジャンクションは、網目構造であるため、例えば角膜移植用積層構造体から底面に対して垂直な断面の薄層切片を得、この薄層切片中のZO−1を蛍光標識したとしても、当該切片上では網目構造が観察できず、当該角膜移植用積層構造体の上部細胞領域に上皮細胞のタイトジャンクションが形成されているかどうかを知ることはできない。本発明の評価方法は、本発明の解析方法を利用することにより、上皮細胞のタイトジャンクションの形成の有無も判別し、評価することができる。なお、平面スタック画像中の網目構造は、糸状のものを検出するストリング検出法や、網目構造の1つを石畳(ストーン風)に検出するストーン検出法等の公知の画像解析手段によって検出することができる。
p63は主に幹細胞の細胞核に多く存在しており、このため、正常な角膜移植用積層構造体では、上部平面スタック画像中の細胞よりも、下部平面スタック画像中の細胞で明らかに多く観察される。そこで、工程(a’)において、少なくとも細胞核及びp63を蛍光標識した場合に、下部平面スタック画像のp63の標識画像中の各細胞核領域における画素当たりの平均輝度値が、上部平面スタック画像のp63の蛍光標識画像よりも大きい場合に、解析に供された角膜移植用積層構造体が角膜移植用として適していると評価する。逆に、p63の蛍光標識画像における画素当たりの平均輝度値が、下部平面スタック画像よりも上部平面スタック画像のほうが大きかったり、ほぼ同程度である場合には、当該角膜移植用積層構造体は角膜移植用として不適当であると評価する。
panCKは、分化の有無や程度に関わらず、上皮系細胞に広く存在するサイトケラチンであり、正常な角膜移植用積層構造体では、下部平面スタック画像中の細胞と上部平面スタック画像中の細胞の両方の細胞質に発現が観察される。このため、工程(a’)において、panCKを蛍光標識した場合に、上部平面スタック画像のpanCKの標識画像中の各細胞質領域における画素当たりの平均輝度値が、下部平面スタック画像のpanCKの蛍光標識画像とほぼ同程度である場合に、解析に供された角膜移植用積層構造体が角膜移植用として適していると評価する。逆に、panCKの標識画像中の細胞質領域における画素当たりの平均輝度値が、上部平面スタック画像と下部平面スタック画像とで大きく異なる場合には、当該角膜移植用積層構造体は角膜移植用として不適当であると評価する。
なお、細胞質領域は、細胞の画像解析の分野で公知のいずれの手法で測定したものであってもよい。細胞核標識画像からの細胞質領域の決定は、例えば特開2011−75278号公報に記載の方法等により行うことができる。
具体的には、決定された細胞核領域の外周部分を内周とするドーナツ型の領域であって、ドーナツ型の幅が等間隔である(当該領域の外周上の各点から内周までの最短距離(すなわち幅)が、外周上の全ての点において等しい)領域を、細胞質領域として決定することができる。細胞質領域の作成においては、ドーナツ型の幅(細胞核領域の外周部分と内周部分との距離)を自由に設定することができる。例えば、予め、解析に用いる細胞の細胞膜と核酸を染色した染色画像を取得し、細胞核の外周から細胞膜までの距離を測定しておき、この測定値に基づいて細胞質領域の幅(厚み)を決定してもよい。また、一般的に細胞質の厚みは、細胞の種類等にかかわらずほぼ同程度であることから、細胞核領域の外周から細胞質領域の外周までの距離を10〜30ピクセル程度とすることもできる。
また、工程(a’)において、細胞質を別途標識し、工程(b’)において、さらに、標識された細胞の細胞質の標識画像を取得し、取得された細胞質の標識画像に基づいて細胞質領域を決定してもよい。細胞質の標識は、撮像された画像上で、核酸や解析対象である生体分子と視覚的に区別し得るように標識し得る方法であれば特に限定されるものではなく、当該技術分野で公知のいずれの手法を用いてもよい。
図4は、画像解析における細胞質領域の具体的な決定方法を模式的に示した図である。図中、領域103は細胞核領域を、領域102は細胞質を、領域105は細胞質領域を、それぞれ示している。図4に示すように、当該細胞の細胞質102が漏れなく含まれ、かつ細胞核領域103が除かれるドーナツ型の領域を、細胞質領域105として設定する。
また、前述のように、細胞核は、上皮系細胞の場合、幹細胞が最も細胞核の大きさが小さく、分化の程度が高くなるほど細胞核の大きさが大きい傾向にある。例えば、細胞の平面画像中では、分化細胞の中でも大きめの細胞の細胞核は、上皮系幹細胞よりも3〜6倍の面積を有する。このため、上部平面スタック画像中に存在する細胞核領域の面積の平均値が、下部平面スタック画像中に存在する細胞核領域の面積の平均値よりも3倍以上大きい場合に、解析に供された角膜移植用積層構造体が角膜移植用として適していると評価する。逆に、上部平面スタック画像中に存在する細胞核領域の面積の平均値が、下部平面スタック画像とほぼ同等である場合には、当該角膜移植用積層構造体は角膜移植用として不適当であると評価する。
また、予め、分化した細胞と幹細胞とを識別するための細胞核の面積の閾値を設けておき、上部平面スタック画像中に存在する全細胞核領域に対する、面積が閾値以上の大きさである細胞核領域の割合が、下部平面スタック画像よりも多い場合に、解析に供された角膜移植用積層構造体が角膜移植用として適していると評価することもできる。当該閾値は、例えば、上皮系幹細胞と分化した上皮細胞について、予め蛍光性核酸染色剤を用いて染色して細胞核標識画像を取得した後、各細胞核標識画像中の細胞核の面積値を測定し、得られた測定値に基づいて設定することができる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<角膜移植用積層構造体>
なお、特に記載がない場合、以降の実施例において解析した角膜移植用積層構造体は、以下のようにして作製した。まず、ヒト角膜上皮組織を、死体ドナーの角膜(Northwest Lions Eye Bank(Seattle,WA)より提供。)から単離された角膜強膜縁から、はさみを使って単離した(n=4)。ヒト口腔粘膜組織(3×3mmのサンプル)を健常者ボランティアの口腔内の頬粘膜から、キシロカインによる局所麻酔下で外科的に切除された(n=3)。各組織を、抗生物質及び抗真菌剤を含有するダルベッコPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄した後、37℃で1時間、ディスパーゼIIでインキュベートした。分離された上皮層をトリプシン−EDTA(エチレンジアミン四酢酸)溶液(Invitrogen社製)で処理した後、懸濁した細胞を温度感受性培養インサート(セルシード社製)に、初期細胞密度が1.5×10細胞(角膜上皮細胞)又は2.0×10細胞(口腔粘膜上皮細胞)/23−mmインサートになるように、細胞培養インサートによって分離されたマイトマイシンC処理済NIH/3T3細胞と共に播き、ケラチノサイト培養培地(KCM)中で培養した。KCMは、10%の牛胎児血清(ジャパン・バイオシーラム社製)、0.5%のインシュリン−トランスフェリン−セレニウム(ITS、Invitrogen社製)、10μMのイソプロテレノール(興和社製)、2.0×10−9Mのトリヨードサイロニン(MP Biomedicals社製)、0.4μg/mLのコハク酸ヒドロコルチゾン(和光純薬社製)、及び10ng/mLのEGF(R&D Systems社製)を添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)/F12(混合比=3:1)である。以下の実施例において、得られた角膜移植用積層構造体を蛍光標識する工程は、細胞培養が終了したその日中に完了した。
[実施例1]
角膜移植用積層構造体の細胞核とAE5を蛍光標識し、本発明の評価方法により、評価した。
まず、角膜移植用積層構造体の細胞核とAE5を蛍光標識した。AE5の蛍光標識には、未標識の抗AE5抗体(PROGEN社製、製品番号:61807)、若しくはAlexa488で予め直接標識された抗AE5抗体(Alexa488標識抗AE5抗体)を使用した。なお、抗AE5抗体へのAlexa488の標識は、Monoclonal antibody labeling kit(Invitrogen社製、製品番号:A20181)を用いて行った。
具体的には、作成した細胞シート(メンブレンから剥がしたもの、若しくはメンブレンがそのままついたまま)をPBS(−)もしくはトリス緩衝液(TBS)にて洗浄し、100%冷メタノールで10分間固定した後、PBS(−)若しくはトリス緩衝液(TBS)にて洗浄した。次いで、未標識の抗AE5抗体若しくはAlexa488標識抗AE5抗体を添加し、40〜60分間室温で反応させた(染色バッファー:0.3% tritonX−100、5% donkey血清(シグマ社製、製品番号:D9663)を含有させたTBS)。未標識の抗AE5抗体を使用した場合には、反応後に洗浄した後、2次抗体としてAleaxa488ヤギ抗マウスIgG(H+L)抗体を加え、20〜30分間室温で反応させた(染色バッファーは前記と同様。)。洗浄後、DAPI(5μg/mL)溶液を加え、5分室温で反応させた。Aleaxa488標識抗AE5抗体を使用した場合には、反応後に洗浄した後、DAPI(5μg/mL)溶液を加え、5分室温で反応させた。反応終了後、洗浄することにより、細胞核とAE5を蛍光標識した角膜移植用積層構造体を得た。
底面に蛍光標識された角膜移植用積層構造体が置かれた細胞観察用容器を、共焦点顕微鏡FV10i(オリンパス社製)の共焦点レーザ顕微鏡の試料設置面に設置し、対物レンズと積層構造体とを光軸に対して直交する方向に相対的に移動させながら順次撮像した。1視野ごとに、細胞核標識画像と、AE5標識画像を撮像した。得られた平面画像データを重ね合わせて立体断層画像を構築した。構築された立体断層画像の細胞核標識画像を図5に示す。図5(A)は細胞核標識画像とAE5標識画像の重ね合わせ画像であり、図5(B)は細胞核標識画像であり、図5(C)はAE5標識画像である。この結果、立体断層画像の下方に比較的小さな細胞核からなる細胞が多く存在しており、上方には比較的細胞核の大きな細胞が、下方よりも薄い密度で存在していた。この立体断層画像から、目視により、比較的小さな細胞群が存在する下部細胞領域と、比較的大きな細胞群が存在する上部細胞領域とに分割し、細胞領域ごとに、1の平面スタック画像を作製した。平面画像データからの立体断層画像の構築、及び平面スタック画像の作製は、FV10iソフトウェア(オリンパス社製)を用いて行った。
図6に上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像のAE5標識画像を示す。この結果、上部平面スタック画像中では多くの細胞が蛍光標識されていたが、下部平面スタック画像では、上部平面スタック画像よりも標識された細胞が少なかった。また、得られた上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像に対して、AE5標識画像の1画像当たりの全画素の輝度値の総和(総輝度値)、1画素当たりの平均輝度値、及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積を測定した。表1に、上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像の1画像当たりの総輝度値、1画素当たりの平均輝度値、1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素が1画像当たりに占める割合(%)の測定結果を示す。表1及び図6中、「Upper」が上部平面スタック画像の結果であり、「Lower」が下部平面スタック画像の結果である。この結果、上部平面スタック画像のAE5の蛍光標識画像における画素当たりの平均輝度値、全画素の輝度値の総和、及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積は、いずれも下部平面スタック画像のAE5の蛍光標識画像よりも大きかった。また、上部平面スタック画像のAE5の蛍光標識画像における1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の割合は50%以上であった。よって、当該角膜移植用積層構造体は正常であり、角膜移植用として適していると評価した。
[実施例2]
角膜移植用積層構造体の細胞核とMUC16を蛍光標識し、本発明の評価方法により、評価した。
まず、角膜移植用積層構造体の細胞核とMUC16を蛍光標識した。MUC16の蛍光標識には、未標識の抗MUC16抗体(Abcam社製、製品番号:ab693)、若しくはAlexa555で予め直接標識された抗MUC16抗体(Alexa555標識抗MUC16抗体)を使用した。なお、抗MUC16抗体へのAlexa555の標識は、ZenonIgG1ラベリングキット(Invitrogen社製、製品番号:Z25060)を用いて行った。
具体的には、未標識の抗AE抗体、Aleaxa488標識抗AE5抗体、及びAleaxa488ヤギ抗マウスIgG(H+L)抗体に代えて、未標識の抗MUC16抗体、Alexa555標識抗MUC16抗体、及びAleaxa555ヤギ抗マウスIgG(H+L)抗体を用いた以外は、実施例1と同様にして、角膜移植用積層構造体の細胞核とMUC16を蛍光標識した。
実施例1と同様にして、蛍光標識された角膜移植用積層構造体の細胞核標識画像とMUC16標識画像を撮像し、得られた平面画像データを重ね合わせて立体断層画像を構築した。構築された立体断層画像の細胞核標識画像を図7に示す。図7(A)は細胞核標識画像とMUC16標識画像の重ね合わせ画像であり、図7(B)は細胞核標識画像であり、図7(C)はMUC16標識画像である。この結果、立体断層画像の下方に比較的小さな細胞核からなる細胞が多く存在しており、上方には比較的細胞核の大きな細胞が、下方よりも薄い密度で存在していた。この立体断層画像から、実施例1と同様にして下部細胞領域及び上部細胞領域に分割し、細胞領域ごとに、1の平面スタック画像を作製した。
図8に上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像のMUC16標識画像を示す。この結果、上部平面スタック画像中では多くの細胞が蛍光標識されていたが、下部平面スタック画像では、標識された細胞は存在していなかった。また、得られた上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像に対して、MUC16標識画像中の1画像当たりの総輝度値、1画素当たりの平均輝度値、1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素が1画像当たりに占める割合(%)を測定した。測定結果を表2に示す。この結果、下部平面スタック画像では1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素は検出されず、上部平面スタック画像のMUC16の蛍光標識画像における画素当たりの平均輝度値及び全画素の輝度値の総和は、下部平面スタック画像のMUC16の蛍光標識画像よりも大きかった。よって、当該角膜移植用積層構造体は正常であり、角膜移植用として適していると評価した。
[実施例3]
角膜移植用積層構造体の細胞核とZO−1を蛍光標識し、本発明の評価方法により、評価した。
まず、角膜移植用積層構造体の細胞核とZO−1を蛍光標識した。ZO−1の蛍光標識には、未標識の抗ZO−1抗体(Invitrogen社製、製品番号:339100)、若しくはビオチンで予め直接標識された抗ZO−1抗体(ビオチン標識抗ZO−1抗体)を使用した。なお、抗ZO−1抗体へのビオチンの標識は、Biotin Labeling kit−SH(Dojindo社製)を用いて行った。
具体的には、作成した細胞シート(メンブレンから剥がしたもの、若しくはメンブレンがそのままついたまま)をPBS(−)もしくはトリス緩衝液(TBS)にて洗浄し、100%冷メタノールで10分間固定した後、PBS(−)若しくはトリス緩衝液(TBS)にて洗浄した。次いで、未標識の抗ZO−1抗体若しくはビオチン標識抗ZO−1抗体を添加し、40〜60分間室温で反応させた(染色バッファー:0.3% tritonX−100、5% donkey血清(シグマ社製、製品番号:D9663)を含有させたTBS)。未標識の抗ZO−1抗体を使用した場合には、反応後に洗浄した後、2次抗体として、Aleaxa555ヤギ抗マウスIgG(H+L)抗体を加え、20〜30分間室温で反応させた(染色バッファーは前記と同様。)。一方で、ビオチン標識抗ZO−1抗体を使用した場合には、反応後に洗浄した後、Aleaxa555標識ストレプトアビジンを加え、20〜30分間室温で反応させた(染色バッファーは前記と同様。)。反応終了後、洗浄することにより、細胞核とZO−1を蛍光標識した角膜移植用積層構造体を得た。
実施例1と同様にして、蛍光標識された角膜移植用積層構造体の細胞核標識画像とZO−1標識画像を撮像し、得られた平面画像データを重ね合わせて立体断層画像を構築した。構築された立体断層画像の細胞核標識画像を図9に示す。図9(A)は細胞核標識画像とZO−1標識画像の重ね合わせ画像であり、図9(B)は細胞核標識画像であり、図9(C)はZO−1標識画像である。この結果、立体断層画像の下方に比較的小さな細胞核からなる細胞が多く存在しており、上方には比較的細胞核の大きな細胞が、下方よりも薄い密度で存在していた。この立体断層画像から、実施例1と同様にして下部細胞領域及び上部細胞領域に分割し、細胞領域ごとに、1の平面スタック画像を作製した。
この結果、上部平面スタック画像のZO−1標識画像には網目構造の形状が観察されたが、下部平面スタック画像には蛍光標識されたものは存在していなかった。各ZO−1標識画像に対して、ストリング検出(糸状のものを検出する方法)又はストーン検出(網目構造の1つを石畳(ストーン風)に検出する方法)を行った。図10に上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像のZO−1標識画像(左)及びストリング検出後の画像(右)を示す。図11に上部平面スタック画像のZO−1標識画像(左)及びストーン検出後の画像(右)を示す。この結果、上部平面スタック画像のZO−1標識画像からは122個のストーンが検出されたが、下部平面スタック画像では、画像全体が1のストーンとして検出された。
また、得られた上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像に対して、ZO−1標識画像中の1画像当たりの総輝度値及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積を測定した。図12に、各平面スタック画像の1画像当たりの総輝度値を横軸とし、1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積を縦軸として示した。また、得られた上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像に対して、ZO−1標識画像中の1画素当たりの平均輝度値及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積を測定した。測定結果を表3に示す。この結果、上部平面スタック画像のZO−1の蛍光標識画像における画素当たりの平均輝度値、全画素の輝度値の総和、及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積は、下部平面スタック画像のZO−1の蛍光標識画像よりも大きかった。これらの結果から、当該角膜移植用積層構造体は正常であり、角膜移植用として適していると評価した。
[実施例4]
角膜移植用積層構造体の細胞核とpanCKを蛍光標識し、本発明の評価方法により、評価した。
まず、角膜移植用積層構造体の細胞核とpanCKを蛍光標識した。panCKの蛍光標識には、未標識の抗panCK抗体(Progen社製、製品番号:61006)、若しくはビオチンで予め直接標識された抗panCK抗体(ビオチン標識抗panCK抗体)を使用した。なお、抗panCK抗体へのビオチンの標識は、Biotin Labeling kit−SH(Dojindo社製)を用いて行った。
具体的には、未標識の抗ZO−1抗体及びビオチン標識抗ZO−1抗体に代えて、未標識の抗MpanCK抗体及びAlexa555標識抗panCK抗体を用いた以外は、実施例3と同様にして、角膜移植用積層構造体の細胞核とpanCKを蛍光標識した。
実施例1と同様にして、蛍光標識された角膜移植用積層構造体の細胞核標識画像とpanCK標識画像を撮像し、得られた平面画像データを重ね合わせて立体断層画像を構築した。構築された立体断層画像の細胞核標識画像を図13に示す。図13(A)は細胞核標識画像とpanCK標識画像の重ね合わせ画像であり、図13(B)は細胞核標識画像であり、図13(C)はpanCK標識画像である。また、図14に、panCK標識画像の、立体断層画像の底面に垂直な断面図を示す。この結果、立体断層画像の下方に比較的小さな細胞核からなる細胞が多く存在しており、上方には比較的細胞核の大きな細胞が、下方よりも薄い密度で存在していた。また、panCKは立体断層画像の上方と下方の両方にほぼ同じように蛍光標識されていた。この立体断層画像から、実施例1と同様にして下部細胞領域及び上部細胞領域に分割し、細胞領域ごとに、1の平面スタック画像を作製した。
得られた各平面スタック画像の細胞核画像から細胞質領域を決定し、panCK標識画像中の細胞質領域における1画素当たりの平均輝度値を測定した。測定結果を図15に示す。図15(A)は下部平面スタック画像の結果であり、図15(B)は上部平面スタック画像の結果であり、図15(C)は下部平面スタック画像と上部平面スタック画像の結果を重ね合わせた図である。この結果、上部平面スタック画像のpanCKの標識画像中の各細胞質領域における画素当たりの平均輝度値は、下部平面スタック画像のpanCKの蛍光標識画像とほぼ同程度であった。よって、当該角膜移植用積層構造体は正常であり、角膜移植用として適していると評価した。
[実施例5]
上皮系幹細胞の培養を10%FBS含有D’MEM培地を用いて行った以外は実施例4で用いた角膜移植用積層構造体と同様の手法で作製した角膜移植用積層構造体について、実施例4と同様にして、細胞核とpanCKを蛍光標識し、蛍光標識された角膜移植用積層構造体の細胞核標識画像とpanCK標識画像を撮像し、得られた平面画像データを重ね合わせて立体断層画像を構築した。図16に、構築された立体断層画像、及びその底面に垂直な断面図を示す。図16(A)は細胞核標識画像とpanCK標識画像の重ね合わせ画像であり、図16(B)は細胞核標識画像であり、図16(C)はpanCK標識画像である。また、図16(D)は、細胞核標識画像とpanCK標識画像の重ね合わせ画像の底面に垂直な断面図である。この結果、panCKは、立体断層画像の上方にしか発現していなかった。
また、得られた各平面スタック画像の細胞核画像から細胞質領域を決定し、panCK標識画像中の細胞質領域における1画素当たりの平均輝度値を測定した。測定結果を図17に示す。図17(A)は下部平面スタック画像の結果であり、図17(B)は上部平面スタック画像の結果であり、図17(C)は下部平面スタック画像と上部平面スタック画像の結果を重ね合わせた図である。この結果、下部平面スタック画像では、図17(A)中の四角で囲まれた領域に全細胞の約85%が存在しており、上部平面スタック画像では、図17(B)中の四角で囲まれた領域に全細胞の約93%が存在していた。つまり、上部平面スタック画像のpanCKの標識画像中の各細胞質領域における画素当たりの平均輝度値のほうが、下部平面スタック画像のpanCKの蛍光標識画像よりも明らかに大きかった。
また、得られた上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像に対して、panCK標識画像中の1画像当たりの総輝度値、1画素当たりの平均輝度値、1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素が1画像当たりに占める割合(%)を測定した。測定結果を表4に示す。当該結果からも、上部平面スタック画像のpanCKの標識画像中の各細胞質領域における画素当たりの平均輝度値のほうが、下部平面スタック画像のpanCKの蛍光標識画像よりも大きいことが確認された。これらの結果から、当該角膜移植用積層構造体は正常ではなく、角膜移植用としては不適当であると評価した。
さらに、panCK標識画像中の1細胞当たりの総輝度値の平均値(1細胞当たりの明るさの平均値)及び1画像に含まれる総細胞数に対して、1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素を含む細胞(ポジティブ細胞)の割合(%)を測定し、測定結果を表5に示す。panCKは、上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像のいずれにおいても同程度に発現しており、ほとんど全ての細胞がpanCKを発現していることが確認された。
[実施例6]
角膜移植用積層構造体の細胞核とp63を蛍光標識し、本発明の評価方法により、評価した。
まず、角膜移植用積層構造体の細胞核とp63を蛍光標識した。p63の蛍光標識には、未標識の抗p63抗体(LIFESPAN社製、製品番号:LS−C118547)若しくは同じく未標識の抗p63抗体(Santacruz社製、製品番号:sc−8431)を使用した。
具体的には、未標識の抗AE抗体及びAleaxa488ヤギ抗マウスIgG(H+L)抗体に代えて、未標識の抗p63抗体及びAlexa555ヤギ抗ウサギIgG(H+L)抗体を用いた以外は、実施例1と同様にして、角膜移植用積層構造体の細胞核とp63を蛍光標識した。
実施例1と同様にして、蛍光標識された角膜移植用積層構造体の細胞核標識画像とp63標識画像を撮像し、得られた平面画像データを重ね合わせて立体断層画像を構築した。構築された立体断層画像の細胞核標識画像を図18に示す。図18(A)は細胞核標識画像であり、図18(B)はp63標識画像である。また、図19に、p63標識画像の、立体断層画像の底面に垂直な断面図を示す。この結果、立体断層画像の下方に比較的小さな細胞核からなる細胞が多く存在しており、上方には比較的細胞核の大きな細胞が、下方よりも薄い密度で存在していた。また、p63は立体断層画像の下方に多く発現していることが確認された。この立体断層画像から、実施例1と同様にして下部細胞領域及び上部細胞領域に分割し、細胞領域ごとに、1の平面スタック画像を作製した。
得られた上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像に対して、p63標識画像中の1画素当たりの平均輝度値及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積を測定した。図20に、各平面スタック画像のp63標識画像の1画素当たりの平均輝度値を横軸とし、細胞数(Counts)を縦軸として示した。また、図21に、各平面スタック画像について、p63標識画像の1細胞核当たりの平均輝度値を横軸とし、1細胞核中に存在する1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積を縦軸として示した。図20及び21において、「Upper」が上部平面スタック画像の結果であり、「Lower」が下部平面スタック画像の結果である。この結果、図20の四角で囲まれた領域に、上部平面スタック画像では全細胞の約83%が存在しており、下部平面スタック画像では全細胞の約94%が存在していた。つまり、p63の標識画像中の各細胞核領域における1画素当たりの平均輝度値は、上部平面スタック画像よりも、下部平面スタック画像のほうが大きかった。
また、得られた上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像に対して、p63標識画像中の1細胞(1細胞核)当たりの総輝度値の平均値(1細胞当たりの明るさの平均値)及び、上部平面スタック画像及び下部平面スタック画像に存在する全細胞数(Upper+Lowerに存在する全細胞数)に対する1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素を含む細胞(ポジティブ細胞)の割合(%)を測定した。測定結果を表6に示す。上部平面スタック画像にも若干のp63ポジティブ細胞が存在しているものの、下部平面スタック画像に存在する細胞の大部分がp63ポジティブ細胞であることが確認された。また、1細胞当たりの明るさの平均値も、上部平面スタック画像よりも下部平面スタック画像のほうが明らかに大きかった。これらの結果から、当該角膜移植用積層構造体は正常であり、角膜移植用として適していると評価した。
[実施例7]
実施例6において構築された立体断層画像を目視により、比較的小さな細胞群が存在する下方の細胞領域と、下方の細胞領域よりは比較的大きな細胞群が存在する中間の細胞領域と、扁平で大きな細胞群が存在する上方の細胞領域との3つに分割し、細胞領域ごとに1の平面スタック画像を実施例1と同様にして作製した。図22に、得られた平面スタック画像の細胞核標識画像を示す。図22中、「Lower」は下方の細胞領域から作製された平面スタック画像であり、「Mid」は中間の細胞領域から作製された平面スタック画像であり、「Upper」は上方の細胞領域から作製された平面スタック画像である。
また、各平面スタック画像の細胞核画像中の1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積(すなわち、細胞核の面積)を測定した。測定結果を図23に示す。図23(A)は下方の細胞領域から作製された平面スタック画像の結果であり、図23(B)は中間の細胞領域から作製された平面スタック画像の結果であり、図23(C)は上方の細胞領域から作製された平面スタック画像の結果である。また、各平面スタック画像の細胞核画像中の細胞数、細胞核の面積平均値、細胞核の面積が4000画素以上の細胞の割合を表7に示す。表7中、「Lower」、「Mid」、「Upper」は図22と同じである。この結果、細胞数は下方の細胞領域が最も多く、立体断層画像の上方にいくにしたがって減少すること、逆に細胞核の面積は、立体断層画像の上方にいくにしたがって大きくなることが確認された。よって、当該角膜移植用積層構造体は正常であり、角膜移植用として適していると評価した。
本発明の画像解析方法及び評価方法は、細胞集団が層構造を形成している移植用積層構造体の解析や評価に好適に用いることができるため、特に再生医療分野において利用が可能である。
1…積層構造体、1a…下部細胞領域、1b…上部細胞領域、2…幹細胞、3〜7、9、10…分化した細胞、8…細胞観察用容器、101…核、102…細胞質、103…細胞核領域、105…細胞質領域。

Claims (27)

  1. (a)少なくとも1層が細胞層である積層構造体中の細胞核及びその他の1種以上の生体分子を、それぞれ蛍光標識する工程と、
    (b)前記工程(a)の後、前記積層構造体に対して、高さ方向の異なる複数枚の平面断層蛍光標識画像を、蛍光標識された生体分子の種類ごとにそれぞれ取得する工程と、
    (c)前記工程(b)により取得された平面断層蛍光染色画像群を重ね合わせることにより、立体断層画像を構築する工程と、
    (d)前記工程(c)により構築された立体断層画像から、1又は2以上の細胞領域を分割する工程と、
    (e)前記工程(d)の後、分割された細胞領域ごとに、当該領域に含まれる全ての平面断層蛍光染色画像を合算することにより、1の平面スタック画像を作製する工程と、
    (f)前記工程(e)により作製された前記1の平面スタック画像に対して画像解析を行い、当該積層構造体中の細胞を解析する工程と、
    を有し、
    前記工程(d)において分割される細胞領域は、立体断層画像中の、1層又は2層以上の細胞層を含み、かつ底面に平行な領域であることを特徴とする、積層構造体中の細胞の画像解析方法。
  2. 前記工程(d)において、決定される細胞領域のうち、特定の種類の細胞を含む1の細胞層からなり、底面に平行な細胞領域を、細胞核が存在していない底面に平行な断面に対して細胞核標識画像内の前記特定の種類の細胞の総輝度値が所定量増大する断面に基づいて決定することを特徴とする請求項1に記載の積層構造中の細胞の画像解析方法。
  3. 前記工程(d)において、決定される細胞領域のうち、特定の種類の細胞を含む1の細胞層からなる細胞領域を、
    (i−1)前記特定の種類の細胞の細胞核が存在していない断面を特定する無細胞断面として特定する工程と、
    (ii−1)細胞核標識画像の1画像あたりの前記特定の種類の細胞の総輝度値が、当該無細胞断面よりも所定量増大している断面を細胞底面基準断面として特定する工程と、
    (iii−1)前記細胞底面基準断面に対して所定の高さ範囲を、前記特定の種類の細胞を含む細胞層からなる細胞領域として決定する工程と、
    により決定することを特徴とする請求項1に記載の積層構造中の細胞の画像解析方法。
  4. 前記工程(d)において、決定される細胞領域のうち、特定の種類の細胞を含む1の細胞層からなる細胞領域を、
    (i)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、前記特定の種類の細胞の細胞核が存在していない断面であって、前記積層構造体の底面からの高さが最も低い断面を、無細胞断面として特定する工程と、
    (ii)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、前記無細胞断面よりも上側に存在し、細胞核標識画像の1画像当たりの前記特定の種類の細胞の総輝度値が、当該無細胞断面よりも10〜50%増大している断面であって、当該無細胞断面に最も近い断面を、細胞底面基準断面として特定する工程と、
    (iii)前記細胞底面基準断面よりも前記積層構造体の高さ方向で5〜10μm下の断面から、前記積層構造体の高さ方向で15〜25μm上の断面までの領域を、前記特定の種類の細胞を含む細胞層からなる細胞領域として決定する工程と、
    により決定することを特徴とする請求項1に記載の積層構造体中の細胞の画像解析方法。
  5. 前記工程(d)において、決定される細胞領域のうち、特定の種類の細胞を含む1の細胞層からなる細胞領域を、
    (i)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、前記特定の種類の細胞の細胞核が存在していない断面であって、前記積層構造体の底面からの高さが最も低い断面を、無細胞断面として特定する工程と、
    (ii)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、前記無細胞断面よりも上側に存在し、細胞核標識画像の1画像当たりの前記特定の種類の細胞の総輝度値が、当該無細胞断面よりも10〜50%増大している断面であって、当該無細胞断面に最も近い断面を、細胞底面基準断面として特定する工程と、
    (iii−2前記細胞底面基準断面に最も近い断面であって、当該細胞底面基準断面よりも上側の細胞核が存在しない断面から、当該細胞核底面基準断面よりも下側の細胞核が存在しない断面までの領域を、前記特定の種類の細胞を含む細胞層からなる細胞領域として決定する工程と
    により決定することを特徴とする請求項1に記載の積層構造体中の細胞の画像解析方法。
  6. 前記特定の種類の細胞が幹細胞であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の積層構造体中の細胞の画像解析方法。
  7. 前記細胞領域が、細胞核領域であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層構造体中の細胞の画像解析方法。
  8. (a)少なくとも1層が細胞層である積層構造体中の細胞核及びその他の1種以上の生体分子を、それぞれ蛍光標識する工程と、
    (b)前記工程(a)の後、前記積層構造体に対して、高さ方向の異なる複数枚の平面断層蛍光標識画像を、蛍光標識された生体分子の種類ごとにそれぞれ取得する工程と、
    (c)前記工程(b)により取得された平面断層蛍光染色画像群を重ね合わせることにより、立体断層画像を構築する工程と、
    (d)前記工程(c)により構築された立体断層画像から、1又は2以上の細胞領域を分割する工程と、
    (e)前記工程(d)の後、分割された細胞領域ごとに、1の平面スタック画像を作製する工程と、
    (f)前記工程(e)により作製された各平面スタック画像に対して画像解析を行い、当該積層構造体中の細胞を解析する工程と、
    を有し、
    前記工程(d)において分割される細胞領域は、立体断層画像中の、1層又は2層以上の細胞層を含み、かつ底面に平行な領域であり、
    前記積層構造体が、角膜上皮幹細胞又は口腔粘膜幹細胞を培養して形成されたことを特徴とする、積層構造体中の細胞の画像解析方法。
  9. 前記積層構造体は、角膜上皮幹細胞又は口腔粘膜幹細胞が分化した細胞を含むことを特徴とする請求項8に記載の積層構造体中の細胞の画像解析方法。
  10. 前記積層構造体が、第一の種類の細胞を含む第一の細胞層を有し、前記第一の細胞層の上方に、前記第一の種類とは異なる第二の種類の細胞を含む第二の細胞層を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の積層構造体中の細胞の画像解析方法。
  11. 前記工程(a)において、細胞核に加えて、前記第一の種類の細胞において前記第二の種類の細胞よりも多く発現している生体分子及び前記第二の種類の細胞において前記第一の種類の細胞よりも多く発現している生体分子からなる群より選択される1種以上の生体分子を蛍光標識することを特徴とする請求項10に記載の積層構造体中の細胞の画像解析方法。
  12. 前記第一の種類の細胞が幹細胞であり、前記第二の種類の細胞が、前記幹細胞が分化した細胞であることを特徴とする請求項10又は11に記載の積層構造体中の細胞の画像解析方法。
  13. 前記工程(d)において、前記第一の細胞層からなる細胞領域と、前記第二の細胞層からなる細胞領域とを分割することを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の積層構造体中の細胞の画像解析方法。
  14. 前記工程(f)における画像解析が、各平面スタック画像の画素当たりの平均輝度値、全画素の輝度値の総和、1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積、及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素からなる領域の形状からなる群より選択される1以上の解析であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の積層構造体中の細胞の画像解析方法。
  15. 前記工程(f)における画像解析が、各平面スタック画像中の細胞核の大きさに基づいて、当該平面スタック画像中の細胞が、幹細胞か、幹細胞が分化した細胞なのかの解析を行うことを特徴とする請求項1〜14に記載の積層構造体中の細胞の画像解析方法。
  16. 上皮系幹細胞を培養して形成され、かつ角膜移植に用いられる積層構造体に対して、
    (a’)前記積層構造体中の細胞核と、上皮系幹細胞に特異的な生体分子、分化後の上皮系細胞又はその周辺組織に特異的な生体分子、並びに上皮系幹細胞及び分化後の上皮系細胞の両方に存在する生体分子からなる群より選択される1種以上の生体分子とを、それぞれ蛍光標識する工程と、
    (b’)前記工程(a’)の後、前記積層構造体に対して、高さ方向の異なる複数枚の平面断層蛍光標識画像を、蛍光標識された生体分子の種類ごとにそれぞれ取得する工程と、
    (c’)前記工程(b’)により取得された平面断層蛍光染色画像群を重ね合わせることにより、立体断層画像を構築する工程と、
    (d’)前記工程(c’)により構築された立体断層画像から、上皮系幹細胞を含む細胞層からなる下部細胞領域と、前記下部細胞領域の上方に隣接する上部細胞領域とを分割する工程と、
    (e’)前記工程(d’)の後、分割された領域ごとに、1の平面スタック画像を作製する工程と、
    (f’)前記工程(e’)により作製された各平面スタック画像に対して画像解析を行い、得られた解析結果に基づき、前記積層構造体を評価する工程と、
    を有し、
    前記工程(d’)において分割される細胞領域は、立体断層画像中の、1層又は2層の細胞層を含み、かつ底面に平行な領域であることを特徴とする、角膜移植用積層構造体の評価方法。
  17. 前記工程(d’)において、前記下部細胞領域を、
    (i’)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、細胞核が存在していない断面であって、前記積層構造体の底面からの高さが最も低い断面を、無細胞断面として特定する工程と、
    (ii’)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、前記無細胞断面よりも上側に存在し、かつ前記細胞核標識画像の1画像当たりの総輝度値が、当該無細胞断面よりも10〜50%増大している断面であって、当該無細胞断面に最も近い断面を、幹細胞底面基準断面として特定する工程と、
    (iii’)前記幹細胞底面基準断面よりも前記積層構造体の高さ方向で5〜10μm下の断面から、前記積層構造体の高さ方向で15〜25μm上の断面までの領域を、前記下部細胞領域として決定する工程と、
    により決定することを特徴とする請求項16に記載の角膜移植用積層構造体の評価方法。
  18. 前記工程(d’)において、前記上部細胞領域と前記下部細胞領域とを、
    (i”−1)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、細胞核が存在していない断面であって、前記積層構造体の底面からの高さが最も低い断面を、下側の無細胞断面として特定する工程と、
    (i”−2)前記立体断層画像の底面に平行な断面のうち、細胞核が存在していない断面であって、前記積層構造体の底面からの高さが最も高い断面を、上側の無細胞断面として特定する工程と、
    (iii”)前記下側の無細胞断面と前記上側の無細胞断面の両方から等距離にある断面を境界面とし、前記下側の無細胞断面から前記境界面までの領域を下部細胞領域として決定し、前記境界面から前記上側の無細胞断面までの領域を上部細胞領域として決定する工程と、
    により決定することを特徴とする請求項16に記載の角膜移植用積層構造体の評価方法。
  19. 前記工程(a’)において、細胞核と、サイトケラチン、ムチン、上皮細胞のタイトジャンクションを構成する生体分子、及びp63からなる群より選択される1種以上の生体分子とを蛍光標識することを特徴とする請求項1618のいずれか一項に記載の角膜移植用積層構造体の評価方法。
  20. 前記工程(a’)において、細胞核と、AE5、MUC16、ZO−1、panCK、及びp63からなる群より選択される1種以上の生体分子とを蛍光標識することを特徴とする請求項1618のいずれか一項に記載の角膜移植用積層構造体の評価方法。
  21. 前記工程(a’)において、少なくとも細胞核及びAE5を蛍光標識し、
    前記工程(f’)において、上部細胞領域から作製された平面スタック画像のAE5の蛍光標識画像における画素当たりの平均輝度値、全画素の輝度値の総和、及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積が、下部細胞領域から作製された平面スタック画像のAE5の蛍光標識画像よりも大きい場合に、前記積層構造体が角膜移植用として適していると評価することを特徴とする請求項1618のいずれか一項に記載の角膜移植用積層構造体の評価方法。
  22. 前記工程(a’)において、少なくとも細胞核及びMUC16を蛍光標識し、
    前記工程(f’)において、上部細胞領域から作製された平面スタック画像のMUC16の蛍光標識画像における画素当たりの平均輝度値、全画素の輝度値の総和、及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積が、下部細胞領域から作製された平面スタック画像のMUC16の蛍光標識画像よりも大きい場合に、前記積層構造体が角膜移植用として適していると評価することを特徴とする請求項1618のいずれか一項に記載の角膜移植用積層構造体の評価方法。
  23. 前記工程(a’)において、少なくとも細胞核及びZO−1を蛍光標識し、
    前記工程(f’)において、上部細胞領域から作製された平面スタック画像のZO−1の蛍光標識画像における画素当たりの平均輝度値、全画素の輝度値の総和、及び1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素の総面積が、下部細胞領域から作製された平面スタック画像のZO−1の蛍光標識画像よりも大きく、かつ上部細胞領域から作製された平面スタック画像のZO−1の蛍光標識画像における1画素当たりの輝度値が閾値以上である画素からなる領域が網目構造の形状である場合に、前記積層構造体が角膜移植用として適していると評価することを特徴とする請求項1618のいずれか一項に記載の角膜移植用積層構造体の評価方法。
  24. 前記工程(a’)において、少なくとも細胞核及びp63を蛍光標識し、
    前記工程(f’)において、
    工程(e’)により作製された各平面スタック画像について、細胞核の標識画像に基づき、細胞核領域を決定し、
    上部細胞領域から作製された平面スタック画像のp63の標識画像中の各細胞核領域における画素当たりの平均輝度値が、下部細胞領域から作製された平面スタック画像のp63の蛍光標識画像よりも大きい場合に、前記積層構造体が角膜移植用として適していると評価することを特徴とする請求項1618のいずれか一項に記載の角膜移植用積層構造体の評価方法。
  25. 前記工程(f’)において、
    工程(e’)により作製された各平面スタック画像について、細胞核の標識画像に基づき、細胞核領域を決定し、
    上部細胞領域から作製された平面スタック画像中に存在する全細胞核領域に対する、面積が閾値以上の大きさである細胞核領域の割合が、下部細胞領域から作製された平面スタック画像よりも多い場合に、前記積層構造体が角膜移植用として適していると評価することを特徴とする請求項1618のいずれか一項に記載の角膜移植用積層構造体の評価方法。
  26. 前記工程(f’)において、
    工程(e’)により作製された各平面スタック画像について、細胞核の標識画像に基づき、細胞核領域を決定し、
    上部細胞領域から作製された平面スタック画像中に存在する細胞核領域の面積の平均値が、下部細胞領域から作製された平面スタック画像中に存在する細胞核領域の面積の平均値よりも3倍以上大きい場合に、前記積層構造体が角膜移植用として適していると評価することを特徴とする請求項1618のいずれか一項に記載の角膜移植用積層構造体の評価方法。
  27. 前記工程(a’)において、さらにpanCKを蛍光標識し、
    前記工程(f’)において、
    工程(e’)により作製された各平面スタック画像について、細胞核の標識画像に基づき、細胞核領域を決定し、
    さらに各細胞核領域の外周部分を内周とするドーナツ型の領域であって、ドーナツ型の幅が等間隔である領域を、細胞質領域として決定し、
    上部細胞領域から作製された平面スタック画像のpanCKの標識画像中の各細胞質領域における画素当たりの平均輝度値が、下部細胞領域から作製された平面スタック画像のpanCKの蛍光標識画像と同程度である場合に、前記積層構造体が角膜移植用として適していると評価することを特徴とする請求項1926のいずれか一項に記載の角膜移植用積層構造体の評価方法。
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