以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1参考例に係る手動変速機の概略斜視図である。図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る手動変速機1は、入力軸及び出力軸が同一軸線上に配置されたフロントエンジン・リアドライブ車に搭載される縦置き式のものである。
手動変速機1は、図示されていないが、変速機ケース2内に軸線が車体前後方向に延びるように配置された変速機構を備え、該変速機構は、変速機ケース2の車体前後方向一端側である車体前方側に配設されるエンジンなどの駆動源の駆動軸にクラッチを介して接続される入力軸と、該入力軸と同一軸線上に配置された出力軸と、前記入力軸及び前記出力軸に平行に配置されたカウンタ軸とを有し、前記入力軸、出力軸及びカウンタ軸が変速機ケース2に回動可能に支持されている。
前記変速機構では、前記入力軸及び出力軸とカウンタ軸との間にギヤ比の異なる複数のギヤ列が設けられ、該複数のギヤ列のうちから1つのギヤ列が選択的に動力伝達状態とされることにより、また前記入力軸と前記出力軸とが直結されて動力伝達状態とされることにより所定の変速段が達成されるようになっている。
前記変速機構にはまた、所定の変速段に対応するギヤ列を動力伝達状態とするための同期装置が備えられ、運転者により手動操作されるチェンジレバー30が所定の変速段に操作されたとき、前記同期装置を介して所定の変速段に対応するギヤ列が動力伝達状態とされて所定の変速段が達成されるようになっている。
手動変速機1はまた、前記変速機構を操作する変速操作機構を備え、該変速操作機構は、チェンジレバー30のセレクト操作に連動して回動するセレクトレバーシャフト10と、チェンジレバー30のシフト操作に連動して回動するシフトレバーシャフトとを備えている。
前記変速操作機構にはまた、セレクトレバーシャフト10及び前記シフトレバーシャフトに連結され、チェンジレバー30のセレクト操作によって軸回りに回動されると共にチェンジレバー30のシフト操作によって軸方向に移動されるコントロールロッドが備えられ、前記コントロールロッドの移動に伴って前記変速機構を操作して所定の変速段を達成するようになっている。
変速機ケース2は、クラッチハウジング及びミッションケースが一体的に形成された車体前方側のケース本体部3と、ケース本体部3に結合された車体後方側のエクステンションハウジング4とによって構成され、変速機ケース2内に前記変速機構及び前記変速操作機構が収納されている。
手動変速機1ではまた、チェンジレバー30と前記変速操作機構とを連結してチェンジレバー30の操作を前記変速操作機構に伝達するセレクト操作用ケーブル12及びシフト操作用ケーブル14が備えられている。
前記変速操作機構のセレクトレバーシャフト10は、変速機ケース2の車体前方側において変速機ケース2から上方に突出し、その上端部にセレクトアウタレバー11が固定して取り付けられている。セレクトアウタレバー11は、セレクトレバーシャフト10から径方向外方に延び、セレクト操作用ケーブル12は、セレクトアウタレバー11の反セレクトレバーシャフト10側に取り付けられている。
前記変速操作機構のシフトレバーシャフトについても、変速機ケース2の車体前方側において変速機ケース2から上方に突出し、その上端部にシフトアウタレバーが固定して取り付けられている。前記シフトアウタレバーは、前記シフトレバーシャフトから径方向外方に延び、シフト操作用ケーブル14は、前記シフトアウタレバーの反シフトレバーシャフト側に取り付けられている。
手動変速機1では、前記変速操作機構のセレクトレバーシャフト10とセレクト操作用ケーブル12との連結部13が変速機ケース2の車体前方側に設けられると共に、前記変速操作機構のシフトレバーシャフトとシフト操作用ケーブル14との連結部15が変速機ケース2の車体前方側に設けられている。
セレクト操作用ケーブル12及びシフト操作用ケーブル14はそれぞれ、一端部が変速機ケース2の車体前方側において前記変速操作機構に連結され、他端部が変速機ケース2の車体後方側においてチェンジレバー30に連結されている。
チェンジレバー30は、車体前後方向と直交する車幅方向に延びるセレクト方向のレーンと車体前後方向に延びるシフト方向のレーンとを備えたシフトパターンに従ってセレクト方向及びシフト方向に移動されることによりセレクト操作及びシフト操作される。
チェンジレバー30は、チェンジレバー30の軸方向一方側に取り付けられたチェンジノブ31と、チェンジレバー30の軸方向他方側に設けられた突起部32と、チェンジレバー30の軸方向中央側に設けられた球状部33とを備えている。
変速機ケース2、具体的にはエクステンションハウジング4には、チェンジレバー30をセレクト操作及びシフト操作可能に支持するための支持部20が設けられている。支持部20は、チェンジレバー30がセレクト方向及びシフト方向に移動可能にチェンジレバー30の球状部33を、図示しない球面軸受部材を介して支持する本体部21と、本体部21から下方に延びるアーム部22とを備えている。
本体部21は、前記球面軸受部材を備えて略四角柱状に形成され、アーム部22は、本体部21の車体後方側及び車幅方向一方側から下方に変速機ケース2の上面まで車体上下方向において断面L字状に延びている。本体部21とアーム部22とは、エクステンションハウジング4と一体的に形成されている。
チェンジレバー30の突起部32は、本体部21の下方且つアーム部22の内方側に位置付けられ、突起部32には、シフト操作用ケーブル14が連結されている。シフト操作用ケーブル14は、チェンジレバー30がシフト方向に移動されるとき、車体前後方向に移動し、チェンジレバー30のシフト操作を前記変速操作機構に伝達するようになっている。
チェンジレバー30の球状部33にはまた、車幅方向に延びるセレクトピン34が一体的に設けられている。セレクトピン34は、チェンジレバー30がセレクト方向に移動されるとき、球状部33を支点として上下方向に揺動されるようになっている。セレクトピン34の先端部には、L字状に形成されたプレート部材35が連結されている。
プレート部材35は、一端部にセレクトピン34が連結され、他端部に設けられた突起部36にセレクト操作用ケーブル12が連結され、中央部が本体部21に固定された固定ピン23に回転可能に連結されており、チェンジレバー30がセレクト方向に移動されるとき、セレクトピン34の上下方向の揺動に伴って固定ピン23を支点として回動し、セレクト操作用ケーブル12を車体前後方向に移動するようになっている。セレクト操作用ケーブル12は、チェンジレバー30がセレクト方向に移動されるとき、車体前後方向に移動し、チェンジレバー30のセレクト操作を前記変速操作機構に伝達するようになっている。
なお、セレクト操作用ケーブル12及びシフト操作用ケーブル14は、変速機ケース2の上面に取り付けられた支持プレート5、6によって車体前後方向に移動可能に支持されている。
このように、本実施形態に係る手動変速機1は、運転者により手動操作されるチェンジレバー30と、変速機ケース2内に軸線が車体前後方向に延びるように配置された変速機構と、前記変速機構を操作する変速操作機構と、チェンジレバー30と前記変速操作機構とを連結してチェンジレバー30の操作を前記変速操作機構に伝達するケーブル12、14とを備えている。
そして、変速機ケース2に、チェンジレバー30をセレクト操作及びシフト操作可能に支持するための支持部20が設けられ、チェンジレバー30は、支持部20を介して変速機ケース2に支持されている。前記支持部20の位置は、車両タイプに応じて設定されている。
これにより、チェンジレバー30と前記変速操作機構とがケーブル12、14によって連結されるので、チェンジレバー30の操作はケーブル12、14を介して前記変速操作機構に伝達され、前記変速機構が所望の変速段が得られる状態となる。ケーブル12、14を介在させていることから所定位置に搭載された手動変速機1に対してチェンジレバー30の位置を自由に設定することができるので、異なるタイプの車両で手動変速機1を共用しながら、チェンジノブ31の位置を車両タイプに応じてそれぞれ適切に設定することができる。
その際、チェンジレバー30は、変速機ケース2に設けられた支持部20に支持されるので、チェンジレバー30が車体に支持される場合のような駆動源による振動等による手動変速機1とチェンジレバー30との間の相対変位を抑制することができる。
したがって、前記特許文献1に記載の手動変速機100のようにチェンジレバー105に連結されたケーブル107、109をUターンさせて長くするなど、手動変速機とチェンジレバーとの間の相対変位を吸収するためにケーブルの長さを確保する必要がなくなるので、軸線が車体前後方向に延びるように配置された変速機構を備えた手動変速機において、ケーブルを長くするために手動変速機が収納されるトンネル部を大きくする必要がなくなり、乗員の居住性の低下を引き起こすことがない。
その結果、チェンジノブ31の位置が異なるタイプの車両に適用しても、チェンジノブ31の位置を車両タイプに応じてそれぞれ適切に設定することができると共に、乗員の居住性の低下を引き起こすことを抑制することができる。
また、変速機ケース2の車体前後方向一端側に駆動源が取り付けられると共に変速機ケース2の車体前後方向他端側に支持部20が設けられ、前記変速操作機構におけるケーブル12、14との連結部13、15が、チェンジレバー30より変速機ケース2の車体前後方向一端側に設けられている。チェンジレバー30は変速機ケース2に設けられた支持部20に支持されて駆動源による振動等による手動変速機1とチェンジレバー30との間の相対変位を抑制できるためケーブルを長くする必要がなく、ケーブルを短くすることができる。
図2は、本発明の第2参考例に係る手動変速機の概略側面図である。第2参考例に係る手動変速機は、第1参考例に係る手動変速機と、チェンジレバーを支持する支持部が異なること以外は同様であるので、同様の構成については同一符号を付して説明を省略する。
第2参考例に係る手動変速機41においても、チェンジレバー30と、変速機ケース2内に軸線が車体前後方向に延びるように配置された変速機構と、前記変速機構を操作する変速操作機構と、チェンジレバー30と前記変速操作機構とを連結してチェンジレバー30の操作を前記変速操作機構に伝達するケーブル12、14とが備えられている。
また、変速機ケース2には、チェンジレバー30をセレクト操作及びシフト操作可能に支持するための支持部40が設けられている。手動変速機41では、支持部40は、チェンジレバー30をセレクト操作及びシフト操作可能に支持すると共に変速機ケース2に固定して取り付けられる取付ブラケット41によって形成されている。
取付ブラケット41は、チェンジレバー30をセレクト方向及びシフト方向に移動可能に支持する本体部42と、本体部42から下方に延びて変速機ケース2に固定して取り付けられるアーム部43とを備えている。
本体部42は、手動変速機1の支持部20の本体部21と同様に、チェンジレバー30がセレクト方向及びシフト方向に移動可能にチェンジレバー30の球状部33を、図示しない球面軸受部材を介して支持するように形成されている。
アーム部43は、本体部42の車体前方側から下方に変速機ケース2の上面まで車体前方側に傾斜して延び、締結ボルトを用いて変速機ケース2の上面に固定される前側アーム部44と、本体部42の車体後方側から下方に変速機ケース2の上面まで車体後方側に傾斜して延び、締結ボルトを用いて変速機ケース2の上面に固定される後側アーム部45とによって構成されている。
前側アーム部44は、チェンジレバー30のセレクト操作時及びシフト操作時にチェンジレバー30の移動に伴って車体前後方向に移動されるセレクト操作用ケーブル12及びシフト操作用ケーブル14に干渉しないように形成されている。
このように、本参考例に係る手動変速機41においても、チェンジレバー30と、変速機ケース2内に軸線が車体前後方向に延びるように配置された変速機構と、前記変速機構を操作する変速操作機構と、チェンジレバー30と前記変速操作機構とを連結してチェンジレバー30の操作を前記変速操作機構に伝達するケーブル12、14とが備えられ、変速機ケース2に、チェンジレバー30をセレクト操作及びシフト操作可能に支持するための支持部40が設けられ、チェンジレバー30は、支持部40を介して変速機ケース2に支持されている。
これにより、チェンジレバー30と前記変速操作機構とがケーブル12、14によって連結されるので、所定位置に搭載された手動変速機41に対してチェンジレバー30の位置を自由に設定することができ、異なるタイプの車両で手動変速機41を共用しながら、チェンジノブ31の位置を車両タイプに応じてそれぞれ適切に設定することができる。
その際、チェンジレバー30は、変速機ケース2に設けられた支持部40に支持されるので、チェンジレバー30が車体に支持される場合のような駆動源による振動等による手動変速機1とチェンジレバー30との間の相対変位を抑制することができる。したがって、手動変速機とチェンジレバーとの間の相対変位を吸収するためにケーブルの長さを確保する必要がなくなるので、ケーブルを長くするために手動変速機が収納されるトンネル部を大きくする必要がなくなり、乗員の居住性の低下を引き起こすことがない。
その結果、チェンジノブ31の位置が異なるタイプの車両に適用しても、チェンジノブ31の位置を車両タイプに応じてそれぞれ適切に設定することができると共に、乗員の居住性の低下を引き起こすことを抑制することができる。
また、変速機ケース2に設けられた支持部40は、チェンジレバー30を支持すると共に変速機ケース2に取り付けられる取付ブラケット41によって形成される。これにより、比較的簡素な構成によってチェンジレバー30を変速機ケース2に支持させることができる。チェンジレバー30を支持する部分の位置が異なる取付ブラケットを用いることで、比較的容易にチェンジノブ31の位置を変更することができる。
図3は、本発明の実施形態に係る手動変速機の概略斜視図であり、図4は、図3におけるY4方向から見たチェンジレバー及び取付ブラケットを示す図、図5は、図3におけるY5方向から見たチェンジレバー及び取付ブラケットを示す図である。実施形態に係る手動変速機は、第1参考例に係る手動変速機と、チェンジレバーを支持する支持部が異なること以外は同様であるので、同様の構成については同一符号を付して説明を省略する。
実施形態に係る手動変速機51においても、チェンジレバー30と、変速機ケース2内に軸線が車体前後方向に延びるように配置された変速機構と、前記変速機構を操作する変速操作機構と、チェンジレバー30と前記変速操作機構とを連結してチェンジレバー30の操作を前記変速操作機構に伝達するケーブル12、14とが備えられている。
また、変速機ケース2には、チェンジレバー30をセレクト操作及びシフト操作可能に支持するための支持部50が設けられている。手動変速機51では、支持部50は、チェンジレバー30をセレクト操作及びシフト操作可能に支持すると共に変速機ケース2に取り付けられる取付ブラケット51によって形成されている。
取付ブラケット51は、チェンジレバー30をセレクト方向及びシフト方向に移動可能に支持する本体部52と、本体部52から車体前方側に下方に延びて変速機ケース2に取り付けられる前側アーム部54と、本体部52から車体後方側に下方に延びて車体に取り付けられる後側アーム部55とを備えている。
本体部52は、手動変速機1の支持部20の本体部21と同様に、チェンジレバー30がセレクト方向及びシフト方向に移動可能にチェンジレバー30の球状部33を、図示しない球面軸受部材を介して支持するように形成されている。本体部52にはまた、本体部51の上面にカバー部材71が取り付けられている。
前側アーム部54は、本体部52の車体前方側から下方に変速機ケース2の上面まで延び、変速機ケース2に取り付けられている。前側アーム部54の車体前方側には、車幅方向に離間して下方に延びる2つの取付部54aが設けられている。2つの取付部54aにはそれぞれ、車幅方向に延びる円形状の開口部54bが形成され、開口部54bにそれぞれ、円筒状に形成されたゴムなどの弾性部材61が取り付けられている。
変速機ケース2には、取付ブラケット51の前側アーム部54の取付部54aに対応する位置に、変速機ケース2の上方側に車体後方側に延びる板状の延設部4aが形成され、同一形状を有する4つの延設部4aが車幅方向に離間して形成されている。
図5に示すように、車幅方向一方側及び他方側にそれぞれ配置される2つの延設部4aの間に、取付ブラケット51の前側アーム部54の取付部54aがそれぞれ配置され、前側アーム部54の取付部54aと延設部4aとは、取付部54aと延設部4aとに挿通される支持ピン62によって回転可能に連結されている。なお、支持ピン62は、延設部4aに対して軸方向に抜け止めされている。
また、取付ブラケット51の前側アーム部54は、本体部52に結合される本体部側と変速機ケース2に連結される変速機ケース側との間の中間部54cが、図5に示すように、本体部52の中心に対して車幅方向にオフセットして設けられ、本体部52に対して車幅方向にオフセットした中間部54cに隣接して、チェンジレバー30の突起部32に連結されたシフト操作用ケーブル14が配設されている。
後側アーム部55は、本体部52の車体後方側から下方に車体後方側に傾斜して延び、円柱状に形成された後端部に円筒状に形成されたゴムなどの弾性部材64が取り付けられている。弾性部材64は、弾性部材64の外周に沿って断面U字状に形成されると共に両端部に外方に延びるフランジが形成された支持ブラケット65に保持されている。
支持ブラケット65は、図4に示すように、車体を構成する車体構成部材としての車体フロアに取り付けられた取付部材67に、締結ボルト68及びナット69を用いて取り付けられている。取付部材67は、底面部と両側の側面部と両側のフランジ部とを備えて車幅方向における断面が断面ハット状に形成され、前記底面部が支持ブラケット65に結合され、前記両側のフランジ部が車体フロアに結合されている。
取付ブラケット51はまた、前側アーム部54と後側アーム部55とを連結するアーム連結部57を備え、アーム連結部57は、前側アーム部54の車幅方向一方側と後側アーム部55の車幅方向一方側とを連結するように車体前後方向に延びている。
前記取付ブラケット51では、本体部52、前側アーム部54、後側アーム部55及びアーム連結部57が一体的に形成されている。このようにして、取付ブラケット51は、チェンジレバー30をセレクト方向及びシフト方向に移動可能に支持すると共に変速機ケース2に取り付けられている。なお、ケーブル12、14は、図3に示すように変速機ケース2及び取付ブラケット51にそれぞれ取り付けられた支持プレート5及び6によって車体前後方向に移動可能に支持され、図4及び図5では、支持プレート6を省略して示している。
このように、本実施形態に係る手動変速機51においても、チェンジレバー30と前記変速操作機構とを連結してチェンジレバー30の操作を前記変速操作機構に伝達するケーブル12、14が備えられ、変速機ケース2に、チェンジレバー30をセレクト操作及びシフト操作可能に支持するための支持部50が設けられ、チェンジレバー30は、支持部50を介して変速機ケース2に支持されている。
これにより、チェンジレバー30と前記変速操作機構とがケーブル12、14によって連結されるので、所定位置に搭載された手動変速機51に対してチェンジレバー30の位置を自由に設定することができ、異なるタイプの車両で手動変速機51を共用しながら、チェンジノブ31の位置を車両タイプに応じてそれぞれ適切に設定することができる。
その際、チェンジレバー30は、変速機ケース2に設けられた支持部50に支持されるので、チェンジレバー30が車体に支持される場合のような駆動源による振動等による手動変速機1とチェンジレバー30との間の相対変位を抑制することができる。したがって、手動変速機とチェンジレバーとの間の相対変位を吸収するためにケーブルの長さを確保する必要がなくなるので、ケーブルを長くするために手動変速機が収納されるトンネル部を大きくする必要がなくなり、乗員の居住性の低下を引き起こすことがない。
その結果、チェンジノブ31の位置が異なるタイプの車両に適用しても、チェンジノブ31の位置を車両タイプに応じてそれぞれ適切に設定することができると共に、乗員の居住性の低下を引き起こすことを抑制することができる。
また、変速機ケース2に設けられた支持部50は、チェンジレバー30を支持すると共に変速機ケース2に取り付けられる取付ブラケット51によって形成される。これにより、比較的簡素な構成によってチェンジレバー30を変速機ケース2に支持させることができる。チェンジレバー30を支持する部分の位置が異なる取付ブラケットを用いることで、比較的容易にチェンジノブ31の位置を変更することができる。
また、支持部50を形成する取付ブラケット51に、チェンジレバー30を支持する本体部52から延びて変速機ケース2に取り付けられるアーム部54が備えられ、アーム部54は、その中間部54cが本体部52に対して車幅方向にオフセットして設けられ、アーム部54の中間部54cに隣接してケーブル14が配設される。これにより、チェンジレバー30を支持する本体部52に対してオフセットしたアーム部54の中間部54cに隣接して配設されたケーブル14がチェンジレバー30の操作時に取付ブラケット51と干渉することを抑制することができる。
図6は、本発明の第3参考例に係る手動変速機のチェンジレバー及び取付ブラケットを示す図であり、図6では、実施形態の図3と同様の断面で示している。第3参考例に係る手動変速機は、実施形態に係る手動変速機と、取付ブラケットの前側アーム部が異なる以外は同様であるので、同様の構成については同一符号を付して説明を省略する。
第3参考例に係る手動変速機81においても、取付ブラケット51は、チェンジレバー30をセレクト方向及びシフト方向に移動可能に支持する本体部52と、本体部52から車体前方側に下方に延びて変速機ケース2に取り付けられる前側アーム部54と、本体部52から車体後方側に下方に延びて車体に取り付けられる後側アーム部55とを備えている。
前側アーム部54は、図6に示すように、車幅方向に離間して本体部52の車体前方側における車幅方向一方側及び車幅方向他方側からそれぞれ下方に変速機ケース2の上面まで延び、変速機ケース2に取り付けられる2つの前側アーム部85によって構成されている。
前側アーム部85の車体前方側にはそれぞれ、手動変速機51における取付部54aと同様に形成された取付部85aが設けられ、取付部85aには、車幅方向に延びる円形状の開口部が形成され、該開口部には、円筒状に形成されたゴムなどの弾性部材61が取り付けられている。
手動変速機81についても、変速機ケース2に、取付ブラケット51の前側アーム部85の取付部85aに対応する位置に、変速機ケース2の上方側に車体後方側に延びる板状の4つの延設部4aが車幅方向に離間して形成され、車幅方向一方側及び他方側にそれぞれ配置される2つの延設部4aにそれぞれ、前側アーム部85の取付部85aが支持ピン62を介して回転可能に連結されている。
本参考例では、取付ブラケット51の前側アーム部84は、車幅方向に離間して配置される2つの前側アーム部85、85の間に、チェンジレバー32に連結されたシフト操作用ケーブル14が配設されている。
このように、本参考例に係る手動変速機81では、支持部50を形成する取付ブラケット51に、チェンジレバー30を支持する本体部52から延びて変速機ケース2に取り付けられる第1及び第2アーム部85、85が備えられ、第1及び第2アーム部85、85の間にケーブル14が配設される。これにより、第1及び第2アーム部85、85の間に配設されたケーブル14がチェンジレバー14の操作時に取付ブラケット51と干渉することを抑制することができる。
なお、第2参考例に係る手動変速機41の前側アーム部44として、実施形態に係る手動変速機51のように、本体部51から変速機ケース2まで延びる1つの前側アーム部54によって形成したものや、実施形態に係る手動変速機81のように、車幅方向に離間して配置される2つの前側アーム部85、85によって形成したものなどを用いることが可能である。また、本実施形態においてチェンジレバー30をセレクト操作及びシフト操作可能に支持するための支持部の位置は車両タイプに応じて適宜変更され得る。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。