JP6361543B2 - スパッタリング用Bi−Geターゲット及びその製造方法 - Google Patents
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Description
これらの相変化型ディスクは、記録方式によってディスク上に形成される膜の構成が若干異なるものの、透明なプラスチック製基板上に、スパッタリング法により、誘電体層、記録層、誘電体層、及び反射層を順次積層形成することで製造される。
その対応策として、誘電体層と記録層との間に、スパッタ法により、Bi−Ge層を形成することが提案されている。このように、誘電体層と記録層との間に、Bi−Ge層を配置することで、相変化型ディスクのデータの書き込み速度、及び消去速度を高速化することが可能となる。
ここで、スパッタリング用Ge−Bi合金ターゲットにおける焼結密度を高めることで、スパッタリング用Ge−Bi合金ターゲットからのパーティクルが減少すると共に、スパッタ時の異常放電も減少することになる。
Geと比較してBiは延性を有するため、振動ミルのみの処理では、Ge粉末のように、Bi粉末を細かく粉砕することができない。
このため、上記Bi粉末及びGe粉末を用いて作製されたスパッタリング用Bi−Geターゲットを用いてスパッタ膜を形成すると、スパッタの初期段階においてスパッタ膜の組成が所望の組成からずれてしまうという問題が発生した。
このような問題を回避する手段として、スパッタの初期段階において、空スパッタすることで、Bi及びGeの組成を安定化させることが考えられるが、空スパッタの時間が長いとスパッタ膜形成工程における生産性が低下してしまう。
そこで、本発明者らは、製造方法によるターゲット組織への影響を詳細に検討し、本発明のスパッタリング用Bi−Geターゲットおよびその製造方法を発明するに至った。
これにより、スパッタの初期段階からGeをスパッタすることが可能となるので、空スパッタ時間を短縮した上でスパッタ膜の組成が所望の組成からずれることを抑制できる。
また、スパッタ膜の組成が所望の組成からずれることを抑制可能となることで、異常放電の回数を抑制することができる。
y≧0.1745×x+84.53 ・・・(1)
但し、上記(1)式において、xは、前記スパッタリング用Bi−Geターゲットに含まれるBi量(at%)である。
なお、焼結密度とは、下記(2)式によって算出された密度の値を100%とし、実測した密度の値との相対値のことをいう。
密度(100%)=100/[(Wa/Da)+(Wb/Db)] ・・・(2)
また、上記(2)式において、Waは元素Aの含有量(wt%)、Wbは元素Bの含有量(wt%)、Da=元素Aの理論密度(g/cm3)、Db=元素Bの理論密度(g/cm3)。
このように、Bi粉末、及びGe粉末のうち、少なくともいずれかを粉砕粉とすることで、混合時の各元素間の比重差による分離を抑制することができる。
原材料としてのBi粉末の平均粒径が20〜50μmと小さいため、スパッタ面に十分なGe粉末が露出したスパッタリング用Bi−Geターゲットとなり、Ge相の相互間距離を小さくすることができる。
これにより、スパッタの初期段階からGe粉末をスパッタすることが可能となるので、空スパッタ時間を短縮した上でスパッタ膜の組成が所望の組成からずれることを抑制できる。
<スパッタリング用Bi−Geターゲット>
本発明の実施の形態のスパッタリング用Bi−Geターゲットは、CD−RW、DVD−RW、DVD−RAM等の各種の相変化型光記録ディスク(以下、「相変化型ディスク」という)を構成する誘電体層と記録層との間に配置されるBi−Ge層を形成する際などに使用されるスパッタリング装置用のターゲットである。
なお、上記「相互間距離の平均値」とは、隣接するGe粒子間表面の最短距離の平均値のことをいう。また、上記最短距離の平均値を算出する際の視野領域は、6.89mm2とし、測定箇所は、ターゲット材の中心表面とする。
Ge相の相互間距離の平均値を20μmよりも小さくするためには、微細なBi粉末を原料とする必要があるが、微細なBi粉末は表面積が大きいため酸化されやすく、ターゲットの焼結密度を低下させてしまう。
したがって、ターゲット材に介在するGe相の相互間距離の平均値を20μm以上200μm以下の範囲内とすることで、スパッタリング用Bi−Geターゲットの焼結密度を低下させることなく、スパッタ処理開始直後において、スパッタ膜の組成が所望の組成からずれることを抑制できる。
また、スパッタ膜の組成が所望の組成からずれることを抑制可能となることで、異常放電の回数を抑制することができる。
スパッタリング用Bi−Geターゲットに含まれるBiが20at%よりも低いと、良好な焼結性を確保することが困難となってしまう。一方、スパッタリング用Bi−Geターゲットに含まれるBiが60at%よりも高いと、相変化型ディスクの高速化に対する効果が不十分となってしまう。
y≧0.1745×x+84.53 ・・・(3)
但し、上記(3)式において、xは、スパッタリング用Bi−Geターゲットに含まれるBi量(at%)である。
Ge組織の平均粒径を20〜70μmの範囲内にすることで、スパッタ処理開始直後において、スパッタ膜の組成が所望の組成からずれることを抑制できる。
このように、Bi粉末、及びGe粉末の少なくともいずれかが粉砕粉であることにより、混合時の各元素間の比重差による分離を抑制することができる。
次に、本実施の形態のスパッタリング用Bi−Geターゲットの製造方法について説明する。
始めに、振動ミル内にGeインゴットを導入し、該Geインゴットを砕き(粉砕)、その後、篩による分級を行うことで、Ge粉末を生成する。
このとき、篩としては、目の粗さが90μmのものを用いることができる。また、Ge粉末の平均粒径は、例えば、20〜70μmの範囲内とすることができる。
しかし、振動ミル後に、ボールミルを用いて粉砕することで、平均粒径が20〜50μmとされたBi粉末を得ることができる。ボールミルを用いた粉砕後において、Bi粉末の分級に使用する篩としては、例えば、目の粗さが90μmのものを用いることができる。
また、ボールミル内に不活性ガスを封入することで、細かく粉砕されたBi粉末が酸化されることを抑制できる。これにより、Bi粉末に含まれる酸素濃度を1000massppm以下にすることができる。
上記不活性ガスとしては、例えば、窒素や希ガス(例えば、アルゴンガス)を用いることができる。
このとき、Bi粉末とGe粉末との混合は、ボールミルを用いて行うことができる。この場合、例えば、ボールミル内の雰囲気を上述と同様の不活性ガス雰囲気とし、該不活性ガス雰囲気中でBi粉末とGe粉末とを混合するとよい。
このように、不活性ガス雰囲気中でBi粉末とGe粉末とを混合させることで、混合物中に含まれる酸素濃度が高くなることを抑制できる。具体的には、スパッタリング用Bi−Geターゲットに含まれる酸素濃度を2000massppm以下にすることができる。
その後、機械加工工程と、ボンディング工程と、を順次行うことで、スパッタリング用Bi−Geターゲットが製造される。
これにより、スパッタの初期段階からGe粉末をスパッタすることが可能となるので、空スパッタ時間を短縮した上でスパッタ膜の組成が所望の組成からずれることを抑制できる。
さらに、酸素濃度が1000massppm以下とされたBi粉末を生成することで、焼結密度の低下が抑制されると共に、スパッタ膜の特性が劣化することを抑制できる。
<比較例1及び実施例1のBi粉末の作製及びその評価>
試験例1では、ボールミルを使用しないで粉砕されたBi粉末(以下、「Bi粉末C1」という)と、ボールミルを使用して粉砕されたBi粉末(以下、「Bi粉末D1」という)と、を作製し、Bi粉末C1及びBi粉末D1の粒径を測定し、それぞれの平均粒径を算出した。
始めにBiインゴットを準備する。次いで、振動ミルを用いて、Biインゴットを粉砕した。このとき、1回の処理時間を60秒とした。
次いで、目の粗さが250μmとされた篩を用いて、振動ミルで粉砕したBiインゴットを分級することで、Bi粉末C1を作製した。
実施例1のBi粉末D1は、先に説明したBi粉末C1の作製方法と同様な処理を行った後、ボールミルを用いて、分級したBi粉末をさらに細かく粉砕し、その後、目の粗さが90μmの篩を用いて、分級することで作製した。
このとき、ボールミルで使用するボールとしては、直径が5mmのZrO2製のボールを用いた。
図1は、比較例1のBi粉末の粒度分布及び平均粒径の測定結果を示す図(グラフ)である。図2は、実施例1のBi粉末の粒度分布及び平均粒径の測定結果を示す図(グラフ)である。
また、比較例1のBi粉末C1の平均粒径が117.0μmであるのに対して、実施例1のBi粉末D1の平均粒径は、35.1μmであり、比較例1のBi粉末C1の平均粒径の1/3程度の値であった。
このことから、振動ミル後に、ボールミルによる粉砕処理を行うことで、より細かい粒径とされたBi粉末を生成可能なことが確認できた。
次いで、先に説明したBi粉末C1またはBi粉末D1と、振動ミルにより粉砕されたGe粉体(後述するGe粉末E)と、を用いて、比較例1のスパッタリング用Bi−Geターゲット(以下、「スパッタリング用Bi−GeターゲットS1」という)と、実施例1のスパッタリング用Bi−Geターゲット(以下、「スパッタリング用Bi−GeターゲットT1」という)と、を作製し、各ターゲットの表面を電子顕微鏡で観察した。
ここで、比較例1のスパッタリング用Bi−GeターゲットS1の製造方法について説明する。
始めに、Ge粉体(以下、「Ge粉末E」という)を作製した。具体的には、Geインゴットを準備後、振動ミルを用いて、Geインゴットを粉砕した。このとき、1回の処理時間を60秒とした。
次いで、目の粗さが90μmとされた篩を用いて、振動ミルで粉砕したGeインゴットを分級することで、Ge粉末Eを作製した。
次いで、上述と同様の手法により、Ge粉末Eの粒度分布を測定し、平均粒径を算出した。その結果、Ge粉末Eの平均粒径は、45μmであった。
ボールミルで使用するボールとしては、直径が5mmのZrO2製のボールを用い、混合時間は、3時間とした。
このとき、焼結時の最高温度を250℃、昇温スピードを600℃/時間、焼結時間を2時間、焼結室内の雰囲気をアルゴン雰囲気、焼結時に印加する圧力を600kg/cm3とした。
上記混合物の冷却温度は、室温(27℃)とした。また、冷却時間は、3時間とした。
実施例1では、Bi粉末C1に替えてBi粉末D1を用いると共に、Bi粉末D1とGe粉末Eとを混合させるボールミル内をアルゴンガス雰囲気にしたこと以外は、先に説明した比較例1のスパッタリング用Bi−GeターゲットS1の製造方法と同様な手法により、スパッタリング用Bi−GeターゲットT1(Bi35Ge65(at%)の組成とされたターゲット)を作製した。
次いで、比較例1のスパッタリング用Bi−GeターゲットS1の表面から試料片を切り出し、該試料片の表面を日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡であるJSM−6460LVを用いて観察した。このときの電子顕微鏡写真を図3に示す。
次いで、実施例1のスパッタリング用Bi−GeターゲットT1の表面から試料片を切り出し、該試料片の表面をJSM−6460LVを用いて観察した。このときの電子顕微鏡写真を図3に示す。
<実施例2のスパッタリング用Bi−Geターゲットの作製及びその評価>
実施例2では、ボールミルによる処理時間を長くしたこと以外は、先に説明したBi粉末D1の生成方法と同様な手法により、Bi粉末(以下、「Bi粉末D2」という)を作製した。
その後、上述した手法により、測定した結果を表1に示す。
次いで、ライン分析(2000μm幅)にて測定したGe相の相互間距離の平均値を求めた。この結果を表1に示す。
次いで、実施例2のスパッタリング用Bi−GeターゲットT2の表面粗さRaを測定した。具体的には、東京精密工業株式会社製のSURFCOM130Aを用いて、ターゲットの中心を1点測定(スキャン幅4mm)した。この結果を表1に示す。
その後、アジレント・テクノロジー株式会社製の発光分光分析装置であるVISTA−PROを用いて、上記スパッタ膜の組成を調べたところ、スパッタ膜の組成にずれは生じていなかった。この結果を表1に示す。
異常放電回数の計測には、MKSインスツルメンツ社製DC電源であるRPDG−50aのアークカウント機能を用い、放電開始から30分間の異常放電回数を計測した。
この結果を表1に示す。なお、異常放電回数が10回未満の場合には異常放電が無いと判定し、10回以上の場合には異常放電が有りと判定した。
実施例3では、ボールミルの処理時間を短くしたこと以外は、先に説明したBi粉末D1の生成方法と同様な手法により、Bi粉末(以下、「Bi粉末D3」という)を作製し、上述した手法により測定した結果を表1に示す。
次いで、上述した手法により、試験例1で説明したGe粉末Eと、Bi粉末D3と、を用いて、実施例2と同じ組成とされた実施例3のスパッタリング用Bi−GeターゲットT3を作製し、その後、スパッタ膜を成膜した。その後、上述した手法により、これらを評価した。この結果を表1に示す。
実施例4では、ボールミルの処理時間を短くしたこと以外は、先に説明したBi粉末D1の生成方法と同様な手法により、Bi粉末(以下、「Bi粉末D4」という)を作製し、上述した手法により測定した結果を表1に示す。
次いで、上述した手法により、試験例1で説明したGe粉末Eと、Bi粉末D4と、を用いて、実施例2と同じ組成とされた実施例4のスパッタリング用Bi−GeターゲットT4を作製し、その後、スパッタ膜を成膜した。その後、上述した手法により、これらを評価した。この結果を表1に示す。
実施例5では、Bi粉末生成工程においてボールミル内にアルゴンガスを封入しなかったこと以外は、実施例4のBi粉末D4と同様な手法により、実施例5のBi粉末D5を作製し、上述した手法により測定した結果を表1に示す。
次いで、上述した手法により、試験例1で説明したGe粉末Eと、Bi粉末D5と、を用いて、実施例2と同じ組成とされた実施例5のスパッタリング用Bi−GeターゲットT5、及びスパッタ膜を作製し、上述した手法により、これらを評価した。この結果を表1に示す。
実施例6では、ボールミルの処理時間を長くしたこと以外は、実施例2のBi粉末D2と同様な手法により、実施例6のBi粉末D6を作製し、上述した手法により測定した結果を表1に示す。
次いで、上述した手法により、試験例1で説明したGe粉末Eと、Bi粉末D6と、を用いて、実施例2と同じ組成とされた実施例6のスパッタリング用Bi−GeターゲットT6を作製し、その後、スパッタ膜を成膜した。その後、上述した手法により、これらを評価した。この結果を表1に示す。
実施例7では、Bi粉末生成工程においてボールミル内にアルゴンガスを封入しなかったこと以外は、実施例3のBi粉末D3と同様な手法により、実施例7のBi粉末D7を作製し、上述した手法により測定した結果を表1に示す。
次いで、上述した手法により、試験例1で説明したGe粉末Eと、Bi粉末D7と、を用いて、実施例2と同じ組成とされた実施例7のスパッタリング用Bi−GeターゲットT7を作製し、その後、スパッタ膜を成膜した。その後、上述した手法により、これらを評価した。この結果を表1に示す。
比較例2では、ボールミルの処理時間を短くしたこと以外は、実施例2のBi粉末D2と同様な手法により、比較例2のBi粉末C2を作製し、上述した手法により測定した結果を表1に示す。
次いで、上述した手法により、試験例1で説明したGe粉末Eと、Bi粉末C2と、を用いて、実施例2と同じ組成とされた比較例2のスパッタリング用Bi−GeターゲットS2を作製し、その後、スパッタ膜を成膜した。その後、上述した手法により、これらを評価した。この結果を表1に示す。
比較例3では、ボールミルを用いることなく、振動ミルのみで粉砕させたこと以外は、実施例2のBi粉末D2と同様な手法により、比較例3のBi粉末C3を作製し、上述した手法により測定した結果を表1に示す。
次いで、上述した手法により、試験例1で説明したGe粉末Eと、Bi粉末C3と、を用いて、実施例2と同じ組成とされた比較例3のスパッタリング用Bi−GeターゲットS3を作製し、その後、スパッタ膜を成膜した。その後、上述した手法により、これらを評価した。この結果を表1に示す。
先に説明した試験例2では、スパッタリング用Bi−GeターゲットS2〜S7,T2,T3を作製し、これらを評価した。試験例3では、これらのターゲットよりもBiの組成の高い、Bi60Ge40(at%)の組成とされたスパッタリング用Bi−Geターゲットを作製し、これらを評価した点が試験例2とは異なる。
実施例8では、実施例2で作製したBi粉末D2を用いた。Bi粉末D2の平均粒径、ボールミル内へのアルゴンガスの封入の有無、Bi粉末D2に含まれる酸素濃度を表2に示す。
なお、表2には、実施例9〜13で使用するBi粉末、及び比較例4,5で使用するBi粉末の平均粒径、ボールミル内へのアルゴンガスの封入の有無、上記Bi粉末に含まれる酸素濃度も示す。
実施例9では、上述した手法により、試験例1で説明したGe粉末Eと、実施例3で作製したBi粉末D3と、を用いて、実施例8と同じ組成とされた実施例9のスパッタリング用Bi−GeターゲットT9を作製し、その後、スパッタ膜を成膜した。その後、上述した手法により、これらを評価した。この結果を表2に示す。
実施例10では、上述した手法により、試験例1で説明したGe粉末Eと、実施例4で作製したBi粉末D4と、を用いて、実施例5と同じ組成とされた実施例10のスパッタリング用Bi−GeターゲットT10を作製し、その後、スパッタ膜を成膜した。その後、上述した手法により、これらを評価した。この結果を表2に示す。
実施例11では、上述した手法により、試験例1で説明したGe粉末Eと、実施例5で作製したBi粉末D5と、を用いて、実施例8と同じ組成とされた実施例11のスパッタリング用Bi−GeターゲットT11を作製し、その後、スパッタ膜を成膜した。その後、上述した手法により、これらを評価した。この結果を表2に示す。
実施例12では、上述した手法により、試験例1で説明したGe粉末Eと、実施例6で作製したBi粉末D6と、を用いて、実施例8と同じ組成とされた実施例12のスパッタリング用Bi−GeターゲットT12を作製し、その後、スパッタ膜を成膜した。その後、上述した手法により、これらを評価した。この結果を表2に示す。
実施例13では、上述した手法により、試験例1で説明したGe粉末Eと、実施例7で作製したBi粉末D7と、を用いて、実施例8と同じ組成とされた実施例13のスパッタリング用Bi−GeターゲットT13を作製し、その後、スパッタ膜を成膜した。その後、上述した手法により、これらを評価した。この結果を表2に示す。
比較例4では、上述した手法により、試験例1で説明したGe粉末Eと、比較例2で作製したBi粉末C2と、を用いて、実施例8と同じ組成とされた比較例4のスパッタリング用Bi−GeターゲットS4を作製し、その後、スパッタ膜を成膜した。その後、上述した手法により、これらを評価した。この結果を表2に示す。
比較例5では、上述した手法により、試験例1で説明したGe粉末Eと、比較例3で作製したBi粉末C3と、を用いて、実施例8と同じ組成とされた比較例5のスパッタリング用Bi−GeターゲットS5を作製し、その後、スパッタ膜を成膜した。その後、上述した手法により、これらを評価した。この結果を表2に示す。
表1,2を参照するに、振動ミルの処理後に、ボールミルを用いた粉砕を行うことで、Bi粉末の粒径を10μm程度まで小さく粉砕可能なことが判った。
つまり、ターゲット材に介在するGe相の相互間距離の平均値が135μm以下では、スパッタ膜の組成のずれが無く、Ge相の相互間距離の平均値が210μm以上でスパッタ膜の組成のずれがあることが判った。
特に、実施例7,13に示すように、Bi粉末の平均粒径が小さい場合(この場合、35μm)において、ボールミル内にアルゴンガスを封入しないと、Bi粉末に含まれる酸素濃度が非常に高くなることが判った。
スパッタリング用Bi−GeターゲットT8〜T10とBiの組成が同じである実施例11〜13及び比較例4,5のスパッタリング用Bi−GeターゲットT11〜T13,S4,S5の焼結密度は、最高で92.5%であった。
上記結果から、実施例のスパッタリング用Bi−Geターゲットによれば、Bi組成が低い場合でも、高い焼結密度を得ることができるということが確認できた。
さらに、ターゲットの焼結密度が高いと、ターゲットの表面粗さが小さくなり、ターゲットの焼結密度が低いと、ターゲットの表面粗さが大きくなることが確認できた。
Claims (6)
- Biを20at%以上60at%以下の範囲内で含み、残部がGe及び不可避不純物からなる組成を有し、Bi粉末とGe粉末との焼結体からなり、
ターゲット材に介在するGe相の相互間距離の平均値が20μm以上200μm以下であることを特徴とするスパッタリング用Bi−Geターゲット。 - 前記不可避不純物である酸素濃度が2000massppm以下とされるとともに、焼結密度yが下記(1)式を満たすことを特徴とする請求項1記載のスパッタリング用Bi−Geターゲット。
y≧0.1745×x+84.53 ・・・(1)
但し、上記(1)式において、xは、前記スパッタリング用Bi−Geターゲットに含まれるBi量(at%)である。 - 前記Bi粉末、及び前記Ge粉末は、少なくともいずれかが粉砕粉であることを特徴とする請求項1または2記載のスパッタリング用Bi−Geターゲット。
- 振動ミルによりGeインゴットを砕くことでGe粉末を生成する工程と、
振動ミルと、ボールミルと、を順次使用することで、Biインゴットを粉砕して、平均粒径が20〜50μmの範囲内とされ、かつ酸素濃度が1000massppm以下とされたBi粉末を生成する工程と、
前記Bi粉末と、残部のGe粉末と、を混合して20〜60at%の前記Bi粉末を含む混合物を生成する工程と、
前記混合物を焼結する工程と、
を含むことを特徴とするスパッタリング用Bi−Geターゲットの製造方法。 - 前記Bi粉末を生成する工程では、前記ボールミル内に不活性ガスを封入することを特徴とする請求項4記載のスパッタリング用Bi−Geターゲットの製造方法。
- 前記混合物を生成する工程では、不活性ガス雰囲気中で前記Bi粉末と前記Ge粉末とを混合させることを特徴とする請求項4または5記載のスパッタリング用Bi−Geターゲットの製造方法。
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