JP6360787B2 - 麹菌変異株及び形質転換体 - Google Patents

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Description

本発明は、固体培養に好適であり、かつ遺伝子組換えの宿主として好適な麹菌変異株及び、該麹菌変異株から得られた形質転換体に関する。
従来、稲わら、コーンストーバ等のリグノセルロース系バイオマスを基質として、該基質を糖化酵素により糖化し、得られた糖を微生物(アルコール発酵菌)により発酵させてエタノール等のアルコールを製造する方法が知られている。
また、前記リグノセルロース系バイオマスを糖化酵素により糖化する際に、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)等の麹菌に糖化酵素遺伝子が導入された形質転換体を用いることが知られている。前記形質転換体は、例えば、前記リグノセルロース系バイオマスを用いて固体培養されることにより糖化酵素を生産し、該糖化酵素により該リグノセルロース系バイオマスが糖化される。
ところが、前記アスペルギルス・オリゼはプロテアーゼ遺伝子を有しており、プロテアーゼを生産するので、前記形質転換体により生産される異種酵素が該プロテアーゼにより分解されてしまうという問題がある。
前記問題を解決するために、前記アスペルギルス・オリゼのプロテアーゼ遺伝子を欠損させることにより異種酵素の生産量を向上させることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
Disruption of ten protease genes in the filamentous fungus Aspergillus oryzae highly improves production of heterologous proteins, Appl Microbiol Biotechnol(2011)89:747-759
しかしながら、前記プロテアーゼ遺伝子を欠損させたアスペルギルス・オリゼでは異種酵素の生産量を十分に向上させることができず、さらに改良が望まれる。
本発明は、かかる事情に鑑み、糖化酵素遺伝子を導入して形質転換することにより異種酵素の生産量を飛躍的に向上させることができる麹菌変異株及び、該麹菌変異株に糖化酵素遺伝子が導入された形質転換体を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明の麹菌変異株は、アスペルギルス・オリゼAOK27L株に由来するアスペルギルス・オリゼHO2株(受託番号:NITE BP−01750)の転写因子をコードする遺伝子prtRの全長又は一部が欠損している麹菌変異株であって、アスペルギルス・オリゼHO3株(受託番号:NITE BP−01954)であることを特徴とする。
本発明の麹菌変異株によれば、前記遺伝子prtRの全長又は一部が欠損していることにより、プロテアーゼ遺伝子の発現を正に制御する転写因子を発現することができず、複数のプロテアーゼ遺伝子の発現が抑制される。この結果、本発明の麹菌変異株に糖化酵素遺伝子を導入して形質転換体としたときに、該形質転換体が生産する糖化酵素(異種酵素)のプロテアーゼによる分解が低減し、該糖化酵素の生産量を飛躍的に向上させることができる。
本発明の形質転換体は、アスペルギルス・オリゼHO2株(受託番号:NITE BP−01750)の転写因子をコードする遺伝子prtRの全長又は一部が欠損している麹菌変異株であるアスペルギルス・オリゼHO3株(受託番号:NITE BP−01954)に、糖化酵素遺伝子が導入されていることを特徴とする。
本発明の形質転換体によれば、前記遺伝子prtRの全長又は一部が欠損していることにより、複数のプロテアーゼ遺伝子の発現が抑制される。そこで、本発明の形質転換体によれば、導入された糖化酵素遺伝子により生産される糖化酵素(異種酵素)のプロテアーゼによる分解が低減し、該糖化酵素の生産量を飛躍的に向上させることができる。
本発明の形質転換体において、前記糖化酵素遺伝子は、セロビオハイドロラーゼ遺伝子、β−グルコシダーゼ遺伝子、エンドキシラナーゼ遺伝子、アラビノフラノシダーゼ遺伝子、グルクロニダーゼ遺伝子、エンドグルカナーゼ遺伝子からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子であることが好ましい。
前記糖化酵素遺伝子は、より具体的には、アクレモニウム・セルロリティカス由来のセロビオハイドロラーゼ遺伝子、アクレモニウム・セルロリティカス由来のβ−グルコシダーゼ遺伝子、サーモアスカス属菌由来のエンドキシラナーゼ遺伝子、アクレモニウム・セルロリティカス由来のアラビノフラノシダーゼ遺伝子、アクレモニウム・セルロリティカス由来のグルクロニダーゼ遺伝子からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子であることが好ましい。
また、本発明の形質転換体において、前記糖化酵素遺伝子は、染色体中に導入されていることが好ましい。
本発明の麹菌変異株の形質転換体と、アスペルギルス・オリゼHO2株の形質転換体との糖化酵素生産量を示すグラフ。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
本実施形態の麹菌変異株は、アスペルギルス・オリゼHO2株の転写因子をコードする遺伝子prtRの全長又は一部が欠損しているものである。
アスペルギルス・オリゼHO2株は、アスペルギルス・オリゼAOK27L株(株式会社秋田今野商店より入手可能)のpyrG遺伝子の全長又は一部が欠損したウリジン要求性変異株であるアスペルギルス・オリゼHO1株に対し、さらにligD遺伝子を欠損させた変異株である。
アスペルギルス・オリゼHO1株、アスペルギルス・オリゼHO2株は、本出願人により、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)に寄託されている(寄託日:平成25年11月12日)。受託番号は、アスペルギルス・オリゼHO1株がNITE BP−01749であり、アスペルギルス・オリゼHO2株がNITE BP−01750である。
アスペルギルス・オリゼHO2株のprtR遺伝子の全長又は一部を欠損する方法は、プロトプラスト−PEG法、自然変異法等の微生物の遺伝子組み換えにおいて用いられる公知の技術の中から適宜選択して用いることができる。
本出願人は、アスペルギルス・オリゼHO2株のprtR遺伝子の全長又は一部が欠損している麹菌変異株を、アスペルギルス・オリゼHO3株と命名し、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)に寄託した(寄託日:平成26年10月24日、受託番号:NITE BP−01954)。
また、本実施形態の形質転換体は、アスペルギルス・オリゼHO3株の染色体に、糖化酵素遺伝子が導入されている。
前記糖化酵素遺伝子は、例えば、セロビオハイドロラーゼ遺伝子、β−グルコシダーゼ遺伝子、エンドキシラナーゼ遺伝子、アラビノフラノシダーゼ遺伝子、グルクロニダーゼ遺伝子、エンドグルカナーゼ遺伝子からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である。
また、前記糖化酵素遺伝子は、より具体的には、アクレモニウム・セルロリティカス由来のセロビオハイドロラーゼ遺伝子、アクレモニウム・セルロリティカス由来のβ−グルコシダーゼ遺伝子、サーモアスカス属菌由来のエンドキシラナーゼ遺伝子、アクレモニウム・セルロリティカス由来のアラビノフラノシダーゼ遺伝子、アクレモニウム・セルロリティカス由来のグルクロニダーゼ遺伝子からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である。
前記形質転換体は、前記糖化酵素遺伝子を発現させるための発現カセットを組み込んだ発現ベクターをアスペルギルス・オリゼHO3株の染色体に導入することにより得ることができる。ここで、前記発現カセットとは、構造遺伝子を発現させるために必要なDNAの組合せであり、構造遺伝子と宿主細胞内で機能するプロモーター及びターミネーターを含む。前記発現カセットには、さらに、5´−非翻訳領域、3´−非翻訳領域のいずれか1つ以上が含まれていてもよい。
また、前記発現カセットを組み込む発現ベクターとしては、アスペルギルス・オリゼを初めとする麹菌に対する形質転換に使用可能な公知のベクターの中から適宜選択して、必要に応じて適宜改変したものを用いることができる。
発現ベクターをアスペルギルス・オリゼHO3株の染色体に導入する形質転換方法は、特に限定されるものではなく、アスペルギルス・オリゼを初めとする麹菌に対する遺伝子導入を行う際に使用される各種方法により行うことができる。前記形質転換方法としては、例えば、プロトプラスト−PEG法、PEG−カルシウム法(Mol.Gen.Genet., vol.218, p.99-104(1989))、エレクトロポレーション法、アグロバクテリウム法等をあげることができる。
本実施形態の形質転換体によれば、prtR遺伝子の全長又は一部が欠損していることにより、複数のプロテアーゼ遺伝子の発現が抑制される。そこで、本実施形態の形質転換体によれば、導入された糖化酵素遺伝子により生産される糖化酵素(異種酵素)のプロテアーゼによる分解が低減し、該糖化酵素の生産量を飛躍的に向上させることができる。
次に、本発明の実施例及び比較例を示す。
〔実施例1〕
本実施例では、アスペルギルス・オリゼHO2株から、次のようにしてprtR遺伝子が欠損している麹菌変異株であるアスペルギルス・オリゼHO3株を構築した。
まず、アスペルギルス・オリゼHO2株のゲノムDNA遺伝子を鋳型に、プライマー1、2にてprtR遺伝子の上流配列、プライマー3、4にて下流配列、プライマー5、6にてマーカーリサイクリング用配列、アスペルギルス・アワモリHA1株(受託番号:NITE BP−01751)のゲノムDNA遺伝子を鋳型に、プライマー7、8にてpyrG遺伝子発現カセットを、それぞれDNAポリメラーゼ(東洋紡績株式会社製、商品名:KOD FX neo)にてPCR増幅し、精製キット(QIAGEN社製、商品名:QIAquick PCR purification kit)にて精製して、計4つの遺伝子断片を取得した。
次に、プラスミドpRI910(タカラバイオ株式会社製)を制限酵素SmaI(タカラバイオ株式会社製)にて30℃で処理し、前記精製キットにて精製してプラスミドを線状化したもの(以下、「第1の線状化プラスミド」と略記する)を取得した。
次に、前記上流配列、pyrG遺伝子発現カセット、線状化プラスミド配列の3つの遺伝子断片をクローニングキット(タカラバイオ株式会社製、商品名:In-Fusion(登録商標) HD Cloning kit)にて処理し、E.coliHST08株(タカラバイオ株式会社より入手)に形質転換し、プラスミドpRI910のSmaIサイト部分に、前記上流配列とpyrG遺伝子発現カセットとを導入したプラスミドpRI−AoΔprtR1::pyrGを取得した。
次に、プラスミドpRI−AoΔprtR1::pyrGを制限酵素NotI(タカラバイオ株式会社製)にて37℃で処理し、前記精製キットにて精製して、プラスミドpRI−AoΔprtR1::pyrGを線状化したもの(以下、「第2の線状化プラスミド」と略記する)を取得した。
次に、前記マーカーリサイクリング用配列、前記下流配列、第2の線状化プラスミド配列の3つの遺伝子断片を、前記クローニングキットにて処理してE.coliHST08株に形質転換し、プラスミドpRI−AoΔprtR1::pyrGのpyrG遺伝子発現カセットの下流に前記マーカーリサイクリング用配列、前記下流配列を導入したプラスミドpRI−AoΔprtR::pyrGRを取得した。
次に、プラスミドpRI−AoΔprtR::pyrGRを鋳型に、プライマー9、10を用い、前記DNAポリメラーゼにてPCR増幅し、前記精製キットにて精製して麹菌形質転換用の遺伝子断片を取得した。
次に、PEG−カルシウム法により定法に従って、前記麹菌形質転換用の遺伝子断片を用い、アスペルギルス・オリゼHO2株を形質転換した。
次に、前記形質転換したアスペルギルス・オリゼHO2株から、CD培地にて生育できる株を選択し、prtR遺伝子欠損株を取得した。
次に、得られたprtR遺伝子欠損株の胞子懸濁液を、CD培地に終濃度1mg/1mLの5−フルオロオロチン酸一水和物(和光純薬工業株式会社製)と終濃度20mMのウリジン(シグマアルドリッチ社製)とを加えたプレート培地に、1×10個/プレートになるように植菌し、生育できる株を選択して、prtR遺伝子とpyrG遺伝子との2遺伝子欠損株であり、ウリジン要求性を備える麹菌変異株としてアスペルギルス・オリゼHO3株を取得した。
プライマー1〜10の塩基配列を表1に示す。
〔比較例1〕
本比較例では、アスペルギルス・オリゼHO2株から、次のようにしてpepE遺伝子が欠損している麹菌変異株を構築した。
まず、アスペルギルス・オリゼHO2株のゲノムDNA遺伝子を鋳型に、プライマー11、12にてpepE遺伝子の上流配列、プライマー13、14にて下流配列、プライマー15、16にてマーカーリサイクリング用配列、アスペルギルス・アワモリHA1株(受託番号:NITE BP−01751)のゲノムDNA遺伝子を鋳型に、プライマー7、8にてpyrG遺伝子発現カセットを、それぞれDNAポリメラーゼ(東洋紡績株式会社製、商品名:KOD -plus- neo)にてPCR増幅し、精製キット(QIAGEN社製、商品名:QIAquick PCR purification kit)にて精製して、計4つの遺伝子断片を取得した。
次に、前記4つの遺伝子断片を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、アスペルギルス・オリゼHO2株を形質転換した。
次に、前記形質転換したアスペルギルス・オリゼHO2株から、CD培地にて生育できる株を選択し、pepE遺伝子欠損株を取得した。
次に、得られたpepE遺伝子欠損株の胞子懸濁液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、pepE遺伝子とpyrG遺伝子との2遺伝子欠損株であり、ウリジン要求性を備える麹菌変異株を取得した。
プライマー11〜16の塩基配列を表2に示す。
〔比較例2〕
本比較例では、アスペルギルス・オリゼHO2株から、次のようにしてpepA遺伝子が欠損している麹菌変異株を構築した。
まず、アスペルギルス・オリゼHO2株のゲノムDNA遺伝子を鋳型に、プライマー17、18にてpepA遺伝子の上流配列、プライマー19、20にて下流配列、プライマー21、22にてマーカーリサイクリング用配列、アスペルギルス・アワモリHA1株(受託番号:NITE BP−01751)のゲノムDNA遺伝子を鋳型に、プライマー7、8にてpyrG遺伝子発現カセットを、それぞれDNAポリメラーゼ(東洋紡績株式会社製、商品名:KOD -plus- neo)にてPCR増幅し、精製キット(QIAGEN社製、商品名:QIAquick PCR purification kit)にて精製して、計4つの遺伝子断片を取得した。
次に、前記4つの遺伝子断片を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、アスペルギルス・オリゼHO2株を形質転換した。
次に、前記形質転換したアスペルギルス・オリゼHO2株から、CD培地にて生育できる株を選択し、pepA遺伝子欠損株を取得した。
次に、得られたpepA遺伝子欠損株の胞子懸濁液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、pepA遺伝子とpyrG遺伝子との2遺伝子欠損株であり、ウリジン要求性を備える麹菌変異株を取得した。
プライマー17〜22の塩基配列を表3に示す。
〔比較例3〕
本比較例では、アスペルギルス・オリゼHO2株から、次のようにしてtppA遺伝子が欠損している麹菌変異株を構築した。
まず、アスペルギルス・オリゼHO2株のゲノムDNA遺伝子を鋳型に、プライマー23、24にてtppA遺伝子の上流配列、プライマー25、26にて下流配列、プライマー27、28にてマーカーリサイクリング用配列、アスペルギルス・アワモリHA1株(受託番号:NITE BP−01751)のゲノムDNA遺伝子を鋳型に、プライマー7、8にてpyrG遺伝子発現カセットを、それぞれDNAポリメラーゼ(東洋紡績株式会社製、商品名:KOD -plus- neo)にてPCR増幅し、精製キット(QIAGEN社製、商品名:QIAquick PCR purification kit)にて精製して、計4つの遺伝子断片を取得した。
次に、前記4つの遺伝子断片を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、アスペルギルス・オリゼHO2株を形質転換した。
次に、前記形質転換したアスペルギルス・オリゼHO2株から、CD培地にて生育できる株を選択し、tppA遺伝子欠損株を取得した。
次に、得られたtppA遺伝子欠損株の胞子懸濁液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、tppA遺伝子とpyrG遺伝子との2遺伝子欠損株であり、ウリジン要求性を備える麹菌変異株を取得した。
プライマー23〜28の塩基配列を表4に示す。
〔比較例4〕
本比較例では、アスペルギルス・オリゼHO2株から、次のようにしてcpI遺伝子が欠損している麹菌変異株を構築した。
まず、アスペルギルス・オリゼHO2株のゲノムDNA遺伝子を鋳型に、プライマー29、30にてcpI遺伝子の上流配列、プライマー31、32にて下流配列、プライマー33、34にてマーカーリサイクリング用配列、アスペルギルス・アワモリHA1株(受託番号:NITE BP−01751)のゲノムDNA遺伝子を鋳型に、プライマー7、8にてpyrG遺伝子発現カセットを、それぞれDNAポリメラーゼ(東洋紡績株式会社製、商品名:KOD -plus- neo)にてPCR増幅し、精製キット(QIAGEN社製、商品名:QIAquick PCR purification kit)にて精製して、計4つの遺伝子断片を取得した。
次に、前記4つの遺伝子断片を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、アスペルギルス・オリゼHO2株を形質転換した。
次に、前記形質転換したアスペルギルス・オリゼHO2株から、CD培地にて生育できる株を選択し、cpI遺伝子欠損株を取得した。
次に、得られたcpI遺伝子欠損株の胞子懸濁液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、cpI遺伝子とpyrG遺伝子との2遺伝子欠損株であり、ウリジン要求性を備える麹菌変異株を取得した。
プライマー29〜34の塩基配列を表5に示す。
〔形質転換体の構築〕
次に、セロビオハイドロラーゼ(cbh1)遺伝子を導入する場合を例として、形質転換体の構築方法について説明する。
まず、アスペルギルス・オリゼHO2株のゲノムDNA遺伝子を鋳型に、プライマー35、36にてpyrG遺伝子の上流配列、プライマー37、38にて下流配列、プライマー39、40にてteflプロモーター遺伝子、プライマー41、42にてagdAターミネーター遺伝子、アクレモニウム・セルロリィティカスH1株(受託番号:NITE BP−11508)のゲノムDNAを鋳型に、プライマー43、44にてセロビオハイドロラーゼ(cbh1)遺伝子、アスペルギルス・アワモリHA1株(受託番号:NITE BP−01751)のゲノムDNA遺伝子を鋳型に、プライマー45、46にてpyrG遺伝子発現カセットを、それぞれDNAポリメラーゼ(東洋紡績株式会社製、商品名:KOD -plus- neo)にてPCR増幅し、精製キット(QIAGEN社製、商品名:QIAquick PCR purification kit)にて精製して、計6つの遺伝子断片を取得した。
次に、プラスミドpMD20(タカラバイオ株式会社製)を制限酵素SmaI(タカラバイオ株式会社製)にて30℃で処理し、前記精製キットにて精製してプラスミドの制限処理物(遺伝子断片)を取得した。
前述のようにして得られた各遺伝子断片を、順次クローニングキット(タカラバイオ株式会社製、商品名:In-Fusion(登録商標) HD Cloning kit)にて処理し、E.coliHST08株(タカラバイオ株式会社製)に形質転換し、プラスミドpPPT1−CBH1を取得した。
次に、得られたプラスミドpPPT1−CBH1を鋳型として、プライマー47、48にて、前記DNAポリメラーゼにてPCR増幅し、前記精製キットにて精製して麹菌形質転換用の遺伝子断片(pyrG−CBH1断片)を取得した。
次に、PEG−カルシウム法の定法に従って、前記麹菌形質転換用の遺伝子断片(pyrG−CBH1断片)を用い、アスペルギルス・オリゼHO2株(参考例)と、実施例1及び比較例1〜4で得られたアスペルギルス・オリゼHO2株の遺伝子欠損株とをそれぞれ形質転換し、形質転換体を得た。
次に、得られた形質転換体からCDプレート培地で生育できる株を選択し、参考例、実施例1、比較例1〜4の麹菌変異株にそれぞれ対応する形質転換体を得た。前記形質転換体は、いずれも染色体にセロビオハイドロラーゼ(cbh1)遺伝子が導入されており、セロビオハイドロラーゼを生産することができる。以下、セロビオハイドロラーゼ(cbh1)遺伝子が導入されて、セロビオハイドロラーゼを生産することができる形質転換体を「CBH1生産株」と記載する。
プライマー35〜48の塩基配列を表6に示す。
〔セロビオハイドロラーゼ生産量の測定〕
次に、参考例、実施例1、比較例1〜4の麹菌変異株にそれぞれ対応するCBH1生産株によるセロビオハイドロラーゼ生産量の測定方法について説明する。
前記各CBH1生産株によるセロビオハイドロラーゼ生産量を測定するために、まず、前記各CBH1生産株を、CDプレート培地にて1週間培養して胞子を形成させ、0.01%POLYSORBATE20(和光純薬工業社製)を用いて回収し、胞子懸濁液を取得した。
次に、100mL三角フラスコにPD液体培地(2質量/容量%デキストリン、1質量/容量%ポリペプトン、0.1質量/容量%カザミノ酸、0.5質量/容量%リン酸2水素カリウム、0.05質量/容量%硫酸マグネシウム、0.1質量/容量%硝酸ナトリウム)30mLを取り、これに前記胞子を最終胞子濃度1×10/mLとなるように植菌し、30℃で6日間の液体培養を行い、目的酵素であるセロビオハイドロラーゼ(CBH1)が培地中に分泌発現されたCBH1生産株の培養液を得た。
次に、各培養液中のCBH1濃度を、SDS−PAGE解析により確認した。タンパク質濃度の基準とするために、0.25μg、0.5μg及び2μgのBSAを同時に泳動し、酵素サンプル10μL中のCBH1濃度をChemiDoc(登録商標)XRS+システムを用いた画像解析により算出した。
結果を図1及び表7に示す。
図1及び表1から、遺伝子欠損の無いアスペルギルス・オリゼHO2株(参考例)の形質転換体のセロビオハイドロラーゼ(CBH1)生産量の相対値を1.0とすると、アスペルギルス・オリゼHO2株の転写因子をコードするprtR遺伝子を欠損させたアスペルギルス・オリゼHO3株(実施例1)の形質転換体のCBH1生産量の相対値は1.11となり、参考例の形質転換体を上回ることがわかる。
また、表1から、アスペルギルス・オリゼHO2株のprtR遺伝子以外の遺伝子を欠損させた遺伝子欠損株(比較例1〜4)のCBH1生産量の相対値は0.97〜1.09であり、いずれも実施例1の形質転換体に及ばないことがわかる。
従って、実施例1のアスペルギルス・オリゼHO3株の形質転換体によれば、糖化酵素であるCBH1の生産量を飛躍的に向上させることができることが明らかである。
符号なし

Claims (5)

  1. アスペルギルス・オリゼAOK27L株に由来するアスペルギルス・オリゼHO2株(受託番号:NITE BP−01750)の転写因子をコードする遺伝子prtRの全長又は一部が欠損している麹菌変異株であって、
    アスペルギルス・オリゼHO3株(受託番号:NITE BP−01954)であることを特徴とする麹菌変異株。
  2. アスペルギルス・オリゼHO3株(受託番号:NITE BP−01954)に、糖化酵素遺伝子が導入されていることを特徴とする形質転換体。
  3. 請求項2記載の形質転換体において、前記糖化酵素遺伝子は、セロビオハイドロラーゼ遺伝子、β−グルコシダーゼ遺伝子、エンドキシラナーゼ遺伝子、アラビノフラノシダーゼ遺伝子、グルクロニダーゼ遺伝子、エンドグルカナーゼ遺伝子からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子であることを特徴とする形質転換体。
  4. 請求項3記載の形質転換体において、前記糖化酵素遺伝子は、アクレモニウム・セルロリティカス由来のセロビオハイドロラーゼ遺伝子、アクレモニウム・セルロリティカス由来のβ−グルコシダーゼ遺伝子、サーモアスカス属菌由来のエンドキシラナーゼ遺伝子、アクレモニウム・セルロリティカス由来のアラビノフラノシダーゼ遺伝子、アクレモニウム・セルロリティカス由来のグルクロニダーゼ遺伝子からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子であることを特徴とする形質転換体。
  5. 請求項2〜請求項4のいずれか1項記載の形質転換体において、前記糖化酵素遺伝子は、染色体中に導入されていることを特徴とする形質転換体。
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