JP6358933B2 - 多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子 - Google Patents

多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子 Download PDF

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Description

本発明は、多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子及びその用途に関する。
多糖−ペプチドグリカン複合体(PS−PG)は、乳酸菌等のグラム陽性菌、大腸菌等のグラム陰性菌の細胞壁に存在する成分であり、近年、炎症性腸疾患や腸炎随伴性ガンの予防効果を有することが明らかになっている(特許文献1、非特許文献1)。PS−PGは、その構造及び性質の点から、グラム陰性菌の細胞壁成分であり、エンドトキシンであるリポ多糖(LPS)とは明確に相違する。また、PS−PGには、分子量の異なるPS−PG1及びPS−PG2の2種類あることが知られ、このうちPS−PG1は、分子量約100万kDa以上、PS−PG2は分子量約30万kDaと推定されており、ラクトバチルス・カゼイ YIT9029におけるこれらの含量の比率はPS−PG1:PS−PG2=約1:8である(非特許文献2)。
特開2011−193730号公報
Immunology, Vol.128, 1 Suppl, e170-e180(2009) 「ラクトバチルス カゼイ シロタ株−腸内フローラおよび健康とのかかわり−」、第26−33頁(ヤクルト本社中央研究所、1999年1月1日発行)
しかし、PS−PGは、エンドトキシンであるリポ多糖とは大きく異なり、PS−PGを有する生菌で発現する自然免疫賦活能が、細胞壁から分離し可溶化されたPS−PGでは全く生じない。従って、PS−PGにおいては、生菌を用いることなくPS−PGの特性の変化、構造と生理活性の関係等の研究ができなかった。
従って、本発明の課題は、PS−PGの生理機能を保持したモデル細胞壁系を提供することにある。
そこで本発明者らは、生理活性を生じるPS−PGのモデル系を構築すべく種々検討した結果、粒子状担体を用いその表面にPS−PGを担持せしめれば、PS−PG含有粒子が得られ、当該粒子はIL−12産生促進効果を有し、免疫賦活能を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔13〕を提供するものである。
〔1〕粒子状担体表面上に多糖−ペプチドグリカン複合体(PS−PG)を担持してなるPS−PG含有粒子。
〔2〕PS−PGが、細菌由来である〔1〕記載のPS−PG含有粒子。
〔3〕PS−PGが、乳酸菌由来である〔1〕又は〔2〕記載のPS−PG含有粒子。
〔4〕多糖−ペプチドグリカン複合体が、ラクトバチルス属に属する乳酸菌由来である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子。
〔5〕PS−PGが、ラクトバチルス・カゼイ及び/又はラクトバチルス・ジョンソニー由来である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のPS−PG含有粒子。
〔6〕粒子状担体が、ナノ粒子である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のPS−PG含有粒子。
〔7〕粒子状担体が、ラテックスナノ粒子又はシリカナノ粒子である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のPS−PG含有粒子。
〔8〕粒子状担体の平均粒子径が、20nm〜3100nmである〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のPS−PG含有粒子。
〔9〕粒子状担体の平均粒子径が、300nm〜2000nmである〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子。
〔10〕1個の粒子状担体へのPS−PGの結合量が0.1〜50amolである〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のPS−PG含有粒子。
〔11〕〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載のPS−PG含有粒子を含有する医薬。
〔12〕〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載のPS−PG含有粒子を有効成分とする免疫賦活剤。
〔13〕〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載のPS−PG含有粒子を有効成分とするインターロイキン12産生促進剤。
本発明によれば、生菌の状態でなければ生理活性を示さなかったPS−PGの生理活性を有する人工粒子が提供できる。本発明のPS−PG含有粒子を用いれば、生菌を用いることなく、PS−PGが免疫賦活能を生じるメカニズムの研究等が可能となる。また、本発明のPS−PG含有粒子は免疫賦活剤及びIL−12産生促進剤等の医薬、それらの作用を有する食品等としても有用である。
ラクトバチルス・カゼイ由来PS−PG含有粒子の粒子状担体の平均粒子径とIL−12産生誘導能との関係を示す図である。
本発明のPS−PG含有粒子は、粒子状担体表面上にPS−PGを担持してなる。
PS−PGは、細菌の細胞壁由来のもの及び人工的に作製されたものが含まれる。このうち、生理活性の点で細菌の細胞壁由来のものが好ましい。ここで、細菌としては、乳酸菌、ビフィズス菌、クロストリジウム等のグラム陽性菌、大腸菌、バクテロイデス等のグラム陰性菌が挙げられるが、取り扱い性、安全性、生理活性の点から乳酸菌、ビフィズス菌が好ましく、乳酸菌がより好ましい。乳酸菌としては、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、ペディオコッカス属等に属する乳酸菌が好ましく、より具体的には、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・ジョンソニー、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・ガセリ、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・ユーグルティ、ラクトバチルス・デルブルッキー サブスピシーズ.ブルガリカス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ.ラクチス、ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ.クレモリス、ロイコノストック・メセンテロイデス、ペディオコッカス・ペントサセウス等が挙げられる。このうち、ラクトバチルス属に属する乳酸菌が好ましく、ラクトバチルス・カゼイ及びラクトバチルス・ジョンソニーがより好ましく、特にラクトバチルス・カゼイが好ましい。ラクトバチルス・カゼイとしては、ラクトバチルス・カゼイ YIT 9029(FERM BP−1366)が好ましく、ラクトバチルス・ジョンソニーとしては、ラクトバチルス・ジョンソニー YIT 0219T(JCM 2012T)が好ましい。
これらの細菌から、PS−PGを分離するには、例えば特許文献1及び非特許文献2の記載に従えばよい。
PS−PGとしては、PS−PG1及び/又はPS−PG2を含有するもの(細菌の細胞壁由来のもの、人工的に作製されたもの等)であれば特に限定されず、さらには、例えば各種クロマトグラフィーによる分離や密度勾配遠心法などの分離・精製処理をさらに行ったものも含まれる。
粒子状担体としては、ナノ粒子であることが生理活性を発揮させる点から好ましい。その具体的な平均粒子径としては、1nm〜3100nmが好ましく、20nm〜3100nmがより好ましく、100nm〜3100nmがさらに好ましく、300nm〜2000nmがさらに好ましく、500nm〜2000nmがさらに好ましく、1000nmが特に好ましい。
粒子状担体の形状は、特に限定されないが、球状又は略球状であることが、PS−PGの結合量、担持率、生理活性の点で好ましい。
粒子状担体としては、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体ビーズ等のポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、デンドリマー、シリカビーズや酸化チタンビーズ、アルミナビーズのような無機ナノビーズ、カーボンナノ材料、金ナノ粒子や銀ナノ粒子のような金属ナノ粒子(ナノロッドも含む)、セレン化カドミウムのような半導体ナノ粒子、リポソームやミセルなどの自己組織化会合体粒子等が挙げられるが、粒子径の小さく安定なナノ粒子が得られる点から、ラテックスナノ粒子、シリカナノ粒子が好ましい。ラテックスナノ粒子としては、ポリスチレン系ラテックスナノ粒子が好ましい。
また、これらの粒子状担体表面は、PS−PGを担持するため、アミノ基、アミノオキシ基、ヒドラジド基、アジド基、カルボニル基、α,β−不飽和カルボニル基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基、ジスルフィド基、アルキニル基等で修飾されているのが好ましい。これらの修飾基としては、脂肪族又は芳香族等の修飾基が挙げられ、例えば、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基等が挙げられる。また、ヒスチジンオリゴマー、ビピリジン、ジピコリルアミン、イミノ二酢酸等のような金属イオンと配位結合を形成する配位子で修飾されていてもよい。
粒子状担体表面上へのPS−PGの担持形態は、吸着、イオン結合、共有結合、金属結合、ファンデルワールス結合等のいずれでもよいが、PS−PG含有粒子の安定性、生理活性等の点から共有結合が好ましい。より好ましくは、PS−PGと粒子状担体表面上に修飾されたホルミル基又はアミノ基とがシッフ塩基形成、還元アミノ化を経て共有結合している形態である。
粒子状担体へのPS−PGの結合量は、特に制限されないが、1個の粒子状担体表面に結合したPS−PG量(モル数)として、0.1〜250amolが好ましく、0.1〜50amolがより好ましく、1〜50amolがさらに好ましく、10〜50amolが特に好ましい。ここで、結合量は後記実施例に示すように、1個の粒子状担体表面に結合したPS−PG重量をX(pg)、PS−PGの重量平均分子量をY(g/mol)として、X/Y(amol)によって算出することができる。
粒子状担体へのPS−PGの担持率は、特に制限されないが、粒子状担体表面のアミノ基モル数に対して0.1〜100%が好ましく、0.1〜20%がより好ましく、1〜20%がさらに好ましく、10〜20%が特に好ましい。ここで、担持率は、後記実施例に示すように、1個の粒子状担体表面のアミノ基モル数をZ(amol)として、(X/Y)/Z×100(%)によって算出することができる。
粒子状担体表面へのPS−PGの担持方法としては、前述の如く吸着、イオン結合、共有結合、金属結合、ファンデルワールス結合等の形成方法が挙げられるが、アミノ基修飾された粒子状担体表面にPS−PGの糖鎖を還元条件下で反応させる還元アミノ化反応を用いるのが好ましい。より具体的には、PS−PGのアミノ酸に含まれるアミノ基をアセチル化等により保護し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤の存在下に、アミノ基又は脂肪族アミノ基修飾粒子状担体を反応させるのが好ましい。
本発明のPS−PG含有粒子は、後記実施例に示すように、マクロファージにおける強いIL−12産生作用を有し、免疫賦活剤として有用である。また、従来、PS−PGは菌体から分離した状態では生理活性を示さなかったが、本発明のPS−PG含有粒子は、人工粒子であるにもかかわらず、生理活性を示すことから、PS−PGの生理活性の作用機序等の研究試薬としても有用である。
従って、本発明のPS−PG含有粒子は、IL−12産生促進剤、免疫賦活剤等として医薬、食品、化粧品、試薬等の分野で使用可能である。
本発明の医薬は経口投与又は非経口投与のいずれも使用できるが、経口投与が望ましい。投与に関しては、有効成分であるPS−PG含有粒子を投与方法に適した固体又は液体の医薬用無毒性担体と混合して、慣用の医薬品製剤の形態で投与することができる。
本発明の有効成分であるPS−PG含有粒子を使用する際の投与量に厳格な制限はない。対象者や適用疾患等の様々な使用態様によって得られる効果が異なるため、適宜投与量を設定することが望ましいが、その好適な投与量はPS−PG含有粒子として1回あたり1×107個以上が好ましく、1×107個〜1×1013個がより好ましく、1×109個〜1×1013個がさらに好ましく、1×1011個〜1×1013個が特に好ましい。
医薬品とする場合の製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等の固体剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、凍結乾燥剤等が挙げられる。これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記の医薬用無毒性担体としては、例えば、澱粉、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水等が挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤、賦形剤等の慣用の添加剤を適宜添加することもできる。
また、本発明の免疫賦活剤及びIL−12産生促進剤は、上記のような医薬品製剤として用いるだけでなく、飲食品等として用いることもできる。この場合には、本発明のPS−PG含有粒子をそのまま、又は種々の栄養成分を加えて、飲食品中に含有せしめればよい。この飲食品は、免疫能の改善、IL−12の産生不足による疾患、例えば感染症、腫瘍、アレルギー等の予防・治療等に有用な保健用食品又は食品素材として利用でき、これらの飲食品又はその容器には、前記の効果を有する旨の表示を付してもよい。具体的に本発明の免疫賦活剤又はIL−12産生促進剤を飲食品に配合する場合は、飲食品として使用可能な添加剤を適宜使用し、慣用の手段を用いて食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペースト等に成形してもよく、また種々の食品、例えば、ハム、ソーセージ等の食肉加工品、かまぼこ、ちくわ等の水産加工品、パン、菓子、バター、粉乳、発酵飲食品に添加して使用したり、水、果汁、牛乳、清涼飲料、茶飲料等の飲料に添加して使用してもよい。なお、飲食品には動物の飼料も含まれる。
これらの医薬品、食品等に使用する場合の、本発明PS−PG含有粒子の濃度は1×107個/g以上が好ましく、1×107個/g〜1×1013個/gがより好ましく、1×109個/g〜1×1013個/gがさらに好ましく、1×1011個/g〜1×1013個/gが特に好ましい。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
(1)PS−PGの分離
Lactobacillus casei YIT 9029(FERM BP−1366)の培養菌体を90℃にて30分間加熱し、凍結乾燥を行った。この加熱死菌体凍結乾燥物500mgを5mM Tris-maleate buffer(pH6.4)30mLに懸濁し、Mutanolysin(SIGMA)を添加して37℃、24時間、反応させた。反応液を遠心分離して得られた上清について、10mM リン酸buffer(pH6.0)/0.25M NaClを外液として、20時間、4℃にて透析した。透析内液を凍結乾燥し、凍結乾燥物を終濃度5mg/mLとなるように注射用蒸留水(扶桑薬品)に溶解した。これをセファクリル S−200 HR(GEヘルスケア、カラムサイズ:5×60cm)にアプライし、ゲル濾過を行った(流速:1mL/min、温度:4℃)。得られたフラクションについて、フェノール・硫酸法にてPS−PG画分を検出した。PS−PG画分を回収し、注射用蒸留水を外液として、20時間、4℃にて透析した。これを凍結乾燥し、73mgの精製PS−PGを得た。
(2)PS−PGのアミノ基の保護
1.5mLのマイクロチューブに、PS−PG3mgを加え、ミリQ水500μLに溶解させた。調製したPS−PG水溶液に、アミノ基の脱プロトン化が起こるよう、50mMリン酸緩衝液(pH8.5)50μLと無水酢酸20μLを加え、アセチル化反応を開始した。反応溶液は室温で静置し、15分おきにボルテックスで攪拌した。また、すべてのアミノ基をブロックするために反応開始後1時間毎に、無水酢酸を20μLずつ追加した。この操作を5時間続けた。5時間後、反応溶液を透析膜(フナコシ製(スペクトロポア)、分画分子量3500)に入れ、蒸留水で1日透析した。透析によって若干白濁した溶液を200mLナス型フラスコに移し、凍結乾燥を行った。凍結乾燥後のアセチル化PS−PGの収量は1.6mg(回収率53%)であった。
(3)反応用糖鎖ストック溶液の調製
i)デキストランストック溶液の調製
0.5mLのマイクロチューブに、デキストラン5mgを加え、ミリQ水50μLに溶解させた(0.1mg/μL)。デキストランの修飾率を変化させるために、先に調製した0.1mg/μLを10倍ずつ希釈したストック溶液系列(最大1025倍希釈:1×10-1〜1×10-26mg/μL)を調製した。調製法は、ストック溶液を10μLとり、0.5mLのマイクロチューブに加え、ミリQ水90μLを加え、混合することで希釈溶液を調製した。
ii)PS−PGストック溶液の調製
0.5mLのマイクロチューブにアセチル化したPS−PG0.8mgを加え、ミリQ水40μLに溶解させた(0.02mg/μL)。PS−PGの修飾率を変化させるために、先に調製した0.02mg/μLを10倍ずつ希釈したストック溶液系列(最大1010倍希釈:2×10-2〜2×10-12mg/μL)を調製した。調製法は、ストック溶液を10μLとり、0.5mLのマイクロチューブに加え、ミリQ水90μLを加え、混合することで希釈溶液を調製した。
実施例1において合成した糖鎖修飾ナノビーズを表1及び表2にまとめ、これら糖鎖修飾ナノビーズの合成法を以下に詳述する。
iii)ナノビーズへの糖鎖の修飾
ナノビーズとして、脂肪族アミノ基修飾ラテックスナノビーズ(粒径24±3nm:Molecular Probe社)(20LA−NH2)、脂肪族アミノ基修飾ラテックスナノビーズ(粒径110±5nm:Molecular Probe社)(100LA−NH2)、脂肪族アミノ基修飾ラテックスビーズ(粒径3.1μm:Molecular Probe社)(NP3000)、アミノ基修飾シリカナノビーズ(粒径100nm:Micromod Partikeltechnologie GmbH社)(100SI−NH2)、アミノ基修飾シリカナノビーズ(粒径500nm:Micromod Partikeltechnologie GmbH社)(500SI−NH2)を用いた。デキストランは、分子量40,000(和光純薬社)のものを用いた。
ア.シリカナノビーズへのデキストランの修飾
0.5mLのマイクロチューブに、50mMリン酸緩衝液(pH8.5)20μL、シリカナノビーズ(100SI−NH2、もしくは500SI−NH2)20μL、100mMシアノ水素化ホウ素ナトリウム水溶液30μLを加え、デキストランストック溶液20μLを加えた。溶液をボルテックスで攪拌した後、45℃で1日加熱した。反応溶液を遠心分離(9,000rpm、5min、25℃)し、シリカナノビーズを沈殿させた。ビーズを吸い込まないように上澄みを取り除き、ナノビーズから反応溶液を洗浄するためにマイクロチューブにミリQ水70μLを加え、ボルテックスで攪拌した。再度、遠心分離(9,000rpm、5min、25℃)した後、上澄みを取り除き、ミリQ水70μLを加え、ボルテックスで攪拌した。この操作を2回繰り返した。
ここで、100SI−NH2にデキストランを1×10-1〜1×10-26mg/μL用いて被覆したビーズを、100SD−1乃至100SD−26とし、500SI−NH2にデキストランを1×10-1〜1×10-26mg/μL用いて被覆したビーズを、500SD−1乃至500SD−26とした。
イ.シリカナノビーズへのPS−PGの修飾
0.5mLのマイクロチューブに、50mMリン酸緩衝液(pH8.5)20μL、シリカナノビーズ(100SI−NH2、もしくは500SI−NH2)20μL、100mMシアノ水素化ホウ素ナトリウム水溶液30μLを加え、PS−PGストック溶液20μLを加えた。溶液をボルテックスで攪拌した後、45℃で3日加熱した。反応溶液を遠心分離(9,000rpm、5min、25℃)し、シリカナノビーズを沈殿させた。ビーズを吸い込まないように上澄みを取り除き、ナノビーズから反応溶液を洗浄するためにマイクロチューブにミリQ水70μLを加え、ボルテックスで攪拌した。再度、遠心分離(9,000rpm、5min、25℃)した後、上澄みを取り除き、ミリQ水70μLを加え、ボルテックスで攪拌した。この操作を4回繰り返した。
ここで、100SI−NH2にPS−PGを2×10-2〜2×10-12mg/μL用いて被覆したビーズを、100SP−2乃至100SP−12とし、500SI−NH2にPS−PGを2×10-2〜2×10-12mg/μL用いて被覆したビーズを、500SP−2乃至500SP−12とした。
ウ.ラテックスナノビーズへのデキストランの修飾
0.5mLのマイクロチューブに、50mMリン酸緩衝液(pH8.5)20μL、ラテックスナノビーズ20μL、100mMシアノ水素化ホウ素ナトリウム水溶液30μLを加え、デキストランストック溶液20μLを加えた。溶液をボルテックスで攪拌した後、45℃で1日加熱した。反応溶液を遠心分離(10,000rpm、15min、25℃)し、ラテックスナノビーズを沈殿させた。ビーズを吸い込まないように上澄みを取り除き、ナノビーズから反応溶液を洗浄するためにマイクロチューブにミリQ水70μLを加え、ボルテックスで攪拌した。再度、遠心分離(10,000rpm、15min、25℃)した後、上澄みを取り除き、ミリQ水70μLを加え、ボルテックスで攪拌した。この操作を2回繰り返した。
ここで、20LA−NH2にデキストランを1×10-1〜1×10-26mg/μL用いて被覆したビーズを、20LD−1乃至20LD−26とし、100LA−NH2にデキストランを1×10-1〜1×10-26mg/μL用いて被覆したビーズを、100LD−1乃至100LD−26とした。
エ.ラテックスナノビーズへのPS−PGの修飾
0.5mLのマイクロチューブに、50mMリン酸緩衝液(pH8.5)20μL、ラテックスナノビーズ20μL、100mMシアノ水素化ホウ素ナトリウム水溶液30μLを加え、PS−PGストック溶液20μLを加えた。溶液をボルテックスで攪拌した後、45℃で3日加熱した。反応溶液を遠心分離(10,000rpm、15min、25℃)し、ラテックスナノビーズを沈殿させた。ビーズを吸い込まないように上澄みを取り除き、ナノビーズから反応溶液を洗浄するためにマイクロチューブにミリQ水70μLを加え、ボルテックスで攪拌した。再度、遠心分離(10,000rpm、15min、25℃)した後、上澄みを取り除き、ミリQ水70μLを加え、ボルテックスで攪拌した。この操作を4回繰り返した。
ここで、20LA−NH2にPS−PGを2×10-2〜2×10-12mg/μL用いて被覆したビーズを、20LP−2乃至20LP−12とし、100LA−NH2にPS−PGを2×10-2〜2×10-12mg/μL用いて被覆したビーズを、100LP−2乃至100LP−12とした。
オ.ナノビーズ表面へのPS−PG結合量の定量
i)材料
NP 3000 について
脂肪族アミノ基修飾ラテックスナノビーズ(Molecular Probe社製)
粒子直径=3.1μm(Molecular Probe社公表データ)
粒子表面のアミノ基占有面積=21Å2=0.21×10-6μm2(Molecular Probe社公表データ)
粒子の表面積=4×(×(3.1/2)2=30.2μm2
粒子表面のアミノ基数=30.2μm2/0.21×10-6μm2=143,692,380
粒子表面のアミノ基モル数=143,692,380/6.02×1023mol-1=24.3×10-17mol=243amol
ii)NP 3000 −8PSPGの合成
マイクロチューブに150μLのPBS(50mM,pH8.5)、75μLのアセチル化PS−PG水溶液(2.0mg/75μL:ビーズ表面のアミノ基に対して8等量のアセチル化PS−PG(モル数))、25μLのNP3000水溶液(3.75×107個,0.230mg)、75μLのシアノ水素化ホウ素ナトリウム水溶液(100mM)を加えた。マイクロチューブを室温にて静置し、30分ごとにボルテックスにより撹拌した。これを8回繰り返した後,250rpmで撹拌しながら45℃にて72時間インキュベートした。
反応溶液を遠心分離し(11,000rpm,15min,4℃)、NP3000成分を沈殿させ、上清を除去した。200μLの超純水を用いた洗浄操作を7回繰り返し、ペレットとしてPS−PG結合NP3000(NP3000−8PSPG)を得た。ビーズ表面のアミノ基に対して添加するアセチル化PS−PGのモル数(1等量,2等量,4等量,6等量)を変化させたこと以外は、上記と同じ方法により、NP3000−PSPG、NP3000−2PSPG、NP3000−4PSPG、NP3000−6PSPGを得た。
iii)1個のNP 3000 に結合したPS−PG量の算出方法
ペレットとして得られた各PS−PG結合NP3000を凍結乾燥し、精密電子天秤により各PS−PG結合NP3000の重量を測定した。各反応前後で増加した重量はナノビーズに結合したPS−PGによるものとし,1個のNP3000に結合したPS−PG量を算出した。以下はその一例として、NP3000−8PSPGの算出過程を示す。
反応前のNP3000(3.75×107個)の重量は0.230mgであった。NP3000−8PSPGの場合、反応、精製後の重量は0.284mgであった。これより、3.75×107個のNP3000に54μgのPS−PGが結合したことが分かった。また、1個のNP3000に結合したPS−PG重量は1.44pgと算出され(54μg/3.75×107個)、PS−PGの重量平均分子量30,000(g/mol)を用いると、1個のNP3000に結合したPS−PGのモル数は48amolと算出された(1.44pg/30,000g・mol-1)。NP3000表面のアミノ基モル数は243amolであることより、NP3000−8PSPGの場合、NP3000表面に提示されたアミノ基の19.8%がPS−PGとの結合に用いられたことが分かった。
iv)NP 3000 へのPS−PG結合量の定量
1個のナノビーズ表面に結合したPS−PG量(モル数)を表3にまとめる。PS−PG添加量の増加に伴い,ナノビーズ1個に結合したPS−PG量は増加した。PS−PG添加量とPS−PG結合量とは正比例の関係にはなく、PS−PG1モル等量と2モル等量で結合量は同程度であった。4モル等量では2モル等量の約2倍の結合量が得られた。6モル等量では2モル等量の約14倍の結合量,8モル等量では2モル等量の約43倍の結合量が得られた。
試験例1
(マウス由来マクロファージ細胞を用いたサイトカイン産生評価)
(1)細胞の培養、継代
10cmディッシュで培養したJ774.1細胞(マウスマクロファージ様株化細胞)は、ピペッティングおよびトリプシン処理によりディッシュ底面からはがし、その細胞懸濁液を遠心分離(1000rpm、3min)することにより、遠沈チューブ内に回収した。上清を吸引除去した後、そこに新鮮培地(10%非働化ウシ胎児血清、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、0.05mM 2−メルカプトエタノール含有RPMI−1640培地)を加え、ピペッティングによりJ774.1細胞を培地中に懸濁させた。得られたJ774.1細胞懸濁液を新しい10cmディッシュ内に注ぎ(2.0×105cells/mL、8mL)、37℃、5%CO2インキュベーター内で培養した。これらの操作を3日毎に繰り返し、継代を行った。
(2)細胞毒性試験
J774.1細胞懸濁液を細胞培養用96wellプレートに100μL/wellずつ分注し(1.0×105cells/well)、37℃、5%CO2インキュベーター内で2時間インキュベートした。その後、使用培地に懸濁した各種PS−PG結合ナノビーズおよびコントロール(20LD−1、100LD−1、500SD−1、20LA−NH2、100LA−NH2、500SI−NH2)を100μLずつ添加し、37℃、5%CO2インキュベーター内で24時間培養した。その後、各wellにWST−1アッセイ溶液(WST−1/1−methoxy PMSの9/1混合水溶液)を10μL添加し、37℃、5%CO2インキュベーター内で2時間呈色反応させた。その後、マイクロプレートリーダーで450nmおよび620nmの吸光度を測定した。
(3)IL−12産生誘導実験
J774.1細胞懸濁液を細胞培養用96wellプレートに100μL/wellずつ分注し(1.0×105cells/well)、37℃、5%CO2インキュベーター内で2時間インキュベートした。その後、使用培地にて懸濁した各種PS−PG結合ナノビーズおよびコントロール(20LD−1、100LD−1、500SD−1、20LA−NH2、100LA−NH2、500SI−NH2)を100μLずつ添加し、37℃、5%CO2インキュベーター内で24時間培養した。その後、培養上清を0.22μmフィルターでろ過し、得られたろ液を−30℃で保存した。Purified rat anti−mouse IL−12 p40/p70をNa2CO3緩衝液(pH9.6)で希釈し、ELISA用96wellプレートに50μLずつ添加し、4℃で一晩インキュベートした。各wellを0.05%Tween20を含むPBS(pH7.4)で洗浄後、1%BSAを含むNa2CO3緩衝液を100μLずつ添加し、37℃で90分間インキュベートした。各wellをPBSで洗浄後、サンプルおよび0.03%NaN3を含むPBSで所定の濃度になるよう希釈したrecombinant mouse IL−12 p70を50μLずつ添加し、室温で90分間反応させた。各wellをPBSで洗浄した後、1%BSAを含むPBSで希釈したbiotin rat anti−mouse IL−12 p40/p70を50μLずつ添加し、室温で90分間反応させた。各wellをPBSで洗浄後、1%BSAを含むPBSで20000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンを50μLずつ添加し、暗中室温で30分間反応させた。各wellをPBSで洗浄後、TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)基質溶液を50μLずつ添加し、暗中室温で20分間反応させた。各wellに1M H2SO4を50μLずつ添加して発色反応を停止させ、マイクロプレートリーダーで450nmおよび620nmの吸光度を測定した。
(4)細胞毒性
ナノビーズ表面をPS−PGで修飾すると、ナノビーズのJ774.1細胞に対するサイズ依存的な毒性は軽減されることが分かった。
(5)IL−12産生誘導効果
i)PS−PG修飾ラテックスナノビーズ(20LP−2)について
20LP−2を用いてIL−12産生誘導実験を行ったところ、粒子濃度1.0×1013個/mLで、IL−12発現量は28,878pg/mLに達した。
ii)PS−PG修飾ラテックスナノビーズ(100LP−2)について
100LP−2を用いてIL−12産生誘導実験を行ったところ、粒子濃度が1.0×101〜1.0×109個/mLでは、IL−12発現量は濃度上昇に伴い251pg/mL〜512pg/mLの濃度範囲で変化していた。しかし、粒子濃度が1.0×1011個/mLに達するとIL−12の生産量が5,026pg/mLまで急激に上昇した。
iii)PS−PG修飾シリカナノビーズ(500SP−2)について
500SP−2を用いてIL−12産生誘導実験を行ったところ、粒子濃度が1.0×101〜1.0×107個/mLでは、IL−12発現量は濃度上昇に伴い257pg/mL〜751pg/mLの濃度範囲で変化していたが、粒子濃度が1.0×109個/mLに達するとIL−12の産生量が892pg/mLまで急激に上昇した。
iv)PS−PG修飾ラテックスナノビーズ(NP 3000 −8PSPG)について
NP3000−8PSPGを用いてIL−12産生誘導実験を行ったところ、粒子濃度が1.0×107個/mLで、IL−12産生量が921pg/mLまで急激に上昇した。約20nmのナノビーズでは1.0×1013個/mL、約100nmのナノビーズでは1.0×1011個/mL、約500nmのナノビーズでは1.0×109個/mLという粒子濃度に閾値(IL−12産生量が急激に上昇する粒子濃度)があったことから考えると、粒子径が大きくなるほど閾値となる粒子濃度が低下することが明らかとなった。
なお、前記NP3000−8PSPGに相当する量の可溶化PS−PG(細胞壁から分離し可溶化されたPS−PGをビーズに被覆しない状態で添加)を用いてIL−12産生誘導実験を行ったところ、前記NP3000−8PSPGの粒子濃度に相当する濃度域においてIL−12の産生は誘導されず、IL−12の発現量に顕著な差はなかった。
v)デキストラン修飾ラテックスナノビーズ(20LD−1)について
20LD−1を用いたものに関しては、粒子濃度が1.0×101〜1.0×1013個/mLの範囲でIL−12の産生は誘導されず、IL−12の発現量に顕著な差はなかった。
実施例2
(PS−PG修飾ナノビーズの粒径とIL-12産生量の相関)
(i)PS−PG修飾ラテックスナノビーズの合成
0.5μLのマイクロチューブに50mMリン酸緩衝液(pH8.5)20.0μL、各サイズ(直径:200、300、1000、2000、3000nm)のNP(ラテックスナノビーズ)懸濁液20μL、100mMシアノ水素化ホウ素ナトリウム水溶液30.0μL、各サイズのNP表面に存在するアミノ基に対して8モル当量になるようにミリQ水で濃度調整したラクトバチルス・カゼイ由来PS−PG溶液を20μL加えた。その後、溶液をボルテックスにて撹拌し、45℃で72時間加熱した。その後、反応溶液を遠心し(11,000rpm、15min、4℃)ナノビーズを沈殿させた。ナノビーズ反応溶液の上清を取り除き、ミリQ水を加えボルテックスで撹拌した。再度、遠心分離(11,000rpm 15min 4℃)した後に上清を取り除き、ナノビーズにミリQ水を加えボルテックスで撹拌した。この操作を7回繰り返した。
(ii)ELISAによるIL−12濃度の定量
J774.1細胞(マウスマクロファージ様株化細胞)を96wellプレートに1×10cells/wellで分注し(100μL)、37℃5%COで2時間インキュベートした。その後、濃度調整した(1.0×10個/mL)各サイズのPS−PG修飾ラテックスビーズ溶液を各wellに100μLずつ添加し、37℃5%COで24時間インキュベートした。24時間後、培養上清を0.45μmフィルターにて濾過回収後、ELISA用サンプルとして−20℃で保存した。ELISA用96wellプレートにpurified rat anti−mouse IL−12 p40/p70(pH9.6のNaCO緩衝液で10μg/mLに希釈)を50μL添加し、4℃で一晩インキュベートしプレートへ固層化した。その後、0.05%Tween20−PBSにて5回洗浄し、1%BSA−NaCO緩衝液を100μL添加し4℃下で24時間インキュベートした。各wellをPBSにて4回洗浄し、サンプルおよび1%BSA−PBSで(4000pg/mL、2000pg/mL、1000pg/mL、500pg/mL、250pg/mL、125pg/mL、62.5pg/mL、0pg/mL)となるよう希釈したrecombinant mouse IL−12 p70を50μL添加し、室温で90分間反応した。各wellをPBSにて4回洗浄し、1%BSA−PBSで希釈したbiotin rat anti−mouse IL12 p40/p70(1.0μg/mL)を50μL添加し室温で90分間反応した。PBSにて4回洗浄後、1%BSA−PBSで20000倍希釈したペルオキシターゼ標識ストレプトアビジン溶液50μLを添加し、暗中室温下で30分間反応させた。PBSにて4回洗浄し、TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)基質溶液50μLを添加し、暗中室温下で20分反応させマイクロプレートリーダーにて620nmの吸光度を測定した。その後、1M HSOを50μL添加し反応を停止させ、マイクロプレートリーダーにて450nmおよび620nmの吸光度を測定した。
(iii)結果
PS−PG修飾ラテックスナノビーズの担体の粒子径(200nm〜3000nm)とIL−12産生作用との関係を図1に示す。
図1から明らかなように、粒子状担体の平均粒子径が300nm〜2000nmであるPS−PG含有粒子のIL−12産生誘導能が特に優れていることがわかる。
実施例3
ラクトバチルス・ジョンソニー由来PS−PG含有粒子のIL−12産生誘導能)
(i)ラクトバチルス・ジョンソニー由来PS−PG修飾ラテックスナノビーズの合成
ラクトバチルス・ジョンソニー YIT 0219T(JCM 2012T)由来PS−PG溶液の調製は、実施例1のラクトバチルス・カゼイ由来由来PS−PG溶液の調製方法と同様の方法により行った。
0.5μLのマイクロチューブに50mMリン酸緩衝液(pH8.5)20.0μL、直径:1μmのNP(ラテックスナノビーズ)懸濁液20μL、100mMシアノ水素化ホウ素ナトリウム水溶液30.0μL、NP表面に存在するアミノ基に対して8モル当量になるようにミリQ水で濃度調整したラクトバチルス・ジョンソニー由来PS−PG溶液を20μL加えた。その後、溶液をボルテックスにて撹拌し、45℃で72時間加熱した。その後、反応溶液を遠心し(11,000rpm、15min、4℃)ナノビーズを沈殿させた。ナノビーズ反応溶液の上清を取り除き、ミリQ水を加えボルテックスで撹拌した。再度、遠心分離(11,000rpm、15min、4℃)した後に上清を取り除き、ナノビーズにミリQ水を加えボルテックスで撹拌した。この操作を7回繰り返した。
(ii)ELISAによるIL−12濃度の定量
J774.1細胞を96wellプレートに1×10cells/wellで分注し(100μL)、37℃、5%COで2時間インキュベートした。その後、濃度調整した各サイズのPS−PG修飾ラテックスビーズ溶液を各wellに100μLずつ添加し、37℃、5%COで24時間インキュベートした。24時間後、培養上清を0.45μmフィルターにて濾過回収後、ELISA用サンプルとして−20℃で保存した。ELISA用96wellプレートにpurified rat anti−mouse IL−12 p40/p70(pH9.6のNaCO緩衝液で10μg/mLに希釈)を50μL添加し、4℃で一晩インキュベートしプレートへ固層化した。その後、0.05%Tween20−PBSにて5回洗浄し、1%BSA−NaCO緩衝液を100μL添加し4℃下で24時間インキュベートした。各wellをPBSにて4回洗浄し、サンプルおよび1%BSA−PBSで(4000pg/mL、2000pg/mL、1000pg/mL、500pg/mL、250pg/mL、125pg/mL、62.5pg/mL、0pg/mL)となるよう希釈したrecombinant mouse IL−12 p70を50μL添加し、室温で90分間反応した。各wellをPBSにて4回洗浄し、1%BSA−PBSで希釈したbiotin rat anti−mouse IL12 p40/p70(1.0μg/mL)を50μL添加し室温で90分間反応した。PBSにて4回洗浄後、1%BSA−PBSで20000倍希釈したペルオキシターゼ標識ストレプトアビジン溶液50μLを添加し、暗中室温下で30分間反応させた。PBSにて4回洗浄し、TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)基質溶液50μLを添加し、暗中室温下で20分反応させマイクロプレートリーダーにて620nmの吸光度を測定した。その後、1M HSOを50μL添加し反応を停止させ、マイクロプレートリーダーにて450nmおよび620nmの吸光度を測定した。
(iii)結果
ラクトバチルス・ジョンソニー由来PS−PG修飾ナノ粒子のJ774.1細胞に対するIL−12産生誘導能は、粒子濃度1×108粒子/mLで870,000pq/mLに達した。L.Johnsonii由来PS−PGは菌体レベルでIL−12産生誘導能を示さないことが知られていることから、この実験結果は、IL−12産生誘導を示さない乳酸菌由来のPS−PGでも、本発明のように粒子化(粒子状担体表面上に担持)することにより、IL−12産生誘導能を示すようになることを示唆している。

Claims (13)

  1. 粒子状担体表面上に多糖−ペプチドグリカン複合体を担持してなる多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子。
  2. 多糖−ペプチドグリカン複合体が、細菌由来である請求項1記載の多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子。
  3. 多糖−ペプチドグリカン複合体が、乳酸菌由来である請求項1又は2記載の多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子。
  4. 多糖−ペプチドグリカン複合体が、ラクトバチルス属に属する乳酸菌由来である請求項1〜3のいずれかに記載の多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子。
  5. 多糖−ペプチドグリカン複合体が、ラクトバチルス・カゼイ及び/又はラクトバチルス・ジョンソニー由来である請求項1〜4のいずれかに記載の多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子。
  6. 粒子状担体が、ナノ粒子である請求項1〜5のいずれかに記載の多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子。
  7. 粒子状担体が、ラテックスナノ粒子又はシリカナノ粒子である請求項1〜6のいずれかに記載の多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子。
  8. 粒子状担体の平均粒子径が、20nm〜3100nmである請求項1〜7のいずれかに記載の多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子。
  9. 粒子状担体の平均粒子径が、300nm〜2000nmである請求項1〜8のいずれかに記載の多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子。
  10. 1個の粒子状担体への多糖−ペプチドグリカン複合体の結合量が0.1〜50amolである請求項1〜9のいずれかに記載の多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子を含有する医薬。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子を有効成分とする免疫賦活剤。
  13. 請求項1〜10のいずれかに記載の多糖−ペプチドグリカン複合体含有粒子を有効成分とするインターロイキン12産生促進剤。
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