JP6354862B2 - レール - Google Patents

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Description

本発明は、貨物鉄道で使用される高強度レールにおいて、耐折損性および耐疲労性に優れるレールに関する。本願は、2015年01月23日に、日本に出願された特願2015−011007号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
経済発展に伴い、石炭などの天然資源の新たな開発が進められている。具体的にはこれまで未開であった自然環境の厳しい地域での採掘が進められている。これに伴い、資源を輸送する貨物鉄道では軌道環境が著しく厳しくなっている。そのため、レールに対しては、これまで以上の耐摩耗性が求められるようになってきた。このような背景から、耐摩耗性を向上させたレールの開発が求められるようになってきた。
また、近年、鉄道輸送のさらなる過密化が進み、レール底部から折損や疲労損傷が発生する可能性が指摘されている。そのため、レール使用寿命の更なる向上のため、レールには、耐摩耗性に加えて耐折損性及び耐疲労性の向上が求められるようになってきた。
レール鋼の耐摩耗性を改善するため、例えば、特許文献1〜5に示すような高強度レールが開発されている。これらのレールの主な特徴は、耐摩耗性を向上させるため、熱処理によりパーライトラメラ間隔を微細化し、鋼の硬さを増加させること、または、鋼の炭素量を増加し、パーライトラメラ中のセメタイト相の体積比率を増加させていることにある。
特許文献1には、圧延終了後あるいは再加熱したレール頭部を、オーステナイト域の温度から850〜500℃までの間を1〜4℃/秒の冷却速度で加速冷却することによって、耐摩耗性に優れたレールが得られることが開示されている。
また、特許文献2には、過共析鋼(C:0.85超〜1.20%)を用いて、パーライト組織中のラメラ中のセメンタイト体積比率を増加させることによって、耐摩耗性に優れたレールが得られることが開示されている。
特許文献1、2の開示技術では、パーライト組織中のラメラ間隔の微細化による高硬度化、パーライト組織ラメラ中のセメタイト相の体積比率を増加させることにより、レール頭部の耐摩耗性の向上が図れ、一定の使用寿命の向上が図られている。しかしながら、特許文献1、2に開示されたレールでは、レール底部の耐折損性及び耐疲労性について何ら検討されていない。
また、例えば、特許文献3〜5には、レール底部の材質を制御し、レール底部を起点とする折損を防止することを目的とした、レール底部への熱処理方法が開示されている。これらに開示の技術によれば、レールの使用寿命を飛躍的に改善できることが示唆されている。
具体的には、特許文献3には、レール圧延後のオーステナイト域温度からレール頭部を加速冷却すると同時に、レール底面に対して800〜450℃の温度範囲を1〜5℃/秒の冷却速度で加速冷却する熱処理方法が開示されている。また、この熱処理方法によれば、レール底部パーライト平均硬度をHB320以上とすることで、耐落重特性を向上させ、耐折損性に優れたレールを提供できることが開示されている。
特許文献4には、圧延および熱処理を終えたレールの底部(レール底部)を600〜750℃に再加熱して、パーライト組織を球状化した後、急速冷却することで、落重特性を向上させ、耐折損性に優れたレールを提供できることが開示されている。
特許文献5には、レールの足先部をAr3変態点もしくはArcm変態点〜950℃の温度範囲に再加熱し、0.5〜20℃/秒の冷却速度で加速冷却し、400℃以上で加速冷却を停止し、その後、常温まで放冷もしくは加速冷却し、さらに、500〜650℃の温度範囲に再加熱し、常温まで放冷もしくは加速冷却することで、足先部の硬さをHv320以上とする方法が開示されている。また、この方法によれば、レール底部の折損のうち足先部での疲労損傷の発生や疲労損傷を起因とする折損、過大な衝撃的な荷重による脆性破壊起因の折損の発生を抑制できるので、耐折損性に優れたレールを提供できることが開示されている。
特許文献3の開示技術によれば、レール底部に加速冷却を施すことによりパーライト組織の硬さが向上するので、主に強度が必要とされる耐落重特性や耐疲労性の向上は図れる。しかしながら、靭性については高硬度化により低下するので、耐折損性を向上させにくい。また、炭素含有量が高いレール鋼の場合には、上記の加速冷却速度では靭性に有害な初析セメンタイト組織が生成し易くなるので、この点からも耐折損性を向上させにくい。
また、特許文献4の開示技術によれば、レール底部全体に再加熱を施し、その後、急速冷却を行うので、パーライト組織の焼戻しにより靭性の向上が図れる。しかしながら、焼戻しにより組織が軟質化するので、耐疲労性を向上させにくい。
さらに、特許文献5の開示技術によれば、レールの足先部に再加熱を施し、その後、制御冷却を行うので、パーライト組織の高硬度化や微細化が図れる。さらに、その後の焼戻しによりある程度の靭性が得られる。しかしながら、組織が高硬度化しているため十分に靭性を向上させにくく、優れた耐折損性を得るのは困難である。
日本国特公昭63−023244号公報 日本国特開平8−144016号公報 日本国特開平01−139724号公報 日本国特開平04−202626号公報 日本国特開2008−266675号公報
本発明は上記の課題に鑑みてなされた。本発明は、貨物鉄道のレールに要求される、底部からの折損の発生を抑制できる、耐折損性および耐疲労性に優れるレールを提供することを課題とする。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)本発明の一態様に係るレールは、質量%で、C:0.75〜1.20%、Si:0.10〜2.00%、Mn:0.10〜2.00%、Cr:0〜2.00%、Mo:0〜0.50%、Co:0〜1.00%、B:0〜0.0050%、Cu:0〜1.00%、Ni:0〜1.00%、V:0〜0.50%、Nb:0〜0.050%、Ti:0〜0.0500%、Mg:0〜0.0200%、Ca:0〜0.0200%、REM:0〜0.0500%、Zr:0〜0.0200%、N:0〜0.0200%、Al:0〜1.00%、P:0.0250%以下、S:0.0250%以下、を含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼成分を有し、レール底部外郭表面を起点として5mm深さの範囲の金属組織の90%以上がパーライト組織であり、足裏中央部の表面硬さであるHCがHv360〜500の範囲であり、足先部の表面硬さであるHEがHv260〜315の範囲であり、前記HC、前記HE、及び前記足裏中央部と前記足先部の間に位置する中間部の表面硬さであるHMが、式aを満たす。
HC≧HM≧HE …(式a)
(2)上記(1)のレールでは、さらに、前記HMと前記HCが式bを満たしてもよい。
HM/HC≧0.900 …(式b)
(3)上記(1)または(2)のレールでは、前記鋼成分が、質量%で、Cr:0.01〜2.00%、Mo:0.01〜0.50%、Co:0.01〜1.00%、B:0.0001〜0.0050%、Cu:0.01〜1.00%、Ni:0.01〜1.00%、V:0.005〜0.50%、Nb:0.0010〜0.050%、Ti:0.0030〜0.0500%、Mg:0.0005〜0.0200%、Ca:0.0005〜0.0200%、REM:0.0005〜0.0500%、Zr:0.0001〜0.0200%、N:0.0060〜0.0200%、Al:0.0100〜1.00%、からなる群から選択される1種または2種以上を含有してもよい。
本発明の上記態様によれば、レールの素材となるレール鋼の成分を制御するとともに、レール底部の金属組織、レール底部の足裏中央部及び足先部の表面硬さを制御し、さらに、足裏中央部、足先部及び中間部の表面硬さのバランスを制御して、中間部近傍での歪の集中を抑制することにより、貨物鉄道のレールの底部に要求される耐折損性と耐疲労性とに優れるレールを提供できる。
レール底部における表面応力の測定結果を示すグラフである。 レールの足裏中央部の表面硬さと疲労限応力範囲との関係を示したグラフである。 レールの足先部の表面硬さと疲労限応力範囲との関係を示したグラフである。 レールの足先部の表面硬さと衝撃値との関係を示したグラフである。 レールの中間部の表面硬さとレール底部の疲労限応力範囲との関係を示したグラフである。 レールの足裏中央部及び中間部の表面硬さとレール底部の疲労限応力範囲の関係を示したグラフである。 本実施形態に係るレールの底部の各位置の呼称およびパーライト組織が必要な領域を示したグラフである。 レールの疲労試験の概要を示す側面図である。 レールにおける衝撃試験片の採取位置を示す斜視図である。 レールの足裏中央部の表面硬さ:HM(Hv)と足裏中央部の表面硬さ:HC(Hv)との比と、疲労限応力との関係を示した図である。
以下に本発明の一実施形態に係る耐折損性および耐疲労性に優れたレール(本実施形態に係るレールと言う場合がある)につき、詳細に説明する。以下、組成における%は、質量%である。
まず、本発明者らは、現行の貨物鉄道においてレール底部から折損が発生する原因を詳細に調査した。その結果、レール折損には、原因別に主に2種類の折損の形態があることが判明した。すなわち、レールの底部の足先部を起点とする脆性破壊と、レールの底部の足裏中央部を起点とする疲労破壊と、の2種類の形態であることが確認された。
また、足先部を起点とする脆性破壊は曲線区間の外軌レールでその発生が多く認められ、足裏中央部を起点とする疲労破壊は直線区間のレールでその発生が多く認められることが確認された。
また、曲線区間の外軌レールの足先部で発生する脆性破壊は、疲労き裂の生成が全く認められなかった。したがって、曲線区間の外軌レールの足先部で発生する脆性破壊は、衝撃的な応力が瞬時に作用して折損に至ったものと推定される。
図7は、本実施形態に係るレールの底部の模式図である。図7を参照し、本実施形態に係るレールの底部(レール底部4)について説明する。
レール底部4は、足裏中央部1と、足裏中央部1の両端に位置する足先部2と、足裏中央部1と足先部2との間に位置する中間部3とを有する。
足先部2は、図7に示すように、レール底部4の幅方向両端付近にあって、レール底部外郭表面5に近い箇所である。また、足裏中央部1は、図7に示すように、レール底部4の幅方向中央付近にあって、レール底部外郭表面5に近い箇所である。更に、中間部3は、図7に示すように、足先部2と足裏中央部1との間にあって、レール底部外郭表面5に近い箇所である。
より具体的には、図7においてレール底部4の幅寸法をWとしたとき、足裏中央部1はレール底部4の幅中心から0.05Wの位置で挟まれる幅0.1Wの範囲である。また、足裏中央部1の両端に位置する足先部2は、レール底部4の幅方向端部から0.1Wの範囲である。また、足裏中央部1と足先部2の間に位置する中間部3は、レール底部4の幅方向端部から0.2〜0.3Wの範囲である。
レールの長さ方向の垂直断面で見た場合、レールの高さ方向中央にレールの幅が括れた部分がある。この括れ部の幅よりも大きな幅を有する部分であって、括れ部より下側に位置する部分をレール底部4といい、括れ部より上側に位置する部分をレール柱部および頭部(図示せず)という。そして、レール底部外郭表面5とは、レール底部の表面のうち、少なくとも、レールを正立させたときに下側に向く表面をいう。レール底部外郭表面5には、レール底部の側端面を含めてもよい。
一般的に、衝撃的な応力が作用して発生する脆性破壊に対しては、低硬度(軟質)化が有効であり、疲労破壊に対しては高硬度(硬質)化が有効であると言われている。すなわち、これらの特性を向上させるには、相反する対策が要求される。したがって、これらの特性を同時に向上させるのは容易ではない。しかしながら、本発明者らは、これらのレール底部に生成する損傷を抑制するには、破壊の主な発生原因に応じて、底部の各位置において表面の硬さを適切に制御する必要があることを知見した。
本発明者らは、疲労破壊が足裏中央部を起点として発生する原因を調査した。具体的には、まず、C量:1.00%、Si量:0.50%、Mn量:0.90%、P≦0.0250%、S≦0.0250%(鋼成分の残部はFeおよび不純物である)からなる鋼成分を有し、一方の足先部から他方の足先部に至るレール底部外郭表面全体の硬度をほぼ一定にしたレールを用いて、重荷重鉄道を想定した実レール曲げ疲労試験を行い、足先部から足裏中央部における底部表面の応力の測定を実施した。試験条件は下記に示すとおりである。
●実レール曲げ疲労試験
用いたレール
形状:141ポンドレール(重さ:70kg/m、底部の幅:152mm)
底部の金属組織:パーライト
底部表面硬さ:Hv380〜420(足先部〜中間部〜足裏中央部の間の表面下1mmの平均値)
疲労試験条件
試験方法:実物レール3点曲げ(スパン長:0.65m)(図8参照)
荷重条件:7〜70トンの範囲(荷重負荷の周波数:5Hz)
試験姿勢:レール頭部に荷重負荷(レール底部に引張応力を作用させる)
応力測定
測定方法:レール底部に貼り付けた歪ゲージによる測定
図1にレール底部の表面の底部幅中央からの距離と応力の測定結果との関係を示す。図1の縦軸は表面応力の3回分の測定結果を応力範囲で整理し、表示している。図1から分かるように、応力範囲はレール底部の部位で大きく異なっており、足裏中央部が最大200MPaと最も高く、足裏中央部から足先部に向けて単調に低下し、拘束が少なく変形が容易な足先部では150MPaまで低下することが判明した。したがって、レール底部ではその部位毎に負荷応力が異なるので、それぞれの部位によって耐疲労性を向上させるために必要な表面硬さが異なることが示唆された。
そこで、本発明者らは、レールの各部位の耐疲労性確保に必要な表面硬さを明らかにするため、C量:1.00%、Si量:0.50%、Mn量:0.90%、P≦0.0250%、S≦0.0250%であり、残部がFeおよび不純物からなるレール鋼(レールの素材となる鋼)に対し、熱間圧延および熱処理を施し、足裏中央部の硬さを変化させた複数のレールA、足先部の硬さを変化させた複数のレールBを製造した。そして、得られたレールA、Bについて実軌道の使用条件を再現した疲労試験を行い、疲労限応力範囲を調査した。試験条件は下記に示すとおりである。
<実レール曲げ疲労試験(1)>
用いたレール
形状:141ポンドレール(重さ:70kg/m、底部の幅:152mm)
底部の金属組織:パーライト
レールの硬さ
足裏中央部の硬度を制御したレールA:足裏中央部の表面硬さHC(Hv):Hv320〜540、足先部の表面硬さHE(Hv):Hv315(一定)
足先部の硬度を制御したレールB:足裏中央部の表面硬さHC(Hv):Hv400(一定)、足先部の表面硬さHE(Hv):Hv200〜340
ここで、足裏中央部の硬さは図7に示す部位の表面硬さ(表面下1mm及び5mmの断面硬さ)をそれぞれ20箇所測定した平均値である。また、足先部の硬さは図7に示す部位の表面硬さ(表面下1mm及び5mmの断面硬さ)をそれぞれ20箇所測定した平均値である。また、Hvはビッカース硬さを示す。
足先部と足裏中央部の間の中間部の硬さHM(Hv)を含む足先部と足裏中央部の間の表面硬さは、足先部から足裏中央部に向けて単調に増加する分布を与えた。
疲労試験条件
試験方法:実物レール3点曲げ(スパン長:0.65m)(図8参照)
荷重条件:応力範囲制御(最大荷重−最小荷重、最小荷重は最大荷重の10%)、荷重負荷の周波数:5Hz
試験姿勢:レール頭部に荷重負荷(底部に引張応力作用)
応力制御:レール底部の足裏中央部に貼り付けた歪ゲージにより制御
繰り返し回数:200万回とし、未破断の場合の最大応力範囲を疲労限応力範囲とする
図2にレールAの疲労試験結果を、また、図3にレールBの疲労試験結果をそれぞれ示す。
図2は、レールAの足裏中央部の表面硬さHC(Hv)と疲労限応力範囲との関係で整理したグラフである。図2の結果から分かるように、実レールに掛かると想定される負荷応力(200MPa)以上の疲労限応力範囲を確保するには、足裏中央部の表面硬さをHC(Hv)はHv360〜500の範囲にする必要があることが分かった。HC(Hv)がHv360未満では、パーライトの硬度が不十分であり、疲労き裂が発生し、HC(Hv)がHv500超では、パーライト組織の脆化によってき裂発生する。
図3は、レールBの足先部の表面硬さHE(Hv)と疲労限応力範囲との関係で整理したグラフである。図3の結果から分かるように、足先部からの疲労き裂の発生を抑制し、レールの耐疲労性(負荷応力200MPa以上の疲労限応力範囲)を確保するには、足先部の表面硬さHE(Hv)をHv260以上とすること必要である。
以上の実験結果から、実軌道においてレール底部の耐疲労性を向上させるには、足裏中央部の硬さHC(Hv)をHv360〜500の範囲に制御し、かつ、足先部の表面硬さHE(Hv)をHv260以上に制御する必要があることが明らかとなった。
さらに、本発明者らは、足先部を起点とする脆性破壊を抑制するために適切な硬さを検討した。具体的には、C量:0.75〜1.20%、Si量:0.50%、Mn量:0.90%、P≦0.0250%、S≦0.0250%、残部がFeおよび不純物からなるレール鋼に対して、熱間圧延および熱処理を施して、足先部の硬さを変化させたレールを製造した。そして、耐折損性を評価するため、得られたレールの足先部から衝撃試験片を採取し、衝撃試験により衝撃特性を調査した。
試験条件は下記に示すとおりである。
[衝撃試験]
用いたレール
形状:141ポンドレール(重さ:70kg/m、底部の幅:152mm)
底部の金属組織:パーライト
足先部硬度:Hv240〜360
足裏中央部硬度:Hv360〜500
硬度測定位置:図7に示す足先部のレール底部外郭表面から1mm及び5mmの深さの部位での足先表面硬さを20箇所測定し、硬度はその平均値で示した。
衝撃試験条件
試験片形状:JIS3号 2mmUノッチシャルピー衝撃試験片
試験片採取位置:レールの足先部(図9参照)
試験温度:常温(+20℃)
試験条件:JIS Z2242に準じて実施
図4に足先部の衝撃試験結果を示す。図4は足先部の表面硬さと衝撃値との関係を整理したグラフである。図4に示すように、足先部の硬さが低下すると衝撃値が上昇する傾向になり、足先部の硬さがHv315以下になると、優れた靭性(20℃で15.0J/cm以上)が得られることが確認された。
これらの結果から、足先部を起点とする脆性破壊を抑制し、かつ、足先部や足裏中央部を起点とする疲労破壊を抑制することよって、レール底部の耐折損性および耐疲労性を向上させるには、足裏中央部の表面硬さをHv360〜500の範囲に制御し、足先部の表面硬さをHv260〜315の範囲に制御する必要があることを知見した。
さらに、本発明者らは、上記の硬度範囲を有するレールにおいて、足裏中央部と足先部との間に位置する中間部の表面硬さと、レール底部の耐疲労性との関係を検証した。具体的には、C量:1.00%、Si量:0.50%、Mn量:0.90%、P≦0.0250%、S≦0.0250%、残部がFeおよび不純物からなるレール鋼に対して熱間圧延および熱処理を施し、足裏中央部の表面硬さ:HC(Hv)および足先部の表面硬さ:HE(Hv)を一定に制御し、中間部の表面硬さ:HM(Hv)を変化させた複数のレール(レールC〜E)を製造した。試作したレールC〜Eについて実軌道の使用条件を再現した疲労試験を行い、疲労限応力範囲を調査した。試験条件は下記に示すとおりである。
<実レール曲げ疲労試験(2)>
用いたレール
形状:141ポンドレール(重さ:70kg/m、底部の幅:152mm)
底部の金属組織:パーライト
レールの硬さ
中間部の硬度を制御したレールC(8本):足裏中央部の表面硬さHC(Hv):Hv400(一定)、足先部の表面硬さHE(Hv):Hv315(一定)、足裏中央部と足先部の間に位置する中間部の表面硬さHM(Hv):Hv315〜400(HC≧HM≧HE)
中間部の硬度を制御したレールD(2本):足裏中央部の表面硬さHC(Hv):Hv400(一定)、足先部の表面硬さ:HE(Hv)をHv315(一定)、足裏中央部と足先部の間に位置する中間部の表面硬さHM(Hv):Hv310、またはHv290(HM<HE)
中間部の硬度を制御したレールE(2本):足裏中央部の表面硬さHC(Hv):Hv400(一定)、足先部の表面硬さHE(Hv):Hv315(一定)、足裏中央部と足先部の間に位置する中間部の表面硬さHM(Hv):Hv405、または420(HM>HC)
足裏中央部の表面硬さは図7に示す部位の表面硬さ(表面下1mm及び5mmの断面硬さ)をそれぞれ20箇所測定した平均値であり、足先部の表面硬さは図7に示す部位の表面硬さ(表面下1mm及び5mmの断面硬さ)をそれぞれ20箇所測定した平均値であり、中間部の表面硬さは図7に示す部位の表面硬さ(表面下1mm及び5mmの断面硬さ)をそれぞれ20箇所測定した平均値である。
また、足先部と中間部の間の表面硬さ、中間部と足裏中央部の間の表面硬さは、単調に増加または減少する分布を与えた。
疲労試験 試験方法:実物レール3点曲げ(スパン長:0.65m)(図8参照)
荷重条件:応力範囲制御(最大荷重−最小荷重、最小荷重は最大荷重の10%)、荷重負荷の周波数:5Hz
試験姿勢:レール頭部に荷重負荷(底部に引張応力作用)
応力制御:レール底部の足裏中央部に貼り付けた歪ゲージにより制御
繰り返し回数:200万回(未破断の場合の最大応力範囲を疲労限応力範囲とする)
図5にレールC(8本)、レールD(2本)、レールE(2本)の疲労試験結果を示す。図5は中間部の表面硬さ:HM(Hv)と底部の足裏中央部での疲労限応力範囲との関係で整理したグラフである。なお、試験はばらつきを考慮して、各レールについて4本の試験を行った。その結果、HM<HEであるレールDでは足先部より表面硬さの低い中間部(軟質部)に歪が集中し、中間部を起点に疲労破壊が生成した。また、HM>HCであるレールEでは中央部と中央部より表面硬さの高い中間部との境界部において歪が集中し、境界部を起点に疲労破壊が生成した。一方、レールCでは、中間部や中央部と中間部との境界部において歪の集中が抑制され、レール底部の耐疲労性(負荷応力200MPa以上)を確保できた。
これらの結果から、レール底部の耐疲労性を向上させるためには、足裏中央部の表面硬さ:HC(Hv)、足先部の表面硬さ:HE(Hv)、中間部の表面硬さ:HM(Hv)を下記の式1を満足するように制御し、レール底部の歪の集中を抑制する必要があることを知見した。
HC≧HM≧HE 式1
本発明者らは、レール底部の耐疲労性をより一層向上させるため、足裏中央部と中間部との硬さのバランスに着目し、検討を行った。具体的には、C:1.00%、Si:0.50%、Mn:0.90%、P≦0.0250%、S≦0.0250%、残部がFeおよび不純物からなるレール鋼に対し、熱間圧延および熱処理を施し、足先部の表面硬さ:HE(Hv)を一定に制御し、足裏中央部の表面硬さ:HC(Hv)と中間部の表面硬さ:HM(Hv)を変化させたレールF〜Hを製造した。試作したレールF〜Hについて実軌道の使用条件を再現した疲労試験を行い、疲労限応力範囲を調査した。試験条件は下記に示すとおりである。
<実レール曲げ疲労試験(3)>
用いたレール
形状:141ポンドレール(重さ:70kg/m、底部の幅:152mm)
底部の金属組織:パーライト
レールの硬さ
足裏中央部、中間部の硬度を制御したレールF(6本):足先部の表面硬さHE(Hv):Hv315(一定)、足裏中央部の表面硬さHC(Hv):Hv360、足裏中央部と足先部との間に位置する中間部の表面硬さHM(Hv):Hv315〜360(HC≧HM≧HE)
足裏中央部、中間部の硬度を制御したレールG(8本):足先部の表面硬さHE(Hv):Hv315(一定)、足裏中央部の表面硬さHC(Hv):Hv440、足裏中央部と足先部との間に位置する中間部の表面硬さHM(Hv):Hv315〜440(HC≧HM≧HE)
足裏中央部、中間部の硬度を制御したレールH(11本):足先部の表面硬さHE(Hv):Hv315(一定)、足裏中央部の表面硬さHC(Hv):Hv500、足裏中央部と足先部との間に位置する中間部の表面硬さHM(Hv):Hv315〜500(HC≧HM≧HE)
足裏中央部の表面硬さは図7に示す部位の表面硬さ(表面下1mm及び5mmの断面硬さ)をそれぞれ20箇所測定した平均値であり、足先部の表面硬さは図7に示す部位の表面硬さ(表面下1mm及び5mmの断面硬さ)をそれぞれ20箇所測定した平均値であり、中間部の表面硬さは図7に示す部位の表面硬さ(表面下1mm及び5mmの断面硬さ)をそれぞれ20箇所測定した平均値である。
足先部と中間部の間の表面硬さ、中間部と足裏中央部の間の表面硬さ硬さは、単調に増加または減少する分布を与えた。
疲労試験条件
試験方法:実物レール3点曲げ(スパン長:0.65m)(図8参照)
荷重条件:応力範囲制御(最大荷重−最小荷重、最小荷重は最大荷重の10%)、荷重負荷の周波数:5Hz
試験姿勢:レール頭部に荷重負荷(底部に引張応力作用)
応力制御:レール底部の足裏中央部に貼り付けた歪ゲージにより制御
繰り返し回数:200万回(未破断の場合の最大応力範囲を疲労限応力範囲とする)
図6にレールF(6本)、レールG(8本)、レールH(11本)の疲労試験結果を示す。図6は中間部の表面硬さ:HM(Hv)と底部の疲労限応力範囲との関係を整理したグラフである。いずれのレールにおいても、中間部の表面硬さ:HM(Hv)が足裏中央部の表面硬さ:HC(Hv)の0.900倍以上の領域において、レール底部の足裏中央部の耐疲労性が向上することが確認された。
これは、中央部と中間部の硬度差の減少により、中央部と中間部の境界部において歪の集中がさらに抑制されたためであると考えられる。
これらの結果から、足裏中央部の表面硬さ:HC(Hv)、足先部の表面硬さ:HE(Hv)、中間部の表面硬さ:HM(Hv)をHC≧HM≧HEとなるように制御した上で、中間部の表面硬さ:HM(Hv)と足裏中央部の表面硬さ:HC(Hv)を下記の式2を満足するように制御し、レール底部の歪の集中をさらに抑制することにより、レール底部の耐疲労性がより一層向上することを知見した。
HM/HC≧0.900 式2
本実施形態に係るレールは、上記の知見に基づき、レール鋼の成分を制御し、レール底部の金属組織、レール底部の足裏中央部及び足先部の表面硬さを制御し、さらに、足裏中央部、足先部及び中間部の表面硬さのバランスを制御し、中間部近傍での歪の集中を抑制することにより、貨物鉄道で使用されるレールの底部の耐折損性、耐疲労性を向上させ、使用寿命を大きく向上させることを目的としたレールである。
次に、本実施形態に係るレールについて詳細に説明する。以下、鋼成分における%は、質量%である。
(1)レール鋼の化学成分(鋼成分)の限定理由
本実施形態に係るレールにおいて、鋼の化学成分を限定する理由について詳細に説明する。
C:0.75〜1.20%
Cは、パーライト変態を促進させて、かつ、耐疲労性の向上に寄与する元素である。しかしながら、C量が0.75%未満であると、レールに要求される最低限の強度や耐折損性を確保できない。さらに、レール底部に疲労き裂を生成し易い軟質な初析フェライト組織が多量に生成し易くなり、疲労損傷が発生し易くなる。一方、C量が1.20%を超えると、初析セメンタイト組織が生成し易くなり、パーライト組織との界面から疲労き裂が発生し、耐疲労性が低下する。また、靭性が低下し、足先部において耐折損性が低下する。したがって、パーライト組織の生成を促し、耐疲労性や耐折損性の一定のレベルを確保するため、C量を0.75〜1.20%とする。パーライト組織の生成を更に安定化し、耐疲労性や耐折損性をより向上させるには、C量を0.85〜1.10%とすることが望ましい。
Si:0.10〜2.00%
Siは、パーライト組織中のフェライト相に固溶し、レール底部の硬さ(強度)を上昇させ、耐疲労性を向上させる元素である。さらに、Siは初析セメンタイト組織の生成を抑制し、パーライト組織との界面から発生する疲労損傷を防止し、耐疲労性を向上させるとともに、初析セメンタイト組織の生成による靭性低下を抑制し、足先部において耐折損性を向上させる元素でもある。しかしながら、Si量が0.10%未満では、これらの効果が十分に得られない。一方、Si量が2.00%を超えると、熱間圧延時に表面疵が多く生成する。さらに、焼入性が著しく増加し、レール底部に靭性の低いマルテンサイト組織が生成し易くなり、耐疲労性の低下につながる。また、硬さの上昇が過剰となり、足先部において耐折損性が低下する。したがって、パーライト組織の生成を促し、耐疲労性や耐折損性の一定のレベルを確保するため、Si量を0.10〜2.00%とする。パーライト組織の生成を更に安定化し、耐疲労性や耐折損性をより向上させるには、Si量を0.20〜1.50%とすることが望ましい。
Mn:0.10〜2.00%
Mnは、焼き入れ性を高め、パーライト変態を安定化させると同時に、パーライト組織のラメラ間隔を微細化し、パーライト組織の硬度を確保することによって、耐疲労性を向上させる元素である。しかしながら、Mn量が0.10%未満では、その効果が小さく、レール底部に疲労き裂を生成し易い軟質な初析フェライト組織が生成し易くなる。初析フェライトが生成すると、耐疲労性の確保が困難となる。一方、Mn量が2.00%を超えると、焼入性が著しく増加し、レール底部に靭性の低いマルテンサイト組織が生成し、耐疲労性が低下する。また、硬さの上昇が過剰となり、足先部において耐折損性を低下させる。したがって、パーライト組織の生成を促し、耐疲労性や耐折損性の一定のレベルを確保するため、Mn添加量を0.10〜2.00%とする。パーライト組織の生成を安定化し、耐疲労性や耐折損性をより向上させるには、Mn量を0.20〜1.50%とすることが望ましい。
P:0.0250%以下
Pは、鋼中に不可避的に含有される元素である。転炉での精錬を行うことによりその含有量を制御することが可能である。P量は少ない方が好ましいが、特にP量が0.0250%を超えると、パーライト組織が脆化し、レール底部において疲労き裂の先端から脆性き裂が生成し、耐疲労性が低下する。また、足先部において靭性が低下し、耐折損性が低下する。このため、P量を0.0250%以下に限定する。P量の下限は限定しないが、精錬工程での脱燐能力を考慮すると、P量の下限は0.0050%程度が実際に製造する際の限界になると考えられる。
Sは、鋼中に不可避的に含有される元素である。溶銑鍋での脱硫を行うことによりその含有量を制御することが可能である。S量は少ない方が好ましいが、特にS量が0.0250%を超えると、粗大なMnS系硫化物の介在物が生成し易くなり、レール底部において、介在物の周囲の応力集中により疲労き裂が生成し、耐疲労性が低下する。このため、S量を0.0250%以下に限定した。S量の下限は限定しないが、精錬工程での脱硫能力を考慮すると、S量の下限は0.0030%程度が実際に製造する際の限界になると考えられる。
本実施形態に係るレールは、上記の化学成分を含有し、残部がFe及び不純物からなることを基本とする。しかしながら、残部のFeの一部に代えて、必要に応じてさらに、パーライト組織の硬度(強度)の増加による耐疲労性の向上、靭性の向上、溶接熱影響部の軟化の防止、レール底部内部の断面硬度分布の制御を図る目的で、Cr、Mo、Co、B、Cu、Ni、V、Nb、Ti、Mg、Ca、REM、Zr、N、Alからなる群から選択される1種または2種以上を後述する範囲で含有させてもよい。具体的には、Cr、Moは、平衡変態点を上昇させ、パーライト組織のラメラ間隔を微細化し、硬度を向上させる。Coは、車輪との接触によるころがり面直下のラメラ組織を微細化し、硬度を高める。Bは、パーライト変態温度の冷却速度依存性を低減させ、レール底部の断面内の硬度分布を均一にする。Cuは、パーライト組織中のフェライトに固溶し、硬度を高める。Niは、パーライト組織の靭性と硬度を向上させ、同時に、溶接継手の熱影響部の軟化を防止する。V、Nb、Tiは、熱間圧延やその後の冷却過程で生成した炭化物や窒化物の析出硬化により、パーライト組織の疲労強度を向上させる。また、再加熱時に炭化物や窒化物を安定的に生成させ、溶接継手の熱影響部の軟化を防止する。Mg、Ca、REMは、MnS系硫化物を微細分散し、オーステナイト粒の微細化を図り、同時に、パーライト変態を促進し、靭性を向上させる。Zrは、凝固組織の等軸晶化率を高めることにより、鋳片中心部の偏析帯の形成を抑制し、初析セメンタイト組織やマルテンサイト組織の生成を抑制する。Nは、オーステナイト粒界に偏析することによりパーライト変態を促進させ、靭性を向上させることや熱間圧延後のその後の冷却過程でVの炭化物や窒化物の析出を促進させ、パーライト組織の耐疲労性を向上させる。そのため、上記の効果を得るため、これらの元素を後述する範囲で含有させてもよい。なお、これらの元素は後述する範囲以下で含有されていても、本実施形態に係るレールの特性を損なうものではない。また、これらの元素は必ずしも含有させる必要がないので、その下限は0%である。
Cr:0.01〜2.00%
Crは、平衡変態温度を上昇させ、過冷度を増加させることにより、パーライト組織のラメラ間隔を微細化し、パーライト組織の硬度(強度)を向上させ、その結果として耐疲労性を向上させる元素である。しかしながら、Cr量が0.01%未満ではその効果は小さく、レール鋼の硬度を向上させる効果が見られない。一方、Cr量が2.00%を超えると、焼入れ性が著しく増加し、レール底部に靭性の低いマルテンサイト組織が生成し、耐折損性が低下する。このため、含有させる場合には、Cr量を0.01〜2.00%とすることが好ましい。
Mo:0.01〜0.50%
Moは、Crと同様に平衡変態温度を上昇させ、過冷度を増加させることにより、パーライト組織のラメラ間隔を微細化し、パーライト組織の硬度(強度)を向上させ、その結果として、耐疲労性を向上させる元素である。しかしながら、Mo量が0.01%未満ではその効果が小さく、レール鋼の硬度を向上させる効果が見られない。一方、Mo量が0.50%を超えると、変態速度が著しく低下し、レール底部に靭性の低いマルテンサイト組織が生成して、耐折損性が低下する。このため、含有させる場合には、Mo量を0.01〜0.50%とすることが好ましい。
Co:0.01〜1.00%
Coは、パーライト組織中のフェライト相に固溶し、車輪との接触によるころがり面直下のパーライト組織のラメラ組織を微細し、パーライト組織の硬度(強度)を向上させ、その結果として、耐疲労性を高める元素である。しかし、Co量が0.01%未満では、ラメラ組織の微細化が促進せず、耐疲労性の向上効果が得られない。一方、Co量が1.00%を超えると、上記の効果が飽和する上、合金添加コストの増大により経済性が低下する。このため、含有させる場合には、Co量を0.01〜1.00%とすることが好ましい。
B:0.0001〜0.0050%
Bは、オーステナイト粒界に鉄炭ほう化物(Fe23(CB))を形成し、パーライト変態を促進することにより、パーライト変態温度の冷却速度依存性を低減させる元素である。パーライト変態温度の冷却速度依存性が低減されると、レール底部表面から内部までより均一な硬度分布がレールに付与されるので、耐疲労性が向上する。しかしながら、B量が0.0001%未満では、その効果が十分でなく、レール底部の硬度分布に改善が認められない。一方、B量が0.0050%を超えると、粗大な鉄炭ほう化物が生成し、応力集中により疲労損傷が発生しやすくなる。このため、含有させる場合には、B量を0.0001〜0.0050%とすることが好ましい。
Cu:0.01〜1.00%
Cuは、パーライト組織のフェライト相に固溶し、固溶強化により硬度(強度)を向上させ、その結果として、耐疲労性を向上させる元素である。しかし、Cu量が0.01%未満ではその効果が得られない。一方、Cu量が1.00%を超えると、著しい焼入れ性向上により、レール底部にマルテンサイト組織が生成し、耐折損性が低下する。このため、含有させる場合には、Cu量を0.01〜1.00%とすることが好ましい。
Ni:0.01〜1.00%
Niは、パーライト組織の靭性を向上させると同時に、固溶強化により硬度(強度)を向上させることによって耐疲労性を向上させる元素である。さらに、Niは、溶接熱影響部においては、Tiと複合でNiTiの金属間化合物として微細に析出し、析出強化により軟化を抑制する元素である。また、Cuが含有された鋼において粒界の脆化を抑制する元素である。しかし、Ni量が0.01%未満では、これらの効果が著しく小さい。一方、Ni量が1.00%を超えると、著しい焼入れ性向上により、レール底部に靭性の低いマルテンサイト組織が生成し、耐折損性が低下する。このため、含有させる場合には、Ni量を0.01〜1.00%とすることが好ましい。
V:0.005〜0.50%
Vは、熱間圧延後の冷却過程で生成するV炭化物、V窒化物による析出硬化により、パーライト組織の硬度(強度)を高め、耐疲労性を向上させる元素である。また、Vは、Ac1点以下の温度域に再加熱された溶接熱影響部において、比較的高温度域でV炭化物やV窒化物として生成し、溶接継手の熱影響部の軟化を防止するのに有効な元素である。しかしながら、V量が0.005%未満ではこれらの効果が十分に得られず、硬度(強度)の向上が認められない。一方、V量が0.50%を超えると、Vの炭化物や窒化物による析出硬化が過剰となり、パーライト組織が脆化し、レールの耐疲労性が低下する。このため、含有させる場合には、V量を0.005〜0.50%とすることが好ましい。
Nb:0.0010〜0.050%
Nbは、Vと同様に、熱間圧延後の冷却過程で生成したNb炭化物、Nb窒化物による析出硬化により、パーライト組織の硬度(強度)を高め、耐疲労性を向上させる元素である。また、Nbは、Ac1点以下の温度域に再加熱された熱影響部において、低温度域から高温度域までNbの炭化物やNb窒化物を安定的に生成させ、溶接継手の熱影響部の軟化を防止するのに有効な元素である。しかしながら、Nb量が0.0010%未満では、これらの効果が十分に得られず、パーライト組織の硬度(強度)の向上が認められない。また、Nb量が0.050%を超えると、Nbの炭化物や窒化物の析出硬化が過剰となり、パーライト組織が脆化し、レールの耐疲労性が低下する。このため、含有させる場合には、Nb量を0.0010〜0.050%とすることが好ましい。
Ti:0.0030〜0.0500%
Tiは、熱間圧延後の冷却過程で生成したTi炭化物、Ti窒化物として析出し、析出硬化によってパーライト組織の硬度(強度)を高め、耐疲労性を向上させる元素である。また、溶接時の再加熱において、析出したTi炭化物、Ti窒化物が溶解しないので、オーステナイト域まで加熱される熱影響部の組織の微細化を図り、溶接継手部の脆化を防止するのに有効な元素である。しかしながら、Ti量が0.0030%未満ではこれらの効果が少ない。一方、Ti量が0.0500%を超えると、粗大なTi炭化物、Ti窒化物が生成し、応力集中により疲労損傷が発生しやすくなる。このため、含有させる場合には、Ti量を0.0030〜0.0500%とすることが好ましい。
Mg:0.0005〜0.0200%
Mgは、Sと結合して微細な硫化物(MgS)を形成する元素である。MgSはMnSを微細に分散させる。また、この微細に分散したMnSはパーライト変態の核となり、パーライト変態を促進させ、パーライト組織の靭性を向上させる。しかしながら、Mg量が0.0005%未満では上記の効果は小さい。一方、Mg含有量が0.0200%を超えると、Mgの粗大酸化物が生成し、応力集中により疲労損傷が発生しやすくなる。このため、含有させる場合には、Mg量を0.0005〜0.0200%とすることが好ましい。
Ca:0.0005〜0.0200%
Caは、Sとの結合力が強く、硫化物(CaS)を形成する元素である。このCaSはMnSを微細に分散させる。微細なMnSはパーライト変態の核となり、パーライト変態を促進させ、パーライト組織の靭性を向上させる。しかしながら、Ca量が0.0005%未満ではその効果は小さい。一方、Ca含有量が0.0200%を超えると、Caの粗大酸化物が生成し、応力集中により疲労損傷が発生しやすくなる。このため、含有させる場合には、Ca量を0.0005〜0.0200%とすることが好ましい。
REM:0.0005〜0.0500%
REMは、脱酸・脱硫元素であり、含有させることによりREMのオキシサルファイド(REMS)を生成し、Mn硫化物系介在物の生成核となる。また、この核であるオキシサルファイド(REMS)の融点は高いので、圧延後のMn硫化物系介在物の延伸を抑制する。この結果、REMの含有により、MnSが微細に分散し、応力集中を緩和し、耐疲労性が向上する。しかしながら、REM量が0.0005%未満では、その効果が小さく、MnS系硫化物の生成核としては不十分となる。一方、REM含有量が0.0500%を超えると、硬質なREMのオキシサルファイド(REMS)が生成し、応力集中により疲労損傷が発生しやすくなる。このため、含有させる場合には、REM量を0.0005〜0.0500%とすることが好ましい。
ここで、REMとはCe、La、PrまたはNd等の希土類金属である。上記含有量はこれらの全REMの含有量の合計量を限定したものである。全REM元素の含有量の総和が上記範囲内であれば、単独、複合(2種類以上)のいずれの形態であっても同様な効果が得られる。
Zr:0.0001〜0.0200%
Zrは、Oと結合してZrO介在物を生成する。このZrO介在物は、γ−Feとの格子整合性が良いので、γ−Feが凝固初晶である高炭素レール鋼の凝固核となり、凝固組織の等軸晶化率を高めることにより、鋳片中心部の偏析帯の形成を抑制し、レール偏析部に生成するマルテンサイトや初析セメンタイト組織の生成を抑制する。しかしながら、Zr量が0.0001%未満では、ZrO系介在物の数が少なく、凝固核として十分な作用を示さない。この場合、レール底部の偏析部にマルテンサイトや初析セメンタイト組織が生成し易くなり、レールの耐疲労性の向上が期待できない。一方、Zr量が0.0200%を超えると、粗大なZr系介在物が多量に生成し、応力集中により疲労損傷が発生しやすくなる。このため、含有させる場合には、Zr量を0.0001〜0.0200%とすることが好ましい。
N:0.0060〜0.0200%
Nは、オーステナイト粒界に偏析することにより、オーステナイト粒界からのパーライト変態を促進させ、主に、パーライトブロックサイズを微細化することにより、靭性を向上させるのに有効な元素である。また、NをVと同時に添加すると、熱間圧延後の冷却過程でVの炭窒化物の析出を促進させ、パーライト組織の硬度(強度)を高め、耐疲労性を向上させる元素である。しかしながら、N量が0.0060%未満では、これらの効果が小さい。一方、N含有量が0.0200%を超えると、Nを鋼中に固溶させることが困難となる。この場合、疲労損傷の起点となる気泡が生成し、疲労損傷が発生し易くなる。このため、含有させる場合には、N量を0.0060〜0.0200%とすることが好ましい。
Al:0.0100〜1.00%
Alは、脱酸材として機能する成分である。また、Alは、共析変態温度を高温側へ移動させる元素であり、パーライト組織の高硬度(強度)化に寄与し、耐疲労性を向上させる元素である。しかしながら、Al量が0.0100%未満では、その効果が小さい。一方、Al量が1.00%を超えると、鋼中にAlを固溶させることが困難となる。この場合、粗大なアルミナ系介在物が生成し、この粗大な析出物から疲労き裂が発生し、疲労損傷が発生し易くなる。さらに、溶接時に酸化物が生成し、溶接性が著しく低下する。このため、含有させる場合には、Al量を0.0100〜1.00%とすることが好ましい。
(2)金属組織およびパーライト組織の必要範囲の限定理由
本実施形態に係るレールにおいて、底部外郭表面を起点として5mm深さの範囲の金属組織の90面積%以上をパーライト組織に限定する理由について詳細に説明する。
まず、90面積%以上をパーライト組織に限定した理由について説明する。
パーライト組織は低合金で強度(硬さ)が得られ易く、耐疲労性を向上させるのに有利な組織である。さらに、強度(硬さ)の制御が容易で靭性の向上が図り易く、耐折損性にも優れている。そこで、レール底部の耐折損性および耐疲労性を向上させる目的からパーライト組織に限定した。
次に、パーライト組織の必要範囲を底部外郭表面を起点として5mm深さの範囲に限定した理由について説明する。
パーライト組織の必要範囲が底部外郭表面を起点として5mm未満では、レール底部に要求される耐折損性や耐疲労性を向上させる効果が小さく、十分なレール使用寿命の向上が困難となる。そのため、底部外郭表面を起点として5mm深さの範囲の金属組織の90面積%以上をパーライト組織とする。
図7にパーライト組織が必要な領域を示す。先に述べたように、レール底部4は、足裏中央部1と、足裏中央部1の両端に位置する足先部2と、足裏中央部1と足先部2との間に位置する中間部3とを有する。レール底部外郭表面5は、太線で示したレールの足裏中央部1、中間部3、足先部2等を含むレール底部4の表面全体を指し、レールを正立させたときに下を向く面である。なお、レール底部外郭表面5にはレール底部の側端面を含めてもよい。
足裏中央部1から中間部3を経て両端の足先部2までの、レール底部外郭表面5を起点として深さ5mmまでの底部表層部にパーライト組織が配置されていれば、レールの耐折損性及び耐疲労性の向上が図れる。したがって、パーライト組織Pは、図7のハッチング範囲で示したように、耐折損性及び耐疲労性の向上が要求されるレール底部外郭表面5を基点として少なくとも5mm深さの範囲に配置する。また、それ以外の部分は、パーライト組織もしくはそれ以外の金属組織であってもよい。なお、レール全断面での特性を考えた場合、特に車輪と接触するレール頭部では耐摩耗性の確保が最も重要とされている。金属組織と耐摩耗性との関係を調査した結果、パーライト組織が最もよいことが確認されているので、レール頭部の組織もパーライト組織であることが好ましい。
また、本実施形態に係るレールの底部表層部の金属組織は、上述のようにパーライト組織であることが望ましいが、レールの成分系や熱処理製造方法によっては、パーライト組織中に面積率で10%以下の微量な初析フェライト組織、初析セメンタイト組織、ベイナイト組織やマルテンサイト組織が混入することがある。しかし、これらの組織が混入しても、少量であればレール底部の耐折損性および耐疲労性には大きな悪影響を及ぼさないため、耐折損性および耐疲労性に優れたレールの組織としては、10面積%以下の微量な初析フェライト組織、初析セメンタイト組織、ベイナイト組織、マルテンサイト組織の混在を許容する。言い換えれば、本実施形態に係るレールの底部表層部の金属組織は、90面積%以上がパーライト組織であればよい。耐折損性及び耐疲労性を十分に向上させるには、底部表層部の金属組織の95面積%以上をパーライト組織とすることが望ましい。
面積率は、レール底部外郭表面に垂直な横断面から試験片を採取し、試験片を研磨後、エッチングにより金属組織を現出させ、前記表面から1mm、5mmの各位置の金属組織を観察することで得られる。具体的には、前記各位置の観察において、200倍の光学顕微鏡の視野で金属組織を観察し、各組織の面積を決定して面積率を決定することで得られる。観察の結果、表面から1mm、5mmの双方がともにパーライト組織の面積率が90%以上であれば、レール底部外郭表面を起点として5mm深さの範囲の金属組織の90%以上がパーライト組織(レール底部外郭表面を起点として5mm深さの範囲のパーライト組織の面積率が90%以上)であると判断してよい。すなわち、前記各位置の面積率が90%であれば、前記各位置に挟まれる中間位置は、パーライト面積率が90%以上であるとして良い。
(3)足裏中央部の表面硬さの限定理由
本実施形態に係るレールにおいて、足裏中央部の表面硬さをHv360〜500の範囲に限定した理由について説明する。
足裏中央部の表面硬さがHv360未満では、図2に示したように、重荷重鉄道で作用する足裏中央部の負荷応力(200MPa)に対して、疲労限応力範囲を確保できず、レール底部の耐疲労性が低下する。一方、表面硬さがHv500を超えると、図2に示したように、パーライト組織の脆化が進み、き裂発生により疲労限応力範囲を確保できず、レール底部の耐疲労性が低下する。このため、足裏中央部の表面硬さをHv360〜500の範囲に限定する。
(4)足先部の表面硬さの限定理由
本実施形態に係るレールにおいて、足先部の表面硬さをHv260〜315の範囲に限定した理由について説明する。
足先部の表面硬さがHv260未満では、図3に示したように、重荷重鉄道で作用する足先部の負荷応力(150MPa)に対して、疲労限応力範囲を確保できず、レール底部の耐疲労性が低下する。一方、表面硬さがHv315を超えると、図4に示したように、パーライト組織の靭性が低下し、脆性破壊の促進によりレール底部の耐折損性が低下する。このため、足先部の表面硬さをHv260〜315の範囲に限定する。
(5)足裏中央部の表面硬さ:HC、足先部の表面硬さ:HE、中間部の表面硬さ:HMの関係の限定理由
足先部の表面硬さより中間部の表面硬さを低くすると、図5に示したように、中間部(軟質部)に歪が集中し、中間部を起点に疲労破壊が生成する。また、足裏中央部の表面硬さより中間部の表面硬さを高くすると、図5に示したように、足裏部と中間部との境界部において歪が集中し、境界部を起点に疲労破壊が生成する。このため、足裏中央部の表面硬さ:HC、足先部の表面硬さ:HE、中間部の表面硬さ:HMの関係を下記の条件を満足するように限定する。
HC≧HM≧HE
(6)足裏中央部の表面硬さ:HCと中間部の表面硬さ:HMの関係の限定理由
足裏中央部の表面硬さ:HC(Hv)、足先部の表面硬さ:HE(Hv)、中間部の表面硬さ:HM(Hv)を上記の関係(HC≧HM≧HE)に制御した上で、中間部の表面硬さ:HM(Hv)が足裏中央部の表面硬さ:HC(Hv)の0.900倍以上に制御して、足裏中央部と中間部の硬度差を減少させると、図6に示したように、足裏中央部と中間部の境界部において歪の集中がさらに抑制され、レール底部の耐疲労性がより向上する。このため、足裏中央部の表面硬さ:HCと中間部の表面硬さ:HMの関係を下記の条件に限定することが好ましい。
HM/HC≧0.900
上記のレール底部の表面硬さは下記の条件で測定することが好ましい。
[レール底部の表面硬さの測定方法]
測定
測定装置:ビッカース硬度計(荷重98N)
測定用試験片採取:底部の横断面からサンプル切り出し
事前処理:横断面を1μmダイヤ研磨
測定方法:JIS Z 2244に準じて測定
硬さの算定
足裏中央部:図7に示す部位の表面下1mm及び5mmにおいてそれぞれ20点の測定を行い、その平均値を当該各位置での硬さとする。
足先部:図7に示す部位の表面下1mm及び5mmにおいてそれぞれ20点の測定を行い、その平均値を当該各位置での硬さとする。
中間部:図7に示す部位の表面下1mm及び5mmにおいてそれぞれ20点の測定を行い、その平均値を当該各位置での硬さとする。
中間部の表面硬さ(HM)と足裏中央部の表面硬さ(HC)との比の算定
中間部の表面硬さ(HM)と足裏中央部の表面硬さ(HC)との比は、各部位における表面下1mm及び5mmのそれぞれの硬さの平均値をさらに平均した値を、足裏中央部の表面硬さ(HC)、中間部の表面硬さ(HM)とし、上記の比を算定する。
(7)レール底部の硬さの制御方法
レール底部の硬さを制御するには、例えば、足裏中央部、足先部および中間部が必要とする硬さに応じて、圧延条件、圧延後の熱処理条件を調整することで、硬さ制御が可能である。
本実施形態に係るレールは、上記の成分、組織等を備えることで、製造方法に関わらず、その効果を得ることができる。しかしながら、例えば、上記のような成分組成で構成されるレール鋼を、転炉、電気炉などの通常使用される溶解炉で溶製を行い、この溶鋼を造塊・分塊法あるいは連続鋳造法、次に、熱間圧延を行い、必要に応じてレール底部の金属組織や硬さを制御するための熱処理を行うことで得ることができる。
例えば、本実施形態に係るレールは、成分調整後の溶鋼を鋳造してブルームとし、ブルームを1250〜1300℃に加熱し、熱間圧延してレール形状に成形する。そして、熱間圧延後に放冷または加速冷却するか、熱間圧延して放冷した後に再加熱してから加速冷却することで得られる。
これら一連の工程において、足裏中央部、足先部および中間部の表面硬さを調整するには、熱間圧延条件、熱間圧延後の加速冷却の冷却速度、熱間圧延後の再加熱温度、熱間圧延後の再加熱後の加速冷却の冷却速度の製造条件のうちいずれか1つまたは2つ以上を制御すればよい。
●好ましい熱間圧延条件、再加熱条件
足裏中央部と比較して硬さの低い足先部の特性を確保するために、最終圧延前に足先部を冷却する等、最終圧延温度を足裏中央部と足先部とで個別に制御する。実際のレールの熱間圧延条件としては、足裏中央部における最終圧延温度を900〜1000℃(レール底部外郭表面の温度)とし、足先部における最終圧延温度を800〜900℃(レール底部外郭表面の温度)の範囲にすることで、それぞれの位置において、個別に硬さの制御が可能である。
耐折損性や耐疲労性を付与するために、レール底部の硬さを制御するには、通常のレールの孔型圧延で最終圧延温度を制御することで十分と考えられる。これ以外のレール底部の圧延条件は例えば、公知の方法によって、主としてパーライト組織が得られるようにすればよい。例えば、特開2002−226915号公報等に記載されている方法を参考にして、鋼片を粗圧延した後、リバース圧延機による中間圧延を複数パスに渡って行い、中間圧延の各パスの圧延直後にレール頭部表面と底部中心表面を温度が50〜100℃低下する冷却を施し、続いて連続圧延機による仕上げ圧延を2パス以上行うえばよい。この際、レール底部の硬さを制御するため、仕上げ圧延の最終圧延前に、レール底部の足先部及び足裏中央部を上記の温度範囲に制御すればよい。
また、熱間圧延後にレール底部を再加熱する場合は、足裏中央部と比較して足先部の硬さを低くするために、例えば、加熱条件の制御により、足裏中央部と比較して足先部の加熱温度を低くしてもよい。実際のレールの再加熱条件としては、例えば、足裏中央部で再加熱温度950〜1050℃(レール底部外郭表面)、足先部で再加熱温度850〜950℃(レール底部外郭表面)の範囲となるように再加熱することで、レール底部の硬さ制御が可能になる。
中間部については、足裏中央部、足先部での熱間圧延および再加熱条件に準じた条件をベースに、足先部の近傍では足先部よりも最終圧延温度や再加熱温度をやや高めに、足裏部の近傍では足裏部よりも最終圧延温度や再加熱温度をやや低めに設定することが望ましい。この結果、目的とした硬さを確保することが可能である。
●熱間圧延・再加熱後の加速冷却条件
レール底部の加速冷却方法については特に限定してない。耐折損性や耐疲労性を付与するため、硬さを制御するために、空気噴射冷却、ミスト冷却、水及び空気の混合噴射冷却、あるいはこれらの組み合わせにより、熱処理時のレール底部の冷却速度を制御すればよい。しかしながら、例えば、熱間圧延後に加速冷却を行う場合は、足裏中央部と比較して足先部の硬さを低くするため、足裏中央部の加速冷却の冷媒を水やミスト、足先部の加速冷却の冷媒にエアーなどを用いることで、足裏中央部と比較して足先部の冷却速度を低下させるとよい。なお、冷却速度及び冷却温度範囲は、レール底部外郭表面の温度を基準にして制御する。
圧延後に加速冷却を行う場合は、例えば、足裏中央部で加速冷却速度3〜10℃/sec(冷却温度範囲:850〜600℃)、足先部で加速冷却速度1〜5℃/sec(冷却温度範囲:800〜650℃)の範囲で硬さ制御が可能である。また、加速冷却は、800〜600℃の範囲で行えばよく、600℃未満の冷却条件は特に限定されない。
また、熱間圧延後に再加熱してから加速冷却する場合は、例えば、足裏中央部で加速冷却速度5〜12℃/sec(冷却温度範囲:850〜600℃)、足先部で加速冷却速度3〜8℃/sec(冷却温度範囲:800〜600℃)の範囲で冷却することで、硬さ制御が可能である。また、加速冷却は、800〜600℃の範囲で行えばよく、600℃未満の冷却条件は特に限定されない。
中間部については、足裏中央部、足先部での加速冷却条件に準じた条件をベースに、足先部の近傍では足先部よりも加速冷却速度をやや高めに、足裏中央部の近傍では足裏部よりも加速冷却速度をやや低めに設定することが望ましい。この結果、目的とした硬さを確保することが可能である。
また、耐疲労性をより一層向上させるため、中間部の硬さと足裏中央部の硬さの差異を低減するには、中間部の加速冷却速度を足裏中央部の冷却速度に近づける、または、加速冷却を終了する温度をやや低めに設定する、具体的には600℃近傍まで加速冷却することが望ましい。
上記のような製造条件の組み合わせでレール底部の硬さの制御が可能であり、また、所定の範囲の金属組織において、パーライト組織の面積率を90%以上にできる。
実際のレール製造においては、レール鋼の成分値に合わせて、上記で示した製造条件の範囲内において調整する必要がある。その調整においては、開示されている公知文献等に記載されている鋼の熱間圧延の条件と結晶粒の関係、鋼の平衡状態図、連続冷却変態線図(CCT図)等を参考にすればよい。
また、仕上げ圧延温度の制御においては、熱間圧延の条件とオーステナイト粒径の関係から足先部、足裏中央部さらには中間部の圧延温度を選択することで硬さの作り分けや、組織の決定が可能である。具体的な例としては、硬さを低下させたい足先部においては、圧延温度を低くしてオーステナイト粒径(粒径番号を大きく)を小さくする制御を行うことができる。足先部の圧延温度の低下には、圧延前のディレー、足先部の強制冷却、等が適用できる。
また、再加熱温度制御する際には、鉄炭素の平衡状態図から再加熱温度を選択することが可能である。具体的な例としては、硬さを低下させたい足先部においては、再加熱温度を低くしてオーステナイト粒径を小さくする制御を行う。なお、温度を低減させ過ぎると金属組織が完全にオーステナイト化されない場合がある。そこで、A1線、A3線、Acm線を尺度に最低加熱温度を制御することが望ましい。足先部の再加熱温度を低目に設定するには、放射熱による再加熱の場合は遮蔽板を設置する等の加熱抑制等が適用できる。誘導加熱を用いる場合は、複数のコイルの配置の調整による足先部の加熱の抑制や、足先部近傍の誘導加熱コイル出力の調整による足先部の加熱抑制等が適用できる。
また、加速冷却等の冷却速度の制御(仕上げ圧延や再加熱後の熱処理としての冷却制御)に際しては、レール鋼の成分値に合わせて、CCT図から加速冷却速度を決定することが可能である。具体的にはパーライト組織の生成を確保するため、CCT図からパーライト変態の適正冷却速度を導き、その範囲から目的とする硬さが得られるように冷却速度を制御することが望ましい。具体的な例としては、硬さを低下させたい足先部では足裏中央部と比較して冷却速度を遅く制御することが必要である。
上記の組織制御方法と本発明者らが得た新たな知見と組み合わせて活用することにより、本実施形態に係るレールの製造が可能となる。
次に、本発明の実施例について説明する。
表1〜4には、本発明例であるレールの化学成分と諸特性を示す。表1〜4には、化学成分値、底部のミクロ組織、底部の表面硬さ、足裏中央部の表面硬さと中間部の表面硬さの比を示す。化学成分の残部は、Fe及び不純物である。図8に示す方法で行った疲労試験結果、図9に示す位置から試験片を採取した足先部の衝撃試験結果も併記した。底部のミクロ組織は、「パーライト」とのみ記載した場合、レール底部外郭表面を起点として5mm深さの範囲のパーライト組織の面積率が90%以上であり、面積率で10%以下の微量な初析フェライト組織、初析セメンタイト組織、ベイナイト組織またはマルテンサイト組織の1種または2種以上が混入しているものも含んでいる。
一方、表5〜9には、比較例であるレールの、化学成分値、底部のミクロ組織、底部の表面硬さ、足裏中央部の表面硬さと中間部の表面硬さの比を示す。さらに、図8に示す方法で行った疲労試験結果、図9に示す位置から試験片を採取した足先部の衝撃試験結果も併記した。尚、底部のミクロ組織は、「パーライト」とのみ記載した場合、レール底部外郭表面を起点として5mm深さの範囲のパーライト組織の面積率が90%以上であり、面積率で10%以下の微量な初析フェライト組織、初析セメンタイト組織、ベイナイト組織またはマルテンサイト組織の1種または2種以上が混入しているものも含んでいる。一方、ミクロ組織の欄でパーライト組織以外の組織が記載されているものは全て面積率で10%超の量を意味する。例えば「パーライト+初析フェライト」と記載した場合は、パーライト組織が面積率で90%未満であり、残部の主たる組織が初析フェライトであることを指す。
なお、表1〜4、表5〜9に示した本発明レールおよび比較レールの製造工程および製造条件の概略は下記の2通りである。
[本発明レールの製造工程]
溶鋼→成分調整→鋳造(ブルーム)→再加熱(1250〜1300℃)→熱間圧延→放冷または熱処理(加速冷却)。
溶鋼→成分調整→鋳造→再加熱→熱間圧延→放冷→再加熱(レール)→熱処理(加速冷却)。
また、表1〜4に示した本発明レールの製造条件の概略は下記に示すとおりである。表5〜9の比較レールの製造条件については、比較例1〜8は下記の本発明レールの製造条件の範囲内で製造し、比較例9〜20については、本発明レールの製造条件からいずれかの条件が外れた条件で製造した。
[本発明レールの製造条件]
・熱間圧延条件(適用した実施例のみ)
最終圧延温度 足裏中央部:900〜1000℃ 足先部:800〜900℃
・再加熱条件(適用した実施例のみ)
再加熱温度 足裏中央部:950〜1050℃ 足先部:850〜950℃
・底部熱処理条件(適用した実施例のみ)
熱間圧延直後の熱処理冷却速度
足裏中央部:3〜10℃/sec(冷却温度範囲:850〜600℃)
足先部:1〜5℃/sec(冷却温度範囲:800〜600℃)
再加熱後の熱処理冷却速度
足裏中央部:5〜12℃/sec(冷却温度範囲:850〜600℃)
足先部:3〜8℃/sec(冷却温度範囲:800〜650℃)
なお、表1〜4、表5〜9に示した本発明レールおよび比較レールの詳細は下記に示すとおりである。
(1)本発明レール(35本)
発明例1〜35:化学成分値、底部のミクロ組織、底部の表面硬さ(足裏中央部、足先部)、さらに、足裏中央部の表面硬さと足先部の表面硬さの比が本願発明範囲内のレール。
(2)比較レール(20本)
比較例1〜8(8本):C、Si、Mn、P、Sの含有量および底部のミクロ組織のいずれかが本願発明範囲外のレール。
比較例9〜20(12本):レール底部の足裏中央部、足先部の表面硬さ、さらに、足裏中央部、足先部、中間部の表面硬さのバランスが本発明範囲外のレール。
また、各種試験条件は下記のとおりである。
[実レール曲げ疲労試験(図8参照)]
試験方法:実物レール3点曲げ(スパン長:0.65m、周波数:5Hz)
荷重条件:応力範囲制御(最大荷重−最小荷重、最小荷重は最大荷重の10%)
試験姿勢:レール頭部に荷重負荷(底部に引張応力作用)
応力制御:レール底部の足裏中央部に貼り付けた歪ゲージにより制御。
繰り返し回数:200万回、未破断の場合の最大応力範囲を疲労限応力範囲とする
[衝撃試験]
試験片形状:JIS3号2mmUノッチシャルピー衝撃試験片
試験片採取位置:レールの足先部(図9参照)
試験温度:常温(+20℃)
[レール底部の表面硬さの測定方法]
測定
測定装置:ビッカース硬度計(荷重98N)
測定用試験片採取:底部の横断面からサンプル切り出し
事前処理:横断面を1μmダイヤ研磨
測定方法:JIS Z 2244に準じて測定。
硬さの算定方法
足裏中央部の表面硬さ:図7に示す部位の表面下1mm及び5mmのそれぞれ20点の測定を行い、その平均値を当該位置での表面硬さとした。
足先部:の表面硬さ図7に示す部位の表面下1mm及び5mmのそれぞれ20点の測定を行い、その平均値を当該位置での表面硬さとした。
中間部の表面硬さ:図7に示す部位の表面下1mm及び5mmのそれぞれ20点の測定を行い、その平均値を当該位置での表面硬さとした。
中間部の表面硬さ(HM)と裏中央部の表面硬さ(HC)の比の算定方法
中間部の表面硬さ(HM)と裏中央部の表面硬さ(HC)の比は、各部位の表面下1mm及び5mmのそれぞれの位置の表面硬さをさらに平均した値を裏中央部の表面硬さ(HC)、中間部の表面硬さ(HM)とし、上記の比を算定した。
表1〜4、表5〜9に示すように、本発明レール(発明例1〜35)は、比較レール(比較例1〜8)と比べて、鋼のC、Si、Mn、P、Sの含有量を限定範囲内に収めることにより、初析フェライト組織、初析セメンタイト組織、ベイナイト組織、マルテンサイト組織の生成を抑制し、介在物やパーライト組織の靭性を制御し、さらに、レール底部の足裏中央部、足先部の表面硬さを制御することにより、足裏中央部の疲労強度、足先部の靭性が向上し、レールの耐折損性および耐疲労性が向上している。
また、本発明レール(発明例1〜35)は、比較レール(比較例9〜20)と比べて、レール底部の足裏中央部、足先部の表面硬さ、中間部の表面硬さのバランスを制御することにより、耐疲労性が向上している。
さらに、表1〜4、図10に示すように、本発明レール(発明例9〜10、12〜13、15〜16、18〜19、20〜21、23〜24、25〜26、29〜30、32〜33)は、レール底部の足裏中央部の表面硬さ:HC(Hv)、中間部の表面硬さ:HM(Hv)をHM/HC≧0.900に制御し、硬さのバランスをさらに制御することにより、より一層、耐疲労性が向上している。
Figure 0006354862
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本発明によれば、レールの素材となるレール鋼の成分を制御するとともに、レール底部の金属組織、レール底部の足裏中央部及び足先部の表面硬さを制御し、さらに、足裏中央部、足先部及び中間部の表面硬さのバランスを制御して、中間部近傍での歪の集中を抑制することにより、貨物鉄道のレールの底部に要求される耐折損性と耐疲労性とに優れるレールを提供できる。
1:足裏中央部
2:足先部
3:中間部
4:底部
5:底部外郭表面

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.75〜1.20%、
    Si:0.10〜2.00%、
    Mn:0.10〜2.00%、
    Cr:0〜2.00%、
    Mo:0〜0.50%、
    Co:0〜1.00%、
    B:0〜0.0050%、
    Cu:0〜1.00%、
    Ni:0〜1.00%、
    V:0〜0.50%、
    Nb:0〜0.050%、
    Ti:0〜0.0500%、
    Mg:0〜0.0200%、
    Ca:0〜0.0200%、
    REM:0〜0.0500%、
    Zr:0〜0.0200%、
    N:0〜0.0200%、
    Al:0〜1.00%、
    P:0.0250%以下、
    S:0.0250%以下、
    を含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼成分を有し、
    レール底部外郭表面を起点として5mm深さの範囲の金属組織の90%以上がパーライト組織であり、
    足裏中央部の表面硬さであるHCがHv360〜500の範囲であり、
    足先部の表面硬さであるHEがHv260〜315の範囲であり、
    前記HC、前記HE、及び前記足裏中央部と前記足先部の間に位置する中間部の表面硬さであるHMが、式1を満たす
    ことを特徴とするレール。
    HC≧HM≧HE …(式1)
  2. さらに、前記HMと前記HCが式2を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレール。
    HM/HC≧0.900 …(式2)
  3. 前記鋼成分が、質量%で、
    Cr:0.01〜2.00%、
    Mo:0.01〜0.50%、
    Co:0.01〜1.00%、
    B:0.0001〜0.0050%、
    Cu:0.01〜1.00%、
    Ni:0.01〜1.00%、
    V:0.005〜0.50%、
    Nb:0.0010〜0.050%、
    Ti:0.0030〜0.0500%、
    Mg:0.0005〜0.0200%、
    Ca:0.0005〜0.0200%、
    REM:0.0005〜0.0500%、
    Zr:0.0001〜0.0200%、
    N:0.0060〜0.0200%、
    Al:0.0100〜1.00%、
    からなる群から選択される1種または2種以上を含有する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のレール。
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