JP2006057128A - 耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高炭素含有のパーライト組織の鋼レールにおいて、レール底部に再加熱処理を施し、レール底部の延性を向上させ、同時に、レール底部の硬さを制御し、レール底部からの折損に対する抵抗性を改善し、耐落重破壊特性を向上させる。
【解決手段】 質量%で、C:0.65〜1.40%を含有するパーライト組織を呈する鋼レールにおいて、レール底部を500〜600℃の温度範囲に再加熱し、その後、放冷もしくは加速冷却することを特徴とすることを特徴とする耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。
【選択図】 図2
【解決手段】 質量%で、C:0.65〜1.40%を含有するパーライト組織を呈する鋼レールにおいて、レール底部を500〜600℃の温度範囲に再加熱し、その後、放冷もしくは加速冷却することを特徴とすることを特徴とする耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。
【選択図】 図2
Description
本発明は、レール底部の微細なパーライトブロック粒の数を制御することにより、重荷重鉄道のレール底部に要求される耐落重破壊特性を向上させ、レール折損の発生を抑制することを目的としたパーライト系レールの製造方法に関するものである。
海外の重荷重鉄道では、鉄道輸送の高効率化の手段として、列車速度の向上や列車積載重量の増加が図られている。このような鉄道輸送の効率化はレール使用環境の過酷化を意味し、レール材質の一層の改善が要求されるに至っている。
具体的には、曲線区間に敷設されたレールでは、G.C.(ゲージ・コーナー)部や頭側部の摩耗が急激に増加し、レールの使用寿命の点で問題視されるようになった。このような背景から、以下に示すような、主に耐摩耗性の向上を目指したレールの開発が進められた。
(1)圧延終了後あるいは、再加熱したレール頭部をオーステナイト域温度から850〜500℃間を1〜4℃/secで加速冷却する130kgf/mm2以上の高強度レールの製造法( 特許文献1)。
(2)過共析鋼(C:0.85超〜1.20%)を用いて、パーライト組織中のラメラ中のセメンタイト密度を増加させた耐摩耗性に優れたレール(特許文献2)。
これらのレールの特徴は、共析炭素含有鋼(炭素量:0.7〜0.8%)または、過共析炭素含有鋼(炭素量:0.85超〜1.20%)による微細パーライト組織を呈する高強度レールであり、その目的とするところは、パーライト組織中のラメラ間隔を微細化し、さらには、パーライトラメラ中のセメタイト相の密度を増加させ、耐摩耗性を向上させるところにあった。
(1)圧延終了後あるいは、再加熱したレール頭部をオーステナイト域温度から850〜500℃間を1〜4℃/secで加速冷却する130kgf/mm2以上の高強度レールの製造法( 特許文献1)。
(2)過共析鋼(C:0.85超〜1.20%)を用いて、パーライト組織中のラメラ中のセメンタイト密度を増加させた耐摩耗性に優れたレール(特許文献2)。
これらのレールの特徴は、共析炭素含有鋼(炭素量:0.7〜0.8%)または、過共析炭素含有鋼(炭素量:0.85超〜1.20%)による微細パーライト組織を呈する高強度レールであり、その目的とするところは、パーライト組織中のラメラ間隔を微細化し、さらには、パーライトラメラ中のセメタイト相の密度を増加させ、耐摩耗性を向上させるところにあった。
しかし、これらの高強度レールは、靭性が低いため、レール底部から、折損が発生しやすいという問題点があった。そこで、このような問題を解決するため、以下に示すような熱処理方法が開発された。
(3)レールの底部を600〜750℃の温度範囲に再加熱し、その後、急速冷却するレールの製造方法(特許文献3)。
この製造方法は、レール底部の引張残留応力を除去し、圧縮残留応力とし、さらに、パーライト組織の延性を高め、耐落重破壊特性を向上させるものであった。
特開昭57−198216号公報
特開平8−144016号公報
特開平4−202626号公報
(3)レールの底部を600〜750℃の温度範囲に再加熱し、その後、急速冷却するレールの製造方法(特許文献3)。
この製造方法は、レール底部の引張残留応力を除去し、圧縮残留応力とし、さらに、パーライト組織の延性を高め、耐落重破壊特性を向上させるものであった。
上記の(3)に示されたレールの製造方法では、レールの底部を再加熱するため、パーライト組織の延性は向上する。しかし、同時に、パーライト組織の硬度が低下し、レール折損時の破壊応力が低減し、上述したような近年の重荷重鉄道の使用環境下においては、上記の発明レールにおいても底部からの折損が発生するようになってきた。
このような背景から、高炭素含有のパーライト組織のレールにおいて、底部からの折損等の破壊の発生を抜本的に防止するレールの製造方法の開発が求められるようになってきた。
すなわち、本発明は、重荷重鉄道用のレールに要求される、底部からの折損等の破壊の発生を防止することを目的としたものである。
すなわち、本発明は、重荷重鉄道用のレールに要求される、底部からの折損等の破壊の発生を防止することを目的としたものである。
本発明は上記目的を達成するものであって、その要旨とするところは次の通りである。(1)質量%で、C:0.65〜1.40%を含有するパーライト組織を呈する鋼レールにおいて、レール底部を500〜600℃の温度範囲に再加熱し、その後、放冷もしくは加速冷却することを特徴とすることを特徴とする耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。
(2)質量%で、C:0.65〜1.40%、Si:0.10〜2.00%、Mn:0.10〜2.00%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるパーライト組織を呈する鋼レールにおいて、レール底部を500〜600℃の温度範囲に再加熱し、その後、放冷もしくは加速冷却することを特徴とすることを特徴とする耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。
(3)請求項1〜2記載の鋼レールにおいて、レール底部の硬さがHv320以上であることを特徴とする耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。
(4)上記(1)〜(3)のレールには、質量%でさらに、下記1)〜9)の成分を選択的に含有させることができる。
1) Cr:0.05〜2.00%、Mo:0.01〜0.50%の1種または2種、
2) V :0.005〜0.50%、Nb:0.002〜0.050%の1種または2種、
3) B :0.0001〜0.0050%、
4) Co:0.10〜2.00%、Cu:0.05〜1.00%の1種または2種、
5) Ni:0.01〜1.00%、
6) Ti:0.0050〜0.0500%、Mg:0.0005〜0.0200%、Ca:0.0005〜0.0150%の1種または2種以上、
7) Al:0.0100〜1.00%、
8) Zr:0.0001〜0.2000%、
9) N :0.0040〜0.0200%
の1種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。
(2)質量%で、C:0.65〜1.40%、Si:0.10〜2.00%、Mn:0.10〜2.00%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるパーライト組織を呈する鋼レールにおいて、レール底部を500〜600℃の温度範囲に再加熱し、その後、放冷もしくは加速冷却することを特徴とすることを特徴とする耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。
(3)請求項1〜2記載の鋼レールにおいて、レール底部の硬さがHv320以上であることを特徴とする耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。
(4)上記(1)〜(3)のレールには、質量%でさらに、下記1)〜9)の成分を選択的に含有させることができる。
1) Cr:0.05〜2.00%、Mo:0.01〜0.50%の1種または2種、
2) V :0.005〜0.50%、Nb:0.002〜0.050%の1種または2種、
3) B :0.0001〜0.0050%、
4) Co:0.10〜2.00%、Cu:0.05〜1.00%の1種または2種、
5) Ni:0.01〜1.00%、
6) Ti:0.0050〜0.0500%、Mg:0.0005〜0.0200%、Ca:0.0005〜0.0150%の1種または2種以上、
7) Al:0.0100〜1.00%、
8) Zr:0.0001〜0.2000%、
9) N :0.0040〜0.0200%
の1種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。
本発明の製造方法を用いれば、重荷重鉄道で使用される高炭素含有のパーライト組織の鋼レールにおいて、レール底部の熱処理条件をある一定範囲内に制御することにより、底部の耐落重破壊特性が向上し、レールの折損の発生を抑制できる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明者らは、まず、様々な温度に再加熱したパーライト鋼のレール試験片を用いて、落重試験を行い、レール折損の発生とパーライト鋼の硬さの関係を実験室的に整理した。その結果、再加熱していないパーライト鋼と比較して、ある一定温度以上で再加熱したパーライト鋼は、いずれの再加熱温度においても延性は向上し、レールの折損は抑制されるが、パーライト鋼の硬さがある一定値以下になると、レール折損時の破壊応力の低減により、底部からのレール折損が多く発生することを実験により確認した。
本発明者らは、まず、様々な温度に再加熱したパーライト鋼のレール試験片を用いて、落重試験を行い、レール折損の発生とパーライト鋼の硬さの関係を実験室的に整理した。その結果、再加熱していないパーライト鋼と比較して、ある一定温度以上で再加熱したパーライト鋼は、いずれの再加熱温度においても延性は向上し、レールの折損は抑制されるが、パーライト鋼の硬さがある一定値以下になると、レール折損時の破壊応力の低減により、底部からのレール折損が多く発生することを実験により確認した。
次に、本発明者らは、実験室的に再加熱後のパーライト鋼の硬さと再加熱温度の関係、再加熱温度とレール折損の関係を調査した。その結果、再加熱温度がある一定値以上に上昇すると、パーライト鋼の硬さが急激に低下し、レール折損が多く発生することを実験により確認した。また、再加熱温度がある一定値以下になると、パーライト鋼の延性は向上せず、結果として、レール折損に対する抵抗性が改善せず、耐落重破壊特性が向上しないことを知見した。
さらに、本発明者らは、レール折損に対する抵抗性を改善するため、レール底部を再加熱した後の熱処理方法について検討した。その結果、レール底部を再加熱した後に、加速冷却を施すことにより、レール底部に圧縮残留応力が付与され、レール折損に対する抵抗性が改善し、耐落重破壊特性が向上することを見出した。
これらに加えて、本発明者らは、レール折損に対する抵抗性をさらに向上させるため、熱処理後のレール底部の硬さについて検討した。その結果、熱処理後のレール底部の硬さがある一定値以上になると、レール折損に対する抵抗性がより一層改善し、耐落重破壊特性が飛躍的に向上することを見出した。
すなわち、本発明では、高炭素含有のパーライト組織の鋼レールにおいて、レール底部をある一定範囲の温度で再加熱し、その後、放冷もしくは加速冷却を施し、これに加えて、熱処理後のレール底部の硬さを制御し、レールの折損に対する抵抗性を改善することを目的とした耐落重破壊特性を向上させたパーライト系レールの製造方法に関するものである。
次に、本発明の限定理由について詳細に説明する。
(1)再加熱温度の限定理由
まず、レール底部の再加熱温度を500〜600℃の範囲に限定した理由について説明する。
再加熱温度が600℃を超えると、パーライト鋼の延性は向上する。しかし、パーライト鋼の硬さが急激に低下し、レール折損時の破壊応力の低減により、レール底部からの折損が発生し易くなる。また、再加熱温度が500℃未満の場合、パーライト鋼の延性は改善せず、結果的にレール折損に対する抵抗性が改善せず、耐落重破壊特性が向上しない。このためレール底部の再加熱温度を500〜600℃の範囲に限定した。
(1)再加熱温度の限定理由
まず、レール底部の再加熱温度を500〜600℃の範囲に限定した理由について説明する。
再加熱温度が600℃を超えると、パーライト鋼の延性は向上する。しかし、パーライト鋼の硬さが急激に低下し、レール折損時の破壊応力の低減により、レール底部からの折損が発生し易くなる。また、再加熱温度が500℃未満の場合、パーライト鋼の延性は改善せず、結果的にレール折損に対する抵抗性が改善せず、耐落重破壊特性が向上しない。このためレール底部の再加熱温度を500〜600℃の範囲に限定した。
なお、レール底部の再加熱温度時の保持時間については特に限定していないが、加熱時間が長いと、レール底部が変形し、レールの直進性が失われる。また、加熱時間が短いと、パーライト鋼の延性が向上せず、レール底部の耐落重破壊特性が改善しなくなる。このため、保持時間については、レール形状等に応じて、制御する必要があり、少なくとも上記温度範囲において、パーライト鋼の延性を改善し、レール底部の耐落重破壊特性を改善するためには、保持時間5〜10分程度が望ましい。
レール底部の再加熱方法およびその後の加速冷却方法については特に限定していないが、再加熱はレール底部のみを選択的に再加熱することが可能なガス火炎加熱あるいは高周波加熱の適用が望ましい。
また、再加熱時の温度については、レール足裏部の表層の温度を制御することにより、上述した効果を達成することが可能である。
(2)再加熱部位の説明
レール底部の再加熱を行う部位について説明する。
レール底部の再加熱部位については特に限定していないが、レール底部からの折損を防止するには、折損の起点であるレール足裏部を中心に再加熱処理を行う必要がある。
ここで、図1にパーライト系レールの底部断面表面位置での呼称、および、再加熱熱処理領域を示す。1は足裏部、2は足先部、3は底部、Wはレールの底部の幅である。レール底部3とはレール足裏部1と足先部2を包括的に含む領域である。レール底部の再加熱は、少なくとも足裏部1を中心に左右0.25Wの部分に施すことが望ましい。
レール底部の再加熱を行う部位について説明する。
レール底部の再加熱部位については特に限定していないが、レール底部からの折損を防止するには、折損の起点であるレール足裏部を中心に再加熱処理を行う必要がある。
ここで、図1にパーライト系レールの底部断面表面位置での呼称、および、再加熱熱処理領域を示す。1は足裏部、2は足先部、3は底部、Wはレールの底部の幅である。レール底部3とはレール足裏部1と足先部2を包括的に含む領域である。レール底部の再加熱は、少なくとも足裏部1を中心に左右0.25Wの部分に施すことが望ましい。
(3)再加熱後の加速冷却の理由
レール底部を再加熱後に加速冷却を行う理由について説明する。
再加熱後に加速冷却を行わないと、再加熱温度によっては、パーライト鋼の軟化が促進され、レール折損時の破壊応力の低減により、レール底部からの折損が発生し易くなり、また、レール底部の圧縮残留応力が低下し、レール折損に対する抵抗性が改善せず、耐落重破壊特性が大きく向上しない。したがって、レール底部からの折損を抑制し、さらに耐落重破壊特性を改善するには、レール底部を再加熱後に加速冷却を行う。
レール底部を再加熱後に加速冷却を行う理由について説明する。
再加熱後に加速冷却を行わないと、再加熱温度によっては、パーライト鋼の軟化が促進され、レール折損時の破壊応力の低減により、レール底部からの折損が発生し易くなり、また、レール底部の圧縮残留応力が低下し、レール折損に対する抵抗性が改善せず、耐落重破壊特性が大きく向上しない。したがって、レール底部からの折損を抑制し、さらに耐落重破壊特性を改善するには、レール底部を再加熱後に加速冷却を行う。
なお、再加熱後の加速冷却方法については特に限定していないが、加速冷却はレール底部のみを選択的に冷却することが可能な空気もしくは水、汽水の適用が望ましい。
冷却速度ついても特に限定していないが、パーライト鋼の軟化を抑制し、圧縮残留応力を十分に付与するためには、再加熱後、常温度域まで冷却速度1℃/sec以上で加速冷却することが望ましい。また、高い圧縮残留応力を付与し、耐落重破壊特性を飛躍的に改善するには、常温度域まで冷却速度10℃/sec以上で加速冷却することが望ましい。
(4)レール底部の硬さの限定理由
次に、レール底部の硬さをHv320以上に限定した理由について説明する。
レール底部の硬さがHv320未満になると、レール底部に作用する応力が大きい場合は、レール底部が部分的に降伏し、レール底部からの折損が発生し易くなる。このためパーライト組織の硬さをHv320以上に限定した。
なお、レール底部の硬さは、レール足裏部の表面下1〜5mmの範囲を制御するにより、上述した効果を達成することが可能である。
次に、レール底部の硬さをHv320以上に限定した理由について説明する。
レール底部の硬さがHv320未満になると、レール底部に作用する応力が大きい場合は、レール底部が部分的に降伏し、レール底部からの折損が発生し易くなる。このためパーライト組織の硬さをHv320以上に限定した。
なお、レール底部の硬さは、レール足裏部の表面下1〜5mmの範囲を制御するにより、上述した効果を達成することが可能である。
したがって、レール底部の再加熱を、望ましくは足裏部を中心に左右0.25Wの部分に施し、その後、放冷もしくは加速冷却することにより、パーライト鋼の延性が改善し、さらには、圧縮残留応力の付与により、レール底部の耐落重破壊特性が向上する。
さらに、上記領域において、パーライト鋼の硬さがHv320以上であれば、レール底部での降伏現象が抑制され、レール底部からの折損がさらに抑制され、耐落重破壊特性がさらに向上する。
(5)鋼レールの化学成分の限定理由
次に、レール鋼の化学成分を上記請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。
Cは、パーライト変態を促進させて、かつ、耐摩耗性を確保する有効な元素である。C量が0.65%以下では、レール頭部のパーライト組織の硬度が確保できず、さらに、初析フェライト組織が生成し、耐摩耗性が低下し、レールの使用寿命が低下する。また、C量が1.40%を超えると、レール頭部内部、底部のパーライト組織中に初析セメンタイト組織が生成するとともに、パーライト組織中のセメンタイト相の密度が増加し、パーライト組織の延性が低下して、耐落重破壊特性が大きく低下する。このため、C量を0.65〜1.40%に限定した。なお、レール頭部の耐摩耗性をより一層向上させるには、パーライト組織中のセメンタイト相の体積比率がさらに増加し、耐摩耗性の一層の向上が図れるC量0.85%超とすることが望ましい。
次に、レール鋼の化学成分を上記請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。
Cは、パーライト変態を促進させて、かつ、耐摩耗性を確保する有効な元素である。C量が0.65%以下では、レール頭部のパーライト組織の硬度が確保できず、さらに、初析フェライト組織が生成し、耐摩耗性が低下し、レールの使用寿命が低下する。また、C量が1.40%を超えると、レール頭部内部、底部のパーライト組織中に初析セメンタイト組織が生成するとともに、パーライト組織中のセメンタイト相の密度が増加し、パーライト組織の延性が低下して、耐落重破壊特性が大きく低下する。このため、C量を0.65〜1.40%に限定した。なお、レール頭部の耐摩耗性をより一層向上させるには、パーライト組織中のセメンタイト相の体積比率がさらに増加し、耐摩耗性の一層の向上が図れるC量0.85%超とすることが望ましい。
また、上記の成分組成で製造されるレールは、パーライト組織の硬度(強化)の向上、パーライト組織の延性の向上、溶接熱影響部の軟化の防止、レール頭部内部の断面硬度分布の制御を図る目的で、Si,Mn,Cr,Mo,V,Nb,B,Co,Cu,Ni,Ti,Mg,Ca,Al,Zr,Nの元素を必要に応じて添加する。
ここで、Siはフェライト相への固溶強化によりレール頭部の硬度(強度)を上昇させ、初析セメンタイト組織の生成を抑制し、硬度と延性を確保する。Mnは焼き入れ性を高め、パーライトラメラ間隔を微細化することにより、パーライト組織の硬度を確保する元素である。
Cr,Moは、パーライトの平衡変態点を上昇させ、主に、パーライトラメラ間隔を微細化することによりパーライト組織の硬度を確保する。
V,Nbは、熱間圧延やその後の冷却課程で生成した炭化物や窒化物により、オーステナイト粒の成長を抑制し、さらに、析出硬化により、パーライト組織の延性と硬度を向上させ、また再加熱時に炭化物や窒化物を安定的に生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止する。
V,Nbは、熱間圧延やその後の冷却課程で生成した炭化物や窒化物により、オーステナイト粒の成長を抑制し、さらに、析出硬化により、パーライト組織の延性と硬度を向上させ、また再加熱時に炭化物や窒化物を安定的に生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止する。
Bは、初析セメンタイト組織の生成を微細化し、同時に、パーライト変態温度の冷却速度依存性を低減させ、レールの延性を向上させ、さらに、レール頭部の硬度分布を均一にする。
Co,Cuは、パーライト組織中のフェライトに固溶し、パーライト組織の硬度を高める。
Co,Cuは、パーライト組織中のフェライトに固溶し、パーライト組織の硬度を高める。
Niは、Cu添加による熱間圧延時の脆化を防止し、同時に、パーライト鋼の硬度を向上させ、さらに、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止する。
Tiは、熱影響部の組織の微細化を図り、溶接継ぎ手部の脆化を防止する。
Tiは、熱影響部の組織の微細化を図り、溶接継ぎ手部の脆化を防止する。
Mg,Caは、レール圧延時においてオーステナイト粒の微細化を図り、同時に、パーライト変態を促進し、パーライト組織の延性を向上させる。
Alは、共析変態温度を高温側へ移動させ、パーライト組織を強化し、レールの耐摩耗性の向上させ、さらに共析炭素量を高炭素側へ移動させ、初析セメンタイト組織の生成を抑制する。
Alは、共析変態温度を高温側へ移動させ、パーライト組織を強化し、レールの耐摩耗性の向上させ、さらに共析炭素量を高炭素側へ移動させ、初析セメンタイト組織の生成を抑制する。
Zrは、ZrO2介在物が高炭素レール鋼の凝固核となり、凝固組織の等軸晶化率を高 めることにより、鋳片中心部の偏析帯の形成を抑制し、初析セメンタイト組織の厚さを微細化し、レールの延性低下を防止する。
Nは、オーステナイト粒界からのパーライト変態を促進させ、パーライト組織を微細にすることより、延性を向上させることが主な添加目的である。
Nは、オーステナイト粒界からのパーライト変態を促進させ、パーライト組織を微細にすることより、延性を向上させることが主な添加目的である。
これらの成分の限定理由について、以下に詳細に説明する。
Siは、脱酸剤として必須の成分である。また、パーライト組織中のフェライト相への固溶強化によりレール頭部の硬度(強度)を上昇させる元素である。さらに、過共析鋼において、初析セメンタイト組織の生成を抑制し、延性の低下を抑制する元素である。しかし、0.10%未満ではこれらの効果が十分に期待できない。また、2.00%を超えると、熱間圧延時に表面疵が多く生成することや、酸化物の生成により溶接性が低下する。さらに、焼入性が著しく増加し、レール頭部の耐摩耗性やレール底部の耐落重破壊特性に有害なマルテンサイト組織が生成する。このため、Si量を0.10〜2.00%に限定した。
Siは、脱酸剤として必須の成分である。また、パーライト組織中のフェライト相への固溶強化によりレール頭部の硬度(強度)を上昇させる元素である。さらに、過共析鋼において、初析セメンタイト組織の生成を抑制し、延性の低下を抑制する元素である。しかし、0.10%未満ではこれらの効果が十分に期待できない。また、2.00%を超えると、熱間圧延時に表面疵が多く生成することや、酸化物の生成により溶接性が低下する。さらに、焼入性が著しく増加し、レール頭部の耐摩耗性やレール底部の耐落重破壊特性に有害なマルテンサイト組織が生成する。このため、Si量を0.10〜2.00%に限定した。
Mnは、焼き入れ性を高め、パーライトラメラ間隔を微細化することにより、パーライト組織の硬度を確保し、耐摩耗性を向上させる元素である。しかし、0.10%未満の含有量では、その効果が小さく、レールに必要とされる耐摩耗性の確保が困難となる。また、2.00%を超えると、焼入性が著しく増加し、レール頭部の耐摩耗性やレール底部の耐落重破壊特性に有害なマルテンサイト組織が生成し易くなる。このため、Mn量を0.10〜2.00%に限定した。
Crは、パーライトの平衡変態点を上昇させ、結果としてパーライト組織を微細にして高硬度(強度)化に寄与すると同時に、セメンタイト相を強化して、パーライト組織の硬度(強度)を向上させることにより耐摩耗性を向上させる元素であるが、0.05%未満ではその効果が小さく、2.00%を超える過剰な添加を行うと、焼入性が著しく増加し、マルテンサイト組織が多量に生成し、レール頭部の耐摩耗性やレール底部の耐落重破壊特性が低下する。このため、Cr量を0.05〜2.00%に限定した。
Moは、Cr同様パーライトの平衡変態点を上昇させ、結果としてパーライト組織を微細にすることにより高硬度(強度)化に寄与し、パーライト組織の硬度(強度)を向上させる元素であるが、0.01%未満ではその効果が小さく、レール鋼の硬度を向上させる効果が全く見られなくなる。また、0.50%を超える過剰な添加を行うと、パーライト組織の変態速度が著しく低下し、レール底部の耐落重破壊特性に有害なマルテンサイト組織が生成しやすくなる。このため、Mo添加量を0.01〜0.50%に限定した。
Vは、熱間圧延後の冷却課程で生成したV炭化物、V窒化物による析出硬化により、パーライト組織の硬度(強度)を高めると同時に、延性を向上させるのに有効な元素である。また、Ac1点以下の温度域に再加熱された熱影響部において、比較的高温度域でV炭化物やV窒化物を生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止するのに有効な元素である。しかし、0.005%未満ではその効果が十分に期待できず、パーライト組織の硬度の向上や延性の改善は認められない。また、0.50%を超えて添加すると、粗大なVの炭化物やVの窒化物が生成し、レール底部の耐落重破壊特性が低下する。このため、V量を0.005〜0.50%に限定した。
Nbは、熱間圧延後の冷却課程で生成したNb炭化物、Nb窒化物による析出硬化により、パーライト組織の硬度(強度)を高めると同時に、延性を向上させるのに有効な元素である。また、Ac1点以下の温度域に再加熱された熱影響部において、低温度域から高温度域までNb炭化物やNb窒化物を安定的に生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止するのに有効な元素である。しかし、その効果は、0.002%未満では期待できず、パーライト組織の硬度の向上や延性の改善は認められない。また、0.050%を超える添加すると、粗大なNb炭化物やNb窒化物が生成し、レール底部の耐落重破壊特性が低下する。このため、Nb量を0.002〜0.050%に限定した。
Bは、旧オーステナイト粒界に鉄炭ほう化物を形成し、初析セメンタイト組織の生成を微細化し、同時に、パーライト変態温度の冷却速度依存性を低減させ、頭部の硬度分布を均一化することにより、レールの延性低下を防止し、高寿命化を図る元素であるが、0.0001%未満ではその効果は十分でなく、初析セメンタイト組織の生成やレール頭部の硬度分布には改善が認められない。また、0.0050%を超えて添加すると、旧オーステナイト粒界に粗大な鉄の炭ほう化物が生成し、レール底部の耐落重破壊特性が大きく低下することから、B量を0.0001〜0.0050%に限定した。
Coは、パーライト組織中のフェライトに固溶し、固溶強化によりパーライト組織の硬度(強度)を向上させる元素であり、さらに、パーライトの変態エネルギーを増加させて、パーライト組織を微細にすることにより延性を向上させる元素であるが、0.10%未満ではその効果が期待できない。また、2.00%を超えて添加すると、パーライト組織中のフェライト相の延性が著しく低下し、レール頭部のころがり面にスポーリング損傷が発生し、レールの耐表面損傷性が低下する。このため、Co量を0.10〜2.00%に限定した。
Cuは、パーライト組織中のフェライトに固溶し、固溶強化によりパーライト組織の硬度(強度)を向上させる元素であるが、0.05%未満ではその効果が期待できない。また、1.00%を超えて添加すると、著しい焼入れ性向上により、レール頭部の耐摩耗性やレール底部の耐落重破壊特性に有害なマルテンサイト組織が生成しやすくなる。さらに、パーライト組織中のフェライト相の延性が著しく低下し、レール底部の耐落重破壊特性が低下する。このため、Cu量を0.05〜1.00%に限定した。
Niは、Cu添加による熱間圧延時の脆化を防止し、同時に、フェライトへの固溶強化によりパーライト鋼の高硬度(強度)化を図る元素である。さらに、溶接熱影響部においては、Tiと複合でNi3Tiの金属間化合物が微細に析出し、析出強化により軟化を抑 制する元素であるが、0.01%未満では、その効果が著しく小さく、また、1.00%を超えて添加すると、パーライト組織中のフェライト相の延性が著しく低下し、レール底部の耐落重破壊特性が低下する。このため、Ni量を0.01〜1.00%に限定した。
Tiは、溶接時の再加熱において析出したTiの炭化物、Tiの窒化物が溶解しないことを利用して、オーステナイト域まで加熱される熱影響部の組織の微細化を図り、溶接継ぎ手部の脆化を防止するのに有効な成分である。しかし、0.0050%未満ではその効果が少なく、0.0500%を超えて添加すると、粗大なTiの炭化物、Tiの窒化物が生成して、レール底部の耐落重破壊特性が大きく低下することから、Ti量を0.0050〜0.0500%に限定した。
Mgは、O、または、SやAl等と結合して微細な酸化物を形成し、レール圧延時の再加熱において、結晶粒の粒成長を抑制し、オーステナイト粒の微細化を図り、パーライト組織の延性を向上させるのに有効な元素である。さらに、MgO,MgSがMnSを微細に分散させ、MnSの周囲にMnの希薄帯を形成し、パーライト変態の生成に寄与し、その結果、パーライトブロックサイズを微細化することにより、パーライト組織の延性を向上させるのに有効な元素である。しかし、0.0005%未満ではその効果は弱く、0.0200%を超えて添加すると、Mgの粗大酸化物が生成し、レール底部の耐落重破壊特性を低下させるため、Mg量を0.0005〜0.0200%に限定した。
Caは、Sとの結合力が強く、CaSとして硫化物を形成し、さらに、CaSがMnSを微細に分散させ、MnSの周囲にMnの希薄帯を形成し、パーライト変態の生成に寄与し、その結果、パーライトブロックサイズを微細化することにより、パーライト組織の延性を向上させるのに有効な元素である。しかし、0.0005%未満ではその効果は弱く、0.0150%を超えて添加すると、Caの粗大酸化物が生成し、レール底部の耐落重破壊特性を低下させるため、Ca量を0.0005〜0.0150%に限定した。
Alは、脱酸剤として必須の成分である。また、共析変態温度を高温側へ、共析炭素量を高炭素側へ移動させる元素であり、パーライト組織の高強度化と初析セメンタイト組織の生成抑制に有効な元素であるが、0.0100%以下では、その効果が弱く、1.00%を超えて添加すると、鋼中に固溶させることが困難となり、疲労損傷の起点となる粗大なアルミナ系介在物が生成し、レール底部の耐落重破壊特性が低下するとともに、溶接時に酸化物が生成し、溶接性が著しく低下するため、Al量を0.0100〜1.00%に限定した。
Zrは、ZrO2介在物がγ−Feとの格子整合性が良いため、γ−Feが凝固初晶で ある高炭素レール鋼の凝固核となり、凝固組織の等軸晶化率を高めることにより、鋳片中心部の偏析帯の形成を抑制し、レール偏析部に生成する初析セメンタイト組織の生成を抑制する元素である。しかし、Zr量が0.0001%以下では、ZrO2系介在物の数が 少なく、凝固核として十分な作用を示さない。その結果、偏析部に初析セメンタイト組織が生成し、レールの延性を低下させる。また、Zr量が0.2000%を超えると、粗大Zr系介在物が多量に生成し、レール底部の耐落重破壊特性が低下し、粗大Zr系介在物を起点とした疲労損傷が発生しやすくなり、レールの使用寿命が低下する。このため、Zr量を0.0001〜0.2000%に限定した。
Nは、オーステナイト粒界に偏析することにより、オーステナイト粒界からのパーライト変態を促進させ、パーライトブロックサイズを微細化することにより、パーライト組織の延性を向上させるのに有効な元素である。しかし、0.0040%未満ではその効果は弱く、0.0200%を超えて添加すると、鋼中に固溶させることが困難となり、疲労損傷の起点となる気泡が生成することから、N量を0.0040〜0.0200%に限定した。
上記のような成分組成で構成されるレール鋼は、転炉、電気炉などの通常使用される溶解炉で溶製を行い、この溶鋼を造塊・分塊あるいは連続鋳造し、さらに、熱間圧延および熱処理を経てレールとして製造される。次に、このレール底部を再加熱し、放冷もしくは加速冷却を施すことにより、底部からのレール折損を抑制し、耐落重破壊特性を改善することが可能となる。
次に、本発明の実施例について説明する。
表1に供試レール鋼の化学成分を示す。
表2は、表1に示す供試レール鋼を用いて、本発明のレール製造方法で製造したレールの、底部熱処理条件、熱処理後のレール底部の硬さ、さらには、落重試験結果を示す。
表3は、表1に示す供試レール鋼を用いて、比較レール製造方法で製造したレールの、底部熱処理条件、熱処理後のレール底部の硬さ、さらには、落重試験結果を示す。
なお、レールの構成は以下の通りである。
表1に供試レール鋼の化学成分を示す。
表2は、表1に示す供試レール鋼を用いて、本発明のレール製造方法で製造したレールの、底部熱処理条件、熱処理後のレール底部の硬さ、さらには、落重試験結果を示す。
表3は、表1に示す供試レール鋼を用いて、比較レール製造方法で製造したレールの、底部熱処理条件、熱処理後のレール底部の硬さ、さらには、落重試験結果を示す。
なお、レールの構成は以下の通りである。
●本発明熱処理レール(16本) 符号1〜16
上記成分範囲内のレール鋼を、上記限定範囲内のレール底部熱処理条件で製造したレール。
●比較熱処理レール (9本) 符号17〜25
上記成分範囲内のレール鋼を、上記限定範囲外のレール底部熱処理条件で製造したレール。
上記成分範囲内のレール鋼を、上記限定範囲内のレール底部熱処理条件で製造したレール。
●比較熱処理レール (9本) 符号17〜25
上記成分範囲内のレール鋼を、上記限定範囲外のレール底部熱処理条件で製造したレール。
ここで、添付した図について説明する。
図1は、レールの底部断面表面位置での呼称、および、再加熱熱処理領域を示したものである。
図2は、表2に示す本発明レール鋼(符号:1〜16)と表3に示す比較レール鋼(符号:17〜25)の落重試験結果における炭素量と全試験片が未破断(4本中4本未破断)であった試験温度の関係を示したものである。
また、各種試験条件は下記の通りとした。
図1は、レールの底部断面表面位置での呼称、および、再加熱熱処理領域を示したものである。
図2は、表2に示す本発明レール鋼(符号:1〜16)と表3に示す比較レール鋼(符号:17〜25)の落重試験結果における炭素量と全試験片が未破断(4本中4本未破断)であった試験温度の関係を示したものである。
また、各種試験条件は下記の通りとした。
●レール落重試験
試験機:落重試験機
試験片形状:141ポンドレール×1500mm
試験条件:スパン長:9140mm、落錘高さ:6000mm、落錘重さ:907kg 試験形態:2点支持式(レール頭部に落錘を落とす)
試験温度:−80〜+30℃
試験本数:各温度において4本
試験機:落重試験機
試験片形状:141ポンドレール×1500mm
試験条件:スパン長:9140mm、落錘高さ:6000mm、落錘重さ:907kg 試験形態:2点支持式(レール頭部に落錘を落とす)
試験温度:−80〜+30℃
試験本数:各温度において4本
図2に示すように、本発明レール鋼(表2の符号:1〜16を●印で示す)は、レール底部の熱処理条件をある一定範囲内に制御することにより、比較レール鋼(表3の符号:17〜25を□印で示す)と比べて、同一炭素量で比較して、落重試験におけるレール未破断温度が低温側へ遷移し、レールの耐落重破壊特性が向上していることが分かる。
さらに、本発明レール鋼中(符号:7と8,11と12)で比較して示すように、熱処理後のレール底部に加速冷却を施すことにより、適切な圧縮残留応力を付与でき、落重試験におけるレール未破断温度がさらに低温側へ遷移し、レールの耐落重破壊特性が向上している。
1:足裏部
2:足先部
3:底部
W:レール底部の幅
2:足先部
3:底部
W:レール底部の幅
Claims (12)
- 質量%で、C:0.65〜1.40%を含有するパーライト組織を呈する鋼レールにおいて、レール底部を500〜600℃の温度範囲に再加熱し、その後、放冷もしくは加速冷却することを特徴とすることを特徴とする耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。
- 質量%で、
C :0.65〜1.40%、
Si:0.10〜2.00%、
Mn:0.10〜2.00%
を含有するパーライト組織を呈する鋼レールにおいて、レール底部を500〜600℃の温度範囲に再加熱し、その後、放冷もしくは加速冷却することを特徴とすることを特徴とする耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。 - 請求項1〜2記載の鋼レールにおいて、レール底部の硬さがHv320以上であることを特徴とする耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。
- 質量%で、さらに、
Cr:0.05〜2.00%、
Mo:0.01〜0.50%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。 - 質量%で、さらに、
V :0.005〜0.50%、
Nb:0.002〜0.050%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。 - 質量%で、さらに、
B :0.0001〜0.0050%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。 - 質量%で、さらに、
Co:0.10〜2.00%、
Cu:0.05〜1.00%
の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。 - 質量%で、さらに、
Ni:0.01〜1.00%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。 - 質量%で、さらに、
Ti:0.0050〜0.0500%、
Mg:0.0005〜0.0200%、
Ca:0.0005〜0.0150%
の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。 - 質量%で、さらに、
Al:0.0100〜1.00%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。 - 質量%で、さらに、
Zr:0.0001〜0.2000%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。 - 質量%で、さらに、
N :0.0040〜0.0200%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の耐落重破壊特性に優れたパーライト系レールの製造方法。
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-
2004
- 2004-08-18 JP JP2004238951A patent/JP2006057128A/ja not_active Withdrawn
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