JP6354739B2 - 遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置 - Google Patents

遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、車両等のパワートレインの制御装置に関し、特に、遠心振子ダンパを備えたパワートレインの制御装置に関する。
従来、エンジンから変速機を介して駆動輪に至る動力伝達経路を構成するパワートレインを搭載した車両において、エンジンの燃費性能向上のために、エンジンの減筒運転やHCCI(Homogeneous-Charge Compression Ignition)燃焼、トルクコンバータを廃止する自動変速機のトルコンレス化などの技術の適用が検討されている。
しかし、減筒運転やHCCI燃焼を採用したエンジンでは出力トルクの変動(トルク変動)が大きくなる傾向がある。また、自動変速機がトルコンレス化されると、エンジンのトルク変動が減衰されずに自動変速機から出力される。このように、これらの技術が適用された車両では、変速機の出力側にある動力伝達系に大きいトルク変動が伝達される。特に、このトルク変動に起因するねじり振動が動力伝達系の共振により増幅されると、車両各部に振動や騒音が発生するおそれがある。
前記課題に関連するものとして、例えば特許文献1に記載されているように、動力伝達軸に遠心振子ダンパを連絡させる技術が知られている。この遠心振子ダンパは、動力伝達軸と共に回転する支持部材と、該支持部材に、その軸心から所定半径の円周上の点を中心として揺動可能に支持された質量体である振子と、を備える。トルク変動により振子が揺動すれば、該振子に作用する遠心力を受ける支持部材に周方向の分力が発生し、この分力が支持部材または動力伝達軸のトルク変動を抑制する反トルクとして作用し、これにより前記ねじり振動が吸収される。
ここで、エンジン始動時等の低回転域では、動力伝達軸に連絡された遠心振子ダンパが低速で回転し、振子に作用する遠心力が小さくなる。これにより、トルク変動が十分に抑制されずに振子の動作が不安定となり、振子が周辺部材と接触して異音が発生することがある。この異音の発生を抑制するために、特許文献1に記載の発明では、動力伝達軸と遠心振子ダンパとの間に、エンジンの低回転域で遠心振子ダンパへの動力伝達を遮断する断接機構が設けられている。
特開2014−228009号公報
ところで、特許文献1に記載の発明のように、動力伝達軸と遠心振子ダンパとの間に断接機構を設けた場合、遠心振子ダンパの慣性モーメントや質量が断接機構の断接状態に応じた負荷として動力伝達軸に加わる。このとき、断接機構の断接状態が変化して前記負荷が変化すると、運転者によるアクセルペダルの操作とは無関係に車両の加速度や速度が変化する。
例えば、車両の加速(または減速)中に断接機構が切断状態から接続状態に移行すると、動力伝達軸周りの慣性モーメントが増加することにより車両の加速度が低下し、車両の定速走行中に前記移行が行われると、遠心振子ダンパの回転抵抗が動力伝達軸に加わって車両に負の加速度(減速度)が生じる。同様に、車両の加速(または減速)中に断接機構が接続状態から切断状態に移行すると車両の加速度が上昇し、車両の定速走行中に前記移行が行われると車両に正の加速度が生じる。
このような加速度の変化は運転者によるアクセルペダルの操作とは無関係に生じるものであり、走行状態によっては乗員に違和感を与えることがある。この問題は、エンジンの出力トルクが小さい状態(緩加速、定速または減速状態)で特に大きくなる。
本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、エンジン等の動力源に連絡された動力伝達軸に断接機構を介して遠心振子ダンパが設けられたパワートレインにおいて、前記断接機構の断接状態が変化するときの、乗員の意図しない車両の加速度、速度の変化を抑制することを課題とする。
前記課題を解決するため、本願の請求項1に記載の発明は、
減筒運転が可能なエンジンである動力源を備えた車両において前記動力源に連絡された動力伝達軸に断接機構を介して遠心振子ダンパが連絡された遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置であって、
前記断接機構の断接状態を制御する断接制御手段と、
前記動力源の出力トルクを補正するトルク補正手段とを備え、
(a)前記断接制御手段は、
前記エンジンの回転数が低い低速域と前記エンジンの回転数が高い高速域では前記断接機構を切断状態に設定し、
前記エンジンの回転数が前記低速域と前記高速域の間にある中速域に含まれる減筒運転領域では前記断接機構を接続状態に設定し、
前記中速域にあって前記減筒運転領域と前記低速域との間の領域では前記断接機構を前記切断状態と前記接続状態の間のスリップ状態に設定し、
(b)前記トルク補正手段は、前記断接機構を前記切断状態から前記接続状態への変更制御中、前記変更制御に伴って生じ得る前記車両の加速度変化を抑制するように、前記変更制御に応じて前記動力源の出力トルクを補正することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置において、
前記トルク補正手段は、前記動力源の出力トルクが所定値未満のときに、該出力トルクを増加させることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置において、
前記動力源の出力トルクを制御するアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル踏み込み量検出手段を備え、
前記トルク補正手段は、前記アクセル踏み込み量検出手段により検出されたアクセルペダルの踏み込み量が所定値未満のときに、前記動力源の出力トルクを増加させることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置において、
前記トルク補正手段は、前記断接制御手段による前記断接機構の変更制御の進行に伴って、前記スリップ状態における出力トルクのアップ量を小さくすることを特徴とする
請求項1に記載の発明によれば、断接機構の断接状態の変更制御中に、例えば該断接状態の変更制御に伴って生じる車両の加速度の変化を抑制するように動力源の出力トルクが変化する。これにより、動力源に連絡された動力伝達軸に断接機構を介して遠心振子ダンパが設けられたパワートレインにおいて、断接機構の断接状態が変化するときの、乗員の意図しない車両の加速度、速度の変化を抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、断接機構の切断状態から接続状態へ向かう変更制御中であって、動力源の出力トルクが所定値未満のときに該出力トルクが増加する。これにより、動力源の出力トルクが小さい状態で、断接機構の切断状態から接続状態へ変更制御が行われた場合であっても、乗員に与える違和感が増すのを抑制することができる。
請求項に記載の発明によれば、アクセル踏み込み量検出手段により検出されたアクセルペダルの踏み込み量が所定値未満のときに、動力源の出力トルクが増加する
請求項に記載の発明によれば、断接機構の変更制御の進行に伴ってスリップ状態における出力トルクのアップ量が小さくなって零に近づくので、前記断接状態の変更制御が完了した後に出力トルクのアップ量を零付近に戻したときに乗員に与える違和感を小さくすることができる。
本発明の実施形態に係る遠心振子ダンパ付きパワートレインを示す骨子図である。 パワートレインの制御システム図である。 断接機構の断接状態の制御に用いられる断接制御マップである。 コントロールユニットによるパワートレインの制御方法を示すフローチャートである。 図4のフローチャートにおける出力トルクアップ制御の一例を示すタイムチャートである。
以下、本発明の実施形態に係る遠心振子ダンパ付きパワートレイン10(単に、パワートレイン10と称す)について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パワートレイン10を示す骨子図である。
パワートレイン10は、エンジン1、該エンジン1の駆動力を駆動輪2に伝達する変速機の変速機構3、エンジン1の出力軸1aと変速機構3の入力軸3aとの間に設けられたねじりダンパ機構4、変速機構3の入力軸3aに連絡された遠心振子ダンパ機構5など備える。本実施形態の「入力軸3a」は、特許請求の範囲の「動力伝達軸」に対応する。
変速機構3が備えられた変速機は、変速比を段階的に切り替える有段の自動変速機、変速比を連続的に変化させる無段の自動変速機(CVT)、手動変速機のうちいずれの変速機であってもよい。また、ねじりダンパ機構4の代わりにトルクコンバータが設けられてもよい。
ねじりダンパ機構4は、互いに並列に配置された第1ばね部材4aと第2ばね部材4bとを有し、エンジン1の出力軸1aの回転を、ばね部材4a,4bを介して変速機構3の入力軸3a側に伝達する。
遠心振子ダンパ機構5は、入力軸3aの回転を増速する増速機構としての遊星歯車セット12と、該遊星歯車セット12を介して入力軸3aに連絡された遠心振子ダンパ13と、入力軸3aから遊星歯車セット12への動力伝達を断接可能な断接機構14とを有する。図1では、断接機構14は入力軸3aと遊星歯車セット12との間に設けられているが、遊星歯車セット12と遠心振子ダンパ13との間に設けられてもよい。
遊星歯車セット12は、シングルピニオンタイプであり、回転要素として、サンギヤ21、リングギヤ23およびピニオンキャリヤ24(単に、キャリヤ24と称す)とを有する。キャリヤ24は、サンギヤ21とリングギヤ23に噛み合うピニオン22を支持する。キャリヤ24には断接機構14を介して入力軸3aが連絡されている。サンギヤ21には遠心振子ダンパ13が連絡されている。リングギヤ23は、変速機ケース3dに連結されることでその回転が制止されている。
遠心振子ダンパ13は、遊星歯車セット12のサンギヤ21に連結された支持部材と、該支持部材に、その軸心から所定半径の円周上の点を中心として揺動可能に支持された質量体である振子とを備えている。遠心振子ダンパ13では、エンジン1のトルク変動により振子が揺動すれば、該振子に作用する遠心力を受ける支持部材に周方向の分力が発生し、この分力が支持部材または入力軸3aのトルク変動を抑制する反トルクとして作用し、入力軸3aのねじり振動が吸収される。
断接機構14は、互いに締結可能な複数の摩擦板と、該摩擦板を押圧することでこれらを締結する油圧アクチュエータとを有する摩擦締結式のクラッチ機構である。断接機構14は、油圧アクチュエータに供給する油圧を制御することにより、断接状態が変化し、接続状態、切断状態またはスリップ状態に切り替わるように構成された油圧制御式のクラッチ機構である。なお、「スリップ状態」とは、接続状態と切断状態の間の状態であり、断接機構14が滑っている不完全な接続を意味する。また、本実施形態において、断接機構一般に用いられる用語「接続」、「切断」はそれぞれ、摩擦締結式のクラッチの「締結」、「解放」を意味する。
また、本実施形態おけるパワートレイン10には、エンジン1の出力軸1aの回転数を検出するエンジン回転数センサ101と、変速機構3の出力軸3bの回転数を検出する車速センサ102とが設けられている。さらに、図1に仮想線で示すように、変速機構3の入力軸3aの回転数を検出する入力軸回転数センサ103と、遠心振子ダンパ13の回転数を検出する振子回転数センサ104とが設けられてもよい。回転数センサ101〜104として、例えば、ピックアップコイル型、ホール素子型、磁気抵抗素子型等の磁気センサを用いることができる。
本実施形態で、振子回転数センサ104は、遠心振子ダンパ13と遊星歯車セット12を介して連結された断接機構14の遊星歯車セット12側の回転要素の回転数を検出し、該回転数に基づいて遊星歯車セット12による増速を考慮して遠心振子ダンパ13の回転数を間接的に検出するものであるが、遠心振子ダンパ13の回転数を直接的に検出するセンサが設けられてもよい。また、エンジン回転数と入力軸3aの回転数とは実質的に同一なので、エンジン回転数センサ101の代わりに振子回転数センサ104が設けられてもよい。
次に、パワートレイン10の作用について説明する。
まず、エンジン1が作動すると、その動力はねじりダンパ機構4に伝達され、エンジン1のトルク変動の少なくとも一部がねじりダンパ機構4により吸収される。ねじりダンパ機構4に伝達された動力の一部は、さらに変速機構3の入力軸3aから遠心振子ダンパ機構5に伝達される。遠心振子ダンパ機構5の断接機構14が接続されると、この断接機構14を介して入力軸3aから遊星歯車セット12へ動力が伝達される。遊星歯車セット12のリングギヤ23の回転は変速機ケース3dによって制止されているので、入力軸3aと連結されたキャリヤ24の回転に伴って、サンギヤ21が回転する。サンギヤ21の回転は、キャリヤ24の回転に対して、サンギヤ21とリングギヤ23との歯数比に応じて増速される。遠心振子ダンパ13は、増速されたサンギヤ21の回転数で駆動される。このとき、ねじりダンパ機構4で吸収しきれなかったトルク変動が遠心振子ダンパ13で吸収される。
図2は、パワートレイン10の制御システム図である。
パワートレイン10の制御装置であるコントロールユニット100は、エンジン1、変速機構3および断接機構14など、パワートレイン10に関係する構成を総合的に制御する。コントロールユニット100は、演算部としてのマイクロコンピュータ、記憶部としてのメモリなどにより構成されている。
図2に示すように、コントロールユニット100には、エンジン回転数センサ101、車速センサ102およびアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル踏み込み量センサ105の出力信号が入力され、さらに、選択的に入力軸回転数センサ103と振子回転数センサ104の出力信号が入力される。
また、コントロールユニット100は、エンジン制御部110、変速制御部120、断接制御部130およびトルク補正量演算部140を有する。これらは、センサ101〜105の出力信号に基づいて演算等を行う。
エンジン制御部110は、エンジン1に制御信号を出力し、燃料噴射制御、吸気量制御、点火制御、気筒数制御などを行う。燃料噴射制御と吸気量制御には、トルク補正量演算部140の出力信号が用いられる。気筒数制御には、エンジン回転数センサ101とアクセル踏み込み量センサ105の出力信号が用いられる。
変速制御部120は、変速機構3に制御信号を出力し、変速機構3の変速比(または変速段)を変更する変速制御を行う。なお、「変速比」とは変速機構3の出力側回転数(車速センサ102)に対する入力側回転数(入力軸回転数センサ103の出力)の比をいう。変速制御は、車速センサ102、アクセル踏み込み量センサ105、シフトレバーの操作位置を検出するレンジセンサ(図示せず)の出力信号などに基づいて行われる。例えば、変速制御部120は、現在の車速とアクセルペダルの踏み込み量とをパラメータとする変速制御マップ(図示せず)を参照して決定された所望の変速比に変更する変速指令を出力し、この変速指令に基づいて変速機構3を所望の変速比に変更する。
断接制御部130は、断接機構14に制御信号を出力し、断接機構14の断接状態の制御を行う。断接制御部130は、断接機構14に供給する油圧の目標値(目標油圧)を決定する目標油圧演算部135を有する。断接機構14の断接状態の制御は、目標油圧演算部135の出力信号に加えて、エンジン回転数センサ101とアクセル踏み込み量センサ105の出力信号などに基づいて行われる。断接状態の制御には、例えば図3に示すような断接制御マップが用いられる。
図3に示す断接制御マップについて具体的に説明する。
断接制御マップでは、横軸のエンジン回転数と縦軸のアクセルペダルの踏み込み量に応じた複数の走行領域が設定されており、断接機構14の断接状態は該走行領域に応じて制御される。断接機構14の断接状態は、エンジン回転数がN以下の低速域とN(N>N)以上の高速域では切断状態に制御され、減筒運転領域では接続状態に制御される。この減筒運転領域は、エンジン制御部110によりエンジン1の気筒数制御(減筒制御)が行われ、トルク変動が大きくなりやすい領域であり、エンジン回転数がNからNの中速域内であって、アクセルペダルの踏み込み量が所定値未満の領域に設定される。中速域のうち減筒運転領域を除いた領域では、断接機構14の断接状態は、低速域と高速域における切断状態から減筒運転領域における接続状態への移行状態であるスリップ状態に制御される。
エンジン回転数Nは、アイドリング回転数よりも高い値に設定されている。エンジン回転数Nには、遠心振子ダンパ13の過回転となる回転数よりも低く、遊星歯車セット12により増速された遠心振子ダンパ13が著しく高速回転となってその信頼性に影響を及ぼす可能性のある回転数の値が設定されている。車両の走行中に、エンジン回転数またはアクセルペダルの踏み込み量が変化して異なる走行領域に入ったときには、断接制御部130により、断接機構14の断接状態を変更する制御が行われる。また、中速域内では、所望のスリップ状態に向かうように断接状態の制御が行われる。
断接制御部130により行われる断接状態の制御の具体例として、車両の走行中に、図3に示す符号Xから符号Yに向けてエンジン回転数とアクセルペダルの踏み込み量が変化した場合を考える。当初、低速域で走行中の車両の断接機構14は、切断状態に制御されている。エンジン回転数が増加して低速域から中速域へ移行すると(矢印201)、断接機構14への油圧の供給が開始され、断接機構14の断接状態は、その時点で目標油圧演算部135により決定された目標油圧に応じたスリップ状態に向かう。
エンジン回転数がさらに増加して中速域から減筒運転領域に移行すると(矢印202)、断接機構14へ供給される目標油圧は、断接機構14の接続状態での油圧に設定され、断接機構14は接続状態へ向かう。エンジン回転数がさらに増加して減筒運転領域から中速域に移行すると(矢印203)、断接機構14からの油圧の開放が開始され、断接機構14の断接状態は、その時点で目標油圧演算部135により決定された目標油圧に応じたスリップ状態に向かう。エンジン回転数がさらに増加して中速域から高速域へ移行すると(矢印204)、断接機構14から油圧が完全に開放されて断接機構14は切断状態へ向かう。
図3に示す断接状態の制御によれば、車両の走行状態が減筒運転領域にあるときには、断接機構14が接続されて遠心振子ダンパ13が入力軸3aと共に回転し、入力軸3aのねじり振動が吸収される。
なお、図3に示す断接制御マップでは、エンジン1の出力トルクに対応する量として、センサ105から出力されるアクセルペダルの踏み込み量を用いている。断接制御マップのパラメータとして、アクセルペダルの踏み込み量の代わりに、エアフローセンサにより検出されるエンジン1への吸気量、スロットル開度センサにより検出されるスロットルバルブ開度などを用いてもよい。また、エンジン1の出力軸1aにトルクセンサを設け、その出力であるエンジン1の出力トルクを直接に用いてもよい。
トルク補正量演算部140は、断接制御部130による断接状態の制御に伴って生じる加速度変化を補償する(または抑制する)ためのトルク補正量を決定する。ここで、断接機構14の断接状態が接続方向に変更される場合、トルク補正量演算部140は、変更制御に伴って生じる加速度の低下を補償するためのトルクアップ量を決定する。断接機構14の断接状態が切断方向に変更される場合、トルク補正量演算部140は、変更制御に伴って生じる加速度の上昇を補償するためのトルクダウン量を決定する。
ここで、車両に「加速度の低下」が生じると、加速走行時であれば加速度の大きさが減少し、または加速走行から減速走行に移行し、減速走行時であれば(負の)加速度の大きさが増加する。また、「加速度の低下」には、定速走行時に車両に負の加速度が生じる場合も含むものとする。同様に、車両に「加速度の上昇」が生じると、加速走行時であれば(正の)加速度の大きさが増加し、減速走行時であれば(負の)加速度の大きさが減少し、または減速走行から加速走行に移行する。また、「加速度の上昇」には、定速走行時に車両に正の加速度が生じる場合も含むものとする。
前記トルク補正量(トルクアップ量、トルクダウン量)の決定は、車速センサ102または目標油圧演算部135の出力信号などに基づいて、例えば以下の方法により行われる。
第1の方法では、まず、車速の時間変化量(差分)に基づいて、加速度の(時間)変化量が求められる。次に、予めトルク補正量演算部140のメモリ内に記憶された、加速度変化量と、該加速度変化量を補償するトルク補正量とをパラメータとした第1のマップが参照され、所望のトルク補正量が決定される。
第2の方法では、まず、目標油圧演算部135から断接機構14に供給される目標油圧の時間変化(油圧変更速度)が求められる。次に、予めトルク補正量演算部140のメモリ内に記憶された、油圧変更速度と車両に生じる加速度とをパラメータとした第2のマップが参照され、車両に生じる加速度が求められる。最後に、前記第1のマップが参照され、加速度の時間変化量に基づいて所望のトルク補正量が決定される。
前記方法では、説明を単純にするため、車速と加速度は、運転者によるアクセルペダルが踏み込まれていない状態で検出されていることを前提としているが、アクセルペダルが踏み込まれた状態であっても、アクセル踏み込み量センサ105の出力信号を用いて、トルク補正量の修正が可能である。
また、前記方法は例示的な方法であり、例えば、加速度を速度の差分として求めるのでなく、加速度センサを設けて直接に検出してもよい。また、所望のトルク補正量は、断接機構14の断接状態に応じた入力軸3a周りの慣性モーメントの変化量などを用いて、マップを用いずに直接に決定することもできる。なお、該慣性モーメントの変化量は、遠心振子ダンパ13単体の慣性モーメントをJA、入力軸回転数センサ102により検出される入力軸3aの回転数をN、振子回転数センサ104により検出される遠心振子ダンパ13の回転数をNとして、以下の式により算出することができる。
Figure 0006354739
本実施形態では、エンジン1のトルク補正量を決定するトルク補正量演算部140と、該トルク補正量演算部140の出力信号を用いて燃料噴射制御、吸気量制御を行うエンジン制御部110とにより、特許請求の範囲の「トルク補正手段」が実現する。
図4は、コントロールユニット100によるパワートレイン10の制御方法を示すフローチャートである。この制御方法は、ステップS1からS7を含む。
ステップS1では、センサ101〜105などの出力信号がコントロールユニット100に読み込まれる。
ステップS2では、断接制御部130による断接機構14の断接状態の変更制御中であるか否かが判定される。具体的には、ステップS2では、断接制御部130から断接機構14に油圧の供給または開放を示す制御信号が送信されたか否かが判定される。なお、ステップS2での判定は、入力軸回転数センサ103と振子回転数センサ104の出力信号から決定される断接機構14の入力側回転数と出力側回転数の差に時間変化が存在するか否かに基づいて行われてもよい。
ステップS2で断接機構14の断接状態の変更制御中であると判定されると、ステップS3で、断接機構14の断接状態は接続方向に変化しているのか、あるいは切断方向に変化しているのかが判定される。図4のフローチャートでは便宜上分けて記載しているが、ステップS2の判定とステップS3の判定とは同時に行うことができる。
ステップS3で、断接機構14の断接状態が接続方向に変化していると判定された場合、ステップS4,S5が実施される。ステップS4では、断接制御部130による断接状態の制御に伴って生じる加速度の低下を補償する(または抑制する)ためのトルクアップ量が、トルク補正量演算部140により決定される。そして、ステップS5で、トルク補正量演算部140の出力信号に基づいて、エンジン1の出力トルクを増加させる制御(燃料噴射制御、吸気量制御)がエンジン制御部110により行われる。
一方、ステップS3で、断接機構14の断接状態が切断方向に変化していると判定された場合、前記ステップS4,S5に対応するステップS6,S7が実施される。ステップS6では、前記ステップS4と同様に、断接制御部130による断接状態の制御に伴って生じる加速度の上昇を補償する(または抑制する)ためのトルクアップ量が、トルク補正量演算部140により決定され、ステップS7で、トルク補正量演算部140の出力信号に基づいて、エンジン1の出力トルクを減少させる制御(燃料噴射制御、吸気量制御)がエンジン制御部110により行われる。
図5は、図4のフローチャートにおけるエンジン1の出力トルクアップ制御の一例を示すタイムチャートである。
タイムチャートの上段は、断接制御部130により制御される断接機構14の断接状態を示す。縦軸の「OFF」は断接機構14の切断状態を示し、「ON」は接続状態を示す。タイムチャートの下段は、エンジン制御部110により制御されるエンジン1の出力トルクアップ量を示す。
この実施例で、時刻t1以前は、車両は、図3に示す低速域内で走行している。運転者によりアクセルペダルが踏み込まれ、エンジン回転数が増加して時刻t1で中速域内に入る。これに伴い、図5の上段に示すように、断接機構14の接続方向への変更制御が開始され、断接制御部130により、切断状態(OFF)にある断接機構14へ油圧の供給が開始される。断接機構14へ供給される油圧は、時刻t1以降に徐々に増加するように制御され、これに伴って断接機構14の断接状態も時刻t1以降に切断状態(OFF)から接続状態(ON)に向かって連続的に変化する。エンジン回転数の増加が続いて車両が減筒運転領域に入ると、断接機構14の接続のための油圧が目標油圧とされ、これに伴って断接機構14の断接状態も接続状態に向かい、時刻t2で接続状態となる。
時刻t1で断接機構14の接続方向への変更制御が開始されると、図5の下段に示すように、トルク補正量演算部140により決定された出力トルクアップ量に従って、エンジン制御部110によるエンジン1の出力トルクを増加させる制御(燃料噴射制御、吸気量制御)が時刻t2まで行われる。ここで、時刻t1での出力トルクアップの後、断接機構14の断接状態の変更の進行に伴って、出力トルクアップ量を小さくする制御が行われる。
図5を用いて説明した出力トルクアップ制御によれば、断接機構14の断接状態の接続方向への変更制御中に、該変更制御に伴って生じる車両の加速度の減少を補償(抑制)するようにエンジン1の出力トルクが増加することにより、乗員の意図しない車両の加速度、速度の低下が抑制される。図5では、出力トルクアップ制御の一例について説明したが、出力トルクダウン制御においても、変更制御に伴って生じる車両の加速度の増加を補償(抑制)するようにエンジン1の出力トルクが減少することにより、乗員の意図しない車両の加速度、速度の上昇が抑制される。
また、時刻t1での出力トルクアップの後、断接機構14の断接状態の変更の進行に伴って、出力トルクアップ量が小さくなって零に近づく。断接機構14の変更制御が完了した後には出力トルクアップ量が零付近に戻されるところ、予め出力トルクアップ量を零に近づけておくことにより、乗員に与える違和感を小さくすることができる。なお、図5では、時刻t2において出力トルクアップ量を零としているが、乗員に与える違和感が小さい範囲であれば零より大きい値でもよい。
以上、実施形態により本発明を説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良および設計上の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、断接機構14として、油圧アクチュエータを有する摩擦締結式のクラッチ機構を用いた例を説明したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、ソレノイドアクチュエータや圧電アクチュエータを有する摩擦クラッチを用いてもよいし、摩擦締結式以外の断接機構を用いてもよい。さらに、遊星歯車セット12のリングギヤ23と変速機ケース3dとの間にブレーキ機構を断接機構として設けてもよい。
さらに、本実施形態では、動力源として内燃機関からなるエンジン1を用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、エンジンに発電機を付設した所謂ハイブリッドエンジンを用いてもよい。
以上のように本発明によれば、エンジン等の動力源に連絡された動力伝達軸に断接機構を介して遠心振子ダンパが設けられたパワートレインにおいて、断接機構の断接状態が変化するときの、乗員の意図しない車両の加速度、速度の変化を抑制することができるので、この種の遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置またはこれが搭載される車両の製造技術分野において好適に利用される可能性がある。
1 エンジン(動力源)
3 変速機構
3a 入力軸(動力伝達軸)
10 パワートレイン
13 遠心振子ダンパ
14 断接機構
100 コントロールユニット(制御装置)
110 エンジン制御部
130 断接制御部(断接制御手段)
140 トルク補正量演算部

Claims (4)

  1. 減筒運転が可能なエンジンである動力源を備えた車両において前記動力源に連絡された動力伝達軸に断接機構を介して遠心振子ダンパが連絡された遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置であって、
    前記断接機構の断接状態を制御する断接制御手段と、
    前記動力源の出力トルクを補正するトルク補正手段とを備え、
    (a)前記断接制御手段は、
    前記エンジンの回転数が低い低速域と前記エンジンの回転数が高い高速域では前記断接機構を切断状態に設定し、
    前記エンジンの回転数が前記低速域と前記高速域の間にある中速域に含まれる減筒運転領域では前記断接機構を接続状態に設定し、
    前記中速域にあって前記減筒運転領域と前記低速域との間の領域では前記断接機構を前記切断状態と前記接続状態の間のスリップ状態に設定し、
    (b)前記トルク補正手段は、前記断接機構を前記切断状態から前記接続状態への変更制御中、前記変更制御に伴って生じ得る前記車両の加速度変化を抑制するように、前記変更制御に応じて前記動力源の出力トルクを補正することを特徴とする、遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置。
  2. 前記トルク補正手段は、前記動力源の出力トルクが所定値未満のときに、該出力トルクを増加させることを特徴とする、
    請求項1に記載の遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置。
  3. 前記動力源の出力トルクを制御するアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル踏み込み量検出手段を備え、
    前記トルク補正手段は、前記アクセル踏み込み量検出手段により検出されたアクセルペダルの踏み込み量が所定値未満のときに、前記動力源の出力トルクを増加させることを特徴とする、請求項2に記載の遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置。
  4. 前記トルク補正手段は、前記断接制御手段による前記断接機構の変更制御の進行に伴って、前記スリップ状態における出力トルクのアップ量を小さくすることを特徴とする、請求項3に記載の遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置。
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